※文章を少し追加・修正しました。
────────────────
「………………もう朝か」
ある日の朝、風吹陽は目を覚ます。
昨夜、彼は残業で夜遅くまで会社に残っていたため、帰宅が遅くなってしまい、十分な睡眠時間を取れていなかった。
しかし、原因はそれだけでない。
「…………暑い」
彼は今、妻であるヨウに抱きつかれている。
クーラーはタイマーによって既に機能を停止していた。そのため室内は只今28℃を超えている。
「ヨウ、起きて」
「んー………………」
陽はヨウを揺さぶるが、ヨウは起きるどころかさらに陽に抱きついてきた。彼女も陽と同じように汗を流しているため暑いはずなのだが、一向に離れようとはしない。しかし彼もこのままではいけない、仕事が待っているのだから。
「…………なんだか汗臭いなー」
「え!?嘘!?」
陽の言葉にヨウは飛び起き、自分の身体の臭いを嗅ぐ。
「嘘だよ」
「………………」
ペチッ
「いてっ、何するの」
「………………自分で考えろ、バカ」
そう言い残すと、ヨウは怒ったように部屋を出ていく。
「……はぁ、朝から大変だなぁ」
これが陽とヨウの一日の始まりである。
「……ヨウ?」
「………………」
台所に向かうと、ヨウが朝食を作っていた。
結婚してからというもの、2人はこうして家事を分担している。
今日はヨウがご飯当番、陽がお風呂当番である。
しかし、今朝のヨウは何処か不機嫌であった。
「……もしかしてさっきのこと怒ってる?」
「…………」トントントントントントントンッ
ヨウは無言で葱を勢いよく切っていく。
「いやさ、流石にさっきのは言いすぎたよ。ごめん」
陽は頭を下げる。
「…………陽」
「ん?何ヨう!?」
陽が頭を上げると同時に、ヨウは彼の唇に口付けを交わす。舌で歯茎を撫でるように舐め回し、次に舌と舌を絡ませる。
「ぷはぁ……ねえ、陽」
「?」
「…………私、汗臭い?」
「え?いや、特には」
「……そっか、なら良かった」
「え?」
「ほら!朝ごはん作るからどいたどいた!」
「え?ちょっ(どういうこと?)」
ヨウの表情は先程と打って変わって明るくなる。
このヨウの言動について、陽は終始首を傾げていた。
「ほら、出来たよ」
「うん、ありがとう」
ヨウは机に朝食を運ぶ。今日のメニューは、葱とベーコンの入った卵焼きとほかほかに炊けた白米である。
「今日は上手く焼けたから、美味いはずだよ」
「そっか、いただきまーす」
陽はヨウの作った卵焼きを箸で半分に分け、口に運んでいく。
昔はいつも焦がしていたヨウだが、今はこのとおり、焦がすことなく作ることができる。
「どう?」
「うん、いつも通り美味しいよ」
「そう、良かった」
ヨウは嬉しそうに微笑む。
「さて、私も準備しないとなー」
「あれ?今日は仕事なの?」
「うん、ちょっと魔王様に甘々なお声を届ける仕事をな」
「?どういうこと?」
「簡単に言えば声優の仕事かな」
最近のヨウは、GIRLSの活動の1つとして声優業にもチャレンジしていた。今はとあるゲームのキャラクターの声を担当しているようである。
「でもヨウが他の男の人に甘え声だすのかー……ちょっと複雑だなぁ」
「大丈夫だって……私にとっての魔王様は陽だけだからさ」
「……何言ってんの?」
「………………」
バチンッ!
