アズレン夜伽話 作:変幻アズレン屋
セイレーンのエロ増えないのなんで…?
「────」
海を見ていた。
ベランダの手摺に手を突いて、僕はただぼんやりと熱帯夜の闇に沈んだ黒い海を眺めていた。
別に深い理由などありはしない。
ただ────少しセンチメンタルな気分に浸りたいだけだった。
「ホントに死んじゃったのか……」
今日、両親が死亡した旨の電報が届いた。
半年程前に渡航したロイヤルから戻ってくるその途中で、乗っていた船がどこの勢力が設置したとも知れぬ機雷に触れてしまったとの事だ。
全く──全く以て浮かばれない。
父は重桜では名の知れた芸術家だった。
絵画の分野ではかなり保守的──いや、率直に言ってしまえば遅れているこの国にあって、現代油彩画の普及に尽力した父に匹敵する洋画家は片手で数えられる位しかいないだろう。
俗に言うパイオニアってヤツだ。
母もそんな父を愛し公私に亘って支える、身内の評価と言う事を差し引いても正しく良妻賢母の鑑だった。
ただ、父は志が高すぎたのだ。
確かに「本場」の油彩画を学びたいという気持ちは分かるし、そろそろ足腰の衰えが本格的になり始める時期だから焦っていたのも理解出来る。
だが、このアズールレーンだレッドアクシズだ等と言って世界全体がキナ臭くなりつつある中でどうしてロイヤルへの渡航を決断してしまったのか。
せめて母を残していくとかそれ位はしても良かったのに、どうして連れて行ってしまったのか。
お陰様で今では2人とも海の藻屑だ。
どれだけ知識を手に入れても、素晴らしい経験をしたとしても生きていなければ無意味なのに。
「疲れたなぁ……」
そう言う訳で、父の芸術家仲間だとかからひっきりなしに電話が掛かってきたりだとか、態々こんな地方の片田舎までやって来た客の応対だとかで疲弊しているのだ。
もう何と言うか──何も考えたくなかった。
「────」
その点は夜の海は良い。
時々月光の煌めきがさざ波を目立たせる位で他は真っ黒だ。
キャンバスのような色彩も、昼間のような暑苦しさもなくただ波の音と「黒」に身を委ねれば良いのだから気が楽になる。
だが、「それだけ」ではない。
「────」
ふと、左手に巻いた安っぽい腕時計を確認する。
時刻は7時ぴったり────とすると、アレだ。
「こんばんは、『指揮官』」
「こんばんは、オブザーバー」
僕が夜の海を眺めるもう1つの理由──即ち人類の敵であるセイレーンが1人にして、白銀の髪を潮風に靡かせる小柄な少女が背中にしなだれかかってきた。
天井から吊り下げられた剥き出しの白熱電球が、静まり返った居間にブーンと異音を響かせる。
卓袱台に置いたグラスの中で、お茶に浸された氷がカランと音を立てた。
「飲まないの?」
「ええ、別に喉は渇いてないの」
「そっか」
僕と少女──オブザーバーは、卓袱台を挟んで何をするでもなくただ向かい合っていた。
琥珀色の瞳が、じっと此方を見詰めている。
これにもまた深い理由は無く、ただそう言うルーチンだからそうしているだけの事だった。
オブザーバーは、両親が異国の地へ旅立った丁度翌日から僕の家に現れた。
現れたのだが──それだけだった。
本当にただとりとめのない会話をしたり、一緒に夕飯を食べたり、バラエティ番組を見たりするだけ。
そうして毎日午後7時きっかりに町外れにある我が家を訪れて午後9時には帰る。
「今日は、何するの?」
「……何でも良いんじゃないかしら」
「そうだね……」
正直に言ってしまえば、何をしたいのか分からない。
セイレーンが田舎でぼんやりしてる17歳のガキと接触して何のメリットがあるのか。
