※この作品はR-18です。

劇場版魔法少女リリィ5!! ~推しの物書きVtuberは百合小説の夢を見るか~    作:百合道いおりん

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6話 魔神復活

 

 

 

ぽちゃん。

 

 

ぽちゃん。

 

 

暗闇の中、水滴が滴る音が響く。

微かに入る明かりによって見えるのは、一つの頭蓋骨と、大量の屍の山。

地面には血によって謎の紋章が描かれ、紋章に囲われるかのように屍の山が築かれている。

その中心に祀り上げられるように設置されたのが頭蓋骨であった。

頭蓋骨は人間のものとかなり形が似ているが、一目見て人間とは別の生物の骸骨であることは分かる

頭蓋から牛の様な立派な角が生えているからだ。

頭蓋は白ではなく、所々が黒く変色した赤色に染まっていた。

血の色である。

血に浸され、その血が乾いたうえでさらに血に浸し、そうして幾層にも幾層にも血を重ねた赤。

今もその頭蓋骨は新しい血に浸されている。

「ぁ…あ。」

水滴が──血が滴る音に混じって、微かな人の声が響く。

頭蓋骨の上に、人が一人吊るされていた。

全裸の女性であった。

全裸のまま天井から吊るされ、猿轡を口にはめられている。

女性は全裸にされたうえで身体のいたるところを傷つけられ、身体の半分が赤に覆われるほどに血を流している。

流れた血は身体をつたい、足の指先から滴り落ちていた。

一滴、一滴。

その先にあるのは、頭蓋骨であった。

女性の傷は深くはなく、致命傷にいたるようなものではない。

殺さずに頭蓋骨に生き血を捧げ続けるように、女性は扱われていた。

すぐに死にはしない、だがこのまま出血が続けば命を失ってしまうことは明白である。

女性は徐々に遠のいていく自分の意識と、相反するように近づいてくる死に怯えながら力なく吊り下げられていた。

そしてその場には吊るされた女性以外にもう一人、その様子を眺めている女性がいた。

暗闇の中、微かに見える金の光。

それは女性の髪に反射した光である。

「…そろそろか。」

金髪の女性、バディムは呟き、ゆっくりと歩き出すと吊るされた女性に近づいた。

その手には何も持たれていない。

「ん…!?んん…!!」

だが女性が近づくと吊るされた女性は猿轡をはめられたまま声を上げる。

じたばたと暴れようとするが、もう暴れる力も残っていないのか、力なく足をぶらつかせるだけであった。

バディムは女性の様子に一切意を介さず、女性の胴体に向かって右手を振りぬく。

掠る様にバディムの指先が女性に触れた。

スーッと、女性の身体に線が引かれる。

赤い線が一本描かれた。

その線は少し時間を置いて引き裂かれ、小さな割れ目を作ると隙間から赤を吹き出した。

赤は勢いよく女性の身体をつたい、頭蓋骨に向かって流れていく。

血が、頭蓋骨の頭頂部で跳ねた。

すると同時に魔法陣が怪しく赤色に輝き始める。

暗闇の中、妖しく光る魔法陣は瞬く間に周囲を赤に染め上げた。

赤い光を受け、先ほどまで無表情であったバディムは目を見開くと、やがて歓喜の笑みを浮かべた。

「ついに…蘇るのですね…!!!」

光に導かれるように、屍の山が動き出す。

もう動かないはずの肉の塊が磁力に引き寄せられる鉄の様に頭蓋骨に向かって一斉に動き出した。

最初は頭蓋を包むように、やがて失った部分を取り戻すかのように首を、胴を、腕を、足を作り出すように骨と肉が蠢く。

数分ほどで粗雑な粘土細工の様に人型を形作ったところで肉塊は動きを止めた。

