粘液と同居するドマゾレズ娘の話。 作:飯妃旅立
「ユぅーリせんっぱい! おはよーございまーす!」
「ぬわっ」
横合いから抱き着くを通り越して飛びついてきた女の子によろけ、思わず女の子らしい声が出てしまう。私の首に手を回し、腰に足を絡みつかせてきたその子は、私の頬をぺろっとひと舐めして、更にキスを要求する顔を作る。
私としては全くもって吝かではない事この上ないのだけど、彼女の襟首をぐい、と掴んで引き剥がす存在があったので断念。
「こら、ミコト。ユリが困ってるでしょう。ユリ、貴女も貴女よ。嫌なら嫌と言わないとダメ。そんなだから、ミヤにもあんな態度を取られてしまうのよ」
「シオリままうるさーい」
「誰がママかコラァ!」
ここは学校。その校門での一幕だ。
どちらもテニス部の面々で、同期のシオリと後輩のミコトちゃん。ミコトちゃんはミヤちゃんとタッグを組めるくらいには腕が立って、けれどミヤちゃんのように私を舐めることなく、別の意味で舐めてくる子である。
否、であった、が正しいかもしれないけれど。
「キスくらい、全然いいのに。むしろミコトちゃんみたいな可愛い子なら大歓迎」
「ほらぁ! シオリままはお小言が過ぎるよ!」
「次にママって言ったらその胸もぐわよ」
犬猿の仲というか、風紀を乱す側と正す側の争いは日常の登校風景だ。なんてことはないその
ガシ、と……強い力で私の腕が掴まれる。背後。言い争うシオリとミコトちゃんの隙を突いて、物凄い力で引っ張られた私はいともたやすく
外を二人が走っていく。丁度窓の死角になっていて見えないのだろう、彼女らはそのままこの教室を通り過ぎていってしまった。
「……乱暴すぎない?」
「一週間です」
「ん」
「一週間、お預けされたんですから……もう、我慢できません」
その教室は、異様な光景にあった。
一面──床いっぱいに広がったピンク色。それらはうぞうぞと蠢き、ざわめき、その全てが波を立てて私の方へ集まりつつある。
それらはすべて、粘液だ。すべて粘液。──クラス一つ分の、粘液。
粘液は分裂体を生み出す事が出来る。家にいる本体とは別に、同化した者の思考を再構築し、それを宿らせた分裂体を切り離すことが可能だ。それらは私と同居する粘液と全くの同固体でありながら、元となった人間の思考を有し、再融合しない限りはそれぞれに記憶や経験を蓄積する。
つまるところ、粘液と同化している事実以外は、通常の人間となんら変わらないのだ。
だがそれは、同時に、通常の人間に粘液の好みが加算されている、ということになる。
「口、開けてください」
「はいは、むごっ!」
「んっ……」
私と同居する粘液は私の体液を好む。好んで食す。けれど常に私と共にいられるわけではない分裂体達は、当然私の体液をいつでも摂取できるわけではない。どう頑張っても私が一人である以上、分裂体の数が増えれば増える程、役割として住まう場所が遠ければ遠い程、私の体液を得られる個体ごとの時間が減ってしまう。
それは多分、本体と"全く同じ"である分裂体達にとって、酷く耐えがたいことなのだろう。
「ぉ、ごっ……ぇほっ!」
押し倒され、そのままの勢いでキスをされた。否、キスには止まらない。舌を入れ──その舌がどろりと溶けだして、私の喉の全てを浸していく。例によって鼻から肺までの気道は用意されているけれど、単純に「喉にものが詰まっている」という感覚にむせてしまう。むせた程度で出て行く程軟な粘液じゃあないんだけど。
むしろむせた事で出てきた粘液や唾液を吸い尽くして、キスとは名ばかりの侵略が始まった。
彼女は一週間前、粘液と
おかげで彼女の戻った新聞部の部員も、彼女のクラスであるここも、すべて粘液と同化し──けれど中々顔を合わせる機会がなく、一週間が経ってしまった次第である。
私は粘液にある許可を出している。
"レズの素質がありそうな子以外は、全員同化しちゃっていいよ"と。勿論バレないように。この学校は女子校で、そこそこレズっぽい子が多い。そういうのは、私がヤりたい。だから他校の男に現を抜かしているような子であれば、勝手に同化してくれていいと。
だってその方が動きやすいし、ヤりやすいし、選り取り見取りだから。
結果がまぁ、これだ。余程隙だらけのクラスだったのだろう。一年生、というのも大きいか。まだ女子校の雰囲気に慣れきっていなかったのだろうこのクラスの生徒はみんな、粘液と同化してしまった。粘液は自らの意識レベルが低くなればなるほど溶けやすくなる。女の子になった粘液がイく時なんかは体の半分ほどが溶けている。
