異世界ハメ撮りAV監督 ~妊娠確実!? 並行世界で母娘に種付け!~ 作:宮鞍ハルト
……時間は、数日ほどさかのぼる。
その日、男は安い居酒屋にて酔い潰れ、吐き気をこらえながらうなだれていた。
今の彼に職はなく、お金に余裕はなかった。だが、それでも酒でも飲まないと、とてもやっていられない気分だったのだ。
一応明言しておこう。彼は(今のところ)アルコール中毒者ではないし、普段はむしろ酒を飲まない側の人種である。
しかし、ここ最近は
……ただ、今回男が飲んだくれている原因に、
「チクショウ、な~にが異世界だ。とんだディストピアじゃないか……!」
男は周囲の人目をはばからず、盛大にひとりごちた。
――異世界転生。あるいは、異世界転移。
それは、ネット小説やアニメなどの一部界隈において、根強い人気を誇るジャンルである。
さて、その手の物語が始まるとき、大抵の場合「なんのとりえもない主人公が剣と魔法のファンタジー世界に迷い込む(あるいは生まれ変わる)」といった展開となるのが一般的だ。
そして、偶然手に入れた能力や道具、あるいは元の世界で
転生や転移といった要素を抜きにしても、見知らぬ世界への
誰でも一度は――少年の心を持つ者なら特に、憧れても不思議ではないだろう。
……さて、男が落ち込んでいる理由は、この異世界転移が関わってくる。
何を隠そうこの男、何の因果か分からないが、つい先ほど異世界転移を果たし、そのまま帰還してきたところなのだ。
正直な話、きっかけは本人にも分からない。
それこそ彼としては、『夢の世界だと思って散歩していたら、実は現実の別世界だった』としか言い表せない。
最初のほうは「これが
ただし、異世界転移と言ったところで、彼が旅行できる異世界は一つだけだった。
しかも、そこは剣と魔法のファンタジー世界ではなかった。
あえてジャンル分けするなら『近未来のSF世界』と言うべきだろうか?
はたまた『未来の世界』、あるいは『並行世界』と呼ぶべきかもしれない――実際、転移した先の国も『日本』だったし、男が確認できた限りだと言語も同じで、おそらく世界地図の形もほぼ一緒だったはず。
ただ、こちらの世界と大きな違いを挙げるとするなら……その世界は、限りなくディストピアだったのである。
「町を出歩くにも身分証明が必要って……ディストピア過ぎて、何もできねえ……」
それが本当なら、彼が愚痴るのも無理からぬ話だった。
――そう。
世界大戦の結果、ウイルス兵器の影響により出生率が――特に男性人口が極端に下がり、精子売買や妊娠出産の権利すら国が管理してる末期の社会。
しかも、生きている人間は生殖能力が弱いクローンだとか
転移した先は仮にも日本なのだから、犯罪さえ犯さなければそこそこの自由はちゃんとあるのだろうが……現代日本と同じく、逆に秩序から外れた存在相手には、とことん手厳しい。
当然ながら、異世界から来た男には、その世界における戸籍や身分証なんてあるはずもなく、そのせいでコンビニに立ち寄っただけで密入国者扱いされてしまった(実際、まごうことなき密入国者なのだが)。
そもそも、買い物をしようと思っただけでも、あっちは電子マネーが主流らしく、こちらの世界で言うところのマイナンバーカードがクレジットカードの役割も果たしていたようだ。
つまり、異世界出身の彼に買い物は当然不可能(仮に通貨が紙幣や硬貨だったとしても、異世界で買い物できる可能性は低いと思っていたが……使われている文字などは同じだったので、ワンチャンあると思ったのだ)。
しかも売っている商品はこちらの世界と大きな違いはなく(強いて言えば女性向けの商品が多かったぐらいだろうか)、異世界なのに全然ワクワクできない。
さらに、自動決済だと思って油断していた男の前に、スタッフルームから店員が登場!
提示を求められた身分証を持っていなかった男は当然のごとく不審がられ(ダメもとで免許証を見せてみたが、事態は余計に悪化した)、そのまま婦警さんたちに任意同行! からの投獄コンボ!!
