「ねえ、シンジ。お醤油とって。」
「はい。」
「ん、ありがと。」
マンションではいつもの様に朝食が始まっていた。
「あ、二人とも、今日は新しい仲間を紹介するから、作戦室に集まってね。」
「「はい。(~い)。」」
「ふう。ご馳走様。シンジ、あたしコーヒー入れてくるね。」
「うん、ありがと。アスカ。」
「ほほう。」
「なにが言いたいんですか?ミサトさん。」
「いや、あのアスカがねぇぇ。コーヒーをねぇぇ。それに、大人っぽくなったというか・・・。
落ち着いたというか・・・。」
「そうですか?」
「うん。変わったわよ。もしかしてっ、すでに、二人とも大人になっちゃったとか・・・・。」
「なっ、なに言ってるのよ朝っぱらから。ミサト、さっさと食べなさいよ、ビールなんか飲んでないで。 まったくっ!この不良国際公務員が。」
「アスカ・・・お湯沸いたみたいだよ。」
「ご馳走様。」
シンジは洗物を台所のシンクに下げた。
「ねえ、シンジ、レンジの下からフィルターの予備取ってくれる?」
「これだね?」
ゴトッ!
「あぶない!シンジっ!」
レンジから落ちようとしているケトルをアスカがとっさに両手で掴んだ。
「くっ!・・あちぃぃぃぃ!・・・・」
「アスカっ!!早くシンクに放り込んで!」
ガシャン!
「ちっ!まずったわね。」
「それより早く水で冷やして!」
「ふう・・・熱かった。火傷になるかな・・・」
「ごめん、僕が注意しなかったばかりに。」
「ううん。あたしの置き方が悪かったのよ。」
「それより、早く火傷の処置をしよう。」
「どうしたの二人とも。」
「アスカが火傷しちゃったんです。すぐに出れますか?」
「大変じゃない。すぐに行きましょう。」
ネルフに着くと3人は急いで医務室へと向かった。
「先生!急患です。」
「はいはい。どうしました。」
「熱いケトルで火傷したんです。」
「どれ、見せてくださいね。」
「どうですか?」
「うん、ちょっと酷いようね。2週間ほどかかるかな。」
「そうですか・・・」
アスカの手は、火ぶくれが出来ており、軟膏と包帯で処置された。
「1週間ぐらいは、できるだけ手を使うのを控えてくださいね。」
「はい・・・。」
「では、お大事に。」
「そうそう、二人とも、紹介するわ、今度、医務を担当する高木先生よ。」
「こちらは、碇准尉と惣流少尉。」
「よろしくね。」
「碇です。こちらこそ。」
「惣流です。」
「高木先生は、民間人なのよ。紹介する新しい人ってこの方なのよ。
臨時でお願いしてるから、3ヶ月間だけだけどね。」
「二人ともすごいですね。こんな若さで軍人なんて。」
「ええ、彼らは特別なんです。ちょっと特殊な事情がありまして・・・。」
「あの、世界を救ったパイロットというのは、もしかしてあなたたち?」
「「はい。(ええ。)」」
「ええ、ですが、ご内密にお願いします。」
「ええ、解ってますよ。私には秘守義務がありますから。それにここでの最初の患者さんですしね。」
「では、惣流さん。一日2回軟膏を塗って、包帯を取り替えてくださいね。」
「先生・・・あのお風呂は・・・・」
「そうね、1週間は、患部をぬらさないでね、新しい皮膜がはったら大丈夫だけど、
それまでは家族に協力してもらってね。それとも、一人暮らしなの?」
「いえ、いますけど。」
アスカがミサトを指して言った。
「はい、アスカ。ジュースだよ。」
「ん、あんがと。あれ、ストローまでついてる。あんたにしちゃ気がきいてるわね。」
「うん。さっき食堂で貰ってきた。」
「それより、手は痛まない?」
「うん、少し痛いけど我慢できないほどじゃないわ。」
「あら、二人ともここにいたのね。シンちゃん、青葉くん探してたわよ。」
「いけねっ、トレーニングだったんだ。行かなくっちゃ!じゃ、アスカ、後でね。」
そう言うと、シンジは走っていった。
「ねえ、ミサト・・・暫くちゃんと帰ってきてよね。」
「ん?シンちゃんが居るじゃない。」
「あんた、バカぁ?トイレやお風呂はどうすんのよ!!」
「あ、そうか・・・まさか、シンちゃんにそれは頼めないしね・・。」
「あたりまえじゃない。」
「もう、とっくにそんな関係かとね・・・・。」
「なに言ってんのよ、あんたと一緒にしないでよ。」
「ね、ミサト話は変わるけど・・・、あのさ・・・男の人と、初めての時って・・・・やっぱり痛いの?」
「そうね、痛いことは痛いけど、個人差があるからねぇ。でも、結ばれたっていう、幸せの方が大きいかしら・・・って、シンちゃんに捧げる気?」
「い・・・いつかよ。今じゃないわ、ずっと先になるけど。」
「そうなのかなぁ?ま、でも今は赤ちゃんだけは勘弁してね。・・・・・・・・そうだわ、アスカ。」
「あたしの部屋のデスクの引き出しにピンクの錠剤があるから、それを使いなさい。」
「なんなの?それ。あたしどこも悪くないわよ。手以外はね。」
「そうじゃないわよ。避妊薬よ。」
「避妊って・・・。」
