伊井野ミコを愛している。
人前どころか本人の前でも恥ずかしくて中々言えないけれど。
でも、確かにそう思っている。
そんなミコと文化祭のキャンプファイヤーから付き合い始めて。
そこからクリスマスまで、僕は悩んだ。
何も果たせていない僕が、あいつと付き合って良いのかと。
恩も返せていないのに、対等になれていないのに、本当に付き合って良いのかと。
まぁ、その悩みはクリスマスにその本人が解決してしまうのだけれど。
本当に情けない限りだけれど。
でも、それでいいんだってあいつは言った。
本当にやらっぱなしだし、勝てない。
でも、そんなあいつだから僕は好きになった。
これからも、傍にいたい。
すっかり強くなったあいつに、今更いらないかもしれないけど。
支えてやりたい。
そう思うのだ。
***
冬休み。
なんやかんやのクリスマスを超え、僕とミコは正しく恋人になった。
そして12月27日。
僕とミコは買い物デートに来ていた。
「着いたな」
「そうね」
今日の目標、それは……
「布団。買いに行くぞ」
「うん」
布団である。
なんでそんなものを買いに行くことになったのか。
それは1時間位まで前に遡る。
***
今日は元々、お家デートの予定だった。
年末だから動物園や水族館はやっていないし、その他のレジャーも大体は閉まっている。
それにミコが、
『優の料理を食べたいな』
と上目遣いで言われたからだ。
それで、かなり緊張した気持ちでミコの家を訪れた。
チャイムを鳴らす。
ピンポーン!
「はーーい」
家の中から声がした。
ドアが開いて出てきたミコは髪を後ろに結んでいて、服も部屋着なのだろうか?かなりゆったり目だ。
「いらっしゃい……」
「おう……。お邪魔します」
少し恥ずかしさそうにミコは言う言葉に従って、僕は中に入る。
……よく考えれば、いや、よく考えなくても付き合って2日で彼女の家に行くって飛ばしすぎじゃないか?
なんか、こう、色々と順序というものがある気がする。
順序。
前もなんかこんな話なかったっけ?
…………。
あっ、あれだ。
2学期始まってすぐにあったやつ。
神ップルの相談会だ。
その時に会長言ってたな。
『いや…恋人繋ぎ位なら初デートでもするだろう…。まだ神認定には早い…』
『いやまだだ!!ちゅーくらい3回目のデートでするだろう!!!』
『首筋にキスしています!!!』
『いや、これ位4回目のデートでする!!』
『じゃあ何回目のデートでヤるんですか!!』
『5回目だよ!!』
……既に順番を間違っている気がする。
既にキスしちゃってるし、その割に手をつなぐのは普通のやつで恋人つなぎはしてないし。
『大丈夫だ。まだ、修正が効く範囲だぞ』
という白兎の声が聞こえてくる。
まぁ、ABCで言ったらまだA。
ここから順序を正して、健全に付き合っていけば問題はない筈。
そもそも、ミコは風紀委員だ。
流石にそれ以上は卒業後という話になる筈!
……それはそれで生殺しっぽいけど!
でも、耐えられる!
「そうだ!大丈夫!」
「急にどうしたの?」
「あっ、いやなんでもない」
危ねえっ。
声に出ちゃった。
気を付けないと。
そんな風に考えているとあるドアの前に来た。
「で、ここが私の部屋」
「お、おう」
付き合ってる彼女の部屋。
うわーー、ドキドキする。
ミコの部屋。
多分、ファンシーな感じなんだろうなー。
そんな予測のもと、ドアを開いた先にあったのは…。
「えっ、書斎室?」
「確かに本ばかりだけど、仮にも彼女の部屋に対する感想がそれなの?」
いやいや。
一面本ばかりだし。
その本も法律関連のものが多い。
唯一の女の子っぽいのは大きめのくまのぬいぐるみぐらいだ。
「ていうか、これどこで寝てんの?布団?」
「違うわよ」
ミコはぬいぐるみの近くによると、そのぬいぐるみの腕辺りに背中を預けて、
「こういう感じに……」
「いやいやいや。おかしいだろ」
「何よ。これだと4時間位で起きれて、その分勉強出来るでしょ?」
「そこまでして勉強したくないというか、もっと寝ろよ!」
4時間って。
健康に必要な睡眠時間って6時間ぐらいじゃなかったか?