そして――ここからちょっと予想外な展開だったのだが――密入国者扱いされていたと思ったら、なぜか政治家っぽい
そこでの会話を横から聞いて、どうやらその異世界では『男が貴重な存在』であるらしいと彼は把握するのだが……その後彼を待っていた展開は、薬漬けからの種馬性奴隷ルートだった。
男は危うく、
彼が思うに、あのお世辞にも美人とは言えない
世知辛すぎる話だ。
もしこんな初手売国の異世界小説を書いたなら、読者総スカンからの大ブーイングは
というわけで、人身売買の危機を感じた彼は、なんとか再度転移を発動し、元の世界へと戻ってきたわけだ。
異世界なら多少のカルチャーショックはあっても不思議ではないし覚悟はしていたのだが……不細工な婆に童貞を奪われ、挙句の果てオナペットにされる結末はゴメンだった。
ちなみに、彼の勘は正しかった。
もし、あの土壇場において能力を使いこなせなければ、今頃彼は
そしてそのまま、政治家の婆相手に腰を振りながら、悲惨な生涯を終えることになったはずである。
これほど夢も希望もない異世界転移は、逆に珍しいかもしれない。
そしてこれは余談だが……どうしてよりにもよってあの婆だったのだろう?
それまで見かけた女性たちは、秘書も事務員も婦警もコンビニ店員も、誰も彼もが美人ぞろいだったのに(
「クソッ、クソッ。それで、何の成果も得られませんでした~ってか? こんなの有り得ないだろ、異世界転移だぞ、ふざけんな」
期待し過ぎないよう気を付けていたつもりだった。でも、男は異世界での人生逆転に、ほんのちょっとだけ期待していた。
チート能力で冒険者になって「勝ちまくり、モテまくり!」な人生に憧れていた。
それが目の前で潰れてしまっては、ショックもひとしおであった。
だが、転移以外にチート能力や特別な才能はないし、どこぞの女神様からも追加で与えられたなんて事実は無い。
第一、能力があったところで、
また、行ける先が魔法のなさそうな世界である以上、転移も大っぴらに使うのは危険だ。なお、転移能力を利用した盗みなどの悪用は、初めから考えてもいなかった。
異世界交易も――中世ヨーロッパ風の世界なら、塩とか香辛料、貴金属やガラス製品の転売でぼろもうけなんかできるかもしれないが――この二つの世界間では、それすらもできなさそうだ。
あるいは、発展途上国まで出向けば話は別かもしれないが……男にそんなバイタリティが溢れていたならば、現代日本でも十分に成功できただろう。
男は自分のことをかなり低く見積もっていたが、悲しいことにそれは
仮にここで何か素晴らしいアイデアを思い付いたり、機転を利かせたりできる人間なら……さっさと起業でもしたほうが、成功する確率も高かったはず。
すなわち……『詰み』である。
自分にできることはもう、何もない――男はそう思った。
「――でさー、そのままヤリ部屋にお持ち帰りしたわけよ」
不意に、少し離れた席の会話が聞こえてきた。
「ヤリ部屋って、サークルの部室じゃん。私物化してんじゃねーよ」
ゲラゲラと騒がしい笑い声。
喋っているのはチャラい恰好をした男二人。会話の内容からして、おそらく大学生のようだ。
酔っているのか、迷惑なほど大声で笑っている大学生たち。
まあ、周囲に客は彼らと少し離れたところに座っている男しかいなかったので、まあ許容範囲だろう。それより、男にとっては話の内容のほうが重要だった。
「何言ってんだ、四人で使ったから私物化じゃねーし。それにヤリサーの部屋なんて、そのためにあるんだぜ?」
「なんだ4Pか。んでんで? どうだった?」
「もちろん、そのまま酒飲ませて即ハメ、二人ともゴムなしで中出し!」
その武勇伝に、向かいのテーブルで聞いていた男は素直に感心した。
男はどちらかと言えば、いわゆる『陰キャ』というやつで、年齢イコール彼女いない歴。とことん女性と縁のないエリート童貞だったのだ。
「おまっ、即パコ過ぎ。ぜってークスリ使ったろ」
