※この作品はR-18です。

アズレン夜伽話   作:変幻アズレン屋

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お久し振りです。


夏、休暇、爛れた愛

「……海だ」

「海ね」

 

 サンダルを履いた足下へと押し寄せては返す水の感触に、僕と隣に佇む彼女は同時に呟く。

 今日の彼女が纏うのはフリルの付いた紫の水着だった。

 海に来たのだから、当然と言えば当然だが。

 

 それにしても、久方ぶりの休暇だった。

 一体何の意味があって上層部がそんな事をしようと思ったのかは知らないが、重桜に骨を埋めるつもりの僕をヴィシアに送って爵位を取らせた挙げ句に指揮官をやらせるとは理解不能の一言に尽きる。

 大方アズールレーンにもレッドアクシズにも媚びないヴィシアを取り込む為に暇なヤツをとことんまで使い倒してやろうと言う策なのだろう。

 理解は出来るが、納得はしたくない。

 

 そんな訳でストレスで頭が可笑しくなりかかった僕は1週間の休暇を申請して、母港から車で5時間も離れたビーチにやってきたのだが──平和な海だね、と放心しながら呟いた僕にダンケルクはクスリと笑った。

 

「そうね。此処にいる誰もがセイレーンの事なんか忘れて、思うがままに振る舞って……指揮官が守った海よ?」

「僕が?君達が、の間違いだろ」

「そうかしら」

「僕はずっと後ろから見ていただけで、戦っていたのはKAN-SENだ」

 

 護教騎士たる巡洋戦艦ダンケルクを連れてきたのは、非常時に護衛が必要だろうとヴィシアKAN-SENのボスであるジャン・バールが取り成してくれたから──だけではない。

 

「私達を指揮するのが貴方の役目。だから貴方が守った海でしょう」

「まさか。机で書類に向かってるだけの男が何を守ったって言うんだ」

「ヴィシアの領海と栄誉、そして誇りを。指揮官はもう少し自分に自信を持つべきね」

「……そっか」

 

 ほんの数センチの間を行き来する言葉は切実で、しかしその端々はいつになく浮かれていた。

 ゆらゆら揺れる彼女のポニーテールと同じだ。

 作ってもらったお菓子の味見をする時も、他に誰もいない執務室で口付けを交わす時も、皆が寝静まった深夜に逢瀬を重ねる時もこれ程饒舌になった事は無い。

 僕も、ダンケルクも。

 

「でも、正直に言って……貴方がこんな良い所に連れてきてくれるとは思わなかったわ」

「信用されてないんだな」

「違うの。普段は何をするにも周りの目を気にしないといけないから、大胆な行動に出てくれた事が嬉しくって……」

 

 栄誉ある護教騎士と重桜の「お客様」が愛し合っているのが露見すれば、ヴィシア聖座はレッドアクシズに与していると見なされるだろう。

 それが客観的な物の見方であり、僕を送り込んだ連中がまさに考えている肝計だ。

 そして僕は全くその通りに動いてしまった。

 知らず知らずの内に、下衆で卑劣な作戦を完遂してしまった。

 不幸中の幸いだったのは、まだ僕がダンケルクと愛し合っているのを重桜は知らず、ヴィシアでもジャン・バールしか知らないと言う事だ。

 

 今回の休暇は多分そう言った面からの計らいでもあるんだろう。

 直接確認はしなかったが、した所で「1週間好きにやっていいから重桜にはバラすな。ヴィシアの立場はお前も知ってるだろ」と仏頂面で言い放つ彼女の姿が容易に想像出来た。

 

「此処なら、誰も私達を知らない。知られたとしても関係ない。皆浮かれて、皆はしゃいでるから……」

「……」

「此処でなら何をしても咎められない。私達はKAN-SENと指揮官じゃなくて、男と女」

 

 そうでしょう?と頬をうっすらと染めながらダンケルクは囁いた。

 多分彼女も、この休暇が僕をヴィシアに縛り付ける為にあるのだと理解している。

 けど──知っていながら誘ったのが彼女で、受け入れたのが僕だ。

 政略を思う存分利用してやる程度に、僕達は愛し合っていた。

 

「あ──冷たい」

 

