※この作品はR-18です。

ぴるぐりっ! ~はちはち異界巡礼譚~   作:伊土 讃阿

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第四錠 ♥

 

 

 

/ぴるぐりっ! ~はちはち異界巡礼譚~ 日本語版

/摧一切善阿密哩多 胎蔵界編

/第一七夜 竜頭鰻尾

/第四錠

 

 

 

 土と香草の奥深い香りが浸透した甘藷(クマラ)を頬張り、エルシンシアさんが陶然となりました。

 

「ふわ……、ほくほくですの!」

「んー! お芋あまっ。素材の味が活きてるって感じ?」

「ん……、香りがいい」

 

 りんごさんとはすのさんも、ウサロアの伝統料理(ハンギ)に舌鼓を打ちます。ウルさんは鼻高々です。

 

「おくちにあったようでなにより。こころゆくまで、たんと召しあがってくりゃれ」

 

 サンセットさんは、にこにことそのやりとりを静かに見守っていました。視線に気づいたはすのさんが、たずねました。

 

「……サン、だいじょうぶ?」

「え?」

「いつもより、ぼんやりしてる」

「ええと……」

 

 サンセットさんが答えに窮するさまを見せたのは、これが初めてかもしれません。

 

「調子、わるい?」

「……いえ。正常、とは違いますけど……、悪いわけではなさそうです。なんと言いますか……、酔っぱらっちゃった、ような感じでしょうか」

 

 なんだかぽやぽやした様子で、歯切れの悪いサンセットさん。はすのさんがちらりと手元の杯を見やりました。

 

「ん、お酒のせい?」

「いえ。お慰めのあとからでしたので……、電気のせいじゃないかと。気分は悪くないですから……、たぶん、だいじょうぶですよーぅ」

「無理は、しないで」

「えへへ……、心配していただいて……、ありがとうございます、ご主人さま……」

「……ん」

 

 サンセットさんらしからぬ、しっとり無防備で隙だらけな笑みを向けられ、はすのさんはもくもくとカボチャをくちに運ぶ仕事に移りました。

 

 お慰めを終えて集会所に戻ってきてみれば、ウルさんがあらかじめ指示していたらしく御馳走の準備が進められており、村はすっかり宴会(ハカリ)模様。細かな星々がびっしりとすだき、にぎにぎしく煌めく夜天の下、歌(ワイアタ)や舞踏(ハカ)を披露してもらったあと、当初とはまるで正反対の歓迎ムードで遇されたのでした。それどころか、二頭のトゥナさまを満足せしめたサンセットさんは女神のように持て囃される手のひらの返しっぷり。

 

 いきなり捕獲され乱暴に扱われてお冠だったエルシンシアさんも、すっかり上機嫌で、塩漬けにした渡鳥の煮物をぱくついては、ジャガイモのパンにかじりつき、どろっとした甘さのジンジャーエールで流しこんでいます。

 

「そういえば、そなたらにお預けしたいものがあっての」

 

 酒精でほんのり紅潮したウルさんが、思い出したように椰子の葉の包みを差し出しました。

 

 りんごさんがぺろりとめくって、目を丸くしました。

 

「これ……! サンがつくってくれた蒲焼きじゃん!」

 

 ウルさんは片目をつむりました。

 

「そなたらはさだめし黄泉の使い。どうかわらわの鰻を、しかるべき場所へ連れて行って、しかるべき方法で葬ってやってくりゃれ」

「でも、いーの?」

「粗末にするのはもっと悪いからのぅ。冷えてしもうて、申し訳ないがの」

「温めなおせば……、おいしくいただけますよーぅ」

 

 と、サンセットさんが請け負いましたが、エルシンシアさんは唇を尖らせました。

 

「そうは言っても、やっぱり出来立てを食べたかったですの……」

「すまぬがウナギの焼きものは、ここでは認められぬ。ぢゃが、煮たのも悪くはないぞえ?」

 

 にやりとしてウルさんがエルシンシアさんに勧めたのは、スープの底に湯豆腐が沈んだ器。

 

「ただのお豆腐じゃないですの……。――ッ!?」

 

 不平たらたらながらも豆腐を半分に割ったエルシンシアさんは、一驚してみせました。

 

