※この作品はR-18です。

虹の彼方に~NEO~   作:黒須一騎

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虹の彼方に~NEO~10 「新しい日常」

あれから、2週間後、最初寝不足だったシンジもすっかり慣れ、アスカの手も元通りになっていた。

シンジが二人のベットで目を覚ますと、いつも居るアスカはいなかった。

 

「・・・・あれ?アスカ。どこいったんだろう。トイレかな?」

「あ、おきたのね。シンジ、ネルフ行く前に、この間の指輪の店に行くわよ。」

「うん、いいけど。じゃ、朝ご飯作っちゃうね。」

(めずらしいな・・・・雨降んなきゃいいけど。)

 

サイズ直しを頼んだ婚約指輪はピッタリだった。

アスカは満面の笑みを浮かべて、自分の左手の薬指にはまった指輪を眺めている。

 

「お客様、是非結婚指輪も当店で・・・ありがとうございましたぁ!」

そして、元通りとは行かないまでも、ほとんどの機能が回復したネルフでは、今日もシンジたちの訓練が行われていた。

 

「パン!パン!パン!パン!パン!パン!」

「バン・・・バン・・・バン・・・バン!」

 

シンジとアスカの射撃の音が響いていた。

「アスカ、すごいね。速射でちゃんと当たってる。」

「へへん、あたりまえじゃない。ドイツじゃ銃の訓練も受けてたのよ。

 それにシンジだって、センター外してないじゃない。」

 

「アスカのは僕のと似てるけどなんていう銃?」

「あ、これね、ノースアメリカンアームズのガーディアン38口径よ。でもコンパクトでしょ。」

「38口径って、反動すごくない?」

「要は慣れよ慣れ。」

「シンジったら、男なんだから、もっと大きな銃にしたら?」

「護身用だからね、常に持ち歩きを考えるとちょっとね・・・。それに重いし。」

 

「アスカ君、その銃はもっと体の重心を前に持っていくといいよ。」

「了解。青葉さん。」

「それじゃ、二人とももう一連射ね。」

「「はい。」」

 

「パン!パン!パン!パン!パン!パン!」

「バン・・・バン・・・バン・・・バン!」

 

「ねえ、シンジ、ちょっととっかえっこして撃ってみようよ。」

「青葉さん、いいですか?」

「いいよ。」

 

 

「じゃ行くわよ。」

「バン!バン!バン!バン!バン!バン!」

「パン!・・パン!・・パン!・・パン!・・パン!・・パン!」

 

「な、なによこれ!ぜんぜん当たらないじゃない! 」

「・・・撃ちやすいよこれ・・・」

シンジの撃った的は、全てセンターの2cm以内に集中していた。

 

「ん、シンジ君のは強装弾を使用しているからね。だから音も違うだろ。」

「んむぅ・・・なんか悔しいわね。」

 

「あ、シンジくん、来週からコンバットシューティングの訓練にはいるからね。今日のところはここまでね。ちゃんと銃は分解して綺麗にしとくんだよ、いざと言うとき回転不良じゃシャレに成らないからね。」

「「はい。(は~い。)」」

 

「ねえ、シンジ。明日から学校再開するようだけど、どうするの?」

アスカは、レンジに付属する整備室で銃の手入れをしながら話し掛けていた。

「うん、大検受かったから、9月から新設されるネルフの大学に行くことになると思うよ。」

 

「あたしも、どうしよっかなぁ。」

「だって、アスカは大学出てるじゃないか。」

「うん、でもね、あたしが履修したのは産業工学なのよ。でも、電子工学もやってみたくなったのよね。」

「じゃ、僕と一緒に行く?」

「そうね、そうするわ。でも、学年違うかもね。あたしは3年次から履修することになると思うから。」

「大丈夫だよ、きっと追いつくから。飛び級の制度も取るって冬月司令言ってたからね。」

「うん、出来ればシンジと一緒に卒業もしたいな。」

「そうだね、司令に相談してみようよ。」

「ええ。」

 

 

『(キョロロン!)作戦課の碇シンジ准尉、および惣流少尉は至急司令室に出頭してください。くりかえします・・・』

 

「シンジ、いくわよ。」

「珍しいね、呼び出しなんて。」

 

プシッ。

 

「ああ、二人ともちょっち作戦室に来てちょうだい。」

 

「なにかあったんですか?」

 

 

