「お?」
買い物から戻ってきた俺は、マンションの自室のドアノブに引っ掛けられたレジ袋を発見した。出かける時には無かった筈だが。
「えーと……」
近所のドラッグストアのロゴが入ったその袋をノブから抜き、中身を見る。何本かの高級精力剤。コンビニで売っている健康食品めいた物でなく、医薬品指定されたそれなりの値段のものだ。
『負けても店に来い』
そんなメモ書きが一緒に入っている。俺は階上を見上げた。
「……美玲か」
何とも彼女らしい励まし方だ。思わず顔がほころぶ。
俺はドアを開け、冷えたままの精力剤を開封するとひと息にそれを飲んだ。強い苦みと甘みが喉を過ぎ、それが体の中で熱に変わってゆくのを感じる。
「………」
例の「修行」から数日経った。仕事の都合などで店には通えていなかったが、ようやく十分な時間が取れた。明日の朝までずれ込む格好になっても大丈夫。そして、店に行けば間違いなく
体が緊張を覚えている。俺は身体をほぐしつつVRスーツに着替え、股間パーツを取り付ける。
一応の修行の成果はあった。「必殺技」──果たして、そう呼んで良いかは微妙だが──も身につけた。あとは俺自身の「心」の在り方次第だ。
「……よしっ」
気合を入れ、バイザーを下ろす。電子音と共に視界が変化し、見慣れたロビーに居る自分を確かめる。
フロントに浮かぶホログラフモニターに自分の会員カードをかざすと、普段ならば出勤済みの嬢を表示するモニターに微かなノイズと共に見慣れない文字列が浮かび上がった。
『「尊」様より逆指名が行われています。お応えしますか?』
逆指名。嬢が特定の客が来店した時に自分から誘うためのシステム。ヘビーユーザーでなければ噛み合う事はあまり無いが客には「特別扱いされている」という優越感を、嬢にはリピート率の向上を与えるため一定数の利用者は居る。
多少の割引は発生するものの、料金を払うのは客側だ。この逆指名を断ることも当然ながら可能である。
「……分かった。逆指名を受ける」
だが、この指名は明らかに俺への「挑戦状」だ。俺はモニターを操作して振り込みを進める。
『ルームは逆指定済み。内容はシークレットとなっております。了承されますか?』
「ああ、構わない」
『──ありがとうございます。お振込みを確認致しました。10秒後に転送を開始します』
さて、何が待っているのやら。自然と口元が引き締まる。見慣れた光のサークルが足元に出現し、やがて全身を光が包む。
数秒のホワイトアウトの後、軽い浮遊感を経て俺はその場所に降り立った。
「……へ?」
幾つも並ぶ、ロースターが組み込まれたテーブルとソファ。
壁周りに設置された、様々な肉や野菜、デザート等が陳列された冷蔵オープンケース。
そして鼻をくすぐる、香ばしくカルビの焼ける匂い。
間違いなくそこは──バイキング方式の焼肉屋だった。
「おお、来たか! 待っておったぞ!」
てっきり豪奢な寝室や、あるいは調教部屋めいた地下室などが来るかと構えていて肩透かしを食らった俺に声がかけられる。
見てみれば少し先の席からぴょこぴょこと振られる大きな袖と、それに比例して小さな手。
俺はその席に歩み寄り、既に燗酒が注がれた猪口を傍らにタン塩に舌鼓を打つ尊の横に立った。
「おい……なんのつもりだ、こりゃ?」
「まあまあ、
俺の問いかけを尊は笑って受け流し、視線でオープンケースへの移動を促す。彼女の思惑は読めないが、とりあえずいきなり事を始める気配は無いようだ。
「……分かった」
確かに鼻をくすぐる香ばしい匂いは仮想空間とは思えないくらいリアルで、否応なしに食欲を煽ってくる。
何だか既にペースを握られている気がしつつも、俺は結局オープンケースに向かい、皿を取るとそれに幾つかの具材を乗せた。バーチャルだと分かっていても肉だけでなく野菜も取ってしまうのは習慣というものだろう。
再び尊の居る席に戻り、俺は皿を置き彼女の向かいに座ろうとした。
「さて。そんじゃ改めて……」
「待て待て、何処に座ろうとしておる? こういう場合は
