※この作品はR-18です。

『R18二次創作』闇夜の蛍   作:天上夢月

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松重牡丹の蜜月【ラブラブH・HAPPYEND】

 

「ただいまぁ」

「おかえりなさい。ちゃんと寄り道をせず帰ってきましたね」

 

 男を出迎えたのは小柄な少女。服装は色気ない狩衣。一般的な退魔士装束。

 腰から生える黒い翼、見え隠れする尻尾、髪で見えないが角がなければ、有り触れた少女退魔士の格好である。

 即ち仕事着。即ち戦闘衣装。彼女にしてみれば普段着。断じて家で寛ぐ姿ではない。

 裸エプロンを期待しているわけではないが、色気のない格好である。

 

「…………」

「なんですか、その顔は。わざわざ出迎えた相手に向ける顔ではありませんよ」

「嫌な気分にさせたなら悪い。相変わらずその恰好だなって思ったのさ。家くらいもっと楽な恰好したらいいのによ」

「何を着るは私の自由でしょう。なんですか? 亭主関白のつもりですか? やれやれ、こういうところから男尊女卑が始まるのですね。時代遅れもいいところです」

 

 蔑んだ目で冷たくツンケンする少女。

 十人中九人程の男性が嫌な気分になる口ぶりだったが、男は慣れたので気にしなかった。

 

「ああ……重ねて悪いな。何を着るかは牡丹の自由だ。俺が口を出す権利なんてない」

「…………」

 

 素直な謝罪に対して、少女──松重牡丹は冷たい眼差しを向ける。

 嫌な視線を受けて、男──伴部は苦虫を噛んだ気分になった。

 

「ええと、まだご不満がありまして?」

「気持ち悪い言い方。……別に。ただ毎度のように鈍感だと呆れただけです」

 

 背を向けて、ばさりと黒い翼が視界に入る。

 振り向き際にぷくりと頬が膨らんでいたのは男の気のせいだろうか?

 ふむ。これは見るからに拗ねている。では、やはり此方の不手際か?

 

 あるいは欲求不満?

 

 この娘は淫魔の因子を獲得してしまっているので、よく性衝動が発露することがある。

 だが、恥ずかしがり屋。可愛い。中々自分から誘うことないし、己が人間だと示す矜持故か無理やり襲ってくることもなかった。

 その為、最初伴部が用意したのがYES・NO枕。

 すぐ却下された。寝床へ行くまでに察しろとのこと。

 結局採用された案は、牡丹の尻尾の先につけた布地の色での暗黙に気持を伝えること。

 桜色は優しく。赤は激しく。青は粘着的に。白は後先考えず溺れるほど。黒はしたくない。

 一度、黒のときにしてみたが、かなり怒られた。

 約束事も守れないのかと、庭で正座させられながらのお説教。

 ちなみにその時は生理だった。淫魔でも生理のときは不機嫌のようだ。彼女は淫魔そのものではないが。なお、黒=生理でしたくないというわけでもない。

 

 では、いま尻尾につけているのは、と無駄に視力を強化して確認する。

 

 何もないだと!?

 

 いや、別に何もつけてないときだってよくあることだ。むしろ、その方が多い。

 拒絶の意思はないが、自分からしたいわけでもない。もしくは付け忘れ。

 

 なんにせよ、彼女の内心は行動しないと分からないようだ。それに、やる気があまりない彼女を強引に犯すと征服感が満たせる。

 伴部は黒い翼をゆっくり挟むようにして、牡丹の小さな体を後ろから抱きしめた。

 

「……なんのつもりですか?」

「暫く留守にしてたからな。寂しい思いをさせたと思ってよ」

 

 伴部の顎の下に牡丹の頭の天辺が収まる。間にある翼がなければ、彼女の体はすっぽりと収まっていただろう。

 甘い香りを鼻腔で感じながら、見えない彼女の頬を優しく撫でた。

 少し熱いのは気のせいだろうか。

 そのまま、もう片方の空いた手を牡丹が纏う狩衣の隙間へ伸びたとき、ちくりと痛みが走った。

 

