※この作品はR-18です。

マザーハッカー   作:伊駒辰葉

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当時、描写のみすればいいや、的な感じで書いたので、ストーリーもなにもありません(汗)


乱れる時

 吉良(きら)優一郎(ゆういちろう)は言われるままに由梨佳(ゆりか)の白衣に震える手を伸ばした。床に座り込んだ由梨佳の目は潤んでいる。その目がどこを見ているのかは判らない。優一郎は緊張で自分の身体が強張るのを感じながら、由梨佳が身に着けている白衣の裾をつまんでめくった。

 

 由梨佳は身体を小刻みに震わせて何かを堪えるような顔をしている。研究所の冷たい床に手をついて肩を上下させている由梨佳は、優一郎が白衣をつかんでも止めなかった。虚ろな眼差しでどこかを見つめている。

 

 溜まってきた唾を飲み下し、優一郎は由梨佳の白衣のボタンに手をかけた。下から一つずつボタンを外す。荒い息をつく由梨佳を見つめる優一郎の顔も少しずつ赤くなっていた。

 

『優一郎、パンティはどう? 股間の液漏れの状況はどんな感じ?』

 

 通信機越しに絵美佳(えみか)の声が聞こえてくる。優一郎は思わずびくりと身体を震わせ、目を見開いた。黙っていると絵美佳が再び同じ事を問いかけてくる。優一郎は心の中で由梨佳に詫びながら紺色のタイトスカートをめくり上げた。

 

 壁にもたれた由梨佳はスカートをめくった優一郎に何も言わない。黙って目を潤ませているだけだ。優一郎は由梨佳の顔を見やってから視線を落とした。ガーターベルトに支えられたストッキングに先に目を奪われてしまう。黒いストッキングを支えるベルトに何気なく手を触れると、それだけで由梨佳が身体を震わせた。

 

「えっと、くっ、黒!」

 

 由梨佳の様子にうろたえた優一郎は叫ぶようにしてそう言った。すると絵美佳があからさまにため息を吐く。

 

『優一郎、落ち着きなさい。パンティの色を訊いてるんじゃないの。合成愛液の分泌状況を教えて。あと、愛液以外に廃液やオイルは漏れてない?』

 

 流れるような指示を受け、優一郎は首を傾げた。

 

「愛液ってなに?」

 

 思ったままを絵美佳に問い掛けると絵美佳は少しの間だけ沈黙した。姉の怒りを買ってしまったのかと不安になった優一郎は、慌てて何かを話し掛けようとした。だが何をどう話し掛けていいのか判らない。

 

 優一郎は由梨佳のスカートの裾をつかんだまま狼狽した。すると再び耳元にため息が聞こえてくる。

 

『性交時に女性器から分泌される潤滑液よ。セックスのやりかたはいくらなんでもわかるわよね?』

 

 静かな声で絵美佳が訊ねてくる。優一郎はセックスに関する僅かな知識を記憶の奥底から何とか引っ張り出した。前に友達と一緒にその手のビデオを見たことがある。あの時は何の気なしに見ていたのだが、まさか由梨佳があの女優と同じような状態になっているということなのだろうか。そう考えた優一郎の頭は混乱した。

 

「し、知ってるけど……」

 

 自信なさそうに応えた優一郎に絵美佳はそう、とだけ返事する。優一郎は絵美佳が怒っていないことを悟り、内心で胸をなで下ろした。

 

『ママの身体は機械仕掛けの作り物だけど、セックスは可能なように作られているわ。だから生身の人間と同様に性的に興奮すると愛液が女性器から分泌される仕組みになってるの』

 

 性的に興奮……と優一郎は思わず口の中で絵美佳のせりふを繰り返した。改めて由梨佳を見下ろす。黒いストッキングを支えるベルトが由梨佳の身体の震えに合わせて微かに揺れている。優一郎は幾度か瞬きをして由梨佳の太股に手をかけた。

 

 いつの間にか由梨佳は潤んだ目で優一郎を見つめていた。濡れた唇が嫌に赤く見える。母親だということも忘れさせる若々しい姿の由梨佳を眺めていた優一郎は、次第に下半身が熱くなるのを感じていた。

 

 由梨佳が荒く息を吐きながら優一郎を見つめ、自分から足を開く。由梨佳の足を支えた優一郎は由梨佳の動きに目を見張った。

 

『早く、確認して。ママの股間はどうなってる?』

 

