※この作品はR-18です。

黒ティルと僕と   作:やす、

3 / 201
ティルフィングってなんか特技とか無いの?


マスターの願いを三つまで叶えることができます


おっいいじゃん


三つ目を叶えた時にマスターの命を奪いますが


oh…


コロシアムの掃除だって

それから僕とティルフィングは毎日働き続けた。ある日は迷子の猫の捜索、ある日は教会の雑用、またある日は農家の収穫の手伝い、変わり種で代わりに愛の告白をするのもあった、そんなもん自分でなんとかしろや,もちろん失敗したらしいが。

 

 

マスターとはなんなのか、奏官とはなんなのかと問い詰めたい。でもティルフィングの表情が前より柔らかくなったから良しとしよう。

 

 

「なんでこうも雑用みたいな仕事しか無いんだろ?」

 

「マスターの奏官のランクは今何ですか?」

 

「まだ一番下の「入門]だったかな?」

 

「なら仕方ありません」

 

 

残念な話である,仕方ないのか。

 

 

「でも,それだけこの世界が平和だって事ですよ」

 

「そうだけどさ、せっかく奏官になったからザ・奏官みたいな事してみたいじゃんか?」

 

 

他の奏官はどうなんだろうか?僕みたいに雑用をしているのだろうか?ってか奏官の仕事って何があるんだ?そんな疑問を持ちながらも今日の仕事はコロシアムの掃除なのだが。

 

 

「マスターはこの生活が不満ですか?」

 

「不満じゃ無いけどちょっと物足りないかな?ティルフィングは?」

 

「私は今の生活に満足してます、何事も無いこの平和な生活に憧れてましたから」

 

 

そう言いながら壁にこびり付いた血をなぞるその顔は少し紅潮していた。言っている事と表情が真逆だけど大丈夫なのだろうか?

 

 

「とりあえず早く終わらせて宿でゆっくりしよう、明日は久々にお休みをもらってさ」

 

「そうですね」

 

 

コロシアムを見渡すと血の他に無数の傷が入っていた。これは剣の傷か?斧かもしれない上の方には矢か魔弾の傷も。

 

 

コロシアム。マスターがキル姫を戦わせる場所だと聞いている。そんな事をして楽しいのだろうか?奏官の自己満足にキル姫を付き合わせるのはどうかと思う。

 

 

チラッとティルフィングを見ると今は剣の代わりにモップを持って壁を掃除しているが本当は戦いたいのかも知れない。今度聞いてみようかな。

 

 

そんな事を考えていると係員の人がこちらへと走ってきた。

 

 

「すいませーん、今からコロシアムで試合があるので清掃の人は退避してくださーい」

 

「はーい、ティルフィング、休憩がてらちょっと観てようか」

 

「はい」

 

 

そう言われて観客席へと移動して観戦する事に。有名な人の試合では無いのであろう、観客はまばらで最前列に座る事ができた。隣に座るティルフィングを見ると少しソワソワしている気がする。

 

 

「それでは試合を開始します,両者前へ」

 

 

 

今日はベルメリオ村のマスターとアルファマ村のマスターの試合らしい

と、言っても戦うのはマスターでは無くキル姫なのだが。

 

 

しばらく見ていると東と西の出入り口から挑戦者が出場してきていた。観客の歓声に応え手を振りながら線の上へと歩いてゆき睨み合っていた。

 

 

「行け!アスカロン!」

 

「はい!一生懸命頑張りますっ!」

 

 

「頼むぞムラマサ!」

 

「拙者に任せて下さい!」

 

 

そして試合開始の合図と共に二人同時に動いた。

 

 

「はぁ!」

 

「やぁー!」

 

 

刀と剣の鍔迫り合い,力は互角と悟ったのか両者距離をとり構え直す。

 

 

「行きます!これが私の力!ブレイヴトゥキル!」

 

 

「ムラマサ、参ります!神速剣針乱舞!」

 

 

技と技がぶつかり土煙が上がる。なかなか見応えがある戦いである。

 

 

「ティルフィングはどっちが勝つと思う?」

 

「えっ、あっ、、、どっちでしょうか?」

 

「ティルフィング?」

 

「な、なんでもありません」

 

 

試合に見惚れていたのであろうか?返事が何処か上の空だ。切り替えてコロシアムを見ていると徐々に土煙が収まってゆき立っている一人の姫のシルエットが。

 

 

「よしっお役に立てたかな?」

 

 

勝者はアスカロンだった。

 

 

「良くやったアスカロン」

 

「はいっ!」

 

 

「ムラマサっ、大丈夫か?」

 

「しゅ…主君…拙者…」

 

「良いんだ、お前は頑張った、家に帰って羊羹でも食べようぜ」

 

 

勝負はアルファマ村のマスターの勝ちの様だ。

 

 

「ティルフィング、なんでアスカロンが勝ったと思う?」

 

「アスカロンのスキルの方がムラマサより一撃多いんです、それが決め手になったのかと思います。それとアスカロンの方がやや戦闘力が高かったですね」

 

 

流石解説のティルフィングさん,ついでに疑問を投げかける事に。

 

 

「ティルフィングはコロシアムに出てみたいと思う?」

 

「私は………」

 

 

「清掃員の人は片付けに来てくださーい」

 

 

ティルフィングの言葉を遮る係員の声、今度聞くとしよう。

 