それとも死んだ父に何かしらの用があったのか、はたまたとんでもない陰謀に巻き込まれているのか。
考えて考えて──結局何も出てこなかった。
そう、別に何だって良いのだ。
「テレビは?何か面白い番組がやっているかもしれないわ」
「いや、今日はレッドアクシズがどうたらってずっとやってるよ」
「そう……それは、つまらないわね」
最初こそ面食らったし、普通ならテレビの中でしか見る事の無い「人類の敵」に怯えもしたが、流石にそれが半年も続けば慣れてしまう。
寧ろ、来てくれて助かるとさえ思っていた。
何しろ高等学校以外では一人きりだし、遊ぼうにも友達なんて片手で収まる位しかいない。
付け加えるなら、このド田舎に高校生が満足に遊べる場所など存在しないのだ。
そう言う状況下にあって、毎日会いに来て話をしてくれるだけでも僕にとっては十分過ぎる位に救いになっていた。
「────」
「────」
だから、「何故来てくれるのか」について考える意味などありはしない。
分かった所で何の価値も無い。
「────あの、さ」
「何かしら」
対面する少女が、こてんと首を傾げる。
そう、こんな下らない事より今日はもっと聞きたい事があったのだ。
「オブザーバーは何で僕の事を『指揮官』って呼ぶの?」
「……」
ずっと──恐らくは初対面の時から、彼女は僕の事を「指揮官」と呼んでいた。
勿論僕は指揮官ではない。
人類の希望たるKAN-SENを統括し、その名の通り戦場で指揮する彼らになる適性も、動機も、意味も無かった。
このままであれば順当に父の跡を継いで画家になる筈の僕が、何故「指揮官」なのか。
気になって仕方がない。
「……」
「オブザーバー?」
だが、彼女は沈黙していた。
普段は余裕たっぷりでその体躯にそぐわない妖艶な表情を浮かべているオブザーバーが、苦々しげに顔を歪めていた。
「ご、ごめ────」
「────」
ひょっとして、何か琴線に触れるような事を言ってしまったのだろうか。
そう思い、謝罪の為に口を開こうとした瞬間────視界一杯に、山吹色が広がった。
オブザーバーが、僕の瞳を覗き込んでいる。
「貴方は」
「────」
「貴方は、何れ指揮官になる」
卓袱台の上に身を乗り出し、ともすれば唇が触れ合ってしまいそうな程の至近距離でオブザーバーが囁く。
砂糖をまぶしたように甘く。
夜の海よりなお暗く。
胸元と背中しか隠せていない、ネグリジェのような服を揺らしながら。
「今はそうではないとしても、そのつもりが無くとも必ずなるわ。だから貴方は『指揮官』。私達の敵」
どうも、彼女の言葉を信じるのなら僕は指揮官になるらしい。
それは何て言うか──嫌だ。
信じるか信じないかは別として、本当に数少ない「友人」であるオブザーバーを傷付けるような事はしたくない。
そんな内心を知ってか知らずか、白銀の少女は耳障りの良い言葉を続けざまに囁く。
「でも──私は期待しているの」
「────!」
「本当よ?貴方は私にとって想像以上なの」
言葉の端々が、隠しきれない程に情熱的だった。
人類の敵が、セイレーンが、否、たった半年で心の中に滑り込んだ彼女が、恐らくはその本心から期待していると呼び掛ける。
だからこそ動けない。
父も母も喪った僕の中でオブザーバーの存在が、あまりにも急速に膨らんでいく。
「実験を繰り返す度に貴方は変わる。何度も、何度も──1つとして同じ結果にならなかったわ。全てに於いてほんの僅かだけど『良い方向』に進んでいる」
「────」
「きっと、そんな所に惹かれてしまったのね」