「った」

「なに玄関先で発情してるんですか。堪え性がないにも程があります」

 

 鋭利な尻尾の先端で軽く手の甲を突いた牡丹はばさりと翼を翻した反動で、伴部から離れる。

 

「だいたい汗臭い体で引っ付かないでください。(けが)れる」

「汚れるって、言い方酷くないか?」

 

 げんなりした男を少女はふんと嘲笑した。

 

「事実でしょう。さっさとお風呂に入ってきてください。夕餉を冷めさすつもりですか?」

 

 ────

 

 色々あって、伴部と牡丹は一軒の屋敷で共に暮らしている。

 外観様式は扶桑国伝来の瓦屋根が映える武家屋敷だが、内部の構造が他よりも天井が高く、横幅も歩くのにかなり余裕がある作りだ。

 これは妖化した牡丹に合わせた建築になっている。

 化けて普通の人間に見せかけることも可能だが、少しでも彼女が居心地のよく過ごせるようにと、文字通り羽根を伸ばせるような空間にしたのだ。

 

「御馳走様~今回も美味かったぞ」

 

 伴部は準備された夕餉を欠片一つ残さず平らげた。

 食卓に並べた食器が空になる光景を前に、牡丹は満足気に口を緩める。

 

「どういたしまして。この程度の料理で毎度満足してくれる舌で助かります」

 

 伴部の舌を馬鹿にした口振りに聴こえて、その意味合いがないわけではないが、本音は自分の料理で満足したことへの安堵だ。

 

「いや、牡丹が作ってくれたから美味いんだぞ?」

「ほう。では今度は虫料理でも挑戦してみましょうか。勿論、茶碗蒸しなどではありません。わさわさ、もぞもぞするほうの虫です」

「普通に作ってください」

「冗談です。本気にしないでください」

 

 躾や実験ならいざ知らず、普段の食事で男に妙なものを口にさせる気はなかった。素直に喜んでほしいと思えるくらいには、少女は男に想っている。

 即座に頭を下げた伴部に呆れながら、牡丹は袖から符を取り出し、簡易式を出現させた。

 複数作り出された紙の人形は食卓の食器を小さな体で危なげなく持ち上げ、洗い場まで持っていった。そのまま食器を洗い、棚にまで仕舞うのでとても便利である。

 高貴な退魔士ならば雑人にでも任せるだろうが人手が足りない。あるいは信用できない雑多な人間など使いたくない者にとっては手間が省けて何よりだ。

 片付けられた食器の代わりに湯気が上った茶が二人の前に置かれていた。

 伴部は遠慮なく食後の一服を嗜み、鬼月家の下人時代では滅多に味わえなかった緑茶の味を楽しんだ。

 

「ところで牡丹はどう過ごしたんだ? 一日家にいたんだろ」

「別に特に話すことない退屈な一日ですよ──」

 

 そう口切りしたわりには愚痴がポロポロ出てきた。

 やれ、祖父が熊と共に茶々を入れにきた。姉たちが何も告げず遊びに来たタイミングで運悪く碧鬼と遭遇し、屋敷が壊れかけた。何処から現れた商家の女主人が押し売りしてきた。

 退屈とは程遠い破天荒な幕間。そんな苦労を伴部が労う。

 こうやって二人が雑談を交わす様子は、この屋敷では日常になっていた。

 

 数年前では考えられない光景。人生、何が起こるか分からないのである。

 

 いつの間にか話が愚痴から次の夕餉はどんなものが食べたい話に変わっていると、ボーンと重鈍な響きが居間に鳴り響いた。音の正体は橘商会が頼んでもしないのに置いていった南蛮由来の振り子時計である。

 

「こんな時間ですか──そろそろ寝ましょう。支度は既にしています」

「それは……何からなにまで今日は至れり尽くせりだな」

「これくらい当然です」

 

