水商売はどうしても浮き沈みが激しい。
昔と比べれば市民権を得てきたオカマバーも例外ではなく、開店と閉店のサイクルのスピードはラーメン屋と一、二を争うだろう。
ややコワモテの顔と巨体。
品のいい着物姿。
そしてそんじょそこらの女性よりもよっぽどオンナのメンタルをしたママ、エスカルゴ・ララの切り盛りするここ「にゅぅカマー」は、そんな不安定な業界にあって、ましてや日本の繁華街の最激戦区である歌舞伎町で、常連客に支えられたなかなかの繁盛店だった。
大宅一子はそうした常連客のひとりであり、ある時期になると少々面倒くさい友人でもある。
ボブカット。
機能性を重視したラフでカジュアルなファッション。
記者という仕事を生業とする彼女のアクティブな取材姿勢は、けっして加工ではないジーンズのダメージからも読み取れた。
負けん気の強さが滲み出ている。
まず美人と評して問題ない顔立ちをしているが、こういう出会いの場であっても、一子に声をかけるのはかなりの勇気がいるかもしれない。
カウンターの端っこに独りで座って静かにグラスを傾けている。
それなりに画になった。
仕事で何かむしゃくしゃしているだとか或いは失恋でもしたかのような、ちょっとやさぐれているような感じがいい雰囲気を醸している。
自分という存在に対し正しい認識なのか、それとも勘違いなのかはひとまず置くとして、自信のある者ならいっちょアプローチしてみようかと、無謀なアクションを起こしていたはずだ。
ただほとんどが常連客なだけあって、一子のことをまったく知らないわけではない。
またララのさり気ないやさしさからくるアシスト、今日のあのコに声かけNGのサインを見逃す者もいなかった。
おかげでヘタにカラまれる犠牲者は出ずに済み、ささやかではあるが日々のストレスを発散させられたことに、ララはホッと着物の下にある厚く逞しい大胸筋を撫で下ろす。
さてと。
にゅぅカマーは繁盛店ではあるが、ポッカリ客足の途絶える時間がある。
ふたりっきりだ。
こうなるとララもクールぶって独り呑みしていたが、そのくせ構ってほしそうにチラッチラッと、しきりに視線を送ってきていた面倒くさい友人の相手をしなければならないだろう。
開店からチビチビずっとだ。
しかもウーロン茶で。
そろそろノロケ話を拝聴してやらねばなるまい。
「へぇー、それはすごいわねぇ」
「わたしも最初聞いたときはびっくりした」
「あの吉田寅之助とねぇ」
ララも最初にこの話を聞いたときは随分驚いたものだった。
吉田寅之助議員。
ダメ寅と呼ばれていた過去の汚名は払拭されつつある。
セカンドチャンスの体現者。
政治部に返り咲いた一子の単独インタビューで、雨宮蓮という少年の名前が出たのは本当に偶然だったらしい。
非公式の参謀。
カムバックを演出したフィクサー。
年齢は離れているが同志。
残念ながらこの辺りの話は諸々の事情で、主に蓮の事情でオフレコということになったが、そうした手放しの賛辞が送られていたみたいだ。
けれどもうこれで聞かされたのは何回目なのか覚えてないし、どんな話題であってもファーストインパクトを超えるのは難しい。
それにこれは毎回のツカミでしかないのも、話したいメインテーマはこれじゃないのも知っていた。
いいかげん胸焼けするくらい。
「どうやら坊やとは、上手くいってるみたいね」
「わかる?」
「だってあんた男と付き合ってるとき、外では一切お酒呑まなくなるもの。もっぱら家呑みオンリーになるじゃない」
「え、あれ、そう、……だっけ?」
「そうじゃない」
なるほど恋は盲目とはよく言ったもので、どうやら本気でわかってなかったらしい。
ノンアルコールなのに、酔ったみたいに顔が赤くなっていった。
まるで恋に恋する思春期の乙女のような反応である。
いい歳して。
内心ではそんなことを思わなくもないものの、やはり恋するオンナはキレイで微笑ましくもある。
どうやら新しい恋愛をするたびに、オンナという生き物は処女になるらしい。
「彼の作ってくれるオツマミ、わたしのツボを知り尽くしたみたいにチョー美味しくって」
初々しさを武器にすることができた。