「このお豆腐……ウナギが入っているじゃないですの!」

 

 ウルさんはとんでもない悪戯を仕掛ける小娘のような悪い顔で、しらばっくれました。

 

「おや、そうかの? まぁ、湯豆腐をつくろうと汲んだ水にたまたま鰻が紛れこんでおって、たまたまそうとは気づかず火にかけてしもうて、熱さに耐え切れず鰻が豆腐のなかに逃げ込んでもろとも煮込まれてしまい、たまたまそうとは気づかずに食べてしまう……さようなことも、あるかもしれぬのぅ」

「ずるがしこいとゆーか、せこいとゆーか……、ってゆーかさ、ふつーに調理されてるよね、この子」

「生きたまま煮て苦しませるわけにはいかぬからのぅ」

「んー、なんか釈然としない……、ん、でもうま!」

「ぁむ、はふっ……、ぷりぷりしっかりした弾力で、太く鼻に突きぬけるような独特の風味、そのくせあっさりしていて、だしの旨味も調和していて……むぐぐ……! 絶品じゃないですの……!」

 

 りんごさんとエルシンシアさんをウナギ豆腐で夢中にさせると、隙をうかがっていたかのようにウルさんがサンセットさんの隣に擦り寄ってきて、ヤシ酒を注ぎました。

 

「のぅ、サンセット殿。そなた、巡礼を終えたら、ここに住まう気はござらぬかえぇ?」

 

 瑠璃色の瞳は酩酊に狂ってはおらず、かなり真剣な色相です。

 

「鰻の密猟者はまだ見つかっておらぬ。それでなくとも雷禍やらなにやらで、ここのところフタナ全土で信仰の揺らぎが問題視されておるとか。今後も、トゥナさまの欲求不満は溜まっていくであろ。サンセット殿がいてくりゃれば、わらわも民も大助かりぢゃ」

 

 サンセットさんはゆるゆるとかぶりを振りました。

 

「サンは、故郷が見つかるまでは……、ご主人さまのおそばでなければ生きていけない身ですから」

「故郷が見つかれば?」

「少なくとも……ご主人さまが、故郷復興の目的を達成するまでは、お仕えするつもりです」

「そのあとは?」

「今はまだ、未定ですけど……ひょっとしたら、サンを待っている方が、いらっしゃるかもしれませんので……お約束は、できないです。でも、お誘いも、こうして歓迎していただいているのも、とっても……うれしいですっ。いつかきっと……、また遊びに来ますっ」

 

 あくまで安請け合いしないサンセットさんに、かえって安心した面差しで、ウルさんが頷きました。

 

「そのときは、是非ともサンセット殿の技を伝授してたも」

 

 そして、今度ははすのさんに視線を移しました。

 

「それで、はすの殿は、どうかの?」

「ん……、わたし?」

 

 首をかしげるはすのさん。

 

「わらわの婿に来てくださらぬかの?」

「む……!? ぇほっ、げほっ」

 

 噎せ返るはすのさんが、りんごさんとエルシンシアさんの方を横目でちらりと一瞥するのを、サンセットさんは見逃しませんでした。

 

「嫁がよかったかの?」

「そ、そういう問題じゃ……。か、からかわないで……」

 

 はすのさんはすぐにでもこの場から逃げ出したそうな一方で、ウルさんはサンセットさんを誘ったときよりもさらに実直な情調です。

 

「からかってなどおらぬ。そなたは、竜と浅からぬ縁があるはず。信仰が不安定なこのご時世、仲間も減って肩身の狭い竜同士助けあって生きていくのは、互いに悪い話ではないはずぢゃ。それにわらわには匂いでわかる。そなたとは、絶対に相性が良い。そなたとわらわであれば、さぞ子孫も繁栄しようぞ」

 

 ヤシ酒でほのかに赤みを帯びていたはすのさんは、一気に真っ赤になりました。

 

「だめ……、わたしにも、民はいるし……」

「……まぁ、そうぢゃの。今のは酒に酔うて申した、ただの戯言。忘れてたも」

 

 どこか物悲しそうに鰓を伏せ、ウルさんはあっさりひきさがりました。酒が尽きたの、とウルさんがわざとらしく席を立ったあとで――、サンセットさんは、いてもたってもいられなくなりました。

