※この作品はR-18です。

ハーレム王サイト   作:ライオン@5

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エロは少な目です


『香水』は決意する

モンモンとの逢引から数日、その間にも俺は色んな出来事を経験した。

 

例えば、モンモンとセックスする前に汗を流す為、マルトーさんから使わなくなった大鍋を貰って五右衛門風呂を作ったり。

例えば、ひとっ風呂浴びた後、夜食のローストチキン(シエスタに作って貰った)を食べてたら、物欲しそうにしてる青いドラゴンやキュルケの使い魔のサラマンダーに遭遇したり。

例えば、気まぐれでローストチキンを上げたら、そのドラゴン達と仲良くなったり。

 

例えば……うん、仲良くなったサラマンダーに案内されるまま部屋に入ったら魅力的な女性……キュルケに誘われたり。

いや、そこまでは別にいいんだよ?こんなこというのもあれだけど、キュルケが魅力的なのは確かだけど、モンモンのことを思ったら流石に手を出しづらかったというか……そのまま回れ右しようとしたら組み伏せられたのが、ちょっと怖かったというか……。

そのまま逆レイプされると思った瞬間、キュルケの男友達が部屋の中に突撃して、その度に追い出されてを繰り返して……騒ぎに気が付いたルイズがキュルケの部屋に突撃して俺のことを助けてくれた。

あの時は本気でルイズのことが女神に見えたね。でも問題はその後だ。

 

ルイズの部屋に連れ戻された俺は床に正座させられた後、ヴァリエール家とツェルプストー家の長年に渡る因縁を朝まで聞かされる羽目になったのだ。

おまけ付きに俺が眠る度にぶっとい鞭で叩かれ、眠ることすらできないという始末。

この世界に来て大概の理不尽は経験したつもりだったが、あれほどの理不尽は中々ない。

 

 

 

「じゅるっ♥じゅずず……ぢゅぶぅぅう♥ずぢゅ、ぢゅるるっ♥」

「──って感じかな?俺の近況は」

 

現在、俺はモンモランシーにフェラチオされていた。

ルイズが寝たのを確認し、当直の先生や他にも隣の部屋のキュルケに見つからないように慎重に部屋を出て、モンモランシーの部屋に向かうと、彼女は熱いキスで出迎えてくれた。

ほんの二日ほど部屋に来なかっただけなのにこれだ。もしも一週間、部屋に来なかったら逆レイプされてたかもしれな──いだだだっ!?

 

「も、モンモンさん!?流石にたまたまを握られたら俺も吃驚するといいますか……いや、そんなに痛くは無いし、寧ろ癖になりそうな感じもするんですけど……」

「……ぷはぁ♥」

 

俺の逸物から口を離し、大きく息を吸う。

自分で言うのもなんだが、俺のモノは相当デカイ。モンモランシーの小さな口では咥えるのが精一杯な筈なのに、俺を喜ばせる為だけに無理してまで喉奥まで逸物を咥えていたのだ。

こうなってしまうのは当たり前……なのだろう。

 

「……私から貴方の近況を聞きたいって言ったのに、他の女の名前が出て……勝手に妬いてるのは自分でも可笑しいとは思ってる。でもね?」

「二人っきりの時は……他の女のことを考えてほしくない。私だけを感じて、私だけを見て、私だけを楽しんで……私だけのサイトでいて♥」

 

……っ、なんだよこの可愛い生き物は!

やべぇ、まずはフェラで1発……とか思ってたのに今すぐモンモランシーに種付けしたい……!

モンモランシーの肉を一片残らず、味わいたくて仕方がない!

 

「モンモランシーっ!」

「……ストップ、子作りはフェラチオが終わってからよ。それとも何かしら?私のフェラじゃ満足できない?」

「いや、そういう訳じゃないけど……寧ろ、初めてなのにスッゴク上手いと思うけど」

「じゃあ決まりね。そこ、座ってちょうだい」

 

促されるままに俺はベッドの上に座る。

……我ながら情けない、とは思うがどうにも逆らえないんだよなぁ。ご主人様と奴隷……とまでは行かないけど、モンモン相手だとルイズ以上に逆らいづらい。

 

「すぅぅぅ……はむっ♥むじゅ、ぢゅるるっ♥れろっ、れろろぉおおぉぉぉっ♥ん、ふぅ♥ずずっ、ぶぼぼぼっ♥」

「ぐぅううう……っ!」

 

大きく深呼吸をすると同時にモンモンは一気に俺の逸物を咥えこむ。

喉奥にまで到達し、モンモンが呼吸をする度に喉は締り、まるで生きたオナホールのようだ。

 

「ずぼぼっ♥ぼしゅうぅ……ぬぢゅっ♥ちゅずず、ぶぢゅうぅううぅぅうぅぅぅ♥♥♥」

 

頬がこけるほどの吸引力で、わざと下品な音を立てながら逸物を口から引き抜くモンモランシー。

亀頭まで引き抜くと逸物に絡み付いた真っ赤な舌を巧みに動かし、ぐりぐりと亀頭を攻め立てながら我慢汁を舐め取る。

粗方の我慢汁を舐め終わると、今度は小さく深呼吸をして。

 

──ぐぶぶぶっ♥

 

また一気に喉奥まで肉棒を飲み込んだ。

異物を排出するためだろう、モンモランシーの喉は締め出すように肉棒を締めつけ、その度に喉奥へと押し込み、扱き抜く。

精液を一滴残らず、吸い取るような激しいバキュームフェラに俺は思わず、腰を浮かしてしまい、射精へと導かれる。

 

「射精すぞっ!!」

「んぐっ!?ふぅぅうう……っ♥」

 

──ぶびゅっ♥びゅるるっ、びゅぶぅううぅぅぅ♥どぴゅ、どぴゅうぅぅっ♥びゅぷっ、ぴゅっぷぅ♥ぶびゅうぅぅぅ♥

 

