※この作品はR-18です。

艦これのエロいやつ   作:ウマグマ

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【大淀】昼下がりの冒険

 艦娘を指揮する提督になる、その理由は何だろうかと問われると大抵の人物は「やりがいの多さ」「給料がいいから」「国防のため」と答える。

 本気でそう答える人もいるだろうが、日常的に「美女・美少女に囲まれて仕事が出来る」という、男特有の役得を理由とする者も、口にしないだけで割といるのも現実だ。

 彼――もう数年も提督として働いている――は、理想を持って入隊し、教育を受け、艦娘を指揮する立場として赴任したが。異性に囲まれて仕事をしたいから、という志望理由も、今では嫌と言うほど理解できていた。

 

 国内にある、地方基地の小さな執務室。提督を補佐する秘書艦用のデスクに座る艦娘――大淀が、書類に目を通し、不備が無いか確認をしていた。

 そんな彼女を、提督用のデスクから座って眺めながら、いつ見ても奇麗な女性だ、と彼はつくづく思った。特に、そのロングヘアが風に揺られている瞬間を切り取ると、いつでも目を奪われる。

 すらっと伸びたスレンダーな体型、凛とした表情の中に見える可愛らしさ、アンダーリムの眼鏡の下の青い瞳が彼へ向けられるたびに、彼はどきりとする物を感じていた。おまけに「大淀」の標準制服はスカートの部分が挑戦的で、顔を覗かせる腰の肌が官能的というのも、彼にとって困りものであった。

 

 大淀と彼の付き合いは長い。元々は、彼が提督になるため養成学校にいた頃に「新人の艦娘」として顔を合わせた時からの一目ぼれだった。

 提督としての仕事を行うようなって初めての頃に補佐として再会し、一旦は別の艦娘に秘書艦を任せていたが、そのうちにまた秘書艦として彼の傍に付くことになった。長らく仕事をしている内に、プライベートでもつるむようになり、仲が深まっていくうちに恋人の関係になった。

 

 書類のチェックを終えた大淀が、ニコリと微笑みを彼へ向けた。

「提督――特に問題は無いようです」

 書類を机に置きながら、大淀は答えた。

 恋人という関係にあるが、仕事場にいる時は丁寧に「提督」を彼を呼ぶのが、大淀の生真面目な所だった。そこが彼にとって愛らしく感じるポイントでもある。

「仕事もひと段落しましたね」

「ああ、お陰で暇すぎて困るくらいだ」

 彼は大淀の言葉に笑って答える。

 配下の艦娘たちは担当海域を通る商船やタンカーの護衛任務に派遣されているが、深海棲艦の目撃報告も滅多に無い海域を「まさかの時のため」に護衛しているに過ぎず、ここ暫くの間は非常事態も発生していない。残りも日常の微々たる仕事や、提督と同じく手持ち無沙汰で待機しているような状況である。

 この艦隊の指揮を任されて最初のうちは書類仕事等のやる事も多かった提督だが、最近では昼下がりには「やらなければならない仕事」が終わってしまい、後は帰還した艦隊の報告を聞くまで暇を持て余す事が多くなっていた。前線でシノギを削る一線級部隊と比較すれば、平和すぎて暇なのだ。

 そんな閑職部隊の指揮官故に、彼の昇進も遅かった。艦娘部隊の指揮をしている同期は、皆功績をあげて階級も高くなっていき、国内の小さな基地から、横須賀や呉と言った大きな基地の主力艦隊を指揮するまでに至っている。

 彼の心中は、現状維持か、それとも先を目指すかで悩んでいた。

 

