その日、無垢は私服で電車に乗っていた。目立つ真っ白な髪を隠す為、ボールの模様が描かれたベースボールキャップを被った無垢。髪を前面にチャックの付いた白と紫のポケット付きパーカーワンピの中へ入れており、その一着が無垢の首から膝上までを隠していた。縞々の二―ソックスが膝下を包んでおり、その間は眩しい生足が惜しげもなく晒される。そんな彼女の姿は大人ぶった子供にも見えた。因みに被っている帽子は適当に買った物であり、無垢に野球の知識は殆ど無い。
電車に揺られる理由。それは最近遊ぶことが少なくなってしまったのぞみが遂に痺れを切らし、常に放課後の用事を聞いても駄目ならばと予め予定を組む提案をしたのが始まりである。確かにそれならば先約としてのぞみを優先する事も出来る為、みつとみここの呼び出しを断る事も可能。無垢はのぞみの提案に内心大喜びで彼女との予定を計画した。
のぞみと遊びに行くとなれば、基本的にはショッピングが多かった。しかし今回は少し遠出をして遊ぶ場所も入った大きなショッピングセンターへ行く事になったのだ。その為には電車に乗る必要があり、のぞみとは駅前で待ち合わせをして、現在その駅へ向かう為に30分程度は電車に揺られる必要があった。
「(今日は、きっと大丈夫)」
予め
「(結構、混んでる)」
遠出という事もあり、休日を選んだこの日。無垢の乗る電車にはそこそこの人が乗っていた。無垢は比較的小さな身体で扉の傍にある手摺りに捕まり、稀に凭れ掛かられてしまう相手に潰されない様に耐え続ける。……すると、微かに無垢は自分の太腿に違和感を感じた。
「(誰か、触ってる……?)」
鞄を持つサラリーマンや、何処かへ遊びに行こうとしている様子の女子高生。他にも主婦などが乗車する電車内。何かが太腿に当たる感触に無垢は不審に思う。ただ当たっているだけなら、仕方のない事。しかしそれが微かに人肌の暖かさを持っていた事で、それが手だと気付くのに時間は掛からなかった。
「(大声は出せない。のぞみを待たせる訳にもいかない。嫌だけど、我慢)」
声を出す事の出来ない無垢に痴漢を大声で知らせる事は出来ない。下手な騒ぎになればのぞみを待たせる事にもなりかねないと思い、無垢は耐える事を選択した。しかしそれは相手にとって好都合であり、太腿を撫でていたその手がゆっくりと上へ近づき始めてしまう。
「(流石に、無理)」
痴漢の思わぬ行動に無垢は抵抗する様にその手から逃れようとその場を移動する為に行動を開始した。……だがその瞬間、無垢の両腕を別の人物が左右から掴んで逃げられなくしてしまう。
「(1人じゃ、ない……!)」
相手が複数という事実に無垢は困惑する。今自分に痴漢をしている人物とは別に、その協力者が2人居るのだ。両腕を掴まれて何時の間にか自分の足の間にも別の足を入れられ、肩幅に開かされてしまった無垢。抵抗しようにも3人の力に適う訳が無く、せめて相手の顔だけでも確認しようとした無垢に更なる絶望が襲う。
「(一体、誰が……)」
『佐伯 無垢は周囲の人間の区別が付かなくなる』
「(なん、で!)」
相手の顔だけでも確認したい。そう思った途端、間髪入れずに無垢へ無情な命令が下される。すると突然視界に靄が掛かった様になり、周辺を見回しても見える人達の顔が上手く判別出来なくなってしまった。だがその命令がスマホで行われた事なのは明白であり、無垢は当然みつとみここを疑う。
「(でも、3人居る……)」
だが自分を襲う相手は全部で3人。みつとみここは会った事も無い筈であり、結託する可能性は極めて低い。となれば誰なのか、無垢にはもう何も分からなかった。
「(っ! ぃやぁ!)」
逃げられない状況にされ、顔の判別も出来なくなった無垢に痴漢の手が本格的に襲い始める。太腿を撫でながら上へ近づいたその手が下着越しに無垢の大事な部分を刺激。男性とは思えないサラサラとした手の感触に無垢は不安と恐怖を感じてしまう。
