※この作品はR-18です。

私は姉の玩具。   作:飯妃旅立

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微スカトロ有


くだらない日常(2)

 私達がお金持ちである、という事実は学校中の誰もが知っている。お金持ちである、というより権力がある──そう言い換えてもいいだろう。

 だから。

 

 私(・)を(・)御(・)せ(・)ば(・)、そ(・)の(・)権(・)力(・)が(・)手(・)に(・)入(・)る(・)と。そう、思われがちである。

 

 学校には私の友達を名乗る人達が数多くいる。私がそう思っていなくとも、あるいはそう思っていても、彼ら彼女らは私の友人を名乗るし、まるでそれが誇りであるかのような言い方をする。その目の奥にあるのは絶えぬ欲望で、私のことなど欠片も眼中に無いのだとしても。

 被害妄想だと、まぁ、思われることだろう。もしくは自意識過剰だと。私とて実例が無ければこんなことは考えない。もう少し純朴な少女だったことだろう。

 

 かつて。

 親友だと思っていた少女が、人気のない教室で──姉と、二人きりで話しているのを見つけてしまった事があった。話の内容はとても単純。「家では肩身の狭い思いをしている妹の、心の拠り所を演じて欲しい」「これはお願いでなく依頼。報酬も用意する」。そんな、お話。

 事実、その話を聞くまでは、家族から放逐されたことで多少は参っていた精神や姉によるレイプで疲弊していた心の安寧を、友達に頼る事で──甘える事で保っていた部分があった。マッチポンプ。その事実さえ知らなければ、私は姉の好意に嫌気を覚えながらも信頼し合える友人を増やし、今よりは多少、笑う子になっていたことだろう。

 

 今の私に笑顔というものは残っていない。強いて言えば愛想笑いをすることはある。失笑をすることもあるだろうけど、心から安心して笑顔を見せる、ということは……もう、出来ない。どこで誰が、「重圧に負けてしまいそうな妹を心配する姉」の息を掛けられているかわからない。あるいは既に学校の全てが姉の手中にある事さえ考えられる。

 それが心の拠り所などになるはずもない。

 ……これだけなら、まだよかった。全員が敵ではなくとも味方ではないと、ただそれだけならまだよかったのだ。

 

 問題は、そういう"友人"の中から──その親友だと思っていた少女を始めとして、私を御しようとする者が現れたこと。

 

 "お礼"を理由に私に何かをさせようとしたり、華梶の情報を聞き出そうとしてきたり。果ては直接私を、誘拐しようとしてきたり。

 私を自宅へ招き入れ、何でもないかのような顔で出したジュースに睡眠薬を入れていた彼の少女は、華梶のSPに捕まる際に酷く恨みの籠った表情で「裏切り者」「あんなによくしてあげたのに」「お前に友達なんか一人もいない」と──なんともまぁ、酷くありがたい忠言を残していってくれた。

 あの子のおかげで今があると言っても過言ではないだろう。すべてが嘘に、薄っぺらに見えるこの今が。

 

 だから、悲しい事に。

 色褪せた日常で、唯一色があるのが──嫌悪に染まる姉といる時間だ、というのは。

 それさえも姉の掌の上のようで、果てのない絶望に身を寄せるしかない、私が諦めたように姉のレイプを受けている理由となっているのである。

 

 

◇

 

 

 姉から受ける行為は、私の身体の成長と共に過激さを増していっている。傷はつけない。病にはさせない。痕の残る行為はしない。否、するけれど、絶対に見えない場所にのみ、する。完全に飼いならされた状態で、完全に飼い囲われた現状で、私は姉の玩具として日々を生きている。

 と言っても毎日同じことをされるわけではない。姉の思い立った時に、思いついたことを。だから、比較的楽な場合も存在する。それが今日だった。

 

「ん~、ふふっ、マイちゃん……お口、綺麗だねぇ」

 

 開口器、というものだと思う。医療器具で、金属器具を口に宛がって、開いたままに、閉じる事の出来ないようにするもの。最初はひんやりとした感覚が、今は自身の咥内熱によって生ぬるくなったそれが、咥内をめいっぱいに占有している。

 当然咥内の異物に唾液は絶えず出続けるし、そろそろ顎も疲れてきた。しかし痛まない程度でがっちり固定されたソレは、逆に大きく開くことさえできないのが厄介だ。少しでも動かす事が出来れば疲労も軽減されるというのに、人形になってしまったかのように口が動かせない。

 

