「……はっ!?」
半ば失神したように仰向けに寝ていたフレンが跳ね起きた。彼女の豊かな乳房が重そうに揺れる。
「ひうっ、ひっ、ひゅっ……よ、良かっ、たっ! 死んだかと思ったわ。マジで……ンンッ!」
「本当に心配して、たらっ……ほったらかしておねだりは、ぐっ、し、しねえ、だろ……うお、おぉっ!」
「ひゅぅっ! あぐ、イっ、イグッ! あ、はっ、ああぁっ!」
その横で首を絞められながら肉棒を挿入されていた美玲が苦悶と喘ぎが入り混じった声と共に絶頂に達する。俺は彼女が達したのを確かめ、その膣内に精液を注ぎ込む。
「お、おおう……ひょっとして私、気絶してました?」
「気絶って、よりかはっ……イったまま、寝てたって感じ、だなっ! くうっ、搾られるっ……!」
「んあっ、けほっ、ケホッ……!」
俺と美玲の交わりを眺めつつ問いかけるフレン。熱い美玲の中に吐き出されてゆく奔流に腰を震わせつつ、俺はそれに答えた。
「いやあ、すみません! リミッターの事、うっかり忘れてました!」
「ちょ、ちょっと待ってな……これ抜いたら、設定、変えてやる、からっ……」
たっぷりと美玲の中に出し終えた肉棒が彼女の孔から抜け落ちる。
俺はぐったりと身体を横たえた美玲の背中を撫で、フレンに向き直った。
──そこから俺たちはフレンの設定をし終え、もう一度、あの首絞め3Pを行った。
「……で、どうだ?」
「はい、満足です! 先輩もありがとうございました!」
「……まあまあ、及第点ってところね。この後も五部屋あるんでしょ? ちょっと休んでく?」
「ああ、お言葉に甘えて……って、やけに今日は素直だな」
「あ”? せっかく人が気遣ってんのに、鍵、捨てる?」
思わず漏れた俺の本音に美玲が声に濁音を混ぜて怒りを見せる。
「悪い悪い……ありがとうな」
「全く……」
慌てて俺が詫びると、美玲は俺に鍵を投げてよこした。それを手に取ると同時に壁に
「弐」
と書かれた扉が出現する。
「……るるちゃん、あんたが来るのを楽しみにしてた。女は待たせるモンじゃないんだから、ほら、さっさと行く」
「お兄さん、またお店で待ってます!」
背中に投げかけられる弐つの言葉に手を挙げて応え。俺は改めて自身のアバターに服を纏わせる。いきなり全裸で部屋に入るのも風情に欠けるし、誰が待っているかは知らないが、いきなり全裸では驚く嬢もいるだろう。
「さて……いくか」
小さく呟き、俺は美玲から渡された鍵を差して扉を開けた。後方の美玲とフレンの気配が急速に薄れ、眼前には新たな部屋の景色が広がり──
「……え?」
壁に掛けられたお品書きの数々、畳敷きの床、卓に置かれた幾つものジョッキにグラスに徳利、刺身の盛り合わせに軟骨の唐揚げ──俺は間違いなく、居酒屋の座敷席に立っていた。
「おー、兄ちゃん! やっと来たか!」
俺が状況を把握するのを待たず、そこに飛んでくる陽気な声。
視線をそちらに向けてみれば、果たしてそこには
「ほら兄ちゃん、ここ座りい! もうみんなええ感じなんやから!」
「うぉ、おっ、おにっ、お兄さんっ! ういはろぉ~!」
「っかー! うめー! 店員さん、生中おかわりー!」
「早瀬」「ういは」そして「御伽原」の3人は銘々にVR酒を傾けていた。
「………」
「お、どないしたん? ほら、ここ!」
「あ? あ、あぁ……いや、すみません、姐さん。その、何だか二部屋目から早くもコンセプトが読めなかったもんで」
早瀬に促されるままに俺は示された空席に座った。横に早瀬、向かいにギバラ、斜め向かいにういはという配置だ。
座るなり前に突き出されたVRビールのジョッキを受け取りつつ、俺は早瀬に尋ねた。
「あの……この面子ってどういう組み合わせなんです?」
「あー、兄ちゃん、そういえば知らんかったか! 私とういは、呑み友なんよ。ちょっと前にういはが20歳になってな、お仕事がてらこうやって「大人の呑み方」ちゅーのを教えたりな」
