真の楽を求める方法 作:はすりー
「ほ、ほら、ぶっちゃけ前に筋肉触らせてもらったのの延長戦みたいなもんだしさ、その、なんだ、なんつーか多少申し訳ない気持ちもあるしさ」
慌てたように早口で言う楽郎に、真澄は直感で理解した。今日こいつがここに来たのは、ソレをしに来たのだと。
恐らくは自身の性癖を歪めてしまったことへの罪悪感で。
――そんなこと間違っている。
本来であればそう言う事が正しいのだろうが、楽郎と出会ってから毎日自慰の際に思い浮かべている相手からの言葉に、思わず生唾をのんでしまったのは仕方のない事だった。
動揺、思わず意識が下半身に向かう。
その一瞬の間に、楽郎は既に近くまで来ていて
「とりあえず座れ……いや脱がすなら立ってた方がやりやすいな」
「は? ちょ、お前、いきなり」
「さっさと済ませて方がいいと思ったからだよ! さっさと脱げってn……うぉ………………ぇ、でか…………」
自らが妙なことを言っているのはわかっているのだろう楽郎が、照れ隠しのように早口で捲し立てながら、真澄の服を下着ごとずり下ろす。
瞬間いきり立った真澄のモノが楽郎の目の前にあらわれる。
自分のすることはわかっていたものの、無意識に自分についているモノを基準に考えていたため、相手のモノの大きさに戸惑ってしまった。
「っ…………ぅ!!」
対して、動揺と僅かな期待のせいで、さしたる抵抗も出来ずになすがまま下を脱がされた真澄は、自分の剥き出しになった肉棒の前に楽郎の顔があることに、言い知れぬ興奮を覚える。
「ぁ……ははは、おいおい興奮しすぎだな、でかすぎてビビったわ! ……よ、よし、とりあえずイス座れ、な?」
ここまで来てしまえばもはや抵抗も何もない。
そう自分に言い訳しつつ、真澄は大人しく言われた通りに座る。
「……よし、じゃあ始めるぞ……」
イスに座った真澄の、足の間に体を入れた楽郎は恐る恐る目の前の肉棒に手を伸ばす。
自分にもついているソレではあるが、大きさが違い過ぎてもはや違うモノとしか思えていなかった。
それでも扱い方は自分のと一緒だと、力加減に気を付けつつ、ゆっくりと真澄の肉棒を握る。
「…………っ」
手の中で熱く、そして激しく脈打つ肉の塊に、その手の趣味のないはずの楽郎すら僅かに息をのむ。
自分は今、卑猥なことをしている。
それを理解しているからこそ、同性相手の触れ合いであっても異様な緊張と少しの興奮を覚えてしまっていた。
「………………………………」
当初は無駄話でもしながら雑にこなそうと考えていた楽郎だったが、いざ始まってみると、部屋内の空気と相まって無言で真澄の肉棒を扱いていた。
部屋の中には、時計の針が進む音と楽郎が真澄のモノを扱く音だけが鳴る。
やがてそこに、徐々に荒くなっていく真澄の吐息が加わり、更に肉棒から垂れてくるカウパーが楽郎の手に伝わり、扱く音に湿り気が混ざりだす。
言葉を介すことなく続くいやらしさしか感じない空間。
しかしそれもそれほど長くは続かなかった。
「っっ……おぃ、離せ……っ」
「え?」
扱くことに集中していた楽郎は唐突に声を掛けられ、思わず扱いていた力を強めてしまう。
「~~~~ぅっっ!!」
――ビュルルッ
放たれる精は高く舞い上がり、ポタポタと多くは楽郎の手に、そして一部は楽郎の頬にかかる。
思わず呆然となり、反射で呟いてしまう。
「え、はや」
「ぐ…………お前……」
「あ、わり……」
さすがに同じ男として、言ってはいけないことを言ったと反省する。
しかし言われた真澄は、怒るでもなくそっぽを向きながら拗ねるように呟く。
「………………ちっ、仕方ねぇだろ……」
「……………………ふ、くくっ」
そんな風に言うなどと予想もしていなかった楽郎は、思わず吹き出す。
「笑ってんじゃねぇよ!」
「子供みたいでおかわいいこって」
「ガキはお前だろうが!」
終わってみればいつもの軽い、バカみたいなやり取り。
「(なんだ、こんな簡単に今までみたいなやり取りができるんじゃん)」
この数日妙にぎくしゃくしていたのが嘘みたいだと考えつつ、会話の中で楽郎は不意に目線を下げる。
すると目に入ってきたのは、射精前と何ら変わりなくいきり立つ真澄の肉棒だった。
「……え、つか全然デカいままなんだけど、普通一回出したら収まるだろ?」
「ああ? ああ、お前はそういうタイプか……俺はアレだ、一度こうなったら何度か吐き出さねぇと収まんねぇんだよ……」