明らかに足りてないだろ!
「別にいいでしょ!今までこうしてきたんだし」
「いや、良くねぇよ」
ミコって、こんな生活をずっと続けてきたのか?
正しさの為に。
無理して。
だとしたら、僕はそれを止めさせる。
努力している姿は好きだけど、無理している姿は見たくない。
「俺はお前に無理して欲しくないんだよ」
「別に無理なんてしてないわよ」
「でも、寝る時は寝るべきだし、休む時は休むべきだろ。お前がショートスリパーだったとしても、きちんとした寝床で寝なきゃ疲れは取れないだろうし。それに…」
「それに?」
「お前がそんな生活してるって思うと、俺が不安で眠れなくなる。こっちの快適な睡眠の為にもちゃんと寝てくれ」
「………」
「………」
その後、5分ぐらい睨み合うことになったが、結局はミコの方が折れた。
因みに理由を訊くと、
「実際、ちゃんとした布団もあるに越したことはないだろうし、それに……」
「それに?」
「……なんでもない」
と肝心そうなところはぐらかされた。
まぁ、無理に問い詰める必要もない、か。
***
回想終了。
そんな訳で、僕とミコはショッピングモールに来ていた。
ミコは外着に着替えている。
「さて、どこら辺にあるかな?」
「ここにイ○ンってあるよ」
「それじゃあ、そっちに向かうか」
そうして、一緒に歩く。
……手、繋ぐべきかな?
付き合ってるし、外だし。
その位は許されるよな?
「!」
ミコはちょっと驚いた様子だったけど、特に何も言わない。
つまり、大丈夫ということか。
ハァー…、良かった。
ただ手を繋ぐだけでドギマギする。
ていうか、ミコの手柔らか。
手汗大丈夫かな?
なんていうか、いざ自分がその立場になると思っている以上にアレなんだな。
そんな風に考えている内に着いた。
そして、そこで手が離れる。
ちょっと名残惜しい。
「そう言えば、どういう布団買うか考えてないな」
「どうせなら、フカフカの布団が良いわ」
「じゃあ、この辺か?」
その後は色々と見ながら布団を選んだ。
流石に布団を持ち運びは出来ないので郵送という形で数日後に届くことになった。
「結構早めに決まってよかったな」
「うん」
さて、初期目標は達成した。
このままだと、ただ帰るだけだ。
………。
折角の初デートで布団を買っただけなのは問題だよな。
「……折角だから、色々と見て回るか」
「……門限はいつまでよ?」
「ああー…、特に決まってないしな。流石に朝まで帰ってこないとかだとアレだろうけど、多少なら遅れても問題ない、かな?」
「そうなの?それなら、ちょっと付き合ってもらおうかな」
「おう」
よし!
「それじゃあ、洋服が見たいな」
「いいぞ」
***
「色々と買ったわね」
「買いすぎだろとも思うけどな」
本当に沢山買った。
紙袋4つ分。
流石に一人で持ちきれないので二人で分担して持ってる。
僕は全部持つって言ったんだけど、
『アンタに全部持たせると完全に手が塞がっちゃうでしょ』
と、可愛いことを言うものだから、何も言えなくなった。
そして、今は手を繋いでいる。
ふと、横をちらっと見ると、四宮先輩が会長の手を引いているのが見えた。
「白銀会長と四宮先輩?デート中なのかな?」
「……知ってたのか?」
「クリスマスのあの様子を見て、分からない訳ないでしょ」
「それもそうか」
そりゃあ、気づくよな。
ミコもそんなに鈍い訳じゃないしな。
藤原先輩じゃあるまいし。
「あの二人、いつから好きになってたんだろう?」
「俺は分かんないな。一学期の頃は四宮先輩が怖かったし」
「何されたのよ?」
「ちょっと殺されかけただけ」
「大事件じゃない!」
それも過ぎた思い出。
ただ、ちょっと四宮先輩が恥じらう乙女だってこと知らなかっただけだ。
「ま、過ぎたことだし、今ではいい先輩だよ」
「それならいいけど。困ったことがあるならちゃんと言ってよね」
「お前もな」
お互い、強がるタイプだからそんなに上手くいかないだろうけど。
それでも、互いにそのことを諦めたりもしない。
それが僕たちだ。
***
「それじゃあ、料理するぞ」
「うん」
冷蔵庫の中身を見る。
見てみると一通り揃っている。
なんでも作れるけど……。
しかし、別に僕って普段から料理しないしな。
何を作るのが正解なんだ?
