第二十一話「ういは、もしくはとあるピエロの経営理念」
「疲れた」
「は?」
「つーかーれーたー!」
全体がピンク色で纏められた少女らしい部屋。
その部屋の中央のベッドの上で眼前の紺色の髪の少女、「ういは」──VTuber、相羽ういはに酷似した彼女はそう言うとごろんと横になり、バタバタと足を動かす。
「いや、『疲れた』って……」
「おんなじ事の繰り返しじゃなくってー! ねー、もっと簡単にどぴゅーって出来るやり方ってないの?」
「(ねえよそんなもん)」
無茶苦茶な事を言い出す彼女にツッコミが出そうになったのを辛うじて堪える。どうやら新人研修一人目からしてなかなかの問題児に当たったようだ。
とはいえ早々に弱音を吐いても居られない。こっちはこっちでそれなりの覚悟でこの場に挑んでいる。
この店の嬢──彼女の場合はこれから入店するので嬢候補と言うべきか──は何れも元のVTuberに性格も含めて似ているが、ういは、彼女もまた本人同様のお嬢様気質というか、こちらを振り回す性質があるようだ。
「……分かった。それじゃ少し休憩しよう。マッサージするから、そこに横になりな」
仕事自体に嫌悪感を抱かれては何にもならない。俺は内心を顔に出さないように努めつつワイシャツの袖を捲った。
「マッサージって……バーチャルで意味があるの?」
「バーチャルを利用した遠隔マッサージは美容と健康の最先端だぜ? この店のスーツの質なら、直接マッサージされるより効くくらいだ」
「ふーん……分かった。それじゃ、やって」
あまり気の無い様子ではあったが、それでも素直にういははベッドの上で転がるとうつ伏せになった。
「おし、体の力を抜いて、リラックスしてな。ちょっと背中のファスナー下げるぞ」
表の仕事で新人研修を行った事はある。肝心なのは当人に「自分がやる仕事がどんなものであるか」「どんな意味があるか」「それに対し自分はどう貢献できるのか」を理解させ、やる気を引き出す事だ。トップダウンの指示だけに従うロボットでは現代では通用しないし、それが客を悦ばせる風俗の仕事ならば猶更だ。
「(とりあえず……『北風と太陽』でやってみるか)」
せっかく俺を買ってくれた上で頼まれた仕事だ。やるからにはきっちり果たしたい。
そんな事を思いつつ、俺はういはの背中に手を添えた。
きっちりと並べられた幾つかのグレーの事務机。
古びた壁には安っぽい神棚に「商売繁盛」のお札。その横には埃を被った招き猫。同じ高さに設置された骨董品級のエアコンからは苦し気な音と共に弱い温風が流れる。
そこから少し離れた場所に黒皮のソファが二つ。間に置かれた強化ガラス製のテーブル。三つの湯飲みが置かれ、VR緑茶が湯気を立てている。
令和、平成──否、もうこれは「昭和の事務所」と言って差し支えない古臭さと言えるだろう。
「いや~……本っ当にすみませんでした! ほら、尊様も」
「うむ……重ねてここまでの非礼、すまなんだな」
黒皮のソファの片方に座る俺に対し、正面のソファに座っていた白スーツにピエロメイクの男──この店の支配人「ジョー」は両膝に手を置いて土下座並みの低さまで頭を下げた。彼の横に座る副支配人「尊」も同様に深く礼をする。
どこか居心地の悪さを覚えつつ俺は視線を横にずらした。休憩用の長椅子、そこに詩子が寝かされている。
「……詩子は大丈夫なんですか?」
「ああ、大丈夫です。消耗しているだけで……今、ログアウトしようとすると精神疲労が肉体にまで影響しちまいますからねぇ。ちょっと休ませてるだけですよ」
──俺と尊があの一戦を終えて焼肉屋のルームに戻った時、既にそこでは色々と終わっていた。
詩子と対峙していた尊´、尊”の姿は既に無く、荒れた店内には気絶した詩子を背負っていたジョーが立っているだけだったのだ。
