ありふれた技能で奈落産モンスター女体化ハーレム性活 作:|◉〻◉)
柱につながれるようにして埋め込まれていたのは年の頃は十二、三歳の少女だった。
助けて。と、か細い声で呼びかけられたら助けてあげないわけにはいかない。
しかしどうしてこんなところにとらわれているのか、さっぱりわからない。
「君は、なんでまたこんなところにいるんだ? 助けるのは吝かではないが、理由が知りたい」
「それは……」
囚われの少女は俯いたままで言葉を濁した。
「なぁハジメよ。普通に考えてこの子は昔悪さした奴で捕らえられたのではないか?」
クロがあり得そうな話題を振ってくる。
「違う、私は騙されて! 裏切られたのよ!」
クロの指摘で悩むハジメの様子を見て、黙り込んだ少女は見捨てられると思ったのか、すがるように訴えかけてきた。
「何か理由がありそうだな。話を聞かせてくれるか?」
「そうしたら助けてくれる?」
「話を聞いた上で、こちらに害が無いとわかればだけど。何しろこちらは大所帯だ。僕一人に害がなくても、他の誰かに害が出たらダメなんだ。わかる?」
「分かった」
少しだけ納得いかないような表情で、少女はここに至る経緯を語ってくれた。
「私、先祖返りの吸血鬼……すごい力持ってる……だから国の皆のために頑張った。でも……ある日……家臣の皆……お前はもう必要ないって……おじ様……これからは自分が王だって……私……それでもよかった……でも、私、すごい力あるから危険だって……殺せないから……封印するって……それで、ここに……」
枯れた喉で必死にポツリポツリと語る少女。話を聞きながらハジメは呻いた。
なんとまぁ波乱万丈な境遇か。しかし、ところどころ気になるワードがあるので、湧き上がるなんとも言えない複雑な気持ちを抑えながら尋ねた。
「お前、どっかの国の王族だったのか?」
少女は頷き、ハジメだけを見ている。
どうやらまとめ上げているリーダーだと見抜いたのだろう。
決定権を持っている人物に取り入るのが上手いようだ。その事からでもクロは臨戦態勢を取った。そんなクロを宥めながらハジメは問いかける。
「殺せないってなんだ?」
「……勝手に治る。怪我しても直ぐ治る。首落とされてもその内に治る」
「自己治癒能力か? 是非とも欲しい人材だ!」
ハジメは感嘆したように声を大きくする。
こうなったらクロでも抑え込むことはできない。してやられたとばかりに警戒心を強めていく。
「これもだけど……魔力、直接操れる……陣もいらない」
ハジメにとって魔力操作など雲の上のようなものだ。いまだに能力の低さでみんなの足を引っ張っている自覚がある。だから余計に欲しくなる。もうハジメの中では封印は解いてもいいんじゃないかとさえ思っていた。
「ハジメ、仮に此奴を解き放ったとして……」
「なんだよ、何をそんなに心配してるんだ?」
「抑え込めるものが誰も居なくなる。それが今から心配じゃ」
クロの指摘は最もだった。手綱を握れるものがいないとなれば、安易に封印を解いていいものか。暴れ出したら手に負えないと本人も言っていたではないか。
「僕のチンポでなんとかならないだろうか?」
「こう見えて年上なのじゃろう? チンポも食べ飽きているのではないか?」
「そこは錬成の力で彼女に適合するようにチョチョイと……」
「我は危険じゃと思うんじゃがな」
それでも不死身の肉体に魔法適性の高さは中二病患者のハジメにはとても魅力的だった。
ベッドヤクザのハジメはなんとかチンポで落とせないかとクロに説得するが、クロからはあまり反応が良くない。圧倒的強者を解き放つのは危険だと、暗にそう言われている。
今まで仲間にしてきたものたちは、確かに一度打倒してから手元に置いている背景を考えれば、クロの不安もよく分かった。それでも……
「……たすけて……」
少女の懇願を振り払うことはできなかった。
「……」
ハジメはジッと少女を見た。少女もジッとハジメを見つめる。
どれくらい見つめ合っていたのか……
やがて根負けしたようにハジメはガリガリと頭を掻き溜息を吐きながら、少女を捕える立方体に手を置いた。
「あっ」
意味に気がついたのだろう。少女は大きく目を見開く。
ハジメはそれを無視して錬成を始めた。
ハジメの錬成と錬成EXにより分解と再構築を半ば無理やりに行う。
しかし、イメージ通り変形するはずの立方体は、まるでハジメの魔力に抵抗するように錬成を弾いた。迷宮の上下の岩盤のようだ。だが、全く通じないわけではないらしい。少しずつ少しずつ侵食するようにハジメの魔力が立方体に迫っていく。