キーワードがお酒というところに隠せない年齢的なものが垣間見えるが、ノリ自体は完全に彼氏の自慢をする女子高生のソレである。
というわけで(仮)ではあるがガールズトークなので、当たり前のように下ネタのゾーンに突入していった。
「上手いんだよね」
「なにが?」
「……その、き、キス」
喫茶店で居候をさせてもらっているからかどうかはわからない。
なんにせよ蓮の料理の腕前は一子よりも、余裕で数段上回ってくるレベルのものだった。
変化球はない。
メニューはどれもこれもありふれたものばかりだったが、それだけにシェフの実力がわかるような一品のオンパレードだ。
至れり尽くせりである。
グラスを傾け美味しい料理に舌鼓を打つ。
湯を張ってくれていたお風呂に浸かっている間に、手を抜いているように思えないのに手早く作って待っていてくれる。
ヤバい。
こ奴ダメ女製造機だ。
ふたりだけの部屋で若いイケメンの彼氏にお世話されながら、一子の脳裏にはそんな言葉もよぎったが、とてもではないがこの魅力に抗うことはできそうにもない。
ほろ酔いのところでそっと肩を抱かれたりなんかしたら、逆らうどころかもう望むならなんだって許してしまう。
寄せられた唇が吐息を吹きかけるみたいに耳に囁いた。
アルコールを摂取するよりも遥かに効率よく、可愛いというシンプルな言葉が身体を一気に熱くする。
カワイイ。
マスコミ業界は基本もそうだが応用も、ほぼほぼ旧態依然とした男社会だ。
男女同権だの女性進出だの声高に叫ぶが、じゃあアンタらはどうなのという矛盾は拭えない。
未だに男尊女卑が幅を利かせる欺瞞の世界だ。
なので可愛いというのは、ナメられているのと同意語である。
むしろそう言われないように、これまでの一子は頑張ってきたのだ。
そもそも一子は可愛げがないと言われるタイプで、年齢を重ねていくごとにさらに遠のいていった賛辞である。
可愛いというモノに対してまったく免疫がない。
こういうときどういう表情をしたらいいのか、これまで付き合ってきた男の取材記事のどこにもなかった。
キレイに削除されている。
ドギマギしているだけのマヌケな顔が、自分を小娘に戻してしまった彼氏の、ゆっくり近づいてくる眼鏡のレンズに映っていた。
お互いの吐息がかかるほど迫ってきている。
いたずらっぽく微笑んでいた。
ぽってりした一子の唇に蓮の唇が押しつけられる。
「ンッ!?」
クルのはわかっていた。
それでも驚かずにいられないドッキリに、思春期回帰している一子の胸は高鳴らずにはいられない。
もうそれが何年前だか覚えてなかった。
まるでファーストキスを奪われた少女みたいに、びくついたようなくぐもった声を上げつつ、身体を堅くしてしまったのがなんだか恥ずかしい。
すると解そうとするかのように、包み込むみたいに優しく抱きしめられる。
間を置かずするりと、歯列を割って舌が潜り込んできた。
蓮は一子と唇を重ねたまま顔を傾け、伸ばした舌を奥へ挿し込んでいく。
舌はきれいな歯並びを内側から辿りながら、意外にデリケートな上顎の裏をくすぐり、口の中で怯えたように縮こまっている舌に触れてきた。
最初こそ反応を見るようにそっと。
しかしすぐに大胆になって、蹂躙するみたいに舌を絡ませてくる。
淫靡なカクテル。
クチュクチュという卑猥な音とともに、蓮と一子の唾液が混ざり合っていき、ほんのり残っていたアルコールを媚薬に変えていった。
緊張していた身体を、心ごとドロドロに蕩けさせる。
一子は年下の彼氏のするキスの虜になっていた。
「んン……」
長く続けられた口づけに、さすがに息が苦しくなってきた一子が、小さく鼻を鳴らすとようやく唇が離される。
今まで経験してきたキスと蓮のキスでは、居酒屋チェーンで出されるワインと、ララの店のとっておきの秘蔵ワインくらいの差があった。
圧倒的である。
どこがどうコレだとかいう、しっくりした言葉にできないのは、記者の端くれとして悔しくもあるが、コクというか後味というか深みというか、とにかく蓮のするキスはそうした諸々が、これまで経験してきた数々のキスとは雲泥だった。
スマン歴代の彼氏っ!!
