なんかランキングの一部で1位になってたみたいで、本当にありがとうございます。
「ふむ。まだ出口には遠いな」
見上げる空にはいくつもの層が見えた。
ネメシスが送り込まれたのは幾重にも重ねられた電脳空間だ。各位相にはダンジョンが存在し、踏破することで一つずつ上の位相へ上がっていき最終的には脱出できるらしい。真面目にダンジョンを踏破する気は全くないため、ネメシスはダークマター化して障害物を通り抜けるなり破壊するなりしてクリアしていた。
もっとなりふり構わず能力を振るえばこの電脳空間そのものを破壊し、脱出できるかもしれないが、それで現実世界にまで余波が飛んで運悪くモモに死なれたりしては困る。仕方がないので、ネメシスは一つ一つダンジョンを突破し続けていた。
(それにしても、あの男はどういうつもりだ?)
この電脳空間は面倒だが、出られないわけではない。あくまで時間稼ぎにしかならない。そして一度外へ出てしまえば、戦闘力的にこちらの勝ちは確実だ。
なにか策があるのだろうか?
(甘く見ないほうがよさそうだぞ、メア……)
まさかメアに届くわけはないだろうが、ネメシスは心の中で呟いた。
【♡】
「……ダメかぁ」
メアを残してラセールとモモが別室に消えてから2時間以上が経過した。何度も脱出を試みたが、絡みつきながら同化した触手と電撃を放つ首輪の二重の拘束を破ることは叶わなかった。何度も電撃を受けたため、メアの身体はモモたちが立ち去ったときよりさらに傷つき、あちこちが焦げていた。
自分の身体が別のナノマシンに置き換わる。聞いても今一つピンとこないが、
――過酷な世界で生き抜くための術である能力が失われた。
敵地の真ん中で受け止めるその事実はあまりに重いが、モモが捕まっている現状で挫けている暇はなかった。
ガチャリと音がして扉が開き、誰かが入ってくる。
「! モモちゃ――」
目を向け――モモの変わり果てた姿を見てメアは絶句した。
モモは手錠をかけられ、その腕をネックレスのようにラセールの首にかけられていた。まるで磔だ。その状態でいまだ貫かれたままなのだろう。ベビードールのシースルースカートの向こうでは秘所から体液が垂れ流しになっている。お尻から伸びているはずの尻尾が見えない。どこへいってしまったのかと思えば、ラセールのペニスに巻き付けられ、そのままモモの尻穴に収まっているのが前からわずかに見えた。腹部がわずかに膨らんでいるのは、それだけ大量の精液を腸内に注ぎ込まれたということだろう。それなりに血なまぐさい人生を送ってきたメアだったが、自分の知人が受けるにはあまりに惨い仕打ちに思わず吐き気がした。
虚ろな目で時折喘ぎ声を漏らすだけになり、背後から貫かれたままラセールの歩みに合わせてつま先立ちの足をヨタヨタと動かすその姿は、普段のリトへの愛を胸に楽園計画を推し進める活気溢れた彼女とは似ても似つかなかった。モモに似せて作られた肉人形だといわれた方がまだ信じられるほどだ。
だが顔に残る涙の跡が、彼女が偽物ではなく酷い仕打ちをうけたモモ・ベリア・デビルーク本人だと訴えかけている。
「おにいさんさ――」
自分も
「ぜったい許さないから」
並の荒くれものならその威圧感だけで逃げ出しそうな仄暗い眼光。それを受けたラセールは冷や汗を流しながらも怯まない。
「怖いな。ちょっとは怯えてくれるかと思ってお風呂の前に見せにきたんですけど、逆効果だったみたいだ」
「わたしとえっちぃことするつもりなら、気を付けないとその首かっ切っちゃうかもよ?」
「そうですね。精々気を付けます」
ラセールは肩を竦めて部屋を出た。
「ッ……この!」
力任せに拘束する触手を引き千切ろうとする。
だがナノマシンの置き換えによる効果なのか、普段のような腕力はでない。外見相応の非力さ。かつてないほどの無力感を噛みしめ、メアは唇から血を流した。
【♡】
モモが正気に戻ったのはまたも風呂場だった。すでに拘束は解かれ、チョーカーによる感覚制御も働いて普段通りの動きができる状態。そのモモの身体を、ラセールが介護職のように丁寧に洗っている。
