特別だからって世界を救う義務は存在しない 裏話 作:霧ケ峰リョク
現在本編で出番が無い凪ちゃんが家出初期でやったことについてです。
なお、これは正史ですのでIFではありません。
要するに凪ちゃんが抱えている闇は本編じゃ詳細に書けないってわけです。
これは沢田綱吉と沢田凪が家出を決行し、獄寺隼人を旅の仲間として迎え入れるまでの間に起こった出来事。
ラスベガスで大勝ちし、大金を手に入れた二人は一番良いホテルで泊まることにした。こんな大金を手に入れて安いホテルで一泊すれば金目当ての人間が襲撃しに来る為、当然と言えば当然の話だったが。
「ふぅ…………凄い夜景」
凪は電気が付いていない部屋の中で窓の外の景色を眺めていた。
ラスベガスの名に恥じない人間の業と遊び心をこれでもかと言わんばかりに詰め込んだ街。
改めてこの瞳で見ると圧倒されてしまう。
尤も、彼に会って救われた時に比べれば大した事は無いが。
「すー…………すー…………」
凪はソファーの上で寝息を立てて深い眠りについている義兄、沢田綱吉の方に視線を向ける。
恐らく軽く揺するだけでは起きる事は無いだろう。
ここまで気持ちよさそうに眠っている彼を起こす気は毛頭無いが。
「本当に良く寝てる」
ソファーの上で一人眠る綱吉の下へ凪は起こさないように静かに歩み寄る。
そして綱吉の顔がよく見えるように前髪を優しく除ける。
「ふふ、可愛い顔」
歳相応に、いや、同世代の少年少女に比べれば幼く見える顔を見て思わず笑みを浮かべる。
幼い頃に自分を救ってくれた、皆の中心に立ち、常に周りを引っ張っている、まるで神様のようなボス。
そんな彼がこのような無茶無謀な家出計画を実行したのは正直なところかなり驚いた。
計画自体は一応立ててはいたらしいが、素人目から見てもかなり杜撰なものだと思う。
だが、普段口では文句を言いつつも誰もやりたがらない仕事をこなす彼が、初めて我が儘を言ったのだ。
で、あるのならばそんな義兄のサポートをするのが妹の仕事だ。
「でもボスならボンゴレの10代目になっても大丈夫だと思うんだけど…………」
義妹であるが故に凪はある程度事情を知っていた。
その為、綱吉が逃げ出した理由も理解している。とはいえ、それでもそう思わずにはいられなかった。
確かに裏社会の頂点、マフィアのボスという立場は表社会で暮らして来た人間には好ましいものではないだろう。だが雲雀恭弥という人間と関わっている以上、ある意味マフィアと大差は無いし既に堅気とは言えない。
彼ならば、沢田綱吉ならば過不足無く立派にボスという役職を務めるだろうし、問題も起きない筈だ。何せあの並盛中の生徒会長を務めているのだから。
にも関わらず綱吉がマフィアのボスになることを拒否している理由。
その理由を綱吉は教えてくれなかった。
「ボスは私達の事、遠ざけてるからかな?」
凪は悲しそうに教えてくれない理由を呟く。
信用していないかといったらそういうわけではないし、信頼されてないかと聞かれればNOと答える。
だが隔たりがあるのは紛れもない事実だった。
実際、この家出旅行も自分が術師でなければ、妹で彼の素顔をよく知る人間でなければ置いて行かれただろう。
「本当、いっつも心配させる」
風紀委員長である雲雀恭弥曰く「ふざけているように見えて常に余裕が無い、穏和な顔をして警戒心剥き出しの小動物」であるらしい。
実際、その言葉通りだろう。
皆の前では明るく振る舞っているがその実、常に何かに追い込まれている人だ。
戦うことや強さというのをあまり好んでないのにも関わらず一人無茶をして、無理を重ねて、強くあろうと自分を追い詰める。
「出来ればその胸の内に抱えてるものを見せてほしいけど」
多分それは無理だろう。
長い付き合いがある自分達でもそれを教えてくれることはなかったのだから。
その上、自分達が強くなること自体あまり喜んではいない。
本当は戦いの為の力すら教えたくなかったのだろう。それでも教えてくれたのは必要な事だったからなのか。とはいえ、山本武に雲雀恭弥の二人が何かしらの呼吸を使った際にはかなり驚いていた様子だったが。
「まぁ、それは話してくれるまで待つけど」
凪は眠りこける綱吉の頭を優しく撫でる。
「ボス。私の事、全然女として見てくれない」
思えば幼い頃からずっとこんな感じだ。
沢田家に養子に来た時はまだ子どもだったからしょうがない。