頭を押さえつけ、そのまま直接(・・)、胃に精液を叩き付ける。

暫く射精しても吐精は収まらず、彼女は仕方ないな、と言った感じでごくごくっと精液を飲み込みながら、ゆっくりと逸物を引き抜いた。

 

「ぷ、はぁぁああ……♥どんだけ射精すのよ、この馬鹿っ♥今日の夕飯は少な目にしたっていうのに……もうお腹いっぱいじゃない♥」

「そんだけモンモンの口が気持ち良かったんだよ……ぶっちゃけ最高だった」

「……っ、馬鹿♥後モンモン言うなぁ♥」

 

真っ赤になった顔を見られたくないのか、モンモランシーは俺の胸に顔を埋める。

それを優しく抱き止め、その熱を俺は全身で感じる。

……他の女に嫉妬して、自分の方が俺を喜ばせるって体で表現して、初めてなのに俺を気持ちよくさせる為に無理して……本当に可愛い奴だ。

 

「んっ……今、汚いから」

 

顎を軽く指でくいっと持ち上げ、唇を近づける。

だが、モンモンはというと逸物をしゃぶったばかりで気が引けたかキスを拒むが。

 

「構うもんかよ」

「んっ……ちゅ♥もう、サイトの馬鹿ぁ♥」

 

制止を振り切り、唇を重ねた。

まるで鳥の啄みのように軽いキスを何度も行い、愛を確かめ合う。

……本当はもう少し、雰囲気作りをしたかった所なんだが、生憎うちの愚息はそうでもないようだ。

 

「モンモランシー、そろそろ……」

「……もう♥ちょっとは雰囲気ってものを考えなさいよ♥」

 

そう言いつつ、モンモンの股間はびしょ濡れだ。

太腿は愛液と俺の汗が混じり合ってイヤらしい匂いがこびり付いている。

二、三回風呂に入ったところで匂いは落ちないだろう、そんな予感がひしひしと感じ、ルイズに変に勘ぐられたらどうしよう……そんなことが一瞬、頭に過る。

 

「……まっ、私も貴方のことを言えないけどね♥」

「モンモン?それは……?」

 

俺に抱きつきながら、器用に片手で机の引き出しから何かを取り出すモンモランシー。

それは水のような透明な液体が入った小瓶であり、片手で蓋を開けると一気に中身を飲み込んだ。

 

「これ?ただの精力剤よ、一瓶飲めば朝まで元気溌剌……って評判のね♥」

「せ、精力剤?もしかして俺とのセックス気持ちよくなかったか?だから、そういうのに頼って……」

「……言っとくけど、別にこれは媚薬効果とかないわ。純粋に精力を増やすだけの秘薬よ、これ」

 

あ、そういう訳じゃなかったのか。

てっきり俺の拙いセックスじゃ満足できないもんだと思ってたが……それなら構わない。

その期待に応える為に、モンモンのことを押し倒し、首筋にキスをする。

 

「んっ……♥」

「今日は寝かせないぞ、覚悟しとけよ?」

「今日は……じゃないでしょ?今日も、の間違いでしょ♥このスケベ♥」

 

……そうとも言う。

 

「ふふっ……♥今日こそは貴方のこと、満足させてみせるわ♥いっぱい、いっぱい……楽しみましょう♥」

 

妖艶に笑うモンモランシー。

その淫靡な姿はあの夜に見たキュルケと比べても劣らず、俺の劣情を駆り立てた。

 

 

 

side モンモランシー

 

──正直な話をしよう。

私は……彼のことが、サイトのことが好きだ。勿論、一生をサイトと過ごしたいか?と問われれば直ぐに首を縦に降ることはできないが、過ごしてもいいかもと思うくらいには好きで好きで堪らない。

別に彼とのセックスが気持ち良かったから、そう思ったのではなく、彼とギーシュの決闘をこの目で見て……力なき平民であるのに傲慢な貴族に立ち向かう勇敢さ、それを打ち破る強さに引かれた……のだと思う。

ただ、その気持ちに気が付いたのは彼とそういう関係になってからだし……結局のところはどうなんだろう?

私が淫乱な(ちょろい)だけなのか、それとも本当に彼のことを愛してしまったのか。

 

……何が言いたいかと言うと、私は彼のことが好きなんだし、他の女が彼に惹かれる理由も何となく想像がつく。

例えば、シエスタというメイドの子なら傲慢な貴族に打ち勝つヒーローに惚れるのは当たり前だろうし。

ツェルプストーなら基本的に彼女の《微熱》を刺激すれば、どんな男だろうと構わないのだろうけど……まるで物語の主人公のような彼の姿を見れば、《微熱》から《情熱》に変わるのは簡単に想像がつく。

ヴァリエールは……正直、分からない。サイトが決闘で死にかけた時の本気の涙からして惹かれているのは間違いないだろうけど、それが恋にまで到達しているのかは不明だ。

 

……長々、自分のことを語って何が言いたいかと言うと、私がサイトのことを愛しているのは確かだ。

だからこそ、サイトの一番であることを他の女に譲るつもりはないし、彼の一番である為ならどんな努力だって惜しまない。

違法ギリギリの精力剤を用意したのも、彼の性欲を受け止めるためだし、彼に気持ちよく膣内射精してもらう為にメイドと仲良くなって、おすすめの避妊薬を教えてもらったりした。

でも。

 

「ぐっ……!もう一発射精すぞ、モンモランシー!」

「ふぐぅぅううううぅぅっ♥♥♥」

 

──どびゅうぅっ♥びゅぷぅ、びゅるるっ♥ぶびゅっ♥ぶりゅりゅりゅっ♥

 

何十回目か分からない吐精が私の膣内に注がれる。

軽く二十回は射精しているというのに全く濃さも量も変わらない彼の射精により私の子宮はたぷたぷになり、少し動くだけで重い水が腹の中を動くのが感じる。

……流石にこんなに射精されたら、避妊薬も意味ないんじゃないかしら♥妊娠(それ)はそれで構わないけど……できれば彼の重荷になることは避けたい。

 