 

 はすのさんの袖を軽く引っ張って、こしょこしょと耳打ちしました。

 

「あの、ご主人さま……。サン、おなか空いちゃいました――」

 

 

 

 

 

 

 

「じゅぶ……♥ んずず……♥ えりゅ……♥ ちゅずず……♥」

「はっ♥ はっ、はぁっ♥ ん♥ っくぅ……♥」

 

 今宵の寝床に、とウルさんに貸し与えられたのは、双胴カヌーに乗っかった客人宿泊用の小屋。多少揺れるのは辛いところですが、陸(おか)の上より割合涼しく、静かな海の吐息のリズムも適応してみれば心地よいものです。

 

 じめっとした熱帯夜に、さらに湿り気を添えているのは、じゅるじゅるなにかをすすりあげるような音と、かすかな喘ぎ声。息苦しさを覚えるほどの熱気は、ウサロアの熱帯気候だけのせいではありません。常から食事に関しては(用意する方も摂取する方も)とにかく手を抜かないサンセットさんが、今日はいつにも増して熱烈に奉仕していたのです。

 

「ちゅぅう……♥ じゅずる……♥ んぶぅ……♥」

「んんっ♥ ぅあゎ、そ、れ、す、ごぉ……♥」

 

(うぅ……、サン、いつもより、すごい……、ほんとに、おなか、空いてたんだ……)

 

 灯火で照らし出されるサンセットさんの所作のなかに、どこか貪るような余裕のなさを、ほんの少し垣間見ているはすのさんでした。

 

(そう、だよね……、あんなに、がんばってたんだから、わたしも――)

 

 と自分に言い聞かせ、はすのさんはその骨髄まで溶解せしめん甘美な口淫を受け入れます。

 

「ふーっ♥ くふーっ♥ ぢゅるるる……♥」

 

 本命の精液のみならず、滲みだすそのほかの体液すべてでも味わい尽くそうとしているかのごとく、サンセットさんがむしゃぶりついてきます。

 

 決して手は使わず、口器だけで、されど唇と舌とその裏、歯茎、口蓋、内頬、喉奥のすべてを駆使して、どろどろにべちゃつかせた肉茎にへばりつくような吸いつき。

 

「うぅぅ……♥ も、う……、サン……っ♥」

 

 着実に導かれ、その瞬間の訪れを切ない鳴き声で訴えるはすのさん。もちろんそれでサンセットさんがおくちを休めてくれるわけでもなく、そのまま腰の奥から引きずり出されるようにして、はすのさんは小さな口内に精をぶちまけました。

 

「く、ぅ――っ♥ ――っ♥ ――っ♥」

 

 いつもより激しい刺激でしたが、サンセットさんにされるのははすのさんとしても日常茶飯事。これっぽっちの不安もなく、全力でリラックスして(妙な表現ですが)放精です。

 

 どばっどばっと立て続けに煮凝りさながらにどろっとした子種の塊が、サンセットさんの喉奥を打ちつけます。

 

「ごきゅっ♥ ふー……♥ ふー……♥ ごくっ♥」

 

 喉を焼く熱と、絡みつく粘性を持ったそれを、サンセットさんは驚きもむせもせず喜々として嚥下していきます。

 

(う……っ、止まらな……っ、昼間出したのに……あのときよりも、出てる……っ)

 

 まぁ正確には出さされているのでしょうけども。

 

 ひとしきり絞り出すと、サンセットさんは一旦おくちを離して熱い吐息をこぼしました。

 

「はぁあ……♥ ご主人さまの子種……じゃなかった、ごはん、今日もとってもおいしゅうございましたよーぅ……♥ おそうじ、いたしますねぇ……♥」

 

 ところがすぐさま、慊然と再びじゅるりじゅるりと咥えこんでいきます。

 

 依然として酔っぱらったようなぽわぽわした口ぶりでしたが、管の奥の方に残っているのも、種瘤で追加生産中のものまで、根こそぎ飲み干さんがっつきっぷりです。

 

 お掃除と称した情熱的で執拗な愛撫で、はすのさんの陽根は強制再起させられてしまいました。

 

「ふはぁ……♥ ご主人さまぁ……、もう一口、よろしいでしょうかぁ……♥」

 