「そうよ、アスカよく聞いて。男はね、そう言う状態になると止められないことが多いの。
シンちゃんだって男の子よ、よほど精神力が強くなきゃ止まるもんじゃないわ。
今出来ちゃって困るのはあなた達だし、体を痛めるのは女なのよ。だから、準備だけはね。」
「うん、ありがと。ミサト。」
「でも、手が治るまでは控えなさいね。」
「だから、まだ、先立ってば!」
「それより、今日ちゃんと帰ってきてよね、トイレにも行けないんだから。」
「はいはい。」
マンションでは、アスカがふくれていた。
「まったく、ミサトもいいかげんよね。先に帰れだなんて。」
「しかたないよ、ここんとこ、忙しいみたいだもの。」
「んもぅっ!」
「あ、ミサトさん帰ってきたみたいだよ。」
プシュッ。
「あ、シンちゃん、アスカ。ごめんすぐに戻らなきゃいけないのよ。」
「まって!その前にトイレよ!」
「うっ・・・わかったわ。いらっしゃい。」
ジャー、バタン。
「はあ・・・落ち着いたわ。」
「ごめんねえ、アスカ。今から松代に行かなきゃなんないのよ。」
「なんですってぇ!あたしどうすんのよ!!」
「ネルフに泊まる?女子職員はいるはずだから・・・」
「根本的に解決になってないじゃない!それにそんなの嫌よ!ミサトでさえ恥ずかしいんだから!!」
「と、ごめん。時間ないのよ。じゃ、シンちゃんよろしく!」
プシッ。
「ミサトのバカぁぁぁぁ、どうすりゃいいのよ!!」
「あのさ、アスカ。マヤさんにでも頼んでみようか?」
「・・・・そうね、頼むしかないか・・・。シンジ電話掛けてよ。」
「うん。」
『プルルル・・・プルルル・・・カチャ。』
『はい、ネルフです。』
「碇准尉ですが、司令室をお願いします。」
『少々お待ちください。プッ・・・・・・・はい、日向ですが。』
「あ、日向さん、伊吹さんいますか?。」
『マヤちゃんなら、葛城さんと松代へ行ったけど。』
「ええっ!そうだったんですか・・・。」
『だれかほかの人に代わろうか? 』
「いえ、良いです。じゃ。」
「シンジ、どう?」
「伊吹さん、ミサトさんと一緒に松代だって。」
「・・・・・・・・・・はあぁぁぁ。あたしゃどうすりゃ良いのよ。」
「・・・・困っちゃったね。」
「・・・・・・・・よし、覚悟を決めたわ!」
「えっ!」
「シンジっ!今からあたしの面倒みなさいよ。いいわね。」
「ええっ!トイレも?!」
「そうよ、幸いに親指は少しは使えるからパンツ下げるぐらいはできるから・・・。」
「・・・・・うん。なんとか手伝うよ。」
「あう・・・でも・・・」
「どうしたの?」
「ふ、拭けないのよ!この手じゃ!」
「あうっ、僕がアスカの・・・アスカの・・・アスカの・・・。」
「やめなさい!考えるの!・・・・・・・・。」
「はあ・・・まさか、最後の一線の前に男にさらすとは思いもよらなかったわ・・・・。」
「・・・・・アスカ・・・・」
「・・・・・・シンジ・・・・・・ちゃんと責任とってよね・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・はい・・・・・・・。」
「はぁぁぁ・・・・・ロマンチックじゃないわよね・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・たしかに・・・・・・・・・。」
二人は、居間でテレビを見ていた。
「アスカ・・・・・トイレ大丈夫?体に悪いからちゃんと言ってね。」
「・・・・・・・・・わかったわよ。それよりシンジ・・・・・・・背中かいてよ、さっきから痒いのよ。」
「ここ?」
シンジは、彼女の背中に掻きながら適当に動かした。
「ん、もうちょっと右・・・・そこ!そこよぉぉぉ。」
「ここだね、どう?」
「ん、もういいわ。」
「ところで、ミサトいつ帰ってこれるのかしら。」
「きっと、早く帰ってきてくれるよ、事態を知ってるんだから。」
「そ、そうよね・・・。」
ピルルルルッ、ピルルルルッ、ピルルルルッ。
カチャ。
「はい、葛城です」
『あ、シンちゃん?あたし、ミサトよ。』
「あ、ミサトさん、今日は何時ごろ帰れるんですか?」
『ごみん!ちょっち問題が起きちゃって2日ほど帰れないのよ。
恋人同士だからいいでしょ?その間アスカのこと宜しくね。じゃ!ブチッ』
「ちょっ・・・ミサトさん!ミサトさん!ミサトさん!!・・・・って、切っちゃうことないだろっ!」
「なに怒ってんのよ、ミサトから?帰んの何時ごろだって?」
「それが・・・、2日ほど帰れないって。」
「へっ? なぁんでぇすってぇぇぇ!」
「恋人同士だからいいだろうって・・・・」
「・・・・・・・あんの・・・ぶぁかあミサトぉぉぉ。」
「その間、君の面倒みろって・・・・・・・・・」
「(ぷるぷるぷる・・・)・・・・・・・・ミサトめぇ、覚えてろぉぉぉ。」
その夜から、シンジの苦行は始まった。
ついでに、しっかりと結婚の約束もさせられた。
彼女曰く、「責任とってね。」