キスをしていた。
唇が重なり、舌を絡める深い口付けを交わし、息苦しさも厭わないで、貪欲に求めていく。
苦しさに耐えかねて唇を離す頃には、ごつごつとした、その両手が真っ白な肌を張っていく。
なぞられ、ぞわぞわとした感触の後に、その両手が腰をぐっと掴み、引き寄せられる。
肌と肌が重なる。火照った身体を、互いの秘所と秘所を重ね合わせ、一つになる。
でも、そんな淫らな光景はろうそくの炎を吹き消すように、すっと消えた。
雨の音で、彼女は目覚めた。
自宅リビングのソファで横になっていた彼女は、ゆっくり起き上がると壁掛け時計の針を見た。時刻は夕方、すっかり暗くなった外は土砂降りの雨で、ぱらぱらと雨粒が窓ガラスを叩いていた。
寝ぼけ眼で周囲を見回すと、ソファの向かいに置かれた液晶テレビが、見る者もいないのにアメリカのTVドラマを映し出していた。初めて見るドラマのシーズン1だが、まるで中身は安っぽいソープオペラで、それが眠気を誘発するほど退屈だった事を彼女は思い出した。
「Shit...」
彼女の喉から、流暢な英語の悪態が漏れた。せっかくの昼下がりを有意義に過ごそうとしたのに、結局は昼寝で潰してしまったのが惜しかった。愛しの彼に抱かれる、まんざらでもない内容の夢を見ていただけマシだったが。
喉の渇きをふと覚えて、彼女はソファから立ち上がると、のしのしと歩いてキッチンの冷蔵庫へと向かった。
寝ぐせがやや残った髪、上は灰色のパーカー、下はジャージという、普段の派手な彼女の服装と比較すれば地味極まりない姿で、長らく日本で活動している米軍の最精鋭戦艦というイメージは、すっかり見る形も無くなっている。その長いブロンドヘアと青い瞳、モデルのように整った顔が無ければ、彼女はアイオワ級高速戦艦のネームシップ――艦娘のアイオワとわからないぐらいだった。
そんな彼女は、パーカーの上からでもはっきりと分かるほど、膨らんだお腹を携えていた。
妊娠八か月。彼女のお腹には赤ん坊がいる。
よく冷えたミネラルウォーターのペットボトルを片手に、彼女はソファへと戻ってくると、その重たい腰を落とした。
初めての妊娠という事もあって、不自由と困難の連続であったが、そんな妊婦としての暮らしも今ではかなり慣れてきた。夫の献身と、親身になってくれる先輩――同じく子供を持つ親である艦娘――の存在もあって、何とか上手くやれている。
アイオワの夫は日本の海軍軍人、それも提督と呼ばれる身分だ。妊娠によって艦娘を休業中のアイオワと違い、彼には軍務があり、仕事が終わるまで基地の近くのこのマンションには戻って来ない。おまけに、アイオワの親しい仲間たちも同じく軍務に励んでおり、友人とのお喋りで気を紛らわせる時間も限られている。
有体に言えば、退屈だった。
手持ち無沙汰の片手で、時折元気に我が子が内側から叩くようになったお腹をさすりながら、アイオワは机の片隅に置かれた写真立てに目を通す。夫である彼と出会ったばかりの、若い自分と、駆け出しだった彼のツーショット写真がそこにあった。
彼女が18歳の時、大々的に行われた艦娘への適正検査で、戦艦級艦娘の素質ありという、一世一代の当たりくじを引いた。鬱屈とした世界から抜け出したくて、アナポリスの海軍学校で艦娘になるため勉学と訓練に励んだ。
努力の結果、彼女は〝ケイト・ハンター〟という人としての名前と共に、アイオワ級戦艦のネームシップたる「アイオワ」の名を頂戴し、艦娘として躍進する事になり、その成功は控えめで消極的だった彼女の性格を、オープンで積極的な、前向きな性格へと成長させていった。
太平洋艦隊へと配属され、深海棲艦と戦っていた矢先に、横須賀の海軍基地へと転属し、日本の艦娘と共同で作戦を行うようになり、彼女の世界はより広くなった。
後の夫となる彼と出会ったのは、ちょうどその頃、共同作戦で呉の日本艦隊に派遣された時だった。彼の指揮下で戦闘を繰り広げ、勝利を導くにつれて信頼たる副官として彼はアイオワを傍に置きたがった。それに応え、アイオワは彼の部隊へ残り続けた。