 とろんとした琥珀の瞳は、サンセットさんが未だ電気酔い状態にあることを如実に示しています。

 

「う……、いい、けど……。やっぱり、お慰めで、つかれてた……?」

 

 サンセットさんは恥じ入るように、やや目を伏せ気味に。

 

「というより、電気のせい、でしょうか……。あれからずっと、おなかのなかが、ぱちぱち、ぞわぞわしちゃっているみたいで……」

 

 サンセットさんは、お手を、と言ってそっと指を近づけてきました。差し出したはすのさんの手のひらをサンセットさんがなぞると、静電気のようなぴりぴりぞわぞわした不思議な感触をもたらしました。

 

「くせに、なっちゃってるみたいなんです……」

「ん……、どういうこと?」

「ぴりぴりすると、身体のなかがぞわぞわしてしまうんですけど……逆に身体のなかをぞわぞわさせると、お腹が空いちゃいますけど、ぴりぴりさせられるみたいなんです。そのぞわぞわさせるのが、くせになってしまっているみたいで、そのせいでずっとぴりぴりしてしまっていて、お腹も空きっぱなしで……」

 

 ぞわぞわを止めようとしているんですけど……、と申し訳なさそうなサンセットさんの告白。

 

 はすのさんのために、サンセットさんはかなりふわふわした説明をしましたが、要するに機能性細胞を流動させることで熱量を電気に変換させることができるらしいのですが、その流動が不随意に繰り返されてしまっていて、熱量を消耗し続けているらしいのでした。

 

「どうしたら、いい……?」

「時間が経つにつれて……だんだん収まってきているので……、収まるまで、ごはんをいただければ、と……」

「わ、わかった……がんばる」

 

 暗黒の国・ポーに飛び込んだときでさえ感じなかった怖気に震えあがりながらも、今日一番の活躍を見せたサンセットさんのためならば――はすのさんは、ためらうことなく承諾しました。

 

 サンセットさんはぱあっと顔を輝かせ――。

 

「ありがとうございますっ」

 

 細めた瞼の奥で、かつてない嗜虐的な光をぎらつかせたのでした。

 

「……サンも、いっぱい出していただけるよう、頑張っちゃいますよーぅ……♥」

 

 

 

 

 

 

「ぅ、ぐ、はぁぁあ……♥」

 

 粘稠度の高い温かな唾液をたっぷり含んだ口内に抱擁され、はすのさんはだらしなく嘆息します。ゆるゆる、まったり、ちゅるちゅるとあやされ、甘やかされ、下半身ごと温泉に浸かっているかのごとき極上の心地――。

 

 はすのさんは激しく攻め立てられるより、ゆっくりとっぷりなぶられる方が感じるたちです(というよりも、そうなるようにサンセットさんに開発されていたのですが)。

 

 ですので、そのままでも次の妙適(エクスタシー)に至ることは間違いないのですが、頑張ると明言したサンセットさんが、それで済ませると思ったら大間違い。

 

 満腹になるまで何度でも食べていい――メトロ・レンソイスでそう許可して以来、日に日にサンセットさんの食欲が増進している確信が、はすのさんにはありましたから。

 

 一抹の不安、そして否定しようのない期待に、胸を膨らませていると――案の定、サンセットさんは新たな段階、未知なる領域の開拓に乗り出しました。

 

「はぁぁあう……っ♥♥」

 

 サンセットさんは、ぱつぱつに張りつめた先端を咥えこんだまま、両の手のひらでそっと種瘤を包み込みました。すべすべで、生温かい粘液が分泌されているサンセットさんの手はただでさえ気持ちがよいものなのに、今はその表面をぴりぴりぞわぞわ電気の膜が這いまわっているものですから、はすのさんが情けない声を出してしまうのも致し方ありませんね。

 

「あ……っ♥ あ♥ ぅくう……っ、それ……♥ おなかのなか……っ♥ むずむずするぅ……♥」

 

 触れられた直後は、ちくちく突っつかれる感じでしたが、慣れてみると皮膚の下を無数の極小の手で撫でまわされているようです。

 

 やがて肉体の内側にまで浸透してくるその痺れに絶え間なく晒されつづけたせいでしょうか、精巣がぎゅんぎゅんと新たな種をつくっているのを実感させられていました。

 

(ちがう……っ、これ……!)