「ふぁ~……おとっ、大人の女の呑み方って、格好いいひゃはいれすか! うい、ういはもっ、そういうおとなになら、られっ、なりたいっ、から……」
早瀬の言葉にういはが同調する。摂っているのは現実のアルコールでないVR酒のはずだが、真っ赤な顔で
まあ、ツッコミ所こそあれ二人については分かった。問題はあと一人だ。
「そんでギバラ、お前は?」
「え? あ、あぁ~……どう言ったらいいかなあ、うん」
視線をギバラに向けると、彼女はわざとらしく視線を逸らした。一見するとかつて俺を騙そうとした時の態度に似ているが、何か、何か違う。
そんな疑問を抱きつつ更に問い詰めようとした時、横のういはがあっさりと答えを言った。
「それが聞いてくらさいよお兄さん! 御伽原さん、今週でこの店を辞めるんれす!」
「辞め……は、はあっ!?」
その時、俺は水と酢を間違えて飲んだような表情をしていただろう。「あちゃあ」という擬音が聞こえそうな程に気まずい顔をしたギバラに俺は言った。
「……おい、普段から冗談みてえな喘ぎをしてんだから、そんな事を言っても冗談と思われねえぞ?」
俺がこんな事を言えば、普段の彼女ならば「ちょ、そんな事言う!?」のようなリアクションを返す筈だ。そんな期待を込めて反応を待つ。
「いや、まあ……その、ホント。もうジョーさんに退職届も出したし、今着てるVRスーツもクリーニングして、来週にはお店に寄付する事になってる」
しかし、彼女の反応はごく普通の「まもなく退職する風俗嬢」のそれだった。環が「退職もどき」をした時とは全く異なる真剣さが籠められた、静かな言葉。
「……マジかよ。何でまた?」
「あたし、この店に勤めてもうすぐ二年になるんだけど……『区切り』って言ったらいいかな? いい後輩も随分と増えてきて、お店も大きくなってきて、ほら、
場の空気が変化することが彼女としても嫌なのだろう。あえて陽気にギバラは話を締めると自身のジョッキを傾けた。
「この子、ホンマはもっと先の部屋の予定やったんやけど……そんな話を聞いたら『お別れ会』をせんのも水臭いやろ? せやからこうして、兄ちゃんを待ちながら呑んどったんよ」
「……なるほど。それじゃあ、遅れましたがギバラの卒業を祝っての乾杯といきますか!」
早瀬の気遣いを感じ、俺ギバラを引き留めたくなる気持ちを抑え込んだ。既に送り出そうという雰囲気が出来上がってるこの場でそんな事を言い出して彼女を困らせるのは、それこそ無粋だ。
ジョッキを手に乾杯の準備をする俺に早瀬は笑い、自身もジョッキを握った。
「ハハッ、ほんなら兄ちゃんも来たし乾杯のし直しといこか。えーっと、御伽原さんの二周年に渡るお勤めと卒業、それと……」
「二次三次三周年を祝って! そしてこれからの繁栄も願って! かんぱーい!」
「あははっ! くぁっ、かんぱぁーい!」
早瀬の言葉を引き継いでギバラがジョッキを当てる。それに続いてういはが声と共に叩きつけるようにジョッキをぶつける。バーチャルでなければ割れていたかもしれない。
そんな事を頭の片隅で覚えつつ、俺はキンキンに冷えたVRビールを呑んだ。冷たさや喉越しまで再現されているのは流石としか言いようがない。
「しっかし二年か……何か店で思い出とかってあるのか?」
「そりゃあるよ、色々と! 特に覚えてんのがさぁ……」
「って兄ちゃん!? 駆けつけ三杯、まだ一杯目しか飲んどらんやん! ほら、もう一杯!」
「わ、わらしっ、スクリュードライバー追加、お願いしますっ!」
──そこから俺たちは、賑やかに呑み、食い、語り、騒いだ。
「あー、あん時か! 覚えとる覚えとる! あん時ってどうなっとったん?」
「いや、それなんだけどねー」
ギバラが思い出を語り始めると早瀬がそれに上手い相槌を返し、俺やういはの記憶に少しでも残るよう彼女の事を引き出してゆく。
「あははっ! い、いいれす、ねっ……ぐぅ」
突然に笑い出したういはが机に突っ伏したかと思えば、急に寝息を立て始める。
「う、ういはちゃん、大丈夫か?」