動きを止めると同時に血で描かれた魔法陣が動き出す。

光り輝く魔法陣は地面を伝って人型の肉塊の上を這い、すべての魔法陣が肉塊の上へ辿り着いた時には全身が光に包まれていた。

もぞり。

光に包まれた肉塊が動く。

ゆっくりと動き出した肉塊はさび付いた機械の様にぎこちなく、しかし力強さを感じさせる動きで立ち上がった。

立ち上がり、数回掌を開いては閉じてを繰り返す。

自分の身体が動くということを実感するように、繰り返す。

最後に力強く掌を閉じ、拳を握るとゆっくりと頬の横まで待っていく。

頬の横の拳が、前に向かってゆっくりと突き出されていった。

弱弱しい、拳だった。

力が籠められすぎてがちがちに筋肉が硬直した拳はあまりにも速度がなく、力が籠っているはずなのに力強さがない。

全力で力を籠めなければ、拳を前に突き出すことすら叶わないということだ。

それでも、動きは止まらない。

拳から蹴りを。

足を持ち上げるだけでも精いっぱいといった様子で身体を震えさせながら、蹴る。

右の回し蹴り。

前に降ろした足を軸に、今度は左の拳を。

蚊の鳴くような音を立てながら哀れとも思える様な動きで、拳が動く。

しかしバディムはその光景をただただ眺めていた。

その目から涙がこぼれているが、一切瞬きをしない。

刹那の時間たりとも、バディムは目の前の光景から目を離したくなかった。

徐々に、光に包まれた肉体の速度が上がっていく。

蚊の鳴くような音は風を切る音に変わり、持ち上げるだけが精いっぱいであった足が頭より高く上がる。

上段の後ろ回し蹴りから回し蹴りに連続で繋げ、着地するや否や身体を屈めて中段への右正拳突き。

右に頭を振って大ぶりの左フック。

身体が流れる勢いのまま右に身体を動かして右の下段回し蹴り。

一歩下がりつつ左の下段回し蹴り。

足を降ろしながら頭を傾けつつ上段への正拳突き。

さらに前に拳を振るった勢いにまかせ、膝を大きく曲げるとその場で宙に向かって跳ぶ。

宙に浮いたまま、前に向かって身体を回転させる。

その身体から、足が伸びた。

まるで鳥が飛び立つ際に羽を伸ばす動きの様に美しく、優雅に、柔らかく、折り畳まれていた足が伸びる。

それは、最初の緩慢な動きからは信じられない美しさを秘めていた。

光が弾ける。

宙で前に向かって身体を回転させながら蹴りを叩き込む技、胴回し回転蹴り。

それが放たれた途端に肉体を包んでいた光が弾けた。

蹴りを放った主が、ふわりと地面に降り立つ。

羽毛が舞い散る幻影が見えてしまうほど優雅に、立つ。

その姿を見て、バディムはようやく瞳を閉じ、その場に膝を着いて頭を垂れた。

「おかえりなさい、我が主。」

主と仰いだ者は、ゆっくりとバディムに身体を向けた。

身長は2メートルを超えバディムより頭一つ高い長身。

癖のある黒い髪は獅子の鬣の様に長く伸び、威厳を醸し出していた。

鬣の隙間からは牛の様な逞しい角が生えている。

長身でありながら均整の取れた筋肉質な身体をしており、古代の彫刻めいた美しさがある。

発達した僧帽筋が生み出す滑らかな肩のライン。

肩から生える腕の筋肉はすらりと長いというのに、不思議と幾層にも年輪を重ねた大樹を思わせる重厚さを感じさせた。

背中は肩甲骨が翼の様に発達し、広背筋も腰のくびれを際立たせるように盛り上がっている。

胸筋に引き付けられるように張りを持った乳房。

尻はぐいと突き出ているのに一切のたるみがなく、繋がる太ももは競走馬の様に美しく、機能美に溢れていた。