 

 次第に切羽詰まっていく劣情に、はすのさんは犬のように喘ぎました。

 

(つくらされてるんだ……♥ サンの、ごはん……っ♥)

 

 はからずも微弱な電気マッサージで強制的に精子を生産させられ、発情させられていることを察して、被虐嗜好に火をつけられたはすのさんは倍旧に昂揚してしまいました。

 

 こうなってしまうともう土壺、泥沼、蟻地獄。はすのさんはサンセットさんの求めに応じるままに、せっせと種をこしらえつづけるほかありません。はすのさんの種瘤は、今にも破裂せんばかりに膨れ上がってしまいました。

 

(うぅぅ……おも……)

 

 肉竿の根元で、ぼてっと濃厚な、熟成された体液が詰まっているのがわかるようです。サンセットさんは当然、そんな内情を看破していて、嬉しげに猫尾をくねらせると、種瘤に添えていた右手を上方へ。放電を続ける手で、聳立する肉管をそっと握りました。

 

「うぐぅっ♥ あっ♥ あっ♥ あっ♥」

 

 じんじん腫れた過敏な外性器のなかを、ぴりぴりと電気に這いずりまわれ、はすのさんはおとがいを反らしました。尿道がひとりでにきゅきゅっと締まり、放精しているのにも似た感覚が、サンセットさんがしごいてくるのにあわせて、管のなかを上下しました。

 

「んあっ♥ あ゛♥ 出てないのにっ!?♥ 出てるっ!?♥ っくうぅっ♥」

 

 強烈な、ただし厭わしくはない類の、ぎりぎり苦痛に感じない絶妙な責めに、はすのさんは拒むこともできず、ただひたすらに身もだえします。

 

 絶頂の予感が近づいてきたとき、ようやくこの快楽地獄から解き放たれるのだと、無意識に感謝してしまったほどでした。もっとも、それは――重大な誤りでしたけども。

 

「いっく♥ イクっ♥ いくっ、いくっ、いくっ、い……、っく……♥」

 

 お腹の底の底から、おおきなうねりを伴ってこみあげてくるその圧力がついに決壊するのを、歯を食いしばって待ち受けるはすのさん。でしたが――。

 

「あ、あれ……!? いってる、のに……っ! いけない……!?」

 

 脳も身体もすでに達しているような状態にもかかわらず、ふっとひと吹きしただけで爆発してしまいそうな種瘤と陽根は、なかでなにかがつまってしまったかのように一向に吐精する気配がなく、むしろ際限なく膨張を続けています。

 

 サンセットさんは久しぶりに剛直から口を離すと、種瘤をぷにぷに突つきました。

 

「あら……♥ くすくす……♥ 溜めこみすぎて、固まっちゃったみたい、ですね……♥」

「うぅ……ど、どうしよう……くるし……ばくはつ、しそう……」

 

 はすのさんは半泣きで戸惑います。

 

「くす……♥ これはもう、なかから押し出すしかなさそうですね……♥ そうしないと、ご主人さまのここ……本当に弾けてしまうかもしれないです……♥」

 

 脅しつつも、穀倉同然にしこたま食糧を溜めこんだ種瘤をさわさわぴりぴり指先でかわいがるのはやめず、さらに精液を濃縮させてくるサンセットさん。はすのさんはすっかりおびえきって狐耳をしおらせ、いやいやとかぶりをふりました。

 

「やだぁ……やだ……、こわい……、たすけて……っ、サン……、ださせてぇ……!」

「くすくすくすくす……♥ わかりました……♥ ご主人さまのご用命とあらば♥ サンは全力で搾精♥♥ ……じゃなかった、処置させていただきますよーぅ……♥」

 

 サンセットさんは薄ら笑みを浮かべると、右手でゆるゆる扱きあげたまま、左の中指でほころびかけていたはすのさんの秘唇をふわりとなであげました。

 

「ひゃうぅっ……♥」

 

 未だかつてサンセットさんの指以外の侵入を許していないそこは、しかし一連の淫戯により今日はまだ触れていないにもかかわらずしとどに濡れそぼっています。

 

「失礼、いたしますね……♥」

 