その後、俺たちは尊が突然に言ってきた「俺をこの店の新人教育係にしたい」という件についてより詳しく話をするためここ、「二次三次」の事務室ルームへと移動して今に至る。見た目の古臭さとは裏腹に、この店のスタッフ“ホワイトハッカー”が注力した最高の機密性を誇るルームだそうだ。
「えーっと……さて、どこから話をしたモンだか」
顔を上げたジョーは腕を組みつつオーバー気味に首を傾げた。外見通りというか、ピエロらしさを動きの随所から感じる。俺は彼に尋ねた。
「その……支配人さんは」
「あ、『ジョー』で結構でございます」
「……ジョーさんは、この件を知ってたんですか?」
「はい、全部知ってました」
割とあっさり目にジョーは答え、俺を真っ直ぐに見た。至近距離で真顔のピエロに凝視されるのは中々に怖い。
ジョーの横にちょこんと座る尊が彼の言葉を引き継ぐように言った。
「妾がお主に仕掛けた一連の行為はりきい……支配人と相談した上で行っておった。お主の実力を測る為とはいえ、随分な事をしたとは思っておる」
「いや、そんな……まあ、そう、ですね」
別に気にはしていない。
そんな言葉で誤魔化そうとしたが、ここまでの色々が思い出されてどうにも言葉に詰まった。フレン、童田、環、そして尊自身──何れもかなりの難敵であったし、童田との一戦に至っては何とか勝てたとはいえ未だにトラウマである。
「と言うか、何でこんな回りくどい方法で?」
「お主が客として優良である事は妾もるる達の話から把握はしておった。じゃが、それだけでは測れぬ部分……不測の事態への対応力や観察力、あるいは此方を支配しようとする嬢をしっかりと
そう言うと尊は湯飲みを両手で持ち、静かに茶を飲んだ。
すかさず今度はジョーが語り始める。この二人、何とも息が合っている。
「で、まあ……尊様、どこまで話しました?」
「俺に新人教育係をやって欲しい……って所までですね」
「依頼したいのはその言葉通りの意味です。嬢らがこの店に入店する前の新人研修、その指導役をお兄さんに頼みたいって訳で」
組んでいた腕を解き、ジョーは指を組ませるとそれを細かく動かす。
「この店なんですが、元々は新人の娘への研修は座学だけで、バーチャルセックスについては新人デビューしてからの実践で学んでゆくというスタイルだったんです。ただ……お兄さんにも迷惑かけたリゼちゃんの一件から『このままで良いのか?』ってぇ意見が出てきまして。そこでお兄さんに頼みたいのは、そんな娘たちのデビュー前の
「お相手……ですか」
「もちろん一方的なお願いですから断っていただいても一切文句はありません。とはいえ……『お仕事』として頼む以上はこっちも相応の待遇は用意します。まず、お兄さんの本業に影響は一切与えません」
「えっ?」
てっきり転職レベルの話かと思って身構えていた俺は、ジョーの切り出してきた内容に軽い驚きを覚えた。
「嬢の研修はお兄さんの都合に合わせます。まあ週に一度か二度、数時間で構いません。報酬は歩合制で、嬢ひとりごとに……この位で」
ジョーは机上に置かれていたメモとペンを取り、さらさらと数字を書くと俺の前に差し出した。
「な……!?」
その額を見て絶句する。想像していたよりゼロがひとつ多い。
流石にこれは話が美味すぎる。俺はジョーに尋ねた。
「ちょ、ちょっと待った! この額は幾らなんでも……!?」
「いやいや、お兄さんの研修を受けた嬢がしっかりと稼いでくれれば、ほんの数回のお勤めで回収できる金額です。安いモンですよ。ハハッ」
俺の驚きを受け流すようにジョーは軽く笑い、そして再び真面目な顔に戻る。
「逆にこの金額はお兄さんへの『期待』を籠めたモンだと思ってください。そんだけ重要なお仕事を、俺たちぁ本気で頼もうとしてるって事です」
「……なるほど、分かりました」
これだけの額を出すからには、いい加減でなく本気で嬢を一人前に育てろ。そういう意思を含めてという事なら納得できる。
「つまり俺がその、新人の娘の初めての相手になって、手ほどきと言うか……実践でお客に対してどう接すればいいかを教えて、あるいは彼女らに何らかの問題点があればそれを矯正するって事ですね」
