アズレン夜伽話 作:変幻アズレン屋
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その日は、大変めでたい日だった。
何しろ我々重桜の──僕が指揮する艦隊が世界で初めて、他国に先んじて鏡面海域を押し返す事に成功したのだ。
それはつまり重桜が世界に対してその実力を誇示すると共に、今後の対セイレーン戦略におけるイニシアチブを握ったに等しい。
これをめでたいと言わずに何と言うのだろう。
当然の事ながら基地では祝勝会が開かれ、僕と作戦に参加したKAN-SENは主賓として祝杯を上げたのだが────
「しかし意外だね、加賀が酔っ払うなんて」
「私とて飲み過ぎれば潰れる時はある。それにワインは得意じゃない、寧ろ苦手だ」
「いつもは焼酎とかだもんねぇ、仕方ないよ」
敢えなく酔ってしまった僕は、同じく酒が回ったドレス姿の加賀と共に執務室のソファーに腰掛けて駄弁っていた。
下戸気味の僕と加賀では飲んだ量に大きな差があるが、同じ酔っ払いである事に違いは無い。
そしてパーティ会場のバルコニーで涼むのも悪くは無かったが、どうにも喧騒から離れたい気分だったので似たような状況の彼女に着いてきて貰ったワケだ。
「大体……KAN-SENは敵を撃滅する為の兵器でしかない。だからパーティーで愛想良くするなど、私に想定された機能ではない」
「そうかなぁ……。本当に兵器だって言うなら、そのドレスがそんなに似合う事も無いと思うけど」
「お前はそういう事ばかり言う。兵器を口説いてどうするのだ」
どうやら加賀は自分の事を兵器、或いは兵士としか考えていないようだが、それは違う。
彼女を含め全てのKAN-SENは人としての「心」を持ち、平時は人として活動している。
だったらそれは人だ。
ちょっと強くて、ちょっと異質なだけの人間なのだ。
だと言うのに、彼女は頑なにそれを認めない。
他の子は人として接しているのに、自分はぞんざいに扱っている。
「人だよ、加賀は」
「……酔っ払ってるからと言って、戯れるのはよせ。入れ込み過ぎると辛くなるのはお前だぞ」
頬をほんのりと染めつつ否定する彼女が、何だか気に食わない。
大体他のKAN-SENは気遣えるのに、どうして自分自身に対してはそんなにドライなのか。
天城や赤城は大切に出来る癖に、自分の事は大切に出来ないのか。
「僕は、加賀が好きだよ」
「よせ、と言っているんだ。聞こえないのか」
それなりに、と言うか大分昔から一緒にやってきたのに加賀と僕の間には見えない壁がある。
赤城も合わせて3人で色んな苦境を乗り越えてきたのに、彼女は何も言いやしない。
友情の言葉も、愚痴も、何も無い。
まるで無意識に僕を遠ざけたがっているみたいだ。
──それが堪らなく気に食わない。
「聞こえてるよ、だから好きだって言ってるんだ」
「……どうやら、自分が何を言ってるのかも理解出来ていないらしいな。悪酔いが過ぎるぞ」
「何を──」
「ほら、寝室まで送ってやるから立て──っと」
謎の憤慨を覚えた僕の言葉を待たずに、彼女は腕を掴んで引っ張り上げた。
が、ここはお互いに酔っ払い。
引き摺られるようにして立ち上がった僕は、その勢いのまま青いドレスを纏った加賀にぶつかってしまう。
そして普通ならば僕1人の体重程度難なく受け止められる筈の彼女も、全身に回った酔いに流されたのか膝が折れて────
「う、うわぁっ!」
「なに────」
ぼふん、と気の抜けるような音を立ててソファーに縺れこんでいた。
彼女を下敷きにする形で倒れこんでしまった僕は慌てて上半身を起こしたが──それがいけなかった。
「加賀、大丈──────」
「ん?どうした指揮官」
僕の視界には、仰向けに横たわる至高の美女だけが映っていた。
そもそもからして、加賀は美人だ。
銀糸の髪、一瞥するだけで人を震わせる碧色の怜悧な瞳、そしてスラッと伸びた手足に豊かな胸の膨らみ。
