※この作品はR-18です。

冥界への案内人   作:伊駒辰葉

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!!注意!!
女性のエロシーンです!!
苦手な方は回避してください!!


ヘルコンダクター

 木村財閥の御曹司が家を飛び出したことはすぐに噂になった。だが木村家当主はそのことを大して気には留めなかった。それも当然だ。木村家当主にとって、それは実験の一環であり、息子が家を出ることなど最初から予測していたのだ。

 

 結局、木村家の当主は噂を笑って否定した。いいえ、息子は留学中なのです。噂について問われるたび、木村家当主はそう言ってその場をごまかし続けた。中には木村を陥れるためにわざわざ海外に飛んで息子が在籍しているという大学に赴いた者もいるらしい。が、どういう訳かそんな真似をした者は悉く行方不明になったという。

 

 恐らく木村家当主が裏で手を回したのだ。噂をしていた者たちは皆、口にはしないまでもそのことを理解した。やがて木村家当主を恐れた人々の手により噂は消され、それと同時に木村家の御曹司のことに誰も触れなくなった。

 

 木村家当主は予定通り、息子に監視者を数名つけた。息子は巧妙に隠れたつもりなのかも知れないが、監視者にとって息子の行動は余りにも判り易すぎた。もし、本気で消息を絶つつもりであれば学校などに通ってはいけなかったのだ。

 

「ふっ、んふっ……んっ」

 

 女が恍惚とした面持ちでため息のような声を漏らす。女の名は菅野文江。文江は大学で学生会の書記を務めている。文江は地味ながら容姿が整っているために男子学生には人気があるようだ。

 

 淡い桃色のカーディガンをずらして柔らかなタートルネックのシャツをたくし上げる。文江は抵抗するでもなく、うっとりとした目でぼんやりと天井を見上げた。口許に淡い笑みを浮かべる文江の様子を男子学生が見たら驚くかも知れない。彼らは結局のところ学内の文江しか知らず、こうして快楽に耽る緩みきった表情など見たことはないのだ。

 

 この部屋の天井と壁は全て写真で埋め尽くされている。大小様々の写真に写っているのは木村財閥の御曹司、木村順の裸体だ。隠し撮りのためにピントはずれている物が多いが、引き伸ばせばそれなりに見られるものになる。文江は部屋に入った時からずっと写真に囲まれているのだ。

 

 写真の中の順はどれも硬い表情をしている。金のためとは言え、慣れないモデルのバイトをしている最中なのだからそれも当然かも知れない。だが、その理由を抜きにしても順は殆ど笑うことがないのだ。

 

 自分が生まれてきた本当の理由を知ったあの日から、順は自然に笑うことは殆どなくなった。それでもあの家でじっと我慢し続けたのは妹の都子が居たからだろう。事実、他人を拒絶するようになった後も、順は都子にだけは自分から話し掛けていたという。だが残されたデータで判ることはごく限られている。何故、順が大学受験の後に家を出たのか、その理由についてはどこにも記されてはいない。

 

 己が人とは異なる存在だと知る気分はどんなものだろう。木村家の当主は幼い順にあえて真実を報せることを選んだ。そのことによって性格形成にどのような影響が出るのかの実験をした。そしてその実験はそれまでテストの結果が芳しくなかった順の能力向上の目的も兼ねて行われた。

 

 その筈だった。実験はある意味で失敗したのだ。

 

 実験体である順と都子には定期的にテストが行われる。全身麻酔をかけた状態で行われるために本人たちは何をされているか感知は出来ない。木村家当主が事実を明かした後も順のテストの結果はその前と変わりはしなかったのだ。

 

「くふっ! あっ、ふっ、ああん!」

 

 先ほどより幾分か強い声を上げて文江が仰け反る。たくしあげたシャツの下で文江の乳首はかたくしこっていた。下着をつけていない乳房を両手に掴み、指の間に乳首を挟む。人差し指と中指で乳首を挟んで捏ねると文江は更に強い声を上げた。

 

 誘うように文江が肩越しに振り返る。強引に頭を押さえて前を向かせてから乳房を強くつかむ。

 

 最初、文江はこの部屋に入ることすら激しく抵抗した。男子学生たちが好いた純真無垢な文江は間違いなく実在していたのだ。が、文江はとある時を境にあっけなくその意志を翻した。

 

 実験体である順のテストと都子のそれでは少々内容が異なっている。順は失敗作であり、都子が初めての成功例だからだ。それ故、都子に対しては決して行われることのないテストも順には行われる。その内の一つが両者の繋がりがどこまで強いのかを知るためのテストだ。

 

