粘液と同居するドマゾレズ娘の話。 作:飯妃旅立
※原作本編の内容はほとんど関わりません。
「ねぇ」
机に向かっている。手にはシャーペン、耳にはイヤホン。紛う方なき勉強中──ノートに描かれているのが、ハダカの女の子たちでなければ。
私はレズだ。女の子の身体でしか興奮出来ない。女の子の身体にしか興味がない。街ですれ違った女の人の体つきを想像して、家に帰ってはノートに服を剥いだ彼女らを描き殴るくらいには、変態レズだ。
そんな私には、同居人がいる。
「どしたの、ユリ」
ベッドで漫画を読んでいる少女。崩れた制服からは下着や肌が露出しているけれど、それを隠す様子も無い。学校から帰ってきてすぐだから、というのもあるけれど、そもそも隠す気が無いという部分が大きい。読んでいる漫画は百合漫画。全年齢だけど、ケッコー過激なやつ。全10巻。
彼女は漫画から目を離すことなく私に応える。ああ、けれど、離していないのは目だけだ。
にゅるり、と。
粘液。彼女らはそう呼称されているらしい。らしいというのは地球上に沢山の同種がいるとの談にも関わらず他の粘液を見たことがないからで、勿論呼んでいる人間に出会ったこともない。
そんな粘液は一応メスのつもりであるらしい。その名の通り彼女らはどんな形にもなれるし、誰にでもなれる。姿形の再現のみではなく、声や嗜好、記憶や性格、果ては思考回路に至るまでを完全に再構築する。知らぬ間に人類は粘液たちによって
「ペディちゃんで、クンニしてほしい」
「最近お熱いね。そんなに好きなら同化するけど?」
「どこに住んでるかわからないじゃん」
「どこに住んでるかわかったら同化していいって事?」
「是非」
同化。それこそが粘液の最大の特徴だ。
人間を取り込んで、咀嚼して、理解して──同じになる。それまでの再現はあくまで再現で、同化する事ですべてが同じになる。殺したわけではなく同じになった、とのことで。同化した人間は分裂体として今まで通りの生活をするし、それが違和感を持たれるということはない。あくまで粘液と同化しただけで、人間としての思考も記憶も失われない。
今まで通りに、けれど粘液の嗜好が加算されて、元通り。それが同化である。
椅子に座る私の股座に、粘液がべちょっと落ちる。それはぼごぼごと音を立てながら膨らみ、ものの数秒でヒトの形を取る。そこから解像度が上がるようにしてディティールが出来ていき、気付けば恍惚の表情を浮かべたペディちゃんがそこにいた。
「動画配信って気持ちいいの?」
「気持ちよくなる人はいるだろうけど、ペディちゃんがどうかは知らない」
「ふーん。変なの、じゃあ何でそんなことしてるんだろ」
ペディちゃん。正式名称は"小さなペディちゃん"。動画配信者で、かなり有名かつ人気な女の子。身長140cmの超小柄でありながら成人していて、結構お酒を飲む。初動画からバリバリに顔出しをしている子だけど、彼女の素性が割れた事は無い。誰も知り合いがいないし、誰にも特定されない──初投稿から8年間、ずっと謎のベールを纏ったままの女の子。
別に8年間ずっと追いかけていた、ってことはない。というか知ったのはつい最近。けど、その身体といいその性格といい、考えるだけで子宮が熱を持つような、ドストライクな女性だった。
だからもっぱら最近はぺディちゃんの形を取らせた粘液とエッチなことをしている。同化していないから記憶や喋り方の再現は出来ていないけれど、その顔が私の膣を美味しそうに舐めしゃぶっているというだけで軽く達してしまう。椅子の縁に擦れる小ぶりな胸の先端。口が小さく、喉も短いからだろう、何度も何度も息継ぎをしながらクンニをするその様は健気で愛らしく、嗜虐心をそそる。