「はぁはぁ……もう一回頼めるか?」

「ち……ちょっと待って♥少しだけ……少しだけでいいから休憩させてぇ♥」

 

……彼以外と関係を持ったことないから、はっきりとは分からないが、サイトの精力は異常と言っても過言ではない。

ほぼ毎日、私と体を重ねているというのに精力が衰える気配は見せず、寧ろ日に日に精力は増していっている気もする。

精力剤を使っても、彼の性欲に並ぶことはできず、十数回に一度、休憩を挟まないといけないくらいだ。

 

「ふぅ……♥よしっ、休憩完了。さぁ続きをしましょ♥」

「本当にいいのか?辛いなら、もう少し休んだ方がいいんじゃ」

「辛くないわよ……寧ろ♥おまんこ寂しくて我慢できないくらい♥このままじゃサイトのこと、襲っちゃうかも……ね?」

「…………分かった」

 

少し考えたような表情を見せ、サイトは私のことを押し倒す。

……どうやら彼には私が既に限界であることがバレているようだ。三十回目辺りからおまんこの感覚が無くなってきて、今では痛いも気持ちいいも何にも感じられない。

でも。

 

「ん……♥あっ、あぁぁぁ……♥この体位好きっ♥サイトと繋がってるのが……はっきり分かって♥体温も、息遣いも、鼓動も……全部、私に伝わってくる♥」

「俺も好きだな、これ。モンモランシーのことが近くに感じられて……匂いも、汗も、全部感じられる」

「匂いとかいうなっ♥それじゃあ私が……その、臭いみたいじゃない♥」

「臭くなんかねぇよ、寧ろ俺のこの匂い大好きだ」

 

……っ♥こ……この男はホント♥

 

サイトは私のことを押し倒して直ぐに体位を変えた。繋がったままお互いに正面を向き合う不思議な体位。

お互いの鼓動が聞こえるくらい密着して、激しく動くのではなく、ゆっくりと……互いを貪りあう。

あと多分だけど、これは私の負担になりづらい体位……なのだろう。

その証拠……と言ってはなんだけど。

 

「あっ♥はひぃい♥くぅう……イクッ、イクぅぅう♥」

 

──私は今、スッゴク心が満たされている。

好きな人に愛されるということ、好きな人を愛するということ、お互いのことを求め合い、まるで一つになるように融け合う。

サイトが気持ちよさそうな顔を見る度に私の心は満たされ、絶頂する♥それはおまんこでイクのと同じくらい気持ちよくて……私は今、愛されているのだと実感できた♥

 

「好きっ♥好きぃ♥好きよ、愛してるっ♥大好きぃ♥」

「つぁ……!俺も……好きだ、もっと……モンモランシーのことを愛したいっ!好きになりたい!」

 

強く抱き締められながら私は思う。

セックスは心の交流だと何処かの誰かが言っていたが、その通りだと実感する。

サイトとセックスする度に脳が蕩ける、何も考えられなくなる、思考能力は低下し、ただ愛し愛されたくなる。

彼という器に私の全てを注ぎ、そして。

 

「射精……すぞ、モンモランシー!」

「射精して♥サイトの精子♥濃厚な子種っ♥一滴残らず、私に注いでぇ♥」

 

──びゅるっ♥びゅぶぶぶぶぅ♥ぶっぴゅ、ぶびゅうぅぅううぅうぅぅぅ♥どびゅ、どびゅっ♥ぶっ、ぶぶぶぶぅ♥ぶりゅうぅぅぅうぅぅぅ♥♥♥

 

「おぉぉおおおおおぉぉぉぉぉっ♥♥♥」

 

私という器に、またサイトの精子が注がれた。

 

 

 

窓から入る朝日で照らされた部屋で私達は微睡んでいた。

いつもなら使い魔としての仕事……洗濯がある為、この時間にはサイトは部屋を出ているのだが、今日は珍しく“まだ”部屋にいた。

それもその筈、今日は虚無の曜日であり、サイトもこの日は休日として使い魔としての仕事から解放されていた。

 

「ねぇ?今日、予定ある?ないなら何処かに出かけない?その……いい場所、知ってるんだけど」

 

我ながらなんて誘いだ。これではデートというより、夜の店の客引きのようだ。

サイトの腕に抱かれながら返事を待つ。

……少なくとも、私の知っている限りではサイトには休日を共に過ごすような友人関係も、私の他に恋人はいない。

だというのに、罰が悪そうな表情を見せながら彼は頭を下げ。

 

「あー……悪い、今日はルイズにブルドンネ街?に買い物に出かけるって言われててさ」

「……そ、なら仕方がないわね」

 

ぷいっ、と顔を背けて布団に潜り込む。

……そうだ、すっかりと忘れていたが、そもそもサイトはヴァリエールの使い魔なのだ。

私とご主人様の誘い、どちらを選ぶかと聞かれればご主人様と答えるに決まっている。

だから……嫉妬するなんて可笑しい筈、なのに。

 

「……もしかしてモンモン、嫉妬してる?」

「うっさい、私のことなんか気にせずご主人様のところにいけばいいじゃない」

 

……我ながら理不尽な嫉妬だ。

一人見知らぬ地に召喚されたサイトにとってヴァリエールはご主人様であり生命線だ。

もしも見捨てられれば、路頭に迷う。だからヴァリエールを優先するのは当然、なのに。

 

「へぇ~……またモンモンの可愛いところ見つけちまったな」

「ちょ……もう朝なのよ!?しかも貴方、今日はヴァリエールと買い物にって……んっ♥」

 

けらけらと笑いながらサイトは私に抱きつき、大きくなった股間のモノを私に押し付けてくる。

どうやら、すっかりと臨戦態勢は整っているようで一発抜かないと収まらないだろう。

 

「……仕方ないわね♥あと一回だけよ?それが終わったら……ヴァリエールの所に戻りなさい♥」

「ありがとう、モンモン愛してるっ!」

「だからモンモンはやめろって……ひゃんっ♥」

 