 ダンケルクが1歩踏み出してさざ波に両足を浸す。

 母港の岸壁に打ち寄せるそれと、何も変わりはしない。

 磯の香り。

 温くて湿った海の風。

 ただ1つ、違う点を挙げるのならば────

 

 

 

「全部忘れて、遊びましょう────?」

 

 真夏の陽射しは、この世界に生きるおよそ全ての生物から理性を奪い去ってしまうという事だけだった。

 普段のカッチリとした騎士服とは違って瑞々しい乳房を支えるのは頼りない布地だけで、その不用心とも取れる優美さが僕に彼女を直視する事を躊躇わせた。

 

 

 

■■■

 

 

「んちゅっ、じゅっ、んじゅっ、ちゅぶぶ……」

 

 ダンケルクの深紅の瞳が至近距離で揺れ、唾液を啜る湿った音が耳を犯す。

 すっかり陽が沈み暗闇の中に沈んだ海原とホテルの間に横たわる防砂林の中で、僕と彼女は互いの背中に手を回して唇を重ねていた。

 

「んっ……ちゅじゅっ、んむっ、ちゅるっ……」

 

 ダンケルクの我慢の限界は、僕が思っていたよりずっと早く訪れたのだ。

 日中こそ健全に戯れていたものの、日没が近付くにつれ落ち着きを失くしていった彼女はビーチから人が離れ出した瞬間を見計らって熱烈なキスを落とし始めた。

 僕もどうにか応えようとするけれど──ダンケルクの技巧にはまるで敵わない。

 舌を絡めたつもりが逆に絡め取られ、形を確かめるように輪郭をなぞられる。

 先端をつつき、側面をなぞってかられろりと表面を撫で上げれ、止めに唾液を流し込まれる。

 

「んっ……じゅる、んじゅう……れる、れろぉ……」

 

 甘い。

 お菓子作りが趣味なのとはきっと関係ないだろうが、ダンケルクの唾液は蜜のように甘い。

 啜っても啜っても絶えず流し込んでくるものだから、益々溺れて──水着の下でそそり立った肉棒がしっとりとした感触に包まれた。

 

「ん、ふぁ……指揮官のココ、こんなに熱い……♡はぁふ、んりゅっ、んちゅぶ……」

 

 濃密なディープキスの最中にも、水着の内側に差し込まれた指が肉棒を弄ぶ。

 先走りを垂れ流す鈴口を親指で押さえくにゅくにゅと弄り回し、雁首を人指し指でなぞったかと思えば裏筋を軽く擦られる。

 ギリギリ愛撫にならない程度の刺激に悶えれば、今度はうねる舌で蹂躙された。

 

「ん……ふはぁ……♡」

 

 そうして5分程経っただろうか。

 時計なんて見ていないし体感でどれ位経過したかはまるで分からないが、不意に唇が離れた。

 丹念に混ぜ合わされた唾液が糸を引きねっとりと砂地に垂れ落ちたけれど、もうそんな事は気にならない。

 余韻を楽しむべきだとも思うけど、それよりは次。

 期待で心臓が早鐘を打つ。

 だってキス、手淫とくれば次に来るのは当然────

 

「はぁむ……んじゅっ、れる、れろぉ……」

 

 浜辺の柔らかい砂に膝を付いたダンケルクが、水着を引きずり下ろすや否や露出した陰茎へと顔を寄せる。

 しかし咥えるのは亀頭まで。

 雁首を唇で締め付けながら、先端だけを弄り回す。

 舌の裏側を鈴口にぴったりと押し当て、れるれると擦り付ける。

 

「ん、んりゅりゅ……ちゅぶっ」

 

 その一方で先程まで竿を弄んでいた指は陰嚢に添えられ、揉むと言うよりは包んで温めるような微弱な動きで奉仕してきた。

 絶世の美貌等という在り来たりな賛辞では到底足りない、「あの」護教騎士が肉棒を咥えている事実が昂らせる。

 それ以上にダンケルクが──貞淑で、面倒見が良くて、皆に慕われている「あの」ダンケルクが肉欲を貪ろうとしている現実に僕は何より興奮していた。

 

「んふぁ……あぁ、すごいわ指揮官……♡こんな、太くて……顎が外れてしまいそう……あぁむ、んっ、ふっ、んんっ……!」

 