ミコだからそれなりに食べるだろうし。
………。
白兎なら……。
『カレーだろ。料理の腕はある程度誤魔化せるし、量も増やしやすいし、辛くも出来るぞ』
最後のはいらないけど。
でも、カレーが無難か。
そうして、カレーを作り始めた。
玉ねぎ、人参、じゃがいもを皮を剥いて切っていく。
切っているのだが、
「どうしたんだ?ミコ」
「眺めてる」
ミコの視線が凄い気になる。
でも、これって指摘しなきゃか?
よくよく考えると、この構図って意外とラブコメである展開じゃないか?
あれだよな。
これ、振り返って彼女の方見たら可愛い笑顔を向けてて、キャッ恥ずかし!ってなるやつだよな。
割りかしマイナーだけど。
………。
ちょっと見てみるか…。
たらーー
「ハッ!」
違った。
食いしん坊キャラがよだれを垂らしてるギャグ漫画の描写だった。
メジャーを通り越して、お約束レベルの奴だった。
色気もなにもねぇー…。
しかし、そんなにお腹空いてるのか。
カレー以外にも腹にたまるもの作らなきゃだな。
***
「随分と沢山作っったわね」
「そりゃ、お前がよだれ垂らしてたからな」
「!い、言わないでよ」
ミコが恥ずかしそうに目線を反らす。
女子的には、ちょっとアレではあるか。
こういう時はなんて言うのが正解なんだ?
「いただきます」
「いただきます」
食べ始めてみると、本当によく食べる。
食べている様子はさながらリスのようだ。
可愛いんだけど、色気的な可愛さというよりもマスコット的な可愛さって感じだ。
「何よ?私の顔に何かついてる?」
「いや、なんでもない」
やばっ。
僕も食べないとな。
………。
あれ?
「こんなに料理少なかったっけ?」
コホン
ミコが僅かに咳払いした。
まさか食ったんか。
あれだけの作ったのを、僕がちょっと呆けてた間に食べたんか。
「なぁ、せめて僕の分は残しておいてくれよ?」
「ちょっと、それどういう意味よ」
「いや、一杯食べているお前は好きだけど、俺だってお腹すいてるからな」
「!」
ミコは赤くなって、食べるペースがちょっと遅くなった。
何か変なこといったっけ?
