あのスマホを受け取ってから数日。私は何故かそれを捨てる事が出来なかった。危険はありそうなのに家へ持ち帰ってしまって、遠隔操作のアプリを色々確認してしまう始末。だけど肝心の相手も居なければ、写真も無い。ううん。もしこの機能が本物なら、試してみたい相手は……居る。
「みつちゃん、今日は家に来る?」
「……」
「みつちゃん?」
「っ! ぁ、えっと……ごめんなさい。聞いてませんでした」
「今日は家に来る? って聞いたんだけど、調子が悪い様なら無理しなくて良いからね」
最後に姫子先輩の家へ行ったのはこの前のお泊りの時。つまりスマホを貰ってから私は一度も無垢ちゃんと会っていない。あのアプリが本当に本物なのかは分からないけれど、使って見たいと思ってしまう。
「いえ、その……行きます。行かせてください」
「そう? それじゃあ、無垢にも伝えておくね」
姫子先輩が私も一緒に帰る事を伝える為に、無垢ちゃんへメールを送る。一応あのスマホは常に持ち歩いているから、このまま真っ直ぐに帰っても使う事は出来る。何処かのタイミングで無垢ちゃんの全身を写真で撮れれば……知らない仲じゃ無いから多分簡単に写真は撮れる筈。
もう歩き慣れた佐伯家への道を通って、姫子先輩の後ろから私はお邪魔する。玄関で靴を脱いでいると、制服姿の無垢ちゃんが私達を出迎えてくれた。声が出ないから静かだけれど、それでも彼女の歓迎に心が一気に温まった気がした。
「今日の夕ご飯は……シチューかな?」
『正解』
「ふふっ」
初めて無垢ちゃんと出会った時は喋れないと分かっていても、クールな子だと思っていた。表情もあんまり変わらないから余計に。だけど実際に同じ時間を過ごしてみると、無垢ちゃんの性格は少し茶目っ気のある女の子だと分かる。今だって無表情だけど、その文字を見ると楽しそうな感じがする。
それから姫子先輩と無垢ちゃんと私の3人で一緒にシチューを食べて、適当にお話をしながら時間を過ごす。殆ど決まっていた様なものだったけど、一応私が泊まる事も決定。やがてお風呂が溜まった時、姫子先輩が先に入る様に言ってくれた。でもここは先輩が先に入るべきだと思って遠慮する。そうして姫子先輩がお風呂に入り、無垢ちゃんと2人っきりになった私は彼女の写真を撮る為に行動を開始した。
「ねぇ無垢ちゃん。無垢ちゃんの写真、撮っても良い?」
「?」
「思えば無垢ちゃんの写真って一枚も持って無いから、一枚くらい欲しいと思って。駄目かな?」
無垢ちゃんは私のお願いに最初は首を傾げたけれど、説明をすればすぐに納得してくれた。そして座っていた椅子から立って私の前に来てくれたから、私はあのスマホで彼女の姿を撮影する。ついでに普段から使ってる方のスマホでも撮影。これであのアプリが嘘でも、無垢ちゃんの写真が手に入ったから損は無い。
『スマホ、2台持ち?』
「あ、うん。ちょっと最近ね。でもまだ使い慣れて無いから、戻すかも知れないけど」
危なかった。まさか指摘されるとは思わなかった。でも何とか誤魔化す事は出来たみたいで、無垢ちゃんは元々座っていた席に戻る。今彼女の前にはノートと教科書があって、多分課題か何かをやっているんだと思う。姫子先輩って頭が良いから、無垢ちゃんも……と最初と同じ事を思っていたけど、それも違うらしい。決して頭が悪い訳じゃないけど、必死に勉強して真ん中から少し上程度なんだとか。彼女の学年の偏差値が高いのかも知れない。だって佐伯家で会う度に殆ど1回は勉強している姿を私は見ているから。
それはそうと、私は無事に手に入れた無垢ちゃんの写真をアプリに取り込む。ネットは使わなくても良いと書いてあったけど、もしもの事を考えて常にこの携帯の電波は送受信出来ない様に設定してあるからそのまま。少しして、画面の中で綺麗に収まる形で無垢ちゃんの身体が映り始めた。
「……」
思わず生唾を飲んで、私は無垢ちゃんの姿を横目に画面に映った彼女の身体にタッチしてみる。まずは指先で彼女の肩にそっと、触れる。
「?」
「……」