比べるのは失礼だがキミたちとしてきたのは、どうやらキスではなかったみたいだ。
などと一子はボーッとなった頭で、恋愛マナー違反の謝罪をしつつ、初めてアルコールを摂取したみたいにキスに酔っていた。
ふたりの唇を結ぶ唾液の糸がプツッと切れるとぐったりして、蓮のララとは種類の異なった逞しい胸板に身を預ける。
霞がかった目はまさにキスに酔わされた状態で、迅速で性急で適切な介抱を一子は必要としていた。
迷いこそが最悪の結果を生む。
笑みを浮かべながら覆い被さってくる蓮に躊躇いはない。
まずは気道の確保だ。
「ンふ……」
ふたたび一子の唇を奪う。
チュッ。
今度は唇と唇を触れ合わせるだけの軽いキス。
蓮はそのまま唇を下にずらして、ふっくらした一子の下唇を甘く咬んだ。
そこからまた顔の角度を変えての三度目の口づけは、だらしなく半開きになっている歯列の狭間から、口内ににゅぬりと侵入されて粘膜をまさぐられるアダルトでありディープなキスだった。
自分の方が年上なのに年下の彼氏がする大人びた巧みなキスに、頭がどんどん加速度的に馬鹿になっていくのがわかる。
夢見る少女みたいにロマンスを感じ、清く尊いものして優遇されていたのは、たぶん大学を卒業するくらいの頃までがギリギリだ。
キス魔まではいかないまでも酔ってさえしまえば、唇の価値は暴落して許すこともそんなにめずらしくない。
もちろんそこから先となれば、話はべつとなってガードを固くしているが……。
こんなキスってスゴかったっけ?
セックスに至るまでのファーストステップ程度になっていたのに、底なし沼のような秘められていた真価に一子はずっぷり身を浸していた。
舌の動き。
押し当てられた唇の感触。
若い牡だけに特有のワイルドな匂い。
トロリとした唾液。
それらすべてが牝を狂わせ、堪らなく官能的な気分にさせる。
「ン……んふ……んちゅ」
交尾でもするみたいに長々とお互いの舌を絡め合わせ、たっぷり唾液を交換してから蓮は蹂躙していた唇を離した。
蓮は銀色に煌めく糸の切れ端を右手の甲で拭うと、その手を一子のノーブラのキャミソールを持ち上げている左の乳房に伸ばす。
布地越しではあるものの部屋着というには、少々セクシーが過ぎる異性を意識した薄いキャミソール。
ほとんどダイレクトに蓮の手の感覚を拾ってしまい、ふくらみに触れられた一子はひくっと身体を震わせた。
指をいっぱいに広げて、鷲掴みにされる感覚も。
「あンッ」
一子は肩を怯えたみたいに小さく竦めて、処女の少女のように可愛らしい声を上げる。
残念ながら一子のふくらみにはもうすでに、ティーンのような若い張りと弾力は失われつつあった。
心はいつでも少女に戻れるが、身体までそういうわけにはいかない。
しかしその代わりにしっかり獲得しつつあるモノ、熟したおかげで得た蕩けるような柔らかさも、けっして引けを取らない素晴らしさがある。
蓮も乳房の手応えを愉しむかのように揉みしだいていた。
硬くぴんぴんに尖っているふくらみの先端の感触まで、年上の彼女の柔らかさのすべてが年下の彼氏の掌中にある。
そしてぬめりを帯びた粘膜の卑猥な感触と熱さ、心は処女でも身体は熟している一子は蓮のモノだった。
左手がするりとスエットパンツに侵入する。
太腿を撫でまわすみたいに滑らかな肌をスライドさせながら、器用にずり下げてやはりセクシーが過ぎるショーツを露わにした。
バックハグするみたいに抱き寄せる。
上体を預けさせながら、キャミソールの裾を掴んで捲りあげた。
たっぷりとした量感のある柔らかなふくらみは、巨乳と称されていいサイズで、肩口から覗く蓮の視線にさらされている。
乳房のサイズが大きいせいなのか、頂きに鎮座した乳首は逆に小さく映って、色素の薄さも功を奏し少女のような可憐さを演出していた。
だからなのか勃起している様はいっそ健気ですらあり、牡であるからには虐めてみたくなる初々しさといやらしさが同居している。