その法則は、気持ちよさで意識が飛ぶ、だけでなく、飢えによって意識を喪失しても同じなのだ。
「ん、んんぅ」
「みんな、もう我慢できないって言ってます。一限目出る事は諦めてください。ユリ先輩は、ここで一時間、ぐちゃぐちゃになります」
「んぶぅぅぅっ!?」
遠慮なんてものは存在しなかった。幸いにして私の膣はびしょ濡れで潤滑剤は必要なかったけど、有っても無くても関係ないとばかりに二穴同時に突っ込んできた粘液の触手は縦横無尽に体内を貪り食う。ミヤちゃんの暴力的ながらも的確な責めとは違う、獣の食事のようなソレ。快楽を与える事よりも食欲を優先したかのようなピンク色に群がられる私は、まさに捕食されているという表現が正しく似合っていた。
と、口を、喉を犯すアイカちゃんの粘液がぎゅ、と絞まる。多少は余裕が出来たのだろう。柔和な笑みを浮かべたアイカちゃんが少しずつ粘液を引き戻し始めた。
伴って舌が引っ張り出されていく。
粘液に包み込まれた舌は、表も裏も、ザラザラとヌメヌメと強い摩擦に襲われている。粘液は体液として、当然の様に唾液も啜る。だからもう何度も何度も舌虐は行われていて、それ故私の舌は十二分に性感帯だった。
揉まれ、撫でられ、引っ張られ。クリトリスに同じことをされても、同じ反応を返すかもしれない。大きく嬌声を上げて仰け反るという快楽反応。しかし喉が塞がれている以上声は出せず、また全身に纏わりついた粘液が私自らの意思で動くことを許さない。
トリモチが如く粘性を持ってねばついてくる粘液は私の首から下を完全に飲み込んでいる。本来であれば身体を動かし、捩る事で逃げ場を作る快感の波も、粘液の強度によって意味を為さない。完全に粘着拘束された状態で前後上の三穴を責めたてられた。
「あぁ……おいっしぃ~……! 家で食べるどんな食事よりも、お店で買うどんな食べ物よりも……甘美で、とろけて、濃くて深くて……幸せ……!」
もはや呼気を出す事さえ適わなかった。なんせ、甘美に奮えるアイカちゃんの顔や腕から粘液がぽたぽたと溶け出し、私の顔へ落ちている。しっかりと気道は確保してくれている辺りが流石だけど、もう耳も目も、ピンク色の粘液によって塞がれてしまった。
粘液が私の瞳を撫でる。目薬や眼球洗浄剤を思わせる痛みのないソレは、私の瞳の表面を伝って、少しずつ、少しずつ、奥へ奥へと浸透してきているのがわかった。
痛みが無かろうと異物である事に変わりはない。生理反応として涙が滲み出る──出る前に、すべて飲み干される。あろうことか涙腺へと粘液が侵入し、何とも言えない、この世の物とは思えない感覚に目をかっぴらいた。
「はい、そこまでー」
突然ガラッと教室のドアが開く。
粘液によって固められていたはずのドアは、しかしすべての粘液が我先にと私に殺到したせいで、その役割を失っていた。
ピンク色の視界の隅で声の主が手を叩いているのが見える。しかし残念ながら顔の細部は見えないし、耳に入った粘液によってその声も加工されたような音になってしまっていた。
声の主はずかずかとこの粘液の巣に入ってくると、躊躇なく私に手を伸ばす。
そして私を粘液の海から掬い上げ──え。
「……ごぽっ、ぐ、げほっ! ……はぁ、はぁ……し……シオリ?」
私を掻き抱いたのはシオリだった。
凛とした目の少女。でも、おかしい。だってシオリはまだ。
「──もしかして、勝手に手を出したの?」
酷く冷たい声が出る。ズルリと膣内と肛門から抜けていく粘液も気にせずに、シオリへと……シオリと同化しているだろうソレへと、声を。
同級生で、レズの素質がありそうなシオリに勝手に手を出す、など。
まさか。
「違うよー、ちょっと認識は弄ったけど、同化はしてないって! だから怒らないでよ、ユリ」
シオリの声で、シオリの顔で。
けれど口調は粘液本体のものだ。みればシオリの耳から少しだけ粘液が零れている。
「……どういうこと。説明」
「うん。さっきユリが攫われて、追いかけてる最中に
「オイタって……なんですか。
「だから、順番を決めたじゃん。……忘れちゃったの?」
じゅるっと粘液になっていた舌を元のディティールに戻したアイカちゃんが、「え」という抜けた声を出す。粘液の口調で話すシオリの後ろからミコトちゃんがヒョコっと顔を出し、「私怒ってます」という表情を全面に押し出して、アイカちゃんへ向かって指を突きつけた。