 話に夢中になって時間を忘れていた牡丹は名残惜しさなど微塵も見せず、淡々とした態度で立ち上がり、伴部も後に続く。

 

 寝室に向かうとそこには横に並んだ二組の布団。最早一緒の空間で寝るのが当たり前になっている二人。

 なお、片方の布団が明らかに大きい。それが牡丹用なのだが、それは彼女の翼の大きさを考慮した結果である。ついでに伴部用の布団より素材が良く、寝心地も差があった。

 牡丹のほうが家で過ごす時間が多く、一人で寝ることも考えればそれくらいの格差を気にしては度量が知れよう。

 

 そもそも、二人が同じ布団で一緒に寝ることもよくあることだ。

 

 寝室に着いた牡丹は伴部の足元に準備した寝間着を置くと、背を向けて自分も着替えを始める。

 牡丹はいつものしている髪留めを外し、髪を手櫛ですいていると背中から体重を感じた。

 

「……いきなり引っ付かないでください。着替えれないでしょう」

「本当に寝るのか?」

 

 玄関でしたように後ろから抱きついてきた伴部を牡丹はジト目で見上げる。

 まさに目と鼻の先。少しでも背伸びすれば唇が触れそうだ。

 腰に回される逞しい両腕。数刻前の抱擁よりも強い密着で相手の体温を感じながら、彼女は重い溜息をした。

 

「私だって──我慢してるんですから今夜は遠慮してください。私の性質は今更説明する必要もないでしょうに」

 

 御覧の通り、彼女は人の道を外れた存在。

 かつて受けた呪詛から逃れる為に、自分の身体を変質させた。時間が経つにつれて多少な慣れはしたが、肉体に宿る淫欲は一度解放したら簡単には止められない。

 久しぶりに心許している男の温もりだ。自制をせねば際限なく甘えてしまうだろう。

 

「仕事疲れの貴方に負担はかけたくありません」

 

 自分を気遣う女の告白に伴部は口端を緩める。

 気持ちは嬉しかったが、男は欲望に正直だった。

 

「悪いな。俺は牡丹を抱きたい。我慢できない」

「──ッ、後悔しても知りませんよ」

「するもんかよ」

「そうやって、やり過ぎたと支度に慌てる姿が目に浮かびます」

 

 やれやれと呆れるものの、彼女はもう抵抗しようとする素振りは見せなかった。

 

「ああ、うん。じゃあ、程ほどで切り上げするよう努力する」

「信用できない言葉」

 

 くすりと笑った。振り向くと小さな唇が伴部の唇と重なった。

 

「………んっ」

 

 触れた唇から溶けそうな甘い声が漏れる。

 

「んっ………んぐっ………ちゅ……はぁ……ちゅ……んん」

 

 互い肉厚を感じながら、触れ合うだけの唇同士は貪るように重ね合わせ、どちらか先など分からず、舌を絡み合わせていった。

 

「ん……あっ………んちゅっ………………んんっ……んちゅ…………はぁ…………れろちゅ………」

 

 卑しい水音を鳴らし、唾液を嘗め合い交わう男女の舌。

 熱い口吸いをしながら伴部が頭を撫でると牡丹は一層蕩けた顔を魅せた。

 

「んん………ん………ちゅ…………んん!!」

 

 びくりと牡丹の身体が触れる。

 伴部が彼女の耳元に生えた角に触れたからだ。裏に付ける耳飾りのように巻いた角の先端をコリコリとなぞると、牡丹の身体がビクビクと震えた。

 

「んふ!………んん!………ちゅ!………あう………………ちゅ!……んん!」

 

 淫魔の角は性感帯の一つという説がある。正確には真正の淫魔ではなく、様々な因子の複合体である牡丹だが彼女にとって角が敏感であることは確かであった。

 

「んん!!……んん!……うん!……うん!…………はぁはぁ………………んん!…………ちゅ!……はぁはぁ」

 