 淫靡な微笑みを浮かべたダンケルクが、ゆっくりと頭を動かし始めた。

 血管の浮いた、グロテスクな肉棒が女の口内に飲み込まれては引き摺り出される。

 ぺニスを吸引する粘着質な音を立てる度に眼下で鈍い銀のポニーテールが揺れ、上目遣いで此方を窺う赤い瞳が喜悦に歪んだ。

 

「んっ、んぐっ、んぅぅっ!ぶじゅ、じゅぶぶっ、じゅるるるっ!」

 

 ぬめった舌がひたすらに竿をねぶる。

 僕は彼女にされるがまま、ただ林の中に突っ立って馬鹿みたいにぺニスを勃起させるだけだった。

 誰かに見られでもしたら一貫の終わりだけど、もうそんな事すら気にならない。

 寧ろこんな美女にフェラをさせているんだぞ、あのダンケルクが跪いて肉棒を咥えているんだぞ、と見せ付けてしまいそうな程であり──そんな事を考えている内にまた昂ってしまう。

 

「んぶっ、んじゅっ、じゅっ、じゅぼっ、じゅぶぶぶっ!」

 

 唾液で濯ぐ濁った水音と吸引の粘着質な水音が夜の林に響く。

 徐々に、徐々に──ダンケルクの責めは激しくなった。

 ぶぼっ、ちゅぼっ、と下品極まりないバキューム音をわざと立てて陰茎を啜り、亀頭を喉奥に迎え入れて離さない。

 

「ぅ、ぁ、待っ──」

「んぅ……、んっ、んぶっ、ぐぶっ、じゅじゅっ、じゅぶぶっ!」

 

 する、と舌が引っ込んだかと思うと今度は頬肉がすぼまり、リズミカルな抽送が始まる。

 あまりに凶悪なフェラチオに思わず腰を引こうとするけれど、陰嚢から手を離して四つん這いになったダンケルクは熱に浮かされるまま追い縋った。

 どろどろの唾液に濡れた、膣肉にも劣らぬ至上の肉穴に滾ったぺニスが浸されては引き抜かれる。

 そんな風にして陰毛に顔を埋める勢いで前後に動く顔と、時折裏筋をぞるぞると撫で上げる舌の感触は一瞬で僕の意識を白熱させた。

 

「んんぅ────♡」

 

 視界が真っ白に染まる。

 自分でも気付かぬ内にダンケルクの後頭部に添えていた手が強張り、麗しい美女に魅了された精子が鈴口からびゅぶぶ、と迸る。

 それも1度や2度ではなく、脈動する竿は次々に白濁をうねる肉絨毯に差し出してゆく。

 

「んぐっ……んっ、んっ、んぶっ……!ぐぶぶ……ぐぽっ!」

 

 精液を嚥下するダンケルクの目尻から溢れた涙が首筋を伝って、鎖骨に溜まって──そして汗に濡れた谷間へと流れ落ちる。

 しかし彼女の舌は止まらない。

 竿に再度巻き付いた肉の蛇は先程にも増して締め付けを強くし、残りカスすら搾り取ろうとしてくるものだから、僕はダンケルクが飽きるまで歯を食いしばって堪えるしかなかった。

 そして────

 

「……御馳走様、指揮官」

 

 精液を飲み干したダンケルクが、腰から顔を離した。

 頬を真っ赤に染めて、唇と亀頭の間に混合液の橋をかけて、しかしそれでも彼女の美しさは一切失われない。

 寧ろその淫らな姿が興奮を掻き立て、肉棒はその剛直さを瞬く間に取り戻し始めていた。

 

「赤ちゃんの素、ぷりっぷりで美味しかったわ……あら、まだ射精るのね」

 

 陰茎の根本をゆるゆると扱きながら囁かれる。

 鈴口からとろとろと溢れだした白濁は皿にした彼女の右手に垂れ落ちる。

 その手が口元へ運ばれると、ダンケルクは僕に見せ付けるように舌を広げた。

 

「ん……これも美味しい……♡」

 

 ちゅぶ、ずるる、と林の中に響く下品な吸引。

 目を閉じたダンケルクは口内で一頻り精子を弄ぶと、こくりと喉を鳴らした。

 続いて手のひらにこびりついた残滓を舐めとると、色情に蕩けた瞳を此方に向けた。

 

「っ、は……!」

「んっ、ちゅ、本当、毎日だって飲みたい位……ふふっ♡」

 

