桃井in稲荷崎の侑桃です。
このワードが分かる方のみ読んでください。
侑に対する桃井の印象や扱いを結構酷く書いているので気をつけてください。逆も然り。
一言で言うとここの関係は(この短編での印象)
侑→顔もスタイルもいいしバレーに関しては言うことなしやけどなんかムカツク女
桃井→顔もスタイルもいいしバレーに関しては言うことないのに中身がムカつく男
笑顔で罵り合うカップルになって欲しいという私の性癖に従って書きました。
ある意味即堕ち2コマ。
前提書くの面倒くさ過ぎたのでここであらすじを。
敏腕(鬼)マネージャーの桃井の余裕を崩してやろうとおもちゃの虫を仕掛けたが然程反応を示さなかった為、桃井の弱点を暴き隊を結成した侑(ノリノリ)、治(ノリノリ)、角名(巻き込まれた)。
しかし相手はあの桃井。作戦を看破され、尽く先読みされてしまえば、どんなドッキリを遂行しても失敗してしまう。それを身に染みて味わった彼らが諦めようとしたその時、ついに桃井が明らかな動揺を見せた瞬間があった。
それは次なる標的である北さんの弱点を暴くために桃井を誘い入れようと、部室で侑と話をしている時のことだった。
前書きであらすじを書いていますが、本編でも非エロシーンがすごく長いです。あと今回は微エロ(?)です。ゆっくりエロくなる予定。
ちょうど部室で備品のチェックをしていた桃井に、北のビビる姿が見たいから協力してくれと言う侑。すると桃井は隠す気のない呆れ顔を見せて腕を組んだ。
「私の次は北先輩ですか? あなた、身の程を弁えたほうがよろしいのでは?」
「相っ変わらず失礼な女やな! お前がビビらんかったから標的が北さんに移ったんや。元はと言えばお前が悪い」
「それなら、そんなくだらないことを企む侑先輩が悪いでしょう……」
入部当初は渋っていた侑先輩呼びを今ではすんなり受け入れた桃井だが、それはそれとして未だに宮侑の人間性に関して尊敬しようという気になれなかった。
桃井の言葉に、はぁ〜〜? と眉をひそめる顔は悔しいほど様になっていて、端正な顔立ちだとどんな表情もカッコ良く見えるのだろうかと考えてみる。
180cmを超える身長にしっかりした厚みのある体。染められた金色の髪は彼の魅力を完全に活かすようセットされ、茶色く透き通った瞳と筋の通った鼻梁、意地悪そうに吊り上がる唇が黄金比で配置されている。桃井が贔屓なしでイケメンと認める幼馴染の影山や中学の先輩の及川と比べても遜色ないイケメンではある。
加えてこの男は現時点でセッターとしての技術や才能はその二人を凌ぐ逸材で、バレーに向ける愛情や熱量は桃井も負けていられないと思うほどに大きな男なのだ。
しかし、この男からバレーの要素を削り取ってみると、残ったのは大声でワーワー騒ぐツッコミのうるさい関西人(チャラ男)。距離感が近く、結構バカ。たまに暴言も吐くしで桃井の一番苦手なタイプであった。中学の頃の初対面時に色々あったことも起因して、人間的に嫌いな先輩という部類に入れてしまうのは仕方のないことだった。……バレーという観点から見たならば一番好ましい先輩であるのに。
そんな複雑な先輩にどう振る舞えば良いのかわからず、結局冷たい態度をとってしまう。それが今回の桃井の弱点を暴き隊に繋がってしまったのだから、少しは接し方を変えられるようにすべきなのだろうが……。
ともかく尊敬する先輩のビビる姿を見たいから手伝えと言われても、桃井の答えは決まっている。
「なーなー、ええやろ? 桃井は俺らの知らん北さんを絶対知っとるし、何か教えてや〜」
「お断りです」
冷たい眼差しでピシャリと拒絶した桃井は侑に背を向けて備品のチェックを再開する。その後ろ姿を見つめ、侑はむっと顔をしかめた。
情報収集のスペシャリストである桃井は度々自分たちの知らないことを予知し的中させる。チームメイトの些細な情報さえ集めている彼女が、北の弱味を知らないはずがない。