……その後、彼と愛し合ったが一発では収まる筈もなく、追加で三回もセックスしたのは言うまでもない。

 

 

 

「ふわぁ……」

 

……よく寝た、って訳でもないわね。

部屋に設置された時計を見ると、時刻は既に10時を指しており、朝食の時間は既に過ぎている。

確か、サイトとの逢引が終わったのは朝7時……彼が帰ったら直ぐに寝たから3時間くらいは睡眠できたようだ。

最近は2時間睡眠が多かったし、3時間も寝れれば十分だろう。

 

「んっ……」

 

杖を手に取り、部屋の隅に置かれた水瓶……正確に言えば、水瓶の中にあるタオルに向けて振るう。

《念力》の魔法によってタオルは宙を舞い、軽く絞られると私の手元へ運ばれる。

冷たいタオルで汗を拭きながら、私は昨日のことについて思考する。

 

……また、サイトのことを満足させられなかった。

精力剤の効果もあってか、彼とのセックスを楽しめる回数は確かに増えた。

だが、三十回も体を重ねれば、精力が持っても体が……主におまんこが限界を迎えてしまう。

その辺りから、サイトは私に気を使ってか自分は満足していないというのに体を満足させるためのセックスではなく……心を満足させるためのセックスに切り替えていた。

 

……正直な話をすると悔しい。

私は彼のことを愛しているし、彼も私のことを愛してくれている。

だというのに、自分が満足するばかりで私は彼のことを満足させられない。

 

どうすれば彼は満足してくれる?

何とか彼の性欲を受け止める方法はないか?

そういえば《水》の魔法により身体強化を強化する術があった筈だ、それを使えば私は彼を受け入れられるだけの器になれるか?

いや、そもそもそんな難しい魔法を私が行使できるのか?

どうしようもないくらい様々な考えが私の中を駆け巡り……ふと、彼のことを思い出した。

 

『付き合う?そんな女性、僕にはいないよ。薔薇は多くの女性を楽しませるのが役目だからさ』

 

キザっぽくて浮気性の元カレ(ギーシュ)

彼は自分のことを薔薇に例え、私が知るだけでも私を含めて数名の女性と付き合っていると噂されていた。

 

……もしも、だ。もしもサイトに私以外の女がいたら彼は満足してくれるだろうか?

私が限界を迎えた後も周りの女を犯すことで彼の途方もない性欲を満たすことが可能なんじゃないだろうか?

でも私はサイトに他に女がいることは耐えられるのか?自分でいうのもなんだが、私は嫉妬深い。

他の女がサイトと愛し合う姿を見て……耐えられるかどうか分からない。

だけど。

 

「……そうとなったら決まりね」

 

──私は彼に満足してもらいたい。

私だけじゃ満足させられないのは確かなのだから、他の女を使ってでも私は彼のことを満足させてみせるわ。

 

そうと決まれば必要なものが幾つかあるわね。女を堕としやすくする為の媚薬(ギリギリ合法)を用意する必要があるし、部屋も……ここじゃあ狭いわね。

部屋については後で担任(コルベール先生)に相談するとして……。

 

「媚薬は……後々のことを考えると、自分で作れた方がいいわよね」

 

なら決まりだ。

私は制服に着替えると、直ぐに彼とそのご主人様がいるだろうブルドンネ街に向けて馬を走らせた。

……別に一人置いてかれて寂しいって訳じゃないんだからね?

 

 

 

「えと、確かこの辺に……」

 

現在、私はブルドンネ街の裏路地にいた。

目的の場所……私がよく使う、趣味で作った秘薬の買い取り先を探しているのだが、どうにも見つからない。

あの店はちょっと目を離すと、別の場所に店を移す。今はこの辺りにある、と店主からもらった手紙に書かれていた筈だが……。

 

「んっ……」

 

生ゴミと汚物の悪臭に混じって、悪くなった卵と腐ったキャベツの臭いが何処からか漂う。

この裏路地ではありふれた悪臭のようにも感じるが、この臭いはあの店が近くにある証だ。

 

「すんすんっ……多分、この辺に……うげっ」

 

生ゴミに紛れた随分とボロいドアが目に入る。ドアの横には『ルモンド・アンド・レオニーの薬問屋』の看板。

……どうやら今はここに店があるようだが……相変わらず、入りづらい雰囲気だ。

 

「……まっ、入るしかないんだけどね」

 

生ゴミを魔法で退かし、ドアをノックする。すると、店の中から「入ってどうぞ」と若い女の声が響いた。

ドアを開け、店の中に入ると、まず感じるは裏路地と比べても劣らない強い悪臭。それもその筈、この店には現在は軍やアカデミーでのみ取り扱いが許されるドラゴンの糞やバジリスクの牙、バンパイアの爪等々、違法な品(しかも最悪なことにどれも新鮮な)を取り扱っているのだ。

 

「ややや、モンモランシー嬢、久しぶりだね。今日はいったいどうしたんだい?秘薬の材料でも買いに来たのかな?それとも作った秘薬を卸にきたとか?」

 

カウンターの中央に鎮座しているのは中性的な雰囲気を纏う不思議な女性、この店の店主のレオニー。

曰く、かつては王族だったが、禁忌を犯してしまい追放されたとか。

曰く、自分はエルフを祖先に持つ異邦人の末裔だとか……嘘か本当か分からない経歴(という名の妄言)を沢山持っている変な人だ。

 

「ちょっと作りたい秘薬があってね……ここってサキュバスの体液とか置いてある?」

「サキュバスの体液?ふむ、色々とあるが……何が欲しいんだい?血液なら幻覚を見せる秘薬になるし、涙なら様々な毒に効く解毒剤、愛液ならどんな鈍感だろうと感じさせる媚薬になる」

「……愛液を一瓶お願い」

 

頬を赤らめながら答える。

すると、レオニーは楽しそうに手を叩きながら。

 