その何をとっても一級品の肢体に、とても露出の多いドレスが纏わり付いている。
うっすらと汗ばんだ肌、自然と視線が吸い寄せられる果実の谷間、女性ながら鍛え上げられた肉体を感じさせる脇腹。
その全てが今僕の目の前で、ソファーの上で晒されているのだ。
「……う」
「指揮官……これは」
アルコールがそうさせたのか、「しまった」と思うより先に下半身に血が巡り出していた。
当然下半身を密着させている加賀にもそれは伝わる訳で、徐々に硬くなりつつあるソレを太ももで感じ取った彼女は鬱陶しそうに顔をしかめる。
「ふん、勃起しているのか」
「ご、ごめん……すぐ退くよ」
ああ、やらかした。
指揮官がどうとか以前に人として最悪だ。
幾ら加賀が魅力的だからと言って部下に欲情するなんて人でなし以外の何者でもないし、酒が入っているなんて言い訳にもならない。
そんな自らの浅ましさに恥じ入りつつ立ち上がろうとして────再び腕を掴まれる。
「気が変わった」
「え、うわっ!?」
しかし引き上げようとした先程とは逆に、加賀は力強く僕を引き寄せた。
「んむぅ!?」
「……お前は、温かいな」
その結果僕の顔は加賀の胸元、つまりざっくりと裂けたドレスのせいで完全に露出している谷間に埋まってしまった。
──何だ、一体何がどうなってるんだ。
僕の頭の上で、重々しく加賀は口を開く。
「この母港にお前を欲する女は幾らでもいるだろう。姉様、天城さん、大鳳……皆揃ってお前を誘惑しているし、指揮官としての立場から応えられない事も理解出来る。強者は孤高だからな」
「それが、何だって……」
「……っふ。くすぐったいから喋るな」
「んぐっ……」
たわわな果実に挟まれて、僕はいったい何を聞かされているんだろうか。
突如始まった要領を得ない話に口を挟もうとしたが、加賀の手のひらによって押さえ付けられる。
視界を占領する彼女の肌は思ったよりずっと滑らかで、扇情的だった。
そして白1色に支配されたまま、彼女が囁く。
「だから、私が処理してやる」
「──────!?」
あまりにも唐突で、あまりにも脈絡が無い宣言に身体が硬直する。
何を、何を言ってるんだ君は。
そう反論したいのに、頭を押さえ付けられているせいで意味のある音が出せない。
そして混乱する心とは裏腹に加賀の言葉を受けた陰茎は益々硬度を増し──あっと言う間に張り詰めた怒張へと変貌を遂げた。
「こんなに硬くなっているじゃないか、体は正直だな。ほら、力を抜いて私に身を委ねろ。すぐに楽にしてやる──────」
彼女は僕の言葉を聞く気すら無いらしく、甘い囁きで僕の耳を犯す。
そしてむっちりとした太ももが肉棒を圧迫してじわじと快感を与え、頭を押さえ付けていた手が撫で回すような動きに変化する。
ヤバい。
これはヤバい、兎に角ヤバい。
そう認識しているのに、抗えない。
加賀に溺れたい。
その麻薬みたいな──いや、麻薬なんぞよりよっぽど中毒性のある肉体的に僕が沈んで行く。
抵抗する意思も、僅かに残った良心も一瞬で溶かされる。
「────沢山、射精すると良い」
9つの尻尾をゆらゆらと漂わせる女が、にたりと淫猥な笑みを浮かべたのを僕は直感で理解した。
ちゅく、ちゅく、と規則的な水音が月光に照らされた静かな執務室に響く。
今、ソファーに腰掛けた僕の股の間で青を纏った美女が手淫を始めていた。
「こんなに垂らして……何だ、最初から期待していたのだな」
「それは────」
「私のせい、だろう。知っている」
既にズボンは引き摺り下ろされ、パンツもフローリングに捨て置かれていた。
そして半裸で情けなく我慢汁を垂れ流し続ける僕の陰茎を、加賀の指先が何度も撫で上げる。
これから行う行為に向けて潤滑油を茎全体に塗り広げているだけだと言うのに、彼女のそれは強い刺激となって僕を襲った。
「しかしこの太さと硬さ……最近持て余していたのか」
