3Gの、イビルジョーの登場ムービーをご覧いただくと、よりお楽しみいただけるかもしれません。
拙いところも多々あるかと思いますが、お楽しみいただけると幸いです。
大分えぐい描写が多いです。ご注意ください。
***
山と海の両方からの養分に恵まれた、豊かな緑に溢れるこの孤島では、数多の生命が生まれては、育まれ、食われ、再び生まれる。
食う者と食われる者、それぞれが精一杯己の生を全うしようと必死にもがく。
そんな輝かしく残酷な食物連鎖の中で生きていくのは、自分たちも例外ではない。
清々しい空気の中、温い潮風が、鮮やかなエリマキを靡かせる。
比較的人里に近い島の端で、若い狗竜の群れ長は、海面がきらきらと朝の光を弾くさまを眺めていた。
一日の始まりに必ず行う縄張りの見回りを終えると、その後は家族のために朝餉を用意しなければならない。
そのため、この小高い場所からの景色に目を細めるひとときは、狗竜にとって束の間の楽しみだった。
朝餉を用意するといっても、当然食料となる草食竜は、さあ食ってくださいと待ってくれるわけではない。
一度の狩りで仕留められるのは精々一頭、多くても二頭ほどであり、それだけでは群れの腹を満たすには到底足りないのである。
そのため、縄張り内にある複数の狩場を回り、草食竜の警戒心が解けた頃を狙って、また狩りをしなければならないのだが、いつも成功するとは限らないため、長としての苦労は絶えなかった。
これは後から知ったことだが、母は群れの中でも比較的位の高い雌だったらしい。
彼女自身の強さと、父が頭領となって初めて子を成した雌であったことから、周りからも一目置かれていたのだという。
それに加え、父の守ってきた縄張りには草食竜が多く、食料の供給が絶えることはまずなかったため、狗竜は巣立つまでの間、必要以上に腹を空かせたことがなかった。
そして狗竜は、独り立ちしてから初めて何日も食事を口にしないという苦痛を味わった。
そのため、こうして一族を束ねる長となってからは、仲間に同じ思いをさせないようにと、積極的に狩りに出かけるようにしていた。
部下を連れ、そろそろ狩りに出かけようかと思っていた狗竜は、突然のけたたましい鳴き声に振り向いた。
何やら浅瀬の方が騒がしい。
狗竜はやれやれと溜息を吐くと、三匹の部下に命令を出し、自身もそこへと向かった。
海水と、陸地にある滝からの淡水が混ざる広場では、同じ姿をした沢山の小さな竜達が、ギャンギャンと威嚇し合っていた。
何事だ、と狗竜がドスの効いた声で吠えると、そのうちの何匹かがびくりと肩を跳ねさせて、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
残りはやや怯えた表情をしながらも、こちらへと駆け寄ってくる。狗竜の束ねる群れの部下である、雄の未成体たちだった。
「また隣のチビどもか。……お前たち、怪我は?」
狗竜が問うと、集団の中でも真面目な性格の一匹が答えた。
「ありません。みんな無事です、頭領」
「そうか、なら良い」
まだ幼さの残る彼らは、狗竜の言葉にほっとした表情を見せた。どうやら先程の声で怯えさせてしまったらしい。
内心ですまなく思いながらも、狗竜は敢えて凛とした態度を崩さずに続けた。
「今朝は小川の辺りで草食竜の小規模の群れを見かけた。お前たちは洞窟の反対側へ、残りはオレに付いて追い込め。良いな」
そう指示を出すと、彼らは一鳴きして応じた。
狗竜は、反対側に回り込む班が駆けていくのを見届けると、狩場への通り道である谷へと向かった。
切り立った崖と崖の間にあるその場所は、狗竜たちの塒だった。立地の関係上、昼間でも薄暗いが、卵が問題なく孵る程度には日も差す。
そこでは主に、数匹の未成熟な雄と、雄よりも体躯の大きな雌たちが見張りをしたり、卵や幼い子どもを守ったりしていた。
狗竜が歩いて奥へ入っていくと、それまで寝そべっていた初老の雌が歩み寄ってきた。
「おかえりなさい、今日は早かったのね」
母の頬擦りを、狗竜は照れ隠しにやや顔をしかめながら受け入れた。
「ただいま。……いや、これから狩場に向かう」
「そうだったの。ところで、さっきの騒ぎはまたお隣かしら?」
母が問うと、狗竜は頷いた。