「それでどうだ。味の方は」
「美味しいわよ」
良かった。
ミコって、健啖家だから基準が高く設定されてそうだからな。
会長や白兎みたいに毎日自分で料理を作ってる人達と違って、滅多に作らないからな。
チャーハンの時は張り合ったけど、根本的な料理の腕じゃ、僕はあの二人には勝てないだろうな。
「そう言えば、美青ちゃん居るじゃない?」
「ああ、白兎が好きな中等部の子だっけ?」
「そう。その子がね。鳴山のことで相談したいって言ってるの」
「相談?受ければいいんじゃないの?」
「なんか、私と優の二人に一緒にしたいんだって」
「ふ~~ん」
僕も一緒か…。
相談内容は、大体予想がつくけど。
でも、白兎はクリスマスの時、僕とミコが買い出しから帰ってきたときに藤原先輩の方を見ないようにしてた感じがあったし、何かあったような感じがあるんだよな。
具体的に何があったのかは分からないけど。
それに……、
「俺、鬼ヶ崎さんのことよく知らないんだよな」
友達の友達、今は彼女の友達か。
だから、お互いに話す場面はあまりない。
それに中等部と高等部。
そもそもで会える場面が少ない。
「良い子よ。私が美青ちゃんに会ったのも、元々は友達の問題をどうにかしたいっていうのが発端だったし」
「ああ、そう言えばその相談もされたっけ」
友達のいじめをどうにかしようとして。
自分もそのいじめを受けて。
それで、友達が自殺しそうになったことが原因で引きこもった。
確かに正義感が強い。
それに友達思いだ。
でも、それだけじゃ足りない。
力が及ばずに解決しきれなかったって意味じゃあ、僕と一緒だ。
でも、最後には自分の力で友達を説得して、今では二人で楽しそうに通ってる。
裏では、白兎が大分動いてたみたいだけど。
だけど、確かに成し遂げたのは事実だ。
「……凄い子だよな」
「うん。……正直、美青ちゃんの身に起こったことを知ると悔しい。私は分かる立場に居たはずなのに、気づけずに見過ごしちゃって。それで美青ちゃんもその友達も苦しんで。普段から風紀なんだ言っておいて、肝心な時に気づけないのが、何も出来ないのが、悔しい」
ミコの食べる手が止まる。
唇を噛み締めて。
本気で悔しそうで。
だから、自然と手が動いた。
「優?」
「確かに、解決そのものにはあまり手を貸せなかったかもしれない。でも、お前だって鬼ヶ崎さんの友人の為に色々と動いたんだろ。引きこもってるときも鬼ヶ崎さんの家に寄って心配してたんだろ。だったら、それで十分だ。そうして辛い時に思って、動いてくれるのが嬉しいんだ」
僕の時もそうだ。
ミコ自体が何か解決してくれたわけじゃないけど。
でも、ミコが居たから僕は今、こうして高等部に通って、信頼できる友人や先輩が出来た。
「だから、お前も凄いよ」
「うん……、うん!」
ミコはちょっと涙目になりながらも、笑った。
「さて、それじゃあ食べるぞ」
***
食べ終わった後、ミコの部屋で少しお腹を落ち着けていた。
もう夜も9時辺り。
流石に彼女の家でも出なきゃだろう。
そろそろ帰らないとな。
「しかし、完食か……。結構、量あった筈だけど」
「悪かったわね」
「いや、嬉しい。ここまで綺麗に食べられると作った甲斐があるよ」
「そ、そう?」
本当に可愛いなこいつ。
中等部の頃とかはそういう目線で見たことなかったけど。
でも、きっと本来のミコは普通に笑って、優しくて、真面目で、可愛い女の子なんだろうな。
「あっ、そういえば扱いに困ってるものがあるのよね」
「うん?なんだ?」
「これなんだけど……」
そうして、取り出したのは白兎がクリスマスプレゼントに持ってきたウイスキーボンボンだ。
「賞味期限が近いんだけど、どうしたらいいか分からなくて」
「ああー…」
仮にもクリスマスプレゼントだからな。
捨てるのも食べないのも失礼だろう。
「でも、それなら親御さんにでもあげたら……」
「パパもママもこの年末年始に帰ってこない」
「………」
そうなのか。
確かに忙しいとは聞いてたけど。
でも、年末年始も帰ってこれない位に忙しいのか。
寂しくならないのかとは聞けない。
だって、寂しくない訳がない。
ミコが努力している元々の理由は、両親が忙しいことにあるんだから。
でも、これは完全に人様の事情だ。
それに真っ当に職務を果たしているだけ。
僕がどうこう出来るようなことじゃない。
なんて言えばいいのか分からない。
「……そうか。だったら、いっそここで食べちまうか。残しておいてもアレだし、一応合法だし」
「……それもそうね」
ミコは若干不服そうに同意した。
一口食べてみる。
うっ、ちょっと苦いな。
チョコレートの苦味というより、ウイスキーの苦味なんだろうけど。
微妙に体が暖かくなっている気がする。
「どうだ、ミコ」
「う~~~ん。美味しい~よ」
「……お前酔ってるな?」
ミコの手元には既に2、3枚の紙が見える。
でも、まさかそれで酔ったんか。
こいつ、酒に弱いのかよ……。
いや、確かに弱そうなイメージはあるけどさ。
でも、このレベルかよ。
「酔ってないわよ。酔ってるって言ってるほうが酔ってるのよ」
「酔ってる人の典型だろそのセリフ」
ミコって、かなりテンプレに忠実な部分があるよな。
「だから酔って~ない~わ~よ」
「ちょちょ、その状態で近づいてくるな!」
ミコがすり寄ってくる。
イメージとして猫に近い。
けど、酔ってる中でその動きされると、思考がそっちに寄る!