 絵美佳にそう急かされ、優一郎は頬を赤くしながら由梨佳の下着を覗き込んだ。下着の底はしっとりと濡れている。下着が受け止めきれなかった愛液は、腿を伝って床に落ち、小さな水たまりになっていた。

 

「えっと、その、おもらししたみたいにぐっしょり濡れてるけど」

 

 まるで尿を漏らしたような由梨佳の様子を優一郎は正直に報告した。すると通信機の向こうで絵美佳が小さく笑う。だがすぐに絵美佳はさらに問い掛けてきた。

 

『えっと、漏れてる液の種類はわかる? 愛液だけなら無色透明、廃液が混じっているなら赤褐色、オイルが混じってたら黒っぽくなるはずなんだけど』

 

 言われるままに優一郎は下着をじっと見た。床に零れている液体の色は無色透明だが、下着に染み込んでいる液体の色までは判らない。見た目には下着の黒い色が濡れた部分だけ濃く見えるのだ。

 

「見ただけじゃわかんないよ」

 

 優一郎は困惑してそう答えた。由梨佳は相変わらず呼吸を荒くしたまま優一郎をじっと見つめている。その視線を受け止めるだけで何故か余計に下半身が熱くなる。優一郎は泣きたい気分で天井を仰いだ。

 

『あ、そうか、ママってば黒い下着穿いてたんだっけ?』

 

 絵美佳がそう告げて少し笑う。笑い事じゃないってば、と内心で文句を言いながら優一郎は無言で頷いた。

 

『じゃあ、下着も脱がせなさい』

 

 耳に飛び込んできた絵美佳の言葉に優一郎は慌てて首を横に振った。

 

「そんなことできないよ!」

 

 思わずそう叫ぶ。だが優一郎の叫びを受けた絵美佳はふうん、と答えた。嫌に冷たい声だ。優一郎は反射的にあの、と絵美佳に呼びかけた。

 

『このまま放っておいたらママは壊れちゃうかもしれないのよ? それでもいいの?』

 

 冷ややかな絵美佳の声に優一郎は慌てて首を横に振った。そして由梨佳を見下ろす。由梨佳は潤んだ瞳でじっと優一郎を見つめていた。少し開いた赤い唇は濡れている。黒い下着と零れる愛液。艶かしい由梨佳の様子に優一郎は誘われるように下着に手を伸ばした。

 

 そっと下着の脇に指を当てる。そこでふと優一郎は顔を上げた。もしかして下着を脱がせるにはこれを何とかしなきゃならないんじゃないのか。そう呟いてガーターベルトに手をかける。だがどうやったら外れるのかが判らない。焦った優一郎はベルトを指でつまんで泣きそうな顔になった。

 

『どう、脱がせた?』

 

 優一郎の困った様子をまるで見ているようなタイミングで絵美佳が訊ねてくる。だが焦った優一郎はその不思議さに気付かなかった。泣きそうな顔で天井を見る。

 

「ベルトみたいなのがあるから脱がせられない……」

『ガーターベルト着けてるのね。解ったわ。パンティを鋏で切っちゃいなさい』

 

 即座に絵美佳がそう返してくる。優一郎は驚いて思わずベルトから手を離した。だが絵美佳は切りなさい、と繰り返す。仕方なく頷き、優一郎ははさみを取りに立ち上がった。机の上の筆立てに入っていたはさみを取り、再び由梨佳に向き直る。

 

 震える手で下着の両脇にはさみを入れる。優一郎ははさみを離れた床に放り、由梨佳の太股に再び手をかけた。ゆっくりと下着の前部分をめくる。すると愛液が糸を引いて床に落ちた。

 

 女性器が剥き出しになる。優一郎は息を飲んで蛍光灯の明かりに晒された陰部を凝視した。初めて間近に見る由梨佳の陰部は透明な愛液でしとどに濡れている。唇によく似た小陰唇は半開きになっており、膣口が僅かに覗いている。

 

「ぬ、脱がせたよ!」

 

 優一郎は絵美佳にそう叫んだ。動揺したために勝手に声がひっくり返る。教科書でしか見たことのない女性器に優一郎の目は釘付けになっていた。

 

『まず、液漏れの様子をレポートして』

 

 穏やかな声で絵美佳がそう告げる。優一郎は唾を飲んでそっと息をついた。言われたままに由梨佳の陰部を覗き込む。

 

「透明の液しか漏れてないよ」

 

 優一郎の声は緊張しすぎで掠れていた。だが絵美佳はそんな優一郎を笑うことはない。静かに続ける。

 