「父さんが頭領だった頃も喧嘩は売ってきてたけど、代替わりしてから頻度が増えた気がする。多分、オレが舐められてるんだな」
狗竜の管轄する縄張りに程近いところに、別の狗竜の率いる群れの縄張りがある。
その群れは、こちらよりも力は劣るものの、昔から自分たちの縄張りを狙っており、度々ちょっかいをかけに来るのである。
だからこの群れの頭領となった者は、その都度相手をせねばならないのだった。
狗竜はフン、と鼻を鳴らした。
「どうせなら、頭領が直接攻めてくりゃ良いのに、面倒なことをしやがって。毎度チビ達を追い返す方の気にもなってほしいもんだぜ」
暗に小さな子どもを傷つけたくないのだという愚痴を零すと、母竜はクスクスと笑った。
「……なんだよ」
「ふふ、あなたが父さんに似てきたなと思ったのよ」
母の言葉に、狗竜は首を傾げた。
狗竜という種の雄は、ある程度成長すると群れの縄張りを離れ、経験を積んで完全な成体となってから、再び元いた場所へと帰ってくる。小さな体で生き抜くのは過酷で、命を落とす者も多かった。
そして運と実力で生き延びた暁に頭領の座をかけて争い、勝ち残った者が新たな群れ長となるのである。
この若い狗竜もまた例に漏れず、先述した過程を経て自らの父と権利をめぐって争い、勝利してこの座を手に入れた。
その時、父がそれまでのどの瞬間よりも優しい顔で、頑張れよと言ってくれたのを覚えている。
父が厳しかったのは、我が子が自然の中で生き抜く力を育むためだったのだろう。群れを離れて遠くなっていく背中に、狗竜は深く頭を下げた。
互いに束の間思い出に浸ると、母は優しく鼻面で息子の背を押した。
「さて、邪魔してごめんなさいね。気をつけて行ってらっしゃい」
「行ってきます」
空で鳥が何やら騒いでいたが、狗竜は気に留めずに狩場へと向かったのだった。
***
悲鳴を上げて逃げ惑う草食竜を、二匹の部下と共に巣へと追い込む。疲れてきたのか、その足取りは重い。
そこで、そろそろ留めを刺しても良い頃合いだろうと見切りを付け、狗竜は鋭く息を吸った。
「お前は前、お前は横へ行け!逃げる隙を与えるな!」
部下たちは指示に従い、一匹が前方に回り込み、もう一匹が側面を封じた。そしてオレが後ろから迫り、草食竜が壁側になるように追い詰めていく。
この体格の獲物ならば、体当たりで横倒しにし、喉を抑えるのが確実だろう。
いざ草食竜に襲い掛からんとしたその時、一瞬辺りが暗くなった。
何事かと振り返る間も無く、身体の側面に強烈な衝撃を受け、気付けば狗竜の方が横倒しにされていた。
「ぐあっ……!」
地面に叩き付けられると共に何か重いものに肺を圧迫され、狗竜は激しく咳き込んだ。
一体何が起きているのだ。
薄く開けた目蓋の間から、尋常でない悲鳴を上げて部下と獲物が逃げていくのが見えた。待ってくれと思わず手を伸ばしたが、届くはずもない。
狗竜は状況を確認しようと視線を上げ、次の瞬間凍り付いた。
「ひっ……!」
狗竜を抑え込んでいたのは、血走った目でこちらを見下ろす、顔に大きな傷のある竜だった。 びっしりと棘の生えた口からは、荒い呼吸音が聞こえてくる。
鳥が騒いでいたのは、十中八九こいつが原因だったのだろう。
食べるものを求めて、ひたすら彷徨い歩くという恐暴竜。
幼い頃、父に見かけたら決して近づくな、と厳しく言われていた存在だった。
それが今まさに、自分を食らわんとしている。
今すぐ逃げなければと思うのに、いくらもがいても、圧倒的な体格差と力差に敵うはずもなかった。
「あ、ああぁ……」
心臓が早鐘を打っている。ふと頭の中に、死という一文字が浮かんだ。
恐暴竜は狗竜の胸の上から退くやいなや、大きな脚で狗竜の首を踏み、地面に押し付けた。
「うぐっ、ッア……!」
とてつもない力で首を締められ、息が吸えない。あまりの苦しさに、狗竜は足と尾をじたばたと暴れさせた。その爪先は虚しく空を蹴る。
次第に頭頂部から後頭部にかけてジンと痺れていき、視界にチカチカと星が散る。
意識を完全に手放す直前に、背中を咥えられ、自分の身体が地面から離れたことだけがわかった。
噛まれている痛みだけでなく、その部分の皮膚が焼けつくように熱い。
遠くなった地面を虚な目で見ながら、狗竜は気を失った。***