「そんな感じです。何分マニュアルとかも無いし、相手によって対応は千差万別……基本はお兄さんの決めたやり方で進めて貰って構いません」
「無論、妾たちも最大限のサポートはさせて貰うがの」
茶を飲み終えた尊がジョーの言葉を補足する。
「うぅん……」
俺は顎に手を添えて考えた。
確かに責任は重大だが、同時に極めて美味しい仕事であるとも言えた。正直なところ「二次三次」の常連になってからというもの、じわじわと貯金が削られているのは事実だ。それが週に一、二度で本業並みの収入が入ってくる。しかも内容はバーチャルセックスときている。本来ならば二つ返事で受けて良い内容だろう。
しかし──俺の中にはどうにも
「ちょっと、聞いていいですか?」
「はい、何でしょ?」
「その……悪い言い方になってしまうかもですが、こういうお店って基本的にはジョーさんみたいな支配人って言うか、管理者の男性が嬢の
それが俺の感じていた違和感だった。これまでの彼の態度や支配人について語る嬢たちの反応から、決して面倒見が悪い支配人には見えないのだが──
「あ、やっぱ気になります?」
「まあ……そう思うのは当然じゃろうな」
そんな俺の疑問は半ば予測していたのだろう。ジョーと尊は納得したように頷いた。
「信じて貰えるか分からねぇんですが……俺ぁ、この店の嬢と一度も関係を持ってないんですよ」
「はい?」
「いわゆる『向こう側』では勿論、バーチャルとしてもです」
「い、いやいや、それは……!」
真顔で言うジョーに俺は思わず声を漏らした。流石にそれは無いだろう。そう言いかけた俺に尊が言う。
「支配人の言っているのは本当じゃよ。それは妾も保証する」
「何故です? 例の感染症にしてもバーチャルなら問題は無いはずですが」
「いや、そっちの問題じゃねえんですよ」
そう言うとジョーは膝に手を置き、言葉を選んでいるのかゆっくりと口を開いた。
「……ここは、
「距離が……近すぎる?」
「ええ、言い換えれば『家族』と言っても良いでしょう。行為自体が出来ないってぇ訳じゃありませんが、『俺が誰々とVRセックスした』ってだけでも角が立っちまうんですわ」
性風俗を生業としていても、身内でセックスすれば人間関係にヒビが入るということか?
俺は風俗の専門家という訳ではないが、それが奇妙な話である事は十分に理解できた。『本物』に酷似した嬢たちに加えて強い結束力と身内感。これではまるで──
「……
「ッ!?」
表情から心境を読まれたのだろうか。ジョーは薄く微笑んで言った。手を広げ、あくまで軽い口調で言葉を続ける。
「だとしたら、俺達ぁ上手くやっているって事でしょう。ウチの経営理念は『本物以上の本物であれ』ですからね。向こうがどう思ってるかは分かりゃあしませんが、
「どういう……意味ですか?」
その口調の軽さとは裏腹にジョーが今から語ろうとしている内容がこの店の根幹に関わる事であるのを察し、俺は背筋を伸ばし、姿勢を正した。
「お兄さんくらいの常連なら分かりますかね? バーチャル風俗の草創期が、どんな感じだったか」
「……色々と騒々しかったのは覚えていますよ。あれは界隈の救世主だった」
世界的な感染症の流行で危機に陥った風俗業界にとって、粘膜接触を必要としない電脳世界でのVRセックスの実用化は急務だった。このビジネスチャンスに様々な企業が表裏で動き、研究開発は急激に進んだ。
その結果として実現したのが、それまで一部企業や公的機関でなければ手が出ないような代物だったVRスーツの民間普及と、それに伴うVR諸機材のローコスト化だ。閑古鳥が鳴いていた歓楽街のオーナ―達はこぞってそれらを購入し、通りには「電脳風俗」「バーチャル風俗」の看板が並ぶ事になった。
「最初の頃は何処も手探りで、イメクラの様な店が多かったもんです。アニメやゲームのキャラ、ボーカロイド……そしてVTuber」
