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「みなさーん、こーんにーちはー!今日はぁ、
目が覚めると、軽快な音楽と共に子供に語り掛けるような間延びした女性の声が聞こえてきた。確か、俺は眠っていて……今までのことを思い出そうとすると、視界には広大な銀河が映っている驚愕に思考が止まる。本来は上下すらも分からない中で、見たこともない、しかし意味は理解できる文字列がどのような技術によってか宙に固定されているために辛うじて自分の向いている方向が正しいものだと判別できた。
文字は『すてきな動物大集合』と書かれていて、先ほどの声の印象もあってかどこか幼児や子供向けといった印象を受ける。
「最近、世間ではペットを飼うのが大流行り!色んなペットがいる中でも、特に旧人類種のTS娘っていう種類が大人気!魚のクマノミみたいに性別が雄から雌に後天的に変わった人間で、とってもユニークでかわいい動きをするのが特徴なんだよ」
今はどうしても、流れてくる言葉に意識が傾く。やはり子供向けの報道番組か動物番組のような語り口だが、言っていることはおぞましいの一言に尽きる。なにせ、話し手の彼女は人間をペットにするのが流行だと言っているのだから。宙に固定されていた文字と同じ字体が前から後ろに流れていく。俺は旧人類種という単語に対する疑問が頭の隅をよぎったが、その考えは直後に押し流された。
「じゃあ早速、TS娘ちゃんの生態を見ていこう!」
そんなナレーションと共に、視界と世界が下へと降下する。重力に引きずられるようにして雲を突き抜け、十数階建てのマンションの屋上をすり抜けて、とある一部屋へ。部屋に立てかけられているギターや本棚に置いてある様々な教科書や参考書の類が目につく。並べてある教科書の種類からして、この部屋の主は高校生なのだろう。
「見てごらん、これがTS娘ちゃんだよ。昨日まではオトコノコ、つまり雄だったんだけど、朝起きたらオンナノコ、つまり雌になったんだよ。不思議だねー」
──肩までかかる長い青色の髪をした少女が目の前にいた。彼女は妙に丈の長い服を着て眠っていて、起きたら今にも服が落ちて脱げてしまいそうで心配になる。自然ではありえないほどに整った容姿は、しかし寝相から無造作に投げ出された手足によってこの風景に調和していた。
「このかわいい寝顔をしているのがTS娘。私たち新人類に近づいた旧人類で、とってもかわいいからペットとして大人気なんだ」
この子があのナレーターの言っているTS娘、つまり女になってしまった男なのだろう。見えている左半分に動画が映し出される。画面には十代後半の男性の姿。彼が誰なのかを知りたかったが、机の上に置いてある学生証などはモザイクやもやがかかっているようになっていてよく見えない。
ズボンとパンツがずり落ちていて、手が上下に動いていることから、彼はオナニーをしているのだろう。誰かは知らないが、あのナレーターがみなさんと呼び掛けていたんだ。公衆の面前にオナニーの光景を映し出されているのは、同じ男としてひどく哀れに思える。
「こうやって昨日まではシコシコとおちんちんをこすっていたのだけど、今はもうおちんちんがなくなったんだよ」
男性の映像は消え、今は目が覚めて髪を触ったり胸を揉んだりして戸惑っている少女の姿が正面に見える。
──どこか違和感を覚えた。部屋自体が湿気を帯びているような、重い空気が漂っている。部屋の隅に目を向けると、そこから無数の触手が這い出してきていた。触手は生物的で、表面には釣り針のかえしのような形状が付いている。目の前の少女は自分の変化に戸惑っていてその接近に気づいていない。今は乳房を揉んだり乳首を抓ったりして感じる女の子としての初めての快楽に夢中だ。
「くっ、ふうっ、んんっ!こんなの……知らにゃい……気持ちいいよお……」
そうして恐る恐るクリトリスに触って体をびくびくと痙攣させている間に、触手は既に少女の周りを取り囲んでいた。
「TSした娘はそれぞれ個別のフェロモンを出して、その匂いを気に入った"旦那様"が迎えに行くんだ。ほら、このTS娘ちゃんにもお迎えが来たようだよ」
どこか下腹部に響く奇妙な感覚を覚えながら、目の前の光景に集中する。
触手はまず腕に絡みついた。幼児に服を脱がせるように少女の両腕を高く上げさせると、サイズの合っていなかった服がパサリと床に落ちる。ぬるぬるとした、それでいて硬さのある感覚に動揺している間に胸や胴に絡みつけられ、体全体が宙に浮いてしまう。足をぱたぱたとさせてはいるが、一向に地面を擦ることすらなく、その動きが触手に当たってしまったのが気に入らなかったのか、新たにからめとられた足を含めたすべての締め付けが強くなった。
「止めろっ!このっ……!かはっ……んっ……あっああっ」
少女は締め付けられて息が苦しくなっているのだろう、苦しく喘ぎ、顔が紅潮している。いや、それだけじゃない。彼女は感じているんだ。体が強く締め付けられて気持ちいいし、触手の細かい蠕動で乳首やクリトリスがこねくり回され、弄ばれると頭が真っ白になる。
「TS娘ちゃんは甘えんぼさんだからねー。かまってかまってーって旦那様にじゃれつくんだ」
どう見ても、現状に抵抗しているようにしか見えない。間違ってもじゃれついているわけではないだろう。