暗闇の中に、誰かの悲鳴と呼吸、そして粘着質な水音が響く。
痛みと共に、何かどろりとした得体の知れないものが、己の腹の中に流れ込んでくる感覚に、狗竜は目を覚ました。
「え、何だこれ……ひッ!?」
凄まじい違和感のある臀部の状態を確かめようと後ろを向いたことを、狗竜は後悔した。
何か妙なものが、己の尾の下に刺さっている。
ねばねばとした白いものでぬめるソレは、なんとも虫酸の走る感覚を伴って肛門から出ていった。
恐る恐る視線を上にやると、そこには先程自分に襲いかかってきた恐暴竜の顔。
ソレの正体に気付いてしまい、狗竜は訳もわからずに悲鳴を上げた。
恐暴竜は、狗竜が意識を取り戻したことに気づいたようだった。
逃げようと必死にもがくも、短いが力のある前脚で押さえつけられてしまい、動くことが叶わない。
この状況は一体何なのだ、全く理解できない。
ドクドクと痛いくらいに脈打つ心臓と、重苦しい胸が嫌で嫌で、狗竜は不安を振り払うようにぎゅっと目を閉じる。
欲を吐き出した後も、まだ昂りが収まらないらしい恐暴竜は、そのまま肉棒を再び狗竜の肛門へと挿入した。
「ぃッ、ア……!?」
激痛と共に襲ってきたのは、みちみちと中が押し広げられる感覚。
狗竜はあまりの悍ましさに、まともな悲鳴すら上げられなかった。
止め処なく足先が震え、じゅうう……と腹の下が温かくなった。
ソレは、同種の雌雄で交わる時に使うモノだ。何故雄であり、異種である自分に挿入されているかわからない。
恐暴竜は、男根が最奥に到達すると、小刻みに腰を震わせ始めた。
それに合わせてガクガクと身体が揺さぶられ、制止を訴えようとしてあられもない声が漏れるのが情けなく、恥ずかしい。
「や、めろッん……ッう、くそ、抜、アッ…き、やがれッ……ああ!」
激しく嫌々と首を振って抵抗すると、恐暴竜は一度腰を引き、逸物を抜こうとした。
やめてくれるのか、とほっとしたのも束の間、新たな苦痛に塗り潰されることとなる。
恐暴竜は両の脚を開いて姿勢を安定させたかと思うと、一気に狗竜の身体を貫いたのだ。
「ッ……!」
狗竜はあまりの衝撃に、目を見開いたまま硬直した。それは、これまでの痛みが、痒みにすら思えるほどのものだった。
恐暴竜は、フーッと心地良さそうに息を吐く。
それに対して、狗竜は痛みに声すら出ず、真っ青な顔で暫くぶるぶると震えていたかと思うと、やがて堪えきれずに嘔吐した。
恐暴竜はチッと舌打ちをする。
「汚い。少しは雌らしく恥じらったらどうだ」
理不尽で屈辱的な言葉で罵られても、今の狗竜にはその意味すら届いていなかった。
怯えきった狗竜の脳内は、恐怖と嫌悪で支配されていたのだ。
まともな反応が返ってこないと見るや、恐暴竜は再び腰を引き、ずちゅ、ぬちゅ、と聞くに耐えない音を立てて、狗竜の身体を使った自慰を始めた。
「……っ、お、おえっ……ッ」
突かれるたびに、狗竜は苦しみえずいた。
しかし朝餉を口にしていなかったため、最初に吐き戻してからは、食物の成れの果ての微かに混じる胃液しか出てこない。
鼻につくその臭いが、余計に嫌悪感を募らせる原因となっていた。
「も……や、やめ……頼む、たの……うぅッ、えっ……いやだぁ……!」
今まで必死に築き上げてきたものが、がらがらと音を立てて崩れていくのがわかる。狗竜は虚空を見上げた。
地面に広がる冷えた体液が、身体を揺さぶられるたびにちゃぷちゃぷと波打つのが見えた。
最早それが何なのか、判断する力は狗竜に残っていない。
ひたすらに痛くて苦しくて、気持ちが悪くてつらい。耐えに耐えて、開放を望むことしかできなかった。
「うっ、……く、うぅ……あっ……はっ、…うあぁ……」
だらしなく開いた口からは、唾液と喘ぎばかりが漏れる。
そして光を失った目からは、力なく涙が溢れていた。
「フっ、フゥッ……グルル……」
恐暴竜は好き勝手に動いていたが、やがて狗竜は徐々に律動が速くなってきたことに気がついた。
それまでより一層強く体内を穿たれ、一拍遅れて、同じ雄としてそのことが何を意味するかに思い当たる。
「あっぅ……や、やめ……いや……!ひぃッ……!た……たすけ、あああ……!」
「……ッ、フン、止めるわけが……なかろうッ」