 四つん這いのまま軽い口付けが陰茎に落ちる。

 1回、恥じらいを覚えたばかりのような慎ましいキスを。

 2回、初々しい恋人がする背伸びしたキスを。

 3回、ねっとりと絡み付くような大人のキスを。

 淑やかで母港の皆が思い描くような優しさが、しかし汚らわしい雄の性器に降り注いだ。

 

「ダンケルク、もう……」

「んー……?ちゅ、じゅじゅっ!」

 

 只でさえ興奮収まらぬ肉棒は瞬く間に元の硬さを取り戻しキスに合わせてメトロノームのようにゆらゆらと揺れていた。

 そして最後にちゅちゅっ、と慈しむようなバードキスを鈴口に降らせたダンケルクは、此方を見上げてニッコリと笑みを浮かべる。

 

 

 

「続き、ホテルでしましょう?」

 

 

 

■■■

 

 

 

 ベッドの脇に置かれたスタンドライトが、胡乱げな光を放っていた。

 しかし部屋を照らすには暗すぎて、シーツの上に横たわった女体を隠すには明るすぎる。

 そんな考えが頭を過るが、だからと言って明かりを点けようとは思わなかったし、余裕もなかった。

 

「あは……そう、それ……♡」

 

 紫色のビキニの上から水風船のような乳房を鷲掴めば、手のひらにしっとりと吸い付く感触から汗の湿り気。

 力を緩める度に漏れる甘い吐息からは、酒の色香。

 より一層快楽を高める為に飲んだウイスキーが、彼女の肢体を苛んでいた。

 

「んはっ……いぃ、気持ちいいわ……♡はぁぁぁ……♡」

 

 仰向けのダンケルクが、軽く仰け反ったまま喘ぐ。

 普段はチョーカーで隠されている喉仏が露になり、白磁の頬が紅潮する。

 水着の下で硬くなりつつある乳頭をくりくりと刺激してやれば、護教騎士はあはぁとだらしない吐息を漏らした。

 

「あっ、んっ、ふぅっ♡ダメ、乳首、そんな……あんっ」

 

 そう、護教騎士。

 その気になれば片手で捩じ伏せられるような力を持っている癖に、押し倒されて良いように乳房を弄られているこの女が。

 誰がどう見たって誘っているとしか思えない水着を着て。

 

「……?どうしたの?」

 

 気が付けば手の動きを止めてしまっていた。

 情事の時でも彼女の美しさが損なわれる事はなかったからだ。

 そんな事は露知らず上気した顔を向けるダンケルクに何でもない、と返して更に強く乳房を握る。

 

「ぃ、んぁぁっ!?」

 

 のし掛かった僕の股の間で艶かしく脚が暴れ、内腿をすべすべした感触が擦った。

 ほんの15分位前まで高級ホテルらしく整えられていたシーツに皺が刻まれ、劣情を煽る。

 本当に信じられない位にダンケルクは敏感だ。

 まだ直接触れてすらいないのに、一見すると大袈裟な反応が返ってくる。

 だけど僕は知っている。

 一旦乳房から手を離して、紫の布地に覆われた秘部を撫で上げれば────

 

「あ、んっ────♡」

 

 指に纏わり付く、湿った感触。

 胸を揉まれただけで、それもテクニックを凝らしたのではなく熱に浮かされた乱暴なやり口で濡らすなど、まるで淫乱──いや、違う。

 まるでも何も淫乱そのものに違いない。

 だから重桜の冴えない男に引っ掛かった。

 ダンケルクは護教騎士として荘厳に、KAN-SENとして優しく振る舞うように見せかけて不誠実な恋愛に燃え上がるエロ女なのだ。

 

 そんな事実に今日「も」気付いてしまった。

 彼女はわざと毎回どこかしら痕が残る位乱暴にされて、他のKAN-SENにいつバレるかとスリルを楽しんでいるのだ。

 そんな事、当の昔に分かっていただろうに。

 

「────」

 

 思わずダンケルクの表情を窺えば、瞳を蕩かす快楽の中に「危ない」色がぎらついていた。

 そして、口元。

 優美でもなければ慈しみでもない、妖しい笑みが浮かんでいる。

 

「ダンケルク……っ!」

「ふふっ、なぁに?」

 