「二人ともよく聞いて、ドイツにエヴァがあったわ。」

「やっぱり・・・。」

「それでね、アスカあなたにドイツに一緒に行ってほしいのよ。」

「期間はどのぐらいなの?」

「積み込みや、付属設備の移設・・・なんだかんだで、3ヶ月はかかるわね。」

「長いわね・・・もっと短くならないの?それにあたしじゃなくっても・・・・。」

 

「アスカ、実はね、あなたのお父さんから退役申請が出てきてるのよ。」

「はん、なにを今更。親の顔する権利があると思っているのかしら。

 あいつは、ママと私を捨てたのよ!」

「アスカ、それでも彼は法律上の親なのよ。国連としても無碍にはできないのよ。

 あくまでも私たちはあなたの意思を尊重するわ。」

「ふん!あんな男、父でもなんでもないわ!どうせ血なんか繋がってないんだし。

 ねえ、ミサト。いっそ日本に帰化できないかしら。」

「そう言うと思っての3ヶ月なのよ、いいの?法廷闘争になるわよ。

 ま、今までのことを考えれば、勝つ可能性は大きいけど。」

 

「しかたないわね、シンジも一緒でしょ?」

「あら、シンちゃんには、こっちでの仕事があるのよ。」

「いやよ、そんな長く・・・・」

「はいはい、愛するシンちゃんと離れるのはつらいでしょうけど、仕事なのよ、シ・ゴ・ト。(ちきしょーリア充がっ!!)」

「なっ、なによ。私はそんなこと・・・・。」

 

「アスカ、エヴァはまだここに必要なんだ。まだキールが捉まっていないし。

 他の国で開発している可能性だって残ってる。抑止力として必要なんだよ。」

「う、・・・うん。わかってる。出来ればあたしたちの世代で無くしたいわ。」

「それはそうと帰化についてだけど、二人の意思がはっきりしているのなら、なおさらよ。

 シンちゃん。アスカをしっかりと捕まえておくのよ。

 さて、そうときまったら、アスカ、あなたの養子先となる冬月司令にお願いに行くわよ。

 司令はアスカの養子を買って出てくれたのよ。シンちゃんも一緒にいらっしゃい。」

「「はい。」」

 

「あ、ミサトさん。僕の仕事って。」

「そうそう、二人があんまりラブラブなんで忘れるとこだったわ。

 実はね、キールの動きが見えてきたのよ。あなたには、保安部と協力して追い込んでほしいの。

 詳しくはこの資料に書いてあるわ。」

「はい、待ってろキール・・・。」

「じゃ行動開始っと。」

 

「冬月司令。葛城少佐です。碇、惣流両名、同行しました。」

 

プシッ。

 

「やあ、待っていたよ。葛城君、惣流くんは了解してもらえたかね。」

「はい。二人の意思もはっきりしてますし、彼女の意思も確認しました。」

「よかった。惣流くん、本当に私でかまわないかね。」

「はい。ありがとうございます。」

「ん、来月には私もドイツに行くよ。それまでは葛城くん準備をたのむぞ。」

「はい。お任せください。」

「あの、アスカが行くのはいつからですか?」

「来週からよ。」

「「ええっ、5日後ですか。」」

 

「それとだな・・・・おお、これだ、シンジくん。」

「はい。」

「少尉任官おめでとう。来週には、辞令が出る。それと、作戦部から保安部への一時出向となる。」

「君のゼーレ残党の追跡が認められたのだよ。」

「やった、シンジ。一緒ね。」

アスカがこぼれるような笑顔で言った。

 

 

二人で夕食を取った後、お茶をすすりながらアスカが話し出した。

「ねえ、シンジ・・・。明日学校行ってちゃんと話してこなくっちゃね。」

「そうだね、僕は飛び級で進学、アスカは留学と仕事でドイツ。で進級という話でね。」

「ねえ、あたしのいない間、浮気したらだめよ。」

「ん、そんなことしないよ。」

「ちゃんとヒカルに頼んで行くからね!あんた最近、妙にかっこ良くなってきたから心配なのよ。」

「大丈夫だよ、絶対にしないよアスカ。」

 

ピルルルルッ、ピルルルルッ、ピルルルルッ。

 

 

「あ、ごめんアスカちょっとまってね。」

 

カチャ。

 

「はい、葛城です。」

 

 