「そうかそうかっ!ついにモンモランシー嬢も処女を捨てる時がきたか!相手は例のボンボンかな?ここに来る度に彼は女好きの癖してヘタレだと愚痴っていたし、彼に薬を盛って既成事実を作るつもりなのかい?」

「別に?誰だっていいじゃない」

「ふーん……」

 

じろりっ、とトリステインではあまり見かけない黒い瞳で私を見つめてくる。

まるで私の心の内を全て見透かされているような不思議な感覚に思わず、緊張して喉が鳴る。

 

「……多分、相手は例のボンボンではないね。しかもその相手に使うわけでもなく……んー、もしかして自分に使うつもりかな?」

「……さぁ?どうかしらね?」

「まぁ相手が誰であれ、お客が求めるものを出すのが僕の仕事さ」

 

杖を振り、背後にある棚から秘薬の原料と思わしき小瓶を『二つ』取り出してカウンターに置く。

……ん?二つ?私は一瓶って言った筈なのだけれど……。

しかも一つは原料ではない、これは間違いなく私の作ろうとした秘薬だ。

 

「ささっ、こいつがモンモランシー嬢お求めの媚薬とその原料さ。代金は……そうだね、新金貨なら二百枚、旧金貨なら百枚で構わないよ。もしくは他の秘薬の原料か、面白い話……例えば、君の新しい恋人についてのお話でも十分かな♪」

「相変わらずのどんぶり勘定ね……後、彼とは恋人とかそういう関係じゃないから……まだ」

「ふふっ、『まだ』……ね?成る程成る程……じゃあ君の恋が実ったとき、また来てくれ。その時にはお祝いの品をプレゼントしようじゃないか」

 

相変わらずの変人っぷりに安心すら覚える。

とりあえず目的のものは手に入れた。財布から旧金貨を百枚取り出し、秘薬の原料を受け取ろうとする……が。

 

「そこの媚薬も持っていってくれて構わないよ、どうせこのまま置いていても棚の中で埃を被っているだけだしね。君が有効活用してくれ」

「へっ?ありがたいけど……なんで私にここまで良くしてくれるの?」

「常連さんへの感謝の気持ちと……後もう一つは」

 

くすりっ、とレオニーは私を見ながら笑う。

 

「僕は恋する乙女の味方なのさ」

 

 

 

袋片手に薬問屋を出た私は裏通りを歩いていた。

買い物も終わり、とっとと学院に戻ろうと表通りに行こうと足を向けたが突然。

 

「へーい、彼女ー、もしかして一人なのかーい?よかったら、俺と一緒に遊ばない?」

「……はぁ」

 

……わざとらしい声で私に話しかけ、あまつさえ抱き着いてくる男が一人現れた。

多分、彼は私のことを驚かそうとしたのだろうが……生憎、彼の気配も匂いも、この数日間ですっかり覚えてしまった。

 

「なに馬鹿なことしてるのよ、サイト」

「あれ?モンモン、俺だって気付いてたの?」

「当たり前じゃない。この一週間で何回、貴方に抱かれたと思ってるのよ。嫌でも……ううん、嫌じゃないけど貴方の匂い、覚えちゃったわ」

 

私に抱きついてきたのはサイトであった。

彼もご主人様とブルドンネ街で買い物しているって聞いてたし、たまたま遇っても可笑しくはないと思ったけど……まさか期待通り、遭えるとは思わなかった。

 

「へへっ、嬉しいこと言ってくれるな。モンモンはこんなところで何してんだ?まさか俺に会いに来てくれたとか?」

「んっ……♥ちょっと秘薬の原料を買いに……ね♥貴方こそ、こんなところで何してるの?ヴァリエールとデートの最中なんでしょ?」

 

首に軽くキスをされ、びくりっと体が震える。

……全く、往来で何してるのよ♥しかもこんなにおちんぽ、大きくして……♥興奮してんじゃないわよ、私まで興奮するじゃない♥

 

「買い物はもう終わったよ、ほれこの通り」

「……なに、そのボロ剣?」

 

振り向いて、サイトが買ったものを確認するとその手に握られているのは随分と錆び付いたボロボロの大剣。

彼は嬉しそうにしているが、どうもこれにそんな価値があるようには見えない。

 

「誰がボロ剣だ、小娘!てめぇなんぞに俺様の価値が分かって堪るもんだっての!」

「うわっ!?剣が喋った!?これ、もしかしてインテリジェンスソード……?」

「モンモンも知ってんのか?」

「ええ、まぁ一応だけど……」

 

にしても驚いた。

まさか錆びてはいるようだけどインテリジェンスソードを買うだなんて……どんだけ金余ってるのよ、ヴァリエール家。

おまけ付きに……。

 

「俺様は魔剣デルフリンガー、覚えておきな娘っ子。……にしても相棒、おめまさか嬢ちゃんがいるってのに浮気してるだなんてな、バレたら雷じゃすまねぇぞ?」

「大丈夫だよ、多分。ほんの数日……だけど、こっそり部屋から抜け出して、モンモンの部屋に行ってもルイズが気づく様子はなかったし」

「だといいがな。あの嬢ちゃんはかなり嫉妬深い性格と見た、虎の尾を踏まないよう気を付けろよ?」

「へいへい……って、どうしたの?モンモン?そんな驚いたような顔して」

 

いや……驚いたも何も、そんなもの持ってたら驚くでしょ。

 

「……それ、幾らしたのよ?インテリジェンスソードってだけでも新金貨二千枚は固いのに、そんなに賢いなら相場の十倍は下らないわよ?」

「ぶっ……!?」「ほう?」

 

インテリジェンスソード、知恵持つ武器は好事家によっては高い価値がつけられる。

例えば、父の知り合いが持つ歌う魔剣なんて旧金貨で二千枚はしたって自慢していたし、ただ喋るだけの魔剣でも千枚はしたとのことだ。

最も、それらの知能はかなり低い。歌う魔剣は主人に求められた歌を歌うだけで知能は無いに等しいし、喋る魔剣は正直、平民の子供の方がマシ程度の知力しかない筈だ。

だというのに目の前の魔剣は慣用句や諺を理解した上で使う上、自己認識まではっきりしてるときた。

 