だが第二次成長期が来てスタイルが良くなったとは自負している。
特に胸の大きさは友人の京子やハル、そして黒川花の三人よりも大きい。
それなのに綱吉は全く気にしていない様子だった。
大きいサイズのベッドではなくソファーで眠っている辺り、全く気にしていないわけではないだろうが。
「…………もしかして、ED?」
可能性としては男色もありえないわけではない。
だがこの歳になってもそういう事に興味を抱かなかったからどちらかと言えばEDの方がまだありえるだろう。
「まさか…………でも…………」
凪は脳裏に浮かんだ可能性を否定しようとする。
「いや、まだ精通を経験していないだけか」
今に至るまで、彼がそういった自慰行為をしたことは見たことが無い。
EDよりかはまだ信じられる話だった。
「…………でも、EDってこともありえるかも」
とはいえ、自分のこの想像が当たっているかもしれないという考えもまだあった。
頭を抱えて凪は一人考える。
今この場に居るのは家出旅行中で他の誰かの邪魔が入ることが無い。
ならば実際に確認してみるのも一つの手だろう。
「…………えい」
その結論に至った凪は眠っている綱吉を起こさないようにズボンに手をかける。
ズボン、下着と次々下げていき彼の一物を晒した。
沢田家に引き取られてからお風呂に入る度に毎回、そしてついさっきお風呂に入った時にも見たものがあった。
「確か刺激を与えれば大きくなる筈…………」
大した知識が無い凪は覚束ないながらも綱吉のものを優しく握りしめ、刺激を与えていく。
「ん…………むぅ…………」
感じる刺激に何度か声を上げる綱吉だったが起きる事は無かった。
そして大きくなったそれを見て凪は思わず息を飲む。
「ほ、本当に大きくなった…………」
風紀委員会が没収したエロ本を興味本位で見た程度の知識しか無かったが、こうして実際に見ると全然違うという事が分かる。
「確か…………これをこうしてっと」
手の中にある綱吉の一物を凪は噛まないように口で咥える。
瞬間、綱吉の身体が一瞬ビクンと震えた。
これはあまり長くやり過ぎない方が良いだろう。これが原因で起きたら間違いなくお説教される。
そう判断した凪は舌で刺激する。
――――ズズ、ジュルッ。
下品な音を立てながらも時間をかけて刺激し続けた結果か、あるいは眠りこけていた結果なのか、凪の口の中で爆発した。
「――――ッ!?」
口の中いっぱいに広がる精液に思わず目を見開く。
苦い、というか不味い。とてもではないがあまり好んで口にしたくはない味だった。
とはいえ、綱吉のものならば飲み干す事は出来る。
ゴクリと喉を鳴らして飲み干す。
「ぷ、はぁ…………」
綱吉のそれから口を離して少しだけ上の空になる。
緊張が解けたからなのか、凪は疲労を隠せずに居た。
だがそれ以上に気分が高揚していた。本当ならこのまま綱吉に襲い掛かりたい気分だった。
詳しい知識が無いとはいえ、子どもの作り方ぐらいは保健体育の授業で学んでいる。
何とかその気持ちを踏み止めているのは凪の理性だった。
流石にこれ以上やるのはダメだ。やるとするならばちゃんと許可を貰わないと。
「でも、子ども…………かぁ」
綱吉のズボンを元に戻した後、凪は自らの下腹部に手を当てる。
沢田家はとても居心地が良い場所だ。
兄である綱吉も、その両親である家光も奈々も家族として迎え入れてくれたのだから。
だがそれでも血の繋がりが無いというのは変えられない事実だった。
自分の事を愛してくれる家族が出来て、自分の心を通わせることが出来る友達も出来た。
だけど自分があの
「もし、ボスとの間に子どもが出来たら…………」
その時は本当の家族になることが出来るのだろうか。
あの女のように産んだ子どもに冷たく当たらないだろうか。
凪は震える身体を抱きしめながら綱吉が眠るソファーに背を預ける。
「ねぇ、ボス。私、ボスの事が大好きだよ」
だから貴方の心に抱えているものを見せて欲しい。
その言葉を口にすることなく、凪は心の中に仕舞い込んだ。
――――この時の凪はまだ知らなかった。
綱吉が家出旅行をした真の目的を。
彼が内に抱えていたものを自分よりも先に知る事になる少女が居る事を。
――――大好きだと言った彼相手に刃を向ける事になる事を。
この時の少女はまだ知る余地が無かった。
本編じゃ書けなかった話、沢田凪ちゃんは主人公に依存しています。
それこそ今すぐにでも子供を作りたいと思ってしまうほどに。