蓮は腋の下からまわした左手の親指と中指の腹で、パチンっと鳴らす寸前の力加減で、心臓に近い方の乳首を摘まみクリクリと弄んだ。
「ああああッ」
顎を跳ねあげる一子のリアクションに、レンズ越しの瞳を妖しく細めながら右手を、濃厚な牝の匂いを放っているショーツの中へと侵入させる。
鬱蒼と繁った叢を掻き分け触れた秘裂は、乳房に負けないたっぷりした愛液を滲ませている。
指を蠢かせるとすぐにクチュクチュという音を響かせた。
怪盗団のリーダー。
ジョーカーはまだ若いがさすができる男である。
二兎を追って二兎を得る男。
そうして深々と媚粘膜に挿し入れながらも、乳首を痛いくらいの刺激で嬲ることにだって怠りない。
脅かすみたいに微妙な加減でクニクニ弄んでいた指先に、不意を突いてキュッとキツく抓るみたいに力を籠める。
「ひぁッ!?」
蓮の腕に抱かれながら面白いように、一子の身体は被虐の快楽に飛び跳ねていた。
どれだけメンタルがヴァージンだったあの頃に回帰しようとも、肉の悦びを熟知している女体は浅ましいほど貪欲である。
愛する牡からの刺激に過剰なほど敏感だ。
「あッ……んぁッ……ひッ……あ、ンぁッ……ひぁッ!!」
身体の奥に巣くっている牝という淫らな魔物を、年下の彼氏に目覚めさせられた一子に、制御は不可能でコントロールを放棄していた。
無効もなければ反射も吸収もなく、耐性どころか弱点しかないボディ。
ハリセンでシバかれても、立て直せそうにない属性ダメージ。
ひとりなのに蓮のチームプレイはバツグンで、流れるようにバトンタッチされていく巧みで多彩な責めに、許容量を超える水分を含んだショーツはすっかり透けており、そのあまりに卑猥なディティールを、バッチリ浮かび上がらせ映しだされていた。
気づいていない。
一子の部屋の家具の配置は若干ではあるものの、狙い通り計算され尽くして移動させられている。
「あ? ちょ、これ、い、いや、んンッ、やぁンッ!?」
さっきまでは気づいていなかった。
どこかでした失敗の経験を反省し活かすかのように、認知の外に配置されていた姿見には、弄ばれ蹂躙される牝の痴態が大写しになっている。
袋とじ確定なベストアングルでのフォーカス。
怪盗の専売特許ではない。
記者という職業に就いているだけあって、一子も潜伏はけっこう得意としていた。
何かと重宝するスキルである。
交渉事は意表を突ければもうこっちのもので、ガードの固い相手から期待する答えを導ける。
矢継ぎ早の際どい質問の連打でやりたい放題だった。
望まぬサプライズというかハプニングというか、強制的なアクシデントというかスクランブル攻勢。
これまで一子はそうやって、数々のスクープをモノにしてきた。
「あ……ああッ……、やめ……ひンッ!?」
だがこの有益なスキルは、しばし封印するかもしれない。
ズル過ぎる。
乳房をだらしなくぶるんぶるん揺らしながら、下腹部を波打たせて秘裂に指をぐっぷり咥え込んでいる。
鏡に映されている卑猥な現実。
あっちもこっちも黒塗り修正だった。
いきなり認知の外から畳みかけられて、このような痴態を見せつけられれば、乱れに乱れている自分を突きつけられれば、とてもではないが平静を保ってなどいられない。
「………ンッ、ンッ……ふぅッ……はぁ……んぁッ……ぅああッ!! ……あ!? ……ああッ………んぁああッ!!」
なすがままだ。
蓮は一子の右の腋の下から肩を貸すみたいに、あるいはヘッドロックでもされるみたいに頭を通す。
落ち着きなく跳ねまわるふくらみの先端を、タイミングよく器用に捉まえて口に含んだ。
「ひッ、ひッ……や……ダメ……あぁああッ!!」
まだ未成年の年下の彼氏。
それがいったいどこでどのように経験を積んだのやら。
気になる。
非常に気になる。
しかし恋人の過去を根掘り葉掘り取材したところで、おそらくでなく確実に誰にとっても不幸な結果しか生まない。
これを追求するのはジャーナリスト精神ではなく、マスゴミという輩と同類になってしまうだろう。
……けれど気になるモノは気になるっ!!
