※この作品はR-18です。

虹の彼方に~NEO~   作:黒須一騎

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虹の彼方に~NEO~19 「飛翔」

エヴァはオーバーザレインボウに運ばれ、佐世保に入港した。

積み下ろし作業が、続けられていた。

 

「では、葛城少佐。これにサインを。」

「ご協力ありがとうございます。」

「しかし、なんだな・・・あんな子供たちが世界を救ったとはな。」

「自慢の子供たちです。」

「ま、何にせよ、今回は甲板をめちゃくちゃにされずに済んだからほっとするよ。」

 

エヴァは陸路を8時間かけて運ばれ、ネルフのケージに運び込まれた。

基本的には、S2を除いて二号機と同じ構造の為、整備は意外に早く進んだ。

慣れた作業員がほとんど残っていたのが幸いだ。

 

「ミサトさん、これ、テストの計画書です。」

シンジは、ミサトに書類を渡しながら、コーヒーを取った。

「あら、シンちゃん、珍しいわね、コーヒーなんて。」

「母が好きだったみたいですね。」

 

「えっと、シンクロテスト、起動テスト、戦闘テストに・・・えっ?飛行テストぉ?シンちゃんなにこれ?」

「前回の最終戦の時、飛べなくて悔しい思いをしましたからね。」

「でも飛べる構造になってないわよ。」

「ATFを羽状に何枚か広げて、羽の間にATFによる圧縮と解放を行えれば十分に可能です。

 ま、出来なくとも羽さえ広げれれば、滑空はできますから。」

 

「できるのかしら・・・そんな事。」

「理論的には可能です。あとは、僕らがどうイメージできるかの問題ですね。」

「大気圏内ならということね。」

「ええ、ただ星間物質を取り込めれば、宇宙空間でも可能かと思いますが、動きは相当鈍くなるでしょうね。いっそ、大気圏内にいるうちに、羽状の内部に目一倍大気を圧縮して取り込めれば、暫くは機敏に動けるでしょうね。 圧力かけて高温にすれは体積増やせますし。」

 

「シンちゃんすごい。」

「いえ、まだできるとは決まってませんから。僕ら生身で飛んだこと無いんですよ。」

「そうね・・・・・そうだシンちゃん。ハンググライダーでの練習がいいわ。多分生身に一番近いでしょ?」

「じゃ、手配お願いします。トレーニングの日程は後で。」

「解ったわ。よろしくぅ、シンちゃん。」

 

 

 

「えっ?ハンググライダー?」

「そう、飛ぶ練習。」

「あんた、高いとこ駄目じゃなかったっけ。」

「うん、そこが問題だね。どうやって克服するか・・・はぁぁ。」

 

「じゃ、あれね。そうあれしかないわ。」

「あれって?」

「スカイダイビングよっ!」

「げげっ、やだなあ・・・。」

「大丈夫よ、あたしも付き合ってあげるから。」

「ジェットコースターでさえ怖いのにぃ・・・・。」

 

それから、1ヶ月ほどはシンジにとって、地獄の訓練だった。

アスカはというと、しっかり楽しんでいるようだった。

スカイダイビングではアスカには内緒だが、ちびりそうになるし、ハンググライダーでは、着地という

か着陸に何度か失敗し、3機を使い物にならなくさせた。

 

「(ピッ)ねえ、シンジ。そろそろ降りてきなさいよ。」

『(ザッ)降りれないんだよぉぉぉ。このハングさぁぁぁぁ・・・・すごく浮くんだぁぁぁぁ。』

 

「まったくう。お腹空いたのにぃ。」

「(ピッ)軽いきりもみに持っていって高度下げればぁ?」

『(ザッ)了解ぃぃぃっ、その手があったぁぁぁぁ。』

シンジは何度か大きなループを描き、きりもみに入った後、姿勢を回復させ、着地した。

 

「ひゃ~、しんどい目にあったよ。」

「なんですぐに降りてこないのよ。」

「サーマルがすごい出ててね、勝手に高度が上がっちゃうんだ。あ~まだ目が回ってる。」

「大丈夫なの?」

「ああ、暫くすれば治るよ。」

「さ、ご飯行きましょ?」

そう言うと、アスカは、シンジの腕を取った。

 

「え、どうしたのさ。」

「いいじゃない、あんたが転ばないように支えてるだけよ。」

 

アスカと二人で、食堂に入っていった。

ちょうど、ミサトとマヤが昼食を取っていた。

 