こちらを見上げながら私の膣へ舌を突き出すその様に興奮して、私はペンを離した両手でぺディちゃんの後頭部をがっしりと掴み、股座へ強く押し付けた。
途端。
「わぶっ!」
「あ……」
少し力が強すぎたか、あるいは突然の行動だったからか。
ぺディちゃんの後頭部がどろりと溶けて、私の両手がずぶずぶと沈む。水気たっぷりなのに纏わりついては来ないサラサラとした感触の液体を泳ぐ掌。股座へ押し付けていたそれはそのままぺディちゃんの両目を内側から潰し、粘液は形を保てずにピンクのどろどろへと戻った。
「あー……ごめん」
「ん……別に痛く無いからいいよ。でも、同化しないとこういう所不便かも。常にディティール保つのに意識割いてなきゃいけないから、突発的な事に弱い」
「そっか。じゃあミヤちゃんになって、もうどっぷりエッチしよう」
「おっけー」
粘液が私の尻の方へ入り込む。浮遊感。粘液によって持ち上げられた私は、あれよあれよという間に衣服を脱がされベッドに寝かされる。先ほどまで漫画を読んでいたクラスメイトのフーコちゃん──勿論粘液──もべちゃ、と一度粘液に戻って、私を包み込むようにしてぺディちゃんだった粘液と融合する。
私の腰の上辺りでむぐむぐと盛り上がる粘液が、今度は次第に、ではなく一瞬で形を取り、髪色も肌つやも、その周囲を舐め腐った表情も完璧に再現して──再構築して、少女となった。
「せんぱぁい。生意気な後輩に組み敷かれて興奮しちゃうユリせんぱぁ~い。今日はどぉしてほしいですかぁ?」
「優しく……甘いセックスがしたい」
私と同じくらいの身長の彼女は、学校の、部活の後輩であるミヤちゃん。テニス部に入ってきた期待のニューホープ……その実態は、恵まれた才能に胡坐をかいて、すべてが自分の思い通りにならないと我慢ならないプライドの塊。
彼女は私の要望を聞くと、にっこりと笑って──私の乳首に齧りついた。
「あぐぅ!」
「そんなことしてもらえると思っへまふかぁ?」
「う、あっ……んんっ!」
鋭い痛みを生じさせる彼女の甘噛みに、思わず声が出る。彼女の歯並びはお世辞にも良いとは言えず、特にその八重歯は獣を彷彿とさせる形をしていた。それで、無理矢理に掴まれた乳房の先端を、ぐりぐりと圧し潰されているのだ。
テニスラケットを握る彼女の乱暴な手遣いで握られた乳房も悲鳴を上げて、噛まれているままの乳首がビンと屹立する。
噛み応えを得たからだろう、ミヤちゃんはニヤァと人の悪い笑みを浮かべ、八重歯から奥歯へ──石臼を思わせる奥の歯で、ぎりぎり、ぎりぎりと磨り潰しを始める。甘噛みから打って変わって強い痛みに変わったその責めに、思わずイってしまった。
「っぷは……はぁ~、キモチわる。おっぱい乱暴にされて、乳首潰されて感じてるんですねぇ。あ、でもぉ、もっと気持ち悪いの、ミヤ知ってるんですよぉ?」
私に罵声を浴びせかけた後、一度乳首から口を離していたミヤちゃんは再度そこへ齧りつき、今度はじゅぞぞぞっ! という強い音を立てて吸引し始めた。才能に胡坐をかいているとはいえ、彼女はエース足り得る逸材。運動部員として、その肺活量はそこらの人間の比ではない。
同じくらいの年齢の女の子に、生意気な後輩に、何より私のことをゴミでも見るかのような目で見ていた彼女に乳房を吸われ、私はまた軽くイってしまった。
どころか。
「うは、ぁ……出るッ!」
びゅるるっ! と。
吸われている箇所からそれは飛び出した。学生である私から出るはずもないソレは、ミヤちゃんの口蓋を撫でて彼女の身体に取り込まれていく。