「そう、だけど……」
「何時でも処理してやるから、これからは私を呼べ。お前が堪えきれずに姉様にでも手を出したら一大事だからな」
本当に、彼女はなんて事を言うのだ。
一体どういう意図があって加賀がこんな事をしているのか、見当も付かない。
性処理なんてKAN-SENにさせる行為じゃない。
自分でどうにかすべき問題を他人に──しかも加賀に任せるなんて我ながらどうかしている。
と言うよりなんで僕はされるがままなんだろう。
彼女の胸に顔を埋めただけで骨抜きにされてしまったと言う事なのだろうが、イマイチ現実感が湧かない。
泥酔中の幻覚だとか、実はもう寝ていて都合の良い夢を見ているだとか、そっちの方がよっぽど現実的だ。
そうやってぼんやりしている内にも、眼下で反り返った肉茎に絡み付く加賀の白い指が段々増えていく。
「ただ乱暴に扱くだけの自慰とは全く違うだろう?あぁ、気持ち良いなら声を我慢するなよ」
「いや、でも──あぁっ!?」
ハッと気付いた時にはもう遅い。
眉をひそめた女の、粘液に塗れた指先がカリ首を弾いた。
「口答えをするな」
「ぃあっ!?」
突如として弾けた刺激に喘ぐ僕を、彼女は満足気な様子を隠そうともせずに見詰めている。
僕が悲鳴を上げ、僕が快感に悶える度に彼女の瞳が爛々と輝く。
加賀は所謂Sっ気が強く──いや、最早そういう領域ではない。
「この場に於いてお前は弱者なのだから、ただ気持ち良くなって射精すれば良い。分かったな?」
「う、ぐ……!」
「フン、飽くまで抗うか。だがそれでこそだ。そうでなければ『狩りがい』が無い」
されるがままなのが悔しくて睨んでみれば、彼女は待っていましたと言わんばかりに口角を吊り上げる。
そう、確かに加賀は性処理をすると言った。
だがそれは彼女にとって狩猟と同意義なのだ。
僕の精子を「狩り尽くす」──それが加賀の「性処理」らしい。
そして僕の精一杯の反抗を「許可」だと見なしたのか、陰茎に添えられた右手が輪っかを作り──
「耐えろよ」
「ッくあぁぁっ!?」
一言言い残して力強く、一切の手加減無しで上下に扱き始める。
強く、強く、強く、もっと強く────!
際限無く肥大化する快感に思わず腰が跳ねるが、それも加賀の体によって押さえ付けてしまう。
何処にも快感の逃げ場が無い。
「あっ、あっ、あっあああっ!」
「もっとだ、もっと耐えろ。耐えれば耐えるだけ気持ち良くなるぞ……?」
僕の悲鳴をBGMにして、加賀の手淫が加速する。
粘性と水気を帯びた卑猥な音が執務室に木霊して耳を犯す。
ぞわぞわと湧き上がってくる射精感に、全身が勝手に悶えてしまう。
「ぃッ!ぐっ、あぁ!」
「ふふ、これならどうだ?」
加賀の指先が僕の陰茎を滅茶苦茶に弄ぶ。
亀頭を手のひらで撫で回したかと思えば、鈴口をぐりぐりと押し潰す。
その度に喘いで、震えて、悶えて、それが益々彼女を昂らせる。
「ふぅっ!ふぐぅっ!ッああ!」
「何だ、甘えたいのか?なら存分にすると良い」
気が付けば僕は前屈みになって、加賀の頭に顔を埋めていた。
そうでもしないと堪えられそうになかったのだ。
僕の鼻や唇がシャンプーの香りがする銀髪に絡め取られ埋没するが、彼女は特段気にした様子は無い。
寧ろ面白がっているようですらある。
「っふぅ!ぐっ……!んぃっ!」
「しかしあっさり音を上げるかと思ったが、中々耐えるな」
加賀の言う通り、散々に弄ばれた僕は正直音を上げそうだった。
だけど、まだイかない。イきたくない。
彼女に従えば最高の快楽へと導いてくれるのだ。
男としてのプライドとかじゃなくて、浅ましい快感の追求として僕は堪えていた。
──が、加賀はそれも見越していた。
「──だが、これならどうだ?」
「うあぁぁっ!?」
滅茶苦茶に流し込まれる快感にせり上がりつつあった睾丸を、爪先でやわやわと引っ掻く。
彼女が行ったのはそれだけ。
