ふしだらな娘だと笑いなさい 作:レスリングマン
フェアプレイで試合をしようと言われてから5分後……私は通信傍受機を発見する。
これは、どうしたものか。
サンダース大付属は無名校相手に姑息な手段を取るほど落ちぶれたのか。
というより、あんなの飛ばすなんて悪手以外何でもない。
通信が筒抜けという状況など試合が始まれば私でなくても気付くだろうし、そうなれば逆にそれを利用される可能性も出てくるだろうに。
ならば直ぐに気付いた私はすぐさまこの状況を利用するのか問われれば、答えはイエスである。
この私を相手にこんな小細工は無意味だと教えてあげよう。一番屈辱的なやり方で――。
「沙織さん、これから作戦を全車両に伝えて欲しいんだけど――」
「オッケー。でも、みぽりんにしては消極的だね」
「うん。ちょっと考えがあって」
沙織さんから全車両に伝言を発信してもらう。
その内容はあるポイントにフラッグ車である我があんこうチーム(Ⅳ号戦車)を潜ませるから、他の車両は敵のフラッグ車を探索するように、という内容だ。
おそらく敵のフラッグ車は隠れている。そして、十中八九……通信を傍受してるのもその車両。
そう仮定すればこちらのフラッグ車の場所を敵に伝えて、他の車両をその場所から離れさせることには意味が出てくる。
フラッグ車を討てば良いというこの試合……敵のフラッグ車の場所が分かれば出す指示は一つ。
自陣のフラッグ車以外の全車両をあんこうチー厶が居るであろうポイントに送らせるだろう。
ならば私がすることは決まっている――。
「麻子さん、0413地点まで移動して」
「わかった……」
「あれ? 西住殿、武部殿が先程伝えていた……あんこうチームが潜伏するポイントからかなりズレているように思えますが?」
「こっちの通信は相手に傍受されてるから、偽の情報を流したんだよ。さっき、通信傍受機が打ち上げられてるのを見つけたから」
「「――っ!?」」
私はあんこうチームの乗員にだけ通信傍受の話をする。
他のチームには敢えて何も知らせない。こちらが気付いていることを悟らせないために。
どのみち敵はフラッグ車であるあんこうチームに近付いて来てるのだから、仲間たちは安全だし……。
「なるほど、フラッグ車の場所を敢えて漏らすことで、敵をおびき寄せて……その間にこちらが相手チームのフラッグ車を見つけるのですね。さすがは西住殿、見事な作戦です」
優花里さんも察しの良さは流石だよ。
でも、ちょっと惜しいかな。
私に小細工を仕掛けたんだから、もっと屈辱的な敗北を味わって貰わなきゃ――。
『サンダース大学付属高校、シャーマン・ファイアフライ走行不能!』
とりあえず、遠距離から狙ってこられると鬱陶しいファイアフライが狙撃しやすそうなポイントを予測して、待ち伏せ――撃破に成功する。
フラッグ車を四両撃破すれば優勝とか言ってる私だけど……力を誇示するのも嫌いじゃない。
あと八両……仲間の子たちがフラッグ車を見つけるまで何両生き残ることが出来るかな……?
◆ ◆ ◆
『サンダース大学付属高校、フラッグ車……走行不能! よって、大洗女子学園の勝利!』
今日は七両撃破か。華さんの腕も順調に上がっているし、準決勝くらいには大会ナンバーワン砲手を競うくらいには成長しそう。
麻子さんは既にナンバーワンかもしれない。私の指示に完璧に応えてくれた。
優花里さんの装填スピードは文句なしだし、沙織さんは声も顔も可愛い。最高のチームに仕上がりつつある。
他のみんなも順調に成長している。
フラッグ車を仕留めたのはカバさんチーム(Ⅲ突)だけど、アヒルさんチーム(89式)が誘導して、カメさんチームが奇襲を仕掛けて履帯を破壊という連携も見られたので、チームの総合力は間違いなく上がっていた。
特に角谷先輩は砲手としてかなり優秀になってるし……。河嶋先輩に
ウサギさんチーム(M3リー)だけは撃破されて残念だったね。でも、可愛い子たち揃いの後輩だし……怒らずに後で優しく教えてアゲル。
ということで、大洗女子学園は初戦を無事に勝利することが出来た。
生徒会の先輩たちはかなり安堵の表情を見せている。
彼女たちからすれば、体の売り損になるかどうかの瀬戸際だから当たり前か。
「エキサイティング! とても良い試合だったわ!」
試合後の挨拶をしたとき、ケイさんは満面の笑みで私に抱きつく。
なんだろう。この違和感……。
もしかして、この人は通信傍受のことを知らない……?