何を言っているのか、正直半分も分からない。
実験とか良い方向とか言われても、セイレーン側の事情など何一つとして把握していない。
重要なのは────
「ええ、そうよ。私は貴方が好き。セイレーンの使命を超える位に、変わり続ける貴方を愛してる」
愛。
愛だ。
──きっとこの告白にも打算はある。
これまで問答無用で人類を殺戮し続けてきた彼女達が、ただで絆されるなんて事は無いだろう。
しかしそれを踏まえた上で、例え人類の敵だったり孤独に漬け込まれているのだとしても、そんな事は気にならない位に彼女を愛していた。
「んっ……♡ちゅっ♡れぇる……♡」
バチバチと弾ける思考にオブザーバーの唇が重なり、続けざまにぬめった舌が口内を蹂躙する。
歯茎をつつかれ、舌と舌が絡み合う。
「そう……んむっ♡もっと舌を出して……♡ちゅりゅ♡」
初めてのディープキス。
本来なら大人と大人がする淫らな性交の前戯に耽りながら、オブザーバーの青白い腕が首に絡み付く。
卓袱台の上から乗り出していた筈の肢体もいつの間にか胡座をかいた僕の上半身にぴったりと寄り添い、面積の小さいショーツだけで靴下すら履いていない柔らかな太ももが股間に押し当てられる。
「勃起、して……?硬くて、熱くて、ぶっといおちんぽ、私に見せて……♡」
再び、囁く。
しかし今度は耳元で、太ももをズボン越しに擦り付けながら、性欲を煽るようにひそひそと囁く。
そして──────
「たぁくさん、愛し合いましょう……♡」
唇の周りを唾液でべっとりと濡らした白銀の少女が、思わず震えてしまう程淫靡な微笑を浮かべた。
ぴちゃり、にちゃりと粘ついた水音が暗い部屋に響き、その度に艶やかな喘ぎ声が耳を犯す。
「んっ……♡はぁっ……♡それ、イイ……♡」
僕は乱雑に敷いた布団の上でオブザーバーに覆い被さり、その黒いネグリジェの上から小ぶりな乳房を揉みしだいていた。
彼女がたっぷりと涎を垂らしたからか、その生地にはどろどろの粘液がたっぷりと染み込んでいる。
しかし頬を赤く染めながらもオブザーバーは余裕綽々な表情を崩さない。
それどころか不慣れな此方を導く素振りを見せてすらいた。
「そう、もっとして……♡優しく……でもイヤになる位意地悪に……っあ♡あん……♡」
言葉通りに両手を動かすが──柔らかい。
広げた手のひらに丁度収まる位の大きさに、しっとりとした肉の感触が堪らない。
その気になればいつまでだって揉んでいられそうだ。
「あッ……♡ちくびイイの……♡もっと、もっとぉ……♡」
時折薄い布地越しにツンと尖った突起を指の腹で転がせば、耳が溶けてしまいそうな位甘い矯声が上がる。
いつもは嗜虐的な笑みを浮かべているその口で喘ぎ、悶え、おねだりをする。
何だかんだ言ってオブザーバーも性交に興奮しているのだ。
そして、だからこそ普段なら絶対に出来ない下劣な要求もすんなり口に出せる。
「ねぇ」
「?」
「オブザーバーも、シてよ」
「ふーん……♡私に命令するのね?」
あまりにも直接的な言葉と同時に立ち上がれば、直ぐ様追い縋ってきた彼女がズボンに組み付く。
返事は不快そうだが、その声音はどうしようもない程期待に震えていた。
「えぇ、えぇ……♡幾らでもシてあげる……♡ほぉら、貴方のガチガチぺニス、おしゃぶりしちゃうわよ……♡」
そのまま手際よくベルトを引き抜き、パンツごとズボンを引き摺り下ろした白銀の少女が矢も楯もたまらぬと言った様子で反り返った怒張にむしゃぶりついた。
「あむ……ッ♡んぶッ♡んぐッ♡んッ♡んんッ♡」
──じゅっぽ、じゅぷじゅぷじゅぷっ!
