粘液と同居するドマゾレズ娘の話。 作:飯妃旅立
「同化と殺人の違い?」
「うん。ちょっと、気になるなぁ、って」
それは、私が粘液と出会ってすぐの事。ううん、粘液にお願いして前から気になっていた女の子になってもらって、レズセをしたその翌日に学校で再会したその子が粘液だと判明した、その日の夜だ。いつものような笑顔で、いつものような口調で、「昨日は激しかったね」なんていうものだから、酷く驚いたことを記憶している。
粘液はそれを、捕食や成り代わりではなく同化だと言った。
「うーん、私達は取り込んでいるとか相手の生命活動を止めているとか、そういうことじゃなくて、一緒になってるだけ、なんだけど……」
「個性の喪失は死、じゃない?」
「個性は特になくなってないよ? ユリのお汁が好きってのは私も
「ふーん……?」
「同化した、って考えるから解りづらいんだよ。同化する能力を得た、
「何かが出来るようになったら、趣味嗜好が変わるのはおかしくない、ってことを言いたいの?」
「んー、というよりは、何かが出来るようになる事は、その個体の死ではないし、能力に捕食されているわけでもない、っていう答えかな、ユリからの質問に対しては。その結果趣味嗜好が変わる事もあるだろうし、変わらない事もあると思う。ユリだって勉強ができるようになったところでユリはユリでしょ? その結果参考書を買いあさるようになるかもしれないし、今まで通り女の子をひっかけまくるかもしれない」
「……なる、ほど? まぁつまり、同化したところで死ぬわけじゃないしいなくなるわけじゃない、って結論でおっけー?」
「最初からそう言ってるよ!」
そうだっけ。
そうだった気がする。
唯一私だけが……ああ、ううん、各地の粘液に気に入られた者だけが、同化の能力を手に入れる事が出来ない。その周囲の人間で、気に入られた者に見初められた者が同化の能力を得る。ただそれだけの話。
「面倒な話はこれで終わり。さ、ユリ。えっちしよう」
「ん」
もしターニングポイントを作るのなら、ここ。
この時点で私の中にあった一般的な倫理観とやらは崩壊した。あとに残るは、ずっと抑えつけていた欲望と、粘液に浸された新しい倫理観だけ。
利用するために利用される。私と粘液の関係の始まりだ。
放課後──ではなく、お昼時。お昼休みの時間。
教室では生徒たちがお弁当を広げたり購買のパンやおにぎりを持って駄弁っている。スカートでパンツが見えようが関係なしにお構いなしになのは、ここが女子校だから、だろう。
そんな教室の一角に、私とミコトちゃんはいた。
下級生のクラスだ。ミコトちゃんの教室に私が入り込んでいる形。正面のホワイトボードから見て、一番左後ろ。所謂主人公席。
そこに置かれた机に、私はいた。椅子じゃない。机。長机であるソレの上に寝そべっているのだ。
全裸で。
「いただきまーす!」
ミコトちゃんは元気にそういって、手を合わせる。私の傍らには彼女のお弁当があって、ミコトちゃんはその中からブロッコリーを一つ、箸で抓んで取り出した。
それを私の膣へうずめて、散々ねぶってから、自身の口へ持っていく。
「おいひぃ~!」
満面の笑みをこぼす彼女に対し、周囲の反応は冷ややかなものだった。軽蔑、侮蔑。汚らしいものを見る目でミコトちゃんを──ううん、私を見つめている。後輩に良い様に使われ、公衆の面前で全裸を晒し──濡れている。感じている。そんな私を、ゴミより酷いものを見るかのような目で見つめている。
ゾクゾクする。している。余計に感じちゃう。
ミコトちゃんは私の身体を、膣を、脇を、口を、尻を……とかく水っぽいところ全てを使ってお弁当を食べる。つけダレ、という表現が一番近いだろうか。粘液とのプレイ時以外は母乳が出ないので残念だけど、もし出ていたら直に吸われていたかもしれない。
粘液は私の体液を好む。それはミコトちゃんも同じ。
けど、本体がそのままの体液を好み、普通の食事は味が薄いと評するのに対し、ミコトちゃんは普通の食事も大好き、私の体液も大好き、という嗜好の持ち主だ。だからどっちも食べたいと……お弁当はしっかり好きなものを揃えて持ってくるし、その好物を私の体液でコーティングして最上のソレとして食べる。