そこが彼女の居場所として認められる頃には、二人は恋人の関係にまで発展していたが、立場も所属も違う二人の恋路はいずれ断たれるかと思われた。だが、武勲を立て続けたアイオワへの見返りとして――日本海軍と米海軍の政治的な事情も絡み――つい最近になって、二人は恋人の関係をようやく終わらせ、夫婦となる事を許された。
二人の新婚生活がスタートを迎え、程なくして、彼女は子供を宿す事になった。
「
写真に写る彼の姿を見て、ふと昼寝の時にみた夢を思い出す。
彼に抱かれ、たっぷりと愛される夢だった。結婚してすぐに、子供を欲しがった二人は夫婦の営みに励んではいたが、いざ妊娠してからは、体調の急激な変化や不安もあって、互いに抱いてと頼む事は無かった。
最近になって安定期に入ると、今度はその分の反動か、むらむらとした気分――性欲が増してきた。
程なくして、夫である彼が帰宅した。
海軍の制服姿のまま、駐車場からマンションのこの部屋に来るまで、滴でたっぷり濡れた傘を置いて、コートを立てかけ、ようやく一息ついた様子だった。
その片手には、仕事で使う鞄と、食品や食材でたっぷり膨らんだスーパーマーケットの袋が下げられていた。
「ただいま」
彼が玄関から上がる、アイオワは「おかえりなさい」と彼を出迎え、彼にキスをした。
「体調は大丈夫かい、ケイト」
彼は、アイオワの〝本当の名前〟で呼んだ。
仕事場では常々にアイオワと彼女を呼んでいたが、恋人として、妻として彼女と接する時は、艦娘ではなく一人の人として呼ぶ。それが二人の取り決めだ。
「何も問題なし、順調よ。この子もたまにお腹蹴ってるぐらい」
元気に答えるアイオワを見て、彼はニッコリと微笑んだ。
スーパーの袋にぎっちりと詰め込んだ食材や食品のパッケージを台所へひとまず置いて、一部を冷蔵庫に仕舞いながら、彼はアイオワへ告げる。
「すぐ作るから待っててくれよ、とびきり美味いのを作ってやろう」
恋人時代から変わらず、晩飯は互いに作りあっていた。今日は、彼が夕食を作る日だった。
「今日はどんな
彼は無言で、スーパーの袋からスチロールトレーに収まった大きな肉を取り出して見せた。
上等な国産和牛のステーキ肉を見せびらかして、ニヤリと笑う彼の口元は誇らしげだった。アイオワは、無邪気な子供のようにはしゃいだ。
「
アメリカ人の血が騒ぐアイオワへ、彼はウィンクを飛ばした。
とびきり上質な晩餐が終わり、食器を洗い、リビングで二人は映画を楽しんでいた。
退屈ではなかったが、二人のお気に入りの映画で、もう何回も繰り返し見ていた映画だった。テレビの画面では、イージス艦が、ミサイルや主砲を乱射してエイリアンの宇宙船と戦うシーンが流れている。
「交流にこんな映画を勧めてくるなんて、思ってもいなかったけれど……出会いには丁度いい映画だったかもね」
大味なSFアクション映画を見続けながら、アイオワはふと思い出話を漏らした。
今見ている映画は、呉に赴任してきてから暫く経った時に見た映画だ。
日本の艦娘が多くて、言葉の壁もまだ残っていた頃、交流会と称して彼が宿舎の娯楽室へアイオワを連れてきた時の事だった。
上映した映画の大味な内容を、酒が程よく入った高めのテンションで鑑賞しながら、互いに盛り上がって楽しげに笑った事を、二人はよく覚えている。
「つい昨日の事みたいに、思い出せるわね」
「もう5年近く経つじゃないか、あれから」
「そんなに?」
「ああ」
彼は、壁にかけたカレンダーに目を向けた。そこに踊る西暦の数字を見て、感慨深い表情を浮かべた。
「最初、横須賀の米軍から艦娘が来たって言われた時は、驚いたなぁ」
「そうね、私も呉海軍基地に配属されるなんて思って無かったもの」
自身の艦娘用のコスチュームを見て、思わず面を食らった彼の、出会った時の顔を思い出してアイオワはくすくす笑った。
「あの時はケイトもまだ日本語がぎこちなかったな」
「あなたの英語もそんなに上手じゃなかったわよ」
意趣返し、とばかりにアイオワは呟くが、懐かしげな記憶を辿る彼女の口元には笑みがあった。
「
「あれはな……ケイトの父さんが軍人だと知ってたんだが……本当にSEAL隊員とは思って無くてびっくりして……」
半年以上前の出来事を思い出して彼は苦笑いを浮かべた。