 順と都子を作る際に素材とされたものは同じモノだ。彼らには意図的にヒトではないモノが混ぜられている。違うのはその比率なのだ。

 

 全身麻酔を施されていても順は非常に敏感に都子の気配を察知したという。平たく言えば、都子の体液の匂いに必要以上に反応するのだ。特に順が過敏に反応するのは都子の愛液だという。その匂いを感じ取れば意識があろうがなかろうが、順の男性器は強く反応し、ちょっとした刺激で射精に至る。

 

 その性質を逆手に取り、木村家の当主は反抗しようとした順を脅した。その効果は抜群で順はそれきり反抗することを諦めたかに見えた。

 

 だが順は失踪した。いや、当人は確かに失踪したと思っているのだ。

 

「ふぅんっ! ふぁっ……うん。くふぁあん!」

 

 身体を震わせて文江が声を上げる。片方の乳房をつかんだまま、スカートの中に手を入れる。ショーツの底は既にぐっしょりと濡れており、女性器は浮き彫りになっている。下から上に股間をなぞり、尖りきったクリトリスをつつくと文江は泣いているような声を上げて背中を大きく反らした。

 

 ヒトではあり得ないモノ。当時、そう言われていたモノは今は研究者の間で龍神と呼ばれている。が、龍神についてはまだ判らないことばかりで、その正体は到底解明には至っていない。

 

 だが一つだけはっきりしていることがある。順が都子の体液に狂わされるように、龍神のそれは人の意志を大幅に狂わせてしまうのだ。

 

 既に文江の膣内には順の血液を乾燥させ粉末化したものが塗りこめられている。騙した挙句にこの部屋に入れられた文江に強引に飲ませたのもそれだ。その結果、文江はあっけなく意志を手放し、されるがままに快楽に耽るようになった。ただしそれは効果が続いている間だけだ。不思議なことに薬とも呼べないそれは厳密な効果時間があるのだ。そして効果時間を過ぎると施されていた人間はあっさりと元の状態に戻ってしまう。

 

 クリトリスを指先で強く押す。それだけで文江は高い声を上げて果ててしまった。虚ろに開かれた目はびっしりと貼られた写真に向いている。乾いた唇が開き、掠れた声で順の名を呼ぶ。

 

 順の血液を利用した催淫剤は既に闇ルートでの取引が盛んに行われている。素材である件の龍神のものでは人間には劇薬にしかならないが、順のそれは程よい効果が得られるのだ。ちなみに都子についても同じ研究がされたのだが、こちらは人間には使用することの出来ない代物しか出来なかった。要するに都子は順よりも龍神に近いのだ。

 

 血液、唾液、汗。内臓の分泌するあらゆる体液が全て実験に回された。その結果、どの体液を用いた催淫剤でも効果時間は一定であることが判った。しかも副作用らしいものは何もない。おまけにこの催淫剤は麻薬のような中毒に陥る危険性もなく、依存性も習慣性もない。つまり、順の体液を用いた催淫剤は人間にとって非常に都合のいいものだったのだ。

 

 この催淫剤を用いることによって得られる快楽は大きい。肉体的、そして精神的にこれまで体験したことのないような快感を味わうことが可能だ。購入者の多くはこれまでの性行為に不満を持つ者たちのようだ。

 

 だが、この催淫剤はその希少性から今現在はべらぼうな値段がついている。とても一般人が手を出せる価格ではない。

 

「あっ……木村く……ん」

 

 恍惚とした表情で呟いて文江が腰をひくつかせる。濡れたショーツをずらすと、開きかけた小陰唇から膣内に溜まっていた愛液が漏れて流れる。カプセルを膣口にあてがい、指で静かに押し込む。潤みきった膣内を指に押されたカプセルが奥に進んでいく。

 

 木村製薬が極秘に開発、取引を続けている催淫剤を利用している者たちはこの国でもほんの一握りだ。そしてその数は年々減りつつある。需要は幾らでもあるのだが、供給が追いついていないのが現状なのだ。何しろ素材であるところの順のテストがここ最近は行われていないからだ。

 

 そこで研究者たちはあるものに目をつけた。それまで血液や汗といった体液のみを用いて作られていた催淫剤を、別のもので作れないかという話になったのだ。

 

 それが順の精液だった。研究者たちは順の精液を用いて作った催淫剤のテストで意外な結果を見ることになる。

 

 電流に撃たれたように文江の身体が跳ねる。直後、文江の陰唇からは大量の愛液が漏れた。膣に入った指を膣壁がうねって締める。それまでまどろむように快楽に溺れていた文江は一転して激しく喘ぎ始めた。膣内でカプセルが溶け、中に入っていたものが膣壁から体内へ染み込んだのだ。