「くちゅくちゅ、くちゅくちゅって、水音が聞こえてくるね。これは、TS娘がオマンコを弄られている音だよ。子宮から白い本気汁をいっぱい垂れ流して、とってもリラックスしているんだ。気持ちよさそうな声を出しているねぇ。これは、『好き♡好き♡お嫁さんにしてください♡』っていう、求愛のための声なんだ」
──グロテスクな触手が少女の小さな割れ目に出し入れされているようにしか見えないし、出している声だって、
「うわあっ!ああっ!あああ゛あ゛あ゛ぁぁっ!たすけてっ!いやっ!いやらぁ!もうイくのいやらからぁ!もうムリなの!これ、おかし……っ!おかしくなるからっ!こわれるっ……おれが消えちゃうからぁぁぁ!」
──としか言っていない。完全に四肢が固定されているからか、少女になってとても衰えている筋肉はピンと張り詰めるが少しも動かせず、一切の快楽を逃がすことなく体で受け取ってしまう。
「あ゛……お゛っ……」と啼いて潮を吹き散らすと、青い髪の彼女は白目を剥いて気をやってしまった。けれども、無様に尿や粘液を垂れ流している彼女だったが、未だに膣内で止まっている触手がいっそう深く突きこまれると、その奥、つまり子宮すらも触手に入り込まれてしまう。ちょろちょろと流れていた尿は膀胱が圧迫されたことですべて排出され、開いてしまった子宮口からはこぷりと白濁し粘ついた液が溢れている。子宮の形がはっきりと分かるほどに浮き出た子宮は体の外側からも叩き潰され、衝撃で意識が浮上して快感で気を失う繰り返しによって脳細胞を焼き切り脳内麻薬を放出させる責め苦は、少女から言語を話すだけの知性を取り払って、女になった男を更に旦那様のための雌肉へ変性させるためのミンチとして十分すぎるものだと直感した。
「こうやって子宮口を貫いて卵巣をかき回しても大丈夫なのは、TS娘がそういう風に変化しているからだから、お友達に試してみるのはやってはいけないよ!」
ナレーターは強く言い聞かせながら、ひどく残酷な事実を告げていた。あの少女は卵巣をかき回されているのだ。彼女の子宮口を刺し貫いて未だ未使用な孕み袋を占領した触手は、そこから細い触手を分れさせてその卵管を通り、二つの卵巣を我が物顔でめちゃくちゃにしている。人間の許容量を超えた法悦が、動けない少女を襲った。口からは涎が垂れ、触手に吸われている乳首も真っ直ぐに充血していることは容易に想像できる。子宮と卵管、そして卵巣が押し上げられている彼女の腹は、浮き出た彼女自身の性器の形によって淫らな紋様のように彩られていた。
ようやく意識を失うことのできた少女を更に強く掴むと、触手は部屋の隅に戻り、彼女と共に部屋から消え去っていった。触手や彼女の姿はもう部屋のどこにもなく、潮や本気汁といった雌の香りだけが彼女がここにいたことを証明していた。
「こうしてTS娘ちゃんは素敵な旦那様と結ばれるんだね」
次に移動したのは、周囲に蠕動する肉が敷き詰められているグロテスクな空間だった。あの触手はこの空間の一部だったらしい。四角い空間が肉で覆われているのにその全体像を見られているのは、おそらくあのナレーターが何かしているのだろう。新人類と言っていたのだから、そのくらいはできても不思議ではない。
少女は部屋にいた時と同じように手足や胴は拘束されていたが、この空間についてからは手や足は敷き詰められた触手の肉の中に取り込まれていた。
「TS娘は、こうして
先ほどの少女は、もはや目に光が宿っていなかった。彼女が雛鳥のように口をぼんやりと開けていると、旦那様と呼ばれている触手が口に入って喉を通り、食道に直接何かが流し込まれる。流し込んでいる間にも触手は喉を上下し、少女の喉を性器のように使っていた。少女はとろんとした目でこくこくと喉を動かしている。
「んむっ、おぶっ、んん゛っ!こほっ、けぷっ、~~~っ!おごっ!」
「『一緒にいてくれてありがとう!おいしいよ!』よかったねぇ、TS娘ちゃん」
少女の心情を勝手にアテレコしながらナレーターは語っていく。四肢を奪われてお礼を言うわけがないだろう。そんな怒りが沸々と湧いてくるが、この不愉快な声と光景をどうやったら遮れるかがわからない以上、最後まで視聴し続けるしかない。
「こうしてTS娘ちゃんは旦那様と死ぬまでずっと一緒に過ごすんだ。みんなもこれでTS娘ちゃんのことはよくわかったかな?」
これでこの時間も終わる。そう安堵すると、手足の感覚も戻ってきた。手に力を入れてみると──全く動かない。足も同様だ。今も見ている光景、手足が触手の肉に埋まってしまっている様子を思い出して血の気が引いていく。そんなことはないだろう。そう思いながらもこれまで映し出されていた情景は薄れていき、だんだんと視界が元に戻っていく。
「それではみなさん、また来週に会いましょう!じゃーねー!」
そうして完全に不特定多数に語りかけていた声が消える直前、これまでとは違って、まるで他所の家のペットにかけるような声色でこう聞こえた。
「──それと、撮らせてもらってありがとうね、TS娘ちゃん。
視界が完全に正常に戻ったと確信する。周囲は緩やかに動く肉塊に囲まれていて、顔を少し動かしてみると青色の髪が映る。
「嘘っ……」
言葉が出ない。つまり、あの青い髪の少女が俺なら、つまりあの触手は──
ずるりずるりと、なにかが這ってくる音がする。いや、なにかじゃない。あれは俺の──
「あ、あはっ」
──旦那様だ。
早く子を孕ませてほしい、ぐちゃぐちゃにして愛してほしいと胎の奥が疼いた。