真澄はまだ満足してなかった。
楽郎との会話の間も、収まる気配はなく、それどころか一度快楽を得てしまったがために、むしろ興奮が増してしまっていた。
「あ、あー……こ、個人差的なアレか……そっか、まだ……」
「……いや、十分だ……まさかこんなことまでしてくれるなんて思いもしてなかった。もう大丈夫だ、お前もこれで禊が済んだってとこだろ」
収まらない興奮をどうにか自分で抑えたい真澄は、用が済んだであろう楽郎に、やんわりと、それでいて迅速に帰ってもらおうと早口で言う。
しかし当の楽郎は未だ動こうとしない。
「…………………………」
「何してんだ、さっさと手でも洗ってこいって」
「いやだって、まだ勃ってんじゃん」
「今言ったろ、何度も出さねぇと収まんねぇって。だから自分で済ませるから大丈夫だ……こういう言い方はアレだが、さっきのを思い出すだけで、これから何度だって簡単に出せそうな気がするからよ……あー……ありがとな」
罪悪感を抱いた楽郎と同じように、若い楽郎にこんなことをさせてしまった真澄もまた、罪悪感を抱いていた。
それ故に、これでもう終わりにしよう。互いに忘れよう。
そういう意思も込めつつ、礼を言い、そのまま事を終わらせようとする。
しかし楽郎の中に、未だ収まらない勃起をどうにかするべきなのではと言う考えが巡る。
そしてほぼ無意識に、言葉を発した。
「……真澄さ、さっき口でって言ってたろ」
「………………最初のアレか、アレは……お前を追い返そうと言っただけだ。つかお前も嫌がってだろうが」
「そりゃまあ確かに。マズそうだし」
「人の体なんて上手い訳ねぇだろ、λの連中じゃあるまいし……つか理由それだけかよ」
「あいつらは比較対象じゃねぇだろ……ん、待てよ……?」
「あん?」
「ちょっ……! ちょっと待っててくれ! 数分!! すぐ戻ってくる!!」
そう言って楽郎は雑にティッシュで手や顔についた精液をふき取り部屋を飛び出す。
「……………………」
残された真澄は、すぐに戻ってくると言われたせいで、自分で処理も出来ずにもどかしい目に合うことになった。
~~~~~~
「待たせた!」
「…………何だってんだよ」
「ふふん、これだよこれ」
そう言って戻ってきた楽郎が袋から取り出したのは、一本の缶だった。
「……ライオットブラッド? あーエナドリか。それがどうしたんだよ」
「わかってねぇな? これはライオットブラッド・クァンタム。これさえあれば味的には問題解決だ」
「何言って……いや、お前まさか」
「お、真澄も聞いたことあったか、このライオットブラッド・クァンタムは、カフェインがキマりこそしないが、味覚に大きな変化をもたらす代物だからな!」
――ライオットブラッド・クァンタム。カフェインがキマるとよく知られるライオットブラッドシリーズにおいて、このクァンタムだけは少し毛色が違う。
クァンタムは、個人差はあれど一般的にはそれほどキマるエナジードリンクではない。
しかしそのかわり……いかなるゲテモノ料理も平気で食べることが出来るようになる奇妙なものだった。
そしてこのタイミングで楽郎がそれを購入してきたということは。
「どうよ? これがあれば問題なく口でも出来るだろ」
楽郎の言葉に思わず額に手をかざす。
「いやお前……普通もっとこう……なんで味だけ……っ……!」
恐らく楽郎は、僅かな罪悪感と先程までの淫靡な空気、そして手だけとはいえ同性相手への性処理を行ったと言う一線を越えたことで、判断能力が鈍っている……いや、軽く正気を失っているのだろう。
真澄自身も頭ではそれを理解しており、諫めようとする言葉が喉まで出かかっていた。
しかし、このままいけば楽郎はそのまま行動に移してくれるのではないかと言う激しい欲望が、諫めようとする言葉を声にして発することを留めていた。
真澄もまた、圧倒的興奮で正気を失っていたのだ。
「……いざ!」
真澄のためらいの間そう意気込んで楽郎はエナドリを流し込む。
「…………うっし……っと、とりあえず……もっかい椅子に座ってくれ……?」
「………………わかった」
言われるがままに座る。
既に一度射精したにもかかわらず、興奮が抑えられない肉棒は、この行為が始まった最初よりもはるかに大きさも硬さを増していていた。
「…………や、やっぱデッカイな……よ、よし……」
目の前のモノの威圧感に僅かにしり込みをしたが、恐る恐る楽郎は――ゆっくりと肉棒へと舌を伸ばす。