「これ、美味しいわよ。モグモグ」
「おいおい、それ以上食うな!」
これ以上酔われたらどうなるか分からない。
ミコの
「それじゃあ、アンタが食べて?」
「あ、ああ分かった。だから、おmムグッ!」
キスされた。
ていうか、口移しかこれ?
ミコの舌からウイスキーボンボンが移される。
これ2回目のキスだよな?
ファーストじゃないだけまだましかもしれないけど、2回目でするキスじゃないだろ!
体を抱きしめられる。
うわー、ミコの体、柔らかいなーって、そんなこと言ってる場合か!
マジで戻ってこい、ミコの
「んー~、ぷふぁー。はぁはぁ、本当に駄目!」
「むぅ~~、ケチ」
「ケチじゃない!」
子どもっぽい感じに言う。
いや、可愛いけども!
でも、酒に流されるのは駄目だろ!
「いいじゃない。私、優の彼女よ?」
「彼女だからこそ、節度を保つ必要があるだろ。ていうか、いつものお前ならこんなことしないだろ……」
「………しいんだもん」
「は?なんて?」
「だって、寂しいんだもん」
ミコは僕の胸元に抱きついたまま、体を震わせていた。
胸の辺りに温かいものを感じた。
「パパもママも帰ってこないし、アンタだってお腹が落ち着いたら帰っちゃうでしょ?嫌だ。一人になりたくない」
「でも……」
「お願い」
ミコは顔を上げないまま、頼んできた。
さっきよりも抱きしめる力が強くなる。
……酔っ払いの言うことだ。
これが本音だなんていう保証はない。
でも、きっと今の言葉は本音だ。
正直、理性はかなりギリギリだけど。
でも、ほっとくわけにも、いかないだろ。
「ハァー…」
僕はため息を一つつくと、スマホで家族に『会長の家に泊まる』という連絡と会長に口裏合わせを頼む旨の連絡を送る。
会長はすぐに『任せろ』という返事がきた。
これなら、大丈夫だろう。
「よし。これで今日一日一緒に……」
「優。好き」
「ムグッ!ん!ん~~」
またも唇を奪われる。
ここで抵抗する選択肢も浮かんだけれど。
でも、僕も我慢の限界だ。
されるがままなのは、僕たちのあり方に反する。
やられたら、やり返す!
ネチャネチャ
いやらしい音がする。
舌と舌が絡み合う。
気持ちいい。
ミコへの愛おしさが込み上げてくる。
頭と腰に手を添える。
「む!むうう~」
「ぷっは。好きだ。ミコ、好きだ」
「私も」
温かい。
それがウイスキーボンボンによるものか、キスによるものか、はたまた愛情によるものかは分からないけど。
燃えるぐらいに温かい。
「ねぇ、優。このまま、シちゃおっか」
「お前本当にミコか?風紀が乱れるぞ」
「もう乱れに乱れにまくってるわよ。それに今は優に溺れていたいの」
「変な口説き文句を覚えやがって」
僕はミコの額に軽く唇を落とす。
***
互いに服を脱ぎ、下着姿になった。
ミコは白のフリルのついた下着姿だった。
「アンタ、ブリーフ派じゃなかったっけ?トランクスなんてヤリチンじゃない」
「ああ、新生徒会発足ぐらいにあったなそんな話」
あの時は、変な願掛けみたいにトランクスを買ったけど。
でも、今から僕はミコとセックスするんだ。
「パンツぐらいで人間性は決まらないし、それに…」
ミコの顔に手を添えて、
「お前限定だからな」
「別にかっこよくないわよ」
軽くキスをする。
そのまま、ミコのブラのホックを外そうとする。
「あ、あれ?これ、どうやって外せばいいんだ?」
「だっさ」
「仕方ないだろ!女性の下着なんて、見たことないんだから!」
「まぁ、慣れてるほうが嫌だけど」
そう言って、ミコは自分のブラを外す。
そこにあったのは、綺麗な形と結構大きな胸だった。
自然と胸に手が伸びる。
「ん」
ミコは軽く反応したが、何も言わない。
僕はゆっくりと胸を揉む。
なんだこれ!?
