ディスラプターズの隠れ家から逃げ帰った僕はそのまま城のリビングへと行きウイスキーの樽に取り付けられた蛇口を捻り子供が水道の水を飲むようにウイスキーを飲みその場で死んだように眠っていたらしい。
「おはようございます。ここで眠っていたのですか?」
「おはよ、、、そうみたい、、」
リルティルに声をかけられ目を覚まし朧げな眼でリルティルを見上げていた。
(あっ、可愛い)
心配そうに僕を見ているリルティルに思った感想だった。二日酔いにはなっていないのだがまだ酔いが残っていてかふらふらとする頭でリルティルを見ていた。
「どうか、しましたか?」
まだ起き上がっていない僕に目線を合わせる為しゃがんでくれていた。のは良いのだがワンピース姿でしゃがんでいるため見えてしまっているのだ。
「もう大丈夫だよ。ありがとね」
数秒ほど太ももの隙間に目線をやった後立ち上がりキッチンへ水を飲みに行くことに。
(はぁ、)
やっと気分がスッキリとしてきたと思ったら先程の光景を思い出しムラムラとしてしまう。普段ならこんな事ないのに。
ため息を吐きながらもう一杯水を飲むためにコップに注いでいる時にリルティルがキッチンへと入ってきていた。
「大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよ。一つ聞いても良いかな?」
「はい、どうしましたか?」
柔らかな笑みを浮かべるリルティルにこのあたりに精神を統一させれる場所は無いのかと聞いてみる事に。
「それならトレイセーマはどうでしょうか?」
「エドゥーの事?」
「そこではありませんよ。もっと良い場所があります」
「ふむ」
そんな感じでリルティルと朝食を作った後トレイセーマにある場所の地図を貰いその場所へと行ってみる事に。
トレイセーマ。千年王国で一番の領土を持ち過去に平等社会を築き国民を支配していた国。今はそんな事はなくみんなふわふわーっと暮らしているのだけども。
そんなトレイセーマをリルティルから貰った地図を見ながら歩いていると誰かにぶつかってしまった。
「あっ、ごめんなさい」
「いえ、私も前を見ていなかったので」
ぶつかった場所を撫でながら前を向くとアロンダイトの姿が。
「久しぶりだねアロンダイト」
「お久しぶりです。今日は一人なのですか?」
可愛らしく格好の良いアロンダイトに少しだけ見惚れたあと地図を見せて場所を聞く事に。
「それならば案内してあげますよ。私もそこに行く用事があったので」
「それは助かるよ。お願いね」
笑顔のアロンダイトの背後をついて行きその場所へと案内してもらう事に。街中を歩いていたと思えば街を抜けて山道を歩き徐々に道が険しくなってゆく。
「こんな所に何があるの?」
「トレイセーマの秘境の一つです。トレイセーマで剣を持つ者の修行場所ですね」
そう言われてトレイセーマの剣士を数えてみたのだがマサムネとムラマサ、レーヴァテインしか居なくてなんとも言えない気持ちになってしまう。実の所レーヴァテインはトレイセーマを抜けているので3人しか居ないのだ。
「ここです」
そんな事を考えているとアロンダイトが足を止めて前方を指差していた。つられて前を向くと道が開けており大きな湖と滝が見える。
「おぉー良い所だね」
「ここなら誰にも邪魔をされる事なく鍛錬ができます。そうだ、宜しければお相手をしてもらって良いでしょうか」
不敵に笑いながら腰に携えた剣の柄に手をかけていた。僕も身体を動かしたかったのでこの勝負を受ける事に。
「いざ尋常に」
「勝負!」
〜以下省略〜
「相変わらずのお手並ですね。人という事を疑ってしまいます」
「昔努力したからね。でも負けそうだったよ」
「そんな謙遜などいりません」
そんな感じで熱い戦いの後湖に足を付け涼みながら健闘を讃えたっていた。熱いか伝わらないって?まぁ想像しておいて欲しい。
仰向けとなり岩場に寝転がり煙草を吸いながら空を見上げ横を見れば同じく寝転がる美少女の横顔が。こんな素晴らしい景色を交互に見ていると心が無になるのを感じなかった。
「どうかしましたか?」
普段はポニーテールにしている髪を解き真っ直ぐにしているアロンダイトさんが可愛すぎて困る。
「ユウさんから不義を感じます」
「そうかな?」
「私にはユニコーンが獣刻されているのですよ。そのような感情には敏感なのです」
そう言われて思い返せば結婚しているにも関わらず美少女なアロンダイトさんと人が来ないような湖の辺りで二人っきり。こりゃ不義だ。
「修行に付き合ってもらってるだけだから大丈夫だよ」
「そんな考えでよく生きていれますね」
今この場をティルに見られたらどうなるだろうか?もし見られてしまった時の事を考えると身震いが起きた。