「ひっ……!」
さっきまでの凄惨な凌辱がフラッシュバックして、モモは慌ててラセールから離れた。
「ああ、よかった。戻ったんですね。いやー、やりすぎて廃人になっちゃってたらどうしようかと思いましたよ」
あれほどのことをしておいて呑気な態度をとるラセール。さっきまでの――尻穴を犯される前のモモなら殺意を抱いていただろうが、いまは恐怖しか感じなかった。
「もうやめて……! もう私に近づかないで!!」
「はぁ、仕方ない」
「イヤ! 来ないでッ!!」
ラセールは発狂し暴れるモモを優しく抱擁する。フェロモンがモモを侵していく。性的興奮が恐怖を上回ることで、モモは少し落ち着きを取り戻した。
「あ……あ……」
「ほら、そんなに泣かないで。キミはこれから結城リトの家に帰って、何事もなかったように振舞わなきゃならないんだから」
「……――ッ!」
それはこの関係は終わらない、終わらせないという宣言。
絶望感でモモの膝がガクガクと震えだす。
「もうイヤ……。お願い、処女でもなんでもあげるから、もう許して……。私にこれ以上関わらないで……」
「嫌です」
ラセールは笑う。
「ボクはね、貴女に処女を捧げさせたいんですよ。『あげる』じゃダメなんです。『もらってください』じゃないと。モモさんに自分から処女を捧げて、ボク専用の雌奴隷、孕み袋にしてくださいってお願いさせるのが目標でありゴールなんです。そのための一ヶ月って約束でしょ? 大丈夫。一ヶ月経っても貴女がボクを拒否するなら貴女の勝ちですから。ボクはそのまま消えて二度と貴女の前には現れない。でもそれまでは付き合ってもらいますよ。それでも拒否するなら、前に言った通りボクは西連寺春菜を狙うだけです。それでもいいですか?」
「あ……あぁ…………」
どこにも逃げ場はない。
ハーラマ星人のフェロモンと毒の威力を、モモはその身をもって味わった。これを駆使して優しく言い寄られれば、たいていの女子は貞操観念の高さに関わらず一日で身体を許してしまうだろう。そして地球人よりはるかに頑丈なデビルーク星人の自分が二日で根を上げるような凌辱を、春菜が受けてただで済むはずがない。
もう暴力で叩き潰してしまえばいい。一番手っ取り早い話だ。
事実、フェラ――いやイマラチオされた時点でそう思ったはずだ。
それなのに、いまはそんな気は起きない。端末を操作される前に倒せば勝てる相手なのに、怒らせたらどんな仕打ちをされるのかと思うと恐怖で手足が動かない。今日の凌辱はモモの心――その一部を確実に破壊し、強烈なトラウマを植え付けていた。
「さあ、分かったらさっさと身体を綺麗にして家に帰ってください。ボクは今日中にメアさんを堕とさないといけないんで暇じゃないんですよ」
「メアさん――!?」
ハッとした。過酷な調教ですっかり頭から抜け落ちていたが、自分を助けに来たメアはいまも囚われの身だった。
「やめて、メアさんには……!」
「じゃあ代わりに一晩中セックスしてあげましょうか?」
「あ――」
身体が強張る。ほんの2時間か3時間でこの有様なのに、一晩中犯されたら間違いなく自分は廃人になる。
怖い。
身体が動かない。
怯えるモモに、ラセールはわざとらしく爽やかに笑いかける。
「大丈夫ですよ。あの赤毛のメアがボクの調教なんかに負けるわけないじゃないですか。それにお友達は信じるものでしょう? ちゃんと『メアさんなら大丈夫』って信じてあげないと」
それはむしろ勝ちを確信しているからこそ出る言葉。
このまま帰ればメアがただでは済まないのは間違いない。
だが……
「…………そう、ですね」
モモはもう首を縦に振るしかなかった。
浴室を出る敵の背中を、敵が投げ寄越した『友を信じる』という建前に乗って、恐怖に負けて助けに来てくれた恩人を見捨てたという負い目を背負いながら見送るしか、なかった。
【♡】
「モモちゃんはどうしたの?」
バスローブ姿で戻ってきたラセールにメアが問いかける。