『あ、シンちゃん。今日どうしても帰れそうにもないのよ、留守番宜しくね。』

「はい。あんまり無理しないで下さいね。」

『ありがとシンちゃん。ところで二人っきりだからって、子作りしちゃだめよん。』

「なっ、なにいってるんですか、僕らはまだ・・・」

『そ、二人ともちゃんと結婚してからね、そういうことは。はははっじゃあね。』

 

「なに?ミサトまた遅くなるの?」

「うん。今日は帰れないって。」

「そう。」

「じゃ今夜は、この間の大人のキスの続きでもしてもらおうかなぁ。ねえ、シンジ」

「えっ?ええっ?」

「なによ、これから3ヶ月も会えないのよ。来週までは目いっぱい甘えてやるから覚悟しなさいよね。」

「うっ・・・・・・・・・・。」(ここしばらくオナニーだってしてないのに・・・もう自制する自信が・・・・)

 

「アスカ、お風呂いいよ。先に入っちゃってくれる?」

「そうね。そういや、昨日DVD借りてきたから後で一緒にみましょうよ。」

「うん。いいよ。」

 

ピルルルルッ、ピルルルルッ、ピルルルルッ、ピルルルルッ。

 

カチャッ。

 

「はい、葛城です。」

『あ、碇くん?洞木です。アスカいます?』

「やあ久しぶり、ちょっとまってね。」

 

「アスカ、洞木さんだよ。」

「久しぶりじゃない。」

『アスカっ!元気にしてた?』

「うん、いつ帰ってきたの?」

『昨日なの、ごめんね。ちょっと連絡できる状態じゃなくって。』

「いいのよ、そんなこと。それより明日から始まる学校で会えるんでしょ?」

『ええ、ねえ、アスカ、今から会わない?』

「ええ、良いわよ。そっち行く?」

『ううん、もしよければ、私がそっち行って良いかしら?』

「良いわよ。お茶用意して待ってるわ。」

『うん、じゃ。』

 

「洞木さん元気そうだった?」

「ええ、ただなんとなく声に張りがないような・・・久しぶりだからかしら。」

「じゃ、僕お茶の用意するね。」

 

 

ピンポーン。

 

「やあ。いらっしゃい。洞木さん。」

「きゃぁ、ヒカリぃ、久しぶり!さ、上がって。」

「今日は夕飯食べてくでしょ?」

 

「碇くん、ごめんなさいね、突然お邪魔しちゃって。」

「大丈夫だよ、それよりみんな元気だった?」

「ええ、クラスのみんなは元気よ、ケンスケだけはまだ第2東京だけど。」

「あら、シンジが3バカ組めなくなっちゃうわね。」

 

「実は、ケンスケくんお父さんが帰ってこなかったらしいの。親戚もほとんどいないらしくて、孤児院に行くって・・・。」

「そう・・・・。孤児院に・・・・・。ケンスケ・・・・。」

「シンジ、友達なんでしょ。連絡あとで取ってみたら?ねえ、ヒカリ、ケンスケの居場所知ってるんでしょ?」

「ええ、知ってるわ。碇くん後で教えるわね。」

 

「ねえ、ヒカリ、あとはみんな帰って来てるんでしょ?」

「ええ、でもね、親が未帰還者で孤児になったりして、結構別々になっちゃうみたいね。

 さびしいけどこれが生きるための現実かも。そう、綾波さんとも連絡が取れないの。碇くんなら知ってると思って・・・・。」

 

「洞木さん・・・・・・・・綾波は・・・・・もう帰ってこないんだ。」

 

 

「そう・・・・。綾波さんって、なんとなくそんな雰囲気の人だったものね。」

「元気だしてよ、ヒカリ。あんたんとこは、大丈夫だったんでしょ?」

 

 

「・・・・・・・・・・」

「ヒカリ・・・・・・・・。」

 

 

「お姉ちゃん・・・・・・・帰ってこなかったの・・・・・・・・・。」

 

「「・・・・・・・・・・・・・」」

 

 

 

「洞木さん、お父さんや妹さんは大丈夫だったの?」

「・・・・・・・・うん。」

「そう・・・・・・・・。ごめん。」

「シンジ・・・よしなさい。」

「でも・・・。」

「今回のことは、ゼーレが全て悪かったのよ。あんたが悪いわけじゃないわ。」

 

「そうよね、碇君は人類を救ったのだもの・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・」

シンジは、答えることが出来なかった。

 

身近な人の未帰還者は、シンジの心を暗くさせた。

 