「この後の予定は?」

 彼が大淀へと尋ねる、大淀は手元のスケジュール手帳――恐らく空白が多いであろう――に目を通してから答えた。

「1600(ヒトロクマルマル)に護衛部隊が帰還します、1730(ヒトナナサンマル)に次の護衛部隊の見送りです」

 大淀の言葉を聞いてから、彼は部屋の壁時計に目を向けた。時計の針はまだ1400(ヒトヨンマルマル)を過ぎたぐらいだった。

 昼食も済ませ、あらかた仕事も片づけ終わり。残るは待機の時間だけだ。

「時間がある……な」

 彼がぼそっと呟くと、大淀も「そうですね」と相槌を打った。

 少しの沈黙が流れるが、ふと大淀が咳払いを一つした。

「提督、今日は第二、第三艦隊が出払っています」

「ああ」

「恐らく、今日はこの部屋に来訪者は来ないでしょう。上層部が急ぎの用事を持ってくるとも思えません」

「そうだろうな」

 彼が返事をすると、大淀は笑みを浮かべた。

「……〝息抜き〟でも、しますか」

 少し声を小さくして、大淀はそう言った。彼は少し迷ったが、とうとう誘惑に抗う事が出来ず、思わず首を縦に振った。

 彼は席を立つと、自分の仕事用鞄を取り出した。幾つか付いているポケットのジッパーを開けた。中から、ビニール包装された、避妊具を取り出した。

 

 仕事場で〝する〟のは今に始まった事ではない。彼と大淀が互いに恋人関係になって最初の内は、休みにホテルへ行ったり、自室でセックスをしていた。ある日、仕事中に暇を持て余した時にヒートアップして身体を重ねた際、バレる危険もなくするすると成功したのが運の尽きだった。内心ではいけない事だと理解はしていても、背徳的な行為に興奮するようになった。それは大淀も一緒であった。

 特に彼女は、そういう事に対する興味が強い艦娘だった。

 艤装を滅多に回されず、内勤――それも地上勤務の仕事――に終始する事の多い彼女にとっては、戦闘も大規模作戦も無縁で、身体を動かす機会が滅多に無く、閉鎖的な基地という空間で年頃の身体を持て余し気味となれば、こうした行為に積極的になるのも時間の問題だった。

 

 

 

 

 

 流石に執務室の中でするのはまずく、二人は執務室の隣にある書類倉庫へと入り、鍵をかけた。

 書類倉庫と言えば聴こえはいいが、その実、単なる小さな物置である。執務室の半分以下の、窓が一つしかない粗末な部屋だ。

 提督の執務室からでないと入れないという間取り上、誰かがここを訪れるのは稀だ。棚には色あせたファイルや雑多な物で満たされた段ボールが積み込まれ、埃を被っており、本来の用途としては長らく使われてない。

 だからこそ、隠れて何かをするには絶好の場所であった。

 

 書類倉庫のドアを閉め、鍵をかけ、窓のカーテンが締められている事を確認すると、早速2人は抱き合って唇を重ねた。

 大淀の柔らかい唇を堪能しながら、舌を伸ばして彼女の口中に忍び込む。

「んっ……」

 ちゅくちゅくと唇の隙間から水音を鳴らして、互いに舌を絡めあいながら深い口づけを続ける。

 二人の手が、互いの身体のラインを服の上から確かめるように、這いまわる。

 暫く、口づけを堪能してから、大淀は蕩けた目で次のステップに手を付ける。

 

「それでは提督……失礼しますね」

 書類倉庫の壁に背を預けた提督へ、跪くように大淀はしゃがみこんだ。彼の制服のズボンに手を伸ばし、ベルトを外した。

 金具が外れる小さな金属音を聞きながら、彼は胸の鼓動が次第に大きくなっていくのを感じた。

 ズボンを膝まで下げると、彼の下着が露になった。下着に指をかけ、ずり下ろすと、彼の逸物が大淀の眼前に晒しだされた。

「元気にしてあげますね」

 大淀の口元に妖艶な微笑が浮かぶ。まだ興奮こそしてないが、汗や熱気を帯び、雄の臭いを漂わせ、半勃ちで大きくなりつつあるそれを目にしながら、大淀は口を開けた。

 舌先が、ちろちろと彼の逸物の先端へ触れる。彼が思わず小さな呻き声を上げる、温かい舌先が亀頭に触れる。

 それから、躊躇せずに大淀はその肉棒を咥え込んだ。

「うっ」

 提督は反射的に声が出た。

 舌先に包まれ、唾液にまみれながらも温かい大淀の口が彼の肉棒全体を包み込んだ。じゅぷじゅぷと、いやらしい水音を立てながら、やんわりと硬さを帯びつつある肉棒をたっぷりと愛撫していく。