くびれのある腰に、乳房と、突き出た尻。

そう、主はバディムと同じく人間の女性を連想させる姿形をしていた。

しかしそれでもその身体から溢れる強靭さは一切衰えない。

ただ悪戯に鍛えられただけの身体とは思えなかった。

故意に作り上げられる肉体ではなかった。

絶え間ない闘争と繰り返された鍛錬の結果、自然と出来上がってしまう肉体。

その逞しさとは真逆に肌の色は雪の様に白く儚げで、それが彫刻の様な美しさを引き立てていた。

だがその肌は所々でひびが入ったように割れ目が走っており、唇の色も冷え切ったように青くなっていた。

呼吸もまだ浅く、青い唇の隙間から漏れ出る吐息は儚さすら感じさせる。

バディムの手によって復活を遂げたものの、いまだに本来の力は戻っていないようであった。

その中で強く煌いているのは、瞳であった。

闇の様に真っ黒に染まった瞳は、夜空に輝く月の様に力強く輝いていた。

月がバディムを照らす。

頭を垂れながらもその光を浴びたことを感じ、バディムは微笑みを浮かべた。

主はゆっくりとバディムに近づく。

「…何年眠っていた?」

穏やかな声色であった。

まるで恋人にささやきかけるように優しく、甘さを感じさせる声色。

「…十八年と少し、でしょうか。」

「そうか。」

主は頷き、膝を着くバディムに寄り添う様にそっと膝を着いた。

目の前にあるバディムの頭をそっと撫でる。

まるでガラス細工の彫刻に触る様にそっと触れ、その感触をたしかめるように柔らかく。

バディムの金髪がふわりと宙を舞った。

宙に舞った髪を一房すくいあげ、主はそっと香りをかぐ。

そのままそっと口づけをした。

冷えた唇が、金色の髪にそっと触れる。

バディムが頭を上げた。

間近に主の顔がある。

涙が止まらなかった。

こぼれても、こぼれても、涙が止まらなかった。

今度はバディムが主の頬に向かって手を伸ばす。

そこにいることを確かめるように、そっと頬をなでる。

ひび割れた肌。

乾いた感触。

それでも、それでもそれは、バディムが恋焦がれた感触であった。

「主様…。」

「名前で呼んでくれ、バディム。」

「はい、ゲスドラン様。」

ゲスドラン、それがバディムの主の名前であった。

ゲスドランは頬に触れるバディムの手をそっと握り、ゆっくりとバディムに顔を近づけてゆく。

「不思議だな、死したあの日から私は時が止まったままであったはずなのに、お前のことが懐かしく感じる。」

「…もったいなきお言葉です。」

「もっとよく顔を見せてくれ。」

「はい。」

さらにゲスドランは顔を近づけてゆく。

鼻先が触れそうになるほどまで顔を寄せても、まだ近づいてゆく。

バディムが微かな吐息を肌に感じたとき、そっと唇が重なった。

まるで恋人同士が初めてのキスを交わした時の様に優しく。

羽毛の様に軽く、柔らかなキス。

キスを交わした途端、ゲスドランの乾いた唇に潤いが蘇った。

今のゲスドランの身体は、まだ魔力が十分に備わっていない、乾ききった状態だ。

故に唇を重ね、想いを交わらせたことでバディムの魔力が乾いた身体に供給されたのである。

弱弱しかったゲスドランの呼吸が微かに荒く、そして大きくなった。

「…バディム。」

「はい。」

「愛しているぞ。」

「はい…!!!」

直球な、あまりにも直球な愛の言葉であった。

飾り気のない、武骨な、あまりにも純粋な愛の言葉。

それがゲスドランであった。

それがゲスドランなのだ。

それ故にその言葉は、なによりもバディムの心を打った。

 

 

 

 

 

 

 

