『R18二次創作』闇夜の蛍 作:天上夢月
前に投稿して感想をくれた方、申し訳ありません。
静かな場所だった。
窓はないが、うっすらと明かりはある。
けれど、何処が光源が定かではない。
微かな甘い匂いは何処かで香でも焚いているのだろうか。
光の元も匂いの原因も、身動き一つとれない男には探しようもないことだ。
大の字で寝かされ、四肢は鎖と呪符で拘束されており、口には猿轡をされている。
まるで罪人か妖でも拘束しているような有様だ。
だが、床と男の間にある床布団は上等なもの。羽毛を超える触り心地に全く負荷をかけない定着感。徹底された束縛に対して歪な愛を感じとれた。
「目が覚めたか……」
暗闇から凛とした声が響く。
清涼な風のように澄んでおり、鉄のように冷たい。されど、無機質ではなく声音には確かな感情があった。
罪悪感である。
「すまない。お前は何も悪くないのに、こんなことをして」
僅かな光から現れたのは艶やかかな黒髪に紅蓮の瞳。
凛烈で厳格な雰囲気を出す絶世の美女、鬼月雛は紅の双眸で男を見下ろしていた。
彼女の姿を見た男──伴部。鬼月家の最下層戦闘員である下人しか過ぎない彼を鬼月家次期当主候補の彼女が拘束したのだと察する。
溢れた感情は困惑と侘しさだった。
先のものは彼女がこんなことをした理由であり、後のものは彼女がこのような手を使ったことだ。
男は雛のことを昔から知っていたつもりだった。
天真爛漫な子供の頃のままとは思っていなかったが、陰鬱なこの世界で清純潔白な王道を貫く彼女を尊敬していた。
だというのに、この状況。彼女はそんなことするはずないと、否定するほど男の頭はおめでたくない。
やはり糞ったれな世界だと伴部は心で唾を吐き捨てた。
仮に首謀者でもなく、相手が替えのきく消耗品だとしても、彼女がこんなことに加担している事実が嘆かわしい。
そんな伴部が自分に向ける視線を察した雛は、目を見開くと同時に唇を噛み、口内で微かに血を流してから言葉を紡ぐ。
「──けど、お前をあいつらから守るにはこうするしかなかった」
「?」
雛から出た言葉に伴部は首を傾げる。
声が出せたら「ああん?」と唸っていただろう。
彼女がこの状況を企てる、ないし加担した最大の動機が敵対する妹の手駒を減らすことだと考えていた。
刹那──、全身に雷鳴が奔る如き身震いが伴部に襲い掛かる。
雛の赤い瞳。まるでドロドロの溶岩のようで、近づけば瞬時に灰塵なる熱を帯びていた。
この瞳を伴部は知っている。
前世で何度も目撃した、バットエンドの光景。
男はそうならないように立ち回っていたはずだと、心中で嘆き叫ぶ。
百歩譲ってこれが自分の主ならば理解できるが、下人に堕ちたときから雛との関りは殆んどなかったはずだ。
だというのに、この愛執に満ちた双眸。
前世の『闇夜の蛍』にて好感度が最大値に達している時、地雷を踏み抜いた時を同じではないか。
いや、現実で直面しているゆえか、肌に触れる熱情はそれ以上である。
「不便をかけて、悪いと思っている」
雛はそっと猿轡をされた伴部の唇を指先でなぞり、そのまま頬に触れた。
「けど、体を自由にしてしまったら、お前のことだ。傷ついてでも、逃げ出すだろうな。
だけど──私はもうかすり傷一つ負うことすら耐えられない!」
慟哭のように叫ぶ雛。
それを伴部は遠い残響のように聞きながらも、その歪な優しさに僅かだけ安堵する。
彼が知る、切断した舌先と四肢を炭化させ再生不可能な達磨状態よりマシだ。
だが、その僅かな安堵もすぐに霧散する。
雛が真に伴部が恐れいる状態ならば、次の瞬間そうなっていても不思議ではないし、他の女たちに捕られないよう跡形もなく燃やされる場合もあるのだ。
「今は嫌ってくれても構わない。
全てが終わってこの拘束を解いたときに幾らでも罵声は聞こう。
あらゆる責め苦を受けよう。
それまで、世話は勿論するし──」
雛の唇が伴部の額に触れた。
「!」
驚くのも束の間、雛は普段の彼女は見せないような、色香漂う蠱惑な笑みを浮かべた。
「今まで傷ついたお前を慰めてあげるよ」
奇しくも、その顔は年の離れた彼女の妹に似ていた。
そのまま雛は伴部の胸元に両手を這わせながら、舌で彼の喉を優しく
「───!」
猿轡越しに伴部は小さく反応する。
彼の僅かな表情を眺めつつ、水音を立てながら首元からゆっくりと鎖骨まで舌先を奔らせ、そのまま両手で伴部の上着を器用に剥ぎ取った。