「そうでしたね。コスプレイメクラの延長線上みたいな感じで」
当初は店側も「バーチャル」を正しく理解した上で運用できているとは言い難いものだった。VR空間の造形なども発展途上でお店に務める嬢をそのまま再現する事も難しく、必然的に多くの店がそういったサブカルチャー系のキャラを投影したVR風俗を喧伝していった。
まあ、それ自体は仕方ないことなんですが。そう前置きした上でジョーは言った。
「問題は……急激なバーチャル風俗の発展と知名度の上昇により、本物のVTuberまでもがまるで風俗嬢やホストであるかのように
「……ありましたね」
実際、その頃の男性情報誌や週刊誌などでVR風俗が紹介された記事には本物のVTuberとVR風俗の偽物をごっちゃにした物も少なくなかった。その辺りを勘違いした新規リスナーからの心無い言葉で活動を自粛したり、あるいは対応を誤り炎上したVTuberも居る。
「厄介なもんで、こういうのは当人が懸命に発信しても『外』に届かない。もしくは届いても言葉尻を捉えて歪んで報道されちまいます。だから……俺達はこの店を作りました」
「有象無象のいい加減な偽物を駆逐できるだけのクオリティと再現度、それらを備えた『本物以上の本物』を提供できる店、それを目指してのう」
ジョーの話に尊が頷きつつ言う。
「要人が利用し、この店に務めている事が誉となる程の風俗店。それが俺たちの目標って訳で。どうかそこに、尊様を満足させられるだけの力量を持つお兄さんの力を貸して欲しいってのが……此方の要望です」
そこまで言うとジョーは口を閉じ、こちらの反応を待った。
「分かりました。お受けします」
正直なところまだ幾らかの疑問は残る。この店は個人の寄り合いにしては技術力が高すぎるし、表舞台で接客する訳でもないジョーまでもがVTuber、ジョー・
しかし眼前の支配人であるジョーと副支配人の尊、彼らの言葉に嘘が無い事は理解できた。そして、この店が好きなのは俺も同じだ。
「……ありがとうございます」
「感謝する。よろしく頼むぞ」
俺の答えに二人は、最初の謝罪以上に深く頭を下げた。
「北風と太陽」という童話を知っているだろうか?
ある旅人を見かけた北風と太陽が「どちらがあの旅人の上着を脱がせられるか」で勝負を始めた。先手の北風は強い風で服を吹き飛ばそうとしたが旅人は一層身を縮め、服はそのままだった。一方の太陽は暖かな陽光を注いだ。すると厚着が不要になった旅人は自ら上着を脱いだ──そんな話だ。
この寓話の教訓は「厳しさよりも優しさや温かさが他人を動かすことが出来る(場合もある)」というもので、それは今の状況にも共通する。
「んっ……」
俺の手にういはが反応を示す。指に軽く力を籠め、腰回りから背筋周りの筋肉をほぐしてゆく。
「(おっ……?)」
「ん、ふうっ……どうしたの?」
「いや、何でも……よっと」
指先から伝わる予想外の感触。ひょっとすると彼女は──
ある考えを巡らせつつ俺は手を更に動かす。同時に彼女の身体との接点に意識を集中してゆく。
「ふぁ……え、え?」
「……どうした?」
「ふぇっ!? な、何でもないよ!?」
ういはの吐息に甘いものが混じる。彼女の視点からは見えないだろうが、今、俺の手と彼女の肌の間には小さな光が灯っている。
かつて尊とセックスで競った際に身に着けた「究極のライン越え」──相手をいわゆる「ガチ恋」まで強く想う事で、直接相手に「好き」という感情を脳内物質諸共に叩き込む大技──は、危険な技であったと同時に俺に
「ふぅっ……ん、んんっ……」
ういはの細い腰が小さく動く。俺はマッサージを行いつつ強く「彼女を気持ちよくさせたい」という意識を持ち、集中する。
