まずお詫びします。エロシーンはほぼありません。一体なぜクエストに行くまでこんな時間かかるんでしょうかねぇ……。
続きまだ書いてないですけど、次こそはえっちなアーティちゃんが書けるはずなので、許してください。
「んっ……ふぁあ。あー、あさだ」
日光が差し込むキャラバンの自室で、アーティは目を覚ました。体を起こし、軽く伸びをして──下着の股についたシミを見つけて血の気が引いた。
「……まさか」
脳裏にアルセルタス討伐の際晒した痴態がフラッシュバックし、とっさに辺りを伺う。人の気配がしないことを確認して下着を脱ぎ、そうっと顔を近づけて匂いを嗅いでみた。しかし、覚悟していた鼻を突くアンモニア臭はせず、どうやら尿ではなさそうだとアーティは結論付ける。とりあえず一安心だが、ではこのシミの元となった液体は何なのだろう?
「女の人のお股から出る、無色無臭の液体。 ……どういうこと?」
実のところアーティ自身、オナニーの経験は数えるほどしかないのだが、それはそれとして気持ちいい時にそういう液体が出るのは知っていた。しかし、寝ている間にびしょびしょになるなんて話は聞いたことがない。暫く下着を矯めつ眇めつしていたアーティであったが、昼頃にナズと約束があるのを思い出して、準備に取り掛かった。
「えーと、薬草とお肉……ピッケルはいらないかも。ああでも、ジャギィの巣の近くには
悩みつつアイテムの選別を終え、防具の装備に取り掛かる。腰装備に足を通し、上まで引き上げたときに、アーティの下腹部に何かピリッとしたような、むず痒い感触が走った。
「なんか体調が変?でも
言いつつ準備を終えて外に出る。バルバレの露店は日が昇ると同時に開かれるから、辺りには徐々に活気が出てきていた。まずアーティは加工屋の竜人の元へ向かう。
「おはようございます」
「ああ。……できているぞ」
無骨な手袋で指さす先には、アルセルタスの素材でできた片手剣『星紋の剣盾』が鎮座している。緑色の刺々しい剣だ。試しに持ってみると、アーティがそれまで使っていた『ハンターナイフ』よりもずっしりした感覚を覚えた。
「……重い剣だ。体力は使うが……ほかの武器にはない安定感がある」
「なるほど……そうですね。まぁ私、ここに来る前はもっと重いクワとか振ってたんで、このくらいへっちゃらですよ!」
「……そうか」
加工屋に礼を言ってアーティは自室へと帰ってきた。昼まで時間がある。そういえば、とアーティは昨日看板娘が言っていたことを思い出し、時間つぶしもかねてバルバレの集会所へ行くことにした。
▽
「す、すごい」
アーティは圧倒されていた。人種も異なれば装備も多岐にわたるハンターたちが、或る者は地図を睨み、あるパーティはテーブルの上の食事に食らいつき英気を養っている。そのある種ピリピリした熱気や賑やかさは、アーティの故郷には無いものだ。さらに視線を動かすと、クエストカウンターの端に座る老人と目が合った。向こうもこちらに気付いたのか、煙管を片手にちょいちょいと手招きしている。
「やあ。初めまして、だね? ようこそ、集会所へ。私はここバルバレのギルドマスターだ」
「あ、は、初めまして。アーティって言います、よろしくお願いしますっ」
「ほっほほ、そんなに緊張しなくても大丈夫さ。こんな肩書を持ってはいるけれど、そこまで偉いわけじゃないんだよ」
とはいえギルドマスター、老人である。「老人には敬意を持って接するべし」と教わったアーティはそんな気軽に緊張を解くことも出来なかった。
「さっそくだが、ほれ。これでハンター登録完了だ。まずは、このカウンターにずらり並ぶお嬢さん達にくわしい話を聞くといい。それじゃ、がんばんなさい」
「ありがとうございます!」
「ああ、それと」
クエストカウンターに行こうとするアーティをギルドマスターは呼び止め、それまでとは違う真剣な目でこう宣った。
「自分の見たものを信じなさい。けして、ありもしない霞に惑わされてはいけないよ」
「……? わかりました」
今度こそ別れを告げながら、取り敢えずその言葉を胸にとどめておく。覚えておくに越したことは無いはずだ。さて、クエストカウンターは……あ、黄色い服のお姉さんが手を振ってらっしゃる。
「こっちですよー!」
活発そうなお姉さんは『下位クエスト受付嬢』であり、いろいろと説明をしてもらう。
振り向くと、集会所の入り口に──クエスト帰りと思しきナズが、無表情で立っていた。きろり、と渦を巻く虹彩がアーティの姿を捉えた途端、表情が満面の笑みに
「アーティちゃん、来てたんだ」
「あ、はい、先に集会所で手続きとか済ましておこうかな、って。……でもナズさん、クエスト帰りなんですよね? その、疲れてないですか?」
「んー? そんな大変なクエストじゃなかったし、疲れてないし大丈夫よ」
「えっ」
声を上げたのは隣の上位クエスト受付嬢だった。
「あの、つかぬ事をお伺いしますが。貴女が受注なさったのは、『燃え上がる双炎』でしたよね?リオレイアとリオレウス討伐の」
「そうだよ?」
「……速すぎませんか? 移動時間を含めても、狩猟にかかった時間が30分程度になると思うのですが。それに、どちらのモンスターも毒の効きが悪いモンスターのはず」
「まあね。でもそんなことはどうでもいいの、もっと大事な予定があるんだから」
アーティに後ろから抱き着いたまま、ナズは『狗竜の狩猟を披露せよ!』を受注した。
「アーティさんは初クエストですから、危なくなったらナズさんに頼ることをお勧めします。命あっての物種ですからね!」
「わかりました、頑張ります!」
ナズに連れられ出ていくアーティを見送りながら、下位クエスト受付嬢はひそかに胸を撫でおろした。
「こわ……ハンターさんの気持ちが分かったような」
「それ本人の前で絶対言わないようにしてね」
「もちろんですよ。怒ったとこ見たことないですけど、絶対怖いですもん。美人さんだからなおさら」
「まあ……そうね」
その後、ギルドに卸されたリオ夫婦の素材から毒が一切検出されなかったと聞いて、受付嬢たちはさらに困惑した。
一応補足しておきますが、おそらくこの小説に主人公を助けるオトモアイルーが出てくることはありません。
設定ごとナズが丸呑みしました。