が、それだけで僕は限界を超えてしまった。
「あっ、あぁぁ!射精るっ!射精るぅっ!」
赤黒く滾った肉棒が一際膨張し、ぶるぶると震えて────加賀がその先端をかぷりと咥えた。
「あぁぁぁッ!?」
「んぶっ!?んッ、んぐッ、んぅぅぅーッ!」
止める間も、避ける間もなく射精が始まっていた。
何週間か振りに鈴口から勢い良く迸った精液が加賀の喉を打ち、歯茎を白く染め、喉仏が上下する度に体内へと流し込まれていく。
「んッ!んッ!んぶぉッ!んんんぐッ!」
しかしそれでも受け止めきれない量の白濁液が口の端から溢れだし、銀色の筋となって胸の谷間に降り注ぐ。
それは真っ白いキャンバスに絵の具をぶちまけたみたいな、或いは神聖なモノを汚してしまったかのような背徳感になって僕を直撃する。
「んッ、んんッ!んくッ!んぶぅ……」
そして幾度となく撃ち込まれる精子を、加賀は肉棒の脈動が収まるまで目を閉じて受け止め続けたが、異常な興奮とパーティーを抜け出してこんな事をしている背徳感が渦を巻くせいで肉棒は硬く勃起したままだった。
「お前のせいだ」
胸の間に零れ落ちた精液を拭いとっては口に運ぶ、そんな単調な作業を繰り返していた加賀が不意に呟いた。
「全部、お前のせいだ」
僕を誘った時と同じで要領を得ない言葉だが、いつになく弱々しい──彼女らしくない声音だった。
加賀は彼女に取って重要な、心に秘めた「何か」を話そうとしている。
直感でなくとも、その雰囲気から容易に察する事が出来た。
目を伏せて、憂いを帯びた表情で加賀は語る。
「最初に顔を合わせた時は嫌いだった。ひょろひょろしていて、大仰で、馴れ馴れしかったからだ。戦術のイロハは知っていても実戦に活かせない、勇士の資格を持たぬお前の指揮下に入った私自身を呪いすらした」
確かにそうだ。
指揮官に成り立ての僕は未熟者で、何回も酷いミスをした。
采配の失敗から艦隊を危機に陥れた事すらある。
──でも、隣で支えてくれたのは加賀だ。
「だが、お前は『学ぶ強さ』を持っていた。失敗を糧にして瞬く間に成長していった。完全に私の見込み違いだ。お前は少しスタート地点が後ろだっただけで、正しく勇士だったんだよ」
それは、どうなのだろう。
確かに僕の指揮能力はメキメキと上達していった。
でもそれは加賀や皆が根気強く指導してくれたからであって、僕1人ではこうはならなっただろう。
「すると、何だ。ふとした時にお前の姿を探すようになっていた。お前の為に戦果を挙げるようになっていた。お前の隣にいたいと思うようになった。──気付かぬ内に、私はお前に惚れていた」
そうだったのか。
てっきり、僕の片思いなのかと思っていた。
だって加賀の強さに僕は不要だ。
加賀のストイックさに僕は不要だ。
一緒にやってきたと言っても、殆ど力になれていないと思っていた。
僕が加賀を愛しても、加賀がそれに応える事は無いと思っていたんだ。
でも、それなら────
「──でも、姉様がいる」
突然、加賀の声が低くなる。
堪えるように、食いしばるようにして彼女は言葉を紡ぎだす。
「姉様は──赤城は、私よりずっと前からお前を好いていた。よく分からない内に惚れていた私とは違って、一貫していた。そうだ、愛する動機があった」
それは確かに、そうだ。
赤城は最初から「そう」だったし、それは今でも変わらない良さであり悪い所でもある。
「だから譲ろうとして、距離を取った。兵器になりきってもみた──」
「──なのに!」
「──ぐっ!?」
加賀が突如顔を跳ね上げたと同時、僕は革張りのソファーに叩き付けられた。
全く反応すら出来ないスピードでのし掛かった加賀は、そのまま僕の胸ぐらを掴んで思い切り引き寄せる。
そして鼻と鼻が触れ合う位の至近距離で、彼女が絶叫した。
「何で私を見る!何で私に近寄る!何で私を好きになる!」
「それ、は」
