※この作品はR-18です。

まさかの自分の創造した世界にクラス召喚されたが、これまで通りやりたい放題する   作:日向ネツ

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予想外の召喚

 戻ってきた。時計を見ると午前六時半になっていた。……よし。今日も問題はねえな。

 

 

 俺は何でも出来る。だから、世界の時間を操作することも造作もない。向こうに一秒しかいなくても、逆に一年中いたとしてもこちらの世界に戻れば六時半になるように設定できる。こういうところも便利だ。

 

 

 別に向こうの世界でいつまでも過ごしていても構わないが、さすがに生まれ育った世界を蔑ろにし続けるのもよくないだろう。どうせ、この世界でも俺の力は有効なんだ。そこまで尻込みすることはない。

 

 

 

 

 

 

 朝食を済ませ、歯磨きも洗顔も着替えも終えた俺は時間を見計らって家を出る。向かうのは学校だ。

 

 

 通学路を俺は心なしか上機嫌で歩いていた。別に学校が楽しみなわけじゃない。初めてにしては世界を上手く創れていることに喜んでいるのだ。

 

 

 そして、あの部屋を抜けてから世界が流れる速度を変えた。今日一日放置すれば二千年程度の時間が流れているはずだ。その時にどうなっているか楽しみで仕方がない。

 

 

 それで上手くいっているようであれば、今度はこの世界をベースにして世界を創造するのもアリかもしれねえな。地図や大陸の変動を同じにするだけじゃ、どうなるか分かったもんじゃねえから、ある程度の調整はいるだろうが、この世界に似せた非日常的な世界ってのも面白そうだ。

 

 

 

 

 

 

 そんなことを考えているうちに学校に着いた。俺は玄関で上履きに変えると二階の教室に向かう。教室に入るとすでに何人かのクラスメイトが登校してきていた。俺が来たのを見て、教室の中央で話していた男女二人が話しかけてくる。

 

「おはよう、創一」

 

「おはよ、創一」

 

 茶髪の男は爽やかに、金髪の女は適当に挨拶してくる。それに俺は苦笑しながらも答える。

 

「はようさん、ホゴにエト。今日も熱々で羨ましいこったな」

 

「とーぜんよ。アタシと光太は運命の糸で結ばれてんだから」

 

「へいへい、さいでっか」

 

 俺は金髪女――亜美の言葉を適当に流す。こいつらは本郷寺(ほんごうじ)光太(こうた)と榎本(えのもと)亜美(あみ)。いわゆるこのクラスのトップカーストの中心を務めている。どちらも有名人で本人非公認のファンクラブがあると聞く。

 

 

 だが、それも納得がいくというものだ。光太は金髪を短く切り揃え、文字通り爽やかな笑顔がよく似合うイケメンだ。おまけに成績優秀、運動神経抜群と非の打ち所がなく、人望も厚いため、このクラスのまとめ役のようなものを務めている。多少正義感が強すぎるきらいはあるが、それも愛嬌になっている。

 

 

 対して亜美は金に染めた肩まで届く程度の髪を下ろし、切れ長の鋭い瞳は本人の強い気性をよく表している。光太同様顔立ちも整っており、スタイルもいい。短いスカートから覗く白い足をチラチラ見る男子生徒をよく見る。ちなみに俺は夢の中で散々発散してるので直接的に見るような余裕のない真似はしない。まぁ、あくまで直接的に……だけどな。

 

 

 ちなみにホゴが光太でエトが亜美だ。なぜ、そう呼んでいるかは後で説明することにしよう。

 

 

 さっきは茶化したが、この二人は別に付き合っているわけではない。だが、教室ではわりと二人で話していることも多いのでそういう話題で茶化されるというだけのことだ。二人とも慣れちまったのか、この手の話題を出しても今のように流される。

 

 

 まぁ、そんなことはどうでもいい。それよりも、ぶっちゃけ、俺は高校のカースト制なんざ創作だけのモノだと思っていた。意外と現実にも存在していたようだ。まぁ、だからといって何か面白みがあるかと言われりゃ、そんなことはねえけどな。

 

 

 俺は二人と他愛ない話をいくつか交わすと、他の連中もやってきた。そいつらと一言二言交わすと、窓際の一番後ろという俺の席にして、もっとも理想的な席に鞄を置く。そのまま、光太たちの方へと戻り、話に混ざった。

