西住みほ、溺れる 作:173mm
「「お疲れさまでーす」」
「ああ、お疲れ」
黒い隊服をまとった少女たちが頭を下げる。
それに対して鷹楊に返したのが、誰であろう西住まほである。
戦車道を嗜んでいる人間で、その名前を知らないという人はいないだろう。
戦車道の大家、西住流家元の息女であり、高校戦車道最強と称される黒森峰女学園戦車道チームで隊長を務める若き才媛である。その実力はもとより、優れた外見も相まってかテレビや雑誌で取りあげられることも多く、戦車道に興味のない人であっても顔だけは知っている、見たことがある、という人も多いかもしれない。
彼女に頭を下げたのは、同じチームの隊員たちだった。
空はとっくに朱色に染まって、もうすぐ日暮れになろうという頃だった。
まほは、てきぱきと隊員たちに指示を出し、戦車だとか道具だとかを片付けさせる。きゅらきゅらと無限軌道が回転し、車庫に入っていく戦車を最後の一輌まで見守って、全員に解散を告げた。
口々にまほに挨拶をして、隊員たちは汗でべとべとになった体から汚れを洗い流すためにシャワー室へ向かう。まほは、それらも全部見送ってから、ひとりで資料室に向かった。
資料室には過去の大会のデータや練習試合の記録などが集まっている。紙媒体の記録も多いが、一番役に立つのは、やはり映像の記録だろう。尤も、戦車道の試合では、戦場が広すぎるためにひとつの視点からの映像だけで全体の動きを追うことはできない。的確に分析しようと思うなら、全体の流れを把握するために紙の記録を読み込んで、気になる場面を映したビデオを探すことが必要になる。ひとりでやるには、なかなかに骨が折れる作業だ。
しかし、まほは、誰に頼むわけでもなく、黙々と資料棚を漁り、部屋の真ん中に鎮座する大テーブルにばさばさと資料の束を並べていく。
常勝と謳われ、優勝候補の筆頭とも持て囃される黒森峰だが、昨年の実績は全国大会準優勝。決して悪いと言われるような成績ではないが、世間の期待に十全に応えられたとは言いがたい。なにより、史上初の十連覇がかかった大事な大会だった。
昨年のような失態は許されない。
西住まほにかかる重圧は想像を絶するものだった。
戦車道の訓練は、肉体的にキツいものばかりだ。特に黒森峰の場合は、朝は早く、放課後も日が暮れるまで続けられる。戦車の中はお世辞にも快適とは言いがたいし、装填も操縦も整備もぜんぶ体力勝負だ。危険も伴うから一瞬だって気を抜くことはできない。怪我だって、打ち身や青あざ程度なら日常茶飯事である。
だから、ほとんどの隊員は、その日の訓練が終わるとすぐにシャワーを浴びて、空腹を満たすため食堂にかけ込む。中には、疲れすぎて食事もとれず、シャワーのあと、そのまま部屋に戻って休む生徒だっているくらいだ。
それでもまほは疲れた体を引きずって、暗い部屋でひとりデータを漁り、戦術の幅を少しでも広げようともがいている。
すべては、次の大会で優勝するため。
昔なら、妹のみほも付き合ってくれたものだが、いなくなってしまったものは仕方がない。
みほは、まほにはない柔軟な思考と広い視野を持っていた。彼女がいなくなってしまった今、どれだけ考えこんだところで、何かが欠けているような、見落としているような焦燥感に脅かされてしまう。不安とストレスから、満足に寝ることもできなくなっていた。
幸いだったのは、自身の体質が、あまり長い時間眠らなくとも活動できるショートスリーパーだったことと、もともと表情が表に出にくいおかげで、疲れていることが他の隊員には気づかれていないことだろうか。これで、まほの不安や不調が知られてしまえば、隊の士気はがた落ちである。
まほは、もともと責任感の強い方だった。
西住という戦車道の大家に生まれ、幼い頃から後継として厳しい訓練を受け、将来は家を背負うという覚悟を否応なく意識させられてきた。
勝つことが当たり前とされた環境の中で、たかだか高校の大会程度で負けたというのは、拭いきれない汚点になったことだろう。