話を始めようとした俺に尊は不満そうに言うと、自分の横の空いている所をぽんぽんと叩いた。身長130㎝ほどの彼女のそんな動きは何とも可愛らしく、危うく自分に刺客を送り込んできた相手である事を忘れそうになる。
「………」
「うんうん、話が分かる奴は好きじゃ」
無言で席を移動し彼女の横に座る。尊は嬉しそうな反応と共にこちらに身を寄せ、俺の皿のハラミを勝手に網に並べ始めた。じゅうじゅうと焼ける音と共に良い匂いが立ち昇ってくる。
急なフレンドリーかつ積極的な態度に、俺は思わず聞いた。
「なあアンタ、最初の頃はもうちょっと、こう、落ち着いた雰囲気じゃなかったか?」
「初手で舐められては叶わんからの、“ふぁーすといんぷれっしょん”という奴じゃ。あむっ」
俺の問いかけに尊は軽く答え、焼けたカルビを醤油タレに付けて頬張る。手元のハラミをひっくり返しつつ俺は言った。
「それで、何のつもりで俺を試してたんだ?」
「んむ、ふぉーひへもふぉんなふぉほをおもっひゃ……」
「……ちゃんと良く噛んで、呑み込んでからでいい」
もぐもぐと美味しそうにカルビを咀嚼しつつ返事しようとする尊に手を広げて制し、彼女が食べ終わるのを待つ。
俺の指示通り十分すぎる程にカルビを味わってから尊は嚥下し、改めて口を開いた。
「ふぅ……ところでお主、タレは醤油と塩、どちらが良い?」
「は?」
「そのハラミ、そろそろ焼けるぞ? タレは醤油か、塩か、もしくはポン酢か?」
「……塩で」
「んむ、薬味はネギにしておくぞ。おろしニンニクも悪くないが、ニンニク臭いキスというのも風情が無いでの」
流れるように話題を逸らしつつ尊はテーブルの端に置かれていたトレー上の小皿にタレを注ぎ、俺の前に置く。
「……いただきます」
箸を置いて流れを断つのも難しい状況に俺は素直に食前の挨拶をすると、脂の乗ったハラミをタレに付けて口に入れた。溢れる肉汁の旨味と柔らかくも確かな歯ごたえが口の中に広がる。
暫く味わいを堪能してから呑み込み、今度は丁度良く焼けたキャベツに箸を向ける。
その時、思い出したように尊が言った。
「えーと、それで、何じゃったかのう。
「ああ。アンタが本当に俺が目障りだって言うなら、もっと簡単に俺を店から叩き出せた筈、だっ!? ハフッ、ハフッ!」
「おうおう、もっと落ち着いて食うが良い。ほれ、飲め」
それに答えつつキャベツを口に放り込んだがまだ熱かったようだ。慌てて口の中で冷ます俺に尊がからかうように言いつつ、何処からか取り出した冷酒を差し出す。
「ンッ、ンッ……ふぅ、ま、まあ、例えば俺の会員権を剥奪する程度は、アンタの権限なら当然可能だろう」
「まあ、そうじゃな。妾はこう見えて副支配人じゃし」
冷酒でキャベツを押し流した俺に尊はふふん、と自慢げに鼻を鳴らし、焼けたミノを十分冷まして口に入れた。
「もぐもぐ。ほうほう、ほひへほーふは?」
どうやら『ほうほう、そしてどうした?』と言っているようだ。俺は言葉を続ける。
「まず一人目のフレン、ありゃあ確かにあのままだったら自傷フェチみたいな客しか取れずにその内に辞めてただろう。アンタはそれを危惧して、ギバラを通して俺を客にした。違うか?」
「……もぐもぐ」
無言の肯定。
「二人目の童田。客のヘビーユーザー化は店にとっても利益だろうが……それでも彼女のやり方じゃあ、そのリピーターが破産しかねない。と言って副支配人の立場から店に貢献している童田を叱る事もできない」
「はふっ、はふっ……ンッ」
焼けた獅子唐をかじり、それを酒で押し流す尊。言葉こそ返さないが視線は俺に向けられている。
どうやらここまでの俺の推測は当たっているようだ。
「……だからアンタは二人目の刺客として童田を宛がった。俺が勝って、彼女を懲らしめるのを期待したからだ」
「ごくっ……客に熱を上げさせるのは嬢の務めではあるが、赤ちゃんにまでされては叶わんからのう。それで、次は何じゃ?」
「はぐっ、ふぉ、ふぉっふぉまふぇ……んぐっ」