「……錆びてるのを考慮しても新金貨で二万枚、ううん下手すれば三万枚は下らないかも。ヴァリエール家の財力を甘く見ていたわ」

「へ、へぇ~……そう、なんだ……」

 

何故だか、彼は気まずそうに顔を背ける。

……いったい何があったのだろうか?別に高い金を払って買ったのならそういえばいいのに。

 

「……お前、凄いんだな。見直したぜ」

「剣としての価値じゃないのが気になるところだが……まぁ俺の価値が分かってくれたようで何より」

 

いや、あの様子だと私の想定よりも、ずっと安く買えたから驚いているって感じか。

いったい幾らくらいで買えたのだろう?錆びていて剣としての機能が落ちているのを考慮すると新金貨二千枚くらい?……流石にないか。

 

「娘っ子も俺様の価値を一目で見破るなんて大した目を持ってんじゃねぇか、気に入ったぜ。よしっ、お礼と言っちゃなんだが相棒との逢引については嬢ちゃんには黙っといてやるよ」

「ありがと、デルフリンガー。貴方が主人思いの剣で嬉しいわ」

「よせやい、そんなに誉めると背中が痒くなるってもんだ」

 

剣の背中が何処にあるか気になるが……今、私が考えるべきことは一つだ。

 

「くぅ……モンモン……っ!」

「しっ……期待してた癖して、なに驚いたような声出してるのよ♥全く、往来でこんなに大きくして……恥ずかしくないのかしら?」

 

サイトの口を指で塞ぎ、股間に手を伸ばす。

どうやら彼の逸物はすっかりと戦闘態勢に入っているようで、今すぐ私に種付けしたい♥目の前の雌を組み伏せたい♥とアピールしている。

 

「……悪い、でもモンモランシーの匂いを嗅いだら……我慢できなくなってさ。正直、今すぐにでもしたい」

「んっ……♥仕方ないわね♥」

 

後ろから私に抱きついたサイトはすっ、と胸に手を伸ばす。

ブラウスの上から私の小ぶりな胸を鷲掴みにされる。優しく愛撫するような手付きで、胸は揉みしだかれ、胸の形は彼の思うがままに変わっていく。

 

「ヴァリエールのことは……いいの?ご主人様を放っておくなんて使い魔失格よ?」

「大丈夫だよ、ルイズには知り合いっぽい人見つけたから話しかけてくるって言ったし、少しくらいは時間稼げると思う」

 

サイトが胸から手を離すと、ぷるんっ♥と元の形に戻る。

そしてそのまま彼は私の肩に手を置き、後ろから抱き着いたままキスをする。

お互いを貪り、愛を確認し会う激しいキス。他の男では得られないだろう情熱的すぎるほどの愛に当てられ、私は融かされていく。

 

「んっ……♥さい、とぉ♥さいとぉ♥じゅるっ、れろれろ……ちゅぱっ♥あっ……ふわぁ……♥」

 

私の小さな唇が全てサイトの口内に覆われ、唇が、歯が、歯茎が……彼の舌に蹂躙されていく。

負けじと私も彼の口の中に舌を入れるのを試みるが。

 

「はぎゅうぅ♥」

 

入れた瞬間、軽く舌が噛まれた。

敏感になっていた私の舌は、それだけで強い快楽が与えられ、びくんっ♥と体が震え、力が抜け落ちる。

全身が痙攣し、膣から愛液が足れ……早く♥早くおちんぽを入れてほしいと求めていた。

 

「はぁぁぁ……♥サイト、そろそろ……♥」

「あぁ、挿れるぞ」

 

ベルトを緩め、ズボンから逸物を取り出そうとしたその瞬間。

 

「馬鹿犬ーっ!ちょっとあんた何処にいるのよー!ご主人様を一人にするなんていい度胸じゃないっ!!」

「いっ……!?」「ぶっ!?」

 

裏路地にヴァリエールの甲高い声が響いた。

どうやらサイトのことを探しているようで、どんどんこちらへと足音が近づいてくる。

不味い、これは非常に不味い。

 

 

 

「──漸く見つけたわ!あんた、ご主人様を置いてくなんてどーいうつもりよ!」

「あー、悪い悪い……それっぽい格好の人見つけて、元の世界の人かって思ったんだけど、ただの人違いでさ」

「だからって置いてく必要ないじゃないっ!私てっきり、あんたが逃げ出したのかと……うん?あんた、なんでモンモランシーと一緒にいんの?」

「遅いわ、今頃気がついたの?てか、元の世界って何?」

 

急いで服を正した私達は何事もなかったように振る舞う。

時間がなかった為、どう言い訳するか考えられなかったが最悪、私がサイトに話を会わせれば問題ない……筈だ。

多分、そっちの方が話に矛盾がなくていい。

 

「あれ?モンモンに言ってなかったっけ?信じられないし、信じなくてもいいけど……俺、別の世界から来たんだよ」

「…………へぇー、そーなんだー」

「あれ!?もしかして俺疑われてる!?」

「そんな妄言、疑う方が当たり前じゃない。モンモランシーが困ってるようだし、やめときなさい」

「だから妄言じゃねーんだって!!」

 

いや、別に疑ってはいない。少なくとも、私は好きな人の発言を疑うような女のつもりはない。

……そう言われれば納得できる部分もある。召喚初日の彼は、まるで魔法がない所から来たようなリアクションをしていたし、ハルケギニアでは比較的ありふれた亜人であるコボルドを見ても心底驚いていた。貴族についての理解もないようだったから、私はてっきり貴族という概念がない場所から召喚されたのかと思ったが……うん。

寧ろ、そっちの方が納得できる気がする。

ただ。

 

「ねぇ?今度、貴方のいた世界について教えてくれない?ちょっと興味が湧いてきたわ」

「も、モンモン?」「……むー」

 

……私に教えてくれなかったことについては、ちょっとだけ気に食わない。

サイトは私が好きな人の話を信じないような頭の固い女に見えたのだろうか?