凄い柔らかい。
よく胸への表現にマシュマロだったりプリンだったりが比喩ででてくるけど。
まさか、その通りだったとは。
いや、むしろそれよりも柔らかいんじゃないか?
なんか感動する。
「ん、んん」
ミコが声を漏らす。
ゆっくりとミコの体を床に下ろす。
そのまま、先端の綺麗な桃色の部分に触れる。
「んん!」
ミコの反応が違う。
先端の部分はコリコリとしていて、胸の柔らかさに対してギャップが凄い。
摘んだり揉んだりする度にミコが反応する。
「ん、んん!んんん!」
ミコの可愛らしい声が漏れる。
先端の部分を口に含み、舌と転がす。
「ん、やっ、ダメ」
「なんで?」
「声、漏れちゃう」
「……もっと聴きたい!」
僕は乳首を吸い、もう片方の胸を手で揉んだり摘んだりする。
ミコは僕の肩を押そうとするが、その力は弱い。
「あっ、やっ、ダメ!ヒャッ!イッちゃう!」
「イカせたい」
「ヒャアアア!」
ミコは一度大きな声をあげたかと思うとビクビクとしている。
下の方を見ると、下着がグショグショに濡れている。
これが女性のイキなのか。
ミコは乱れている息を少し整えると、僕の方をジッと睨み、
「バカ!ダメって言ったじゃない!」
「うっ」
正直、ちょっと暴走してしまった。
「悪い。ちょっと調子に乗りすぎた」
「全く。これはお仕置きよ」
そういうとミコは僕のトランクスに手をかけるとそれを下ろした。
中から僕の息子がギンギンな状態で出てくる。
結構、恥ずかしい。
「お、思ってたよりも大きいわね」
「一体、どのくらいのサイズを想像してたんだよ?」
これでポッキー並のサイズだって言われたら、流石に泣くぞ?
「どんな感触なのかしら?」
「む!」
質問に答えることはなく、ミコは僕のモノを掴む。
モノは大きくなったままなんの刺激も与えていなかったからか、ミコの柔らかい手に掴まれただけで思わずイクかと思った。
「へ、へぇーー。硬いけど柔らかい。結構不思議な感じ」
「あっ、ちょっ…」
ミコが興味深そうに手でペタペタと触れる度に僕のモノは反応してしまう。
油断するとイッてしまいそうだ。
「触れる度にビクビク反応している。もしかして、気持ちいいの?」
「う、ああ、まぁ」
「へぇー!」
ミコは子どものような純粋な瞳で少し強めに触れて、そのまま上下にこすっていく。
「あっ、やっ、ちょっ…」
「可愛い」
「ぐぬぬ」
おかしい。
風紀委員のミコに弄ばれている。
しかし、そのギャップみたいなシチュエーションに僕はより反応してしまい、
「あっ、ああああ~」
ビュルっと、精液を放出してしまった。
「これが精子なのね」
「……随分と感動してるな」
「それはビデオとかで見ることとはあっても、じつぶつは……、って見てない!見てない!」
そう言って、両手をブンブンと振るが隠しきれていない。
この思春期風紀委員。
さては、押収したものを見てたりするな。
ヤレヤレ。
「ミコ」
「何yムグ!」
今度は左手をミコの頬に添えて、僕からキスをする。
舌と舌を絡めながらしかし、右手の方でショーツを脱がしにかかる。
「!」
ミコは咄嗟にショーツを下ろすのを止めようとするが、その前に僕がショーツを膝の辺りまで下ろして、そのまま、ミコの秘部に触れる。
そこは、単純な水というには粘り気があって、なんというか独特の感触があった。
「きゅ、急に何するのよ!?」
「さっきは随分とやられたから仕返しだ」
「それなら、私だってやられたんだからそれでおあいこよ」
互いに真っ裸で睨み合う構図は傍目から見たら随分とシュルーそうだなと後に振り返った時には思うが、その時の僕たちはいたって真剣だ。
しかし、お互いが対等に刺激するようなものって何かあったっけ?