 

 

「それより、ごはん食べてくでしょ?」

「うん。でも・・・・・・・・。」

「大丈夫よ。今日はミサトも帰ってこないみたいだし。」

「じゃ、僕は準備してくるね。」

「あ、碇君手伝うわ。」

「大丈夫だよ、洞木さん。今日は鍋だから材料切るだけだしね。それより、二人で積もる話もあるでしょ。」

「うん、ありがとう碇くん。」

 

「アスカぁ、お鍋そっち持っていくからテーブル片してくれる?」

「いいわよぉ。」

「いいわね、二人とも。なんかこうして見てると夫婦みたいよ。」

「ヒ、ヒカルっ・・・なんであたしが・・・」

「アスカ~、その左手に光っているものは、何かなぁ?」

「おめでとう、って言っていいんでしょ?アスカ。」

「う・・・うん。」

アスカは茹蛸のように真っ赤にり、俯いてしまった。

「碇くんもおめでとう。でいいのよね?」

「ありがとう。洞木さん。」

 

「アスカ、絶対に碇くんの手を離しちゃだめよ。 碇くん、アスカを必ず幸せにしてあげてね。」

「さ、こんな日は、これね。」

 

「アスカ・・・それってミサトさんの秘蔵の・・・・。」

「あら、大丈夫よ少しだけだから。再会のお祝いよ。なんてったって、鍋には日本酒よぉ。」

 

「ねえ、アスカ。指輪見せてもらっていいかしら。」

「いいわよ。はい。」

アスカは、指輪を外すと、ヒカリの手のひらに乗せた。

「とっても、きれい・・・・。これってダイヤよね・・・・いいなあ。アスカは。」

「あんたも、鈴原に買ってもらいなさいよ。」

「あっ、あったしは別に・・・。」

 

「僕らでよかったら、いつでも二人の相談にのるよ。ねえ、アスカ。」

「そうよ、あたしたち親友じゃない。今更隠してどうするのよ。」

「そうね、でもあいつ碇くんより鈍いから・・・・。」

「それより、二人はスティディになったのよね。」

「ううん、あたしたち婚約したの。」

「ええっ!ホント?碇くん!いつ?」

「うん。まだ正式なことはなにもしてないけど、二人では約束したんだ。」

「でも、よくミサトさん許してくれたわねぇ・・・・もしかして、まさかアスカっ・・・。」

「なにいってんのよ、ヒカリ。あたしたちはまだよ。」

「そうよ、赤ちゃんが先だなんて・・ふっ、不潔よぉ。」

 

「でも、いいなあ。あこがれちゃうわ。」

「でも、思い切った事よねぇ。こりゃ学校はじまったら、大騒ぎね。」

「それよりヒカリ、お願いがあるの。」

「なぁに、アスカ。」

「実は、あたし仕事で3ヶ月ほどドイツに行かなきゃなんないのよ。」

「あら。」

「でね、その間、シンジを見張っててほしいのよ。」

「見張るって?」

「変な虫が付かないようによ。こいつって、柔順不断なところがあるから、断れずズルズルとなんていうことも考えられるんだもん。」

 

「僕って、信用無いんだな・・・・。」

「だって、3ヶ月もよ。あんたのその優しさが、あたしだけだったらいいけどね・・・。」

「大丈夫よ、アスカ。ちゃんとあたしが見張っててあげる。」

「うん、お願いね。」

「ねえ、アスカ。学校には・・その。」

「なに、婚約の事?」

「うん。」

「別に知らせる必要も無いと思うし、それに9月からはあたしとシンジは大学だから。」

 

「ええっ!碇君が大学?」

「こいつね、大検に合格したのよ。」

「碇くん、すごい。おめでとう。でも、あなたたちって本当に驚かせてくれるわね。」

「ごめんね、隠してたわけじゃないけど、大学の受験は、これからだから。」

「いまのシンジなら多分受かるわよ。」

 

「でも、そうなるとお別れね。寂しくなるわ。」

「大丈夫よ、9月からネルフ研究付属機関で大学ができるのよ。同じ市内だからいつでも会えるわ。

 それにあたしたちはいつまでも友達でしょ?」

「うん、そうね。でも、アスカって、大学卒業したんじゃなかったっけ?」

「うん、でも他の勉強もしてみたくなったのよ。」

「すごいなあ、二人とも。 」

 

 

 

 

 

 

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