第0話 導入
私の名前は黒羽 みつ。私は常日頃親しくしている大学の先輩、佐伯 姫子先輩の妹である無垢ちゃんの事が気になっている。
私と無垢ちゃんが初めて出会ったのは、姫子先輩に誘われて佐伯家へ訪れた時だった。大学内でも群を抜いて美人と噂される姫子先輩の妹なら、やはり美人なのだろう。そう思っていた。でも無垢ちゃんと会って、私の考えは間違っていたと知った。……美人の妹が美人とは限らない。私の目から見て、無垢ちゃんは決して美人と呼べる容姿をしていなかった。
「はぁ……結局、泊まっちゃった」
時間は昼前。昨日佐伯家にお邪魔した私は夜遅くになってしまった事もあり、流れでお泊りする事になった。先輩と無垢ちゃんは2人暮らし。何時もは先輩の部屋に泊まっていたんんだけど、昨日は寝る前になってふと何気ない感じで無垢ちゃんに聞いてしまった。
『無垢ちゃん、一緒に寝ない?』
「あんな事言って、引かれて無いよね?」
無垢ちゃんは自分が誘われた事にとても驚いた様子を見せてから、特に嫌がる素振りも無く私と一緒に眠る事を選んでくれた。だけど姫子先輩がシスコンと呼べる程に無垢ちゃんの事を大切にしていると私は知っている。思わず出てしまった言葉と無垢ちゃんが受け入れた事実に喜び半分恐怖半分で姫子先輩へ視線を向けた時、私が見た姫子先輩の笑みはもう、記憶には残っていない。思い出すと危険な気がした故の本能的な忘却って奴かも知れない。
私から見て、佐伯 無垢という少女は決して美人だとは思わない。だけど私の期待を上書きする程に愛らしくて、私は彼女に一瞬で心を奪われてしまったんだと思う。姫子先輩が無垢ちゃん大事にする理由も、出会ってからは全てに納得出来る。あの子は何処か儚げで、放って置いたら何処かへ行ってしまいそうな……そんな感じがするから。だけど、何時かはもっと無垢ちゃんと仲良くなりたい。
「やぁ、そこのお嬢さん?」
「……誰?」
帰り道で突然横から現れた女性が声を掛けて来た。怪しい人。何処か危険な感じがして、私は相手に問い掛ける。でもその女性は不気味に笑みを浮かべるのみで自分の正体を答えようとしない。それどころか私の周囲を一度回ると、何かに納得した様子で頷いてから何かを取り出した。
「これを君にあげよう」
「っ! え……スマホ?」
「ふふっ、それはただのスマホじゃ無い。ちょっとした力のあるスマホでね……使い方はすぐに分かるよ」
「い、一体何の為に……って、嘘……」
突然腕を取られて手の平に置かれたそれはスマホだった。急いで女性から距離取って、私は手にあるスマホに訳が分からなくなる。そして顔を上げた時、既に女性の姿が何処にも無かったことで余計に頭が混乱した。だけど今のが幻覚でないのは手に残るスマホが証明してる。今すぐ渡されたスマホは捨てるべきなんだろう。もしも持ち帰ってしまえば、GPS等で家を特定される危険性だってある。……でも、今この場で操作する分には危なくないかも知れない。下手な個人情報を入れなければ、特定される事も無い筈。私は手に持ったスマホを眺めて、電源を入れた。
「遠隔、操作……?」
自分のスマホと同じ様な見慣れたホーム画面。だけどそこに唯一存在するアプリ、『遠隔操作』が私の目に入り込んだ。そして半ば無意識にその指でアプリを開いて見る。途端、出て来たのはアプリの使用方法。
1.遠隔操作したい相手の写真を撮影。
※全身写真推奨
2.その写真をアプリ内に取り込む。
※このアプリはネットに繋ぐ必要はありません。
3.遠隔操作画面で写真に触れる。
※チャット欄にて命令も可能。
「……何、 これ」
私は遠隔操作の使用方法にまた頭の中が混乱して、それと同時に謎の感情が湧き上がる様な気がした。
「さて、これで全員。5人ともいい感じに欲望を持ってたから、ちょっと刺激するだけで……今回は大分趣向も違うけど、一体どんな結末になるかな?」
常時掲載
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