 首を動かしゆっくりと口で抽挿を続ける。時折、亀頭だけを咥えてはカリや鈴口を舌先で舐めまわして堪能する。

 たちまち、血流が駆け巡り、彼の肉棒はがちがちと硬くなり、大きさを増していきり勃っていく。すぐに、凶暴な逸物が大淀の口中で膨れ上がっていた。

 大淀の舌先には、すでに尿とも精液とも違う、迸った情欲の滴――がまん汁が吐き出されていた。

 両手で彼の腰にすがり、リズミカルに頭を動かし、咥え込んだ肉棒を、舌先で、頬肉でたっぷりと味わい続ける。

「くうっ……いいぞ、大淀っ……」

 彼が情けない声を上げる度に、大淀は内なる肉欲が昂っていくのを感じた。すでに口の端からは泡立つ唾液がだらしなく伸び、顎先を伝わって床にぽたぽたと垂れ始めていた。

「そろそろ、出る……出るぞっ……うっ」

 決壊を伝える提督を尻目に、大淀は亀頭だけを咥えてから、一気に肉棒をしごき上げた。

 堰を切ったように、彼は勢いよく射精した。熱い精液の迸りを口内で受け止めながら、大淀は一滴もこぼすまいと、そのまま唇に力を入れ、吸い込むように咥え続けた。

 硬く膨張し脈打つ肉棒が、びくびくと吐き出すのをすべて受け止め、射精が収まるのを見計らってから、ようやく大淀は口を離した。

 唾液にまみれた肉棒を前に、大淀は口の中で転がした精液を舌に集めて、そのまま口を開いた。

 彼が引くほどの、白く濁る精液が大淀の口中に放たれていた、それを見せびらかす大淀を見て、彼の中の劣情がより大きさを増していった。

 大淀は彼の反応を楽しみながら、口を閉じて精液を味わってから、ごくり、とわざとらしく音を立てて嚥下した。喉に絡みつく精液の味が、より彼女の奥底に眠る雌の本能をくすぐった。

「お掃除、しますね」

 射精を終えて、勢いを失いつつある彼の肉棒に、大淀は再び口づけをした。

 まだ尿道に残った精液の残滓を吸いながら、舌先で彼の肉棒を丁寧に舐めていく。亀頭、カリ、裏筋と丁寧に舐めていくうちに、萎えかけようとした肉棒はたちまち元の硬さを取り戻し始めた。

「提督も、まだまだできますよね?」

「……当たり前だろ」

 彼は荒げた呼吸を落ち着かせながら、答えた。ここまで来て口淫だけで終わってしまうのは、物足りない。

「まだ、お前を味わってない」

 その言葉に、大淀はにっこりと微笑んだ。

 

 彼は大淀の腰に手を掛け、スカートを引きずりおろした。

 そのまま大淀は片足を上げて、スカートを脱ぐ。露になった腰には、まだ彼女の下着――青色の紐パンツが付いていた。それを下ろすと、すでに股間にはうっすらと、縦状に濡れた跡が残っていた。下半身を完全に露出させると、彼も同じように腰辺りまで下げられた制服のズボンを、下着ごと足元まで下ろした。