『わかったわ。じゃあ、今度は女性器を匂ってみて』

 

 匂う。優一郎は言われるままを口の中で繰り返し、由梨佳の女性器に鼻を近づけた。由梨佳は黙ってされるがままになっている。

 

「ミカンみたいな、ええと、なんだっけ」

 

 答えながら優一郎は懸命に記憶を手繰った。だがどうしても何の匂いなのかを思い出せない。情けない気分になりながら優一郎は何度もええと、と繰り返した。すると耳に小さな笑い声が届く。

 

『柚子よ、柚子。ママの合成愛液には柚子の香料が含まれてるの』

 

 答えを教えられ、優一郎はなるほどと頷いた。だが優一郎は絵美佳の言うことをあまり聞いていなかった。由梨佳の陰部がどうしても気になる。じっと凝視していると自然と身体が熱くなる。いつの間にか優一郎のペニスは下着の中で勃起していた。それがどういうことなのかを考える余裕などない。ただ、由梨佳の陰部に目を奪われる。

 

『柚子の匂いだけなのね? オイル臭かったり、焦げ臭かったりはしないのね?』

 

 絵美佳がそう続ける。優一郎はその声に慌ててもう一度、由梨佳の陰部の匂いを確かめた。頷いて顔を上げる。

 

「うん」

 

 それだけを答え、優一郎は由梨佳に目を戻した。何かにとり憑かれたように陰部を覗き込む。だが由梨佳は嫌がる素振りすら見せない。それどころか優一郎に足を開いてみせる。優一郎は音を立てて唾を飲んだ。

 

 優一郎も年頃だ。人並みには女性の身体に興味もある。それが母親だということも忘れ、優一郎はひたすらに由梨佳を観察した。ペニスはとっくに勃起している。それを刺激したい衝動に駆られる。自然と優一郎の呼吸は荒くなっていった。

 

『内部メカに損傷はないようね。だいたいわかったわ』

「え」

 

 優一郎は慌てて顔をあげた。絵美佳の声には安堵が含まれている気がする。もしかしてもう、由梨佳を観察するのは終わりなのだろうか。優一郎がそう思った時、絵美佳は続けた。

 

『ママの様子から考えて、オナニーで性器を酷使しすぎて破損した可能性もあったんだけど、そっちは違ったようね』

 

 それを聞いた優一郎は目を丸くした。

 

「オナニーって」

 

 優一郎は呆然と訊き返した。だが絵美佳からは動揺した様子は伝わってこない。代わりに小さく笑われる。

 

『オナニーは自慰とも言うわ。自分で性器を刺激して快感を得る行為よ。ひとりえっちね』

 

 きっぱりとそう言われ、優一郎は引きつった。だが何故か下半身は余計に熱くなる。優一郎は引きつりながら由梨佳から目を逸らした。見ているだけで由梨佳が一人で女性器を刺激している様子が想像できてしまったからだ。

 

「母さんがそんなこと、ほんとに?」

 

 艶かしい姿をした今の由梨佳を見ていると、それもあり得るかも知れないと思ってしまう。だがそんな自分の考えを否定しながら優一郎はそう訊き返した。

 

『当然じゃない。特にママはヒューマノイドだし』

 

 何を判りきったことを。そう言いだしそうな口調で絵美佳は答えた。だが優一郎の心の中には疑問が浮かんだ。ヒューマノイドだし、という絵美佳の言葉が引っかかる。確かに由梨佳の身体は機械で出来ている。だがそれと自慰行為がどうして繋がるのだろう。

 

 そんな優一郎の心の内を察したように、絵美佳が続けた。

 

『もしかしたら、ヒューマノイドの特性を知らなかったの?』

 

 呆れるでもない、ごく普通に絵美佳は問うた。優一郎は素直に頷き、次に口に出してうんと答えた。

 

『ヒューマノイドが人間の脳と機械の身体を組み合わせた機械人間なのは知ってるわよね?』

 

 そして絵美佳は由梨佳の身体の特性について説明を続けた。

 

 人間の脳で機械の身体を制御するにはどうしても負荷がかかってしまう。父、総一郎は最初、由梨佳を改造した時はそのことを知らなかったという。絵美佳の説明を聞きながら優一郎は黙っていた。自然と視線は由梨佳に注がれる。

 