「や、ァ、やめぇ、ン、あひッ!?」
といった処女の少女らしい嫉妬を解き放つのを我慢しつつ、ご無沙汰だった熟れた身体を高校生男子に再開発された一子の唇は、勃起した乳首を咬まれて堪え性なく喘ぎ声を撒き散らしていた。
千切ろうとでもするみたいに引っ張られ、乳肉に鋭い痛みが走ったがそれすら悦びに変わる。
蓮とこうした関係になる前よりも、あきらかに過剰に敏感に改造されていた。
パーツのサイズまで変えられている。
揉んだりすれば大きくなるのは、ナニも乳房だけに限った話ではない。
しゃぶりにしゃぶられていた。
乳首。
若いくせして性に対してはやたら粘着質で、未だに小さく可憐さを維持しているものの、いやらしくぽっちゃりぷっくり肥え太らされている。
快感に慣れないが馴染んでしまった粘膜はどこもかしこも、恋人のくれる悦びを享受するのに貪欲になっていた。
濃い恥毛を透かせていたショーツから指が抜かれる。
恐怖にも似た感情が一子を襲っていた。
「んぁツ!?」
けれど間を置かず股布のクロッチを左右から引き絞られ、紐のように細くなって爛れたみたいに潤んでいる秘裂に喰い込む。
黒いモノがはみ出した。
そのままの方が興奮すると蓮に言われたので、ソコはまったく手入れされていない。
若いのにマニアックというかアブノーマルな恋人のお願いを、こうして叶えてあげられる悦びと羞恥に一子は身悶えた。
フロントラインをTバックにされた状態で、即席のふんどしを強弱緩急つけられて小刻みに揺すられる。
妖しい感覚が深くじんわり、しかし鋭く鮮烈に広がった。
またぴんぴんに勃起して自己主張をしていたのは、ナニも乳房の先端だけというわけではない。
不規則でイジワルな縄跳びみたいに、一子の予想するタイミングを絶妙にはぐらかし、オンナを責めるための拷問具となった紐状のショーツが、わざわざ剥かずとも期待と興奮に、セルフで露わになっていたクリトリスを嬲る。
秘裂を絞り込み吊り上げるようにしながら躾けでもするみたいに、熟れた身体の処女に断続的に隷従のウイップを打ち据えていた。
――もっともすでに完全屈服のミッションはコンプリートしている。
「あッ、あッ、あふぁッ!!」
蕩け切った牝の貌をさらしているこの一子になら、蓮はどのような淫らな命令であってもできそうだった。
取材対象に蛇蝎の如く嫌われ、憎まれている生意気な女記者の面影はない。
いや、ちょっとある。
ちょっとあるからこそよりイジメたい。
蓮はいつもの一子のキャラクターも当然だが好いている。
けれどだ。
苦々しく思っている輩のような暗いモノはないが、けれどメチャクチャにしたくなるのを、加虐の欲望を煽られるのを抑えることはできない。
むっちりした尻肉を猛り昂るペニスにぐりぐり、こねるみたいにして押しつけてくる恋人が、壊したいほど愛おしくて堪らなかった。
そうした荒れ狂う牡の感情をぎりぎりで、どうにかこうにか制御しながら、密着していた腰を少し引いて距離を空ける。
「あ……、んひッ!?」
反射で追いかけようとした一子のヒップも、叱りつけるみたいに右乳首を咬まれて、幼子のように身体をびくんっとさせてフリーズした。
ほくそ笑むと左胸を揉みしだいていた左手で、蓮はズボンのチャックを下ろしブリーフから勃起を解放する。
裏筋がひたりと接地した。
熱さと硬さ。
そして生のイヤラしさがダイレクトで牝の肌を這った。
脊髄からぞくぞくしたモノが駆け上がり、汗でぬめる一子の全身に刹那で伝播していく。
蓮はかなりワイルドになっていた。
というよりも牡としての本性を顕わしたといったところか。
人間だってアニマル。
獣……というかケダモノと化した蓮は乱暴に、