まだ濡れてもいないそこを刺激されても、到底気持ちが良いとは言えない。それを分かり切っていたかの様に、左右から更に別の手が無垢の身体へと迫った。腕を拘束する2人の誰かが片手で拘束を維持したまま、無垢の胸を弄び始めたのだ。服の上から微かな膨らみを楽しむ様に。
「(離、してっ!)」
無駄な抵抗と分かっていても、無垢は必死に腕や足に力を入れる。だが遂に痴漢をしていた背後の人物が無垢の下着から手を離すと、着ていた服のチャックに手を掛けてしまった。両腕の動かない無垢にそれを阻止する事が出来る訳もなく、音を立てながら無垢は水色の下着を晒されてしまう。
「(こんな場所で……!)」
幸い、無垢の目の前は扉であった為に他の誰かに見られる心配はない。だが駅に到着した時、ホームがそこにあったなら無垢の下着は丸見えとなってしまうだろう。電車で脱がされるとは思っていなかった無垢はただただ、相手が飽きて終えてくれる事を願うしか無かった。
「恥ずかしい?」
「(っ!)」
そんな無垢の心を見透かす様に、耳元で誰かが囁いた。しかしその声すらも、男性なのか女性なのかが今の無垢には分からない。すると、今まで胸を弄っていた左右の2人が今度は足に手を伸ばし始める。左右から太腿を摩り始め、真後ろに居た囁く痴漢が無垢の胸を包み込む様に両手で下着越しに鷲掴みする。
「無垢のおっぱい、柔らかいよ」
「(誰、なのっ!?)」
自分の名前を知る誰か。顔を認識出来ない今、名前呼びである事は手掛かりとは言えない。相手もそれが分かっているからこそ、平気で無垢に話し掛けているのだ。
「ねぇ、こんな風にしたらどうなっちゃうかな?」
『佐伯 無垢の身体の感度は10倍になる』
「(っ!?)」
頭に響いたスマホを通じた命令。その瞬間、無垢は左右の2人が太腿を摩る刺激に身体を震わせる。立っている事もままならなくなるが、真後ろの痴漢が腹部を両腕で抱き締める様にした事で倒れる事は無かった。が、反射的に前屈みにはなってしまう。
「気持ち良いよね? もっとしてあげる」
そう囁いた吐息すらも、今の無垢には気持ち良くなってしまう要因であった。胸を揉まれ、太腿を撫でられ、耳元で囁かれる。感度を強制的に引き上げられた無垢には頭が可笑しくなるほどの快感が襲い、だが決して声を上げる事は出来ない。それは周りに醜態を気付かれない幸運なのか、助けてくれる人が現れない不運なのか……無垢には何も分からなかった。
「あはは。可愛い~!」
「※※※、もうイっちゃうんじゃない?」
「ちょっと、名前を言わないで。聞かれちゃうでしょ?」
「えぇ~、そのスマホで分からなくしてるんでしょ? なら大丈夫じゃない?」
「そっか……それもそうだね」
左右からも聞こえ始める声。だが名前らしき部分だけが、無垢にはどうしても聞き取れなかった。しかし話をする間は攻めが止まっていた為、無垢はその間に相手が話し方から女性である事。みつとは少し雰囲気が違う事を予測する。となればみここか、別の誰かか。そこまで考えて、再び動き始めた手に頭の中は真っ白になってしまった。
「1回、イっちゃおうか?」
「っ! ~~~~っ!」
再び囁かれる言葉と同時に、胸と太腿と耳からの刺激で絶頂してしまった無垢。完全に足へ力が入らなくなった時、左右に立っていた2人が無垢の腕を組む様にして強引に立たせる。そして真後ろの痴漢が再び無垢の秘部に下着越しで触れた時、そこは先程と違って微かに湿り気があった。
「まだ目的地まで20分近くあるし、もう少し遊ぼっか?」
「(!? どう、して……!)」
真後ろの痴漢は自分の降りる駅まで知っている。その事実に無垢は戦慄するも、遂に下着の中へも手が差し込まれた事で再び思考は真っ白に染まってしまった。
常時掲載
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