 ヒューマノイド化された由梨佳は原因不明の動作不良を頻発させた。やがて、総一郎は由梨佳に性的な快感を与えると動作不良の発生確率が劇的に低下することを発見した。ヒューマノイドには性的な快感で負荷を軽減することが不可欠なのだ。そう結論付けたのは総一郎だ。

 

 説明を終えた絵美佳が息をつく。優一郎はぼんやりと由梨佳を見下ろしていた。愛液はまだ零れている。時折、由梨佳が身体を震わせて唇を噛む。由梨佳は晒された陰部を隠そうともせず、潤んだ眼差しで優一郎を見つめているのだ。

 

 まるで息子であることを忘れたかのように。

 

『だからパパはママの身体にある回路を取り付けたの』

 

 優一郎はふと顔を上げて眉を寄せた。

 

「回路?」

『性欲をコントロールして半強制的に欲情させて自慰を行わせる回路をママに組み込んだの。パパはその回路のことを“オナニーコントローラー”と呼んでるわ』

 

 強制的に欲情させる。つまり今の由梨佳がその状態なのだと絵美佳は説明した。優一郎は由梨佳を見つめ、思わず唾を飲んだ。由梨佳がゆらりと手を上げて自分の太股をつかんだのだ。優一郎に向かって足を開いてうっとりと目を細めている。

 

「じゃあ、かあさんはもう大丈夫なの?」

 

 由梨佳の晒している陰部を見つめながら優一郎は弱々しい声で告げた。閉じかけている小陰唇を左右に開いてみたい衝動に駆られるが、優一郎は慌てて首を横に振って自制した。

 

『ママは今、オナニーしてるわけ?』

 

 絵美佳の問いかけに優一郎はうろたえた。だがすぐに気を取り直す。していないことを告げると絵美佳はため息をついた。

 

『やっぱりね。オナニーコントローラーが壊れちゃったんだわ』

 

 そう告げられ、優一郎は慌てて由梨佳を見やった。由梨佳は涙の滲んだ目で優一郎を見つめている。呼吸は変わらず荒い。だが由梨佳の様子は具合の悪い人間とはどこか違う。そのことは判っていても優一郎は焦った。

 

「どうすればいいの?」

 

 もしかしたら絵美佳は由梨佳を治す方法を知っているのかも知れない。そんな望みを抱いて優一郎は問い掛けた。

 

『あんたに修理は……無理よね』

 

 間髪入れずに返される。優一郎は情けない顔で頷いた。絵美佳がため息をつく。

 

『仕方ないわね。解ったわ。すぐに戻るから。それまで、ママに性感刺激を与えて』

 

 優一郎は素直に頷き、次に慌てて顔を上げた。天井を仰ぐ。

 

「せ、性的刺激って!!」

 

 大声で喚く。だが絵美佳は優一郎の叫びを聞いても全く動揺しなかった。それどころか当り前じゃない、とまで言ってくる。

 

『なに焦ってるのよ。壊れかけた機械をメンテするだけなのに』

 

 冷ややかに言われ、優一郎はさらに慌てた。だが目だけはどうしても由梨佳に吸い寄せられる。優一郎は顔を赤くして由梨佳の顔から視線をゆっくりと下げた。ブラウスに包まれた胸。細い腰。剥き出しになった陰部。そしてストッキングに包まれたほっそりとした足。何をとっても由梨佳がいつもと違って見える。

 

 そして何より違うのは、今日の由梨佳はとても自分の母親には見えないということだ。いつも傍にいた母親の筈の由梨佳が、自分から股を開く。信じられない光景を改めて見つめ、優一郎はそっと熱い息をついた。どうしても絵美佳が言うように、由梨佳が壊れかけた機械には見えない。

 

「機械って、そんな言い方……」

 

 だがそう言いながら、自分が善意からそう告げたのではないことを優一郎はよく知っていた。艶かしい由梨佳の姿は、どうしても機械とは思えない。機械と言い切るには余りにも由梨佳は生身の女を感じさせるのだ。

 

 そして何よりその証拠に優一郎の男根は固く張り詰めている。困惑した顔で優一郎は息をついた。さっきから呼吸が変に苦しい。それが興奮しているからなのだということに優一郎は気付いていなかった。

 

『事実なんだから仕方ないじゃない。いくら身体が精巧に造られていてもママは人間じゃないのよ』

 

 冷ややかな絵美佳の言葉が優一郎の気持ちを揺さぶる。優一郎は顔を歪めて乱れた呼吸を何とか整えようとした。




主人公がまだ初々しいなあ……(ぼそ
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