「結構なペースで呑んどったからな……まあ半分は思い込みで酔っとるようなモンやし、リミッターもかかっとるから大丈夫やろ」
初めての反応に驚く俺に、早瀬は軽い口調で言いつつイカくんを口に運ぶ。
「……ん?」
ふと、俺は枝豆を摘まもうとした手を止めた。何か大事なことを忘れているような──
「お主ら、ラストオーダーの時間じゃぞ?」
その時、俺たちのいる座敷席の外から声が届いた。そちらの方を見る。
「え? あ、すみませ……っ!?」
「ほれ、早く注文せい」
そこには、居酒屋店員の制服姿の尊がバインダーを片手に立っていた。からかうような笑みを浮かべる彼女に思わず言う。
「な、何でアンタがここに居るんだ!?」
「『何で』もなにも……妾はこのゲームの仲介役兼
「ゲームオーバー?」
「……お主、この部屋に来てからどれだけ経ったか
「どれだけって……うおっ!?」
呆れ顔で尊は俺の質問に答え、壁の掛け時計を指す。そちらに視線を向け、俺は絶句した。
「残り25分で三人の相手は、お主でも厳しいと思うんじゃがのう」
急速に体温が下がってゆく俺に、尊は他人事のように言う。
彼女の言う通り、止まることのない時計の針は俺がこの「弐」の間に突入してから既に一時間半以上が過ぎている事を示していた。同じく時計を見た早瀬が焦りも露わに言う。
「アカン! すっかり忘れとった!」
「……うぇ?」
「ご、ごめん! あたし、話すぎた!?」
「いや、それは大丈夫だ! とりあえず落ち着いて……」
大きく息を吸い、冷静になるように自身に言い聞かせて頭を働かせる。俺は咄嗟に早瀬に言った。
「姐さん! 要はこれ、部屋の娘たちが全員満足すれば良いんですよね? だったらこの酒の席でみんな満足したって事に……」
「それはアカン! 渡したいのは山々やけど、最低一回はイかんと渡せへんようにルームが設定されとる!」
「何でそんなトコだけ律儀なんですか!?」
「お主の消耗を気遣って、何もせずに次の部屋に送る者が出てきては公正ではないからのう。談合禁止の設定じゃよ」
思わずツッコミを入れる俺に尊からの容赦ない言葉。
とはいえ早瀬も俺を次の部屋に行かせないつもりではないようだ。バン、と机を叩くと卓上の飲食物と共にそれは消失し、畳が敷かれただけの空間となる。
「御伽原、こっち来ぃ! 兄ちゃんの準備が整うまで、こっちはこっちで濡らすで!」
「へ? いや、早瀬さっ……ちょ、ええっ!?」
「兄ちゃん、とりあえず全員に射精すれば格好もつくやろ! 私と御伽原は準備しとくから、兄ちゃんはまずういはに一回
「わ、分かりました!」
ギバラを引っ張って押し倒しつつ言ってきた早瀬の言葉に従い、俺は寝っ転がったままのういはを見た。
「ぐぅ……すぅ……うぇ?」
気持ちよさそうに彼女は横になり、時折呻きを交えた寝息を立てている。完全に泥酔したまま眠っている酔っ払いのそれだ。VR酒でここまで酔うとは想像妊娠ならぬ想像泥酔といったところか。
申し訳なく思いつつも彼女を揺すってみたが、起きる気配はない。この状態で服を消して突っ込んでも、果たして射精できるかどうか──
「ダメです! ういはちゃん、完全に寝てます!」
「ほんなら、ンッ……口、口に突っ込みい!」
「ほっ、ホアッ! あうあぁっ!」
ギバラの獣めいた喘ぎに混じって飛んでくる早瀬の声。
「く、口!?」
「起こしとる時間が無い。鼻ぁ摘まんで口を開けさせて突っ込むんよ! リミッターが掛かっとれば窒息はせーへんから!」
予想外のアドバイスに俺は驚いたが、確かに早瀬の言う通り余裕はない。俺はスラックスを下着ごと脱ぎ捨て、肉棒を眠るういはの顔に近づけた。
「んむぅ……うぃ~」
生臭い男の匂いを感じ取ったのか、少し鼻をひくつかせたがういはは寝たままだ。
「……ういはちゃん、ごめん」
「ふぇ、はっ……っぱぁ……」
無邪気な笑顔の彼女に詫びつつ俺は形良い鼻を摘まんだ。むず痒そうな反応を示しつつ、ういはの口が呼吸をしようと大きく開く。そこに亀頭を、そして竿を押し込んでゆく。
「んぶっ、ンンッ……!」