 

 研究者たちは驚愕した。順の精液で作られた催淫剤は動物実験において実験対象を根幹から狂わせてしまったのだ。実験対象は悉く快楽に溺れ、その上、中毒症状まで起こした。強烈な習慣性があるために、効果が切れるとたちどころに暴れ始める。それまでと同じ効果を期待していた研究者たちは、実験の結果を良くは思わなかった。

 

 だが物は使いようだ。原液に近い状態での使用は深刻な中毒症を引き起こすが、とある割合で希釈すれば利用は可能だ。もちろん、その場合の利用法は単なる催淫剤としてではない。

 

「んっ、くはっ! あふぁっ! あふううぅっ!」

 

 嬌声を放った口の端から涎を垂らし、自分から腿を大きく開く文江の姿は享楽に耽る獣にしか見えない。文江の小陰唇は男を受け入れるために開ききっており、薄く開いた目には写真以外の何も映っていない。この状態に陥った者は少しでも性器に触れるだけで激しい絶頂に幾度でも達する。

 

 だがこれでもカプセルの中身は相当に希釈されたものだ。文江の膣内を弄ると指を伝って愛液が外に漏れ出してくる。

 

 表面に白い粉末の塗布された張り型を静かに膣内に挿入する。それだけで叫ぶような声を上げて文江が果てる。倒れないように腕に文江を抱えて膣の奥にゆっくりと張り型を運ぶと、脱力しかけていた文江が嬌声を上げて背を反らした。

 

 順の精液から作られた催淫剤はその効果と利用法が先のそれと異なるため、別の名で呼ばれる。冥府の案内人……ヘルコンダクターというのがこの催淫剤の名前だ。これを使用し続けると、その人間は精神が壊れてしまう。文字通り冥界へ案内されてしまうという訳だ。

 

 しかしヘルコンダクターを特殊な条件下で使うと面白いことが起こる。希釈の割合を極薄から徐々に濃くしていけば、対象がいきなり壊れることはない。そして文江の場合は特に注意深くヘルコンダクターの希釈割合が計算されているのだ。

 

 ヘルコンダクターは今ではかつての催淫剤よりはるかに高値で取引されている。だが扱いが非常に難しく、目的通りに使えている例は少ない。現に客の中には与えた人間を死に至らしめた者もあるようだ。

 

 そうまでして何故、ヘルコンダクターは売れるのか。答えは実に簡単だ。

 

「んっ、くぅはあっ! んはっ! んふうぅああっ!」

 

 だらしなく涎を垂らしながら文江が腰を浮かす。膝立ちになった文江は快楽のままに自ら腰を動かし始めた。漏れた愛液が張り型が膣に出入りするたびに淫らな音を立てる。

 

 獣が餌を使って調教されるように、人間にもヘルコンダクターを用いた調教が可能だ。上手く利用すれば相手を意のままに操ることなど造作もない。特殊な刷り込みももちろん可能だし、条件反射的に欲情させることも出来る。ヘルコンダクターが売れる理由はそこにあるのだ。

 

 文江の場合は先日までは軽い催淫剤を用いていた。最初、この部屋に入るのを拒んでいた文江も、催淫剤の効果により淫らに快楽に耽った。その光景をカメラに収めるだけであっけなく文江はこちらの言うことを聞き始めたのだ。

 

 だがそれだけでは意味がない。極度に薄めたヘルコンダクターを文江に初めて与えたのは昨日のことだ。

 

 処女が相手となるとさすがに事はスムーズには進まない。それは困ると張り型で処女膜を裂いた。感じない相手で萎えられては困るから、催淫剤を用いて性感帯の感度を高めた。だがそれだけではどうしても足りない。

 

 順は学内でも女子学生に相当の人気がある。その事実を知らないのは本人だけだ。どういう訳か順は人の感情のある方面には酷く疎い。それ故に順を狙いながらやきもきしている女は多いのだ。

 

 その状況を踏まえた上で、尚かつ順と事に及ばせるには。

 

 張り型を握った手を捻る。抉るように膣奥を突かれた文江が高く鳴いて果てる。さすがに体力が限界にきたのだろう。文江はその後、完全に脱力してしまった。ベッドに文江を横たえて張り型を抜く。激しい抽迭に膣壁のどこかが傷付いたのだろう。張り型は血に汚れている。

 

 ベッドに横たわる文江の顔は快楽の底に落ちた時のまま、だらしなく緩んでいた。




すみません。タグがBLなのに闇鍋です……。
実はヘルコンダクターというのがこの話の元々タイトルでした。
サブタイトルとして残しました。
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