「いって!なんでまた殴った!?」
「もう知らない!阿呆!」
ヨウは再び怒ったようにそっぽを向く。
────────────────
「なんてことがあったんだよ」
「相変わらず鈍感だね」
「全くだぜ」
とある控え室、アフレコの休憩時間、ヨウは親友であるユカに今朝の愚痴をこぼしていた。
「そういえば、ジャッパは旦那とは上手くいってんの?」
「うん、時々喧嘩するけどね。普段は仲良くしてるよ。今朝もお互いの汗の臭いを嗅ぎ合ったし」
「ふー……ん?」
「どうしたの?」
「い、いや、なんでもない」
ヨウは先程のユカの発言に違和感を持ったが、気が付かなかったことにした。
「それにしても……いくらなんでも食べ過ぎじゃない?」
「モグ……なんか最近甘いもんとか酸っぱいもんが食べたくなるんだよねー」
「それって…………」
ユカの脳裏にある考えが過ぎる。
「……あ、もうそろそろ時間だ」
「え?あ、じゃあ行こっか」
「おう……あれ」
「どうしたの?」
「いや……なんか……!?」
ヨウは突然口元を抑え、何かを吐き出すような仕草をとると、
「ば、バッサーちゃん!?」
「う…………おぇぇ!」
その場で吐瀉物を吐き出した。先程食べたお菓子が、彼女の口から流れ出るように外へと出される。
「だ、大丈夫!?しっかり!」
ユカはアワアワと大量の汗をかきながら、尚も吐き続けるヨウの背中を擦り続ける。
────────────────
「はいこれ」
「え?これは?」
その日の帰り、陽は上司から白い箱を手渡された。
「遅れたけど結婚祝い、お菓子だから早めに食べてね」
「あ、ありがとうございます」
「それじゃ」
上司はそのまま陽に背を向けて去っていく。
「…………あの人には頭上がらないな……」
陽にとって、あの上司は数年間ともに働いて来た仕事仲間であり、怒ることはあっても、見捨てようとはしない、陽の理解者であった。
「……ところでなんのお菓子だろ?これ」
────────────────
「ただいまー」
その日の夜、陽はいつもより少し遅く帰宅した。いつもならヨウが出迎えてくれるはずなのだが、今日は出迎えがなかった。
「ヨウ?」
陽が部屋に上がると、ソファの上でヨウが俯きながら座っていた。
「……陽、お帰り」
「ヨウ、どうしたの?」
「……ちょっといい」
ヨウは陽の手を引き、隣に座らせる。
「ど、どうした?」
「……実はね、今日仕事中に吐き気がして早退したの。それで身体も重いし、ちょっと怖くなって病院に行ったんだ…………そしたら」
「う、うん……そしたら?」
「……3ヶ月だって、言われた」
ヨウの言葉に、陽は唖然とした。
「さ、3ヶ月って……まさか、命『パチンっ!』いてっ」
「馬鹿、おめでただよおめでた」
「……え?おめでたって……あのおめでた?」
「うん…………赤ちゃん出来た」
ヨウは腹部を擦る。陽はあまりの出来事に言葉を失うが、直ぐに正気に戻った。
「…………」
「陽?」
「…………ねえ、ヨウ」
「?」
「僕、絶対幸せにするよ……」
「…………うん」
「…………えっと……とりあえずこれからも……よろしくね」
「…………うん」
陽の言葉にヨウは頷く。
「……あ、そうだ。今日上司の人からお菓子貰ったんだ。遅い結婚祝いだって。食べよっか」
「……うん」
陽は白い箱をテーブルに置き、開封する。
「……え」
「これって……」
2人は唖然とする。
中に入っていたのは、『BOYandGIRL』と書かれたホールケーキであった。
所謂、マタニティデザートである。
「……やっぱり凄いなぁ、あの人」
「あんたねぇ……」
──────────────
「ねえねえ、2人の名前はどうする?」
「うーんそうだなぁ……」
さらに数ヶ月が経った。
ヨウの腹部は目で見ても分かるぐらい膨らんでいる。
詳しく検査したところ、赤ん坊は双子であることが判明した。性別はまだ不明である。