最初から熱情に全てを委ねた──童貞でも分かるくらいに後先考えない、激しい動き。
頬を窪ませ、唇で竿を締め付けながらわざと音を立てるようなバキュームフェラ。
「んぐッ……♡んッんッんッ♡ちゅぶッ♡くちゅッ♡」
喉奥に亀頭を擦り付け、オブザーバーの頭が激しく前後運動を繰り返す。
ずるる、と先端付近まで引きずり出した肉棒が月光を受けてぬらぬらと輝いたかと思えば、再び小さな口の中に消える。
「んぢゅッ♡ぢゅぼッ♡ッんじゅぶ♡んぇる……♡」
上目遣いで此方を見上げながら娼婦も顔負けのフェラチオをする美貌は、正しく男への凶器だ。
それも顔が陰毛に埋もれてしまう位に激しく、奥へ奥へと咥え込んでくる。
「ッ、ヤバい……!」
「んんぶッ……!?」
これで耐えろというのが無理だった。
マズい、と思う暇もなく肉棒が膨張を始め────
「────!?」
「んふぁ……だぁめ♡」
快感が爆発するその直前に、熱い咥内からぬるりと引き抜かれる。
何故、どうして──と思いつつ視線を向ければ、とほつれた髪を頬に貼り付けたオブザーバーが、「にぃ」とサディスティックな微笑を浮かべた。
「射精したいなら、ちゃんと言わないとダメよ……♡」
「────」
「ほら、どうするの……?射精したくないのかしら……?」
にちにちと唾液に塗れた根元を右手でしごきながら、白銀の少女が問い詰める。
ニヤニヤと笑って、本当に楽しそうだ。
こうやって誰かを観察しながら虐めるのが彼女の本性なのだろう。
それは戦場でも、布団の上でも変わらない。
「────!」
「別に私は我慢したって良いのよ……♡でも貴方はどうかしら♡明日のこの時間まで、オナニーしないで待っていられる?」
れろぉれろぉと舌先で筋を舐め上げながら、オブザーバーが詰る。
痺れるような快感に歯を食い縛るけど、どうにもならない。
どうにもならないのにギリギリの所で寸止めされているのだ。
苦しくて、頭が爆発しそうで、手玉に取られているのがほんの少し悔しくて────でも、気が付けば「射精したい」とみっともなく懇願していた。
「ふふ、良い子ね……♡」
オブザーバーの唇が吊り上がる。
微笑から満面の笑みへと変わった彼女が、するりと立ち上がる。
身長は精々僕の胸元までしかなくて、あまり肉も付いていない。
しかし神聖にも近いしなやかさと淫魔と見紛う程の淫靡さを兼ね備えた肢体が、僕のそれとぴたりと重なりあう。
「えいっ」
「────!?」
不意に、視界がぐるりと回った。
セイレーンとしての膂力を発揮したオブザーバーが、突然僕を押し倒したのだ。
あまりの行為に、いきなり何をするんだと文句を言おうとしたが──
「ぁ───」
「ねぇ、見て────」
見上げた視線の先でオブザーバーが秘所を晒していた。
紐のように細いショーツはいつの間にか脱ぎ捨てられ、一切毛の生えていない少女のクレバスが露になっていた。
雪のように白い肌とは違う、僅かに覗くピンク色の粘膜が細い呼吸に合わせて蠢いているのだ。
「んッ……♡貴方のをしゃぶっていただけで、こんな風になってしまったのよ……っは♡この意味が分かるかしら……♡」
彼女の指が秘裂を左右に割り開くと、ねっとりとした粘液が溢れだして太ももを濡らしていく。
愛液だ。
もしセイレーンが戦闘だけを行う肉人形であれば不必要な筈の機能を、性交の為にしか使われない機能を見せ付けている。
そして────
「食べちゃうわよ」
あまりにも簡潔な捕食宣言と共に、オブザーバーの腰がストンと落ちた。
当然その先にあるのは限界寸前で屹立する肉棒。
「お゛ッ─────♡♡♡」
あ、と言葉にするその前にぺニスが熱いうねりに包み込まれ、濁った矯声を上げたオブザーバーの背が反り返る。
きっと彼女も自分で自分を焦らしていたのだろう。
愛液でぬめる腟肉を掻き分け最奥まで一気に侵入した亀頭が何かに──多分子宮口に当たった。
「あッ……♡か、はぁぁッ……♡」
これが初めてのセックス。
ただの少年から大人へと踏み出す切欠の1つ。
もし警察にバレたら縛り首間違いなしの、人類への背信行為。
だが、今の僕にはそんな事を考えている余裕はなかった。
「んおぉッ……♡あはぁ、あついの来てるぅ……♡」
──びゅぶっ、びゅくびゅくびゅぅぅっ!