「今日は私の番! 明日が貴女達! そりゃ我慢を重ねると曜日感覚狂うのはわかるけど、順番はちゃんと守ってよね!」
「あ……」
アイカちゃんが何かを思い出したかのような顔をする。
同時、教室の至る所にあったピンク色の粘液が再分裂し、それぞれに少女を構築し始めた。彼女らは揃いも揃って恥じ入るような表情をしていて、ミコトちゃんと、そしてシオリに申し訳が立たないと言った様相で両の人差し指をクニクニやり出した。
こうしてみると──うむ、圧巻。一年生とはいえ多種多様な容姿の子がいて、清楚感溢れる子から不良一歩手前、みたいな子まで様々。彼女らが先ほどまで一心不乱に、自らの身体を崩してまで私を求めていたという事実がドロッドロのビッショビッショに股を濡れさせる。
「ごめん、なさい」
「わかればよろしい!」
「ということで、今日の放課後はミコトの相手をしてあげてね、ユリ」
「え、うん。……あー、でもさ」
「わかってる。流石に今のおまんこで授業に戻るのは無理って言いたいんでしょ?」
「うん」
「じゃあ、丁度いいし、
「……そうだね。そうしよう」
アイカちゃん達もミコトちゃんもそれで納得した、とでもいう風に、日常へと戻っていく。
このクラスは本来の姿を取り戻し、それぞれが席について教卓に向かい、板書を取る。少女の圧巻さで気付かなかったけど、このクラスの担任教師も同化していたらしい。一度再融合している以上教師の知識は生徒と共有しているだろうに律儀に勉強を続けるのは、彼女らが人間だから、だろうか。
そんな彼女らを後にして、ミコトちゃんは自身の教室の方に、私とシオリは女子トイレへと向かった。
一番奥の便器にシオリを座らせ、スカートとショーツを脱がし、股を開かせた状態で粘液を分離させる。
シオリは何度か瞬きを繰り返し、キョロキョロと周囲を見渡した後で、目の前に立つ私を見た。
「……ユリ? えっと……何かしら、これは」
「え? シオリ、さっきまでのこと忘れちゃったの?」
「さっきまでのこと? ……って、きゃあっ!? な、なにこの格好……あ、くっ、どうして足が閉じれないの!」
「さっき私に告白してくれたじゃん。好きよ、ユリ、って。一つになりましょう、って」
「そんなこと言ってなッ……んんぅっ!?」
「ほら、こんなに発情しきってる。さっきまでその気満々だったんだから当たり前だよね。クリちゃんちょっと触っただけで、エッチな声が出ちゃう程……シオリは、私に発情してくれてた」
私はマゾだ。ドが着くほどのマゾだ。
けれど嗜虐心が無いわけじゃないし、なんなら人一倍ある。総受けではないのだ。相手がただの人間なら、私は強気に出る。出られる。
それがたとえ一年生の頃からタッグを組んできた親友相手であっても、何の問題も何の躊躇も無く、責めたてる事が出来る。
「ねぇ、一つになろうよ。ほんとは好きなんでしょ? えっちなコト」
「や、やめなさいっ、ユリ! 私と貴女は友情で、絆で結ばれた親友──」
「ふぅん。まぁ、シオリの理性はそういうよね。じゃあ本能に聞いちゃおう」
「──として、んぐっ!?」
何かを訴えかけるようにシオリが口を大きく開いたところに、ピンク色がビュンッと入り込んだ。眉を顰め、なんとか吐き出そうと頑張るシオリだったが、入り込んだモノ自体が喉へ向かっているためどうしようもない。
十数秒後、ごくんと飲み込んでしまったシオリのその体に、早くも変化が訪れる。
「ハ──ァ、ぁ……ぁあ……ぅぁああっ!」
汗だ。まるでサウナにでも入っているかのように、彼女の全身から汗がとめどなく溢れ出ている。それは露出している下半身は勿論、制服を着ている上半身もびしょびしょに濡らして、尚も止まらない。
シオリは今、とてつもない熱を感じている。同時に渇きも。体の中の水分という水分が抜け出て行っている今、喉が渇いて仕方がない。
「み、水……うごけ、ない! どうして、足が、動かないのよ!」
「シオリ」
「何、んむっ」
そんなシオリにキスを落とした。
目を見開き、すぐに口を離そうとしたシオリだったけど、私の口から出た液体に逆に追いやられ、それを飲まざるを得なくなる。唾液の水量じゃない。シオリがどれだけ喉を鳴らしても尽きることの無い水分が、私の口からシオリの口へと移されていく。
