ムニュリと押し当てられた豊かな胸が、アルゥの胸板の上で形を変える。ニコニコあどけない笑みを浮かべた美女がアルゥの視界でコテンと首を傾げる。
「あったまったのね?」
「おま、えっ………イルククゥ?」
「そうなのね。この姿ならお互い温めあえるのね………くしゅん」
確かに触れ合ってる部分は温かい。温かいが、イルククゥは全裸で、触れてない部分が夜風にさらされる。
「お、おい離れろ! 何考えてんだ馬鹿!?」
「誰が馬鹿なのね。実際触れ合ってる部分は温かくなってます。私が賢い証拠かしら」
ファァ〜とあくびしながら抱き着いてくるイルククゥ。見た目は人でも中身は龍だ。その力はかなり強く、アルゥとて人外の膂力を持つが無理に解けば怪我をさせてしまう。
「良い子は静かにねむるのよ。おやすみなさ〜い」
イルククゥはそのままスヤスヤ寝息を立てる。そっとどかそうと肩に手をかければシットリと吸い付くような、それでいてサラリと流れるきめ細かい肌の感触が手のひらに伝わる。
「──────」
50年以上生きて、まだまだ先も長く、女など二の次にしていたアルゥだが別段女に興味がないわけではない。むしろ普通にエロ本買うし自慰だってした事がある。
そんな思春期真っ只中の少年(50代)にこれはキツい。
バクバクと心臓が高鳴る。頬が熱くなり、更にはある部分に血が溜まっていき固くなる。そう、肉棒が。
ムラムラする。こんな美女が抱きつきながら無防備に眠っているのだ。男なら誰でもこうなる。
「お、おい。離れろ、まじで………」
イルククゥを傷つけぬ様に少しずつ少しずつ腕の輪から抜けていく。というか、さっさと抜きたい。
「むぅ〜、動くななの」
「っ!?」
と、抱き枕が動いた事で寝にくくなっていたイルククゥは抱きつきやすい腰に手を回して肌触りが気に入ったのか頬を腹にゴシゴシ擦り付けてくる。
「う、あ………ま、っぅ…………」
そして、その胸は布越しにアルゥの肉棒に押し付けられていた。
山に吹く風のような何処か清々しく、それでいて女特有の甘い匂いも混じったイルククゥの体臭に加え、物理的刺激。アルゥが抜け出そうとすればするほどイルククゥは強く抱きつき、抱きやすくする為体を動かす。
むにゅ、むにぃと柔らかな感触が肉棒を刺激し、ゾワゾワと背筋が震える。
「離れろ、この………!」
「んむ〜………はぷ!」
うまく力が入らず、イルククゥの顔をグイグイ手で押しているとイルククゥが指に噛み付いてきた。噛み付いた、と言っても寝ぼけているのか甘噛みだ。プニプニとした唇が指をはさみ、ぬるりと舌が指先を舐る。
「っ…………」
すぐに抜くべきなのに、唇の感触を、舌の感触を味わっていたいと僅かに考え、手が止まる。
ゴクリと喉を鳴らし、指をすこし奥に突っ込む。舌先にだけ触れていた指先が、グニュリとした舌を撫で、ヌルヌルと唾液にまみれていく。
「んぶ、むうぅ!」
と、異物感を嫌がりイルククゥがこれまで一番の身動ぎをする。当然それは肉棒を刺激する胸にも連動する。
ぐにゅ、むにぃ、むにゅう
柔らかな塊が肉棒を刺激する。アルゥは力の限りイルククゥを引き剥がした。危なかった、服越しじゃなければ果ててたかもしれない。
ムニャムニャ寝息を立てるイルククゥは空に手をユラユラ伸ばす。多分、自分を探しているのだろうと察したアルゥは滾りに滾った己の分身を見る。
「……………」
「ふああ、よく寝たのね………んみゅう、アルゥ温かいのね」
早朝、目を冷ましたイルククゥは己が抱きついている相手にスリスリと体を擦り付ける。人間の姿は本来の姿ではないから、違和感は多い。でもこうして彼の体温を感じれるのは、人間に変化しなければ出来なかったろう。そこだけは人間の姿に感謝。
「起きるのね。起〜き〜る〜の〜ね!」
「起きた、起きたよ」
ううん、と唸りながら起き上がるアルゥ。眠そうだ。きちんと眠れなかったのだろうか?
「気持ちの良い朝なのね。ご飯、ご飯を食べるのよ〜♪」
カクカク首を揺らしながら謎の歌を歌うイルククゥ。アルゥはそうだな、と欠伸をしながら言う。
イルククゥは龍の姿に戻り学院に向かう。アルゥは街まで向かうことにした。一々面倒だし、畑でも作ろうか。
イルククゥが魚を貰って帰ってきたのを見て、それと魚を養殖する池なんかも作るのもありかもしれないなんて考えた。
「今日はアルゥ、気が安定してるのね」
「異世界から迷い込んでくる来訪者に言わせる所の、賢者になったからな」
「? よく変わらないのね」
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