脳細胞が灼け付くような快感と共に制御出来なくなった肉棒がオブザーバーの子宮に精を放ち、その外見通りに男根を咥えるには狭すぎる腟が白濁液で瞬く間に満たされる。
魂ごと精巣の中身を搾り取られる、過激過ぎる腟内射精。
だが────淫魔は止まらなかった。
「あッ♡あんッ♡童貞チンポすごいっ、腟内射精されながら動くのすっごいキモチイイッ♡ああぁッ♡」
──ずちゅっ、にちゅっ、にちちっ
白く細い腰を前後左右にくねらせ、媚肉を未だ射精が終わらぬ肉棒に擦り付ける。
全く減衰しない刺激に悶える此方の様子なんてお構い無しで、オブザーバーは一心不乱に肉欲を貪っていた。
「あぁッ♡嘘っ、指揮官のぺニス太くなってる♡んひッ♡おまんこ広げられちゃうっ♡」
にへら、と女が嗤う。
そう、山吹色の瞳を喜悦に蕩かし吹き出した汗が彼女を淫らにコーティングしていくその様に、腟内に収まったままの肉棒は萎えるどころかより硬度を増していた。
「んッ─────♡」
腰を振りながら少女が体を倒す。
白熱した視界の中で、白銀の髪がふわりとたなびく。
そして耳元に口を寄せたオブザーバーが、妖艶な笑みを浮かべながら囁いた。
「ガチガチおちんぽで、貴方だけの肉奴隷にして頂戴──♡」
「あひッ♡んぅッ♡あ゛ーっ♡そこ、そこイイの♡ずんずんしてぇ♡」
セックスに溺れていた。
もう何度腟内射精したかなんて覚えていなかった。
それだけでは飽き足らず小ぶりな胸に、ぷにぷにした腹に、端正な顔に、しっとりとした尻肉に──オブザーバーの全身を欲望で汚す。
ただただ気持ち良くて堪らない。
「お゛ぉッ♡しきッ、しきか──あはぁッ♡えぐれるぅ♡んァッ♡」
組み敷いたオブザーバーに力強く腰を叩き付ければ、理性を飛ばした獣のような喘ぎ声が帰ってきた。
ぎちぎちと締め上げるような動きをする肉襞をぺニスで耕し、形を憶えさせ、最後に屈服させるというプロセスを繰り返した結果いつの間にか彼女からも余裕は失われていたのだ。
それでいて乱暴な動きにも腟はすぐさま適応し、腰を引いた途端に最奥に引き戻そうと吸い付いてくる。
「あぇッ♡まッ♡まっれ♡激しいのっ♡やぁんッ♡ぁああッ♡」
最早此処にいるのは人とセイレーンではなく、ひたすら性交に耽る浅ましい男女だった。
人間としてあまりにも堕落した行為だと知りつつも止められない。
抽挿を続けながらだらしなく開かれた彼女の唇に自分のそれを合わせれば、瞬く間に舌と舌が絡み合う。
「んむっ──んぶッ♡んちゅッ♡はぁむ♡んッんんぅ……♡」
濃厚なキスをしながら淫魔の肉筒を激しく突けば、腹の底から愛しさが湧き上がる。
山吹色の瞳と目線を合わせれば、外見上は年端も行かぬ少女を犯している嗜虐心と最高の娼婦と体を重ねている快感が同時に頭を駆け巡った。
もっと──もっと気持ち良くなりたい。
オブザーバーのあられもない表情を見たい。
「んじゅふ♡ふぁ────あ゛あ゛あ゛ああああッ!?」
思わず悲鳴を上げたオブザーバーの口から、涎がパッと飛び散る。
構わず力を込め上から叩き付けるように腰を振れば、肉棒の先端に何か今までとは違う抵抗感があった。
これが彼女の最奥──子宮だ。
オブザーバーの脚を抱え、のしかかるようにして深々と腰を押し付け亀頭で奥を突く。
「あおッ♡んおおッ♡あへッ♡んあぁっ、あぅ、当たるぅッ♡こんなの初めてッ♡あぅぅぅぅッ♡」
──ばぢゅっ、ずぢゅ、にじちゅっ!