「まぁまぁ。良くここには来るの?」
「ほぼ毎日足を運んでいます。少しでも鍛錬を怠れば剣筋が鈍りますので」
「熱心だね」
「騎士として当然です。たまにマサムネ姉妹とも手合わせをしてもらうのですよ」
へぇーっと返事をしながら立ちあがろうとしたのだが岩に生えている苔に足を滑らせそのまま左へと倒れてゆく。
突然の事で受け身も取れずに倒れ結構な痛みを覚悟したのだが何故か痛みは無く唇に柔らかさを感じた。不思議に思いながら目を開けると桃色の髪と身開いた目が視界に映った。
「不義っ!!不義です!早く退いて下さいっ!!」
「えっ?えっ!!ご、ごめん!」
どうやら僕は隣で寝転がっていたアロンダイトの上に転んでしまったようでその勢いでキスをしてしまったようだ。大声で捲し立てるアロンダイトの上から退こうと身体を動かすのだが苔で足が滑りアワアワともがく事しかできなかった。
「わざとですよね!?わざと私の胸に手を当てていますよね!?」
「違うって!絶対わざとじゃない!!」
泣きそうに怒るアロンダイトの声に申し訳ない気持ちが溢れ必死にもがくのだが。はい、ごめんなさい。少しだけ、いや、かなり堪能させて頂きました。
「何をしておるのだ、、、?」
気まずそうな声が聞こえて二人してその方を見ると噂のマサムネ姉妹の姿がそこにあった。困惑した表情のマサムネの背後に隠れてこちらをチラチラとムラマサが覗いているのが心に刺さる。
「マサムネっ!早く私を助けて下さい!この暴漢からっ!!」
「違うって!!マサムネ手を貸してよ!」
盛大にため息を吐かれた後マサムネの手を借りてやっと起き上がる事ができた。
「ユウさんに決闘を申し込みます。このままだと私の純潔が穢れたままです!」
涙目のアロンダイトに言われて弁解の言葉を述べるのだがアロンダイトさんの怒りは収まらないようで。ならばとその決闘を受ける事に。
「私が勝ったらエドゥーへと連行します。その穢れた思考を正して貰います」
「じゃあ僕が勝ったら?」
「その様な事はあり得ません。ですがもし私が負けたら自死致します」
(うわぁ)
それ程の決意があるという事だと思うのだが本当に自死をされると後味が悪すぎる。
「なら僕はエドゥーに行くよ。アロンダイトは何も悪くないしむしろ被害者だし」
「分かっていませんね。勝利してエドゥーに送る事で私の純潔が守られるのです。自らの意思でエドゥーに行かれても意味はありません。マサムネ、試合開始の合図をお願いします」
「分かった。試合、開始!」
〜以下省略〜
そんな感じでアロンダイトと再び戦い後一歩の所まで追い詰めたのだが隙を突かれ鋭い剣先と眼差しが僕の首へと当てられていた。
「・・・・参りました」
「これよりユウさんをエドゥーへと連行します。マサムネ、ムラマサ。この男が逃げない様に見張りをお願いします」
3人に囲まれながら山を抜けて街へと連れてこられていた。そのまましばらく歩くと監獄の様な建物が見えてきた。
「今シャルウルを呼んできます」
そう言って建物へと入ってゆくアロンダイトを見送っていた。
「えっと、矯正施設だっけ?」
「そうだが、お主は逃げようとせぬのか?」
「まぁなんとかなるでしょ、それに逃げたらアロンダイトの顔も立たないしさ」
「でも、、この施設に入って無事に帰って来れた人は居ませんよ?」
「ふむ」
ちょっと怖い事を言われて不安になってきていた。それを誤魔化すために煙草に火をつけて一服。
「連れて参りました。さぁその歪んだ思想を正してきて下さい」
「あなたがエドゥーに入りたいという人ね」
そう言いながらアロンダイトと共に現れたシャルウルさん。一見お淑やかだが何処となく漂うヤバそうな雰囲気を感じていた。
「入りたくは無いけど、お手柔らかにお願いします」
「はい。では此方へ」
シャルウルに連れられて施設の中へ。そのまま奥の部屋へ入ってゆくと1人掛けの椅子が一つ置かれており薄暗く嫌な雰囲気。
「座って下さい。あっ、安心して下さいね?昔よりお手柔らかに致しますので」
「は、はい」
いつの間にか椅子に座らされ手足を拘束されていた。そして頭に何かを被せられ視界が奪われた。
「これより矯正をおこないますね」
その言葉の後に意識が飛び脳内に何かの映像が流れて始めた。
「・・・・・・・・・・・」
想像を絶する悪夢の様な映像に何度か気を失ったと思う。それなのに気は失えず絶えず映像が脳内を流れ思考を粉砕してゆく。
「」
「はい、終わりましたよ。歩けますか?」
コクリ。スタスタスタスタ。
「やっと戻って来ました、、、、ね、、、?」
ウンウン
「あのっ何かおっしゃって下さい」
?