「あ、シンちゃん、こっちよ。」

「あ、ミサトさん、マヤさんも。」

「あら、ラブラブで良いけど、あまり見せ付けると反感買うわよん。」

「これはシンジがハングで目を回したから、支えているだけよ。」

「その割には、嬉しそうね、アスカ。」

「別にいいじゃない。そんな事。」

 

「そうそう、シンちゃん、アスカちょうどいいからここ座って。」

「どうしたんですか?」

「新しいエヴァ、来週には完成よ。コード名は「イヴ」よん。」

「アダムとイヴのイヴですか・・・。」

「ね、何色なの?」

 

「ベースは白色。それに、紫と赤でラインが入っているわ。」

「げ~、なんてダサいのよ。」

「しょうがないでしょ。UNは白が基本よ。」

「前みたいに、機体番号はないんですか?」

「ま、一機だけだから。」

 

「ねえ、ミサト。一つ相談があるんだけど。」

「なに、アスカ。」

「今度のエヴァ・・・イヴだっけ、副座にならない?」

「実はね、アスカ。相談したいことってそれもあったのよ。

 アスカもこの前のシンクロテストで知ってるように、副座だと、確かにシンクロ率は上がるわ。

 ただし、それは二人の精神が安定していた時はね。もしケンカでもしたら、とたんにぼろぼろよ。

 それと万一の場合は、生死を一連托生となるわ。」

「あたしとシンジなら大丈夫よ。最近ケンカなんかしてないし、お互いの事は、全部知ってるし。」

 

「全て・・・・・・・不潔よぉ・・・・中学生なのに・・・」

「マヤさん意味が違いますよ。アスカが言っているのは、精神的にという話です。」

「あっ、ごめんなさい・・・。」

「確かに、貴方たちは、身も、心もラブラブだけど、こじれた時は大変よ。そこまでお互いを信頼できる?」

「僕はアスカを信頼していますから。」

「あたしだって・・・。それに、待ってるのはしょうに合わないのよ。」

 

「身も心も・・・・やっぱり不潔よぉぉぉぉ・・・。」

マヤはしっかり聞いていた。

 

マヤを無視してアスカが話しつづける。

「シンジ一人だけなんて、あたしは絶対いやよ。一人だけ残されるなんて絶対にいやっ!」

「わかったわ、アスカ。副座の件はOKでいいのね。」

「僕は反対です。」

「シンジ・・・・どうして。」

「非人間的な生活をするのは、僕だけでたくさんです。アスカには、幸せを掴んでほしいから。

 それに、最悪の場合は、LCLに消えて帰って来れない可能性だってあります。」

「シンジ・・・・あたしは、いやよぉぉぉ、一人なんて嫌・・・・・待ってるのも嫌。

 一人にしないって約束してくれたじゃないのよ。あんたが死んだら、生きてる意味なんてあたしには、無いんだから。」

「・・・・・・・・・・・・」

 

「シンちゃん。負けね。」

「でも・・・・」

「なによおぉぉぉっ!あのベットでの言葉は嘘だったのおぉぉぉ!」

 

「ベット・・・・ふ、不潔よおぉぉぉぉぉ!」

マヤは走って食堂から出て行った。

「アスカっ!突然何を・・・・。」

「無様ね。アスカ。」

「あの、ミサトさん・・・もしかして僕らの事知ってるの・・・」

「あたりまえよぉ、プライベートなことだもん。知ってるのは、あたしと、司令とドクターだけよん。 あ~あばらしちゃうんだもんなぁ。」

 

「ぐっ・・・・。」

 

 

 

 

 

 

司令室に戻ると、作戦室で二人は、マヤと対峙していた。

 

「マ、マヤさん、さっきの事なんですけど・・・・内緒に・・・。」

「二人とも・・・まだ中学生なのに・・・・。」

「お願い・・・マヤ、秘密にしといて。」

「う、うん。もちろん言いはしないけど・・・・。」

「「けど?」」

「ホントなの?」

「ええ、まあ・・・。」

「シンジくん。アスカちゃんの事、ちゃんと責任とらなきゃ駄目よ。いい?アスカちゃんを泣かせちゃだめよ、いい?」

 

 

 

「わ、わかってますよ・・・そうだ、ほら、アスカ、あれ見せて。」

「これ?」

そう言って、アスカは指輪をマヤによく見えるように見せた。

小さいが、ダイヤの輝きがマヤの目に止まる。

 

 