現に彼女は北の弱点を知らないとは言わなかった。絶対に吐かせたる……! と侑は息巻いた。
すすっと彼女の横に立つと、ごちゃごちゃしている用具入れに手を突っ込んで整理し始めた。
「ちょっと、」
「整理してもすぐ散らかるだけやのに、よう飽きんでやっとるわ」
「……。備品チェックのついでです。あの北先輩がいてもこれほどまでに汚くできるんですから、マネージャーの私もしないと本当に汚いままでしょう。というかよくこんな部室で耐えられますね?」
隣で自分の仕事を手伝い出した侑に、ありがとうございますも言えずにそんなことを言ってしまった桃井は少し後悔した。が、どうせ手伝った報酬に何か情報をくれと言われるのだろうしまあいいか、侑先輩だし。とも思った。
「そうだ、ロッカーの上に置いてあるヤツも下ろしてもらっていいですか?」
「……あれめちゃくちゃ重いねんけど」
「非力な私じゃとても持てませんので、頼もしい侑先輩がいてくださって助かりました」
「こういう時だけ後輩面しよる!」
結局桃井の言う通りに作業を手伝った侑は重労働に苦しめられた。あとは最終チェックだけだと言うので、それが終わるまで置かれている背もたれのないベンチに座り、隣に腰掛けて作業をする桃井をなんとなく横目で観察する。
人工的に染めたら絶対に見れないだろう鮮やかな桃色の髪は腰まで伸びて、誰もが目を奪われるような美しさをさらに引き立てていた。出会った当時の彼女がショートカットだったため三年が経った今、愛らしい少女が美しく成長している様をまざまざと感じている侑であった。
シミひとつない白磁の肌はきめ細かく、顔の造形は天使のように整っている。ぷるんとした柔らかそうな唇を見ているとよからぬ欲望が身のうちに湧いてくるので、そこから視線を剥がせば自然と下に行った。
制服を押し上げるのは育ちに育った大きな胸。滅多にお目にかかることのないサイズはむしろ迫力すら感じられた。部活の時は窮屈そうに収められた胸がシャツのシワから容易に予測でき、動けば柔らかそうに揺れ、大変目の保養になる。その中身がどれほどのものかを妄想してしまうのは健全な男子高校生なら仕方のないことだと侑は胸を張って言える。いや、言いはしないけど。
さらに目線を下げると、大きな胸で強調されるきゅっと引き締まったくびれや尻、すらりと伸びた長い脚が目に入る。スカートから覗く太腿は白く艶かしく、見るからにスベスベな肌と柔らかそうな感触がしていて、こうしてみると桃井は侑の好みな顔立ちと体つきをしているなと思った。
派手目な容姿だが可愛らしくも美しい顔で、抜群なスタイルを誇るのだから。身長も女子にしてはかなり高い方で、話していても首が疲れることはあまりない。あと何よりおっぱいデカイ。いや、中身は気に食わないけど。
『北川第一中学出身、桃井さつきです。全力で皆さんのサポートをしますのでよろしくお願いします』
初めて見たのは中学で、それから何度か出会うとことはあれど対戦したら潰してやるくらいに思っていた女が、まさか自分の高校に後輩として入学してくるとは。
入部当初にフレンドリーに話しかけに行くと死ぬほど嫌そうな顔をされたのは一生忘れられないだろう。理由を後から聞けば侑や治に絡まれると周りが面倒なことになるからできればやめてほしい、とのことだった。ちなみにそれを聞いてから双子は頻繁に構うようになった。
あと、それを言うなら侑だって同級生から桃井の連絡先を教えてだとか合コンのセッティングがとか言われるようになっているのだから、おあいこである。
以前は『頼む〜! 侑がおると女子の面子がグレードアップすんねん、来てくれや』だったのが、『さつきちゃん来れるか聞いてくれん? てか先輩命令で連れて来れへんの? は、無理? お前何のために生きてんねん』に変わった。そいつとは友情を切った。