「ぐっ、抵抗が強い! ……だが、今の僕なら!」
ハジメは更に魔力をつぎ込む。詠唱していたのなら六節は唱える必要がある魔力量だ。そこまでやってようやく魔力が立方体に浸透し始める。既に、周りはハジメの魔力光により濃い紅色に煌々と輝き、部屋全体が染められているようだった。
ハジメは更に魔力を上乗せする。七節分……八節分……。少女を封じる周りの石が徐々に震え出す。
「まだまだぁ!」
ハジメは気合を入れながら魔力を九節分つぎ込む。
属性魔法なら既に上位呪文級、いや、それではお釣りが来るかもしれない魔力量だ。どんどん輝きを増す紅い光に、少女は目を見開き、この光景を一瞬も見逃さないとでも言うようにジッと見つめ続けた。
ハジメは初めて使う大規模な魔力に脂汗を流し始めた。
少しでも制御を誤れば暴走してしまいそうだ。だが、これだけやっても未だ立方体は変形しない。ハジメはもうヤケクソ気味に魔力を全放出してやった。
なぜ、この初対面の少女のためにここまでしているのかハジメ自身もよくわかっていない。
だが、とにかく放っておけないのだから仕方ない。邪魔するものは犯し、徹頭徹尾自分の目的のために生きると決めたはずなのだが……
ハジメはもう一度、内心で「なにやってんだか」と自分に呆れつつ、何事にも例外は付きものと割り切って、「ヤりたいようにヤる!」と開き直った。
今や、ハジメ自身が紅い輝きを放っていた。正真正銘、全力全開の魔力放出。持てる全ての魔力を注ぎ込み意地の錬成を成し遂げる!
直後、少女の周りの立方体がドロッと融解したように流れ落ちていき、少しずつ彼女の枷を解いていく。
それなりに膨らんだ胸部が露わになり、次いで腰、両腕、太ももと彼女を包んでいた立方体が流れ出す。一糸纏わぬ彼女の裸体はやせ衰えていたが、それでもどこか神秘性を感じさせるほど美しかった。そのまま、体の全てが解き放たれ、女の子は地面にペタリと女の子座りで座り込んだ。どうやら立ち上がる力がないらしい。
ハジメも座り込んだ。肩でゼハーゼハーと息をし、すっからかんになった魔力のせいで激しい倦怠感に襲われる。
荒い息を吐き震える手で神水を出そうとして、その手を少女がギュッと握った。弱々しい、力のない手だ。小さくて、ふるふると震えている。
ハジメが横目に様子を見ると少女が真っ直ぐにハジメを見つめている。
顔は無表情だが、その奥にある紅眼には彼女の気持ちが溢れんばかりに宿っていた。
そして、震える声で小さく、しかしはっきりと少女は告げる。
「……ありがとう」
「どういたしまして」
「やれやれ、責任はしっかり取るのじゃぞ?」
「分かってるって」
「責任……ハジメ、私の事、食べちゃう?」
「君は、僕のことをなんだと思ってるわけ?」
こう見えて女だからね、と胸を張る。見た目はの、とクロに揶揄われるが、ハジメはそれを苦笑いで受け流した。
少女はクスクスと笑みを溢している。
こんな子が吸血鬼。それも先祖返りして吸血鬼一族でも手に負えないとされてる。
正直言って全然そうとは思えない。
だって、なぁ。見た目だけならジルやフウカとドッコイだ。
しかし年上なんだよなぁ。
話している間も彼女の表情は動かなかった。それはつまり、声の出し方、表情の出し方を忘れるほど長い間、たった一人、この暗闇で孤独な時間を過ごしたということだ。
しかも、話しぶりからして信頼していた相手に裏切られて。
よく発狂しなかったものである。
もしかすると先ほど言っていた自動再生的な力のせいかもしれない。だとすれば、それは逆に拷問だっただろう。狂うことすら許されなかったということなのだから。
そこで少女はハジメに前のめりに聞いてくる。息も吹きかかるほどの距離、膨らみ始めた乳房がくっつきそうな射程で問われた。
「……名前、なに?」
「ハジメ」
「我はクロじゃ」
女の子は「ハジメ、ハジメ」と、さも大事なものを内に刻み込むように繰り返し呟いた。
クロは「我もいるんじゃがのう」と寂しそうにしている。
ハジメも改めて少女へと聞き返す。一族の中で暮らしていた。おじさまと言う言葉から察するに、人間に似たコミュニティがあったのだろう。その当時の名前を知りたくて聞いてみた。
「……名前、付けて」
「は? 付けるってなんだ。まさか忘れたとか?」
長い間幽閉されていたのならあり得ると聞いてみるハジメだったが、少女はふるふると首を振る。
「もう、前の名前はいらない。……ハジメの付けた名前がいい」
「……はぁ、そうは言ってもなぁ」
おそらく、ハジメが、変体したハジメになったのと同じような理由だろう。