ビリッ。
それなりに高いランジェリーを、躊躇することなくあっさり破り捨てる。
両膝の裏に手を入れて、力強く持ち上げた。
掻いた胡坐に乗せ上げられる。
小さなコがオシッコするようなポーズ。
成人した女性がするのは屈辱でしかない格好をした一子の姿は、マーキングされたみたいに咬まれ唾液に濡れた乳首も、牡を誘う食虫花のような妖しい美しさのある粘膜をひくつかせ、子宮にまで至る道の奥の奥まで鏡面にクリアーに映していた。
羞恥にくらくら眩暈がする。
なのにそうやって意識を朦朧とさせながらも一子は腋の下から頭を抜いて、肩口から笑顔を覗かせた蓮が愉しそうに囁く命令に従っていた。
ごろんっと蓮がお値段以上の店で買ったカーペットに寝っ転がる。
ただし一子はそのまま踏ん張って、昨今では見なくなった和式便器を跨ぐみたいに、無様で滑稽なガニ股になって腰を浮かせていた。
指の回り切らない太さの勃起を、もう何度目になるかもわからないのに、恐る恐るといった感じで初々しく握る。
恋人の欲望の塊に狙い撃たれるため自分で自分の、物欲しげに蠢く媚粘膜に照準を定めていた。
あとは羞恥と興奮でガクガクしている膝を折り、不安定なホバーリングをしている腰を落とすだけである。
当たり前だがこの期に及んでこの状態で、牡器官をバッキバキにしておいて欲情してないわけがない。
思春期は発情期でジョーカーも人生で、マックスお盛んな高校二年生男子だ。
我慢してないわけがない。
してないわけもないが知ってもいた。
処女肉も美味いが熟成肉も引けを取るものではないことを。
食する際は炙りが肝。
こうでなければああでなければとグルメを気取るつもりはないが、どうせならやっぱり牝肉は美味しく食べたい。
頭の後ろで両手を組みながら、恋人の尻の谷間の底で息づくアナルを眺めつつ、覚悟が決まるのを蓮は余裕の態度で待っていた。
もっともそんなに長い時間はいらない。
心はどれだけヴァージンのあの頃に回帰していても、身体は真下にあるナイフの切れ味をよく知っていた。
ふしだらな涎を垂らす媚粘膜に熱が肉迫する。
蜂蜜より甘く蕩け切った瞳で勃起を見つめながら、愉悦の期待とともに一子は串刺しにされていた。
「あひッ、ひッ、ンッ、ひィ――」
未成年の彼氏に跨った敏腕女記者は、背筋を反らし遠吠えもさながらに喘ぎ狂う。
尻肉がたわむほど腰を押しつけ、粘膜が余すところなく勃起で満たされる。
深い挿入感。
熟れた牝穴は若いペニスの反りに従って、入り口から最奥までをグニャリと歪められていた。
オンナを責めるために設計された拷問具のような、鋭角に張り出した雁首にこそぎ落とされるみたいに擦られた媚粘膜は、飢えの激しさを表すかのように、即座に勃起に纏わりつくと品のない咀嚼を開始する。
居場所を奪われた愛液がダムが決壊するみたいに溢れ、洪水のような勢いでふたりの結合部をびしょ濡れにしていた。
セックスの匂い。
濃厚な淫臭が部屋に充満する。
「……ハッ……あッ……、あ、ンぁッ……ひッ……あ、んぅ……あふぁッ!!」
牝にしか味わえない悦楽にぶるぶる震えていた一子だったが、ひとしきり堪能すると勃起が抜ける寸前まで尻肉を持ち上げた。
ぬかるみの中から長いストロークをかけて、たっぷりのぬめりを帯びたペニスが引き出される。
キュッと締まった膣口に雁首のくびれが達したところで、ゆっくり慎重に折り返し再び粘膜の海に勃起を沈めた。
潤滑油には事かかない。
いつものようにすぐにテンポよくスムーズに、リズミカルに一子は尻肉を年下の彼氏の上で跳ねさせる。
「うぁッ、あンッ、あ、やッ、ああんッ……、やッ……ああッ!!」