だいたいなんで下の名前で勝手に呼んでんねん! 俺ですら未だに嫌ですって言われとんのに! そのことを思い出してふと侑は口を開く。
「さつきちゃん」
「やめてください何ですか」
「なんで俺は下の名前で呼ぶのダメなん? 他の連中は放っとるくせに」
ここでいう他の連中とはバレー部以外の連中のことである。バレー部員は全員桃井のことを名字で呼ぶし、他の呼び方をしたとしても笑って受け入れてくれるので、身内に優しい女なのだろうと侑は思っている。
しかし桃井が話したこともない男子に勝手に下の名前を呼ばれても表情はぴくりとも変わらない。侑が言えば露骨に嫌そうな顔をする。その線引きがわからなかった。
桃井はバインダーに挟まった表に書き込む手を止めると、そうですね、と軽く間を置いた。
「よく知りもしない方、何とも思っていない方、今後関わることのない方に、馴れ馴れしく下の名前を呼ばれようがどうでもいいので」
「……ふ〜ん。でも、飛雄くんのそれとは別モンやろ?」
「ええ。影山くんや中学の先輩方のことは好ましく思っていますから」
「待って。それやと俺はどうなん?」
「うふふ、嫌なものは嫌です」
「理由になってへん!」
にっこり。目を綺麗に細めて口角を吊り上げる美しい笑みを浮かべ、桃井は断言した。笑顔の桃井と反対に侑はますます眉をひそめる。他の連中や影山に対する理由はあったくせに、侑が下の名前を呼ぶのを嫌がる理由はないのか。もしくは隠しているのか。
じっとりした疑わしい目つきをする侑の目線から逃れるように作業を再開させる桃井だったが、あまりにしつこいのでため息をついて尋ねた。
「逆に聞きたかったのですが、呼び方になぜこだわるんです? 普通に他の後輩と同じように名字で呼べばいいでしょう」
「部内唯一の女子マネージャーとお近づきになりたいやん」
「うわあ、聞かなければよかった……」
顔を引きつらせたまま尻をずらし、侑との距離を物理的にも精神的にも離した桃井は、それきり口を開かず黙々と書き込みを進める。と言ってもあと少しで終わるからか、その顔には喜色が見られた。
カワイイ顔、なんて侑が思っていると、右手はシャーペンを持ったまま左手を口元にやって桃井が考え込む仕草をした。目を伏せて真剣な表情で悩む横顔は美しく、長い睫毛やむんと突き出した上唇が侑の視界に入る。
昼休みの部室に他に客人はおらず、二人だけの空間には桃井がガリガリとシャーペンを動かす音だけが響いていた。遠くで聞こえてくるのは熱心な吹奏楽部の音色とガヤガヤした喧騒で、侑はこんな穏やかな時間もまあ嫌いではないなと思う。
本来はもっと騒がしいのが好きなので、桃井の弱点を把握して彼女を意のままに操ってやろうと考え、行動していた日のこと……正確に言うならば数日前のことを思い返す。
結局桃井の弱点を暴き隊は解散し、彼女の弱みは握れずじまいだった。桃井は自分たちのことをよく知っているのに、自分たちが彼女のことをよく知らないのは我慢ならなかったから始まったあの攻防も、すべて桃井に見破られて惨敗してしまった。
せめて予測されてなかったらもう少し進展があったのかもしれないと考えていると、不意に隣に座り俯く桃井の髪がさらりと前に垂れて、その横顔を侑から隠してしまう。
「……………」
考えるよりも先に侑の手は桃井の方へと伸びていた。垂れてしまった髪を指で払い、そのまま頬を撫でるようにして小さな耳に髪をかけると、耳の外側に触れる。
顔が好みとかスタイルがいいとか、触れてみたいとかいう気持ちはなく、ただ彼女の顔が見えなくなってしまったのが残念だから髪を退ける。それだけの思考で侑はその体に触れた。柔らかな感触と自分よりも低い体温が指先から感じられたが、そんなことは全く意識していなかった。……侑の方は。
髪を払ったことで再び露わになった桃井の顔は驚きに満ちていた。大きな瞳をぱっちり見開いて、侑に視線を向けている。ポカンと開いた口と完全に虚を突かれた表情は初めて見るものだったが、普段ならば三倍増しで喜び周囲にアピールする侑は、この時ばかりは桃井の目に映るのが自分しかいない状況に満足感を覚えていた。