 返事の中に、世界中を出し抜いて僕を溺れさせた事への優越感。

 その上から目線に得体の知れない怒りが込み上げた。

 いつも。

 いつもいっつもこうだ。

 無意識かわざとかは知らないが、親のような慈愛と女のような情愛を混ぜ合わせて僕を惑わせてくる。

 愛し合ってはいるけれど同時に手のひらの上だ。

 でも、今日は違う。

 時間もある、他者の目を気にする必要もない。

 なら────やる事だって、最初から決まっている。

 

「あら?もう挿れてくれるの……?」

 

 ぐぐっと力を込めてダンケルクにのし掛かる。

 顔の横に手を突いて胸板で押し潰さないようにしながら下半身を押し付ければ、彼女は相好を崩してしなやかな両脚を絡めた。

 いつものように、下腹部を押し付けて。

 

「ん……指揮官の、熱いわ……」

 

 くちゅり、と亀頭が熱い蜜で濡れた股布と触れ合う。

 いつもだったら、このまま熱情に押し流されて挿入してしまうのだろう。

 いつもだったら、余裕たっぷりの彼女に抱き締められながら情けなく射精してしまうのだろう。

 

 ────でも、今日は違う。

 

「え、ぅうぅぅぅっ!?」

 

 ずるりと竿で秘裂を撫で上げた瞬間、ダンケルクが頓狂な喘声を上げた。

 ぬめっている。

 布越しだと言うのに直接割れ目と触れ合っているのかと思う程に彼女の秘裂は濡れていて、熱い。

 素股は初めてだったけれど、よもやこれ程とは思わなかった。

 反り返った竿に満遍なく淫蜜が塗られ、袋が股間に当たっただけで性感がスパークする。

 

 ──だけど、きっと彼女はそれ以上だ。

 

「えっ?あっ、んぅっ!いやっ♡な、何これ……!?」

 

 腰を引くと興奮によって肥大化した肉豆と割れ目を布越しに擦り、ダンケルクが悶える。

 そう、彼女は熱く滾った肉棒で肉筒を抉られた事こそあってもそれで表面を擦られた事は無い。

 そしていつもは翌日の日程に縛られて手早く済ませるしかないけれど、今日は違う。

 どれだけ焦らしても、どれだけゆっくりと交わっても全く問題無い。

 ──つまり、此方がこの上なく優位なのだ。

 

「ち、ちょっと待って……!」

 

 その事実に漸く気付いたのか、ダンケルクの表情に怯えが走る。

 力の入れすぎで掴んだシーツはくしゃくしゃになっている。

 だけど、瞳はどうしようもない位期待に染まっていた。

 これから行われるのは、所謂「焦らし」だと言うのに。

 責める側と責められる側が逆転したと言うのに。

 

 ──本当に、淫乱だ。

 

「い、やっ!?」

 

 制止を無視して腰を突き出せば、裏筋にぬるぬるとした感触が押し当たる。

 クンッと背中が反り返り、紫色の布に覆われた乳房がふるりと揺れた。

 ──けど、まだ堪えられる。

 

「えぅっ、ひゃっ!?ああっ!?んっ、はひっ、えぇっ?」

 

 未だかつて聞いた事の無いような悲鳴と共に、弾力的な肉が左右から竿を挟み込んでくる。

 普段は時間的な制約からダンケルクが優位で、何かするにしても先ず彼女がリードを握っていた。

 フェラチオでも、パイズリでもそうだ。

 でも、素股なら──こうして絶対的な優位を取ったのなら、どうにでもなる。

 

「んあっ!いやっ、ダメっ♡あぁっ!?あっ、あっ、あぁぁっ♡」

 

 先程と同じように胸を搾ってやると、ダンケルクは一際高い悲鳴を上げた。

 挿入してもらえる期待をずらされ、男の独り善がりな自慰行為によって何故か快感を与えられているのだから当然だ。

 

「あっ、あぁぁぁぁ♡だ、ダメ、イクっ、イっちゃうっ!イっちゃうの……ああんっ♡」

 

 そうこうする内に、絶頂に近付いた女の肢体が跳ね始めた。

 普段は何をしても余裕の微笑を浮かべている癖に、初めての刺激にはとことん弱いらしい。

 等と下らない事を考えていると──突然視界が反転する。

 