 

「あっはーい、行こうか、ティルフィング」

 

「………はい」

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

 

 

コロシアムの清掃を終え夕日が沈む空に向かい足を進めてゆく。

 

 

「今日も疲れたね」

 

「そうですね、今夜は何か予定はありますか?」

 

「いや、特には」

 

「少し夜の街に行きませんか?」

 

‘構わないよ、じゃあご飯もそこで食べよっか」

 

「ありがとうございます」

 

 

ティルフィングからのお誘い、明日はお休みだから浮かれているのだろうか?そんなこんなで宿へとたどり着きロビーで分かれる事に。

 

 

「ではマスター、後でロビーで待ってますね」

 

「あいよ」

 

 

一様ティルフィングと部屋は分けてある、特に意味は無いけどただなんとなく。シャワーを浴びてちょっとお洒落な服を着てロビーのソファーに座って待っている事に。ティルフィングはまだだろうか?

 

 

「マスター、お待たせしました」

 

 

現れたティルフィングはいつもと同じ服を着ていた。

 

 

「いつも同じ服だね」

 

「この服が一番落ち着くんです」

 

 

ついでに帯刀もしていた。夜の街ってそんなに怖い所なのだろうか?田舎育ちの僕には未知の世界でしか無い。

 

 

因みに今僕たちがいるのは昔は人民区サフランと呼ばれていた場所だ。今の地名はわからないが昔と変わらず大陸の台所と呼ばれ活気溢れる場所である。

 

 

「ティルフィングは行きたい所があるの?」

 

「そうですね、キル姫の間で噂になっていた店に行ってみたいんです」

 

「へぇ、どんなお店なの?」

 

「噂でしか聞いた事無いのですが、とにかく美味しいみたいです」

 

「ならそこに行ってみようか」

 

「はい、ついて来てくださいね」

 

 

ティルフィングに案内されて街を歩いて行く。

 

 

コレゾトゥルース!

 

ワタシニデアエタコトヲカンシャスルノネ!

 

ネェネェシッテル?コンナフタゴシッテル?

 

 

夜の街は昼間とは違った賑やかさがある。

 

 

「確かこの辺りだったはずですが…あっありました」

 

 

ティルフィングに連れられてきた店は街外れにあるこじんまりとした店だった。

 

 

「ちわーす」

 

「いらっしゃい」

 

 

鉄製の無骨なドアを開けると薄暗い室内にお洒落なカウンター、髭を蓄えたダンディーな店員がコップを磨いていた。

 

 

うーん、多分この店はバーと呼ばれる店では無いだろうか?お洒落な店内だべさ。

 

 

「マスター、こちらに」

 

 

動揺している僕カウンターの角の席に案内してくれたティルフィング。

 

 

「今日はどうしましょう?」

 

「うーん、とりあえず生で、ティルフィングは?」

 

「私はブラッディメアリーをお願いします」

 

 

はい,出ましたお洒落なお酒。

 

 

「ティルフィングはこういうお店はよく来るの?」

 

「いえ、初めてです」

 

それにしては慣れている。あれか?初めてなのに感じちゃう〜みたいな?違うか。

 

 

「お待たせしました」

 

 

お酒がテーブルの上へと置かれた、それを手に取り乾杯。

 

 

「ティルフィングはお酒好きなの?」

 

「嗜む程度ですよ、シンガポールスリングをお願いします」

 

 

出てきたお酒を一口で飲み干し次のお酒を頼んである。嗜むとはなんなのか?

 

 

「マスター次の任務はなんでしょうかね?」

 

「さぁー?たまには遠くにも行ってみたいよね」

 

「マスターとなら何処でも良いですよ、セブンスヘブンをお願いします」

 

 

嬉しい事を言ってくれる、お酒の力なのだろうか?

 

 

「でもワスレナとか冥花繁殖帯は嫌だな、化物とかいそうだし」

 

「良いじゃ無いですか、私が全ての命を奪ってあげますよ」

 

 

物騒な事を言う,なるべく平和に行こう,異族も話し合えばなんとかなるかも知れない。

 

 

「私もたまには戦いたいんです,コロシアムに出たいとは言いませんが,ミリオン・ダラー一つ」

 

「やはりキル姫は戦いたいんだね」

 

「マスターもそうは思いませんか?」

 

「僕は平和主義なんだよね」

 

「マスターはそうかも知れませんが私は溜まってく一方なんです,発散させる相手が欲しいんです!」

 

 

この言葉だけをを誰かに聞かれたらきっと淫乱ピンクとか思われるのだろう。

 

 

「それにこの剣にも血を吸わせてあげたいんです」

 

 

帯刀している剣を見せてくれた。たしか黒奏剣骸斬だったっけな?確かに血を吸いそうな色をしている。

 

 

ティルフィングの愚痴はまだまだ続く。

 

 

「それとお洒落もしてみたいです、普通の女の子みたいに着飾って街で買い物をして恋人をつくりたいんです!マスター次の店行きましょう!」

 

「は、はいっ、、」

 

 

「私は強欲、今夜はとことん付き合ってもらいますよ」

 

 

邪悪な笑みで僕の手を引っ張るティルフィング,すいません,もう眠たいです。お布団に入りたいです。

 

 

その日宿に帰ったのは朝日が登り始める頃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。