女体盛り亜種、といったところか。つけダレの方は羞恥によってジュクジュク出てくるから、確かにうってつけだろう。
ちなみに、言うまでも無いけどこの教室の生徒は全員同化している。だから侮蔑と軽蔑の視線も"そういうプレイ"の一環で、中には堪え切れずに涎を垂らす子や、直接食べにくる子もいるくらいだ。今日はミコトちゃんの日なのでそういう暴挙に出る子は少ないが、「あれ私もやらせてほしい」と懇願されることも少なくはない。
お昼休みギリギリまで行われるこの宴は、当然私の食事時間を損なう結果となる。
ので。
「はい、あーん」
「が、ぉげ……ッ!」
最後はミコトちゃん自ら私にご飯を食べさせてくれる。
けど、ちまちまやっていたら間に合わない。だから、一気にだ。
体が摂るべき栄養分の食事を粘液に含み、それを無理矢理、口へ捻じ込む。人の拳が喉を通っていく感覚など早々味わえるものではない。つるりとしていて、ごつごつしていて、けれど一生飲み込むことが出来ないソレが胃に達すると、胃の中の粘液をこりゅこりゅこそぎ取ってから粘液は出てくる。
ミコトちゃんの腕たるそれは口の中にあったというのに濡れておらず、だからこそ本当に人肌が喉を擦っているかのようなその異常感に、私は一生慣れないだろう。それが、気持ちいい。
「ごちそうさまでした」
「ん、けほっ……ぇほっ、ごち、そ、んん゛ッ、さま……」
ミコトちゃんの日の食事風景はいつもこんな感じである。
さて、本番の放課後。
といってもミコトちゃんのプレイはそこまで長くかかるものではない。他の子に比べても一瞬だろう。時間的には。
自身のやるべきことを終え、るんるん気分で夕暮れの教室を訪れる。昼間女体盛りになったその教室に人影は無く、差し込む夕日が室内をオレンジ色に染めるだけの、どこか幻想的な空間。
そこに彼女はいた。
「ユリ先輩。ようこそー」
オレンジに混ざる黒。それは影だ。
初めに目に入るのは可愛らしい彼女の笑顔、ではなく──つま先。足先。
そこから辿っても、膝までしか見えない。
大きな、大きな、大きな足が、ずん、とそこにあった。
膝山の登頂から聞こえてくる声はミコトちゃんのもので間違いなく、故に私はその膝山を登る。これほどすべすべしているのに登りやすい理由は、足裏に粘液が足場を作ってくれているからだろう。
そうして上り詰めたそこに、彼女はいた。否、最初からいたのは間違いないのだけど、ようやく彼女の顔を見る事が出来た。
恍惚。そして、涎。服を汚す程に垂れた涎を掬おうともせず、彼女は私を待ち望んでいた。
「ユリ先輩……ちっちゃい。ちっちゃくて、可愛くて……美味しそう──!!」
我慢ならなかったのだろう。ミコトちゃんは私の襟首をつかみ、持ち上げる。教室が壊れるんじゃないかと思う程巨大になったミコトちゃんの口。そこへゆっくり、ゆっくり近づけられていく。糸を引いて開かれた口は巨大な洞窟を思わせるソレ。揃った歯。そして、受け止めるように伸ばされる舌。
ミコトちゃんは同化した粘液たちの中でも特に私を好いている子だ。違う、元から好きだった、が正しい。最初から私に好意を抱いていて、けれどそれは恋愛感情の好きというよりは、「食べてしまいたい」という異常な願望。
粘液と同化したことでその願望は可能になる。
もとの比率そのままに巨大化したミコトちゃんは、欲望のままに私を食べるのだ。昼はつけダレとして、放課後はまるごと。
やるべきこと──つまりテニス部の部活動を終えてきた私は、汗びっしょりだ。今朝がた同化したシオリと1ゲーム、その後運動や壁打ちやらをしてきて、シャワーも浴びずにここへ来た。セックスばかりでなく、しっかりと学生の本分も行って、それを喜んでもらえる一石二鳥。
汗まみれのテニスウェアはさぞかし美味しい匂いがするのだろう。鼻をひくひくと動かすミコトちゃんがどうしようもなく可愛らしい。
そうして、足が彼女の舌に触れる。柔らかく、ふわふわしていて、普段自分で舌を触る時のような、あるいは舐められる時のようなザラザラ感は無い。大きさの問題だろう、ふかふかのベッドのような赤色は、しかしぐわんとうねってめくれ上がった。