「あはぁ……♡」

 

「……」

 

 KAN-SENとしての腕力を発揮して体勢を入れ換えたのだ、と気付いた時にはもう遅かった。

 馬乗りになったダンケルクが、今や辛うじて纏わり付いているとしか表現出来ない股布をしゅるりと脱ぎ捨てる。

 露になった恥部はとろみのある蜜で潤い、内腿に濡れ光る糸を引いている。

 

「ふ、はぁー……♡」

 

 ぐぐっと整った顔が迫り、酒の匂いが混じった甘い吐息を吹き掛けられる。

 此方を視線と吐息だけでねぶるダンケルクの肢体は、神聖な彫刻のようにも見えた。

 その頬には横髪がぺったりと貼り付き、深紅の瞳は嗜虐に細められている。

 そして、彼女がゆっくりと体重をかけ始めた。

 

「は、ぁ……!」

 

 にちち、と粘り気のある音を立てて亀頭が溶けそうな程熱い肉筒に呑み込まれる。

 両手を頭の横に置いて僕に覆い被さった彼女が、腰を軽く左右に揺らす。

 敏感な鈴口を肉襞で擦られ、何とか悲鳴を押し殺せば──嘲笑。

 此方を見下ろしたダンケルクが、クスクスと嗤う。

 

「ぁは……♡指揮官は、ゆっくりするのが好きみたいだけど……私は違うの」

 

 それはそうだろう。

 普段から強烈に責め立ててくる彼女がスロープレイを好きと言う事はない筈だ。

 だからこそ丹念に焦らして、いつ振りか分からない優位を得ようとしたのだが────

 

「だから──ごめんなさいね♡」

 

 ずぶちゅ、と卑猥な音と共にダンケルクの腰が落ち、ぺニスの根本まで一気に肉壺が包み込む。

 たっぷりとした尻肉が腰に押し当てられ、ふるふると震える。

 僕は──何も出来ない。

 ただシーツを掴んで、にゅぐにゅぐと蠢く膣肉の感触に女のような呻き声を上げるだけ。

 

「はぁ、ン……♡」

 

 肉棒を咥え込んだダンケルクが、熱情に満ちた吐息を漏らす。

 やはりと言うべきか、彼女の肢体に弛みは無い。

 全ての女性が羨むような曲線美の下には厚くも薄くもない、しなやかと呼ぶのに相応しいだけの脂肪が付いている。

 それ故に、腰にしっとりと貼り付いた美尻も快楽を与える器官になる。

 決して軽いとは言えないけれど、しっかりと脂の乗った肉体が性を実感させてくれた。

 

 そうやって肉竿を食まれている内に、結合部から愛液が溢れ出す。

 陰嚢を濡らし、太股を濡らし、シーツに染みを作るようになってから、漸く彼女は動き出した。

 

「あっ、はっ、んふ、ぁっ、あぁっ♡」

 

 ダンケルクの腰が前後にうねる。

 肉壁にぞりぞりと竿を擦り付け、先端に襞が吸い付き、くちゅっ、ぬじゅっと部屋中に響く水音に耳を犯され悶えてしまう。

 単純に彼女の膣が名器だったのもあるが、それ以上に先程行った焦らしが今になって返ってきた。

 

「そう、そうっ……イイっ!このおちんぽイイのぉっ!絶対……絶対離さないわ……この旅行が終わるまで、ゃっ、ずっと繋がって……ぁんっ!」

 

 彼女がそうであるように僕も素股をするのが初めてだったから、精液が陰嚢からせり上がってくる感覚を意識してしまう程には限界が近付いている。

 つまり、追い詰めた気になって逆に追い詰められていたのである。

 

「はぁっ、あんっ、すごっ……奥、ごりごり削ってるぅ……♡」

 

 天井を仰ぎ、背を反らし、ビキニごと乳房を揺らしてダンケルクが歓喜に打ち震える。

 彼女の興奮はリズミカルにくねる腰の動きと膣の蠢きから、言葉にするまでもなく伝わってきた。

 そして肉筒から与えられる快感によって理性を破壊された僕は、反撃する事すら思い付かずに全てを委ねてしまう。

 酸素を求めて勝手に開いた口からは世にも情けない声が漏れ、益々動きが激しくなる。

 