「うおっ!? あ、熱っ!?」
酒が回っている──と、彼女の身体が思い込んでいる──からだろう。ういはの口の中は唾液で潤み、肉棒を挿れた俺が驚くほどに熱かった。俺は亀頭に歯が当たらないように、同時に喉奥に亀頭を当てないように調節しつつ、腰を細かく動かし始める。
「じゅるっ、んぶ、んむぅ……!」
「おっ、く、おおっ……!」
ういはの舌が肉棒に絡みつく。それは歯に挟まった異物を押し出すような無意識な動き。しかし意図はどうあれ熱くなった舌で竿を舐め回され、彼女の口腔内で俺の肉棒は否応なく滾りを増す。
「うあっ! は、はぁ……ういは、ちゃん、ごめっ、ほんと、ごめ、んっ! くうっ!」
「うぶぅっ! ンッ、ンンーッ!」
苦しそうな彼女の反応に悪いと思いつつも腰を止められない。20歳にはとても見えない、幼さを残す泥酔した女性の口に居酒屋の座敷で勝手に肉棒を突っ込んでの口淫。倒錯的なシチュエーションは俺の理性を溶かし、身体の奥から興奮を射精感と共に湧き上がらせてくる。
肉棒のビクビクとした震えが射精が近い事を教えてくれる。時間もない。俺は我慢することなくういはの口の中にそのまま射精した。
「ぐ、が、ああぁっ!」
「ンーッ!?」
「おっ……はぁっ、あぁっ……!」
腰を引き、射精したままの肉棒を口腔内から抜く。亀頭から吐き出された白濁駅が、ういはの顔を容赦なく汚してゆく。
「けほっ、けほっ……うぃ~」
小さな咳と共にういはの口から精液が吐き出される。生臭い精液を顔に貼りつかせたまま、息苦しさから解放された彼女は気持ちよさそうな寝息を出した。
癖になりそうな快感の余韻と申し訳なさの両方を覚えつつ、俺は時計を見た。残り15分弱。
「ほら、兄ちゃん! 休んどる暇は無いで!」
「姐さ……おわっ!?」
声のする方に向くと、眼前に上下に重ねられた女陰と尻がいきなり出てきて思わず驚きの声が出た。上が早瀬、下がギバラ。互いの陰唇が擦り合わされ、既にそこは濡れ、照り光っている。
「射精したばかりで敏感な内に、好きな方にぶち込みい! 私らをイカせようとか思わんと、遠慮せんでええから!」
「わ、私もっ、大丈夫っ! 声で萎えそうなら、音、消してっ!」
自身の張りのある大きな尻を叩き、早瀬が言う。追って下のギバラも、多少の気後れを感じさせながらもはっきりと俺に言った。
二人とも俺を更に先の部屋まで行かせようとしてくれている。その気遣いに感謝しつつ、俺はういはの唾液と精液に塗れたままの肉棒に手を添え、早瀬の尻を掴んだ。指を押し返してくる強い張りとしっかりした肉付きよい感触。
「ありがとうございます。姐さん、ギバラ……せぇ、のっ!」
「あうっ! あ、ああんっ! 来とる、兄ちゃんの、チンポっ!」
早瀬の孔に亀頭の位置を合わせ、一気に肉棒を奥まで挿入させる。やはり長身で身体も鍛えられている早瀬の膣内は別格だ。肉の厚さと温もりと締め付け、それらが全て高いバランスで維持されている。
俺は肉棒に添えていた方の手を放し、早瀬とギバラの重なり合った乳房へと移した。押し付け合う二人の間で乳房は淫らに形を歪ませており、そこに手を挟むだけで重みある乳房の感触が伝わってくる。俺は腰を使いつつ、手に余る大きさの早瀬の乳房を揉んだ。
「くうっ! 姐さん、胸、前より大きくなって、ません、かっ!?」
「ふあぁっ! ちょ、ちょい最近、呑むの多かったから、肉、付いたかもっ! んあっ! えっ、ええわぁっ! やっぱ兄ちゃんの、チンポっ! オメコ、悦んどるっ!」
「ふぎっ! こ、擦れてっ、ふおぁぁっ!」
早瀬は上手く腰の位置を調節し、ギバラの秘所に擦れるように尻を振る。独特なギバラの喘ぎに萎え負けしないよう股間に意識を集中しながら俺は早瀬の尻に腰を打ち付ける。激しく肉の打ち合う音が居酒屋の座敷に響き、床に置かれた徳利が転がる。
射精直後で敏感になっていた処への急激な快感は、俺自身が思った以上に次の射精感を覚えさせた。腰の奥から湧き上がる衝動のまま、更にぱんぱんと早瀬の尻に肉棒を打ち込んでゆく。