「分からないとは言わせないぞ!どれだけ遠ざけようとしてもお前の方から寄ってきて、私の心を滅茶苦茶にしていくではないか!」
「──」
「その挙げ句に何だ!酒に酔っぱらっているからと言って今度は好きだと宣うのか!お蔭で、お蔭で私は────」
「──自分の気持ちを制御出来ない程に弱くなってしまった」
一息に怒鳴り散らした彼女は僕の耳元で深い溜め息を吐くと、打って変わってどこか諦めたような声で呟いた。
不規則に波打っていた尻尾も萎縮し、一回り小さくなってしまったかのような印象を受ける。
それでも僕は動けない。彼女の言葉がじわじわと浸透して、その意味を考えるだけで精一杯だった。
「あぁそうさ、私はお前が好きだ。横恋慕だと理解しても止まれない位お前を愛している」
愛の告白もまた突然だった。
そして言い終えるなり立ち上がった加賀はドレスの前後に垂れた布地を摘まみ、ロイヤルの淑女がそうするようにゆっくりと持ち上げていく。
だがそれは彼女達がロングスカートを履いているからこそ成立する仕草であり、横から見れば精々腰回りを隠す程度の面積しかない「それ」で行えば当然下着を晒す事になる。
「そして私が『こんな風』になったのもお前のせいだ。この意味が分かるな?」
「……っ、あ」
──だが見上げる視線の先、彼女の「ソコ」を覆う布は存在しなかった。
本来守られてしかるべき秘裂を、僕に見せ付けているのだ。
しかもその割れ目からは絶えず愛液が溢れだし、太ももを伝って爪先へと流れ落ちていく。
ダメだと分かっていて、目を離すべきなのに釘付けになってしまう。
「──責任、取ってもらうぞ」
それはあまりにも神秘的で、同時に淫猥な光景だった。
「んあッ!あッ、あッ、あンッ!お前のが、奥まで当たる……!」
僕に跨がって、M字に足を開いた白銀と青の女が激しく腰を振っている。
肉がぶつかり合い、弾ける卑猥な音を接合部から響かせながら加賀の体が跳ねる。
加賀はドレスを脱がなかった。
僕に自分の価値を誇示するかのように、或いはそれが彼女に残された最後の枷であるかのように未だ纏わり付いている。
「しかし何だ、んぅ♡セックスとは、くふぅ♡これ程までに心地良いモノだったか、っあぁ!ならもっと早く、くあぁっ♡お前を襲っておくべきだったな──あンッ!」
甘い喘ぎ声を漏らしながら、加賀がそう言った。
全くもってその通りだ。
彼女の腰がグラインドする度に、ピストンする度に快感が引きずり出される。
膣口が根元を、熱く吸い付く膣壁が竿を間断なく締め付け、甘い匂いがくらくらさせる。
上層部とのやり取りの中で何度か風俗に行ったりだとか篭絡されそうになったりだとかしたが、こんな──こんな気持ち良いのは初めてだった。
「ふうッ、あはぁッ♡もっとだ!もっと硬くしろぉっ!お前はチンポ硬くして──えぁッ♡私に犯されれば良い!」
「うっ、あっ、あぁっ!加賀、凄い……!」
加賀は、決して軽くは無い。
寧ろその筋肉が詰まった肢体と9つの尻尾を考えれば、僕に取っては重い部類と言える。
だがそれ故にむっちりと実った生尻が上下する毎に大質量が陰茎を押し潰して、滅茶苦茶に絞り上げるのだ。
後先など一切考えない快楽の奔流が、瞬く間に僕を限界へと押し上げる。
「何だ──っふ♡もう射精するのか?情けないヤツめ、んぁッ!だが良いぞ、好きなだけ射精しろ──おぉッ♡私のおまんこに種付けして、私でしかイけない体になろうなぁ♡ほら、イけっ!」
「射精るっ、射精る────!」
魂まで吸い取られそうな快楽が股間に走り、次の瞬間には吐精を始めてしまっていた。
頭の中が白熱して、何も考えられない。
「はーっ、はーっ、ぁ……?」
「ぃッ♡んいィッ♡ぐ、んンッ!?」
そして明滅する視界の中で、彼女もおとがいを反らせてぶるぶると震えていた。
あれ。
これは、もしかして、ひょっとすると。
──あれだけ威勢の良い罵倒をしておいて、加賀もイっている……?