 一旦、ぷちりと糸が切れる。

 牡丹、頬を赤く染め上げ息を荒げながら、唾液まみれの口で不敵に笑う。

 

「接吻だけでこんなに膨らませるなんて、仕方のない奴」

 

 股下に隠れる膨らんだ逸物に小さな手が触れると、伴部もまた不敵に笑った。

 

「どの口が言うか」

「んん!!……はふ!!……ん!……んん!………………ちゅちゅ!」

 

 深い接吻を再開させた伴部は慣れた手つきで牡丹が纏っていた衣服を取り払った。

 色気ない狩衣から現れたのは黒皮が張った淫猥な衣装だ。

 下着とは違う。曰く、大陸西方に伝わるサキュバススーツ。淫欲を抑える礼装。

 その姿はまさに男を惑わす淫魔。黒い紐で抑える白肌が目立つ。ささやかな胸の先端がぷくりと膨らんでいた。下腹部、すなわち子宮に該当する部分はハート型の淫紋。ガーターベルトを纏う太ももの間は汗と密で湿っていた。

 

「相変わらず、どエロい衣装で」

「はぁ……はぁ……私の趣味じゃないのはご存じでしょう?」

 

 牡丹の言葉に偽りなく、これは彼女に宿る妖の因子を抑える拘束着なのだ。

 彼女は平穏な日常生活を過ごすにあたって普段から身に着けている。一種の処方なのであるが、事情を知らないものが万が一知れば、卑猥な少女を思われるだろう。

 

 彼女にとっては遺憾である。

 

 外観はそうでも自分は手当たり次第に貪り、快楽に溺れる獣ではないと自負する。

 正確に言えば、目の前の男以外は興味がない。

 濡れないのだ。

 

「なら、どんなのが趣味なんだ?」

「特に何も。けれど貴方が望むなら姿なら、少しぐらい譲歩してあげますよ?」

「じゃあ、次の逢引きは決まりだな」

「楽しみにしておきます」

 

 優しい約束をこぎつけた男はふしだらな世界へと戻る。

 

「はう……! んん……ッ!」

 

 ごつごつの手が小さな胸に触れた。

 成長期を逃したのか、体を蝕んだしがらみがなくなり、性力を促す因子を後押しがあっても、さほど大きさは変わらない。彼女が小柄な為、計測よりも掴むとこがないというわけでもないが、肉付きがいいのが男の趣味だと知った女にとっては無念である。

 あばら骨が浮かび上がった酷い体を戻すのに、残りの成長を使ったせいか。

 

 許すまじ鵺。おい地獄で笑うな。

 

 しかし、ないものはないのだ。

 いや、あることにはあるが、豊満というには程遠い。

 であれば、違う手管で誘惑するしかなかろう。

 男の愛情に目を瞑って無視するほど、彼女は怠慢ではなかった。

 

「はむ」

「!」

 

 伴部が自分を貪う中、牡丹も男を味わう為、首筋に舌を這わせる。

 吸血行為はしない。性的快楽と酩酊効果があるのは分かっているが、下手をすると大動脈を傷つける。性交中の吸血は危険なのだ。二度はしない。

 小さな手が鍛えた胸板を撫で、自分をされているように乳首を抓る。

 

「っ、はあ……ん……うぉ」

「ひゃあ……はぁ……う……あぁ」

 

 男女は互いに喘ぎ、攻める。

 男が太い指で女の陰部をいじくるなら、女は手慣れた手つきで男根をしごく。

 牡丹の尻尾がゆらゆらと空いているが、使わなかった。先端が鋭いので下手に使えば相手を傷つける。一度菊門に刺したことがあるが、あれは自分も肉棒で尻をされたお返した。お互い反省して、二度とはしないと約束した。

 女の快感を表すように震えた黒羽から抜け落ちた羽根が幾つも畳に落ちていた。

 

「……うぅ!………はあ…………!」

「……やぁ………ちゅ………んん!」

 

 