しかし、まほを追い詰めたのは、否、追い詰めているのは、もっと違うことだ。
みほという、妹の存在。
まほは、みほのことを大切に想ってきた。
みほは気が弱く、何かあれば自分の後ろに隠れるような子供だった。守ってやらなくては、といつも思っていた。
けれど、甘やかしては、他の隊員たちに示しがつかない。
なにより、身内贔屓をしているなどと勘繰られては、自分がいなくなったあと、黒森峰にみほの居場所はなくなってしまうのではないか、と心配になった。どうしたって、自分は先に卒業してしまうのだ。
だから、遠ざけた。
あえて隊長と副隊長という上下の関係を意識させ、事務的に振る舞うことにした。人付き合いが苦手ということを知っていながら、乗り越えてくれるものと信じて、助け船を出すことはしなかった。
みほの縋るような目を、見えないフリをし続けた。
みほの才覚を知っていた。ともすれば、自分すらも凌駕しうる天性の才能だ。とりわけ戦車道の分野においては、優秀な人材の集まる黒森峰の中でも特出している。
だから、いずれは皆に認められるものと思っていた。実力を示せば、自然と輪の中心になれると。なにより、自分もそうだったから、みほにできないはずはないと信じていた。むしろ、身内の存在が色眼鏡になってしまって、かえって邪魔になるものと、そう信じて冷たく当たってきたというのに。
それが間違いだったと気づいたのは、全部が台無しになってからだった。
昨年の決勝戦、みほはフラッグ車(チェスで言うキングの役割だ)の車長だった。反対の声はあがらなかった。諸手をあげて賛成、という雰囲気でもなかったが。
試合は、激しい雨のせいで視界が悪いなか、黒森峰優勢で進んでいたように思う。実際に手応えはあったし、その時点では、数でも
試合は中断されなかった。特殊カーボンで守られた戦車ならば、川に落ちても危険はないと判断されたのかもしれない。
しかし、戦車の中に残された隊員たちは、恐ろしくて仕方がなかったはずだ。激しい揺れと、逃げ場がないという閉塞感。いつ来るとも知れない救助。鉄の固まりに閉じ込められて、水の中へ沈んでいくという恐怖は、理性ではどうしようもない。実際に、救助されたあともトラウマになってしまって、戦車に乗れなくなった者もいたのである。救助が遅れていたら、全員がもっとひどいトラウマを抱えたかもしれない。
彼女たちを救助したのは、みほだった。
みほは、車長という役目を放棄して、ただひとり川に飛び込んだ。
その場に居合わせたのはみほたちだけではなかったが、みほの他には、誰ひとり動こうとはしなかったそうである。
ある意味では、当然だ。試合の中断は宣告されておらず、敵チームの戦車が、対岸からみほたちの戦車を狙っているままだった。
戦車道に使用される砲弾は本物だ。人の体に当たったりすれば、五体満足とはいかないだろう。そんな砲弾の飛び交う戦場に、生身のまま出ていくなんて普通はできない。
みほが無事だったのは、運がよかったのだ。
しかし、車長がいなくなった戦車なんて、動かない鉄の棺桶と一緒である。たとえ護衛がいたとしても、前進も後退もできないのであれば、とても守りきれるものではない。
みほがいなくなったフラッグ車は撃破され、黒森峰の十連覇は夢に消えた。
負けたのはチームだ。
本来なら、負けた責任は隊長であるまほが問われるものだし、試合に参加した以上は、多かれ少なかれ全員が一緒に背負うものだ。
しかし、高校生とはいえ、誰も彼もが精神的には未熟な子供だった。
しかも、彼女たちに寄せられた期待は、史上初の十連覇。とてもではないが、負いきれるものではなかった。
だから、分かりやすい標的として、非難はすべてみほに集められた。自分たちの責任から目を背けるために利用されたのだ。みほはチームに馴染めていなくて、仲のいい相手も少なかったから、更に都合がよかったのだと思う。