「・・・・・いいなぁ・・・」

ふと本音が漏れてしまうマヤだった。

 

 

 

「あら、マヤだって、青葉さんに貰えば良いじゃない。」

アスカはすかさず、話題を別に持っていく。

 

(ナイス!アスカ。)

 

「え、・・・あ、あたしたちは、べっ、別に・・・。」

「ねえ、マヤ。あたし最近思うの・・・。今まで、何度も死を覚悟したことがあったわ。

 今の時を生きるってなんだろうかって考えるようになったの。

 あたしたちって、エヴァに乗っている以上、いつ死んでもおかしくないのよ。

 ・・・・・・・・あたしは、人並みの幸せも掴む権利は無いのかって考えるの。

 確かにあたしたちは、中学生の年齢よ。

 でも、こうして働いているし、生活能力だってあるわ。

 あたしは大卒だし、シンジも今は大学生。

 ・・・・・・・・ね、マヤ、・・・・・・・・・あたしは幸せを掴んじゃいけないの?

 幸せになっちゃいけないの?」

 

「そうね・・・そうよね、貴方たちを子供だと考えてたのよね、私って。ごめんなさい。

 大人でも逃げ出すような状況に追い込んどいて・・・・私・・・とやかく言える立場じゃないわよね。」

 

「マヤさん・・・言ってることは正しいと思います。僕らだって、そう思います。・・・・・・僕は、アスカを幸せにしたい。苦しみを一緒に背負っていきたい、ただそれだけなんです。」

 

「うん、そうよね、わかった。幸せになってね。二人とも。絶対よ。応援するから。」

「「はい。」」

出てった二人を見ながら、ぼんやりとマヤは考えていた。

(あたしも、考えてみようかな・・・・・。)

 

 

 

 

夕方、冬月司令にミサトは呼び出された。

 

「葛城少佐、実はな・・・シンジ君とアスカ君の事なんだが・・・・」

「なんでしょうか?」

 

「伊吹中尉が、なぜ知ってるのかね。」

「伊吹が何か言って来ましたか・・・。」

「ああ、二人を結婚させろとな・・・・。プライベートな問題だし、

 まだ碇少尉はその年齢でないと、とりあえず帰したが・・・。」

「ひょんな事から、知られてしまいました。しかし、作戦行動自体には影響が無いと思いまして。」

 

「葛城少佐、いや葛城君、私の義理とは言っても娘なのだよ。娘の幸せを願わない親はいないよ。」

「そ、そうでした。では、どうすれば。緘口令でも・・・・・。」

「噂など勝手に広がるものだよ。いっそ、ホントに結婚させてはどうだろう。」

「はい?」

「二人をな。」

「はあ、しかし、シンジ君はまだ15歳。法的にはあと一年ありますが・・・。」

 

「実はな、アスカくんの妊娠を知ったとき、国連に根回ししておってな、

 特例でと言う事が今ならできるんだ。」

 

「はい?それって・・・」

 

「うむ、インチキじゃよ。ま、表向きは、少子化が進んで、しかもこの世界状況だ、

 経済力、生活能力があれば、社会発展のため・・・うんぬん。という訳だがね。」

「では、あとは二人の意思と?」

 

「うむ。わしの娘と孫娘も見つからない今、生きがいはアスカ君になりつつある。

 この間なんか、初めて作ったとホットケーキを焼いてくれてな・・・ぐすっ・・・

 い、いかん、どうも年を取ると涙もろくなってな・・・。」

(アスカ・・・もう、司令をてなづけたのね・・・・侮れない娘だわ・・・・)

 

 

 

 

いつものように、夕食が終わり、シンジが片付けをしていた。

最近では洗物などは、アスカも一緒に手伝っている。

 

「ねえ、二人とも、大事な話があるんだけど。おわったら、こっち来てくれる?」

「はい、なんですか?」

「なに?ミサト」

 

「あんたたち結婚したい?」

「どうしたんですか?突然。」

「まだ、無理でしょ?だって、シンジまだ16になってないもの。」

「あたしは、したいかどうかを聞いてるの。」

 

「今ですか?」

「そう。」

「ええ、できることなら。」

「アスカは?」

「聞くまでもないわ。」

「わかったわ。」

「でも、法律では・・・。」

 

「シンジくん、アスカ。できるわよ。結婚。」

「「はいっ?」」

ミサトは司令の話を二人にした。

 

シンジは、ずっと俯いている。

アスカは、ぼうっとしている。

 