 

 

 それから五分ほどして黒髪ロングの美しい少女がやってくる。一瞬だけ教室の男子共の何人かが黙る。俺はそれに呆れながら近くに来たその少女に話しかける。

 

「はよさん、カム」

 

「うん。おはよう、霧島くん」

 

 少女――神室(かむろ)皐月(さつき)は人のいい笑みを浮かべながら挨拶を返してくる。それに続くように光太も挨拶をする。

 

「おはよう、皐月」

 

「おはよう、光太くん」

 

 皐月は俺に向けたモノと変わらない笑みを浮かべて答える。それに光太は満足げに頷く。

 

 

 神室皐月。こいつは教室どころか学校全体で見ても有名人だ。人気的には亜美よりも上だろう。特に一部の男子からは狂信的な人気があるらしく、過激派と言われる連中がいるらしい。

 

 

 よく手入れされた黒髪にくりっとした大きな目。夏服により伸びる両腕と亜美と同レベルの短いスカートから伸びる両足は透き通るように白く、細く、しなやかで、そして、見とれるくらい美しかった。亜美ほどではないにせよ、胸も大きい。おまけに異性のほとんどを寄せ付けない亜美と違い、皐月はどんな相手にも分け隔てなく優しかった。もっとも、今までこいつに告白した男子の全てが玉砕しているらしいがな。とにかく、顔もスタイルも性格も全てがいいってことだ。おまけに頭と運動神経もいいときてる。これで人気が出ないわけがない。

 

 

 だから、俺はこいつのことをカムと呼んでいる。光太はこいつと小さい頃から付き合いがあるらしいし、本人も人望があるから名前を呼び捨てにしても何とかなるかもしれないが、高校からの付き合いかつそれなりに顔が広い程度の俺が同じ事をしたら、下手をしなくても過激派連中とやり合うことになりかねない。負ける確率はゼロだが、出来れば現実世界にいらない影響を及ぼすような力の使い方はしたくない。だが、神室と呼ぼうとすると亜美が無言の圧力をかけてくる。だから、妥協策としてあだ名で呼ぶことにしたのだ。

 

 

 けど、こいつをカムと呼ぶのは俺一人になってしまい、結局特別感が出ちまってる。だから、他の親しいヤツも似たように呼ぶようにすることで何とか誤魔化した。それが光太たちをホゴだのエトだの呼んでる理由だ。ま、これも俺なりの処世術ってヤツだ。

 

 

 さらに十五分くらいして、予鈴が鳴る。結局、この日も(・)約一名が教室に来ないまま、一日が始まった。

 

 

 

 

 

 

 四限目の授業が終わり、昼休みももう終わりに差し掛かった頃。そいつは現れた。

 

 

 癖のない黒髪にそれなりに整った顔立ちをしているものの、今ひとつ冴えない印象を与える男子生徒。そいつは学校指定のブレザーを着ながらも、学校に大幅に遅刻する形で登校した。名を十和田(とわだ)健司(けんじ)という。

 

 

 先ほど言った教室に来ていない一人というのはこいつのことだ。どうも、こいつは徹夜でゲームをしたりすることが多いらしく、遅刻することが多い。ちなみに今回は昨日一昨日に引き続き三連続で遅刻している。だが、先週は二回しか遅刻していないので、伝説とされる先月の二週連続で五日全て遅刻した記録にはまだ届いていない。

 

 

 とはいえ、遅刻とは言っても朝のホームルームの途中で来ることがほとんどだ。まだ二ヶ月ちょいの付き合いだが、今日のようにこんなに遅くに登校したのは初めて見た。

 

 

 クラス内の雰囲気が一気に険悪になる。中には十和田に憎悪に近い目を向けているヤツが何人もいる。クラスの不良グループのリーダーを気取ってる鈴木(すずき)貴通(たかみち)や光太もその一人だ。こいつらが十和田に憎悪の目を向けている理由は……すぐに分かる。

 

 

 皐月は十和田が中に入ったのを確認したと同時に駆け寄っていく。そして、屈託のない笑みを浮かべ、話しかける。

 

「あっ! 十和田くん! やっと来たんだね!」

 

「あ、う、うん。ちょっと……寝過ごしちゃって……」

 