前の自分を捨てて新しい自分と価値観で生きる。ハジメは痛みと恐怖、飢餓感の中で半ば強制的に変わったが、この女の子は自分の意志で変わりたいらしい。その一歩が新しい名前なのだろう。
女の子は期待するような目でハジメを見ている。ハジメはカリカリと頬を掻くと、少し考える素振りを見せて、仕方ないというように彼女の新しい名前を告げた。
「〝ユエ〟なんてどうだ? ネーミングセンスないから気に入らないなら別のを考えるが……」
「ユエ? ……ユエ……ユエ……」
「ああ、ユエって言うのはな、僕の故郷で〝月〟を表すんだよ。最初、この部屋に入ったとき、君のその金色の髪とか紅い眼が夜に浮かぶ月みたいに見えたんでな……どうだ?」
思いのほかきちんとした理由があることに驚いたのか、少女がパチパチと瞬きする。そして、相変わらず無表情ではあるが、どことなく嬉しそうに瞳を輝かせた。
「……んっ。今日からユエ。ありがとう」
「うん、それじゃあ仲間を紹介するね」
今までずっと一人ぼっちだった少女は、新たなグループで新しい生活を始めていく。
しかしそうはさせないと待ったをかけるように、突如部屋全体が震え出した。
「ハジメ、上じゃ!」
「チィッ! 封印解除してはい解散とはいかないか!」
クロの指摘にユエの手を掴んで飛び退くハジメ。
ステップ錬成で足場を壁にして“適性存在”の侵入を阻害するが、簡単に打ち壊されてハジメ達の前に現れる。
その魔物は体長五メートル程、四本の長い腕に巨大なハサミを持ち、八本の足をわしゃわしゃと動かしている。そして二本の尻尾の先端には鋭い針がついていた。
一番分かりやすいたとえをするならサソリだろう。二本の尻尾は毒持ちと考えた方が賢明だ。明らかに今までの魔物とは一線を画した強者の気配を感じる。自然とハジメの額に汗が流れた。
部屋に入った直後は全開だった〝気配感知〟ではなんの反応も捉えられなかった。だが、今は〝気配感知〟でしっかり捉えている。
ということは、少なくともこのサソリモドキは、ユエの封印を解いた後に出てきたということだ。つまり、ユエを逃がさないための最後の仕掛けなのだろう。
それは取りも直さず、ユエを置いていけばハジメだけなら逃げられる可能性があるということだ。
腕の中のユエをチラリと見る。彼女は、サソリモドキになど目もくれず一心にハジメを見ていた。凪いだ水面のように静かな、覚悟を決めた瞳。その瞳が何よりも雄弁に彼女の意思を伝えていた。ユエは自分の運命をハジメに委ねたのだ。
こうまで頼られたのはエッチ抜きでは初めてであるハジメ。
ならばオスとしてこれほど嬉しいことはない。
「上等だ。……僕が、僕たちがお前を天国に連れてってやる。クロ、ケリー! 応戦しろ!」
「分かった!」
「了解!」
ハジメはその場を仲間に任せると、お姫様抱っこでユエを運んで部屋を出る。
そして迎えられたメンバーに声高く撤退指示を出すと、そのまま脱兎の如く逃げ出した。
並走する年少組と戦線拡大を封じ込めようと動き出す部隊長達。
「レン、果実出せるか?」
「前に出したので良ければ」
「十分だ」
ハジメはレンから受け取った果実に錬成で作り置きしたストローをぶっさしてユエに渡した。ついでに十数分前に産んだハジメ由来の卵も添えて食べておけと指示を出して前線に出ていく。
「あの、これをどうするの?」
「今まで飲まず食わずでしんどい思いしただろう? これからは僕たちが君のお姉ちゃんになるから。今のうちに慣れておいて」
「これはねぇ、こうやって吸って飲むんだよぉ」
ユエがしどろもどろとしている光景を見かねてか、トレント少女のレンが自分で産んだ果実にストローを刺して飲む事を教えた。
ユエも言われるがままに飲み、やがて飲んだことで失われていた魔力や筋力が取り戻されていくのを感じてハッとした。これは何? こんな飲み物飲んだことない。
そして手渡された卵をまじまじとみてからパクリと口に入れる。
噛むとぷちんと口の中で半熟に茹でられた茹で卵が口内に染み渡る。
そして溢れるような力に、今まで以上に肉体に力を漲るのを感じていた。
「えへへ、お姉ちゃん元気になってよかったぁ」
レンの素直な感情に触れて、裸のままでユエはレンを抱きしめていた。
見た目こそ同じくらいの容姿を持つ少女同士だが、不思議と淫靡な匂いが色めき立つ。
「ありがとう、ハジメのところに行かなきゃ」
「こっち、案内するね」
てててと前を走るレンを追うように、ユエは己の全力でハジメの元へと駆けつけた。
さそり戦はさくっと終わる予定です。