 そんな、かっぽり開いた口腔に……姉の指が入っている。

 指は歯茎をなぞる。上下左右、歯茎を撫でるようにして表面の粘液をこそぎ取っていく。それを、あろうことか自身の口へ運んで──恍惚の表情で味わっているのだ。

 余りにも悍ましい光景に──けれど、私は動けない。着衣のままにリクライニングの椅子に縛り付けられているからだ。傾斜のついた背もたれにがっちりと。さらには歯医者で目にするようなアームのついたライトが私の顔の下半分を照らし、その傍らに姉が立って……その姉は、裸で。

 

 ひとしきり私の咥内を楽しんだ姉が次に行ったのは、私の舌を抓みだす事だった。一切の抵抗なく引きずり出された舌は、同年代に比べても少しだけ長い、という事を知っている。面と向かって比べたわけではなく、見た感じはそう、というくらいだから、私の知識に過ぎないけれど、

 そんな、言ってしまえば掴みやすい舌を抓む三本の指はぐねぐね、うねうねと動き、それを揉み拉く。ぬるりとした唾液が滲むけれど、突き出された舌がそれ以上湿ることはない。ぐ、と掴まれた感覚器官は姉の指紋を覚える。本来であれば舌の方に使われるだろうザラりとした、という表現が、薄くて細い指紋の一筋一筋に使われる程、私の集中は舌先に向いてしまっていた。

 

 そんな、突き出された舌の根元を挟むものがあった。恐らくは樹脂で出来た二本の棒。両端がくっついていて、挟まれた舌はがっちりと固定される。棒の長さは私の口の両端よりも大きく、故に姉が指を離せども舌を戻すことが出来ない。

 

「ぁぇ……」

 

 圧迫による痛みと顎の疲労から、出してやるつもりの無かった声が喘ぎ出る。固定された事で大きくは動かせない舌先がピクピクと動き、少しずつ渇いていくのを感じた。

 同じくして、口の端から行き場を失った唾液が零れていく。せめて少しでも引き戻せたら嚥下できるそれらも、完全に固定された舌がこうでは零れるしかない。この歳になって涎を垂らすという行為に羞恥と、それを嗜虐的な目で見つめる姉に嫌気が差す。

 

 裸の姉はあろうことか、椅子に縛り付けられ、一体化しているともいえる私のその腿に乗っかってきた。体重も身長も姉の方が上だ。だから当然重いし、苦しい。椅子の柔らかさが圧迫を軽減しているといっても限度がある。

 そんなことは知っているのだろう。むしろそれも(・)目的の一つだというかのように、下腹部に両手を当てて、ぐ、と押し込みながら……私の眼前に、嗜虐に染まった顔を近付けた。

 

「はむ」

 

 歯ではなく、唇と唇で。上唇と下唇で、渇きを得ていた私の舌を食む。あくまでヒダの部分ではなく、皮膚の方で。だから変わらず下に湿り気は与えられず、けれど水分を含んだ呼気が、ざらりざらりと舌を撫でる。

 舌先を食んだ皮膚越しに圧力。自身の唇を巻き込む形で閉じられた口が、歯が、姉の唇を通して私の舌を圧迫している。人間ではない、何か別の生物に舌を食まれているような感覚。相も変わらず気持ちよさなど欠片もないのだけど、情欲に濡れそぼった姉の目は終始笑みに塗れている。

 

 ふと、舌が水気に触れた。

 舌裏に当てられたそれは粘度を持ち、生暖かさを持ち、何よりも姉の咥内で感じたその事実は、それが姉の唾液であると判断するのに十分すぎる証拠だった。姉の咥内に溜まっているのだろう唾液。それを姉の舌が私の舌に塗りたくっていく。舌自体も舐められ、吸われ、次第に近づく口と口がくっついて、変則的なキスになった。

 皮膚と唇のキス。その実、行われているのはアブダクションだ。舌先と舌先を合わせ、くにくにぐねぐねと蹂躙される。何の快感も無い、何の意味があるかわからないその行為は──ある瞬間まで続いた。

 

「んっ……ぇ?」

 

 驚いた。驚愕、だろう。

 ただただ感覚器が蹂躙されるだけの時間が、その行為が──一瞬、たった一瞬でも気持ちがいいと、そう感じてしまった事実に。それが果たして性的な快楽だったのか、マッサージを受けて感じるようなそれだったのかは判別できない。けれど実際に発してしまった。

 何も感じないと高を括っていたから、いつものような我慢が無かったのが原因だろう。自然と出てしまったソレに、姉が舌を離し──最大限、口角を吊り上げた。

 