そんな事は無いだろうと一旦目を閉じて、もう1度開けてみる。
「……」
「っぐ、ふ……♡あッ♡んンッ♡」
やはり、誰がどう見てもイっていた。
その証拠とばかりに9つの尻尾は全てピンと立ち、毛も逆立っている。
しかも、よく見れば舌まで突き出して喘いでいるじゃないか。
どうやら彼女は強いSっ気を持っているが、同時にとても感じやすい体質らしい。
なるほど、今までは手淫とか言葉で僕を責め立てる事で余裕を装っていたが、いざ膣内射精をされたら仮面が剥がれてしまった──つまりはそう言う事だ。
そして加賀はまだそれに気付いていない。
自分の絶頂に浸るばかりで僕の事はほったらかしな上に、2度も射精してしまえば此方の方が落ち着くのも断然早い。
即ちこれは──逆転のチャンスに他ならない。
その結論に辿り着くや否や僕の意思とは無関係に、両手が彼女の腰を掴んでいた。
我に帰った加賀が呼び止めようとしているけど、もう遅い。
「……ん?おい。待て、何を────お゛ぉッ!?」
渾身の力を込めた挿送が膣を穿った瞬間、これまでの余裕振りからは想像も付かない濁った悲鳴が加賀の口から飛び出す。
今度は頭だけでなく全身を仰け反らせ、絶頂を越えたばかりの膣壁が再びぎゅっと締まる。
だけど、止まらない。
「お゛ッ♡んあ゛ぁッ♡まっあ゛ぁンッ♡やめぇ、ん゛ィッ!?やめろぉ゛おッ♡」
確かに、2回射精したのが気休めにもならない位加賀の膣内は気持ち良いけど、此処で止まったら再度彼女に主導権を渡す事になる。
そしたら僕はひたすら嬲られるだけになって、本気で彼女が感じている顔を見れなくなってしまう。
折角本音も聞けたのに、それは残念だ。
だから──
「嫌だね、今度は僕の番だ」
「んな゛ぁッ!ふぅッ!?ふざける──あ゛あ゛ぁッ♡ふお゛ッ♡イ゛っぐ♡イくイくっあ゛あ゛あ゛ンッ♡」
加賀は口の端から涎を飛ばしながら何か喚いているが、聞く耳なんて持つものか。
大体、彼女は僕の言葉も聞かずに言いたい放題言ってやりたい放題したのだから、僕だってヤりたいようにヤって良いだろう。
「ん゛ぐッ♡あ゛ぁ゛──?」
ぐっと力を込めて上体を起こすと、最早自分を支える事すら出来なかったのか加賀の肢体が後ろへと倒れていく。
その途中で蜜壺から抜け落ちるも、未だガチガチに滾った怒張が2人の体液でぬらぬらと光っていた。
「あ゛ッ♡はぁッ♡ん゛はぁ……♡」
ソファーと自らの尻尾、2つのクッションに沈む加賀はどうやら起き上がる気力すら出ないらしく、ひっくり返って死んだカエルのようなあられもない体勢で痙攣している。
「……」
確かに余韻に浸る彼女を眺めるのも悪くはないが、この程度では満足出来ない。
今は僕が捕食者で、加賀が獲物だ。
さっきまでとは完全に立場が逆で、その切っ掛けを作ったのは他ならぬ彼女なのだから何をされても文句は言えまい。
「え──?待てっ、まだするのかあぁッ!?あぁああぁあァアアッ!?」
力無く開かれた股を押さえて再び膣内に突き込めば、それだけで女の体が仰け反る。
ドレス越しにでも分かる位ツンと尖った先端を乳房ごと乱暴に揉みしだいてやれば、面白い位に女の手足が跳ねる。