 伴部は陰部を弄りながら、器用に膣を指でかき混ぜ、舌で女の柔らかな肉体を汗を味わった。

 牡丹は小さな指で亀頭を擦り、竿を玉をもう一つの手で弄ぶ。舌は男と同じように相手の身体を味わっていた。被りつきたい衝動は性欲のみに抑えて、ごつごつした無骨な筋肉に自分の痕跡を残すよう吸い付く。

 

「…………はあ…………はあ…………はあッ!!」

「………んん………………ちゅ………あぁッ!!」

 

 どれだけ互いの身体を貪ったか。

 長かったのか短かったのか、時間を見ていない二人には分からない。

 確かなのは、先に根を上げたのは牡丹である。

 

「はぁ……はぁ……! 無理ッ……もう入れてください………」

 

 臨界点寸前だが、今まで重ねてきた性交により、最早ここまででは互いに最後まで達せない身体となっていた。

 むしろ、早く繋がりたいともどかしさで気が狂いそうだ。

 

「もう少し楽しまないか?」

「じらすな。さっさと入れろ」

「お~怖い怖い」

「あ──」

 

 バツンと牡丹を抑制したサキュバススーツが伴部の指で畳にズレ落ちる。

 着衣エロも好きだが、あれは彼女の淫乱な気持ちを抑制させる。

 解放感を味合わせるならば、今回はなしで楽しもう。

 我慢できないようであるし、思う存分快感を得てもらうには必要な処置だ。

 満足するまで淫蕩に海を共に泳ごう。

 要望に応える為、伴部は牡丹を大きい布団に優しく押し倒す。

 物欲しそうにする彼女の顔を見下ろしながらゆっくりと陰茎で小さな膣を穿いた。

 

「あぁ………、久しぶりの感覚ですね」

 

 感慨深く、牡丹は吐息を漏らす。自分の身体によく馴染んだ。

 伴部の逸物はあの元地母神のような不審者の影響で並みならない大きさである。

 最初の頃は無理!入らない!殺すつもりか!?と罵声を浴びせたが、何度も抱かれるとすんなりと招き入れられるようになった。

 求められたものが身体に埋まり、牡丹は一時的に落ち着きを取り戻す。

 

「倒れてこないでくださいよ。貴方の顔が見えないし、息苦しいんです」

 

 体格差がある二人は正常位で倒れると、牡丹の視界には男の腹筋しか見えない上、殆ど押し潰される形になる。その状態を彼女はそこまで好んではいない。

 

「分かってるさ。何回抱いたと思っているんだ?」

 

 男は出し入れを始めた。

 陰部同士が触れては、離れてを繰り返す。

 ぶずぶと何度も動かした場所を、飽きず、更に求めて快楽で支配していく。

 

「はぁ……あん……ん……あ……あ……んん!」

 

 動かす度に、可愛らしい声が響き、緩やかに胸が震えた。

 腰から伸びた翼は畳の上で広がっており、伴部が突くたびに羽音を鳴らして、肉音を誤魔化していた。

 それも最初の内だけ。

 徐々に速度を上げると、隠しきれない数多の卑猥な音楽が部屋に響き渡った。

 

「ああ……ううあ……あ……。いぃ……あん……ああ……いいですね。悪くないです」

 

 嬌声を出しながら、柔らかく、夢心地のような喘ぎを漏らす。

 この男に抱かれた数は両手で数えきれない。

 回数を重ねるうちに余裕が生まれて、情痴に狂うことはそう無くなった。

 生を孕ますに強い魔羅棒は女を溺れさすには逸脱した男根だ。

 正気で保てるのは一重に、牡丹の身体で淫魔の因子と同じ血が混ざっているからだ。

 単純に霊力が強い人間でも、恐るべき異能の持ち主でも、果ては鬼のように強靭な肉体を持っていても、いつか限界が訪れる。

 愛情で超えられる限界人間はそう多くはない。

 他の女では何人か見繕わなければ、肉棒にすぐに果ててしまう。

 常人なら壊れる。男自身も満足できまい。

 