これで、西住の家が庇うような態度をとっていれば、流石に躊躇われたのかもしれない。しかし、現実は非情だ。家はみほの行いを叱責し、痛烈に批難した。隊員たちは、免罪符を手に入れたのである。
みほは孤立しきっていて、誰も味方なんていなかった。
手を伸ばそうとすると、今更、という声が聞こえた気がして、手が竦む。言い訳をして、見てみぬフリを続けてきたくせに、どうして今になってから、姉のような顔ができるだろうか。
そして、守りたかったはずの妹を追い出して、まほは空っぽになった。
あいつが悪い。全部全部あいつが悪い。
そんな声が聞こえてきて、あなたは悪くない。隊長は悪くない。そんなふうに擁護する声が聞こえてきて、ーー吐き気がした。
こいつらを全員ぶん殴ってやりたい。そう思った。
そして、何もしなかった自分もそれに加担したのだ、ということに気がついて、なにもできなくなった。
誰よりも、何よりも、一番にぶっ殺してやりたいと思ったのは、他でもない自分自身だった。
だから、自分で自分の体を痛めつけるような真似をしている。
人一倍過酷な訓練を課して、死んでしまえと思いながら、ぶっ倒れる寸前まで体を酷使している。寝る時間も休む時間も限界まで削って、いっそ死にたくなるような毎日を過ごしている。
重たい泥に足をとられているような感覚。息をすることさえ苦しくなって、道が見えなくなっている、そんな錯覚。
たぶん、自分は間違っているのだろう。
けれど、今さら止めることもできなくて、責任という言葉に逃げるしかなかった。
チームをまとめるために、妹を追い出したのだから。
だから、勝たなくてはいけない。絶対に。
たとえ、自分の望んだ結末とは決定的に違ってしまったのだとしても、何かひとつくらい成し遂げなくては、みほを犠牲にしたことも無駄になってしまう。
ぶるるるるっ。
唐突に携帯が鳴った。
携帯を開くと、そこには着信の表示が見える。メールのようだった。
メールの画面を開き、差出人の名前を見る。
『みほ』
そこには、追い出したはずの妹の名前があった。
◇
冷たい人間だと言われたのは、一度や二度ではない。感情を表に出すのが苦手だということは事実だった。
それでも、確かに血の通った人間なのだ。
頭は沸騰するかのようだった。
心臓はばくばくと今までにないほど激しく鼓動する。
資料室の戸締まりも電気を消すことも忘れて走り出した。
空はすっかり暗くなり、校舎に生徒の姿はほとんどいない。校門まで一気に駆け抜けたが、誰ともすれ違うことはなかった。
まほは、隊服を着替えることも忘れて、必死の形相で街を走る。ほとんど全力に近い速度だったが、呼吸が辛いとか、そういうことはなかった。ただ、一刻も早く辿り着かなければならない、という焦燥感で、それどころではなかったのだ。
まほに送られてきたメール。
その差出人を見たとき、まほは汗が吹き出るのを感じた。
みほが黒森峰を去ってから、一度として連絡がきたことはなかった。しかし、まほは何度も電話をかけようと電話番号を表示するところまでいったし、メールも下書きの状態で止まっているものが何件も残っている。結局、送信ボタンを押すような勇気は出なかった。
そんなみほから、メールがきた。どんな内容か、確認するのが怖い。
もしかすると、まほへの恨みつらみがかかれているのかもしれない。びっしりと、それこそ、携帯の画面を埋めるほどに。
いいや、それだけならいい。当然の仕打ちだ。嫌われて当然のことをしたのだから。憎まれたって、仕方がない。
しかし、万が一、これが遺言だったりしたら、と思うと、手が震えてしまう。それを、悪い想像だと一蹴できない程度には、黒森峰にいた頃のみほは暗い顔で塞ぎ込んでいた。
震える指でボタンを押す。
そこには、動画ファイルが添付されていた。
『お、映ってる?』
軽薄そうな男の声がした。
画面の中は薄暗く、ぼんやりと見える椅子や机の雰囲気から、ホテルの一室のようにも思えたが、詳しいことは分からない。