雰囲気でカルビを頬張ってしまった俺に尊が言う。先ほどとは逆の状況で彼女を待たせ、気持ち急いで酒と共に呑み込む。
「プハッ……環についてはアンタ自身が言ったくれた通りだ。アイツが自分からVRスーツを買おうとしねえから、彼女に引きずり込まれた客が動くのを待った」
「いやー、あの野良猫、本当に手を焼かせる割には口を出しにくくてのう。お主には実際助かったわ」
「そう思うんなら、俺の質問にも答えて欲しいもんだが」
「質問?」
猪口を傾けつつ尊が聞いてくる。
「ああ……あんたは一体、俺に何をさせたいんだ?」
彼女が俺に問題児を送り込んで矯正させようとした、同時に俺の実力を見定めようとした。そこまでは分かる。
だが何故、そんな事を客である俺に仕掛けてきたのか──それが分からない。
途中で俺が潰れる可能性も十分にあった。そうすれば問題児の矯正どころか、店にとっては常連客をひとり失うだけになった筈だ。副支配人である尊がそれを把握していない訳がない。
俺の問いかけに、尊は酒を飲み干して答えた。
「そうじゃのう……のう、お主。お主は“ばーちゃる”というものをどう捉えておる?」
「環と似たようなことを言うな。アンタも『仮想現実は所詮は仮想』って考えなのか?」
「あやつの考えは確かにいい線は行っておった。だか……妾は違う。この世界にはもっと可能性があり、現実には不可能なプレイを広げてゆける。そう思っておる」
そう言うと尊は猪口を使わずに徳利を直接握り、ぐびりと飲んだ。心なしか最初の頃より飲み食いの作法が豪快になってきているように感じる。
「例えばじゃ、お主は妾を本物の鬼だとは思っていない。そうじゃろう?」
「……そりゃあ、まあ」
答えつつ俺はカルビを口に含む。尊は蠱惑的な笑みを浮かべ、愉快そうに言葉を続けた。
「果たしてそうかのう? 存外、本物の鬼がおって現代社会に溶け込み、普通にネットをしとるのかもしれんぞ?」
「………」
そんな訳があるか。
カルビを呑み込んだらそう言おうと思う俺を余所に、尊は再び肉に箸を伸ばそうとした。
「おや? お、おっ……!」
持っていた彼女の箸が泳ぎ、カランと床に落ちる。
「いかんいかん、些か回ってきたようじゃ。すまんが、拾ってくれぬか?」
「いや、そんなのは新しく出せば……」
そう言いつつも俺は床下に視線を向け──
「……な!?」
「どうした、何を驚いておる?」
──もう一人の尊が俺のスラックスに顔を寄せ、ジッパーを下ろしている光景に直面した。
「ちょ……!」
「これ、逃げるでない。折角これから気持ち良くしてやろうというのに」
反射的に席を立とうとした俺の頸に細い腕が巻かれ、耳元に吐息が吹きかけられる。そこに囁かれる声は隣や下から聞こえるそれと同じものだ。
「……こういう事も、この空間だからこそ出来る」
徳利の酒を飲み干した尊が言う。
隣の尊、足元の尊、後ろから抱き着き囁く尊──気が付けば俺は、全く同じ姿の三人の尊に包囲されていた。
「(おいおい、何だこりゃ!?)」
「ほれ、大人しくしておれ。気持ち良くしてやるからの……」
足元の尊──例えるなら尊´とでも言うべきか──が甘い言葉と共にジッパーを下ろし、留め具を外す。
「安心せい。別に三人でお前を食うという訳ではない……ククッ、まあ別の意味で「食う」のかもしれんがな」
同時に耳元の尊──ならば此方は尊”か──がその動きに合わせて俺の身体を後ろ座席から押さえ込む。腕の細さとは裏腹にその力は強い。
その間に尊´はスラックスを腿まで下げ、トランクスをずらして肉棒を露出させた。こういう状況にも関わらず「美女に囲まれ、肉棒に触れられている」という事実は肉棒に倒錯的な興奮を与え勃起の兆候を見せている。我が愚息ながら気楽なものだ。
「んっ……ふふ、思った通りの立派な逸物を持っておるな……」
尊´はそう言うと肉棒に舌を這わせ始めた。竜胆色の艶やかな髪をかき上げつつ、炎のように赤い舌を伸ばして竿の根元から舐め上げてくる。
「おうおう、びくびくしとる……今、楽にしてやるからの」