「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ! 牡丹の中気持ちい。ち○こ溶ける」

「ううん……! ああ……! ふふ、情けない顔。………んん!!」

 

 荒い呼吸を出しながら、夢中になって自分を求める顔を見ると胸の奥が暖かくなる。

 気分がいい。それは肉欲以外で得た第三の幸福供給。

 思わず手を伸ばしたが、遠すぎて頬に触れられない。

 寂しさを紛らわすために、傍にあった両手を絡めた。

 自分だけが、一人で彼を満足させられるのだ。少なくとも牡丹をそう思っている。

 実際はどうであるか、今更試す気はない。定かではない。実験もさせない。

 

 もうこの男は、自分だけのものなのだから……。

 

「くぅ──随分といい具合だ。こりゃあ、牡丹もかなりしたかったようだな?」

「んぅ……んぅ……あぁ……意地悪ですか?……こ、ここまできて、あん! わざわざ、確認することですか?……あぁ……それに、ん、我慢できないのは、さっき言ってます…………んんッ!」

 

 抽送運動繰り返しながら、男の戯言を譫言のように答える。

 

「もっと聞きたいんだ。牡丹がどう思っているのか。俺のこと、どう思ってるだ?」

「どう、って────」

 

 何を今更と出かけた言葉は、静かに見下ろしてくる黒い瞳に黙殺された。

 正直に吐露するのは恥ずかしい。顔が赤くなる。下手な痴態を晒すより、沸騰しそうだ。

 

「んん……! あッ……! うう……! はぅ……!」

 

 答えなくても反復行動は止まらない。

 一定の感覚で牡丹に快楽を与える。雌の感覚を攻め続ける。

 このままやり過ごせないのかと思ったが、男の視線がそれを赦してくれそうにない。

 止まらない刺激に急かされ、観念した。

 

「す、きです……あッ……貴方がすきです……はふ!……すき。だいすき! でなければ、何度も抱かれてません! っ、これで満足ですかぁ!?」

「ああ、嬉しいな──」

 

 やけくそのような発言に男は満足そうな笑みを浮かべた。

 ごちゅう、と深いとこを突かれる。

 

「ふきゅぅ──!?」

「俺も好きだよ」

 

 まだ慣れない告白。いいところへの一撃。トドメに耳に残る優しい、好きな人の言葉。

 余裕が崩れてしまった。女が更に男を求めだした。

 こうなってくると、思考がままらなくなる。

 

「うぅ……! あん……! 激し、く! はぁはぁ……あんんッ!」

 

 勢いが増した。最初は落ち着いていた肉欲が脳内麻薬を分泌させていく。

 ぐちゅぐちゅと、卑猥な音が耳元で響く度に、精神が削れていった。

 

「ああ……! そろそろ……! 私……! ふぁあああぁん……!!」

 

 ちかちかと頭の奥が光る。牡丹も性交に慣れたとはいえ、最後まで余裕というわけではない。

 愛を言って、愛を囁かれたら、守っていた理性の城が崩落する。

 擦れるたびに彼女の身体は熱病に侵されたように火照る。

 精子を絞り出せと膣を絞め上げられる。男も魔羅棒また応じるように、彼女の身体を更によがらせた。

 

「──ああぁ、出る!──出るぞッ!」

「あ゛んあ゛んあ゛んあ゛ん………いい、きて、………もっと私で感じて、くださいぃ………はう゛!」

 

 バンバン!と肉がぶつかる音。汗が飛び散る。

 応えるように。そして、自分の快楽を突き動かすように腰を振るう。

 

「───ふぅ!───ふぅ!───ふぅ!───ふぅ!」

「───あ、あぁあ、はん! は、ああああ! 奥がぐちゅぐちゅに! だめ……! ん゛んん゛! いきま、す! イくッ!」

 

 くちゅ、ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅ、ぱちゅ!!