 大淀は壁へ両手をつき、そのまま腰を彼の前へと差し出した。

 突き出されたお尻を眺めながら、彼は興奮のあまり生唾を呑み込んだ。

 彼は、形も良く程よく締まったその双丘に両手を伸ばしその柔らかい肉を左右へと広げた。割れ目に隠れた秘所が、より露わになる。

 桜色の小さな窄まり――大淀の菊穴の下には、微かに湿り気を帯びた割れ目が見えた。

 両手の親指で、それをこじ開ける。愛液で濡れた秘所が開帳し、大淀の膣口がぽっかりと口を開けた。

「もうこんなに濡れてるじゃないか」

「提督のをしゃぶっている時から、つい興奮して……」

 大淀は恥じらいながらもきっぱり言い放った。

 彼は、そのまま人差し指と中指を穴に添わせた。そして、ゆっくりとその指先を膣の中へと押し込んでいった。

「ああっ……」

 大淀が甘美な声を漏らす。

 彼女の反応を確かめながら、彼は二本の指を根本まで挿入した。

 熱く、愛液で濡れた膣内をぐりぐりとかき回していく、その都度、大淀は背筋をぴくりと振るわせては、小さな声を上げていった。くちゅくちゅと粘ついた小さな水音が響く。

「いやらしい音だ……聞こえてるか?」

「は、はいっ……んうっ」

 彼の意地悪な問いに、大淀は更に顔を赤らめる。

 振り返り彼へと見せた横顔は、指だけでは物足りないと抗議するような切なげな表情だった。

 彼が指を引き抜く。愛液でたっぷり湿ったその指は、粘ついた糸をすうっと引いていた。

「待ってろ、今付けるから」

 彼は制服のポケットから、先ほど鞄から持ってきた避妊具を取り出した。封を破り、ラテックスのそれを自らの肉棒へと嵌めた。

 一度目の射精を終えてもなお、彼の肉棒は硬さと長さを維持していた。まだ物足りなかった。

「早く……提督のおちんちんを下さい……いっぱい、私をぐちゃぐちゃにして……」

 亀頭が秘所へ密着する。その先端が、大淀の入り口へと嵌められる。

 それから、一思いに腰を打ち付け、滾る肉棒を大淀の奥へと突き刺すように押し込んだ。

「あ、あ゛っ!」

 大淀が思わず大声を上げる。急いで大淀は片手で口元を塞いだ。

 自分の肉棒が、腰に沈んでいく様を眺めながら、彼は言いようのない興奮と快感に我を失いそうになった。

「相変わらず、お前の膣内(なか)は最高の具合だな」

「あっ……ありがとうございます、て、提督っ……んんっ……」

 避妊具越しでもはっきりと分かる程、大淀の膣はかれを求めようときゅう、と締まっていた。これを付けても、肉棒全体を包み込む大淀の名器は絶品の味わいだった。生ですれば、すぐにでも射精を促されそうな程だ。

「んっ……んんっ……ああっ……あっ!」

 抽挿のテンポを上げると、大淀の声はさらに激しさを増した。

 ただでさえ耳心地の良い透き通った声が、今ではしおらしい音色を奏でるオルゴールのようだった。

 引き抜く手前まで腰を引いてから、彼はより長いストロークで大淀を突いた。

「あ゛あ゛っ……!」

 子宮口を亀頭で突き上げられると、より激しい声が漏れた。

「あんまり声が大きいと、バレるかもな」

「んっ……そうなったら、2人ともおしまい……です、ね」

 大淀の苦し紛れのジョークに彼は思わず口元を歪めた。

 だが、それが却ってぞくぞくと背徳感とスリルを生んだ。ただ、プライバシーの保護された自室のベッドで交わるようでは得る事の出来ない、スリルの生む快楽だ。

 腰を掴んでいた彼の両手が、そのまま脇腹を伝い、大淀のセーラー服の下へと延びていく。

 服の下を這いながら、その手がブラの隙間へと延び、大淀の乳房へ達した。

「だめっ、そこ……もっと感じちゃう……」

 小ぶりな、しかし手の平から伝わる美しい形のそれを揉みしだくと、大淀の嬌声により色が混じった。

 身体を密着させて、動物のように交わい続ける。覆いかぶさった彼は、その鼻孔を大淀の髪に、首筋に押し付ける。

 微かに残るシャンプーの匂いと、彼女の甘い雌の香りを堪能すると、より気持ちが昂り、興奮が肉棒をより貪欲に突き動かした。

 両手の指先が、大淀の乳房の先端に触れる。乳首はすでに硬く勃起しており、その先端を執拗にいじる度に大淀の身体をめぐる快感に、さらに小さな刺激が纏わりついた。

「やあっ……あっ……だめ、もっとしてっ……!」

 口元からだらしなく涎を垂らしながら、大淀は快楽に顔を蕩けさせながら行為に没頭していく。

 彼の腰の動きも徐々に早まっていき、腰の奥底から射精の感覚がこみあげてくる。熱い精液が、出口を求めて管を駆け上がる感覚に襲われる。

「イクっ……イッちゃう……!提督ぅっ……ああっ!」

「くっ……俺もっ……出すぞっ……!」

 大淀の膣内で、彼の肉棒がぶるんと爆ぜた。迸る精液が避妊具越しに大淀の子宮口を叩いた。熱く駆け巡る快感が、脳を焼き切るような感覚に大淀は背筋をぶるぶると震わせ、残滓を搾り取ろうと、ぎゅうぎゅうと膣壁が咥え込むように肉棒を締め付けた。