狗竜の意識のない時に一度出されていたようだが、それを自覚しているのとそうでないのとでは、まるで違う。
逃れようと必死に身体を捩らせるも、恐暴竜の筋肉達磨のような巨体に押し潰されて叶わない。
「や、いやだ……も、やめ……くぅうっ、こわ、こわいぃッ、んぅう、……ッあ、あ、あ……!」
やがて竜は低く呻き、それと同時に共に胎の中のモノが熱く弾けた。
その灼熱に、感情の入った涙が頬を伝う。
嗚呼、なんたる屈辱。なんたる絶望。なんたる……──。
満足したらしい雄竜は荒い息を吐きながら、掴んでいた狗竜の臀部を離した。
萎えて硬度を失ったそれがずるりと孔から抜け、狗竜の腰も地へと落ちた。
その衝撃で子種が外に溢れ出たらしく、ぶぴゅ、と耳を塞ぎたくなるような音がした。
どろりと残滓が溢れて太腿を伝う感触に再び吐き気を催し、狗竜は僅かな量の胃液を戻した。
酸がちりちりと喉を焼く。自分の吐物と恐暴竜の雄の臭いが混じり、酷く不快だった。
ひとしきり欲を吐き出して満足したらしい恐暴竜は、さっさと横になってしまったので、自分のみが行為を終えた後と同じ姿のまま地に伏していた。
口の中の嫌な苦味と酸味に顔をしかめながら、狗竜はただ落ち着くのを待った。
最中はショックのあまり何も考えられず、ひたすら恐怖と痛みと羞恥に耐えるしかなかったが、意識が明瞭になるにつれて、自分がどんな目に遭わされたか、今どれほど惨めで哀れな状態にあるかをむざむざと突きつけられた。
狗竜は、血が滲むほどに唇を強く噛み締めた。
自分は此奴に、群れの長としてだけでなく雄としての矜持も、何もかもを土足で踏み躙られたのだ。
腹の中心にどす黒く重い塊が生成されていく。……憎い。心底この竜が憎い。
「……くも……」
酷使した喉から這いずり出た掠れた声に、恐暴竜がこちらを見た。
「よくもッ……!」
狗竜は、横になっていた恐暴竜に掴みかかった。もう殺されようが食われようが、どうでも良いとさえ思った。
「テメェのせいでオレの一生めちゃくちゃだ! どうしてくれるッ!」
首に噛みつこうとした瞬間、恐暴竜は勢いよく巨体を起こし、体力を消耗していた狗竜は吹っ飛ばされた。
「っぐ、うぅ……!」
壁に打ち付けられた衝撃で、起き上がれずにその場で蹲っていると、ずん、と足音がして、狗竜は本能的に身体を硬らせた。
食われる。そう思った次の瞬間、恐暴竜が片足を大きく上げたのが見えた。
ばきん、と嫌な音がしたその直後、右脚に猛烈な痛みが走り、狗竜は悲鳴を上げた。
骨が軋む暇すら与えられずに折られた脚は、あり得ない方向に曲がってしまった。
「煩い。もう一本折られたくなければ、大人しくしていろ」
冷たく言い放つと、恐暴竜は背を向けて苛立たしげに太い尻尾を地面に打ち付けた。
狗竜は抵抗を続けようと思っていたが、痛みと恐怖にそれどころではなくなってしまった。
脂汗をかきながら、浅い息を吐いてひたすら苦悶する。行為の痛みと相まって、最悪の気分だった。
黒々とした深い絶望に、狗竜は鼻の奥がツンと熱くなるのを感じた。
「ふ、うぅっ……」
こうなってしまっては、もう二度と群れに戻ることはできない。他の雄を受け入れてしまった自分が、再び群れの長として立つ資格などないのだ。
さらに手負いにされてしまった以上、群れの足を引っ張るだけの存在に成り下がることは、火を見るよりも明らかだった。
生物として、雄として、成体としてのいずれの矜持も酷く傷つけられ、これ以上ないほどに惨めだった。
唯一傷のない、群れ長の象徴であるエリマキが憎くさえ思える。
しゃくり上げる度に傷に響く。それすらも悔しくて、狗竜は顔がぐしゃぐしゃになるのも構わずに泣き続けた。
自分の身体を搔き抱いて、さめざめと嗚咽を漏らす狗竜を哀れとでも思ったのか、恐暴竜は何も言わず、巣から出ていった。
冷たい夜風が身体を撫ぜる。
狗竜はずっと己の生を嘆き続けた。
その間、恐暴竜が巣に戻ってくることはなかった。
実は、一昨年あたりからずっと温めていたネタでした。
恐暴竜は、わたしにとっては心底恐ろしいトラウマモンスターなのですが、何かにつけて登場させてしまうので、色々な意味でものすごく大きな部分を占めているのかもしれません。
では、ここまでお読みくださりありがとうございました!