「ぁあああ゛ッ!太いッ♡ふとぉおお゛♡ゴリゴリ当たるぅッ♡」
「──ッ、ここか?」
「お゛ほッ♡そうッ、そこだぁッ♡そこもっとしろぉッ♡」
あっと言う間に加賀は乱れ始めたが、それは僕も同じだった。
沼のような膣肉から陰茎を引き剥がしてはまた埋没させる、それだけの単調な動作なのにどうしようない程気持ち良い。
最初に彼女の谷間に埋もれた時のように、ずぶずぶと快楽に引き込まれてしまう。
これはダメだ。
指揮官として抑えるべき言葉が、もっと早くに伝えておくべきだった言葉が勝手に口から漏れてしまう。
「加賀──好きだ」
「ん゛ひッ!?」
途端、彼女の膣がぎゅっと締まり、碧の瞳がとろんと蕩ける。
ただの言葉で、加賀は達したのだ。
──と同時に彼女の肉付きが良い両足が僕の腰を挟み込み、がっちりと固定する。
「好きだ、愛してる……!」
「あ゛ッ♡あ゛ぁッ!んはぁッ♡すきィ♡あ゛ッあ゛ッあ゛ッ♡わたしもっ、お前がすきだあ゛ぁぁッ!」
最早何も取り繕っていなかった。
好意を伝える度に加賀の口から甘い矯声が飛び出し、肉棒と膣口の隙間から2人の混合液がしぶきとなって溢れ出す。
そうして気が付けば僕達は互いの背中に腕を回し、固く抱き締めあったまま腰を振っていた。
彼女の尻尾がぞわぞわとざわめき、包み込むようにして柔らかな毛の塊が降り注ぐ。
離れようと思っても離れられない──いや、離れたくない。
「ぐ……!やば……っ!」
「また、射精るのか……?あっはぁ♡なら、お゛ッおぉッ♡射精せっ♡私に種付けしろっ♡ィいッ♡私を孕ませろっ!」
陰茎が制御を離れて膨張し始めたのを察知したのか、加賀が言葉で煽り立てる。
それにしても「孕ませろ」とは──心まで屈服している癖に、本当に態度だけは胸や尻並にデカいらしい。
まぁ、それもまた彼女らしくて愛おしいのだが。
「射精るっ、射精すよっ!」
「お゛ッお゛ッお゛ッお゛お゛ぉッ!私もイくっ!イくイくイく────」
体の間で潰れた乳房を感じて。
手と手を重ね合わせて。
蕩ける膣に沈んで。
頭の中で火花が散るのを感じながら、止めに一突き──────
「本当に、私で良いのか」
「キミが良いんだ」
汗と、体液と、ほつれた髪と。
自分達から溢れたそれらを拭う事もせずに、僕らは抱き締めあっていた。
ここが執務室だとか、ベッドの上じゃなくてソファーだとか、そんな事はどうでも良かった。
僕の瞳と、加賀の碧い瞳が視線という糸で繋がって、絡み合う。
「戦闘狂だぞ」
「ならMVPはキミが独り占めじゃないか」
大体、ずっと前からそうだったんだから今更何だと言うんだ。
寧ろ加賀が活躍するのは喜ばしい事だろうに。
「独占欲が強いぞ」
「僕は最初からキミしか見てない」
ずっと前から相思相愛だったのに、2人揃って拗らせていた。
互いの認識と関係が是正されるならそれ以上に正しい事は無い。
さあ何でも来い、どんと来い。
殴られようが、罵倒されようが僕はキミが好きなんだ。
「後は?」
「後は、後は────」
しばし言い澱んだ加賀だったが、やがてゆっくりと、重々しく口を開いた。
「お前を、愛している────」
言葉と同時に、湿った唇が重なった。
評価や感想を戴けるとありがたいです。