 恍惚とした声を片手で必死に塞いでいた大淀が、深い吐息を漏らした。折り重なった身体ごしに、はっきりと提督の鼓動を感じながら、大淀と彼は深い満足感に浸っていった。

 身体を離し腰を引いて、彼は名残惜しくも肉棒を大淀の腰から引き抜いた。避妊具の先端は、どろりと溜まった精液で満たされていた。愛液が溢れた大淀の膣口は、ぽっかりと空いたままで、ひくひくと震えていた。

 

 

 

 

 昼下がりの情事が終わると、後は黙々とした片付けが始まった。

 見つかるとマズい物――使用済みの避妊具や、互いの体液を拭いたティッシュ等は仕事場のゴミ箱へ捨てる訳にもいかず、ビニール袋に入れて自室に戻ってから捨てる。乱れた着衣を戻して、汗や体液が放つ、セックスの臭いを消臭スプレーで消す。バレないためのこういう事をしている時間が、一番恥ずかしいかもしれないと彼は思った。

 大淀も、この時ばかりは黙々と作業をしていた。

「どう、でした?」

 一通りの隠蔽作業を終えて、執務室に戻ろうとする頃に大淀は彼に尋ねた。

「ああ。凄く、気持ち良かった」

「私もです。久々に、ゾクゾクしちゃいました」

 ふふ、と笑って見せる彼女を見てから、彼は思わず、自分がどんどんと墜ちていく気持ちに苛まれた。また、次の日も、明後日も、こうして好きなだけ彼女と欲しいままの時間を過ごしたいと、心の底から思いたかった。甘い蜜に誘われる虫のように、ふらふらと舞い込んでいきたかった。

 でも、それを思いとどまった。

「なぁ。最後までしておいて、こう言うのも何だが――やっぱり俺、このままじゃいけないと思ってるんだ」

「……提督?」

 彼の言葉に、大淀は思わず一抹の不安の色が表情に浮かんだ。

「お前とするのも好きだし、こうして暇を持て余す生活も悪くないんだ……悪くはないんだが」

 彼は所々言葉に詰まった。それでも、言わなければならないと覚悟を決めた。

「やっぱりちゃんとしてなきゃダメだと思うんだ。この閑職に甘んじてる所もあるし、軍人としてもっと活躍したいと思うんだ。地方基地の小さな艦隊で退官まで燻りたくない。でもな、まだ心のどこかで、今の環境を手放したくないという気持ちもあるんだ」

 はっきりと、そう吐露した。

「それに、今の地位から出ようとすれば、部下たちと一緒に今よりも危険な前線に行く事にもなる。俺一人だけの話じゃないんだ」

 一通り、心の中に残っていた言葉を吐きだすが、大淀は思わず言葉に詰まっていた。

 彼女からの返事が無いのを見て、彼は思わず頭を下げた。

「すまん、こんな事をして、こんな話を……」

「……大丈夫ですよ、提督」

 大淀は、そんな彼を見て柔和な笑みを浮かべた。

「第一から第四まで、日々の仕事の積み重ねで、艦隊の全体的な練度も高くなっていますし、彼女たちからも「もっと活躍できる場が欲しい」「もし前線へ行く事になっても、覚悟は出来ている」という話は聞いています。提督だけの話ではありませんよ」

 大淀はそういうと、提督の手を握った。

「大淀……」

「私はいつでも、参謀、側近、秘書艦、艦娘として提督の傍にいます。例え、それが前線であっても」

 それから、大淀は彼の胸へと飛び込んだ。

 ぎゅっ、と抱かれながら、彼は思わず胸の底から熱いものがこみ上げた。

「――恋人としても」

 その言葉を聞いて、彼は大淀を抱き返した。

「……俺、頑張ってみるよ」

「ええ。あなたなら、絶対出来るって」

 ぎゅっ、と抱き合いながらも、提督はようやく今日の残った仕事を思い出した。

「……1600(ヒトロクマルマル)に艦隊が戻ってくるんだったな」

「そうですね」

 腕時計の針にちらりと目をやった。まだ時間の余裕が残っていた事にホッとしてから、互いに向き合って顔を見た。それから、どちらからともなく顔を綻ばせて笑った。

「遅れて、理由がバレたら大目玉だな」

「ええ、そろそろ仕事に戻りましょうか」

 今後、こんな生活には戻れないだろう、と2人は思う。

 それでも、彼女と、彼なら何事も乗り越えられるだろうと、互いに確信していた。

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