あっ、
「それじゃあ、こうしよう」
***
「なんか恥ずかしいわね」
「今更って感じだけどな」
今の僕たちは、互いの性器に向かって顔を向けてミコが覆いかぶさっている状態だ。
いわゆる
「それじゃあ、するわよ」
「ああ」
互いに性器を舐める。
ミコのアソコ周りは毛があまり生えてなくてなんとなく場所はすぐに分かった。
そこを舐めるとすこししょっぱい味がした。
それとほぼ同じぐらいに上の部分が温かい感触に包まれてザラザラとしたような柔らかい感触が動く。
「グッ!負けるか!」
僕も負けじと舐め続ける。
「ムッ、ムッ!」
下の方からミコの声がする。
人体の神秘というか、舐めれば舐めるほど液が出てくる。
それと同時にミコも舐めてくる。
こうなったら、後は互いに意地の張り合いだ。
なんだかんだ、お互いに負けず嫌いなのだ。
その結果、
「あっ!」
と、ミコの方が先にイッた。
ミコはピクピクとしている。
だが、正直危なかった。
タッチの差みたいな位だった。
「ハァハァハァ…、俺の勝ちだな」
「むぅぅぅぅ」
ミコはゆっくりと体を起こすと膨れ顔の不満そうな顔をしていた。
「私ばっかりイカされてる気がする」
「そんなことないだろ。それに男には残弾数ってのがあるんだからあんまり無駄遣い出来ないんだよ」
「残弾数?」
「分からないか…」
まぁ、この辺は男独特の感覚だからな。
「それじゃあ、そろそろ本番する?」
「そうだな」
***
「ここだな」
「う、うん」
今、ミコを押し倒してブツの位置を調整した。
ここまで、なんだかとここまできちゃったけど。
いざ挿れるとなるとなんか緊張するな…。
「ねぇ、優。挿れる前に一言いい?」
「なんだよ?」
「愛してる」
それはあまりに綺麗な顔だった。
だから、僕はこう言って、挿れた。
「僕も愛してる」
中に挿れた瞬間、凄い締りを感じて一瞬で搾り取られてしまいそうな感覚に陥った。
これでも、まだ先の部分位なのだけれど。
「あっ、くっ」
ミコも若干苦しそうだ。
「ミコ、大丈夫か?」
「平気、よ。早く、挿れちゃい、なさいよ」
強がってそんなことを言った。
自分だって、辛いはずなのに。
僕はたまらず、ミコにキスをする。
ミコのそれに答えるように舌を絡ませる。
そして、ゆっくりと中に挿れていく。
「あっ、あっ、ああ」
ミコから声が漏れる。
そして、奥まではいりきった。
ミコの中は温かくてキツイのに気持ちいい。
「ハァハァ、大丈夫か?」
「ちょっと、このままで」
僕たちは唇を重ねる。
そして、唾液を交換し合う。
卑猥なリップ音が響く。
そのまま、キスを続けて少し経って。
「優。そろそろ…」
「ん。分かった」
僕はゆっくりと腰を動かす。
「うっ、あっ、あ!」
ミコが可愛らしい声で喘ぐ。
思わず抱きしめる。
温かい。
愛おしい。
少しずつ、動く早さが早まっていく。
想えば想うほど、欲してしまう。
「あん、あん、あん」
ミコのあげる声も大きくなる。
ズチャ、ズチャ、ズチャ
水音も増していく。
「優。優。優!」
「ミコ。ミコ。ミコ!」
互いに叫び声のように互いの名前を呼ぶ。
お互いに限界が近い。
「ミコ!一緒に!」
「うん!」
最後のスパートをかける。
「優!好き!愛してる!」
「ミコ!好きだ!愛してる!」
そして、
「ああん!」
ミコはイッた。
中が収縮していく。