なんだ?と、まほの頭は疑問でいっぱいだ。どうしてみほから送られてきたメールに知らない男が映っているのか。これから何が起きようとしているのか、まほには見当もつかない。
ただ、漠然とした不安に、冷や汗のようなものが流れ、心臓の鼓動が聞こえるほど、周囲の音が遠ざかっていくような感覚を覚える。
おそらくは、携帯のカメラ機能で撮っているのだろう。ぐるんと風景がブレ、やがて、画面の中に肌色が映り込んだ。さきほどまで漠然と部屋の内装に向けられていたカメラが、目的をもってベッドの上を映し出す。
『はぁーい。こちら、誰でしょー?』
男の楽しそうな声がする。
相変わらず画面の中は薄暗いが、それが人を映しているのだということは分かった。
ベッドの上に仰向けに寝かされ、服は着せられていない。胸は顕になっており、豊かな膨らみがあることから女性だと分かる。しかし、その顔は女性自身の両腕を使って隠されており、目元や口元は確認できない。心なしかぷるぷると震えている様子で、怯えているのではないかと思った。
『や、やめて……』
少女の声がする。絞り出すような声。聞き覚えがあった。
ぞわぞわと嫌な予感が膨れ上がる。
『おーい、その手をどけろよー。誰か分かんないだろー』
男が声を発し、画面の中の少女は嫌嫌というように頭を振る。それが、男の怒りに触れたようだった。
『うっせぇな。退けろって言ってんだろーが、よっ!』
男が荒っぽく言葉を発すると、ずん、と画面が揺れた。
それと同時、少女の体が跳ねる。「あっ」という声が漏れた。
それでも、腕を解こうとはしなかった。しかし、ほんの少し腕がずれたことで、口元が見えた。一度は開きかけた口が、ぎりぎりと何かを耐え忍ぶようにきつく結ばれている。歯をくいしばっているのだと分かった。
『なに、いまさら、恥ずかしがってんだ、よっ』
男が言葉を切るごとに画面が揺れ、少女の体が跳ねた。ぎしり、ぎしり、というベッドの軋む音が聞こえてくる。
『ひっ、……うぐっ、…あっ、……っ、うぅっ……』
歯をくいしばっていても、それでも声を我慢しきることはできないようだった。やがて、声は段々と大きくなり、痛みを感じているのだと分かる。顔を隠している両腕は、なんとか痛みを耐えようとしているのか、それとも、絶対に顔を映されたくないと思っているのか、ぎゅううう、と器用にベッドのシーツを握りしめていた。
『も…、やめて。っ……やめてください……映さないで……』
やがて画面の揺れが収まると、弱々しい声音で少女は懇願する。
やはり、その声は聞いたことがあった。
『んだよ、強情だなぁ、お前ぇ』
画面が少し揺れ、その右端からぬっ、と男性のものと思われる太い腕が映り込む。その腕は少女の顔のあたりに伸び、顔を隠している腕を掴んだ。そして、
『あっ』
力任せに腕が払い退かされ、隠れていた顔が露になった。
雰囲気こそ違うが、顔立ちはまほによく似ている。
「みほっ!」
思わず、まほは叫んだ。
そこに映っていたのは、何ヵ月も顔を合わせていない妹だった。
黒森峰から追い出したはずの妹だった。
久しぶりに見た妹の顔は、怯えるような表情をしている。男に怯えているのか、それとも、カメラの向こうにまほがいると知って怯えているのか。まほには判断がつかない。
ただ、目元には涙が浮かび、すっかり弱りきっているように見えた。
『あはははっ、ごたいめェーん!久しぶりの姉妹の再会じゃねーの?感動的だなァ、おい』
『やっ、いやっ!!やめてっ!やめてくださいっ!』
男が心底楽しそうに笑い、みほはカメラから逃れようと暴れる。が、しかし、男の腕がみほの腕を押さえつけ、逃げることを許さない。
『動くんじゃねーよ、ったく…。……どーですか、お姉さん。見えてますかー?おたくの妹さん、おいしくいただいちゃってまーす』
『だめっ!やだっ!やだぁっ!』
みほは、子供のように泣きわめく。その姿に、最悪の想像が頭を過る。今、携帯に映るみほの姿は、裸の上半身だけだ。
では、下は?