 子宮は受け入れ態勢。亀頭の限界突破直前。締め上げた膣肉は吐き出せと求める。

 すっかり慣れた体は既に受け入れていた。黒羽根が散り、尻尾が蛇のようにくねって、男の情熱な視線と女の潤んだ視線が絡み合った。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!」

「うおお!!!」

「あ゛ぅ─────────────────ッ!!!」

 

 どびゅびゅるるるるる!!

 腹の奥で男の遺伝子が解放される。一瞬意識が飛び、互いに絶頂を達した。

 ぶるぶると痙攣しらながら両手を強く握り合う男女。

 汗が垂れる。男女の荒い熱息が聞こえた。

 牡丹は潤んだ目で出され続けている自分の腹を見下ろした。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……!! 熱い……これまた随分の量を出しますね……」

「ふぅ───────っと!」

「きゃあ!?」

 

 まだ子宮の奥に注ぎ込んだまま、伴部は牡丹を持ち上げた。

 膣に入れたままの状態で、伴部は牡丹の身体を胡坐かいた自分の上に座らせるような体位にする。

 すると、真っ赤な愛らしい顔が傍まできた。見惚れる間も唇を貪る。

 

「はむ!? んんん! ちゅ! んん!」

 

 少し驚いたが、すぐに受け入れて牡丹も自身の舌をくねらせた。

 自分の唾液を相手に無理やり飲ませるかのような、卑猥な口づけ。その間にも牡丹の子宮には伴部の体液が注がれ続けていた。

 暫くして白濁の放流が一旦収まると、伴部は牡丹の唇から離れる。

 

「まだまだしたりねぇけど、いいよな?」

 

 繋がった逸物の硬度は健在で、むしろ出した後にもかからわらず、牡丹の中で更に膨張しているようだった。

 物欲しそうな男の言葉に少女は心底呆れた。

 両手を首に回し、吐息を唇に当てながら応じる。

 

「はぁ……はぁ……ふぅ……一度で済むとは思っていませんよ。

 いいから続きをしなさい、どすけべ……」

 

 ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トテトテトテ!

 大きな屋敷を小さな人影が走り回る。

 

「あ! 大お爺様だ! おはよう!」

「おぬしか。もう昼前だぞ。母親がいないと父親に似て寝坊助だの」

「お母様とお父様は?」

「あやつらは二人で出かけおったわい」

「えええええ!! ずるい! なんで私をおいていったの!?」

「おぬしだけではない。普段おぬしらの世話で夫婦水入らずの時間なぞないのだ。偶には我慢せえ」

「ぶう────」

「すねるな。ほれ、庭で他の兄妹たちと遊んでこい」

「あ! 源武いる! ろけっとぱんち見せて~!」

「やれやれ、平和じゃの」

 

 溜息をした老人は皺だらけの顔で微笑み、心の底からそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眩しい陽射しの中、仲睦ましく一組の夫婦が寄り添うように歩いていた。

 かつては、仮面で隠していた男が素顔を晒し、穏やかに。

 かつては、自ら着飾ることもなかった少女が、隣にいる人に喜んでもらう為にお洒落をして。

 

 二人はこれからも生きてゆく。

 




 前と違ってハッピーエンド。
 最近の牡丹活躍で筆が進みました。白状すると、初めて読んだ時からいつか担当章きたら、書いてやるんだとおりました。
 今日出た最新話では出なかったけどね。畜生め。不穏だ。

 次は誰を書きましょうかね。
 ハッピーエンドでないことは確実です。

 アンケートまたあるので、よろしければご協力お願いします。

 感想、評価、お気に入り登録は今後の創作活動に影響するので、お嫌でなければ何卒よろしくお願いします

どのシチュエーションが好みですか?

  • 葵、牡丹のようなラブラブH
  • 雛、佳世のような男側が苦労するH
  • 白のような鬱展開
  • まだ見ぬ本格凌辱。伴部以外の竿役。
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