「はぁっ……!っあ、んぁっ!はぐぅっ!お、奥ぅ……子宮口まで、届いてるかも……!」

 

 腰の動きが、前後から上下に変わる。

 ダンケルクは此方のペースなんてハナから考えていない。

 子宮口で亀頭を押し潰す一方で、膣の搾り取るようなキツさにも変化はなかった。

 寧ろより窮屈に、より狡猾に蠢き肉棒を余さずむしゃぶり尽くそうとしてきた。

 きっと交わるだけが愛の形ではないのに、もっと健全な付き合い方もあった筈なのに──その全てがぐちゃぐちゃになって消えていく。

 

「はぁ゛っ、ぉ゛っ、お゛ぉ゛っ、ん゛ぅ゛……!」

 

 いつの間にか、矯声も獣のような低いモノへと変化していた。

 彼女が腰を持ち上げると愛液がどろどろに絡み付いた肉棒がひきぬかれ、束の間の外気を堪能したかと思えばまた膣肉に呑み込まれる。

 

「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ!?ゃあっ、ダメっ、それダメっ!気持ち良くなっちゃうのぉっ!ぅ゛あ゛ぁ゛ぁ゛っ!」

 

 堪らず尻肉を鷲掴んで腰を突き上げればダンケルクは更に甘い悲鳴を上げ、ちゅるちゅると膣肉が食らい付いてくる。

 兎に角、じっとしていてはダメだ──幸いにも、押さえ付ける手は既に緩んでいた。

 弄ばれたお返しに、と言うにはあまりにも遮二無二過ぎる腰遣いでダンケルクを責め立てる。

 

「ひっ!あ゛っ、あ゛っ、お゛っ!ふっ、う゛ぅ゛っ!?お゛ぉ゛んっ!」

 

 獣のよう、ではなく最早獣そのものな喘ぎ。

 動かなければただ搾られるだけになってしまうと気付き、彼女の動きに合わせて逸物を突き込む。

 びちっ、びちっ、と濡れた肉がぶつかる音と共に反撃を試みれば、精を受け止める準備を整えた肉壺がいやらしくうねって快感を引きずり出す。

 

「お゛ーっ、お゛ぉ゛っ!しきかっ、いぐっ!ダメ、わらしもうイっちゃうから、ん゛ぁ゛っ!射精してぇっ!」

 

 へばりついてくる肉襞を引き剥がして肉棒を押し込めば、射精欲が腹の底からせり上がってくる。

 ビキニからまろび出た乳房が、上下する肢体に合わせて激しく弾む。

 子宮口を抉るように腰を突き上げるといよいよ悲鳴が濁ったモノになって、ひくひくと膣壁が痙攣する。

 互いに腰を動かすペースが速くなって、絶頂へと急速に近付いていく。

 

「だしっ、てぇ♡膣内っ、は、お゛ぉ゛っ!膣内にだすのっ!指揮官のすごいので孕ましてぇっ♡」

 

 亀頭が膨らむ。

 だらしなく射精をねだるダンケルクを目に焼き付け、下腹部に力を込める。

 そう、最後は限界まで堪えてから。

 突いて、落として、堪えてを白熱する視界の中で繰り返す。

 1回、2回、3回。

 ダンケルク以外何も視界に入らないまま繰り返して、繰り返して、繰り返して────

 

「あ゛っ、い゛、いぐぅぅぅぅぅぅ────!!!」

 

 呼吸を止め、柳腰をあらん限りの力で引き寄せる。

 そして一際深く突き込んだその瞬間、膣全体が肉棒を食い千切らんばかりにキツく締め上がると同時に僕は欲しがりな子宮目掛けて精を放つ。

 普段はコンドーム越しだけど、今日は無礼講な膣内射精だ。

 

「は、ぁ゛っ……♡ぁ、んはぁ……♡んぁぁ……♡」

 

 2回目とは思えない濃密で汚らわしい精液を胎に注ぎ込めば、脈動する肉棒に合わせて何度も軽い絶頂へと至るダンケルク。

 だけど膣肉のうねりは根元から搾り上げるような動きを止めようとせず、もっともっとと射精を促す。

 そうして何分が経ったか──不意にダンケルクが此方に倒れ込んできた。

 柔らかな乳房が胸板でぐにゅりと潰れ、茹で蛸のように真っ赤になった顔が近付く。

 