だから侑は自覚していない。
桃井に触れた時の表情の綻びが、あまりに甘く優しかったことに。その顔に桃井が驚き、固まっていることに。
侑は何かを考えることもなく体が動くままに任せていた。夢見心地のようなぼんやりした意識の中で夢中になっているのに、充足感を感じるのは触れている事実ではなく、彼女の顔が見えたから。
その桃井の驚きの表情が、親指と人差し指で耳を挟むようにして触れた途端、
「んっ……!」
甘い声を上げて、色っぽく変化した。明らかに常時とは違う表情と声色に侑は一瞬で意識を引き戻される。ピクッと肩を揺らし、バインダーをぎゅっと握りしめる代わりにシャーペンは彼女の手から転がり落ちた。侑の手を勢いよく払い退け、紅潮した耳を片手で隠した桃井に、へ? と間抜けな声が出た。
「……え、なん……は? ……桃井って、耳、弱いんか……?」
「いえそんなことありませんさっきは急に触られてびっくりしただけで変な声が出たのもそのせいなので全然そんなことないです」
「嘘つけ! めっちゃ動揺しとるやん!!」
「動揺なんてしてません!! そろそろ戻ります!」
言うなりバインダーをベンチ上の遠くに置いて、床に転がったシャーペンを拾おうと座ったまま前屈する桃井だったが、手が震えて上手く拾うことができないようだ。ああもう、と歯痒くなっている彼女に、侑は衝動的に悪魔的な発想を得た。
先ほど距離を取られた分、それ以上に桃井の方に身を寄せる。制服のズボンに包まれている侑のたくましい脚が、桃井の柔らかな太腿に密着した。突然の接近に驚いた彼女が屈んだ体勢を元に戻した瞬間に侑は桃井の首に腕を回し、体重を軽く預け、空いているもう片方の手をひそひそ話をするみたいにして囁く。
「ここ、弱点なんやろ?」
思ったより近くなってしまい動く唇が耳を掠め、吐息が吹きかけられる。侑の声が、いつもはうるさいなくらいにか思わない声が、至近距離で低く囁かれると甘い痺れが背筋を駆けた。
「ひぁぁ……っ」
「おっと」
絶対にこの人はやるとわかっていたのに抑えきれない声が出てきてしまう。ビクンッと腰をくねらせてそのまま体の力が抜けてしまえば、侑に体重をかけられていた桃井が後ろ向きに倒れてしまうのは当然のことで、頭がベンチに直撃してしまうのを侑が手を差し込んで阻止する。
ベンチに仰向けに倒れた桃井に、その頭を支えつつ空いている手を彼女の顔の横について押し倒すような体勢になっている侑。
昼休みの部室は日当たりの良いせいもあって明るい陽光でいっぱいになっている。そんな空間とは真逆の雰囲気に侑は呑まれそうになった。
長い髪がベンチに流れ、桃井が顔を逸らすと小さな耳や白い首筋が侑の眼下に映った。仰向けになってもボリュームを失わない胸や、さらに向こうに視線を送ると膝を立てているためにスカートがずり下がっているのが見える。悩ましげに太腿を擦り合わせる動きをばっちり見てしまい、思わず手が伸びそうになるのを辛うじて堪えながら、侑は視線を顔に戻す。
「…………っ」
手で口元を覆う桃井の顔は真っ赤になっていた。弱点を暴かれた悔しさや明らかに感じている声を聞かれてしまった羞恥で涙目になっており、キッと強気に睨みつけてくるが、そんな態度がかえって侑の興奮を煽っていることに彼女は気づかない。
笑顔で鬼畜なメニューや作戦を提案してくる顔は好みだがなんか気に食わん女が弱点を晒し自分の下にいる事実に、彼の中の歪んだ欲求が急速に渇いていくのを感じた。
「驚いたで、まさかこんなに………」
ベンチと頭の間に滑り込ませていた手をそっと外して、両手で桃井の顔の横に手をつくと、侑は言う。