淫らな円運動を自然に描きながら、勃起を頬ばった秘裂は悦楽の坩堝となっていた。
肉欲の疼きを癒そうとでもするかのように、熱した鉄の棒にゴムを被せたような、弾力の奥に硬さを秘めたペニスを腰に叩きつけ貪る。
しとどに流れる蜜の色は早くも白く濁りだしていた。
牝穴を彩る大小のぷりぷりした淫靡な襞の凹凸に引っかけながら、咥えた勃起にさらに濃厚さを増した愛液を塗り込みつつピストンをくり返す。
「ひッ……やめ……や……、ひぃッ……んンッ……、ひッ、ひッ……や……ダメ……あぁああッ!!」
この期に及んでもカマトトぶっていた。
あるいはヴァージンという設定を、心だけでなく身体まで愉しんでいる。
しかし媚粘膜は異物を押し出すように蠢きはするものの、それは抵抗するためではなくより快感を高めるためのモノだった。
乳房をもげそうなほど派手にバウンドさせつつ、恋人との肉の交わりでしかけっして感じられない摩擦を悦んでいる。
恥毛にクリトリスをくすぐられる微細だが抵抗できない刺激に、
「ひぃンッ!?」
一子は鼻の穴をコミカルにひくつかせながら快美な歌声を、さして壁が厚くもなさそうな2LDK家賃九万六千円の部屋に響かせていた。
熟れに熟れた淫らな女体を激しく上下させて、全身の皮下脂肪を喜悦に波打たせている。
艶めかしいセクシーな背中を見つめながら、不敵な笑みを絶やしはしないものの、蓮は括約筋を引き締めてグッと肛門に力を入れた。
「……あッ……くぅ……ああッ……!!」
ナニも恋人から感じる愉悦に追い詰められているのは、狂ったみたいに喘ぎ啼く一子だけというわけではない。
ゆったり構えて余裕ぶっていられたのはここまでだった。
頭の後ろで組んでいた腕を解く。
くびれた腰を掴むと落ちてくるタイミングに合わせ、鋭利な肉のナイフで裂けた傷口をさらに抉るかのように叩きつけた。
すっかり一子の匂いが染みついているペニスを、女体の聖域の奥の奥まで呑み込ませ、そのまま尻肉を圧縮するようにしながら、ぐりんぐりん腰を回転させてから持ち上げ、また叩きつけるようにしてさらに奥を突き挿す。
哀願するみたいに未練がましく粘膜が絡みつくが、モノともせずにえげつないピストンをくり返していた。
そうやって抜き挿しのスピードはどんどんアップしていくくせに、時折り絶妙なチェンジオブペースを織り交ぜてくるところが実に心憎い。
そこらの高校二年生男子にはない腰遣いだ。
まずは自分の欲望を処理するだけで精いっぱいなティーンとは、さすがジョーカーは牡としての格がイロイロな意味で段違いらしい。
まあそうでなかったら若干十七歳で、酸いも甘いも経験している一子のような、社会人と対等に付き合うことなどできないだろう。
「あううッ、やアン……ンンッ……ひああッ!! あッ、あッ、あッ……ああンッ……あひッ!!」
子宮口が降りてきた。
牡の濃いザーメンをねだるように媚粘膜がねっとり勃起に絡みつく。
そのリクエストに応えて亀頭が急速に膨張した。
蓮の背がキレイなアーチを描いて仰け反り、恋人をリフトアップしたままラストショットを撃ち込む。
雁首が爆ぜるみたいにして脈打った。
「――ぁぁぁうぁッああ!!」
酸いも甘いも一通りの経験をしてきた一子ではあるが、熱々の恋愛中であった頃も歴代の彼氏にはここまで許したことはない。
処女であったりは疑似体験でしかないが、膣だしされたのは偽りのない初体験だった。
ずっとバリバリ働いていたい。
それができなくなるのなら子供なんていらないし、それを認めてくれないのならべつに結婚なんてしなくてもいい。
本気でそう思っていた。
家庭というネタがチラついたおかげで、別れてしまった恋愛もいくつかある。
けれど、