「遥(よう)と要(よう)なんてどうかな?」
「何それ、親子揃ってヨウとかなんの呪いだよ」
「変かな?一応漢字の読み方も文字もおかしくならないように考えたんだけど」
「そういう問題じゃないってば……」
ヨウは呆れたようにため息を吐く。
陽の鈍さには流石のヨウも呆れてしまうのだ。
「…………ところでさ」
「ん?何?」
「最近、溜まってない?」
「溜まってるって?」
「いや、だからその…………この数ヶ月、夜の営みやれてないから」
「…………あ、そういうこと」
陽はヨウの言いたいことを察した。
溜まる……これはすなわち、性欲によるストレスのことである。
「まあ溜まってはいるかなぁ……でもお腹に赤ちゃんいるのにそんな危ないこと出来ないでしょ?」
「…………まあそうだけど」
以前、陽は同僚から妊娠中の妻とセックスを行った際、やりすぎて破水させてしまった話を聞かされていた。
それを理由に、陽は妊娠中のセックスを断固拒否しているのだ。
────────────────
「………………バカ、変に優しいんだから」
その夜、ヨウは隣で眠る陽の寝顔を見ながらそう呟いた。
最近迫って来ないのは、彼なりに妊婦である自分への気遣いということは十分理解していた。彼女にとっても気を使ってくれることは嬉しいことなのだが、同時に構ってもらえない寂しさも生まれていた。
「……中にいれなくてもエッチはできるのに」
そう言うとヨウは膨らんだお腹を抱えて布団の中へ潜り込み、陽の下半身まで移動する。
そして陽の履いているズボンとパンツを脱がせ、彼の一物を露にさせる。
「……えい」
「ん…………」
ヨウは陽の一物を軽く握る。すると陽の一物はみるみるうちに勃起していく。
「なんだ、やっぱ溜まってんじゃん」
ヨウは纏っている上着を脱ぎ、豊満な胸を露にする。妊娠している影響か、彼女の胸は通常よりも大きくなっていた。
「仕方ないなぁ、全く……えい」
むにゅうっ
ヨウは豊満な胸で陽の一物を挟む。
ジュプッジュプッジュポッ♥
そしてそのまま上下に動かし、パイズリを行う。口で亀頭を舐めまわし、さらに唾液を垂らし、パイズリの滑りを良くしていく。
「ん……はむ……♥」
ヨウは口で陽の一物を加え、貪るように頭を上下に動かす。
ジュプッジュポッジュポッ♥
「……んー……なんか股間が……ってえ!?」
「れろ……起きた?」
「な、なにやってんのヨウ!?」
「ジュルル…………パイズリ」
「いやそうじゃなくて……」
ギュウウゥッ!
「う!?」
「ほら、溜まってるものだしな!」
ヨウは胸を左右から押し付け、さらに挟み込む力を強くする。
陽の一物はさらに大きくなり、少しずつ尿道から精液が流れ始める。
ズリュッジュポッジュポッズリュッ♥
「はむ…………ん……♥」
「はぁ、はぁ、も、もう出る!」
ドピュルルルルルルル〜!!
「むぐ…………!……ん♥」ゴクッゴクッ
陽の一物から大量の精液が放たれ、ヨウはそれを喉を鳴らしながら飲んでいく。
びゅるるるっ!!!
その勢いは暫くの間止まることはなく、数十秒間、ヨウは精液を飲み続ける。
「ん…………どう?気持ち良かった?」
「き、気持ちよかったけど……てか何してるの」
「れろ……あんたの溜まってるもの吐き出させたんだよ。もう、全然やってなかったでしょ、凄い量じゃん」
「や、やる場所が無くて……」
「変に我慢するのは身体に毒だから、やりたくなったら私にいいな」
「オナニーの自己申告って…………」
ギュウウゥッ
「うお!?」
「ほら、まだまだいくよ」
その後、ヨウは何度も陽の精液を搾り取った。
────────────────
『はあ、はあ、風巻先輩!』
『い、いや!離せ!』
これはとある夢の中、ヨウはあの巨漢に襲われていた。
『俺と先輩はずっと一緒ですよ!』
ビリッ!