二回。たった二回で、桃井がどれほど耳が弱いのかを知った。しかも一回目は軽く触っただけで変な意図は一切なかったというのに。二回目だって耳元で低く囁いたくらいで、体から力が抜けるほどの快感になり得るとは到底思えない。
でも、桃井は違った。普段は桃髪に隠れてしまっている小さな耳が常人と比べて遥かに敏感だという事実は侑しか知らない。こんなの弱点どころか性感帯だろうと、思わぬ収穫に内心ほくそ笑む。
「……こんなに、何ですか。私の耳が、敏感過ぎるとでも?」
侑の思考を中断させたのは見上げてくる桃井の強気な目線だった。顔の赤みは消えていないが、普段の様子でいることを心がけているのが手に取るようにわかる。だから侑は普段の桃井に対する振る舞いと違い、優しく溶かすような笑顔を浮かべて、じっくり彼女の退路を塞ぐことを選んだ。
「あれ、自覚してないん? 弱点過ぎるからいつも髪に隠しとったんちゃうの?」
そう言って無防備に晒された耳に触れようとすると、体中の抜けた力が元に戻った桃井がその手首を掴む。かなりの力強さに図星だなと侑は思った。
「いいえ。さっきのはびっくりしただけなので弱くなんてないですよ。あの、だから、どいて……」
「へえ〜〜? なら、俺に何されても大丈夫なんよな?」
敢えて桃井の言葉に被せるようにして侑は挑発的に言う。
「もりろんです」
案の定、即答してきた。
そして真っ赤な澄まし顔で桃井は噛んだ。
「まだ時間はあるからがんばってな?」
昼休みの部室はいつもなら部員の出入りがあるものだが、今日は体育館の点検日ということもあって利用者は誰もいないようだった。だから桃井はこの日に備品チェックをしていたし、侑もそれを知っていた。
故にこの空間の終わりは焦ったいほどにゆっくりな時計が告げる予鈴であって、侑に屈するのが死んでも嫌な桃井が負けを認めない限りはずっと続く。
指で触り、吐息を吹きかけ、それだけでも感じていた敏感な耳を、侑は思いつく限りのやり方で責めた。桃井の反応をつぶさに見定めて触り方や力加減を調整し、彼女が最も気持ちいいと感じられるように触り続けた。
セッターとして極めに極めた指遣いがこんなところで役に立つとは。きっと桃井が聞いたら、こんなところで役に立てないでください! と怒りそうなことを考える。
見たことがないくらい晴れやかな笑みを浮かべる侑は、自分の腕の中で快感に悶える桃井を舐るようにじっくりと観察した。
今や彼女の肌はしっとりと汗ばみ、甘い匂いと混ざり込んだ極上の匂いが侑を誘惑していた。乱れた髪が額や首筋にへばりついていても、荒く息をして腰をガクガクと揺らす桃井にその辺りに気を使う余裕は微塵もない。
「返事ないなあ。降参せんと続けるけどええの?」
「ぅ〜〜………?」
侑が頬をぺちぺち優しく叩くと、顔を背けて目線を遠くに投げていた桃井がゆっくりとまばたきをしながらピントを合わせた。だらしなく開かれた口から覗く赤い舌や、どろどろに溶けた瞳を見ていると、侑の中の支配欲がゾクゾクと痺れるのがわかる。下半身に熱が集まって、恍惚とした吐息が出てきてしまうのが自分でも止められない。
否、止める気はハナから存在しなかった。ここが真っ昼間の部室だというのも興奮の材料にしかならず、今はただ自分の手で乱れる少女の姿を余すことなく見たい侑にとって、桃井の拒絶以外にこの行為を中断する理由はない。
彼女が本気で嫌がるそぶりを見せてくれないと、どこまで行為を進めてしまうのか彼自身もわからなくなっていた。
加えて彼女がそれを訴える手段すら侑は奪ってしまっている。
耳を触り続けていた手の動きが止まり、ようやく終わったのかと快楽で使い物にならなくなった頭でぼんやりと感じた桃井が、安心して口を開こうとしたのも束の間。
ちゅるるる、ぢゅ、れろれろれろ〜〜………
「くぅぅぅぅぅっ………あぁぁ……っ!」
侑の舌が耳の表面をねっとりと舐め、吸いついてきた。優しくキスをするようにリップ音を立てて触れたかと思えば、熱い舌を押し付けて唾液を塗りたくる。かぷ、と耳を甘噛みされるとその箇所を入念に舐められて、桃井は一際大きな喘ぎ声を上げてよがった。