「───っ!」
伴部が何かを叫んでるが、雛は反応せず、さらけ出した肌を凝視していた。
下人という、いつ死んでも可笑しくない立場であり、歴戦と退魔士ほど死戦を潜り抜けきた男の肉体は研磨されていた。
只の女であればそれだけで軽く発情してしまう程である。
けれど、雛は興奮よりも切なさを感じていた。
男の肉体には薄い傷跡が幾つも存在している。葵が密かに施した霊薬によって目立った外傷は存在しないが、目を凝らせば無限を思える負傷の痕跡が広がっていた。
宝石をより美しく見せる為の加工や模様にも思えば
これを見た者が鬼月葵や四凶の一角である赤髪碧童子ならば傷は男の勲章とより興奮していたかもしれない。
だが、雛は胸の痛ましさが強かった。
これだけ傷ついたのか。これだけ私は彼を守ってやれなかったのか。
瞳を潤ませるが、それは只哀愁のみではない。
惚れた男の裸体に興奮しない女はいないのだ。
哀愁と同様愛執も強まり、より苛烈に雛は彼の体を撫で、舌を這わせる。
誰に習ったわけでも、見て学んだわけでもない不慣れで稚拙な愛撫。
まさしく獣が傷を舐める所業であり、本能で異性を味わう情欲であった。
「ん───。う───。ふ───!」
雛が舐め上げる度に、猿轡越しに伴部が反応する。
言葉は発せられなくても、吐息や身体で鳴き、それがより雛を興奮させた。
鍛えた胸板の先端にある乳首を丹念に
かれこれ四半刻のその愛撫が続いた。
一旦、荒い息を立てながら雛は胸板から顔を離すと、彼の視線に気づく。
瞳を潤ませながら、苦しそうに睨む男の瞳に、雛は微笑みを浮かべた。
そんな顔をされたら、虐めたくなるじゃないか。
雛がやっていることは一方的な凌辱であり、彼女自身が思っている奉仕とは程遠かった。
だが、そんな言葉は最早女には届かぬし、言い放てる相手も存在しない。
雛は割れた伴部の腹を撫で回しながら白魚のような指を履物の中に忍ばせ、躊躇いもなく男の逸物を掴んで外に曝け出した。
「───!? ─────ッ!!」
「ふむ。思ったより硬くなっていないな」
いきなり逸物を出された伴部は猿轡越しで何か叫んでいるが、掴んだ
この状況なので、普通にしても伴部が勃たないと思った雛は予め媚薬効果がある御香を焚いていた。
伴部が意識を取り戻した時に気づいた甘い匂いの正体である。
暴走しないよう自身は肉体内部で己の異能である『滅却』で媚薬を打ち消していた。
かなり強い薬のはずだが、それでもこの状態なのは伴部の自制心が強い故か。それとも雛の手管が不慣れ故か。あるいはその両方か。
どちらにせよ、これでは本番に臨めない。
やむを得ない、と内心言い訳して雛は首を垂れた。
「────はむ」
「!?」
躊躇なく陰茎を咥えた雛に伴部は絶句する。
汗ばんだ匂いが鼻につくが、愛しの男のものだと分かっていれば単なる興奮剤だ。
雛とてこのような行為は初めてだが、苦を感じることなく行為を開始する。
最初は柔らかい唇と蠢く舌が亀頭を刺激し、竿を手で扱かれた。
「ちゅ、ん、む」
唾液と舌で魔羅棒を攻める。
肌以上に濃い男の匂い麻薬のように雛の脳髄を刺激し、彼女の狂気を更に駆り立てる。
「もご! もむ! んぅ! んぅ!」
先端だけを咥えていた口は、全てを飲み込むように吸い上げる。
まるで蛸であり、凛然な戦乙女の風貌は欠片もない、下品な顔。
ただ男を求めるだけの牝。
「はふ! むむ! ほむ! ほん! ほむ! もご!」
自身が呼吸困難になることも気にせず、一心不乱に己の喉奥を亀頭で穿つ。
最早自傷行為に他ならないが、酸素が足りなくなっても、彼女の攻めは止まらない。
「ん! つう!」
淫蕩の空気で伴部が呻く。
徐々に激しくなる口淫、抵抗もできず為されるがままだった。
次第に伴部の魔羅棒は血が巡り、十分な硬度を持つ。
ここまで直接攻められれば、いくら自制心が強くとも勃起するのは自明の理である。
「むご! もご! ほも! むほ! じょぼ! ちゅご! ぷはぁ!」
限界まで突破したところで、ようやく雛は男根から口を離した。
「──はぁ! はぁ! はぁ! はぁ! はぁ!」
息を荒くし、目線の先は唾液まみれですっかり充血した逸物。
赤黒く血管が浮き出た七寸ほどの魔羅棒は生娘なら失神ものの男根であるが、雛は満足そうに微笑む。