 ゆっくり、ゆっくり、そろそろと、まるで極力感じさせないようにしているかのように慎重に媚肉をかきわけ指を推し進め、ある程度の深さに到達したところで、おもむろに指を折り曲げて、はすのさんのお腹側――ちょうど陽根の根元の裏側にあたる箇所を、こりゅ、と押圧しました。

 

「ぉふっ!? んあぅっ! お゛っ! くぉぅっ!」

 

 こりこりに腫れきったその腺は、人間の男性ならば前立腺に相当し、はすのさんにとってまさに急所中の急所。かるく押し込まれただけで息が詰まるほどだというのに、ぴりぴりと電気まで流しこまれては、悶絶するしかありません。さらに――。

 

「ふふ……♥ えいっ♥」

「~~っ♥♥」

 

 サンセットさんはぞわぞわのこつを掴んできたのか、絶えず生じていた微弱な電気を瞬間的に高め、ぱちりと小さな電撃を発生させたのでした。

 

 その電撃を浴びて、腺が強制収縮。きゅっと筋肉も引き締まり、ついに溜まりに溜まった白濁液が、鈴口からどぼっどぽっと漏れ出てきました。

 

「~~っ♥ ~~っ♥ ~~っ♥♥」

 

 ゼリーのような精液が尿道を押し広げてゆっくりせりあがってくる凄まじい射精感に、はすのさんの頭のなかで白い光が荒れ狂います。が、サンセットさんはいささか物足りない様子。

 

「なかから押し出しても、あまり出てこないですね……? なら、外からも吸い出すしか、ありませんよね……♥」

 

 そう言うと、サンセットさんはびくびく跳ねる肉茎をひと息に喉奥まで丸呑みにし、ごきゅごきゅ喉を鳴らして飲み下しはじめました。

 

「くはぁっ♥♥ っふぅぅうう……っ♥♥」

 

 重々しく凝りかためられた、ほぼ固形物の欲望の塊を規則的に電撃で放出させられ、同時に強烈に吸引され、人外の悦楽にはすのさんの意識は断続的にとぎれます。

 

 そんなはすのさんにお構いなく、サンセットさんはなかば恍惚とした面持ちで、ぢうぢう怒張に吸いつきます。もはや完全に獲物を貪る理性なき獣といったところでしょう。

 

 たっぷり一分ほど(はすのさんには一時間にも一日にも感じられるほどの塗炭の快楽でしたが)がっつりはすのさんの大切な子孫を蕩尽したサンセットさんは、ようやく顔を上げ、ぽつりと呟きました。

 

「……ご主人さま、あの洞窟で……ウルさんと、なにをなさってたんですか……」

 

 余韻を楽しむどころか、丸一週間も全力疾走しつづけたかのごときかつてない疲労感に虚脱していたはすのさんは、その問いで現実に引き戻されました。

 

「な、なにって……、サン、起きてたの、あのとき――」

「……ぼんやりと、ですけど」

 

 こころなしか物憂げな、しかしよく見れば先ほどよりもなおひどく酩酊したような妖しい瞳――。どうやら、電撃を使用することでサンセットさんは電気酔いを助長してしまっていたらしいのでした。

 

「ウルさんに……、乗しかかられて、いましたよね」

 

 むくれた口調。

 

「あ、あれは……、毒を、抜いてもらってた、だけだから――」

「ご主人さま、気持ちよさそうでした」

「んぅ……」

 

 胡乱な眼差し――いつもは見せない、甘えるような。

 

「ご主人さま……、上に乗られるの、お好きなんですか」

「え、ええと、その……」

 

 しどろもどろになるはすのさん。

 

「乗られた方が気持ちよくて、たくさんごはんを出していただけるなら……サンも、乗っかった方が、いいですよね」

「え、あ……ぅん……? あぅっ」

 

 混乱するはすのさんの腰の上に、サンセットさんがまたがりました。スカートのなかに萎びかけた陽根が隠れ、裾がお腹と膝をしゅるりと舐めます。

 

 そのままゆっくり腰を降ろし、はすのさんの骨盤にサンセットさんのすべらかで湿った太ももが接触し、外性器にぐちゅりと柔らかなぬかるみが覆いかぶさりました。

 