「綺麗に洗って帰ってもらいましたよ。貴女のことを心配してたので説得は面倒でしたけど、彼女にはあくまで『恋人ごっこに付き合ってあげているだけのいつも通りのモモ』でいてもらわなければ困りますから」
「で、次はわたしをどうにかしようってわけだ?」
「えぇ。でもまぁ気が楽ですよ」
ラセールは首や肩を回して凝りを解していく。
「処女やキスは奪わない縛りでやってるモモさんと違って、貴女には何をしてもいいわけですからね」
その笑みは、いままでモモの前で見せたどの顔より厭らしく邪悪だった――
【♡】
モモが結城家に戻ると、美柑が迎えてくれた。
「おかえり、モモさん」
「え、えぇ……。ただいま、美柑さん」
リビングに向かえば食事の用意ができていて、みんなが……リトとララ、ナナがいる。
「おかえり。今日も遅かったな」
「おかえりー、モモ!」
「お待たせしてすみません……」
愛しのリトはいつも通り優しく、姉のララはいつものように明るい。
「おかえり。こんな時間まで余所の王子の相手しなきゃならないって大変だな」
「まぁ、ね……」
双子の姉の軽口も、いつもと変わらない。
何もかもいつも通り。感覚も制御されて身体に何の問題もない。とても十数分前まで尻穴を犯され発狂寸前まで追い詰められていたとは思えないほどに、当たり前の日常がモモを包んでいる。さっきまでの出来事は悪い夢だったのではないかとすら思えるほどに。
だが、
(あ――)
食事を始めると気づく。食べた物が喉を通るときの違和感。それは毒針で何度も何度も刺された喉がラセールのペニスを受け止めるための器官に変貌した証。食事に支障があるわけではないが、ハッキリと自分の身体が今朝この家を出たときとは違うのだと突きつけられてしまう。
「どうしたの、モモさん? なにか味おかしかった?」
「あ、いえ! いつも通りおいしいですよ、美柑さん」
慌てて笑顔を作るモモ。
その後もできるだけ平静を取り繕ったつもりだが、どこまでみんなを欺けたかは分からなかった。
その日の夜も酷かった。
メアを見捨てた罪悪感とその後の安否が気になって寝付けない。ようやく眠れたと思えば、夢に見るのは今日の苛烈な調教の光景。何度も飛び起き、その度に下着はグッショリと濡れていた。
まともに眠れないまま夜が明け、一日が始まる。
登校してまずするのはメアの安否確認だ。ラセールの目的はあくまで穏便に、この調教を一切表沙汰にすることなく終わらせること。モモがいつも通りの日常を送らなければならないように、メアもいつも通りに過ごさなければならないはずだ。だから命の心配はない。……そう信じるしかない。
すぐにでも町中を探し回りたい気持ちを抑え、モモはいつも通りに登校して席に座り、メアが登校してくるのを待った。一秒一秒が長く感じる。落ち着いているふりをしても、つい髪の先を弄ってしまう。貧乏ゆすりも止まらない。早く彼女の……メアの無事な姿を確認したい。
「なぁモモ、そんなにそわそわしてどうしたんだよ?」
「別にそわそわなんてしてないわよ」
「なんか昨日もちょっと変だったし、あのラセールってヤツとなにかあったのか?」
「…………なにもないわよ」
「……」
気まずい沈黙。
少しして、ようやくメアが登校してきた。
「おっはよー」
彼女は昨日の出来事が嘘のように軽快な調子だった。いつもと変わらない、呑気で明るいメアだ。それが逆に不安を煽る。
「メアさん、ちょっと」
「え、なにモモちゃん?」
返事も聞かず、メアの手を取り教室を連れ出した。ナナとヤミが不思議そうにしていたが、落ち着いて段取りを踏むような余裕はない。
人気のない階段の踊り場で、声を潜めて訊ねる。
「メアさん、昨日は大丈夫だったの?」
「ん? あぁ。大丈夫か大丈夫じゃないかなら、あんまり大丈夫ではないかなー。そっちこそ大丈夫? けっこう酷い目に合ってたけど」
「お、思い出させないで!……やっぱりメアさんもあの男に……」
「うん。ちょっとご主人様に躾けられちゃったね」
「――――え?」
彼女の口から出た言葉に、息が詰まる。
いま彼女はラセールをなんと呼んだ?