上層部に話を付け、彼女の父親へ結婚の許しを請いに大西洋周りの長旅を経て会いに行った時、彼の目の前に現れたアイオワの父親は、アメリカ海軍特殊部隊の隊員だった。思わぬ強面の――それも精強な軍人を前にして思わず萎縮した彼の英語は、アイオワが傍目で見ても心配になるぐらいしどろもどろな口調だった。そんな彼の緊張と裏腹に、軍人として互いに通じる者や信頼できると思ったのか、アイオワの父はたちまち破顔すると、快く結婚の許しを与えたのだった。
「
「俺の爺さんも大陸帰りだったし、完全な軍人の家系だなぁ」
「もしかしたら、この子も艦娘を目指すとか言い出さないかしら」
無意識にお腹を撫でていたアイオワは、ぽつりと呟いた。病院で検査を受けた際に、すでにお腹にいる子供の性別は分かっていた。女の子だ。
これから生まれるであろう、我が子へと問いかけるように、そっと続けた。
「この子が育つ頃には、平和な世界を掴めてるといいわね、そう思わない?」
「……それもそうだな」
沿岸部の安全は確保され、深海棲艦との戦争前に近い「仮の平和」を世界は維持していたが、未だに戦争に終わりは見えず、仮の平和を維持するための戦いを、二人は続けている。
それを終わらせ、本当の平和を手にする。それこそが二人が軍にいる理由だった。
* * * *
風呂に入り、互いに寝室のベッドに横たわる頃には時計の針は夜中の10時を指していた。
寝る直前まで、基地から持ってきた仕事の書類に目を通していた彼は、ようやく部屋の明かりを落とした。ベッドサイドランプの、電球色の小さな灯りが部屋を照らす。
ダブルベッドの上で、彼の隣に横たわりながら、アイオワはふと昼間に見た夢を思い出していた。
「ねぇ」
アイオワは、そっと横で彼の腕を抱いた。
「そろそろ落ち着いてきた事だし……〝して〟欲しいんだけど」
彼の耳元で、そっと囁きながら、アイオワは久々に胸が高鳴なっていた。
昼間に見た淫らな白昼夢も然り、禁欲的な日々にも限度はある。そろそろ、夫婦の営みを再開してもいい頃合いだ。昼寝のおかげか、まだ眠くは無かった。
「……いいのか?」
アイオワを見る彼の目は困惑半分といった様子だった。
「この間、念のため病院で聞いてみたけど、特に問題は無いんだって。臨月は控えた方が良いらしいけど」
自身も元艦娘と言う女医の顔を思い出しながら、産婦人科で聞いてきた話をアイオワは思い出す。
「けれど、もう長い事してないでしょ?もう半年近くお預けだし、あなたも
「そりゃまぁ……」
彼は不意に目を反らした。
その怪しげな反応を見て、アイオワは目をきゅっと細めた。
「何か怪しいわね」
「ち、違うって!」
彼が咄嗟に答えるが、アイオワはぷっ、と笑ってからやれやれといった顔を浮かべた。
「そんな事できる人じゃないって信じてるわ……で、本当の所は?」
「……一人でしてる、ケイトの事を思い出しながら」
少しの沈黙が流れる、アイオワは何も言わずに、顔を近づけて彼にキスをした。
互いに、この沈黙が「了解」だと解っていた。
互いに寝間着を脱いで、裸になる。
彼は、久々にその裸体を曝け出すアイオワの姿を見て、思わず喉を鳴らした。
「大きくなったでしょ?」
舐めまわすような彼の視線に答えながら、アイオワは笑った。
鍛え、そして絶妙な体型を維持していた肢体と、腹部の大きな膨らみが露になる。中に入ってるのは、二人の子供――待望の第一子だ。ぽっこりと膨らんだそのお腹のラインは、どこか神秘的で、官能的な線を描いている。
妊娠前から大きく実ったその乳房も、今では赤ん坊のための母乳を蓄えて、より大きく張っており、見違えるようだった。
ベッドサイドランプに照らされた、妊婦姿のアイオワを見て、背徳感が彼の背筋をぞわぞわと這った。
彼が脱ぎ掛けて手を止めたそのパンツの下では、劣情がむくむくと肉棒を硬く膨らませ始めていた。
見とれている彼を前に、いち早くベッドの上で生まれたままの姿になったアイオワは、絵画の裸婦のように、横たわって妖艶な笑みを浮かべた。おいで、と手招きをする。
乗り遅れるな、と急かされるように彼は最後の一枚となったパンツを脱いで、ベッド脇へと放った。互いに裸になると、彼はベッドの上を這うようにして、アイオワへの元へと向かう。