「――っ!? サンっ……! あ、あたってるっ……!」

「くす……♥ なにが、ですか……?♥」

「うぅ……、だ、だいじな、とこっ……」

 

 サンセットさんはスカートの裾ををたおやかに持ち上げました。

 

「くすくす♥ だいじょうぶですよーぅ……♥ 入っては、いませんから……♥」

 

 サンセットさんの言葉通り、たしかに挿入は果たしていませんでしたが、しかしこれまで行ってきた手や口で精を搾り取られる行為とは異なり、性器同士が直に密着したこの体勢は、はすのさんに混じりけのない性交のイメージを与えてやまないのでした。

 

 サンセットさんがおもむろに腰を揺すりはじめると、そのイメージはことさら強まりました。

 

「うう……っ、サン、うごかしたら、は、はいっちゃう……!」

「くすくす♥ 動かさないと、ごはんはだせないですよーぅ……♥ でも、そうですね……♥ うっかり入ってしまわないよう、監視しておいていただけますか……?♥」

 

 照覧あれかしとスカートをたくしあげ、いとけない割れ目を火光に露出したまま、サンセットさんは腰を振りつづけます。

 

 あつあつのお出汁を吸った麩菓子さながらにふわふわの陰唇に押しつぶされ、摩擦され、のみならず依然としてぴりぴりする電気も加わり、くたびれていた陽根に再三血が集ってきました。

 

「ふふ……♥ くすくす♥ くす……♥ あは……♥」

「うあっ♥ はぁんっ♥ んん♥ ぅうう……♥」

 

 日中、目の当たりにした際と同様に淫猥な姿を見せつけられ、はすのさんの肉欲は高まるばかり。トゥナさまを綏撫していたときのサンセットさんの情景と、ウルさんに毒を抜いてもらった時の体験とが、奇妙にねじくり混ざりあい、はすのさんはわけがわからなくなったまま、本日何度目かのエクスタシー。

 

「はぁぁああっ♥ っくぅぅうっ♥ ――っ♥♥♥」

 

 ぱしゃっぱしゃっと幾分薄く水っぽい追い射精を、己のお腹にぶちまけました。

 

 サンセットさんは一旦はすのさんから降りると、甘えるようにしなだれかかってきて、脚に尾をしゅるりと絡めつけてきて、胸に腹に飛び散った精汁を丹念に貪欲に舐めとりました。

 

 度重なる絶頂の繰り返しで過敏になったはすのさんは、臓物を啄まれているかのごとく錯覚し、舌を這わされるたびに小さく息を漏らしました。

 

 されどそれさえ今や心地よく、肉茎は懲りずに肉茎は血液を充填させ、サンセットさんの温柔なお腹を押し返します。サンセットさんと目が合います。

 

「ぴりぴり、かなり弱まってきたみたいです」

 

 星月のきらめきに潤む深い琥珀の虹彩は、いくらか正気を取り戻したようにも見えます。

 

「でも、またお腹が空いてしまって……もう一回だけ、よろしいでしょうか……」

 

 はすのさんには、そっと触れられた手のひらの痺れは、ますます強まっているようにしか思えませんでした。

 

「うぅ……、どうぞ……」

 

 結局――その後、はすのさんが数えられていたのは、三発目まででした。

 

 翌朝、我に返ったらしいサンセットさんは平謝りし、はすのさんは二度とサンセットさんを感電させまいとこころに誓ったとか、なんとか――。

 

 さてさて、そろそろお時間となってしまいました。名残惜しくも、今宵のお観測(みはか)りはここまでにいたしましょう。

 

 次回もお楽しみにお待ちくださいませ。

 

 

 

 巡礼済み天帝院:一八/八八

 蒐集済みホムスビ一六神:二/一六

 

 

 

 道中、ヤクシニーの眷属であるおフタナさん・ざくろさんと出会い、狂酔の界・シドナスの地に到着した御同行。文字通り酒池肉林を体現し、狂奔と混沌渦巻き邪界すれすれとまで称されるこの界で、またまたエルシンシアさんがトラブルを引き起こしてしまいます。しかし今度ばかりは冗談では済まされそうにありません。

 なにせエルシンシアさんは、子豚の姿に変えられてしまったのですから――。

 

 次回「第一八夜 華天酒池」

 

 

 

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