マスター?早く私を探してくださいね?
桃色の髪の少女がこっちを見ながら微笑んでいる、それを追いかけてもその少女は微笑みながら遠くへ行ってしまった。
ティル!待って!ティル!ティルーーー!!
はっ!!しまった!
寝てしまっていたらしい,そりゃ夢の中で催促されるよ。
変な体制で寝てしまったせいか痺れる足を引きずってベランダへ。
煙草を吸ってからもう一度集中しよう、秋風に吹かれながら煙草に火をつけた。
何も考えずにただ煙を吸って吐き出す、だんだんと頭が覚醒してきた。
よし,やろう
部屋の真ん中で胡座を組んで集中する,ティルのキラーズと僕のバイブスの繋がりを意識する。
……………………………………感じる,ユグドラシルの樹の側,古ぼけた研究所の地下室,そこに居る,早く会いに行こう。急いで服を着替えて研究所へ
…………………………………………………………………………
以前黒いティルフィングとの決戦があった場所にやってきた,あの時のまま瓦礫となった建物がそのまま残っていた。
記憶を思い出しながら進んで行く。確かこの辺りだった気がする…あったこの穴だ,この穴の下に研究所があるはずだ。
瓦礫を退けながら穴まで進んでゆく、手で揺らして使えるか確認して梯子を降りて少しジメジメした地下道を進んでゆく,やはり誰かが使っているのか歩くのに苦労はしなかった。
辺りを警戒しながら進むと広い場所に出た、こんな所だったっけ?
以前より機械が立ち並び不気味な雰囲気を出している、やはり誰かが使っているみたいだ。
注意深く見渡してみても素人に分かるような物はなかったが次の部屋に行く扉を見つけることができた。
よし,行ってみよう
この先に通す訳にはいきません,早く引き返して下さい
扉に手を掛けた時,誰かに話しかけられた、振り返ると桃色の髪の毛で黒い鎧を纏った少女が一人。ずっと会いたかった人,ティルだ。
いや,通りたいんじゃない,君に会いにきたんだ
久しぶりの再会に思わず口角が上がる。
何を言っているのですか、私は貴方を知りませんよ
そんな僕とは違いティルは素っ気なかった。
僕もそうだったよ,でも思い出してここに来た,帰ろっか,ティル
何をズケズケと…これ以上口を開くなら斬り捨てます
ティルか僕に向かい剣を構えた。
懐かしいね,初めて会った時もこんな対応だったよね、剣は向けられなかったけど
同じくミスリルソードを構える。
グリード,何をしておる,そんな人間一人に
すぐ方をつけます,さようなら,哀れな人間
ティルが一瞬で間合いを詰めてくる。
そのパターンはお見通しだよ
後退し鍔迫り合う。
ほぉ、少しはやるみたいですね
ティルには負けるよ
鍔迫り合いながら睨み合う。
その名前で呼ばないで下さい!
そう言うと力ずくで僕の剣を弾き飛ばした。
しまっ!
慌てて後退しようとしたが間に合わなかった。
さよなら
ガバッ!!
ガラ空きの鳩尾にティルフィングの拳が叩き込まれた。
グゥゥっ…
殴られた衝撃で身体が少し浮いた後に激しい痛みに襲われ蹲ってしまった。
そこに這いつくばってなさい,哀れな人間よ、行きましょうラース
止めは刺さぬのか?
こんな人間の血なんてこの骸斬に吸わせたくありませんから
蹲る僕に背を向け扉の向こうに行く二人。
まっ待て!
なんとか声を絞り出すもバタンと扉が閉まる音が響く。
ティル…フィング…
追いかけようとミスリルソードを支えに立ち上がろうとするが崩れ落ちてしまう。
ゲホッ!ゲホッ!…はぁ、、、
仰向けに転がり直し煙草に火をつけため息をついた。
……………とりあえず居場所は分かった,後は思い出させないと,そのためには一発頭叩いてやるか。
あーいってぇ…
なんとか立ち上がり来た道を戻ってゆく。強くならないと,でもラースとか呼んでいたから他のブラックキラーズもみんなあそこに居るのだろう,我流で勝てる程甘い相手では無いのは分かっている,誰が稽古をつけてくれる人は………居た,もう一人のティルフィング,彼女に頼んでみるか、
身体を引きずりながら家へ向かう,明日千年王国に行こう。
痛みを堪えながら梯子を登り剣を杖代わりに家まで歩いて行く。
あーー疲れた…
なんとか玄関を開けてベットに転がる。
そうだ,全部思い出した,僕はティルのマスターだ,それがなんでこんな事になっているんだ?
僕が記憶を消された様にティル達も記憶を消されているのか?じゃなきゃ研究所に居る訳がない,一体誰が?それにこの街でもキル姫を一人も見ていない,それにも関係があるのか?それは何のために?
いてて…
まだ痛む鳩尾をさすりそのまま眠ってしまった、考えても答えは見つからないまま。