ぎゅ、と強く乳房が潰された。伴って、出て行く感覚が──その快楽に、腰が跳ねる。
「妊娠もしてないのに母乳出るのがまずキモち悪いですしぃ、母乳出して、母乳吸われてイってるのが何よりきもっち悪いですねぇ、ユリせんぱぁい。あははっ! 見えますかぁ? 見えますよねぇ。こうやって、こうやって! ぎゅ、ぎゅ、っておっぱいを潰すたび、びゅっびゅってミルクが出てるの! どんだけ溜まってるんですかぁ? 実は学校でも搾ってたりするんですかぁ? みんなにバレないように、こっそり……気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い! ああ、変態ってどうしてこう、気持ち悪いんですかねぇ!」
一際強く、乳房が圧し潰された。
どびゅるっ、と押し出されるように射乳する。それは最早液体の体を為しておらず、ダマになった粘液が如く。そう、粘液だ。ピンク色の粘液。本来の母乳ではなく、私の乳房に入り込んだ粘液が飛び出ているだけの、そういうプレイ。
それでも、乳腺を厚みがあるものが通り抜けるその感覚に、ミヤちゃんの乗っている腰が大きく上にのけ反った。
「さて、じゃあそろそろ、こっちの触ってあげますよぅ。うわ~、ギンッギンじゃないですかぁ。男の人のおちんちんみたい。ユリ先輩の大っ嫌いな男の人のおちんちんみたいなクリちゃんが、触って触ってって主張してますよぉ?」
「あ、ああぁ、お願い、お願いミヤちゃん……クリちゃん虐めてぇ!」
「いやでぇーす」
ごりゅ、と。
「お、ごぁ……!?」
触られることを、潰されることを期待していたクリトリスをそのままに、膣内へ太いものが入る。閉じていた膣道を無理矢理にこじ開けて進んでいくソレは、ヒトの腕くらいの大きさがあるように感じられた。
「あははっ! 凄い凄い、きもっち悪~い! 見えますかぁ? あぁ、ちょっと角度的にキツいですかねぇ、これ。今、ユリ先輩のおまんこにぃ、私の腕、入っちゃってまーす!」
「ご──おぅ、ぶ……!」
「そして、こっちも……!」
「んぐっ!?」
膣に入った腕を自身の方へ引き寄せるミヤちゃん。当然私の下半身も持ち上がり、形で言うなら伸膝後転を思わせるような姿勢となる。もう少し行けば、まんぐり返しと呼ばれるソレになるだろう。その状態で、ミヤちゃんはもう片方の手を──、否、腕を、私の肛門へと差し込んだ。宛がう、とか、慣らす、という前準備を全くせずに、ずぶっと。
人肌の温もり──けれどそれは、腸内の温度からすればかなり低い。ぬるく冷たく、摩擦の強い肌が腸壁を擦り上げて進んでくる。当然膣なんかよりさらに深くまで入るそれは、私の知覚しうる限界を軽々と越えてから止まった。
「お、お、おぐ、おぶぶ、ぁ」
「なんですかぁ? ちゃんと人間のコトバ、喋ってくださいよぅ。あぁ、気持ちいいのはわかってますよぉ? だって私の腕に、さっきからじゅばじゅばとせんぱいの愛液が入り込んできてますからぁ」
「あがっ、あ、ぁぁ、ぁああっ」
ミヤちゃんは大層嗜虐的な笑みを浮かべて、涎を垂らしながら言う。
私の体内へと突き入れた両腕の先、手のひらをグーパーグーパーして、肉の感覚を楽しんでいるらしかった。
「それでぇ、せんぱぁい。
「──ぁ、う、ぁ……て、ぇ!」
「もっとはっきり言ってくださいよぅ。いつも思ってますけど、ユリせんぱいもっとはっきり喋ってくれないと、なぁんにも聞こえませんからねぇ?」
「キて! キて! 私の奥の奥まで──私を貫いて!」
今度こそ、その笑みは本物だった。
今までの再現、再構築とは違う、ミヤちゃんでない粘液本人の笑み。