尋常ではない渇きに喘いでいたシオリは私からの口移しに目を蕩けさせ、もっともっととせがむ様に此方の咥内を吸い始めた。
「んぐ……んむ……っは、ん。ん。んー」
じゅるじゅる、ぢゅるぢゅる。ゴキュゴキュ。水音と嚥下音がほぼ同時に響く。
なおもシオリの発汗は止まることなく、故にシオリは私の口を求めて続ける。最低限の息継ぎだけを挟み、ずっとずっと、ずっと。
そうしてようやく、シオリの異常な発汗は終わった。
同時、長く続いた口吸いも終止符を打つ。
「……っぷふぅ」
「んひっ……美味しかったでしょ、私の口は」
「……」
そもそもの発汗が異常であること。私の口からあれだけの水分が出てきたのが異常であること。自身の身体が動かないのが異常であること。様々な異常を冷静に判断出来ている──その上で、シオリは反論できない。反論はしない──しないが、彼女が私を見る目は既に親友へのソレではなく。
化け物をみるかのような、恐怖へと転じていた。
「……シオリ」
「ぃ……っ」
その短い悲鳴が、何よりの証拠。
怯えた彼女の表情に、私は深く──深く、深い笑みを浮かべた。
「私の事を好きなシオリは欲しいけど、私の事を嫌いなシオリは、要らないよ」
「い、ぃや──ぎゅへ!?」
悲鳴を上げようとしたのだろう、しかしその瞬間、おおよそ悲鳴として聞くことの無い音がシオリの口から放たれた。
同時、ぶほっという音と共に彼女の鼻からピンク色が飛び出す。
見ればシオリの耳孔にもピンク色が詰まっていて、こちらは飛び出すのではなく、入り込んでいるのがわかった。
「ベストタイミング」
「回数こなしたからねー」
それは勿論、最初に分離した粘液だ。
シオリの下半身を固定するだけに留まっていた彼女はタイミングを見計らってシオリの耳を襲い、そこへ侵入。そこから同化を始めて脳へと侵食。今現在シオリの頭蓋の中からくちゅくちゅ、ぐちゅぐちゅという音が響いていて、比喩表現ナシに改造されているのだという事が分かる。
開かれた股座からは堪えなく尿と潮が放たれ、口と鼻からは粘液が、その瞳からもピンク色の涙を流している。白目を剥いた彼女は時折「ぐひゅえっ」だの「びゅぎゅ」だの「ゅふぃ」だのと言葉にならぬ音を出し、その度にイっていた。
そして、ずるりと。
シオリの耳から、粘液が零れ落ちる。
「あ──っは、っはぁ、っはぁっ! ……ふ、ぅうぅう!」
息を荒げて、シオリは焦点の定まらぬ目のまま、ぐ、とお腹に力を込めた。
「で、出る……出ちゃうッ! ゆい、ゆひっ、ユリの、親友の目の前で──うんち出ちゃうッ!」
嫌がる口調とは裏腹に腹筋へ、下腹部へ強く強く力を込めていくシオリ。前かがみになって、あれだけ閉じる事の出来なかった足を少しだけ内また気味にして、最も排泄がしやすい格好になって──力む。
未だ私を親友と呼んでくれることに多少の感動を覚えつつ、私にとっても親友である彼女の排泄シーンをカメラに収めんと端末の録画モードを起動した。
「い、いや! 出ちゃう──うんち、うんち──違う、いや、嫌だ! 嫌、出ないでッ!
ちゅる、と。閉じられた肛門から顔を覗かせた糞便は、しかし元来の茶色のそれではなく、ピンク色で半透明な塊だった。それが少しずつ、少しずつ外へ身を躍らせる度、シオリの焦燥が激しくなる。
「いひぃぃいっ! だめ……空っぽになる! わたしが、私じゃなくなる、私、わた、私が、わたし! わたし、行かないで! 嫌、嫌、嫌──出ちゃ、」
そうして、ぶりゅん、と。
ソレは排泄された。長大で極太の、半透明のピンク色。ソレはトイレの封水に触れる前にグイ、と鎌首をもたげ、シオリの身体を伝ってその顔の前に来る。
初めは単なる棒だったそれは次第に造形をし始め、いつしか──シオリの顔を模っていた。
「あ、あが……わた、わたし、わたし……?」
「そう。私。本当、無様な格好ね、私。そんな姿をユリに見せている事を恥じなさい」
「違う、ちが、違う──私は、私が、私が」
「違うのは、ソッチ。私が本物。私を排泄した貴女は、もうただの入れ物。空っぽになった入れ物が中身より大切になる事なんて無いわ。さぁ、大人しく──眠りなさい?」
排泄されたシオリが、排泄したシオリに覆いかぶさる。
何度も違う、違う、嫌だ、嫌だと泣いて、喚いて、最後に私の方へ手を伸ばさんとして。
シオリは、その全てを粘液と同化した。
心も──身体も。
人格排泄をすこれよ。