「メアさん、なにを……」
「だからね、ご主人様に躾けられちゃったの」
そういうとメアはスカートをたくし上げた。
彼女のつるつるとした恥丘は黒いシースルーの卑猥なショーツに包まれ、しっとりと湿っていた。そして下腹部――ちょうど子宮のある位置にはハート型の刺繍のような紋様が浮かんでいる。
「昨日モモちゃんが帰らされたあと……昨日の夕方からついさっき――登校する直前までご主人様に犯されてたんだ」
「――ッ!?」
ラセールのセックスの恐ろしさを知るモモは耳を疑った。
たった2時間程度でもあんなに辛く過酷だった仕打ちを半日も続けられたなんて、たとえ彼女が特別でも精神に異常をきたすに決まっている。
だがモモの考えを予想していたのか、メアは「あ、一応頭がおかしくなってたりはしないよ」と付け加えた。
「ただね、ダメなんだ」
「? なにが……」
「ご主人様にキスされて、子宮まで犯されると、ダメなの」
そう語るメアは普段の呑気な顔ではなく、とても淫靡な雌の顔になっていた。
「わたしさ、いままでけっこう荒んだ人生送ってきたし、男のひとと恋愛とかあんまり興味なかったんだよね。だからキスとかセックスとかも特別な意味なんて考えてなくて、ただの気持ちいいこととしか思ってなかったの。でもね、違ったんだ……」
メアの秘裂から愛液と……それに混ざっておそらくまだ出されたばかりだろう精液が流れ出してくる。
「ご主人様とキスして、セックスして、それでわかっちゃったの……♡ 自分がメスだって♡ 男のひとと唇をくっつけるってやっぱり特別なことで、すごく心を通わせる行為なんだよね♡ キスして口だけでイッちゃったとき、ご主人様への不快感とか吹っ飛んですっごく愛しくなっちゃった♡ そのあと処女膜やぶられて、子宮をいっぱい突かれたんだ♡ いままで意識したことなかったのに『あぁ、わたしには子供を作る部屋があるんだ』って自覚ちゃった途端、わたしの意識が一気にメスに変わったの♡
メアの指が下腹部をなぞる。
「でもね、そんな赤ちゃんをつくる部屋の中までおちんちんで突かれて、赤ちゃんをつくるためじゃなくてご主人様を満足させるための道具にされたとき、そこからさらに堕ちちゃったんだ♡ わたしは負けたんだって♡ メスとして、オスに負けたんだって♡ ご主人様にご奉仕するために媚びる負けメスにされたんだって♡」
メアの表情が恍惚としたものに変わっていく。
そして、モモの下腹部に手を這わせた。
「モモちゃんはまだご主人様にキスもセックスもしてもらってないんだよね?」
「な――!?」
「じゃあたぶんわかんないよ、この感覚。唇を奪われて、セックスして、子宮の中まで犯されて、女の子として一番大事な部分をメチャクチャにされて、それでも気持ちよくなっちゃう敗北感。でもだからこそ、わたしより辛いんだよね。ご主人様はモモちゃんに自分から捧げさせるのにお熱だから、一思いにトドメなんて刺してくれない。このままだと半死半生のままずっと嬲り続ける気だよ、あのひと」
「メアさん!!」
彼女の肩を抱き、揺さぶる。声を潜めることも忘れて叫ぶ。
「正気に戻って! あなたはそんなモノじゃないでしょう! あなたは――」
スッ、と。
モモの口をメアの一指し指が閉ざす。
「大丈夫だよ。わたしは正気。たしかにこんなこという女の子、頭がおかしくなったって思うだろうけどさ。要するにカンタンな話なんだよ」
彼女は哀しく微笑み、いった。
「わたしはご主人様にレイプされて、メスとしてこのオスには絶対勝てないんだって思い知らされちゃったの。ただそれだけ」
その目に宿るのは色欲と諦観。
敗北を認め、受け入れた彼女いわく『負けメス』の目。
正気を失ったのではない。
ただ心が折れただけ。
「メアさん……」
「そんな顔しないでよ。別に殺されるわけじゃないし、これからはわたしもいるからモモちゃんの負担も軽くなると思うよ? もう帰らないとナナちゃんとヤミお姉ちゃんに怪しまれちゃうしさ、教室にもどろ?」
「……メアさん」
私のせいだ。
私が巻き込まなければ。
昨日、恐怖に負けずに逆らい続けていれば。
そもそも最初に有無を言わさずラセールを排除していれば。
後悔し、うなだれるモモを残してメアは階段を下りていく。
ただ最後に、メアは背を向けたままつぶやいた。
「……モモちゃん。たすけられなくて、ゴメンね」
今回のこれは☆なのか♡※アナルなのかマーク付けない方がいいのか自分でも分かりません…