 

「そ・れ・よ・り・もっ!!あんた、なんでモンモランシーと一緒にいるのよ!?しかも何か親しげだしっ!キュルケだけじゃ飽きたらず、モンモランシーにまで手を出したの!?」

「出してねーよ!少なくともキュルケには手を出してないって!」

 

迂闊な発言するな、この馬鹿っ!?ルイズは気にしてないようだけれど、さっきの発言結構ギリギリだったわよ!?

あー……もう、このままじゃいつボロ出しても可笑しくないし、フォローしておくか。

 

「ミスタ・ヒラガとはさっき出会ったのよ、誰かを探してるようだったから「どうしたの?」って話しかけたら」

「っ、そうそう!そしたらモンモンに俺みたいな服着てる奴、見かけなかったかー?って聞いてさ。で「見かけてない」って言われて」

「……で?」

 

で……と言われましても。

話している内に気があったーってだけじゃ、ここまで親しい理由にはならないだろうし、どうするべきか。

彼と私が仲のいい理由……出来れば、ヴァリエールでも知っていそうな物があればいいのだけれど。

 

「(……あっ、そういえば)ほら、俺がギーシュと決闘して怪我しただろ?その時の傷、モンモンの秘薬で治してもらったって言ってたじゃん。で、そのお礼を言ってたら何か仲良くなって」

「……話の筋は通ってるわね。まっ、今はそれでいいわ。そもそもあの色情魔じゃないんだから、モンモランシーがサイトに手を出すなんて考えられないし」

「理解してくれて助かるわ、それじゃあミスタ・ヒラガ、ヴァリエール、私はこの辺で失礼するわ。買い物も終わったしね」

 

とりあえず彼女が納得してくれたようで何よりだ。

後はここで別れて私達の関係がバレないように気を付ければ……。

 

「モンモンももう帰るのか?なら、どうせなら一緒に帰ろうぜ。俺達ももう帰るつもりだったし」

 

……この馬鹿、人の気遣いを無駄にして。

全く、ヴァリエールに私達の関係がバレたらどうするつもりなのよ。バレたら逢引できる機会が減っちゃうじゃないの。

 

「ふふっ、お誘いありがとう。それじゃあご一緒させてもらおうかしら?」

 

……こうして誘いに乗る私も私だけれど。

 

 

 

門へと続く大通りを私とルイズは並んで歩いていた。その後ろではサイトが背後を守ってくれている(……ということにしているらしい)。

話していく内に私とルイズは不思議と気があい、彼女はファーストネームで呼ぶことを許可してくれた。私もそうしたいところだが、生憎私はファーストネームも家名も同じである為、呼び名が変わることはない。

……あだ名で呼ぶことも考えたけど、サイトのアレ(モンモン)呼びは何だか嫌だ。

 

「へー、それじゃあルイズは彼の剣を買いにきたの」

「そうね、本当はもっとマトモな剣が良かったんだけど……あの馬鹿があれがいいっていうから仕方なくね」

 

そういいながらルイズは後ろに視線を向けた。

好奇心が強いのか、彼は忙しなく視線を動かし、物珍しそうに目を輝かせている。

 

「あのインテリジェンスソードのこと?」

「そっ、錆びついてるアレのこと。全く、あんな剣の何処がいいのかしら?どうせ買うなら、あの綺麗な剣の方がずっと良かったわ」

 

あの綺麗な剣がどんなものか知らないが、インテリジェンスソードと並ぶくらいだし、何かしらの魔法でも付与されていたのだろ──。

 

「ひゃんっ!?」

「あっぶねぇ!モンモン、大丈夫か!?」

 

整備されていなかった為か、石畳の一部が段差のように盛り上がっており、私はそれに気が付かず、躓いてしまう。

地面に顔が激突する!と思った瞬間、サイトは私の腕を引っ張り、抱き寄せて、それを阻止してくれた。

か……顔が、近い。見慣れているつもりだったが、こうして改めて見ると、彼はかなり顔がいい。

 

「ば……馬鹿犬!?あんた何してんのよ!?とっとと離れなさいーっ!!」

「あ、あぁ悪い。すぐに退くよ」

 

そういうと彼は私から手を離し。

 

「それ、持つよ。重たそうだし、俺が持った方がいいだろ?」

「……ありがと。中身は割れ物だから気を付けてね?」

 

任せろ、と彼は紙袋を両手に持ち、歩き始める。

……意外と紳士らしいところあるのよね、彼。もう少し、言動に気を付ければルイズももっと良くしてくれると思うのだけれど。

 

 

 

馬に乗り、三時間。私達は買い物を終え、漸く魔法学院に帰ってきた。

辺りはすっかりと暗くなり、昼の喧騒が嘘のように静かだ。

 

「今日はありがと、久しぶりに楽しかったわ」

「こちらこそありがとう、うちの馬鹿犬が迷惑かけて申し訳なかったわね」

 

別に迷惑かけてねーよ、とサイトがムッと口をすぼめる。

……全く、仕方のない人ね。ちょっとだけ……彼に迷惑かけるかもだけれど。

 

「サイトもありがとね、また良かったら今度はヴァリエール抜きで何処か遊びにいきましょうか」

「ちょ……モンモランシー!?なに人の使い魔に色目使ってんのよ!?」

「サイトったら、アレと比べたら随分と紳士的みたいだしね。ちょっとくらいご褒美を上げようかと思ったのだけれど……駄目かしら?」

「そういうのはご主人様である私の役目で……!」

 

くすりっ。小さく笑いながら「冗談よ」と言って話を切り上げる。……まぁ冗談のつもりはないのだけれど。

最後に彼の方をじっと見つめ、唇だけをゆっくりと動かす。

 