「感覚の共有」とでも言えば良いだろうか? 自分が覚えている感覚や興奮、快感を相手に共感させるコツというのが分かってきたのだ。おそらく今、ういはの身体を包むVRスーツは只のマッサージによる気持ち良さだけでなく、性的な快感も彼女の身体に与えているはずだ。肉体に与えられた快感が精神に刺激を与える通常のセックスとは逆の、精神の交感が肉体にフィードバックされるバーチャル風俗ならではの強みである。
とはいえ漫画のように、流石に触れただけで絶頂させる程ではない。ではないが──それ故に「もどかしさ」を与える事はできる。
俺はマッサージしていた手を背筋から次第に下げ、スカートの上から彼女の尻を緩く掴むとそこを揉み始めた。
「あぁ……っ!」
それだけでういはは頬を染め、喘ぎを漏らす。感じつつもそれを隠そうともじもじと身を捩らせる様が何とも可愛らしい。
これならもう少し大胆に責めても良さそうだ。俺はそう判断して、手を彼女のスカートの中に潜らせてみた。
「ッ!」
「(おぉ……)」
枕に顔を埋め、ういはは声を殺す。指先に感じる熱い湿気。思った以上に彼女は感じていたようだ。
「ね、ねえ……」
「どうした?」
「その……も、もう、楽になったから、続き……しても、いいよ?」
「そうは言うけど、この辺りとか全然張ってるぞ? もうちょっと脚も解してからにした方がいい」
「んふぁっ!? そ、そんな……こと、ンンッ……!」
俺はういはの太腿の付け根辺りに手を添え、内腿を揉むと同時に両の親指で彼女の秘所に下着越しに触れる。湿り気を帯びた下着の感触。ういはは喘ぎこそするが、抵抗は見せない。
それを承諾のサインと捉え俺はより動きを大胆なものへと変えてゆく。ショーツを爪で持ち上げ、ういはの尻に直接触れる。
「あっ、あぅ、んっ……!」
指先に感じる、彼女の控え目な陰唇の感触。薄く濡れるそれを柔らかく弄りつつ、しかし快感のラインが一定を超えないところで維持する。
びくびくと身体を震わせつつ、ういはは泣きそうな顔で俺に視線を向けた。
「ご……」
「ご?」
「ごめん、もう……意地悪しないで。云うこと、聞くから……」
「……分かった。服、消すぞ」
こちらも必要以上に彼女を苛めるつもりも無い。俺は彼女の服に触れ、そのデータを消す。
ういは、彼女は既に成人を迎えているとの事だが、その肢体はどこか幼さを残した凹凸の少ない身体だ。
しかしマッサージ中に掌に覚えた感触。それは彼女の外見と異なる印象を俺に伝えてくれていた。
「ちょっと試したい事がある。上になれるか?」
「うん……早く、欲しい……」
潤んだ瞳でういはは頷くと身を起こし、俺が寝るスペースを作った。自身の服を消し、そこに横になる。
マッサージ中の彼女の反応に既に充血していた肉棒は俺の股間から柱のように屹立している。俺は竿に手を添え、ういはを促した。
「跨ればいいの?」
「ああ、それで……ういは、
「……?」
俺の言葉にういははきょとんとした反応を見せたが、体の欲求が疑問を押し流したのだろう。びくびくと脈動しつつ熱を放つ肉棒に視線を注ぎつつ、彼女は俺の身体の上に膝立ちで跨り、自ら秘唇を広げた。そのままずぶずぶと俺の肉棒を呑み込んでゆく。
「んあっ! あ、ああぁっ! お、大きい、よっ……!」
「く、うおっ……!」
強い圧迫感を覚えているのだろう。苦しそうに眉を歪ませつつもういはは腰の動きを止めずに更に深く挿入を求めてくる。一方の俺も彼女の締め付けに思わず声を漏らす。
やがてその身体にすっぽりと肉棒を包み込んだういはは大きく息をついた。
「は、あ、はぁっ……う、動く、ね……ん、しょ……!」
「ああ、頼む……お、おおぉっ!?」
きゅうと膣内が搾るように引き締まり、次の瞬間、俺の身体は
「え!? え!? お兄さん、大丈夫!?」
「だ、大丈夫だ……予想通り、これはあんたの強い『武器』だ。そのまま続けてくれ。俺の身体を持ち上げるくらいに締め付けて、それを時々緩める……くうっ!」
「こっ、こう? ん、あっ、あふっ……!」