ぐぶりゅりゅっ! と気泡と液体の混じった汚い音が私の体内で響く。膣内と腸内。双方で粘液が膨張し、振動したのだ。
「じゃあ、いただきまーす!」
体裁を保っていた、というべきだろうか。今までちゃんとヒトの腕の形だった二つが、ぐじゅりと溶けたのを感じた。膣内にあったそれは瞬く間に隙間を埋め尽くし、当然と言わんばかりにそこ──子宮へと侵入する。子宮口を割られる痛みはない。粘液が粘液としてなれる最小の形にまでなって、子宮口を潜り抜けたのだ。
しかしそこを抜けてしまえば、粘液は再度膨張を始める。
埋め尽くす。埋め尽くす。本来はまだ使われない部屋として折り畳まれたようになっているその内臓を、だぶだぶと粘液が溜まり尽くしていく。それは卵管を通り、卵巣にまで及んだ。最初にされた時は痛みがあったけれど、もう私の身体は粘液色に染まっている。粘液を受け入れる事になんら抵抗を持たない子宮は、そのさらさらとしたぬるぬるが通る事を快楽と受け止めてしまっていた。
「ぁ──ァ──」
「ホントウはココも食べたいけど、それがダメなのは理解してますよぉ」
膣と子宮を圧迫し、壁から出てくる愛液を余すことなく取り込む粘液。行うミヤちゃんの表情は恍惚の一言。余程なのだろう、時折毛先がどろりと溶け落ちて、ディティールが保てなくなっている。
しかしそんなことを指摘する余裕は無かった。
既にミヤちゃんの肩口までをずっぽりと飲み込んでいる私の肛門。物理的にそれ以上進むはずのないソレが、更なる進軍を始めた。人の腕の形を止めて粘液に戻ったソレが、私のお腹の中を逆流してくるのを感じる。先ほどまでは快感で知覚の範囲外に言っていたけれど、流石にココは快楽じゃない。単純な圧迫感と異物感が腸を遡ってくるその感覚は、"得体の知れない"が一番しっくりくる表現だと思う。
だが、直接的な快楽でなかろうと、私にとっては気持ちのいいものだった。乳房を潰され、乳首を磨り潰された時と同じく──苦痛が快楽になる。痛いのが気持ちいい。苦しいのが気持ちいい。死に近づくようなこの感覚が、気持ちよくてたまらない。
気付いた時にはぶしゃぁ、と放尿をしていた。
「うわ、ユリせんぱぁい、その歳になっておもらしですかぁ? お尻ぐちゅぐちゅされるの、そんなに気持ちよかったです?」
「ぎも……ぎも、ひぃ……きもぢい……!」
「涙流して涎垂らしておまんこどろどろでお尻ぐじゅぐじゅで……あははっ! ほんっとうに、心から気持ちが悪いですねぇ。家畜でももう少し誇り高いですよぉ。そんな何物にも劣るユリ先輩のお腹のナカ」
灼熱が体の中心、そのちょっと上辺りに滲む。
唐突な膨腹感。満腹感とは違う、胃が膨らんだこの感じを表現する言葉を私は持っていない。
「はい、全部ミヤちゃんで埋まっちゃいましたぁ。あははっ! ほらほら、歯を噛み締めて、唇を食いしばってくださいよぉ。でないと──」
「ん──ぶぇげ──」
「こうやって簡単に、出られちゃいますからぁ」
勢いを保ったままに食道を駆け上がり、喉を完全に制圧した粘液は、顎に力の入らない私の咥内を満たしてから飛び出してきた。粘液は肺や鼻にまで侵入し、一瞬の苦しさの後でか細い呼吸が可能になる。粘液が気道の確保を行ったのだ。あくまで彼女は私を殺したいわけではないので、たとえミヤちゃんになっていようともそういう所はしっかりする。
咥内を占有された事でとめどなく溢れ出る唾液も全て粘液に吸われる。相も変わらず恍惚の表情を浮かべたミヤちゃんは、そっと、これでもかと膨らんだ私のお腹に両腕を置いた。膣と肛門に入っているそれとは違う、肩口から分岐した新しい腕だ。