少女の潤んだ瞳が泡立つ結合部を虚ろに見詰め、突然質が変わった快楽に堪らず敷布団を握り締めた。
きっと、Sっ気の強いオブザーバーには「こう言う事」をされる経験があまりないのだろう。
責め立てるように腰を動かせば、ただでさえ互いの体液に塗れたオブザーバーの肢体から汗が吹き出し、益々切羽詰まった喘ぎ声が紡がれる。
「ぅああッ♡あッ♡あッ♡しきかぁぁぁッ♡お゛ッ♡あはぁッ♡はぁぁッ♡しきかんっ♡」
オブザーバーが何か言おうとしている。
俗にまんぐり返しと呼ばれる状態で、あられもない痴態を晒しながらそれでも僕に何かを伝えようとしているのだ。
ぬかるんだ最奥に亀頭が当たる快楽に身を委ねながらも、耳を澄ます。
彼女は、何を────
「孕ませてぇ♡」
そんな──そんな事を言うのか。
セイレーンの癖に、人類の敵の癖にそんな風にして煽るのか。
だったらもう、我慢なんてしてやるものか。
──ぱんぱんぱんぱんっ!
「んあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!?あンあンあぁッ♡さきっぽ当たるぅ♡お、おほッ♡おまんこ壊れちゃぅぅう♡」
両足を掴んで目一杯オブザーバーの股を広げ、暴力的なまでに腰をぐりぐりと押し付ける。
子宮口に亀頭を押し込み、無理矢理にエラの部分まで捩じ込めば彼女は悲鳴染みた矯声を上げた。
しかし、此方にはそんな事を考えている余裕は無い。
孕ませる。
彼女が望んだ通りに未成熟な子宮を隙間なく精液で満たして、屈服させて、2度とその生意気な口を利けなくしてやると熱でうだった脳が暴走している。
「あ゛ーッ♡ダメッ、ダメよ♡イっちゃうっ♡イっちゃうのぉ♡おちんぽキモチイイ──♡|」
いよいよ絶頂が迫っているらしく、オブザーバーの肢体はぶるぶると可愛らしい痙攣を始めていた。
担ぎ上げられた足にも力が籠り、しなやかな指をぐぐっと丸めている。
普段は虐殺の対象にしている人間に未体験の領域まで攻め込まれた挙げ句に子宮口を執拗に嬲られた快楽がオブザーバーに襲いかかろうとしているのだ────
「ん゛ん゛ぅッ♡あッ、だッ、ひぃ────♡」
一方で遮二無二責め立てる僕にも限界が近付いていた。
肉棒を包む腟壁が出鱈目な脈動を始めてうねりながらぎちぎちと締め上げ、一方的に攻め込まれる立場だった子宮口もここぞとばかりに降下して亀頭に食らい付く。
バチバチと視界が明滅して、思考がカッと白熱して、恍惚とした表情のオブザーバーしか見えなくなって、そして────
「イくっ♡♡♡」
オブザーバーが咆哮する。
「イくっ♡イくっ♡♡イくぅぅぅぅぅッ♡♡♡」
──どびゅっ、ぐびゅぶ、ぶびゅぅ!