 十和田が困ったように左手で頬を掻いている。居心地悪そうに肩をすくめているが、その理由は言うまでもなく周囲から向けられる視線だろう。

 

 

 皐月は男子だけでなく女子からも人望が厚い。彼女たちからしたら、何でこんなルーズなヤツに構い続けてるんだって感じなんだろうな。別にそこは皐月の勝手だとは思うが、ここまで十和田が我を貫くところを見れば、そう思う気持ちも分からなくはない。

 

「もう! ダメだよ! ちゃんと起きないと! ほら、寝癖ついてるよ!」

 

 そう言って皐月は背伸びして十和田の髪の毛を触りはじめる。十和田が顔を真っ赤にするが、同時に周囲からの視線も強くなる。……あー、これほっとくと暴動が起きるパターンかもな。

 

 

 これまではせいぜいが話しかける程度だったから襲撃対象に名が上がるくらいで何とか収まっていた。けど、今日はいつになく大胆だ。マジでヤバくなるかもな。

 

 

 

 

 

 

 そこで光太が立ち上がる。亜美も後を追うように続き、二人揃って俺に視線を向ける。俺は肩をすくめると光太に続くことにした。

 

 

 思惑はどうあれ、暴動が起こるのは勘弁してほしいからな。止めてくれるのなら、その方がありがたい。

 

「十和田。今日はやけに大遅刻をしたじゃないか。毎日のように皐月の手をわずらわせて楽しいのか?」

 

 光太が目を細めて、そんなことを言う。こいつは皐月に対して強い好意を抱いているからな。どこぞの馬の骨とも知らぬ相手に入れあげているのが納得いかないんだろう。

 

 

 だが、このまま任せるとド天然の皐月に黙らされるのが目に見えているので、仕方なく俺も言うことにする。

 

「てか、カムもカムだろ。十和田もガキじゃねえんだから、そこまで構う必要ねえんじゃねえの?」

 

「私が好きでやってることだからいいの」

 

「お前は良くても十和田がよくねえだろ。なぁ、十和田。お前も自分のことくらい自分で出来るだろ? そうでねえと、後が大変だからなぁ」

 

 暗にこのまま皐月に構われ続けると襲撃されるぞ、というニュアンスを含めて言う。それに気付いたのか十和田はこくこくこくと何度も首を縦に振る。

 

 

 だが、それを見て、皐月がショックを受けたような顔になる。そして、両眼から涙をわずかにこぼす。

 

「も、もしかして……迷惑だった?」

 

「い、いや……! 全然! そんなことは!」

 

 あーあー。出たよ、伝家の宝刀。女の涙。これを使われるとどんなに苦労して皐月を十和田から引き離そうとしても出来なくなっちまうんだよなぁ。主に周囲の連中が皐月を泣かせたことに対する怒りを爆発させちまうせいで。

 

 

 十和田は慌てて否定する。すると、皐月は花が咲くような笑みを浮かべる。

 

「よかったぁ。あ! 十和田くん、昼ごはん食べた? 食べてないなら……」

 

 皐月の言葉の途中で予鈴が鳴る。同時に担任の椋枝(むくえだ)涼子(りょうこ)先生が入ってくる。それに続くように教室の外に出ていた連中が続々と戻ってきた。それを見て、皐月が頬を膨らませる。

 

「むぅ……」

 

「もうあと五分で授業だ。そろそろ席に戻ろうぜ」

 

「ああ。そうだな」

 

 光太は憮然とした様子で自分の席に戻ろうとする。それに倣って、俺と亜美も続こうとするが、その瞬間、地面に魔法陣のようなものが出現する。

 

「……あ?」

 

 俺は思わずそんな声を上げてしまう。地面に出現した魔法陣。教室全体にまで広がったそれは白く光り輝いており、教室全体を照らすように徐々に眩しくなっていく。

 

「な、何だ、これ!」

 

「うわっ! まぶしっ!」

 

「み、皆さん! 早く、教室から出てください!」

 

 椋枝先生が慌てて叫ぶ。生徒たちが慌てて教室から出ようとするが間に合わない。光は一瞬で周囲を包み、俺はあまりの眩しさに思わず目を覆ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 次の瞬間、驚きの光景が目の前に広がっていた――。

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