受精アリかも。
「ひいいッ、だ、ダメッ、こんな、こんなの、あッ、ダメ、なん、だから、妊娠、妊娠しちゃ、ンぁ、あッ!? あひいぃぃぃぃッ!!」
ドクッ・ドクッ・ドクンッ……。
身体の最もディープな部分にスペルマを浴びせかけられながら、蓮の子供なら生んでみたいという本能的な悦びを一子は呼び覚まされていた。
口の端から涎を垂らした淫蕩そのものの貌で。
母性を自覚するにしては些かそぐわないかもしれないが、雨宮一子もけっこう悪くないと思った瞬間だった。
…………。
…………。
…………。
「それから朝まで何回もイカされちゃって、最近ちょっと寝不足だったりするんだよねぇ」
「キスが上手いって話じゃなかった?」
「もう壊れちゃうとかさぁ、こんなの初めてぇとか、いや~、年下の男のコに、しかも高校生にマジで言わされちゃったぁ」
「聞いちゃいないわね」
やめられないとまらないエビセンみたいな怒涛の勢いで、ひとの話はちっとも聞かないが、聞いてもいないことまで一子は語りまくっている。
聞くにも堪えないし見るにも堪えないという内容だが、恥ずかしがりつつも知って欲しくて仕方がないみたいだ。
記者という職業に就いているだけに、一子は取材対象を攻めるのは得意ではあるが、逆の立場になるとまったくダメダメらしい。
ディフェンスはスカスカのザルもいいところで、たぶん機密情報だったりは駄々洩れになってしまうだろう。
浮かれたらなんでもしゃべってしまいそうで、二股だったり不倫だったりはできないタイプだ。
そして取材対象の虚偽を暴くのは得意であっても、恋愛対象の嘘を暴くのは苦手なタイプかもしれない。
もし仮に九股とかされてても、バレンタインまで気づきそうになかった。
恋は盲目だものねぇ……。
ララは少し友人が心配になったりしたが、他人の色恋に首を突っ込むほど愚かではない。
相談事があれば乗ってやるのはやぶさかではないが、こっちからしゃしゃり出て馬に蹴られるのも馬鹿々々しかった。
まあララの見立ててでは蓮は悪い男なのかもしれないが、そういうオンナの天敵こそイイオトコで、魅力的だったりするのはよくある話である。
どのような結果になろうがいい経験だ。
カチッ。
その辺の男がするよりも余程カッコよく煙草に火を点けながら、独りよがりのノロケ話を延々している一子をやや羨ましそうに眺める。
周りが見えなくなるような恋愛を、ひさしぶりに自分もしてみたいものだ。
これぞまさにイイオンナという所作でふぅーっと、肺の奥にまで深く入れていた紫煙を宙空に色っぽく吐き出す。
そんなアンニュイな物想いに耽っていたララの耳が、一子のセンスにない曲を奏でる携帯の着信音を捉えた。
なんだか早撃ち自慢のガンマンのようである。
一子はジーパンの後ろポケットからスマホを引き抜くと、両手で持って耳に押し当てると前屈みになって唇を寄せていた。
「ど、どど、どうしたの? 今夜はバイトだから忙しいって、急になくなったの? うん、うん、ぜんぜん平気、帰る、いますぐ帰るっ!!」
恋する女の喉にはボイスチェンジャーが搭載されているらしい。
いつもよりもあきらかにトーンがワンランクもツーランクも、男がいると何度でも変声期を迎えるあざとい女みたいにアップしている。
数か月前は一子が毛嫌いしていた女がそこにいた。
「じゃ、ララちゃん、またね!!」
ぼったくりバーではない。
ウーロン茶の料金が千円なのは歌舞伎町という立地でも、どう考えたところで高いが、それでもありがたく悪びれず頂戴しておく。
スキップしそうな足取りなのにダッシュで店を出る友人を見送りつつ、自分もひさしぶりに男を作って声変わりしようかとララは真剣に思った。