「シャルウルッ!!一体ユウさんに何を!?」
「なにって言われた通りに矯正しただけですけど?」
ピヨピヨ
「おいっ!これは元に戻るのかっ!?」
「ユウさん!ユウさん!しっかりしてください!」
ンーーティル?
「ティルって私はティルフィングではありません」
ティル、ティル
「髪の色で認識しているのでしょうか?」
ティルギュッ
「そうかも知れぬ、、この状態で一人でティルヘルムに返すのは危険だ。拙者達が同行しよう」
ヤ!ティルガイイ!
「分かりました。私がティルヘルムへと連れて行きます。皆様お騒がせ致しました」
ワーイティルティル
「行きますよ」
手を繋ぎながら足取りを合わせティルヘルムへと歩んでゆく。
「それにしても矯正を受けたにもかかわらずティルフィングの事を忘れないなんてよほどティルフィングの事が好きなようですね」
「矯正を受けるとどうなってしまうのですか?」
「元の思想は完全に砕かれトレイセーマに相応しい思考となるのですが。それとも私の腕が鈍ってしまったのでしょうか」
「いや、あの男の並々ならぬ信念が矯正を耐え抜いたのだろう」
……………………………
………………………
…………………
………………
…………
……
…
その頃二人はティルヘルムへとたどり着き城門をくぐり城内へと足をすすめていた。
リビングに通じるドアの前で立ち止まり意を決してドアを開けた。
「おかえりなさい。アロンダイトも一緒なのですね」
ティルガフタリ?
「……アロンダイト。説明をお願いします」
「はい、実は、、、」
先程の事を説明してゆくと呆れ顔のリルティルが。
「私の認識の甘さが招いた事です。何なりと罰を与えて下さい」
「ひとまずネスに診て貰います。ユウの容態が落ち着いてからアロンダイトに罰を与えるか検討します」
冷酷な眼差しに頭を垂れ項垂れていた。そんな時ドアが開きネスが姿を見せた。
ンーーー?
「お兄ちゃん!?一体どうしたのですか!?」
「実は……」
「分かりました。容体を確認したいので床に寝かせて下さい」
ヤ!オナカスイタ
「診てもらったらご飯にするので今は言う事を聞いて下さい」
オヤツタベタイ
「診察をした後ですよ」
・・・・・
「そのまま抑えていてくださいね」
・・・
・・
・
「軽い幻惑をかけられているだけですね。回復魔法をかけ一晩寝れば良くなります」
「分かりました。ありがとうございます」
「ですが体温が少し高いので看病してあげたほうが良いです」
「アロンダイト。お願いできますか?」
「はい。このアロンダイト責任を持ちユウさんの看病に謹みます」
床の上で眠ってしまったユウを持ち上げ部屋へと運んでゆきベッドへと寝かせ化粧台の椅子を運び座り見ている事に。
悪夢を見ているのかうなされ額に汗が浮かぶ。それをタオルで拭いていた。気が付けば顔だけではなくシャツも湿り気を帯び脱がせ身体を拭いてゆく。
(意外と筋肉質なのですね)
丁寧に拭いてゆき起こさないように新しいパジャマに着替えさせ一息。
(・・・下もですよね)
ためらいながらもズボンを脱がせ下着に手をかけるのだがどうしても脱がせる事が出来ず苦肉の策としてタオルを下着の中に突っ込み拭くことに。
(ムワッてしました・・・)
手を洗いたいのを堪えながらズボンを履かせやっと一息吐き部屋を見渡すとシャワールームを見つけ汗を流す事に。
エドゥーの恐ろしさを噛み締めながらシャワーを浴びるのであった。
〜おまけ〜
シャワーを浴び用意してもらったパジャマに着替えやっと気が落ち着き心に余裕ができ始めていた。
(看病とはいえ男性、それも既婚者と部屋で二人っきりだなんて、、)
自分のしている事が不義だと思い盛大にため息を吐きながら先程準備した椅子へと腰掛け眠る姿を見ていた。
そんな時額に浮かぶ汗を見つけ拭こうとタオルを手に取り身体を伸ばした。
(!!)
伸ばした手を掴まれそのまま引き寄せられタオルケット越しに上に乗せられていた。
「離して下さいっ!」
(んーーティル、、、)
身をよじるのだがしっかりと身体を抱き締められ身動きがとれずにいた。
(もう、知りません。どうにでもなれ)
抵抗を止めそのままふて寝を決め込む事に。