僕はギリギリでミコの中からモノを抜き、そして吐き出した。
「このむっつり思春期風紀委員」
「うっさい、むっちりスケベ陰キャ」
***
事後談。
翌朝。
僕は目を覚ました。
「……動けない」
どうやら、ミコを腕枕して眠ったらしい。
あの後、一応軽く掃除をして、どうやらそこで力尽きたらしい。
らしい、というのもイマイチ記憶があやふやだからだ。
どうやら、僕も軽く酔っていたようだ。
因みにお互いに生まれたままの姿だ。
すぅー、すぅー、すぅー
ミコは寝ている。
心地よさそうだ。
………。
頬をつく。
柔らかい。
「ん、う~ん」
ヤバっ。
起こしたかな。
ミコの目が開く。
「あ、キャッ!」
「ゴフッ!」
顔を叩かれた。
「ちょっとアンタ!なにを………、~~~~~!」
ミコの顔が真っ赤になる。
そして、近くにあったブランケットで体を隠す。
昨日も昨日で赤かったような気がしたが、今はその比じゃない。
しかし、この様子だと確認しないといけないことがある。
「昨日のことどのくらい記憶に残ってる?」
「………全部残ってるわよ。ていうか、アンタも隠しなさいよ!」
「あっ」
そう言えば、だしたまんまだ。
近くにあった昨日着てたトランクスをはく。
しかし、ミコは酔った時の記憶が残るタイプなのか。
「取り敢えず、お前は酒を飲むのは禁止な」
「……そうね。今回で懲りたわ。本当に風紀委員としては恥ずべき行為だわ。酒の勢いで、だなんて」
正しくはウイスキーボンボンで、なんだけどな。
まぁ、そっちの方がアレさ加減がヤバいだけど。
これ、白兎に知られたら笑われるよな。
いや、むしろ、悲しまれるかもしれない。
「取り敢えず、これからはこういうことはしないからね!皆に言うのも禁止!」
「分かってるよ」
風紀委員としてのミコだ。
なんか懐かしい位だ。
しかし、ここから生殺し生活の始まりだなー。
「はぁーー」
「何よ」
「いや、体が痛くてな。やっぱり、布団は必要だろ」
「……そうね」
ミコは恥ずかしながらも頷く。
肩を回しながら、服を着ていく。
一通り服を着た後、僕は一旦ミコの部屋を出る。
ミコが着替えるからだ。
ふと、スマホの画面を開く。
『優。泊まるのは許すが、早めに帰ってこいよ』
滅多に送られてこない親からのメールだ。
心配かけたかたな?
会長にも、何かお礼しないとな。
その後、ちゃんとした服を着たミコと軽めの朝食食べて、僕は帰ることになった。
「それじゃあ、帰るからな」
「うん。……今回は迷惑かけたわね」
ミコは気まずそうな感じに目を反らす。
人のこと言えないけど。
気にすることないのに。
「俺はお前の恋人だからな。恋人のワガママのひとつやふたつは聞くさ」
ちょっとだけカッコつけながら。
「それに、お前が寂しいときには傍にいる」
そうして抱きしめる。
………。
これでいいのか?
正しい対応なのか、イマイチ判断がつかないけど。
「……バカ。無駄にカッコつけなんだから」
「そりゃ、悪かったな」
言葉に棘はない。
多少の悪態は親しみの証。
そんな風に思えた。
「それじゃあ、行くわ」
「うん。じゃあ、新学期に」
「ああ」
玄関を開ける。
「今度は酔った振りなんてしないでヤりたいな」
「ちょっ!!何言ってるのよバカ~~!」
らしくもない一言を言って、僕は今日も伊井野ミコを愛する。
石ミコっていいよね。