倉庫の奥に設置された簡素な寝台。

バディムが休むために調達してきたその上で、二人は交わっていた。

まだ身体が本調子ではないゲスドランの身体に覆いかぶさり、バディムが舌を這わせる。

長らく触れていなかったその感触を懐かしむように、全身に舌を這わせる。

舌が這った個所から順に、ゲスドランの肉体は熱を帯びていった。

潤みを取り戻した唇から、頬、首、鎖骨、脇、腕、指先、胸、腹、わき腹、腰、鼠径部、太もも、膝、ふくらはぎ、足の指。

足の指先をしゃぶり、足の裏を舌先で擦ると、ゲスドランがくすぐったそうに身をよじらせた。

「ふふ、くすぐったいぞ…。」

「あら、すみません。」

くすりとバディムは笑い、足の裏からくるぶしに舌を這わせる。

そのままふくらはぎの内側、内ももをなぞり、秘部の周囲を丹念に舐めた。

焦らす様にじっくりと膨らんだ肉を舐め、形をなぞり、そして、直接秘部に触れる。

白い肌の恥丘がじんわりと熱を帯びて赤みを増し、秘部からは潤いが溢れ出す。

ゲスドランの息が荒くなる。

か細かった息がどんどんと強さを増し、荒くなるほどまでに蘇っていた。

「バディム…。」

「どうしました?」

「キス…してくれないか…?」

ゲスドランの言葉にバディムの胸が高鳴る。

主の懇願、その日一言で破裂しそうなまでにバディムの心臓が鼓動を早めた。

「はい!はい!」

バディムは胸と胸を合わせるようにゲスドランに覆いかぶさり、唇を重ねた。

激しくなる心臓の鼓動がゲスドランにも伝わり、ドラムのセッションの様に激しく音を重ね合わせていく。

深く、深く舌を突き入れ、互いに舌を絡ませあった。

口の中で舌が交尾をする蛇のように激しく蠢きあう。

唾液を混ざり合わせながら、バディムがゲスドランの股の間に太ももを入れ、ぐいぐいと押し付ける。

ゲスドランが自ら求めるように太ももを股で挟む。

バディムは自分の太ももが汗とは違うもので濡れていく感覚を感じていた。

ゆっくりとゲスドランの両腕が動き、バディムを抱きしめる。

バディムが太ももを離し、ゲスドランの秘部に指を伸ばした。

湿った表面を撫で、指に十分な潤みをのせると、ゆっくりとナカに挿し入れる。

じっくりと、押し付けるように指の腹を動かす。

動かすたびに指をナカが締め付ける。

あっという間にゲスドランは果てていた。

力強くバディムを抱きしめ、腰を跳ねさせる。

息を荒くさせるゲスドランのナカからバディムが指を引き抜いた。

「あ…その…ゲスドラン様。」

「どうした…。」

「その…生えてきてしまいまして…。」

「ああ…。」

バディムの股間から、男性器に似た突起が生えていた。

魔界は弱肉強食である。

強者こそ血を残すに相応しいと、強力な魔力を持った魔人には本来子を孕む雌であっても雄と同じく孕ませるための器官が現れるようになる。

バディムの股間からも、ソレが生えてきていた。

「す、すみません…。」

「気にするな…昔は生えていなかったというのに、成長したな。」

そう言いながら、ゲスドランは足を開いた。

「こい、バディム。」

「そ、そんな…格下の私が畏れ多い…。」

「何を言う…お前だから許すんだ、バディム。」

ごくり、とバディムが生唾を飲んだ。

高鳴る心臓を必死に抑えようとしながらも、抗いきれない衝動に、突起の先端を秘部の入り口にあてがう。

挿入った。

潤み切ったゲスドランのナカは柔らかくバディムを受け入れる。

「バディム…。」

「はい…。」

「十八年…どうやって生きてきた…。」

「…。」

「頼む…教えてくれ。」

「はい。」

ゲスドランはバディムを抱きしめながら問うた。

十八年前。

ゲスドランは魔界において強い権力を持ちながら、強すぎたが故に他勢力の結託を決意させてしまい、やがて敗北した。

白銀の女拳士デュロエ。

蒼い稲妻ライデン。

真紅の死神エグザム。

戦場の悪夢サイサリス。

様々な異名を持つ猛将たちが次々と討ち取られ、或いは行方をくらませ、残ったのはゲスドランとバディムのみであった。

自分が死した、それからのことは覚えていない。

だが敗者の末がどうなるか、想像に難くない。

強くゲスドランはバディムを抱きしめる。

「あの後…様々な主の元を…彷徨いました、玩具として。」

「…。」

「貴女と共に逝ければ良かったのですが…一つの希望がありましたから。」

「私の復活か…。」

「はい、貴女の首は残ったままでしたから…。」

死した魔人は通常魔力へと光の様に還る。

だがゲスドランは殺害されたあと、その首を晒すために魔力を留められ、形を保ったまま晒された。

「それならば貴女を蘇らせることができるかもしれないと…生き恥を晒して…今ここに。」

「苦労を…かけた…本当に。」

「いえ…。」

「…吐き出せ、全て。」

「…。」

「許してくれ、私を。」

その言葉に、バディムが腰を動かし始める。

腰を前後させるというより、自分の秘部を圧しつけ、擦り合わせるように、しかし激しく。

「本当に!本当に!待ち焦がれていました!」

「ん、ぅ──ぁ!」

「貴女にしか、ゲスドラン様にしか許していなかった身も汚されて!」

「ぐぅ…!」

ゲスドランがその言葉に、口をぐっと噛み、身をよじらせた。

