人智統合真国で拷問を受けていたら、何故か洋館にいました 作:大罪司教
「ん・・・ここは?」
コヤンスカヤは目を覚まし体を起こす。
秦の国にて始皇帝に陵遅刑を言い渡され、あの拷問部屋で世にもおぞましい激痛を味わっていた時だった。
気付いた時には見知らぬ洋室のベッドに寝かされていた。
始皇帝の気配はおろか、異聞帯そのものにある魔力も感じない。
「雑にいく、と言ってもこれはあまりにも妙ですね。あの始皇帝が私を逃すはずがない。しかもこんな場所秦にはなかったはず…………」
ベッドから起き上がり、コヤンスカヤは薄暗い洋室を観察する。
同時に沸いてきたのは怒りと屈辱。
歯を食い縛り、出し抜かれたあの悔しさで顔をしかめる。
「こんなことをしている場合ではありませんね。すぐにこんな場所を抜け出さないと」
漆黒のチャイナドレスの胸元にぶら下がる鈴が鳴る。
それを合図にまずは探索。洋室には目立った物なし。
ならば部屋の外へ。
先が見えない程に壁に連なるドア。その先にあるのは闇だ。
ここが洋館か城なのかは不明だが、かなりの規模であることは確かだろう。
「な、何ですかコレ!? ホラーゲームじゃあるまいにどんだけ部屋作ってんですか!」
呆れを通り越して一種の感心すら覚える。
ピアノを弾いたりエンブレムを探したりなんていう誰得な仕掛けが無ければいいなと思っていた矢先、左側の方から物音が聞こえた。
「誰かいるのでしょうかね…………。
更に輪をかけて状況を怪しぶみながらも、その方向へと進んでみる。
だがコヤンスカヤはこの時知らなかった。
自分の力が最早人間並みにしかなかったことに。
この見知らぬ建物の妖気により、彼女は知らぬうちに力を奪われていた。
そうとは知らずコヤンスカヤは物音のした方まで行くと、閑散とした大広間までたどり着く。
今コヤンスカヤがいる場所は2階のようで、更に3階4階と続いており、階段や廊下がいり組むような不思議な構造をしていた。
寂寞たる雰囲気に包まれた大広間を天窓から差し込む赤い月の光が照らしていた。
「廃墟、のようですが。随分と凝った造りですねぇ。…………あら」
手すりに近づき下にある大広間を見ると『男性』らしき人陰が見えた。
(あらあら、私以外にもいたなんて…………もっとも、人間の姿をした何かだったりして♪)
余裕の笑みを浮かべながら階段を降りる。
人間の男であれば利用し、ちょっとした栄養として喰らえばいい。
たとえあれが何らかの化生の類いであったとして何だというのか。
自分は人を虐げ国を傾け全ての贅を味わい尽くした
「あぁ、もし、そこの殿方♪ 少しよろしいですか~」