妊婦のように張り詰めた球体である私のお腹を愛おしそうに撫でさすり、撫でまわし、また両手を重ねて私を見据える。
「じゃあ、せんぱぁい。ぜぇ~んぶ、出しちゃいましょうかぁ」
喉も口も粘液に占有されている私は返事が出来ない。ただ、私の期待に染まった瞳を見たのだろう、ミヤちゃんはしっかりと重心を変えて、思いっきり、両腕を下に押し込んだ。
「──!!」
排泄される粘液。膣を、肛門を、そして口を出口として、体内に収められた粘液の全てがそこへ殺到する。一度ではない。何度も何度も、人工呼吸でもするかのように腹部を圧迫される。ぐりんと目が裏返った。世界は闇に包まれ、続き続ける排泄感と嘔吐感が苦痛と──多大なる快感を私に与えてくれた。
「……せんぱぁい、可愛い。大好きですよぉ」
そんな、甘ったるく愛らしい、ミヤちゃんの言葉を聞きながら。
私の意識はそこで途切れる事となる。
目を覚ました理由は、物凄い空腹からだった。
「……お腹空いた」
「あ、起きたんだ。ご飯できてるよ、ユリ」
「ん」
先ほど脱がされた服はしっかりと着せられていて、ご丁寧に毛布もかけられて寝かせられていた。
粘液の姿は既にミヤちゃんではなく、姉のミツバの物へと変わっていた。
大きく伸びをしながら自分の部屋を出て、1階のリビングへ行く。
「今日なに?」
「ハンバーグカレー。昨日食べたいって言ってたでしょ?」
「やった」
食卓に置かれた食事は一人分だけ。食卓についた私の前に、粘液も座る。ニコニコ顔で肘をついた手の上に顔を乗せて、召し上がれ、と言った。
「美味しかった?」
問うのは私。ハンバーグカレーに手を付けるより前に、姉へと──粘液へと問う。
「最高だったわ。もう、本当に」
「それならよかった」
姉の口調で、姉の表情で──けれど、答えは粘液のもので。
粘液は人間の体液を食べる。個体によって嗜好が違うらしく、精液だけしか食べない、精液だけが美味しい! という個体もいれば、血液を啜って悦びを感じるようなものもいるのだとか。対象も"この人!"と定めた人間の体液を食べる個体と、誰彼構わず見つけた人間を貪り食う個体等で様々。
その中で、私と同居する粘液は"
だから、愛液は勿論、尿や腸液、胃液唾液汗鼻水涙その他諸々……その全てが彼女にとってのご馳走。同化は捕食ではないので、お腹が空いたら私を食べにくるのがこの粘液だ。
「それ、美味しい?」
ハンバーグカレーに手を付け始めた私に、姉が問いかける。いや、この口調は粘液かな。
「美味しい。味見してないの?」
「したけど、うーん。この味がこの娘の好みである、という事は知っているし、美味しいというのも知識にあるんだけど、私としてはちょっと薄味かなぁ、って。ユリには敵わないよ」
「私の体液、そんなにおいしいんだ」
「うん、極上」
私と同居する粘液は、先に例を挙げた通り、血液も好む。多分卵巣のナカも本来は啜りたいのだろう。果ては脳も。けれど、それをすれば私が死ぬ。死んだら出るものも出なくなる。同化してしまうと、人間の味はわからなくなるのだそうで、彼女は私に生きていてもらわなければ困る。
だから、甲斐甲斐しく私のお世話をしてくれる。元々姉と私の二人暮らしなこの家で、姉と同化して分裂したこの粘液は、身の回りの事は全部やってくれる。私が欲しいものも──私がイイな、と思った女の人も、同化して。
すべては自分が、私という獲物を好きにするために。
「……ねぇ」
「なにかしら?」
「私の事、好き?」
「勿論。世界で一番、愛しているわ」
その表情に、その声に。
嘘偽りは無かった。