『ほらほら、僕たち、愛し合ってるんですよー。見えますー?』
男がまほの疑問を察したのだろうか。携帯のカメラはゆっくりと下がっていって、やがてみほの腰から下を映した。
そこには、みほの大事なところが映っていて、何かを咥えこんでいるように見えた。
『ちがっ、ちがうのっ、いやぁっ!』
ぐに、ぐに、と前後に揺れるそれ。ずるずるっ、とみほの秘所から出てきたそれは、てらてらと濡れていて、別の人間のものと思われる股座に繋がっている。要するに、男性器だ。まほは、保健の教科書か、幼い頃に見た父のそれしか記憶にない。知っているものより、ずっと大きいように思えた。
やがて、カメラは繋がりあったそこへ、ゆっくりと近づいていく。繋がっているところから白くて泡立った液体なようなものが垂れているように見えた。
『見えますか~?美味しそうに咥えこんでるでしょう?俺たち相性ばっちりなんですよ~』
ほらほら、と言いながら、男が腰を前後に動かした。すると、ずぷっ、ずぷっ、と男のそれがみほの秘所を突いていく。その度、みほが小さく呻く声が聞こえた。泣いているのだと思った。
『いや……いやだよぉ……ひくっ……ひぐっ……っ』
『今、すぐ近くのホテルでヤってるとこだからよぉ。混ざりたかったら急いで来いや。ま、それまでは妹さんと楽しませてもらうけどな?ぎゃははははっ!』
男の下卑た笑い声が響く。カメラは突然に真っ暗になって、何も見えなくなった。たぶん、ベッドの上にでも投げ捨てられたのだろう。
そして、遠くから悲鳴のようなものが聞こえた。
『いやっ!!助けてっ!助けてお姉ちゃん!お姉ちゃーー』
プツリ、と動画の再生が唐突に終わった。
終わりはあまりにあっけなく、しばらくは終わったのだということにも気づかないほどだった。
まほが冷静でいられたのは、あまりにも信じられないものを見たせいかもしれない。
やがて現実を認識すると、ふつふつと怒りが沸いてきた。
手には知らず知らずのうちに力が入り、携帯を握りつぶしてしまいそうになった。
「はぁ…はぁ、はぁ、はぁ…」
自然と呼吸が早くなった。
画面の向こうで行われていたこと、それはまさしく強姦だ。大切な妹であるみほが、見知らぬ男に犯されているという、まさに悪夢のような光景だった。
ぴしり、と画面にひびが入ったところで、メールに本文があったことをようやく思い出す。ひびのひとつくらいなら、問題なく動作するようだった。メールの画面をスクロールすると、「ここにいる」というような文面と一緒に、見覚えのある街の地図が貼られていた。学校のすぐ外に広がる街である。そのうちの一ヶ所にバツ印がつけられていた。
きっと、これまで生きてきたなかで、一番の激情にかられていた。
自分は、こんなにも人を憎むことができるのだと思い知る。
まほの頭の中からは、警察を頼るとか、そういう常識的なことは全く消え去ってしまった。
もはや、躊躇う理由はなかった。
一度は見てみぬフリをして逃げた卑怯ものでも、きっと、今度こそは助けてみせる。絶対に逃げるものか。
駆けつけたところで、何ができるかなんて関係ない。理屈ではないのだ。
(待ってろ、みほ。必ず、お姉ちゃんが助けてやるからな)
純愛じゃないと筆がのらないのです。
次回はちゃんとエロ書きます。