『ひっ!?』
ヨウはあの日、あの時と同じように服を引き裂かれた。逃げようとしても、巨漢の大きな手が彼女の身体を捕まえて離さない。
『はぁ、はぁ、先輩のオマンコ、美味しそう』
巨漢はヨウの股を開かせ、秘部をまじまじと眺めた。
『いや……助けて……誰かぁ……』
ヨウは恐怖で怯えた声をあげる。
『グエェェェェェェッ!!』
『ぎやぁぁぁぁぁ!!!!』
突然巨大な影が巨漢の頭を掴み、そのまま地面に押し潰した。
『…………あ、あんたは……』
ヨウは目の前の物体に唖然とする。
その姿はまるで鳥のようで、自分の前世である怪獣によく似ていた。
『ヨウ!』
『……陽?』
ヨウは陽の呼び掛けに振り返る。
────────────────
「…………ウ!ヨウ!」
「!?」
ヨウが目を覚ますと、心配そうに見つめる陽の顔が映る。
彼女の額及び全身からは、大量の汗が流れている。
「大丈夫?凄く魘されてたけど」
「…………陽」
ヨウは陽に抱きつき、怯えながら泣き始める。
「よ、ヨウ?」
「……私、夢の中であの男に、また犯されそうになった……もうあんなやつ忘れたいのに…………また…………」
「ヨウ…………」
回数は減っているものの、ヨウは時折、あの巨漢に襲われる夢を見ることがある。それによりフラッシュバックを起こし、その度にヨウはこうして陽に抱きつきながら泣いている。
ヨウにとってあの体験は二度と思い出したくもない、思い出すのも嫌になるものであった。
「…………でも、知らない誰かが私を守ってくれた」
「知らない誰か?」
「うん、白い鳥みたいな…………そいつが私を守ってくれたんだ」
「…………そっか」
陽は泣きつくヨウの頭を撫でる。
「……私も強くなんなきゃ……もうすぐママになるんだ…………」
「……そうだね(僕もパパになるんだ、頑張らないと)」
夢の中でヨウを助けた白い鳥、その正体を知っているものはまだいない。
────────────────
「…………ふぅ」
数十分後、陽は怯えるヨウが眠ったことを確認すると、トイレに籠り、ホッと一息ついた。
ヨウと出会ってからもうすぐ数年が経つ。
あの頃の彼女は、まるで小鳥のように弱々しく、自分を保つことに精一杯だった。そんな彼女を、陽は支え続けた。それは今も変わらない。しかし、彼もまた人であり、限界があるのだ。
「…………ぅぅ……ぅぅぅ……」
陽は腕で頭を覆うと、ヨウに聞こえないよう、声を堪えながら泣く。
今も尚、心の奥深くに付けられた傷に苦しむヨウ。その傷跡は、傍にいる陽でさえ取り除くことは出来ない。自分では、愛する彼女の傷を根本的にどうにも出来ない、その悔しさと悲しみに、陽は涙を流した。
「…………行かなきゃ」
陽は立ち上がり、ヨウの元へ向かう。
「…………あれ、ヨウ?」
暗い部屋に戻ると、ヨウが重いお腹を抱えながら、布団の上で正座していた。
「ごめん、もしかして起こした?」
「ううん、ちょっと目が冴えただけ」
「そっか……」
「ほら、早くこっち来なよ」
「うん」
ヨウは手招きするように隣をトントンと叩き、陽はヨウの隣に腰を下ろす。
「……ねえ、陽」
「?」
「……あんまり、自分を責めないでよ」
「…………」
「知ってんだよ?あんたが隠れて泣いてること」
「……なんで」
「……隠すの下手すぎんだよ、陽は」
ヨウは陽の肩に頭を乗せる。
陽が気を使って1人隠れて泣いていることを、ヨウは既に気づいていたようだ。
「……一緒に居られるだけでも、私は幸せだよ」
「ヨウ……」
「……だからさ、もう自分を責めるのは辞めて……これからは前向いてさ、4人でもっと幸せになろうよ」
「……うん」
「……いつもありがとね」
「…………うん」
陽は感情を抑えきれなくなり、とうとう泣き始める。今までヨウに隠してきた涙を、感情を、子どものように泣きながら吐き出す。
「こーら、もうすぐパパになるんだから」
「うん…………ごめん…………」
そんな陽の頭を、ヨウは優しくクシャクシャと撫でる。
もうすぐ2人は親になる、いつまでも泣いてる訳にはいかないのだ。
────────────────