「ええ、素敵な試合でした。まさか、こちらの通信を傍受してくるとは思いませんでしたが」
「えっ……? それってどういう意味?」
ああ、やっぱりケイさんは知らないっぽいなぁ。
これでしらばっくれてたら、大した役者だよ。
「言葉のとおりです。通信傍受機らしい物体を上空に発見したので、試合開始から間もなくして、0415地点にフラッグ車を待機させると通信を出しました。すると全車両でそこに押し寄せて来ましたので笑いそうになりましたよ」
「確かにアリサがいきなりフラッグ車の座標をピンポイントで指摘して全車両を向かわせたのは変だと思ったけど――」
「フェアプレイを謳うケイさんが……そんな姑息な手段に訴えるなんて、本当のことを言うと失望しました」
でも、ここはケイさんも共犯ってことにしなきゃ……。
罪悪感を植え付ければ、後でこの人で遊ぶときに従順になりやすいだろうし。
「わ、私はそんなアンフェアなこと――」
「もちろん、別に確実に勝ちに来ることが悪いとは思いません。でも、ケイさんとはフェアプレイで試合をする約束をしてましたから……正面からぶつかりたかった……。残念です」
「ソーリー、みほ。でも、本当に――」
「今度は約束守ってくださいね。信じてますから」
私は涙を浮かべながら言いたいことだけ言って、ケイさんに背を向ける。
お人好しの彼女は私に悪いとか思ってるみたいだ。
多分、フラッグ車の車長のアリサさんが独断でやったんだろうな……。
ケイさんとは連絡先交換してるし、今度の寄港日にでもホテルを借りて一日中遊ぼうっと。
ふふっ、最後のあの表情――美味しそうだったなぁ。
ケイさんを頂けそうだとテンションを上げていたら、思わぬ幸運が転がり込んできた。
まさか、こんなにも自然にエリカさんと久しぶりに楽しめるとは思わなかったよ――。
◆ ◆ ◆
「ごめんね。エリカさん……。ヘリコプターを出してもらって」
「副隊長の頼みを断るわけにはいかないです。大洗町の病院ですね。近くまで直ぐにお送りします」
麻子さんの祖母が倒れたという知らせを受けて……彼女は酷く取り乱し、泳いで大洗に向かおうとしたので私はそれを止めてエリカさんにヘリコプターを出すように頼んだ。
麻子さんの付き添いとして沙織さんもヘリコプターに乗り込み、病院へと向かう。
「もう副隊長じゃ……まぁいいか。麻子さん、落ち着いて……きっと大丈夫だから」
「に、西住さん……」
私は麻子さんの手を握りしめて、彼女に落ち着くように優しく声をかける。
これは沙織さんと麻子さんの好感度を上げるための仕草だけど、こういう積み重ねが大事なんだよね。
華さんがもう少しで恋人になりそうだから、そろそろ沙織さんも攻略したいし、麻子さんの味見もしたい。
しかし、病院には沙織さんと麻子さんだけに行ってもらった。
大勢で騒がしくしても迷惑だろうと気を使ったフリをしたが、目的は別である。
私とエリカさんは目を合わせるとうなずき……、適当な格好に着替えて……ホテルの一室にチェックインした。
「ふ、副隊長……、わ、私……。んんっ♡」
泣きそうな顔をしながら、エリカさんは私の唇を奪いながら舌を入れ……熱烈なキスをする。
長い間、仕込んだだけあって……誰よりも上手な口づけに私の興奮も最高潮に達した。
「エリカさん、可愛い……」
「ずっと寂しかった。副隊長……、愛しています……。ちゅっ♡ んんっ♡♡」
キスをしながら服を脱がしてくるエリカさん。
まったく、待てが出来なくなってるなんて……。
ちょっとだけ躾をしちゃおうかな――。
すみません。よく考えたらケイは後回しの方が自然だったので、こんな感じになりました。
次回はエリカとの絡みとか、ケイの導入とかその辺を書ければと思ってます。まほは放置されてて可哀想……。