「ぐっ……!」
隣の尊が俺との距離を寄せ、ほぼ密着した状態で股間に手を伸ばしてきた。尊´はそれに合わせて顔を下げ、今度は玉袋を口に含んでナッツを舌で転がすように丁寧にしゃぶり始める。
「んっ、はむっ、んむぅ……」
「く、お、おぉっ!」
「ふふっ、妾の手の中で暴れておるわ……」
同時に尊の白く細い指が血管を浮かべて脈動する竿を包み、しこしこと肉棒を扱く。尊´からの刺激と合わさり彼女の手の中で俺の肉棒はむくむくと膨れ上がってゆく。その所作は一切の緊張が無い手慣れたもので、それでいて雑さを感じない丁寧なものだ。
「どうじゃ? 同じ鬼三匹に同時に責められる。こんな事は現実では不可能であろう?」
後ろから抱き着く尊”が俺にそう囁きかけ、耳元に吐息を吹きかける。ぞくぞくとした快感が背筋を走り、びくりと全身が震える。
その最中も尊や尊´の動きは止まらない。滲む先走りが尊の指を濡らし、扱く動きをより滑らかにしてゆく。その手の動きを阻害しないように尊´は袋への奉仕を続ける。熱い鼻息が竿に吹きかけられるのが何ともこそばゆく、そして心地よい。
「はぷっ、じゅる、ん、ふうっ……」
「ほれ、まずは一発……素直に吐き出すがよい」
「ぐうっ……ま、まだ、まだっ……!」
夢中で口淫を続ける尊´に視線を送りつつ尊が言う。俺は歯を食いしばり、強まる射精感を堪える。ここから長い闘いになるが、といって緒戦から「早い」と思われるのも癪だ。
「ふむ、では……」
尊はそんな俺の反応に僅かに眉を動かし──くい、と脚を振った。
「な……っ!?」
細い脚に蹴り上げられたテーブルが軽々と宙を舞った。俺の目の前でテーブルはくるくると回りつつ数mほど飛んで、轟音と共に床に落下する。
「ふむ、これでやり易くなったわ」
事もなげに尊は言うと、ソファから降りて尊´の横に並んで腰を落とす。
落ち着け、本当に剛力で蹴り飛ばした訳じゃない。そう自分に言い聞かせなければ危うく錯覚しそうな臨場感。
「さて……これでは、どうかのう? ほれ『妾』、共にするぞ」
「んはっ……ああ、分かっておる」
尊の言葉に尊´が袋から口を離した。顔を上げ、俺の右に座る尊の反対側に移動すると左側から肉棒に唇を寄せる。
完全に三人の尊に身体を任せている格好になっているが、俺は抵抗せずに彼女らの行為を待つ。映像集などを渡されたとはいえ俺はまだ尊の手の内を把握していない。彼女の狙いを見極める為にも、今は受け手に回る。
──否、それは自分を誤魔化すための言い訳かもしれない。
ここまでの彼女らの責めで、普通ならば既に射精していたであろう所まで我慢していた肉棒は二人の尊の間で凶悪なまでに怒張している。ここで中途半端に投げられてはそれこそ生殺しだ。
更なる快感への期待に脈動する肉棒に二人の尊の吐息が吹きかけられる。
「ンッ……」
「ちゅ、ふうっ……」
「う、おぉ……!」
血管を浮かべる竿に左右から同時に唇を押し当てられ、思わず腰が浮いた。そのまま尊は右から、尊´は左から、それぞれアイスを舐めるように肉棒に舌を這わし始める。びくびくと反応し垂直に屹立しようとする肉棒に柔らかく手を添えて角度を調節し、二人の尊は潤んだ瞳で奉仕を行う。
後ろの尊”は既に俺が抵抗しないと察したのか首に回していた腕を解き、今度は後の席から柔らかな胸を俺の後頭部に押し当ててきた。肌ざわりの良い布地の感触と、同時に感じる乳房の弾力。最高級の枕でもこの感触は再現できないだろう。
「んぷっ、ちゅ、じゅるっ……」
「あふっ、はっ、れろっ……」
「くうっ! う、上手いっ……!」
滑らかな肌を持つ赤い蛇、二匹。それが肉棒を這い回るような感触と滑り。
頭から角を生やした身長130㎝ほどの小柄な二人の少女。一見ならば童女と見紛う瓜二つの彼女らが熟練の舌使いで俺の肉棒に熱心に奉仕してくれている。それは感触と絵面の両方から俺の中から堪らない支配感と倒錯感を湧き上がらせてくる。どうにか我慢が出来ていた射精感が更に強まり、抑えようとしても腰がビクビクと震え限界を尊に伝えてしまう。
