──考えてみれば、今までの彼女は肉欲を抑えきれない状態でもどこか俺に対しての気遣いを残していた。
それは「自分の性欲の発散に付き合って貰っている」という遠慮があったからだろう。だが──
「ああっ、ンッ! ひ、ああんっ!」
「お、く、ぐぅっ!」
仰向けになった俺の腰の上に跨り、礼拝堂に響く大きさで喘ぐクレア。修道衣の長いスカートで結合部は隠れているが、彼女の動きに合わせて耳に届くグチュグチュという水音が、そして何より十分に潤いながらも強く締め付けてくるクレアの膣内が与えてくる快感が状態を教えてくれる。無数の襞はそのひとつひとつが精液を望むかのように竿全体を撫で、くすぐり、搾ってくる。これが時間制限なしであれば、俺は精力が尽きるまでこの快感を味わおうとしただろう。
「よっ……と!」
「ふぁ、そ、そこ、揉まれたら、んあぁっ!」
眼前でゆさゆさと揺れる、厚手の布地越しでも十分なボリュームを測ることができるクレアの豊乳を下から掴み揉み上げる。どうやら下半身と同様にブラは着けていないようだ。びくんとクレアは身体を震わせて反応を見せるが、それでも肉棒を求める動きは止められないのか腰を亀頭が抜けるギリギリまで持ち上げ、そして根元まで一気に落とす。一瞬外気に触れた肉棒が再び焼けるような熱い潤みに包まれ、俺も堪らず呻きを漏らした。
「あ、くっ、ああぁっ!」
「あふ、奥、出てっ……!」
クレアとの交わりを初めてから数度目の絶頂に達し、俺は彼女の膣内に精液を迸らせる。同時にクレアは俺の胸板に手を置き、背を反らして悶える。
「ハァッ、ハァッ、ふぅ……!」
「……ふあぁッ!」
「ぐ!? お、ちょ……!?」
ほんの半呼吸くらいのインターバル。俺の呼吸が整うのも待たず、クレアは再び腰を振り始めた。半勃起状態だった肉棒は、射精でより滑らかになった彼女の中で強制的に硬度を戻される。
「おっ、くうっ……どういう、こと、なんだ、クレアさ、っ!」
「んあっ、はっ、ンンッ! な、何が、です……か?」
ただ肉欲のまま、貪欲に肉棒を求めてくるクレア。しかし俺はそんな彼女に違和感を覚えていた。
「はぁっ……な、何でこんな、
「……!」
俺の言葉にクレアの腰の動きが止まる。
そう、今の彼女は貪欲で、積極的で、攻撃的で──まるで自分で自分を無理やりに駆り立てているように、俺には思えた。
最初に彼女が言った「俺を行かせたくない」という言葉にも疑問が残る。そもそもクレアと俺の関係は「仕事で発散しきれないクレアの欲求不満の解消」が主目的であり、わざわざ自分で欲求不満を溜めこんで準備万端で待ち構える必要など無かったはず。人気の嬢であるクレアなら、それこそ複数人プレイも可能な程に予約希望もあったろうに。
「……ごめん、なさい」
紅潮し、汗に濡れた頬に金髪を貼りつかせて俺を見下ろすクレアの瞳は欲情に潤みつつも、同時に泣きそうでもあった。
繋がったままではあるが強引に与えられていた快感がようやくひと段落して、俺は大きく息をついてクレアと視線を絡ませた。
「ごめんなさい、本当に、こんな……」
「……何故、謝るんです?」
謝罪を繰り返すクレアに問いかける。彼女は少しだけ視線を伏せ、再び俺を見た。
「その、こんな状況で聞く事ではないと思うのですが……お兄さん、えと、お付き合いされている方は……いますか?」
「え? あ、いや、居ない……と、思う」
一瞬、裸エプロン姿のるるとの新妻プレイが脳裏をよぎったが素直に答える。少なくともリアルで交際している彼女等はいない。
「少なくとも……ンッ、み、尊様や、他の何人かの
緩やかに腰の動きを再開しつつクレアが言う。俺は首を横に振った。
「まあ、そう思われても……くぅ、し、仕方ないよな。でも本当だ。るるちゃん含めて、付き合ってるのは居ないよ」
「そ、それなら……『こちら側』だけで、ンッ、構いません、から……私と、お付き合いして、いただけませんか?」
「っ!?」
また偉いタイミングと状況で告白が来たものだ。それに「向こう側」でではなく「こちら側」限定での交際希望とは。
「そりゃ、どういう……」
「