「使ったにきまってるだろ。あれ使えばソッコーで濡れて、マンコもクパクパ発情状態だかんな」
陽気な調子で続ける大学生たち。
……何やら犯罪まがいのナンパだったようだが、会話の内容が真実である確証がない以上、男がどうこうできる問題ではない。本当なら警察に通報すべき案件なのだろうが、悲しいかな、彼が電話したところで、まとも取り合ってくれないだろう。
それに、得てして女の子とは、少しアウトローなオラオラ系が好きなものなのだ。
少なくとも、自分のようなつまらない人間の受けが悪い……それは彼が自身の人生経験から導き出した結論だった。
あの大学生のような……まあ、雰囲気イケメン(失礼だがイケメンには思えなかった。いわゆるフツメン)に抱かれたなら、彼女たちも本望だったに違いない。
「(しかし……
何一つ上手く行かない毎日。男は自分の人生を後悔していた。
本音を言えば、彼らのような好き勝手に生きられる人間に憧れを抱いていた。
「(なんか、俺の半生ってさ、真面目に生きてきたつもりだったが……つまらない人生だったな……)」
これでせめて安定した生活が手に入ったなら、青春を犠牲にした甲斐もあったってものだが……凡人が努力したところで、不景気や天災、疫病、世界情勢の波にはかなわないのだ(そもそも男が前の職場を失った理由は、親会社の倒産だった。なので、本当にどうしようもなかった)。
「(どうせまともな就職なんてできなかったんだ。彼らみたいに青春を
男は人生に疲れ切っており、その心は荒んでいた。
もし彼が今後、若者に人生のアドバイスするなら、「若いうちは遊んどけ」の一言に尽きるだろう……彼だってまだ年寄りってわけではないのだが。
「あ、そうだ。ハメ撮り映像見る?」
「マジで!? 見る見る!」
すると、スマホを取り出す大学生。
何やら操作をすると、そのスピーカーから女の子たちの艶やかな
『あんっ! あんっ、あんっ♡』
『ほら、カメラに向かって~?』
『いえーい♡』
パンッ、パンッと、スマホから女性の尻肉に腰を打ち付ける
『オラッ、イけッ! イけッ!!』
『ダメぇっ、なんかヘンなの! イっちゃう、イっちゃうぅ~――♡♡♡』
その声が聞こえた直後、ぷしゃぁぁぁぁと、何か液体がかかる音がスマホから発せられた。
「あっ潮吹いた。勢いスゲー」
「やっぱクリスマス前は
ん? 再生数? もしやネットに上がってるのか? 後で確認しておこう――男は目ざとくチェックした。
「動画アップしてんだっけ? どんくらい稼いでんのさ」
「裏サイトで無修正版DVDも売ってるからな。月三十万はこえてる」
「マジで? 三十万? いーなあー」
驚いた様子の相方――しかし、それ以上に驚いていたのは、遠くの席で盗み聞ぎしていた男のほうであった。
「(さんじゅうまんっ!? マジで!? 俺の給料より高いじゃねーか!? ハメ撮りって、そんなに稼げるの!?)」
まさに、頭をガツンと殴られたような衝撃だった。
なお、すでにクビになった会社の給与だが。本当に、なんのために働いていたのか分からなくなってくる。
しかも税金とか年金とか天引きされる金額を考慮すれば、手取りはむしろハメ撮りDVDを販売しているこの大学生のほうが高いだろう。
「いや、結構大変なんだぞ? 常に女を四・五人ローテして、時々新しいのも入れなきゃいけないし……ま、飽きたらそこらのおっさんに高値で売るんだけどな」
「ヒュー、さっすがヤリサーのエース、きっちく~!」
大学生たちは割と最低なことを言いながらゲラゲラ笑っているが、男はそれどころではない。
彼はさっそく自分のスマホを取り出すと、『個人』『AV』『販売』で検索を掛けた。
「(なかなか黒字にならない……そりゃそうか。そんな簡単に稼げるわけないよな……)」
ざっと見た感じ、それなりに大変そうというのが正直な感想だった。
個人撮影のAV配信者なんて、言ってしまえばエロ特化の
よっぽど運がいいか、あるいは誰もやっていない企画でもやらない限り――仮にやったとしても、一定の顧客を得るまでが大変である。