伸ばされたアイオワの手が、彼の首筋に回され、抱き寄せる。そのまま、再び口づけをした。
体重をかけないように気を使いながら彼女の上へと覆いかぶさる、口づけを交わしながら、肌を重ね合わせる久々の感覚に浸る。
「んっ……」
唇を重ね、舌を絡ませる深い口付けを堪能する。
互いの唾液を味わいつつも、彼の右手がアイオワの腹部を撫で、そのまま腰へと這っていく。
髪と同じブロンドの整った茂みを撫でると、彼女の秘所に指先が到達する。指先が、その陰唇にあてがわれ、くっとそこを広げた。ピンク色の花弁に、指の腹をそっと添わせる。すでに、微かな湿り気が指先に伝わった。
「んんっ……はあっ……」
口づけの合間を縫って、アイオワの口から甘い吐息が漏れる。
まさぐる指先の刺激を受けるアイオワを見て、彼はさらに刺激を続ける。舌と指先で、アイオワは甘く責め立てられる。
愛液で十分に濡れた事を確かめると、彼はその指先を膣口へとすべらせる。入り口にあてがわれた指先は、ずるっとアイオワの膣内へと滑り込んだ。熱を帯びる膣壁が、両指を包み込んだ。
「……っ!」
彼の指を受け入れた瞬間に、アイオワの背筋が、一瞬だけぶるっと震えた。
「痛かったか……?」
気遣うような彼の声に、アイオワは首を左右に振った。
続けて、ちゅくちゅくと音を立てながら中指と人差し指が、アイオワの膣内をかき回す。愛液でたっぷりと濡れる温かい感触を確かめてから、彼はそっとその指を引き抜いた。
蜜の中に入れたかのように、愛液でたっぷりとぬめった両指を見て、二人は思わず息を呑んだ。
「……ゴム、付けてくる」
彼はそう言うと、一旦アイオワの元を離れた。
ベッドの上で待たされながらも、アイオワはすっかり火照った身体のまま、紅潮した顔で彼を待った。
結婚する前までは一度も生でした事は無かった、と思い出した。今はもう避妊を気にしなくてもいい――既に彼の子を孕んでいるから――が、アイオワにはちゃんと気遣いをしていると、理解は出来た。
部屋の片隅にあった引き出しを開けて、ようやく避妊具の箱を掴んだ彼は、そこから1個を掴み、開封して肉棒の先端にあてがった。薄い、ピンク色のラテックスに包まれた肉棒は、先ほどからがちがちに隆起し、逞しくそそり立っていた。
「
久々に見る、彼の逞しい男性器にアイオワは思わず声を漏らした。
ベッドの上へと戻ってくると、アイオワは寝転がって、腰を突き出した。後側位の姿勢だった。
「姿勢がキツいから……こっちからお願いね?」
「ああ」
彼も同じ姿勢を取る。腰を重ねるうちに、アイオワのお尻に熱い肉棒の感触が触れた。
久々の〝その瞬間〟に、アイオワは鼓動が高鳴るのを感じていた。身体に触れた先端が徐々に下がっていき、秘所の入り口に当てがわれた。
「挿入いれるぞ」
彼の言葉に、アイオワがこくりと頷いた瞬間、ずるっと先端が膣口を押し開き、差し込まれた。
「あ、ああっ……!」
恍惚とした声が、喉奥から否応なく漏れた。
焼ける鉄棒のように熱を帯びた、彼のモノを、アイオワは受け止めた。
挿入された亀頭が、優しくアイオワの奥底にキスをした。
「動くぞ、いいか」
彼の問いに、アイオワが頷く。腰をゆっくり動かすと、彼女の膣内で硬い肉棒がぞりぞりと膣壁をなぞりながら、動いた。
「んっ、はぁっ」
その甘い刺激にアイオワは、微かに鳴いた。
気を遣って、深く突き上げない浅く、優し気なストロークで彼の肉棒が膣壁をこする。
「んっ……あっ……ああっ……!」
一番感じやすいポイントを探りながらの抽挿に、アイオワは甘い声で鳴き続ける。
じんじんと、徐々にこみ上げる熱と刺激。
彼の体温を、身体を、確かに感じながら、アイオワは優しく包まれるような交わりに脳裏を焦がされていく。
後ろから回された彼の手が、太ももから腰にかけて撫でていく。そして、その手の平はぷっくりと膨らんだ腹部をさすった。はちきれんばかりに膨らだそれを愛おしげに撫でていく。
中に宿る我が子を、彼女のお腹越しに触りながらも、抽挿は徐々にペースを上がっていく。
その片手は、上へと上がっていき。たわわに実る乳房へと延びた。ただでさえ大きかったその二つの果実は、更に大きさを増して、浅く腰を突く度に揺れていた。