「すっ、すみません、姐さんっ! もう、射精ますっ!」
「ええよっ! んはっ、ええ、よっ、兄ちゃんっ! 兄ちゃんのっ、ザーメンっ! たっぷ、りいぃっ!」
「最初のだけ、姐さんに出して、残りはギバラに、射精しますっ! ギバラっ、ちょっと待ってろっ!」
「む、無理しないでっ! あたし、早瀬さんに一回、イカされたからっ、もう、無理しないでも、オッケーだと思うっ!」
「嫌だ! お前のに突っ込むのもこれが最後だから、なっ! お前のまんこの感触、覚え、ないとっ、うおぉぉっ!」
どくん、と腰が大きく震えた。同時に尿道を精液が走り、そのまま早瀬の膣内へと吐き出されてゆく。
言った通りに俺は最初の射精を早瀬に放つと肉棒を抜き、まだ射精が治まっていないそれを下のギバラの秘所へと突っ込んだ。
「うひょおぉぉっ! これ、ヤバッ! 射精された、ふぎゃ! ままっ、ひょほおぉっ!」
ギバラの喘ぎが本気のそれになる、俺は懸命に肉棒の充血を維持させつつ、残りの精液をギバラに注ぎ込んだ。
「あっ、ぐっ、おぉ……」
「ふぎょ、ひっ、はぁっ……!」
「あっぁ……熱い、わぁ、兄ちゃんの、ザーメンっ……!」
「すぅ、すぅ……けほっ」
射精の余韻に呻く俺、奇声を上げつつも絶頂を迎えるギバラ、うっとりと呟く早瀬、寝息と共に口腔内に残っていた精液でせき込むういは。四つの声が同時に居酒屋の店内に発せられる。
「……ふむ、残り一分か。ギリギリじゃったのう」
掛け時計の長針を見つつ、俺たちの交わりを眺めていた尊が言う。
肉棒をギバラから引き抜いた俺に、濡れた髪をかき上げつつ早瀬が起き上がり手を出した。
「よっしゃ! 兄ちゃん、これ!」
「あ、はい!」
慌てて鍵を手に取ると、居酒屋の壁に
「参」
と書かれた扉が出現する。
残り一分というのがこの判定までを示すのか、扉を通過するまでの時間を示すのかは分からないが急ぐに越したことはない。俺は下半身裸のまま早瀬達に礼を言い、扉に向かった。
「ありがとうございました、姐さん、ギバラ、ういはちゃん!」
「先は長いで、頑張りや!」
「お兄さん、気を付けて! その先の部屋だけど……」
ギバラが何か俺に言おうとしたが、最初の部屋と同様、扉を開けた瞬間に急速に「弐」の部屋の気配が薄れ、前方の部屋の気配だけが強くなってゆく。
どうやら今度はいきなり部屋という訳でなく、暫く板張りの廊下が続いているようだ。左右には窓越しに机と椅子が並べられた部屋が等間隔で見え、「1-2」「1-3」などの札が引き戸ごとに差さっている。
「……学校?」
「やれやれ、二部屋目からこの調子では先が思いやられるのう」
「え?」
後ろからの声。振り返ってみれば、いつもの和服姿に戻った尊が立っている。俺は驚いて尋ねた。
「な、何であんたまで付いて来てるんだ!?」
「言っとるじゃろ、妾は審判も兼ねておると。ほれ、進まぬか。時間はこうしておる間にも進んでおるのじゃぞ?」
「………」
扇子を手に愉快そうに笑う尊。俺は何と言ってよいか分からず、前を向きとりあえず歩き始める。
「……出来れば最初の部屋みたいに、とりあえず姿だけでも消してくれてると助かるんだけどな」
「妾とて他人のセックスを齧り付きで観戦する趣味は無いでの、無論そのつもりじゃ。ただ……お主にひとつ、言い忘れていた事があってのう」
「言い忘れてた事?」
「うむ、じゃがその前に……横に注意した方が良いかもしれん」
「横?」
言われるままに横を見ようとした瞬間、ちょうど真横に来ていた引き戸がガラリと開く。
そこに立つエプロンドレス姿の女性は、にこやかな笑顔で俺を見ると手にした注射器を掲げた。
「詩っ……!?」
「がっ!?」
だが、それと同時に感じる後頭部への強い衝撃。体が傾き、倒れ、同時に意識が混濁してゆく。
「ふぅ……あー、それでじゃな、何を言い忘れたかなのじゃが……
背後からの尊のそんな言葉。その意味を理解するのを待たず、俺は気絶した。