「────は、ぁ……♡」

 

 聞いた者を全て溶かしてしまいそうな淫靡な吐息と共に唇が降りてきて、キス────ではなく耳元へと近付けられる。

 何事かと困惑する僕に見せ付けるように髪を解いて、その銀糸を横に流した。

 ふわっと視界一杯に銀世界が広がって、汗と香油の匂いに包まれる。

 

「もっと、しましょう……?」

 

 そして────甘い囁き。

 挿入したままの陰茎が再び熱を持ち始め、紅い瞳が歓喜に歪んだ。

 

 

 

■■■

 

 

 

 浜辺に打ち寄せる波の音が、私を目覚めさせた。

 遮光カーテンの向こうから、早朝の柔らかな陽光が射し込んでいる。

 

「────」

 

 ゆっくりと身体を起こせば、ベッドに突いた両手の間に指揮官の寝顔。

 そして胎を内側から押し上げる情熱的な肉の感触。

 どうやら騎乗位で交わる内に、お互い気絶してしまったらしい。

 

「────」

 

 すぅすぅと寝息を立てる指揮官の頭を撫でながら、残り6日となった休暇に思いを馳せる。

 

 ──一体、何をしようかしら

 

 きっと何をしても良いのだろう。

 波打ち際を歩いて水の感触を楽しむのも、全身を水に浸して泳ぐのも、或いは砂浜にシートを敷いて日光浴をするのも、此処では何だって許される。

 でも──いや、だからこそ指揮官の側にいたい。

 この6日間だけは、一時だって離れたくない。

 だって母港に帰ればそれすら許されないのだから。

 

「はぁ、む……♡」

 

 私の気持ちなど露知らずすやすやと眠りこける指揮官に、罰としてキスを落とす。

 情熱的で狂気的な、とても護教騎士がするとは思えない爛れたキス。

 私がこんな風になってしまったのも、結末を薄らと悟りながら陣営の垣根を超えたラブロマンスに溺れているのも、全て指揮官のせいだ。

 

 恋なんて護教騎士には必要無いと思っていた。

 愛なんて親愛だけで十分だと思っていた。

 

 なのに、彼からその気持ちを向けられた時──私は自分自身の箍を外してしまった。

 だって普段は皆に慈愛を囁くその口でキスをするって、気持ち良い。

 例え妊娠する確率が殆ど0%に近いKAN-SENの子宮だとしても、精を注がれるのは気持ち良い。

 この背徳を1度知ってしまえばもう戻れる訳がない。

 

「ん、ぁっ……本当に、元気なのね……♡」

 

 ゆっくりと腰を持ち上げると、未だに膣内を圧し広げる肉棒がびくりと震える。

 幾ら飲み物に薬を盛ったとは言え、一晩中勃ちっぱなしとは思わなかった。

 けど────それでこそ。

 休暇の内に本当に孕んでしまう位注いで貰わなければ、私は満足出来ない。

 

「んっ……ふ、ぅ……♡ぁん……ふふっ、可愛い……♡」

 

 大胆に──けれど指揮官が目覚めてしまわない程度に穏やかに腰をくねらせ、膨れ上がった笠の部分に膣壁を擦り付けて射精をおねだりする。

 貞淑に、だけど淫らに。

 彼は寝ているけれど、婀娜な仕草をするのがもう癖になっていた。

 だって、そうすれば指揮官は興奮してくれるから。

 

「射精して……♡指揮官のおちんぽで、私のおまんこいっぱいにしてぇ……♡」

 

 淫語だってほら、こんなに簡単。

 聞こえていないと知りつつも囁く事を止めたりはしない。

 ぬりゅぬりゅと肉棒をねぶって、母港の誰も味わった事の無い快楽に浸って────突然、胎に温かい感触が広がる。

 

「あはぁっ……射精てるぅ……♡」

 

 これまでと違って勢いは無いけれど、じんわりと染み込むような射精。

 限りなく人間に近くて、限りなく人間から遠いKAN-SENが受け取る事の出来る、最も確実な愛の証。

 けど、足りない。

 この程度じゃ愛されたいと思う心を満たせたりない。

 だから──もっと。

 もっと、もっと、もっと、もっと。

 

「もっとぉ……♡」

 

 ────やはりこの快楽からは、逃れられそうにない。

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