「やっ、あっ、ああっ、んんぅっ……」
乳房を揉みしだかれながら、アイオワはそろそろ快楽が強く弾ける瞬間が近づいていると感じていた。
じわじわ迫りくるそれと重なるように、彼の腰の動きも早さを増していく。後ろから聞こえる彼の吐息も、徐々に感覚の短い呼吸へと変わっていく。
肉を打つ音が激しさを増し、じわりと肌ににじみ出た汗が、しっとりと身体を濡らす。
雌と雄の匂いをこく混ぜ合いながら、彼が〝決壊〟の時を告げる。
「もう、出るっ……」
「いいわ、イって、私を飛ばして……あっ、ああっっ!!」
快楽の大きなうねりを受けて、身体をピンと張らせ、アイオワはベッドのシーツを掴みながら、喉奥から嬌声を漏らし絶頂した。
「くうっ……」
きゅっ、と反射的に膣内で締め付けられた瞬間に、彼も情けない声を上げて射精した。がっちりと硬くなった肉棒が震え、身体の底から湧きあげられた情欲の塊が、出口を求めて鈴口からびゅくびゅくと吐き出された。
膣内でびくびくと脈動しながら吐き出される熱い精をラテックス越しに感じながら、二人は脳裏を走り、身体を満たす甘い快楽の余韻に浸った。奥まで挿入された先端が、彼女の奥にある、子供の部屋を優しくノックした。
互いの乱れた呼吸が落ち着くと、彼は惜しみつつも繋がった膣内から、肉棒を引き抜いた。
亀頭の部分から垂れ下がった避妊具の先端は、たっぷりと出されたどろどろの濃い精液で満たされていた。そのまま生で受け止めたら、赤ん坊まで溺れてしまいそうだと錯覚するほどの多量の放出に、アイオワは驚いた。
「とっても溜まってたのね……」
アイオワはそう呟きながら、寝返りを打って彼へと向き直った。
そのまま、彼と再び口づけを交わした。
「満足した?」
唇を離してから呟いた彼の言葉に、アイオワは微笑と共に頷いた。
* * * *
汗を軽くタオルで拭きながら、アイオワはベッドの上で事後の余韻に浸っていた。
たっぷり愛されて満足な夫婦の営みを堪能した所で、ようやく眠気が身体へと回ってきた。
互いにベッド脇に放り捨てた下着や、寝間着を拾って着替えている内に、彼がふと呟いた。
「……明日休みだからさ、ベビーベッドを買いに行こうと思うんだ」
その言葉に、アイオワは頷いた。
基地のすぐ傍にあるこの町へ居を構えてから、ベビー用品店や家具屋などは目星をつけていた。いずれ必要になるから、とアイオワも彼と一緒に下見に出掛けていたのを思い出していた。
「確かに。そろそろ買わなきゃね」
店までの道のりを思い出しつつも、アイオワはふと外の空気が恋しくなった。
妊娠中のため艦娘の仕事も休業中で、おまけにここ数日は雨の日が続いていたせいで、自主的な「引きこもり」状態になっていた事を思い出す。
アイオワは、ベッド脇に置いた自分の携帯を手に取って、天気情報を調べた。明日は、晴天を示す太陽のマークで埋め尽くされていた。
そうなると、単なる買い物では終わらせたくないのが心情だった。
「最近は雨ばっかりで、中々外に出る機会もなかったし……いいタイミングよね」
「あと、たまには外食して映画でも見に行きたいな……どうだ?」
「映画もいいわね、買い物もしたいし……」
頭の中で、あれもこれもと考えながらアイオワは明日の事について思いを巡らす。まるで子供の頃にピクニックを楽し気に待っていた時のような、ワクワクする気分だ。
そして、こうした二人の時間が、近い内に〝三人〟の時間になり、子供と、彼と共に人生を過ごす時間になるのだろうと思うと、感慨深い気持ちになった。もっとも、人生何があるか分からないし、困難と苦労もあるだろうし、艦娘としての仕事も、まだ残っている。
それでも、これからの事は楽しみで仕方なかった。
寝間着に着替え終わった二人は、布団に潜り込んだ。
ベッドサイドランプの電源を落とすと、窓から漏れる夜の明かり以外は、何も見えなくなった。
身体を動かした疲れで眠気がどっと押し寄せてくる、二人は、眠気に身を任せながら、互いに呟いた。
「……
「……
アイオワは、今日はぐっすり眠れそうだと微笑みながら、微睡に包まれていった。
いい夫婦の日(11月22日)に上げるつもりだったのに遅刻しました。