そもそも、平均など知らんし、未来永劫彼女がこれ以外受け入れる気もない。
故にこれこそが自分という鞘が収める刀であり、番と繋がる梯。
ならば愛しさはあれど、何を恐れようか。
「覚えているか? 小さい頃に、子供は何人欲しいかって聞いたことを」
そう言いながら、彼女は自分の衣服をするりと脱ぎ棄てる。
白い肌の無駄がない肢体にある陰部は完全に濡れそぼっていた。
彼女は相手を攻めただけで、自分の身体も準備させていたわけだ。
「結局、答えてはくれなかったが、まずは一人。一緒に作ろう」
「──」
分からないのんか
相手の意などお構いなしに、彼女は寝そべった男の下腹部に跨り、右手を添えた男根を己の膣口へと招き入れた。
「っ あん─あああ!」
己の手で処女膜を突き破り、ずぶりと子宮を突いた雛は、その一度だけで「いった」。
初めての衝撃に頭をふらつかせるが、退魔士の経験からすぐ正気を取り戻した彼女は事実を受け入れると、淫欲を滾らせる。
「─はぁ、はぁ。すごい。嬉しい!」
身体だけでも愛しい男と漸く一つに成れたことに歓喜し涙を浮かべる。
そして、只の一度で、感じた事のない快楽で、彼女は完全に劣情へと堕ちた。
もう一度。何度でも! あの刺激を!
伴部の腹筋に両手で己の体を支え、最初から激しく腰を動かし始める。
「あ! あ! あ! 奥に当たって! あ! ‼ う″!? あは! いい! 気持ちい! ああ! ああっ! 頭が可笑しくなる! あああっ! またいく! ひゃあ!? ──あはは! もっとだ! もっと!」
乱れる黒髪。蠢く白い肌。
いやらしい水音と肉音を交響曲の中、嬌声で猥らに唄う。
脳が焼き切れる程絶頂を繰り返しながら、瞬時に復活して性を貪る。
「────ぬ! ────ん! くっ!?」
無論、このような激動な淫行に、下の男が無反応でいる訳はない。
心は拒絶反応を示しているが、繋がった男根からは容赦なく快楽が流れ込む。
じわりと汗が浮かべ、必死に声を叫ぶが、女人は届かない。
仮に猿轡がとれたとしても、正気を失っている彼女には伝わらないだろう。
彼にできるのは涙目で睨むことだけ。
そんな男の視線も、雛にとっては刺激でしかなかった。
「あは! いいよ。恨んでくれ。自由になったら、幾らでも攻めてくれ! 待ってるから! あああ! 全部終わったらお前の手でぐちゃぐちゃにしてくれ!」
行動は加虐に対して、欲求は被虐に向いていた。
彼女もこんな一方的行為を相手が望んでいないことは分かっている。
だからこそ、その後、詰められることを思うと、快楽が増すのだ。
愛憎も欲望も全部私に向けてくれ。
それまでは。私の手で守るし、慰めるよ。
最早、支離滅裂の思考であり、狂気の海に沈んだ手遅れの者だ。
「あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″ッッ‼ あ″あ″ッッ‼ あ″あ″ッッ‼ ──あは?」
「!?」
この無限に続くかと思われる乱れにも変化があった。
そう彼女が最初に言っていたことだ。
これは生殖行為。ならば、終局点とは女の絶頂でなく、男の精通に他ならない。
ここまで何とか耐えてきた男も、身体は周囲に漂う媚薬も後押しをして、最早我慢の限界だった。
当然、繋がってる彼女もそれは悟っている。
「大きくなった! あ″あ″あ″ いい! 全部、私に出してくれ! 誰にもやらない! あの女にも! どの女のにも!! お前の全部、私のものだぁぁああ!!!」
「くっつ!」
「んんんんんう″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″ッッッッッ!!!」
どばっと。それまで堪えてきた分まで精子が放出し、膣内全体に余す場所なく注ぐ。
同時にこれまで最大絶頂を受けた雛は事切れたようにぴたりと止まった。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
吐息のみ零れる静寂が続く。
顔を天井に向けて、口から唾液を溢す彼女を見ながら。伴部はどうしたらいいかと、様々な思いに駆られた。
だが、そうやって悩む時間を女は与えてくれない。
もそりと、雛が動く。
「!?」
「まだだ。もっと。もっとだッ! 私にお前をくれッ!!!!」
女の劣情は終わらない。
結局、彼女の体力が尽きるまで半日ほど、このような猥雑な時は続いた。