「べろ、気持よかったねぇ?」

「……」

 

 反応返さない。けれど、反応があると知られてしまった。

 再度、姉の顔が近づく。口の端からだらだらと垂れている涎が首や服を濡らし、その不快感が我慢の集中を散らす。今度は皮膚ではなく歯で舌に噛みつかれ、にゃぐにゃぐと甘噛みを加えられる。止まっていた下腹部への圧迫も再開されて、片方の手は涎の垂れた首へと這い上がってきた。

 水筋となっていたそれを指で掬い、あろうことは私の首全体へと塗りたくる。自身の唾液を塗りたくられる嫌悪。しかしそれは、更なる行為で上書きされる。

 今の今まで舌を蹂躙していた口がそこを離れ、蛇を、ラミアを思わせるような動きで私の首へと辿り着いたのだ。そして、吸い付く。吸血鬼のように私の首筋へ──自身の唾液に塗れた口腔をぐちゅ、と押し付けた。多分に唾液を含んだ舌を首に当てがい、ゆっくりと首表面を移動する。

 

 人体の急所の一つであるそこに食い付かれている事実と、喉の外側を通る舌のざらざら。粘性のある唾液が皮膚に付着することがまず嫌悪対象で、しかもそれが姉のものであるのだから、嫌で嫌で仕方がない。けれど、それも生理的な反応だ。

 

「ん、ふぅ……はあ、ふ……」

 

 脇や膝窩といった、所謂くすぐったい場所と同じような材質の首は、そういう甘い刺激に弱い。くすぐったい。こそばゆい。その意味で発せられた喘ぎ声は、しかし姉へは別のフィルターを通して汲み取られる。

 文字通り味を占めた、というべきだろう。

 恐らく汗の味くらいしかしないだろうに、姉の舌は口を遠ざけ、下へ。つまり鎖骨や胸の方へ行く。学校の制服のまま縛られているから、セーラー服の隙間を行って、その後上から舐められる。セーラー服そのものを舐めているというよりは、自身の唾液を私のセーラー服に浸透させている、とでもいうべき時間をかけて、ゆっくり、ゆっくりと舐め回していく。

 不快だ。不快。流れ落ちる自身の唾液が姉を手伝うように布地を濡らしていく。

 湿り気は上だけでなく、下もだった。私ではない。姉の、姉の膣から、粘性の液体が私のスカートへと落ちている。どこに感じる要素があったのか、姉が発情しきっているのが見て取れた。

 

「気持ちいいねえ、マイちゃん。ふふっ、顔、赤くしちゃって……可愛い」

 

 姉の目に何が映っているのか、私にはわからない。本当に気持ちよくなっているように見えるのなら眼下に行った方が良い。否、先に精神科か。

 

 ひとしきり鎖骨周辺を舐めた後、姉はぶ(・)る(・)り(・)と(・)痙(・)攣(・)し(・)た(・)。

 

「あ、ぇぇ」

「んん……お姉ちゃん、おしっこしたくなってきちゃった」

 

 言って、縛り付けられた私に抱き着いてくる姉。私の顔を自身の胸で潰して、下腹部を私のお腹に当てて。

 拒否も嫌悪も、拘束された舌と口では音にさえならない。

 

 そして、先ほどまでとは比べ物にならない湿り気……否、水気が私の腹部を濡らしていく。アンモニア臭を伴ったソレは瞬く間に塗れ広がり、セーラー服に染みをつけた。水気は腰を通って背中にも伝い、濡れた布と椅子の革が形容しがたい不快感を生む。

 抱き着かれたまま、姉の放尿は続く。不快。不快。不快。余りにも悍ましい。

 

「んー……ふぃ~」

 

 肉体的苦痛は、日々に比べれば楽な方だ。

 けれど精神的苦痛は、単純に快楽の材料にされている時よりも高い。自身の身体に排泄された、という事実が強大な嫌悪感を生む。

 

「あー、んー。ちょっと臭うなぁ、これ。うーん、シャワー浴びてこよっかなぁ」

「……」

 

 それでも、怒らない。挑発気味に放たれたその言葉には無反応だ。反応すれば付け上がる。だから、反応しない。

 そんな私をみて、少しだけ笑って。

 

「じゃ、私はシャワー浴びてくるから。その間、そのままでいるよーに」

 

 姉の尿でびしょびしょに塗れた制服。縛り付けられた身体。突き出された舌と、開いたままの口。

 そんな私を、そのままに放置して。

 

 姉は部屋を出て行った。

 

 

◇

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