れろれろ、じゅぶぷぷぷぷっ……ちゅ、ぢゅ、
「あぅ、はっ、ぁああ……っ! だめ、や、あつむせんぱ、ぃ、ひゃうっ、ぁ、あぁ、だめぇ……っ」
肉厚な舌はじゅぼじゅぼと淫猥な音を立てた。耳穴に激しく出し入れし、全体を容赦なく舐め回すと、舌先を固くしてぐりぐりと責める。波打つ体は止めようがなく、背中を仰け反らせおとがいを上げて喘ぐ姿に、舌の動きはますます大胆になっていく。
止まることのない耳舐めに理性が溶けていき、どうすることもできない桃井は、それでも耐え忍ぼうと口を自分の手で塞いだ。
「んぅううっ、ゃ、ぁ、くっ、ん、んん〜〜〜〜っ!!」
もう散々声を出してしまったが、羞恥心はずっと彼女の心をいたぶっていた。バレてしまう、いや、とっくにバレたかもしれないという不安と、声を上げて快感を享受する気持ち良さに、桃井の心が揺れる。
「っ、なに、声抑えようとしてんねん。キモチイイっていっぱいよがっとるくせに、今更隠そうとしても遅いわ」
その手を引っ掴んでもう片方の腕も捕まえ、彼女の頭上で片手で拘束する。快楽から逃れようと暴れ出す下半身を侑が上から押さえつけ、行為を再開すると、逃げ場を失った桃井は到底耐えられない量の気持ちよさを一気に流し込まれた。
「ひぎっ!? ぐ、〜〜〜〜〜〜っ!!」
腕を封じられてしまい喘ぎ声を抑える手段を失った桃井は、それでもバレないために恥ずかしい声を聞かれまいと唇を噛む。今更なんてことは彼女が一番知っていた。しかし侑が気づいていない可能性に賭けて、最後に抵抗しておきたかった。優しくされるのが、彼女は一番苦手だった。
侑は下唇を噛む桃井に気づくと、ニタァと笑って指を唇に優しく触れさせ、柔らかな感触を楽しんだ。ぷるんとした唇はこぼれた涎で濡れていて、自分の指が汚れていくのをうっとりした表情で見つめる。
「そんなことしたら血が出るやろ。諦めてい〜っぱい声出そうや」
な? と笑みを深くしても、桃井は目をキツく瞑っていやいやと首を振る。だとしてもこの行為自体を止めさせる発言が彼女から発せられることはなく、侑が無遠慮にぐにぐにと未だ噛み締められている唇に触っても、されるがままだった。へえ、と目を細めた侑は、先ほどまでの丁寧な動作を敢えて豹変させた。
「開けろ」
「へぅうっ!?」
荒々しく顎を掴んで低く囁くと、緩んだ一瞬を逃さず口内に二本の指を侵入させる。途端に人差し指と中指を包み込む温く湿った粘膜の中で、奥に逃げこもうとしない舌に、侑は少しの違和感を感じた。しかし、それ以上の興奮にすぐに意識は桃井の方に移る。
好き勝手に指で口内を暴れさせると歯を立てられそうな気配を感じ取り、指をゆっくり出し入れさせれば、にゅぷぷぷ……と自分の長い指が彼女の口を犯していく。
「ふぅぅぅ……っ、ん、んっ、ふ……」
「あー………そうそう、上手やねぇ」
出して、入れて、出して、入れて。じっくりと羞恥を煽るようにたっぷりと時間をかけていくと、閉じていた桃井の目が次第にとろんとしてくる。先ほどまでと違う穏やかな快感にリラックスしたようで、控え目だが甘い声を上げるようになった。それどころか、
「……はむっ、ん、ぢゅ、ちゅるる……あむっ、ちゅぱっ、れろ、れろ……」
二本の指に積極的に舌を絡ませ、吸いつき、しゃぶり上げてくる。唇を噛むのをやめさせるために指を突っ込んだのだが、それに嫌悪するどころか自ら受け入れる姿に、侑は喉を鳴らした。
唾液をまとった舌先を尖らせて指の腹を撫で、じゅ、じゅ、と吸い上げる。嬉しそうに目を細め、夢中になって指を舐める桃井の頭の中がどうなっているのか侑には全くわからない。
始めは単なる勝負だったはずだ。耳が弱点の桃井がその事実を認めないから、認めさせたい、あるいは彼女の屈服している姿だったり感じている表情だったりを見たい気持ちから生じた、耳をいじめて楽しむのが目的の、侑の優位性がはっきりした勝負。