「なんでもしました!なんでもさせられました!貴女の女は!魔界に戻れば笑いものでしょうね!!」

感情をぶつけるように、腰を動かしながら、張りのある胸を強く掴んだ。

掴み、こね、撫で、先端をつまみ、噛みついた。

噛みつかれた痛みに、ゲスドランが身体を固くする。

それを感じとり、バディムは耳元にそっと唇を持っていくと、ささやいた。

「痛かったですか…。」

「…。」

「私はもう、噛みつかれても…痛くないですよ。」

「…な。」

「そう、仕込まれましたから、貴女以外の相手に。」

ゲスドランの心臓が、その言葉に昂っていく。

それは怒りか、苦しみか、嘆きか。

多くの感情が入り混じり、バディムと触れ合う中で供給された魔力が心臓の昂ぶりを早めていく。

身体を重ね合わせているバディムにはそれがよく分かった。

昂ぶりのままに、腰を動かす。

昂るたびに自分のナカにある魔力が漲り、新たな生を産み出すための力を集らせていく。

「幻滅しましたか!もう私は昔の私ではないんですよ!」

「ぁ…くぅ──!」

達する。

バディムはその寸前に動きを止めた。

息を荒くさせ、震えた手でゲスドランの胸を掴みながら、目を見開く。

昂りのまま狂気に侵された自分を必死に抑え込み、大きく息を吐いた。

「良いの…ですか。」

「何がだ…バディム。」

「もう昔の私じゃありません!私はもう!貴女の知っている私じゃ──」

叫ぶバディムの口を、ゲスドランが無理やり唇で塞いだ。

塞いで、抱きしめ、バディムの腰に足を回し、絶頂を促す様に腰を動かした。

「──ッッ!!」

バディムが達した。

内部に放った。

魔力の奔流を。

バディムを構成する魔力の情報を一気に、ゲスドランの内部に放った。

役目を終えた突起物がバディムの身体から消え去り、元に戻る。

魔力の奔流を直に浴びたゲスドランの肌が潤いと瑞々しさを取り戻し、ひび割れが塞がっていく。

身体の調子を取り戻しつつあるゲスドランがゆっくり身体を起こすと、呆けた様子のバディムを押し倒す。

「あ…ゲスドラン…様。」

「それで、十八年間、私のために生きたのか。」

「ぁ──。」

「私のために全てを捧げて生きたんだな!」

「はい…。」

「そんなお前が変わったと!?ふざけるなよバディム…私がそんなに器が小さいと見くびられていたとはな…。」

「でも…私は…。」

「変わらない…私にとっては…何も変わらない。」

「ゲスドラン様…。」

「バディム…。」

二人は何度も、何度も交わった。

指で、舌で、唇で、互いの秘部を合わせて、幾度も、幾度も。

十八年の歳月を埋め尽くすかのように、互いの身体を味わい続けた。

しばらくして、ゲスドランは背後からバディムを抱きしめ、休んでいた。

十分な魔力を供給され、急速に回復を始めた肉体が眠気を訴え始めている。

「なぁ…バディム。」

「その…これからの話だ。」

「はい…。」

「魔界には、戻れん…あちらに戻るには戦力が足りない…。」

「そうですね、今戻ったところで…元の権力は取り戻せないでしょう。」

「つまり…こちらで私の眷属を増やすことになるな…。」

「はい、そうですね、貴女の軍勢を、眷属を作り上げて行きましょう。」

「だから…その…。」

「?」

珍しく歯切れの悪いゲスドランにバディムが首をかしげる。

するとどこか困ったように、微かに頬を赤らめながら、ゲスドランが言う。

「私の眷属を…子を増やすということは、こちらの人間どもと交わることになる…魔力に耐えられる奴らに。」

「そうですね。」

「嫌じゃないか…?」

ゲスドランの言葉にバディムがきょとんとする。

弱肉強食の魔界においては、強い者が大量の眷属を持つために魔力をばらまくのが当たり前だ。

当たり前だというのにゲスドランはバディム以外の者と交わることに複雑な感情をいだいているようだった。

おそらく先ほど、バディムの過去を聞いた際に嫌悪感は抱かなくとも嫉妬心は抱いてしまったのだろうか。

そのことに気づき、バディムはおかしそうに笑いだす。

「じゃあ嫌だと言ったらどうする気だったのですか、一体?」

「別の方法を考えるか、二人で地道に作っていくか…。」

「ふふ、ふふふふ!」

思わず声に出してバディムは笑ってしまった。

一方ゲスドランは困ったように頭を捻り、首をかしげている。

「気にしませんよ、ちょっぴり嫉妬はするかもしれませんが、私はそのほうが燃えます。」

「…頼もしい答えだな。」

「だから、ゲスドラン様…私のことは気にせず、貴女は魔界で権力を取り戻すことをお考え下さい。」

「そうか…。」

「そう、私のことはどうか気にせずに。」

「ああ…。」

ゆっくりと、ゲスドランがまどろみ始める。

その身に寄り添いながらバディムは主が眠りに落ちる様子を見守った。

やがて眠りに落ちたゲスドランに、そっとバディムが語り掛けた。

「貴女の愛はもう十分にいただきました──」

 

 

 

「私がいなくなっても、どうか、気にかけず…貴女の道をお征きください。」

 

 

 

「愛しています。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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