「ね、ミサト、あんたあたしたちを担いでいるんじゃないでしょうね。だとしたら悪質なんてもんじゃないわよ。」

「ホントよ。」

「ミサトさん、それって・・・」

「そ、職権乱用に近いわよね。しかも国連には、二人のシンクロした意思が必要だと、副座の話までね・・・・・。

 留めに、こう演説ぶったらしいわ。

「二人は幸せになる権利がある。それを奪っているのは我々だ。」 おかげで、反対数ゼロ。」

 

「シンジっ!いいのかな、あたしこんなに幸せで。」

「アスカ・・・。でも、責任も発生するんだよ。ですよね、ミサトさん。」

「そう、法律的には酒、タバコを除いて大人として扱われることになるの。権利が発生する変わりに

 当然、義務と責任も発生するわ。」

 

「アスカ・・・本当に僕でいいんだね。」

「いまさら、聞かないでよ。し、シンジこそあたしで・・・いいの?」

「わかった。ミサトさん、そのお話、進めていただけませんか。冬月司令には、

 僕からも後でお願いに 行きます。」

「わかったわ。いいのね二人とも。」

「「はい。」」

 

 

 

 

 

翌日、ミサト呼び出された、シンジは、今度の土曜日に秋月司令の自宅に行くように伝えられた。

 

「シンジっ、ミサトっ、早くっ!」

「あらあら、アスカったらはりきちゃって。よっぼど嬉しいのね。」

「アスカ、忘れ物ないよね。」

三人は、ミサトの車で、秋月の自宅に向かった。

 

 

 

「ま、シンジくん。楽にしたまえ。あの、なんだな・・・・葛城少佐が・・・形は形だとな・・・・・

 その・・・ま、いい天気だな。」

「はっ、はいっ・・・・そ、そうですか・・・はい、暑いですね今日も。」

まったく会話がかみ合ってなかった。

 

冬月の隣では、アスカが真っ赤になって座っている。

 

「あ、あのっ!冬月司令っ!じゃなかった・・・お義父さん、ア、ア、ア、アスカさんを、・・ごくっ・・・く、く、ください。!」

「う、うむ。幸せにしてやってくれ。」

「は、は、はい~っ!」

(な、なにやってんのよ!シンジっ、もっとシャキッとしてよ。!)

 

 

「ぶぁはっはっはっ・・・・・ひい~、ひい~。」

「そ、そんなに笑わなくたっていいじゃないですか。」

「だって・・・ぶぁっっはっはっはっはははははははっ・・・・・・ひい~、くるぴい・・・」

あの後、寿司をご馳走になり、三人はマンションへと向かっていた。

 

「だって・・・あの冬月司令の顔・・・シンちゃんの・・・あっはっはっはっ・・・ひい、ひい。」

「なによ、やれって言ったのミミサトじゃない。シンジは頑張ったわ。」

「はいはい。あ~くるしい。」

 

「こなんなん、二度とカンベンしてほしいな。」

シンジの言った言葉に、ちょっと考えたアスカは、シンジの腿をつねった。

 

「ててっ、アスカ何するのさ。」

「あたりまえよっ!他でやったら、ぶち殺すっ!!」

「ぎゃははははははははっ、お願いもう笑わせないで、二人とも。」

マンションに帰ってくると、ミサトはアスカに、メモリーキューブとコネクターの付いた体温計を渡した。

 

「ん?なに?これ。」

「コンピューターのソフトと専用体温計よ。」

「いや、それはわかってるけど、なんで?」

「明日から、毎日、朝に計るのよ。いいわね。」

「コンピューターが危険日と安全日、それと信頼率を出してくれるわ。」

「へえ、手回しいいわね。」

「そうじゃないのよ、ちゃんと計画しないと駄目よ。それに子供・・・できたらエヴァどころじゃないしね。」

 

「そうね、あの辛い思いはもうしたくないわ。いまだに考えるとブルー入るもの。」

「かといって、するの止めろとはいえないしねぇ。」

「な、なによ・・・。」

「でもね、そればかりに頼っちゃだめよ。来週ドクターの所へ行きなさい。事情説明してあるから、

 相談に乗ってくれるはずよ。」

「うん。そうする。」

「ね、アスカ。今度は、作る前に一言相談してくれるとありがたいんだけど。」

 

「わかったわ。」

二人の結婚が決まった日、シンジは3年生への、飛び級試験の合格通知を受け取った。

 

アスカもまた、大学院への特別編入試験の合格を受け取った。

 

 

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