オブザーバーの小柄な体躯を胸板で押し潰しながら、狂ったように精液を吐き出す。
1度、2度、3度──肉棒が脈打つ度に子宮を汚濁で満たし、身体構造上あるのかないのかすら分からない卵子を探して精子を泳がせる。
僕の精液が彼女を汚しているのだ。
「んッ……♡あぁ、お腹が熱いわ……♡っく♡指揮官の子種、キモチイイ……♡ホントに孕んじゃうかも……♡」
オブザーバーに覆い被さったまま、ぜぇぜぇと荒い呼吸を繰り返す。
そんな僕の様子を全身で見守りつつ、ぷにぷにしたお腹をさすって彼女は淫靡に微笑む。
誘惑されて、体を重ねて、腟内射精して──全部オブザーバーが誘導したようになった。
少し悔しいけれど、でも同じ位に心地好い。
「よく出来ました──はぁむ♡」
最後にもう1度、手足を絡めながらキスをする。それも啄むような、過度に刺激しないフレンチキス。
本当はもっとしたいけれど、もう体が動かないのだ。
兎に角鉛みたいに重くて、疲労感に全身を苛まれて──オブザーバーと抱き締めあったまま、僕の意識は闇に沈んでいった。
「────ふ、ふふ」
ガアガアと、無数の海鳥が獲物を求めて上空を飛んでいる。
その不安定でふわついた挙動は今のオブザーバーの心情に近い。
「本当に、気持ち良かった────」
海上を航行する蛸の足と複数の砲台を有機的に連結したような艤装に背中を預けた彼女は「指揮官」の家を訪れた時のように薄っぺらい衣服こそ纏っているが、その全身にはこびりついた精液やキスマークと言った性交の痕が色濃く残されている。
そしてその右手には、「1332」とラベリングされた小さな小瓶────自身の淫裂から掻き出した精液を詰めた耐弾、耐熱、耐衝撃などに優れる代物を摘まんでいた。
「『今回』は、最後までしてくれた────」
唄うように、奏でるように少女の声が歓喜に震える。
そう、オブザーバーが指揮官の童貞を奪ったのはこれが初めてではない。
彼女達セイレーンが新たな未知を知る為に世界と言う名の実験を「繰り返す」中で幾度となくオブザーバーは彼と交わり、いつからか精液を保存する奇行に目覚めていたのだ。
即ちラベルに記された1332と言う数字は、彼女が指揮官から精を搾り取った回数──セックスした回数である。
「あぁ、指揮官────」
ふっ、と笑みが消える。
幾ら彼の両親がオブザーバーにとっては取るに足らない存在とは言え、その死につけこむような真似をする事に罪悪感が無い訳ではなかった。
だが、そうでもしないと彼は手に入らない。
きっと彼はどれだけ指揮官として大成しても、その実ずっと自分の背中を追い求め続けるだろう。
他の誰でもない、オブザーバーが指揮官の初めてなのだ。
「ごめんなさいね、これも必要な事なの……えぇ、必要……」
──それはそれとして、肉欲に溺れていた事を否定するつもりはない。
「前回」は途中で偶然掛かってきた不粋な電話によりいまいちムードが盛り上がりきらず、採取した液体も彼女が望む程濃くなかったが今回は幸いにも何もアクシデントはなかった。
それどころか予想外の積極性を見せて犯されるなど、オブザーバーとしては喜ばしい限りだ。
攻めるのも良いけれど、攻められるのもまた気持ち良い。
だからこそ────
「チッ……」
「こんな所で、セイレーン?それにその格好──いえ、考えるのは後ね。瑞鶴!」
「任せて翔鶴姉ぇ!」
「行くわよ、高雄ちゃん!」
「参る……!」
思わず舌打ちしてしまう程に、至福の時間を妨げるKAN-SENどもが忌々しい。
折角感傷に浸っていたと言うのに、どうして彼女らはこんなにも不粋なのか。
恐らくは浮かれている内に輸送船団を護衛する中規模な艦隊に引っ掛かってしまったのだろうが、そんな事は最早どうでも良い。
「本当に、どいつもコイツも……良いわ、纏めてかかってきなさい」
この小瓶を海原に落としてしまったら、どう責任を取ってくれるのか。ピュリファイアー達の所に戻る直前までそのままにしておくつもりだった、全身を彩る精液が煤けてしまったらどうしてくれるのか。
そして万が一「この体」が帰り着けなかった時──即ち指揮官と愛し合った記録を持ち帰れなかった時、コイツらはどうしてくれるつもりなのか。
理解が無いのはセイレーンの仲間も同じだ。指揮官はあれだけ可能性に満ちていると言うのに、その可能性を認めない。
メンタルキューブから生まれたKAN-SENばかりに固執して、彼女らを統括する人間が秘めたポテンシャルを重視しつつもどこか敬遠している。
──全く以て腹立たしい。
そんな八つ当たりにも近いオブザーバーの苛立ちに呼応して艤装が唸る。
8本の砲塔が駆動を始め、その砲口が臨戦態勢に移ったKAN-SEN達に向けられる。
「────全員、海の藻屑にしてあげるから」
その瞳は指揮官と睦み合う時とは根本時に違う。
他人を見下し弄ぶ、人類の敵として本骨頂を見せた少女が獲物に飢えた舌舐めずりをした。