さらに遡れば、桃井の弱点を暴くのは諦めて、北の弱点を知るために誘おうとしたのがきっかけだ。部室に来る前に片割れにそんなことを言っておいたのが、遥か昔のようである。
それが今は、舐められているのは侑の指で、蠱惑的に微笑んでいるのは桃井の方である。
どうして、と考えずにはいられないが、猥らな水音が思考を現実に引き戻した。
激しくはないが丁寧に舐め上げる舌づかいを楽しみつつ、その気持ち良さに看過できない違和感がちくりと刺した。ゆっくり口内から指を引き抜いていけば、れろぉ……と舌が最後まで追いかけてきて、侑はついに違和感の正体に気づく。
「ん、はぁ………」
桃井の舌は普通の人と比べて長かった。人差し指と親指で挟み込むようにして口から出してみると、あまりの淫靡な光景に目眩がしてくる。
赤く長い舌が唾液でてらてらと濡れていて、紅潮した頬と潤んだ瞳はだらしなく蕩けていた。普段の澄まし顔や可憐な笑顔とは真逆の、完全に性に溺れた雌の顔が惜しげもなく晒されている。
「はっ、えっろぉ」
舌舐めずりをして、侑はとっくに張り詰めた股間を擦りつけたい衝動に駆られる。もしくは、彼女の口に肉棒を直接ぶち込んで犯したいとすら思った。
だが掴んでいた舌を解放しつつ、微睡のような快楽を手放すか一瞬悩んだ。違和感を突き詰めれば桃井の過去を暴くことになりかねない。しかし侑の中の違和感は確信に変わり、懸念が浮かんでくるのを抑えきれなくなっていた。
「………なあ。なんでそんなに上手なん? ……えらく自然に舐めてくれとるし。ただの先輩にこんなことされて、抵抗せんの?」
両腕を拘束され逃げ出すことができずとも、大声で叫ぶなり足をバタつかせるなり何かしらの手段はあったはずだ。しかし桃井は快感や出てしまう声に対する抵抗はしても、侑の行為に対する反抗はそぶりすら見せなかった。むしろもっと別の何かを隠しているような、そんな気がしている。
それに一時は声を出すのを唇を噛んででも止めたかったようだが、結局は自ら進んで声を上げるようになっていた。噛もうとしていた指を、最終的には長い舌で奉仕してくれた。桃井の本心と体の反応がちぐはぐな感じがして、侑はさらに問いを重ねる。
「はじめてちゃうの? 彼氏いたとか? ……それか、中学ん時に何かあった?」
ピンクに染まった瞳が揺れ、蕩けた表情に僅かな動揺の色が浮かんだ。唾液で濡れているぷっくりした唇は、暫く荒い呼吸を整えるために開かれていたが、冷静になるにつれて固く閉ざされていく。顔を逸らした桃井に答える気がないとわかると、自分でも驚くほど低く怒りにひび割れた声がこぼれ落ちた。
「……へえ? なら体に聞くとしよか。桃井が口を割るまで、たっぷりと」
かちゃり。侑がズボンのベルトに手をかけるのと同時に、開かれるはずのない部室の扉が開く音がした。
死ぬほど難しい初エロ(?)でした。
がんばって書いたので褒めてください。
これエロいのかしら……となりながら書いたので感想ください。
桃井さんの過去(バレるとか云々にも関係するところ)について。
①原作キャラの特定の人と何かあった
②モブと何かあった
③生まれつき気持ちいいことに弱いし受け入れるし奉仕したくなる体質
④その他
どれがいいです?
この話での桃井の過去について
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①
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②
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③
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