海賊白兎は闘争と色を好む 作:黒旗
一区切りを迎えた三大最強派閥による会談は妙な静けさに満ちていた。
ベル達【カーリー・ファミリア】を除いて。
仲間を大切にする【ロキ・ファミリア】はもちろのことだが、意外なことに犬猿の仲でもある【フレイヤ・ファミリア】も静かだった。
「んだよ、辛気くせぇ顔して」
ベルはそう言いながら大海老の身を食い千切り咀嚼する。
「異世界のこととはいえ、世界の闇を知ってしまったからね。感傷的になっているのさ」
「ふん、あめぇな」(※
「甘い?」
ベルの言葉にフィンが顔を顰める。
「そうだ。お前ら冒険者だって先が見えねぇもんだろうが、ダンジョンっていう未知に挑んでんだ。その果てが死かもしれねぇのに他人なんぞ気にする事なんざ何の儲けにもならねぇ」
「だが、君の言う他人の仕事が僕達を支えてくれているとは思わないかい?」
「だから、なんだ?」
ベルの言葉にフィンがそう返すと、平然とした顔で言葉を返す。
その他人なんぞ知るかといった返答にフィンは眉を顰める。
「所詮、どの世界でも変わらねぇんだよ。『弱肉強食』という絶対不変の理はな」
極論ではあるがある意味正論であるその言葉に全員が口を挟めない。
すると、ベルがこんな事を言い出す。
「そういやぁ、ロキって名前どっかで聞いたことがあるなぁって思ってたんだよな。何処だっけか?」
それに反応するのはもちろん、ロキ。
「そんなん決まっとるやろ、うちは有名神やからなぁ!!」
そう言って胸を張る、張る胸はないが。
「うん? なんや、無性に腹立つこと言われた気がするわ」
「何言ってるのよ、ロキ」
変なことを言い出すロキに対してフレイヤが呆れ気味に言う。
そんな時、ベルがロキについて思い出す。
「そうだ、ロキって昔行った『巨人の国・エルバフ』の古代巨人族のガキで、確かあいつは親父が国王だったから王子だったな!!」
『!?』
その言葉に全員が反応する。
ロキ=古代巨人族+王子=男
『ブハッ!!』(ロキ・ファミリア)、「あははははっ!!」(フレイヤ)、「うははははっ!!」(カーリー)
「笑うなぁあああああああああああああっ!!!」
ロキ、まさかの異世界の自分と同じ名前の存在の性別で会心の一撃ならぬ、会心の笑いを喰らう。
「すまない、ロキ・・・ふふっ」
「フィン、自分もわらっとるやんけ」
「しかたあるまい、まさかここで・・・ふふふっ」
「リヴェリア」
「ガハハハハハッ!!すまん、ツボに入ってしもうた」
「ガレス」
三首領すらツボに入れた発言をしたベルはきょとんとしていた。
「何でそんなに笑ってんだ?」
「ほれ、こっちのロキは女神の癖に胸がないじゃろ。それに女好きじゃから男ぶりに拍車を掛けとるのよ」
「うっさいわ、ボケぇ!!」
カーリーの補足にロキが噛み付いてくる。
「女神は女神だろ」
ケロッとした様子でベルがそう言う。
「自分、めっちゃ良い奴やん」
「なんだったら、一晩慰めてやろうか?」
「あかん、誘惑に負けて行ってまいそう・・・」
「止めろ」
「ぐへぇっ!!」
とぅんくとさせながらロキが顔を赤らめる。その様子にリヴェリアが拳骨を落とし悶える。
「コラ、ベル止めんか!!」
「なんだよ、カーリー胸はお前もそんなに変わらねぇだろ」
「うるさいわぁ、胸はロキよりはあるわ!!」
「なんやと、ドチビ二号!!」
正にカオス、さっきまでの静けさは何処へ行ったのやら。