「はあ、はあ、…………先輩」
その夜、とある大きな影が陽とヨウの暮らすアパートの一室を、双眼鏡を覗きながら見ていた。
「俺と先輩はずっと一緒ですよ」
グシュッ…………
「…………あれ?」
「はぁ…………はぁ…………」
「な、なんで…………」
「……自殺した娘は……俺の娘は……もっと苦しんでいた……」
「や……やめ……」
ズシュッ…………
『なお、被害者は数年前に4件の強姦事件を起こしており、数日前に出所していたとのことで…………』
「……これって」
「…………」
次の日の朝、ニュースでは、とある強姦犯が殺害されたことが報道されていた。
そう、ヨウの身体をいたぶり、自らの性欲のために無慈悲に犯したあの巨漢である。
しかも、殺害現場は陽とヨウの住むアパートからそう遠くない場所であった。
「……ヨウ」
「…………」
ヨウは俯いたまま、震えながら陽に抱きついていた。
その瞳は、あの時と同じように暗闇に落ちかけていた。
「大丈夫、僕が傍にいるから」
「……うん」
陽はヨウを強く抱きしめる。
────────────数年後
「ヨウ、仕事に行く用意は出来た?」
「うん、久々だからちょっと緊張するけど」
その日、ヨウは数年ぶりにGIRLSへと復帰することになった。
「にしても、まさかGIRLSにも保育所が出来るなんてね」
「先輩達が作ってくれたんだよ。今後は必要になって来るだろうって」
「へー」
GIRLSでは、子育てに励む隊員のために、内部に新しく保育所が設けられたのだ。
「「ママー!」」
そこへヨウに抱きつく1人の幼児、髪は青く、姿もヨウに似ている。
「んー?どうしたの要?」
「遥がピグモンおばさんにあげる風船わったー!」
「えーまたー」
「わざとじゃないもん!」
そして現れた1人の幼女、彼女もヨウによく似ている。
「おばさんにあげようと思ったのにー!」
「わざとじゃないってばー!」
「あーこらこら、喧嘩しないで」
ヨウと陽は2人をそれぞれ抱き抱える。
彼女と彼の名は遥(よう)と要(よう)、ヨウと陽の間に生まれた、珍しい男女の一卵性双生児の双子である。
2人とも、容姿はヨウと瓜二つだが、性格は要がヨウに、遙が陽によく似ている。
「ピグモンおばさんの風船どうしよう。この前あげるって約束したのに」
「大丈夫だって、ピグモン『お姉さん』は優しいから、きっと許してくれるよ」
「でもおばさん怒ると怖いって、サっちゃんが言ってたもん」
「怖くないよー、ピグモン『お姉さん』は怖くないから」
「そうなのパパ?」
「そうだなぁ、ピグモンさんはそんな人じゃないと思うよ」
「そっかー」
「2人とも、初めての場所だけど、ママのことちゃんと待ってられる?」
「うん!おばさんと一緒に遊ぶから大丈夫!」
「サッちゃんとも遊ぶー!」
「(だからおばさんはダメだって……あの人結構気にしてるんだから)」
ヨウは心の中でそう呟いた。
「と、とりあえずGIRLSまで送るよ」
「うん、お願いね…………パーパ」
「!?///」
耳元で呟いたヨウの甘い言葉に陽は頬を赤く染める。
「「グエェェェェェェッ!!」」
突如、遥と要は2人の間に割り込み、手を広げながら声を上げる。
「うわ!?何いきなり!?」
「この前エレおばさんが言ってたもん」
「パパとママはなりふりかまわず?イチャイチャするからかんし?しろって」
「そ、そうなんだ」
「(エレ……おばさんはダメだって。
てか何吹き込んでんだあの人……)」
ヨウは心の中でため息を吐く。
「ところでそのグエェーって何?」
「「わかんない」」
「えぇ……」
陽はその場で転ける。
しかしヨウにはその言葉の意味が理解できた。
「ママー?」
「どうしたの?」
「んー?なんでもないよー…………
ありがとう、2人とも」
ヨウは2人を強く抱きしめる。
「「あったかーい」」
遥と要も嬉しそうにヨウに抱きつく。
陽はその光景を、微笑みながら見つめる。
「ほら、パパも来なよ」
「え?」
「パパもー」
「はやくー」
「……うん」
陽はヨウと共に、遥と要を挟むように抱きしめる。
これは、とある家族の幸せな一時である。