さらに普通のユーチューバーと違って、機材の他にも女優の出演料などが必要だし、風俗法なる制限もあった。
「(結構めんどくさいな……いや、待てよ? モザイク関係の法律は結局、ヤクザとか天下りの利権にすぎないのか……)」
誰かの私腹を肥やすために、動画編集の技術を身に着けるぐらいなら……。
「(……要らないな)」
それどころか、裏DVDでボロ儲けして、ヤクザや警察に目を付けられても――いざとなったら異世界に逃亡すれば、奴らは絶対に追ってこれない。
いっそのこと堂々と無修正を販売して……これでアドバンテージが一つ。
「(転移能力で旅行系ユーチューバーをやるよりは勝算がありそうだ。なにより、あちらは一応、『男が貴重な世界』だったはず)」
たとえ住むのは遠慮したいディストピアであっても……むしろディストピアだからこそ、子種提供のハメ撮りが、逆に喜ばれるんじゃないか?
女の子を泣かせる趣味はない男にとって、それは最も重要な点だ。
「せっかく美少女ばかりの異世界なんだ。これを利用しない手はないよな!」
興奮のあまり、思わず独り言が声に出る。
すぐさま口を押える男。しかし、幸運にも周囲の誰にも聞かれなかったようだ。
それはともかく、少なくとも、女優候補に困ることは無いと思う……アドバンテージが二つ。
頭の中のぼんやりとした
確かに、戸籍がない以上、あっちの世界に定着してハーレムを作るなんて展開は夢のまた夢。さらに自分が売り飛ばされそうになった経験を鑑みれば、下手すると戸籍があっても男は家畜扱いされている可能性すらある。
だが、転移能力で全国を転々としつつ、ナンパしてハメ撮りするぐらいなら行ける気がする……そう、この
まあ確かに、異世界の女性とはいえ、ハメ撮り映像を勝手にネット上で流すことには抵抗があるが……異世界なのだから、言わなきゃ絶対にばれない。
異世界人だからこそ身バレの心配もないし、女優たちに実質的な被害はゼロ。
つまり、肖像権に配慮する必要がない。
すなわち、顔にモザイクを入れる手間も技術も必要ない……三つ目のアドバンテージ。
「(これって案外……いや、結構いけるんじゃないか……?)」
考えをまとめよう。
男が貴重なあっちの世界で女の子をナンパし、ハメ撮り映像を撮影。
そしてこっちの世界でそれを販売。
いざとなったら転移能力で逃げる。
――考えれば考えるほど、行けそうな気がしてきた。
人生に希望が湧いてくる。
何より、女性と縁がなかった今までとは違う、華やかな未来が見えていたのが大きかった。
この灰色だった人生。異世界転移で一念発起。
いや、むしろ一念勃起。
俺は変わる。真面目さだけが取り柄の、クズなんかじゃ終われない。
さっきのヤリサー大学生のように、女を食い物にして好き勝手に生きるんだ!
「(よし、決めた!!)」
そしてとうとう、男は決意した。
「俺は今日からAV監督――『異世界ハメ撮りAV監督』だ!」
それは、男の運命が大きく動いた瞬間であった。
「(……まあ、それに、女の子から本気で嫌がられるようだったら、やめればいいしな!)」
――すでに精神的な一線は超えてしまったにもかかわらず、男は変なところで良心的かつヘタレだった。
イラストも小説もまだまだ未熟。いろいろと参考にしたいので、評価や感想をお待ちしています。
また、挿絵の修正控えめ版や、進捗報告などはFANBOXでFANTIAでも閲覧できます。
こちらには、特別編(エクストラエピソード)ほか、おまけも投稿していく予定ですので、支援・応援していただけたら幸いです。
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それと、この小説はpixivのほうでも投稿しています。最新話はこちらで読めます。
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