何かを感じた様に無垢ちゃんが勉強を中断して肩へ視線を向けた! もしかしてこれは、本物……!? ううん、まぐれの可能性だってある。なら、今度は頭をタッチして優しくスライド。撫でる様に。
「っ!」
驚いた様に両手で頭を押さえた無垢ちゃん。間違い無い、本当にこのスマホの画面で触った部分に無垢ちゃんが反応している! なら、最後に命令の方も試してみよう。例えば……『佐伯 無垢は欠伸をする』。
命令を入れて確定を部分をタップした時、無垢ちゃんは手にペンを持ったまま可愛らしく欠伸をして見せた。その姿を見ていた私に気付いてちょっと恥ずかしそうに勉強に戻る姿を前に、私は確信する。このスマホは、この『遠隔操作』のアプリ本物だと。そしてそれが分かった瞬間、初めてこれを渡された時と同じ謎の感情が湧き上がって来る様な気がした。あの時はよく分からなかった感情。でも今なら分かる。
『無垢ちゃんを、私のモノにしたい』
姫子先輩がお風呂からあがって、無垢ちゃんがお風呂に入ってから私が最後にお風呂へ入る。そうして全員がお風呂を済ませたら、今度は寝る場所。でも前回は一緒に寝れたけど、今回は厳しいかも知れない。姫子先輩の冷たい視線を受けず、一緒に同じ部屋で過ごす方法と言ったら……思い付いたのは1つだけだった。
「この前は無垢ちゃんと一緒に寝ましたから、今日は3人で寝るのはどうですか?」
「3人で……無垢を真ん中にすれば、川の字で眠れるかも」
『場所が無い。リビングに布団を敷く』
姫子先輩も無垢ちゃんと一緒に過ごせるなら、喜んで同意してくれる。力を合わせてテーブルを退けたり布団を敷いたりして、やがて私達は3人川の字で横になった。勿論真ん中は無垢ちゃんで、上から見て右に姫子先輩。左に私が横になる。
「それじゃあ、お休み」
「おやすみなさい、姫子先輩。無垢ちゃんも」
「……」
無垢ちゃんは頷いて答え、電気を消して私達は眠ろうとする。……でも、今日の私にとって夜はここからが本番。私は布団に頭まで包まれて、明かりを最小限にした状態でスマホのロックを解除する。そして一度取り込んだ事で再び映し出された無垢ちゃんの身体。まずはおさわりをする為に、命令の枠には触れずに画面に映る無垢ちゃんの身体をタップする。さっきとは違って本格的に、まずは胸から。
「っ!」
姿は見れないけれど、微かに横で無垢ちゃんが動いた様な気がした。多分困惑してるんだと思う。だけどそこで止めたりしない。普通に考えて遠隔操作なんて誰も考えないから、多少激しくしたってきっとばれない。
スマホの画面には無垢ちゃんの写真や命令を入れる枠の他に、舌や手のマークが端の方で映っている。そこで舌のマークに触れ、それから無垢ちゃんの胸をタップすると……思惑通り、無垢ちゃんの身体が震えたのを微かに感じる。そこで私は布団から顔を出して無垢ちゃんを見た。
「どうしたの?」
「……」
無垢ちゃんは私の質問に困惑した表情で、結局首を横に振るだけだった。心配させたくないって事なのかも知れない。物凄い罪悪感を感じるけれど、それ以上にもっとしたいって欲望が私の中で勝ってしまう。
「何か困った事があるならちゃんと教えてね?」
「…………っ!」
頷いた無垢ちゃんの身体がまた跳ねる。それは私が画面を見ずに彼女の胸辺りをタッチして、更にはホールドし続けているから。どうやらタッチは一瞬触るだけ。でもホールドなら、その部分を永遠に舐める様な感覚を与えられるらしい。多分手で胸をホールドすれば、揉まれる様な感覚を与えられるんだと思う。それも良いかも知れない。
姫子先輩は無垢ちゃんの様子にはまだ気付いていない様で、既に眠ってしまっている様子。ならもう少し激しくしてもきっと気付かれない。私はスマホの画面に映る無垢ちゃんの身体、その胸の中央に人差し指と中指を当てて……ホールドした。
常時掲載
【Fantia】にて、オリジナルの小説を投稿しています。
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