「ちゅっ、ん、んふっ……そろそろの、ようじゃな? 構わんぞ、妾たちに存分に吐き出すが良い。ちゅ、はっ、あぁ……」
「じゅる……っぱ、んちゅ……早く、んっ、お主の子種汁を、妾たちの顔に浴びせてくれっ……んんっ……」
同時に根元から肉棒を舐め上げ、ゴールの亀頭で互いにキスを交わす尊と尊´。とどめとばかりに二人の手が肉棒を軸に絡み合い、高速で竿を扱く。
「おあっ! あ、ああぁっ!」
遂に限界を超え、絶頂を迎えた俺は腰を突き出しつつ悶絶の声をあげた。腰の奥から強い奔流が迸り、噴水のように白濁液が吐き出されてゆく。
「ンッ……凄い量、じゃのう……!」
「あぁ……この青臭く生臭い臭い、堪らぬ……んはっ……」
どくどくと放たれる精液を二人の尊は避ける事もなく嬉々として口を広げて受け止め、整った顔を白い粘液で汚してゆく。竿を握る二つの手は肉棒を柔らかく握ったまま息の合った動きで前後し、尿道に残った分まで絞り出そうとする。
「あっ……お、おぅっ……!」
腰が跳ねる度に精液が零れてゆく。
数回の腰の跳ねを経て、ようやく完全に射精感が治まると尊と尊´は肉棒を解放した。
「……どうじゃ、今の感想は?」
ゆらりと立ち上がり尊が尋ねる。口淫の激しい動きで着崩れた和服から形良い乳房が覗く。
まだ腰に力が入らない。俺は呼吸を整えつつ彼女を見上げた。
「(落ち着け……
焦りつつも俺は懸命に考える。こいつらがbotでないのは分かった。botならば動きや反応はもっと画一的になるはずだ。だが尊´も尊”もその動きは尊のそれに合わせたもので人間味を感じるものだった。
ではこれは本物の分身か? 否、これは──
「何の事は、くうっ……ねえ……な。こりゃあ単に別人にあんたのアバターを被せただけに過ぎない。あんたの言う『バーチャルの可能性』ってのは、こんなもんか?」
「……ほう、流石に気付いたか」
「フフッ……まあ、この程度は見抜いて貰わんとのう」
俺の言葉に尊´と尊”が愉快そうに笑う。
「いやいや、安心したぞ? 此方こそこの程度で参られては肩透かしじゃからのう」
一方、オリジナルの尊は俺の挑発に柔らかな微笑みを浮かべ、胸元に手を置いた。
「では……
「……!?」
尊の胸の膨らみが急速に消えてゆく。女性らしいラインを描いていた体がやや骨張ったものへと変わってゆく。
「
「なっ……!?」
長く艶やかな竜胆色の髪がショートカットへと変わる。
瞬く間に眼前の尊の身体は少年のそれへと変わっていた。乳房のあった箇所は薄い胸板へと変貌し、その一方で股間の盛り上がりは大人のそれに負けないものとなっている。
「……おいおい」
射精感の余韻を吹き飛ばす悪寒が俺の背に走る。まさか、今度は。
俺の不安を見透かすような透明感のある瞳で尊──いや、今の「彼」は
「ねえ、お兄さん……俺、凄いよ? 俺を予約するお客さんの半分は
「初めてでも心配しないで。俺、上手いから」
「あー、お尻と口が埋まっちゃうか。それじゃ俺はどうしようかな……手か、鼻か、脇でもいいかな……」
気が付けば尊´も尊”も少年の姿へと変わっている。既に半裸になっていた尊´などは肉棒が丸出しで、少年らしくも逞しい怒張を屹立させている。
「ちょ、ちょっと待て!」
流石にこの展開は予測していなかった俺は焦りも露わに制止しようとした。メリッサのようにアナル専用で相手をしている嬢は居るが、俺自身に
何とか立ち上がろうとするが、まだ全身が射精の脱力感から抜けきっていない。藻掻く俺に尊´が一歩踏み出し、勃起した肉棒が突きつけられる。
「ッ!?」
俺は堪らず目を閉じた。
「……お?」
怪訝な尊の声。同時に尊´の肉棒が放っていた熱気が急に遮られる。俺はゆっくりと目を開けた。
「……?」
「鮮烈なショタの匂いに惹かれてみれば……貴方でしたか、尊様」
肉棒を無刀取りのように指で受け止める、見覚えのある赤いエプロンドレス。
俺に流し目を送りつつ、突如現れた「詩子」はそう言った。