マッサージ時に俺に伝わってきたもの、それは彼女の幼さを残すアバターとは裏腹の強靭な筋肉だった。細い鋼の糸が幾重にも絡み合ったようなしなやかで、それでいて強い体幹。そして俺の予測は正しかった。おそらく単純なフィジカルならば、るるや尊のそれをういはは容易に上回るだろう。
とはいえ俺もやられっ放しとはいかない。ういはの腰の動きに合わせて角度を調節し、彼女がより強く快感を得られるように膣内のツボを探り、そこを突く。
「ふぁ、あ、あぁっ!」
「ぐ、お、おおっ!」
ういはの奥からは粘度の強い愛液が溢れ、抽送をより滑らかにしてゆく。
長期戦では俺が不利だ。指導役が先にイカされては面目も立たない。俺は強い締め付けの中で腰の動きを速め、ういはを絶頂へと押し上げてゆく。
同時に彼女も俺の言葉通りに腰を持ち上げる程に締め付け、時折それに緩急をつけてくる。おそらくは感覚だけで行っているのだろうが、確実に精を搾る動きに射精感はより強まってゆく。
「あ、んあ、あぁっ! な、何か、来る、きて、るぅっ!」
「あぐっ! お、俺、も、おっ、ああぁっ!」
「………ッ!」
どくん、と彼女の奥に精を放つ。
ういはは俺の腰を持ち上げたまま背を反らし、絶頂を迎えた。
「いやいや! 初仕事、お疲れ様でした~……どうでした、『ういは』ちゃん?」
「ちょっと自由なところはありますけど、筋というか、素質は凄いものを持ってると思います。特にフィジカル面では……」
「二次三次」事務室。冷えたVR栄養剤──高揚した精神をリラックスさせ、肉体の緊張を解くことで現実の疲労回復効果もあるらしい──を飲みつつ、俺はジョーの質問に答えた。
更に幾つかの問いかけを行った後、手元の書類に記入し終えたジョーは安心したように言った。
「ん~……やっぱ、嬉しいモンですね。期待した相手が期待通りの仕事をしてくれるってなぁ」
「そんな事はないですよ。お客の時とは緊張感が全然違います」
「まあ、そりゃそうですよねえ……で、そんな兄さんに申し訳ないんですが、次の娘が
そう言うとジョーは神妙な表情で机の引き出しを開け、一枚の書類を差し出した。
「すみませんが……よろしく、お願いします」
「……なるほど、この娘ですか」
確かに「彼女」が本人と酷似した嬢候補だとするなら、これはなかなか苦戦しそうだ。
『椎名』。名前欄にそう書かれた、どこか大福を思わせる少女の写真を見て俺は呟いた。
いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます。
年末年始は思った通りに忙しく一ヶ月ほどお待ちいただきましたが、シーズン3・新人教育編もよろしくお願いします。
さて、シーズン3開始にあたりまして、シーズン2終了前後から行っていましたアンケート「誰をわからせたいですか?」の結果を発表させていただきます。
(355) 椎名唯華
(226) 夜見れな
(180) 天宮こころ
(63) 勇気ちひろ
(19) 葉山舞鈴
りりむと星川不在の、いわば王者不在のアンケートながら約850票の投票をいただきました。誠にありがとうございます。
一位は全体の四割を押さえて安定のトップの椎名、次いで二位に夜見という先輩後輩ツートップでの上位入賞となりました。APEXで二人でシスコさんや社をいじる様が本当に楽しそうで微笑ましい二人です。
次いで三位にはあまみゃ。二次創作ではやたら泣かされる彼女ですが、本作で書くならば別の涙を流させたいもんです。
四位にはちーちゃん。クールなちーくんとのリバーシブルも可能なので、何気に使いどころの多いキャラをしています。
そして五位は圧倒的得票率の低さ(約2%)で葉山。リゼ皇女をして「普通の脳みそではない」と言わしめた独特なキャラは「メスガキ」とはまた違ったのかもしれませんね。
今シーズンも前シーズン同様、全10話~11話くらいの内容になる予定です。
世間ではコロナで相変わらず大変ですが、体に気をつけて書き進めてゆきます。
それでは改めてシーズン3、よろしくお願い致します。