背中をぞぞぞと撫でるソレ。今度は面積が広い分、しっかりとザラザラを感じる。襟首を離され完全に舌へと落とされた私が何をするまでも、何を言うまでも無く、舌は口の中に引き戻された。そして閉じられる口。
いきなり真っ暗になって舌がぐねぐね上下して。突然下がったかと思ったら染み出してきた唾液に浸され、纏わりつかれ、突然上がったかと思ったら口蓋に押し付けられ、圧迫され。
そして──ごくんと。
何も見えない、ぐちゅぐちゅの粘液と肉筒に腕を絡めとられて、引き摺り込まれた。
喉は空洞でもなんでもなく、狭い狭い肉の道。掻き分けるまでもなく下へ下へと追いやられる私の身体は粘液塗れで、普段の様に呼吸用の管が繋がっていないため息苦しい。時間にして、一瞬。体感にして酷く長い時間を経て、私はそこ……水溜まりに落とされた。
ふと、明かりを感じる。
その方向を見上げてみれば、オレンジ色の光があって。
次第に周囲が明るくなっていく。反響によって轟音になっているものの、衣擦れ音もする。
「ユリ先輩、大丈夫ですかぁ?」
その声は普通だった。当然だ、口から発声しているわけではないのだから。
いつも通りの音量で、いつも通りの響きで、ミコトちゃんは問いかけてくる。
「ん。もういいの?」
「十分ですー」
彼女がそう言うと、周囲の壁は光を遮る皮膚から光を通すピンク色の半透明に変化し始め、誰もいない教室が見えてきた。
ねばつき、もたつき、何度も足を取られる水溜まり……胃液の中に立つ。勿論胃酸のような効果は無い。ただのどろどろした水、というか粘液だ。
次第に胃が、全体が収縮して行く。巨大な部屋と化していた胃も、先ほどまで通ってきた喉も、私の行っていない場所も、全部。
人型サイズにまで縮んだ彼女は当然中に私を残したままで。
「あぁ、はぁ……! やっぱり大きくなってユリ先輩を食べるのもいいですけど、こうやって密着して圧迫してユリ先輩と一つになるのも気持ちいい……」
既にテニスウェアは渇いている。浸み込んだ汗という汗を吸い尽くし、脱水機にでも入れたかのように、粘液の中にいるにもかかわらず私の身体は濡れていない。
ミコトちゃんは今一度「ぷはぁ」と何かを飲み干したかのようなリアクションをして、私から離れた。
「ごちそうさまでした!」
「美味しかった?」
「それはもう!」
私の出せるもので、女の子が喜んでくれる。それは心から嬉しいことだ。たとえそこに快感が発生しなくとも、私は声を大にして言おう。
これはレズセであると!
「それじゃあ、また。私は着替えてから帰るから……」
「勿論ついていきまーす!」
「あ、そう……」
本当に可愛い後輩だと、そう思う。
「むー……
「そりゃ飲み込まれてるワケだし」
「これはお姉ちゃんの毎日の楽しみなんだけどなぁ」
私は勝手に身を清めることや排泄をする事を許されていない。
いや、粘液はそこまでキツく縛ってきているわけじゃないのだけど、お願い、という形で、枷を嵌められている。
当然、私の体液が欲しいから。お風呂の水はすべて粘液で、身体を洗うのも同じ。垢だって体液の固まったものだ。汚い話だけど、粘液はそれも捕食する。汚い話繋がりで、トイレも。
故に私の身体は毎日清潔になる。お残しは勿体ないといわんばかりに、粘液が全て食べてしまうから。
「胸、育ってきたんじゃない?」
「えー? そうかなぁ。シオリのとか見るとちょっと自信失くすんだけど」
「気になるなら小さくさせるけど」
「ああ、そういう事じゃないから。シオリの巨乳が失われるのは人類の喪失」
「大丈夫よ、ユリ。お姉ちゃんもお母さんも大きいでしょう? ユリも大きくなるわ。ううん、してみせる。だって、大きくなればいっぱい出るようになるでしょう?」
「あ、そういう理由」
妊娠しないと出るようにならないと思う、というのは言わないでおこう。男と交わるなんて嫌だし。でも確かに母乳が出るようになったらいいなぁ、とは思う。プレイの幅が広がるから。
「……お母さん達、今頃何してるんだろうね」
「さぁ。その辺で女の子引っ掛けてイチャイチャしてるのは確実でしょうけど」
「つくづく親譲りだよね……」
「変態性は、ユリの方が上なんじゃないかしら」
「褒めてくれてありがと」
ふぅ、スッキリした。