みつ、みここ、のぞみの3人に身体を弄ばれた無垢は自室で泣き続けていた。信頼していた人達の裏切りとも言える行為。これからも彼女達に求められてしまえば、スマホの力もあって断る事も逃げる事すら出来ないと悟った無垢は涙を流す事しか出来ない。
家具を使って開けない様にした扉の向こうから何度か聞こえていた姉、姫子の呼び声に無垢は答えられなかった。やがてその声が聞こえなくなり、申し訳無さを感じながらも部屋の外へ出る事が出来ないまま今後どうなってしまうのかを無垢は不安に感じる。
……そんな彼女を更に追い詰めるが如く、非情な声が頭の中に響き渡る。
『佐伯 無垢は自室の扉を開ける』
「!?」
無垢は訳が分からなかった。今まで遠隔操作で誰も居ない中、弄られ続けた事は多々あった無垢だが、その命令の内容は明らかに今の自分の状況を知っているものにしか出せない命令だったからだ。そしてそれが出来るのを、無垢は一人しか思いつかなかった。信じたくないと否定しても、現実は非情だ。命令に従い、無垢の身体は本人の意思とは関係なく立ち上がり始める。拒んでも、抗っても、彼女の身体は塞いでいた家具を退かし、扉を開放してしまう。
「無垢」
「……(嘘……お姉ちゃん、まで……?)」
開けた扉の向こうには自慢の姉である姫子が待ち構えていた。そして彼女の片手には見覚えのあるスマホがあり、それを胸の前に抱きながら不安そうに妹を見つめる姫子は「入るよ」と言って無垢の部屋へ入り込む。
「凄い、本当に命令した通りになるんだね」
「(嫌……もう……)」
姉がそれを持っている事実に。そしてそれを自分に使った事に無垢は絶望する。そんな彼女を前に姫子はスマホの力が本当であった事を知って驚きながら、無垢の手を引いて先程まで泣き続けていたベッドへ近づき始めた。その後、姫子はスマホを操作する。何かの命令が来ると分かり戦慄する中、無垢の頭にはまた声が響き渡る。
『泣いた理由を佐伯 姫子に伝える』
「!」
今までとは全く違う命令。身体を弄る様な事はせず、自分に何があったのかを知ろうとする姉の姿に無垢は違う恐怖を抱いた。その命令通りにするとなれば、自分が最近何をされたのかを姫子へ教える事になる。みここやのぞみと面識は無い姫子だが、みつは彼女の後輩だ。みつのした事を知った姫子がどう思うのか、そして単純に自分が彼女達に身体を弄ばれた事実を無垢は知られたく無かった。
無垢の意思は意味を成さない。命令された事を達成する為に、無垢の身体は勝手に動き出してしまう。やがて彼女が手に取ったのは一冊のノート。メモ帳よりも書ける場所の多いその紙に、無垢は自分が3人にされた事を記載し始める。自分がされた事実を字にする事は余りにも恥ずかしい事であり、それを姉に見せるという事実は無垢の心に恥辱を与える。
「みつちゃんが、これを使って……?」
書き記されていく無垢に起きた出来事を読み進める中で姫子は自分の後輩がした事実を、無垢のクラスメイトや後輩がした事実を、そしてそれが自分の手にあるスマホを使って行われた事実を知って行く。やがて恥ずかしい無垢に起きた出来事を全て知った時、姫子は無垢の身体を抱きしめた。頭を抱えて、胸へ押し付ける様に。
「辛かったね、怖かったよね……大丈夫だよ。お姉ちゃんが、守ってあげる」
「(お姉、ちゃん……)」
大好きな温もりに包まれて、無垢は姉なら大丈夫だと安心する。確かに彼女の手には全ての元凶とも言えるスマホが握られているが、それを悪用する様な事はしないと。
だが、それは大きな間違いであった。
『佐伯 無垢は姉の行動を全て受け入れる』
「(ぇ……)」
聞こえて来る謎の声。そしてその内容に無垢は暫しの間、理解が出来なかった。彼女達が持つスマホはその持ち主の欲望に何らかの刺激を与えるものであり、無垢を思う気持ちに刺激を受けた事や無垢がされた事実を知った事で姫子の中に生まれた感情。
「全部、お姉ちゃんが上書きしてあげるからね」
「(そん、な……)」
何時か似た様な事をみここに言われた無垢は、姫子が自分に何をしようとしているのか察しが付いてしまった。結局、大好きな姉もまた自分を襲う人の一人となってしまったのだと。だが、それを分かったところで無垢は逃げられない。姫子の行動を受け入れる様に指示された事で、姫子のする事に全て逆らえない。
「無垢……はむっ」
「っ!」
無垢の身体を抱きしめたまま、うっとりとした目で姫子は無垢の唇を奪った。胸に抱き抱えた顔を少し離して、上から親鳥が小鳥へ餌を与える様に。舌を絡めて唾液の齎す水音を聞きながら、姫子は長く深い口付けを続ける。小さな身体を全身で感じながら、愛する妹とする口付けに姫子は幸福感を抱いていた。
「はぁ、はぁ……ふふっ。無垢、可愛いよ」
頬を微かに染めながら無垢に告げる姫子の姿は余りにも妖艶で、見る者全てを魅了する様な姿だった。そんな彼女に口付けをされた無垢は無表情ながらも何処かその目を蕩けさせていた。友達や後輩と同様、実の姉である姫子に身体を求められる事に抵抗は感じていても、身体は命令とは関係なく拒めなかったのだ。三人からされた今までの攻めで、必要以上に身体が敏感になっているのも原因の一つである。
姫子は無垢の身体をベッドへ横にすると、その上に覆い被さって顔の左右に両手を突く姿勢になる。見下ろす様に無垢の顔を見つめる姫子はもう一度軽い口付けを行い、徐に自身の服に手を掛け始める。やがて下着姿になった時、今度は無垢の服にも手を掛け始め……遂には無垢を生まれたままの姿へと変えた。
「怖がらなくて大丈夫だよ。心配しないで……優しく、してあげるから」
「(みんな……あの、スマホの……せい……)」
姉がしようとしている事に無垢の瞳からは涙が零れる。だがそれを不安に感じていると思った姫子は優しく頭を撫でながら零れ落ちる涙を人差し指で掬い、舐め取った。