(また“夜”に会いましょう♥)

「……おう、ま──」

 

別れの挨拶をしようとした直前、一陣の風が吹く。

何事か、と空を見上げると、そこは青い鱗の竜に乗った二人のクラスメイトの姿があった。

 

「ダーリン!漸く見つけたわ!」

「ダーリン?」

 

一人は赤い髪の豊満な体を持つ赤い髪のゲルマニアからの留学生、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。通称、『微熱』のキュルケ。

もう一人は私達に興味無さそうに黙々と本を読む青い髪の小柄なガリアからの留学生、『雪風』のタバサ。

 

「あら?モンモランシーじゃない、貴方がルイズと一緒にいるなんて珍しいわね」

「偶然、街で一緒になってね。……それよりダーリンってどういうこと?」

 

私が一番気になったのは、そこだ。

ダーリン、主に男の恋人に使う名称であるが……ここにいる男はただ一人。

じろりっ、と青筋を浮かべながらサイトのことを睨み付けると彼は焦ったように弁明を始める。

 

「ご、誤解だって!俺とキュルケは別にそんな関係じゃあ……」

「酷いわ、ダーリン!あんなにも熱い夜を過ごしたっていうのに……なかったことにするつもりなの!?」

「だから何もしてないじゃん!?」

「そうよ、ツェルプストー!私の使い魔に色目を使わないでくれるかしら?あんたとサイトは何の関係もないじゃない!」

「関係なくないわ!私とダーリンには赤い、赤い糸で結ばれているんだから!」

「あんたの赤い糸は何本結ばれているのよ!?」

 

そんなこんなでいつものように口論を始めた二人から私達は距離を取る。

口論の内容は次第にサイトの持つ剣に変わり、ツェルプストーが随分と装飾の多い剣を取り出して、そんな物でダーリンを釣ろうとするだなんて小賢しいだの、こっちの方が似合ってるだの言い出した。

対するルイズはサイトは私の選んだ剣を選んだんだからとか、そんな見た目ばかりの剣よりマジックアイテムの方が価値が高いとか必死に反論する。

 

「……モンモン、ちょっといいか?」

「ん?どうしたの?」

 

そんな二人の口論を遠目で観察しながら、サイトが小声で話しかけてきた。

二人は口論に夢中で私達に気がつく様子はないし、タバサとも大分距離が離れているし話の内容を聞かれる心配はないだろう。

 

「……心配かけてごめん、キュルケとはマジでそういう関係じゃないから。浮気とかもしてないから……その、信じてくれ」

 

まるで怒られた子犬のような目でサイトは私のことを見つめてくる。

それがどうにも可笑しくて、可愛くて、私は小さく吹き出してしまった。

ふふっ……私が他の浮気相手を作らせようとしていると知ったら、彼はどんな表情を見せるのだろうか?驚く?それとも悲しんだりするのかしら?

 

「な、なに笑ってんだよ。俺は真剣に謝ったつもりなんだけど……なんか可笑しいところあったか?」

「別に、何もないわよ。ただ……」

 

じっと、サイトのことを見つめて小声で私の気持ちをはっきりと伝える。

 

「サイトのこと、信頼してるから安心してちょうだい」

「……っ、そっか。なら良かった」

 

顔を真っ赤にして、そっぽを向くサイトに向けて、それに……と言葉を続けようとした瞬間、二人が同時に大きな声を出した。

 

「「決闘よ!!」」

 

マジか、こいつら。

 

 

 

決闘のルールは至って簡単なものだ。

まず本塔にツェルプストーが買ってきた剣をロープで吊るしておく(本当はサイトが吊るされそうだったが、私が止めた結果、剣になった)。

次に順番に魔法を放ち、先にロープを切った方の勝ちで、勝った方の剣をサイトは使う。下にはタバサが待機しており、ロープが切れたら《レビテーション》で剣を浮かせる為、剣が折れる心配はない。

因みになんでツェルプストーが買った剣を吊るすことになったかというと……。

 

「もー……ダーリンったら。そんなボロ剣、大切そうに抱えなくてもいいじゃない」

「いやまぁ、デルフにも命が宿ってることですし、それなら完璧な無機物のそっちの剣の方がいいかなーと……」

 

デルフリンガーの価値をよーく知っているサイト至っての希望であった。

ツェルプストー曰く、新金貨三千枚の価値のある名剣と最高で新金貨三万枚の価値がある自称魔剣のデルフリンガー。どっちを選ぶかは明白であった。

 

「それじゃあまずは私から行くわ」

「それくらいのハンデはあげるわ、どうぞお先に」

 

先行を取ったのはルイズだ。彼女はゆっくりと……慎重に詠唱を紡ぐ。

そして詠唱が終わり杖を振るった瞬間、剣の後ろの壁が爆発する。

凄まじい衝撃で剣が揺れるが、ロープが切れる様子はない。……変わりと言ってはなんだが、壁にヒビが入り、今にも崩れそうだ。

 

「アハハハッ!!ロープじゃなくて壁を爆発させるなんてね、流石は『ゼロ』のルイズ!」

「ぐぬぬぬ……!」

「……吊るされてるのが俺じゃなくて良かったぜ、マジで。娘っ子と相棒には感謝してもしきれねぇ」

 

凄まじい爆発の様子を見て、声を漏らすデルフリンガー。

ルイズはそんなデルフリンガーを睨みながら拳を握りしめ、肩を落とす。

 

「さてと、それじゃあ私の番……」

 

そういい、キュルケが呪文を唱えようとした瞬間──それは背後から現れた。

巨大な気配に気がついた私達は一斉に振り向き、それを目の当たりにする。

 

「なに、あれ……?」

 

その巨体さに誰かが声を漏らす。

私達の目の前に現れたそれは──30メイルにもなる巨大な土のゴーレムであった。

ゼロの使い魔について、どれくらい知識がありますか?

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  • 原作、またアニメどちらかの知識のみ
  • 二次創作で見ているだけで本編は見ていない
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