亀頭が敏感な所を擦ったのだろう。びくんとクレアの身体が跳ねる。
「うおっ……だ、だから、『こちら側』だけ?」
「は、はいっ……勝手な話なのは、分かってます、けどっ……!」
「待ってくれ。それなら、んっ、今のまま、でも俺はいつでも……何なら、普通に客として、だって……」
股間からの快感が思考を鈍らせる。俺は懸命に理性を働かせつつ尋ねた。クレアの意図がまだ読めない。ネット上でバーチャルセックスをする関係なら、既に俺たちはそうなっている筈だ。
そして、そんな疑問を俺が抱くのは彼女も察していたのだろう。自嘲めいた笑みをクレアは浮かべた。
「……本当に修道女失格ですね、私」
「え?」
「
「!?」
“言葉が刺さる”とは、こういう事を言うのだろう。何と返して良いか分からない俺に、クレアは言葉を続けた。
「もちろん、
「ちょ……!?」
「貴方にだけ強要するのは、不公平ですから……
「クレア、さんっ……!」
──正直、心が揺らいだ。
日頃から控えめな態度を崩さないクレアの本心からの嫉妬と願望。ここまで女の側から言わせておいて、それに応えないのは男としても理由はない。
俺はクレアを見上げつつ答えた。
「クレアさん……嬉しいし、光栄だよ。正直、そこまで想ってくれてるなんて、考えもしてなかった」
「なら……んあぁっ!」
俺はクレアを下から突き上げた。
「……謝るのは俺の方だ。悪い、
最期の部屋で自分を待ってくれている彼女、るるの姿がどうしても頭から消えてくれない。このままクレアを受け入れるのは彼女に対しても不誠実だ。そう思った。
俺の答えにクレアは喘ぎつつ、それでもはっきりと言った。
「そっ、そう言うと、思っていました、から……私も、準備して、いたんです……行かせ、ませんっ……!」
おそらくクレアは、この順番を尊から告げられた時点から自分の行動を──そして、それに対して俺がどんな反応を示すかも予測して──決めていたのだろう。だからこそ、数日前から欲求不満を溜めるような真似までした。彼女は完全に本気だ。
それなら、その本気に俺も本気で応えるまで。
「くうっ……な、なあ、クレアさん。後ろから……いいか?」
「は、はい……」
俺の要望にクレアは従順に頷き、少しよろめきつつも腰を上げた。結合部から零れた精液と愛液が腰を濡らす。俺は脱力を求める身体を叱咤して起き上がった。
聖マリアを描くステンドグラスの前に置かれた壇に手を置き、クレアが淫蕩な視線を送りつつ俺に尻を突き出す。汗を吸った修道衣は彼女の張りのある尻にべったりと貼りつき、美しい形を俺に見せつけてくる。それだけで淫液に塗れた肉棒は固さを取り戻し、俺の臍まで反り返った。
「よっ……と」
「ンンッ……」
クレアの長いスカートを持ち上げ、腰まで捲り上げる。黒のガーターに彩られたしなやかな脚と汗に濡れた尻、そして既にドロドロになっている秘唇、全てが露わになる。金色の陰毛はテラテラと照り光り、控えめな陰唇から溢れる愛液が更に光沢を強めさせる。
彼女は俺が自分のペースに持ち込もうとしているのに抵抗しない。それは、自分の中の欲求不満がその程度では満たされないと理解しているからだ。では、そんなクレアを俺が上回るには──
「……ごめん、クレアさん」
「いえ、そう答えると思っていましたから……」
「あー、いや、そうじゃなくて……
「え?」
俺の言葉に戸惑うクレア。彼女のそれ以上の反応を待たず、俺は彼女の脚の間に顔を埋めた。
「え!? ん、んあっ!?」
びくんとクレアの身体が大きく震えた。俺の舌は彼女の秘唇でなくその上、淡い色の窄まりに浅く差し込まれている。
「だ、ダメ、ですっ、そこっ!」
「ちゅ、じゅる……」
クレア、彼女は献身的なプレイが人気の嬢ではあるが──
無論、本来なら嬢がNGを出している行為を強引に行うなど風俗の客としては禁忌も禁忌。良くて罰金、悪ければ出禁にされても文句は言えない。後でクレアと尊に土下座しても許してくれるかどうか。俺が今しているのは、そんな行為だ。
だが──だからこそクレアにとっては完全に予想外の行為であり、同時に、俺にとって唯一の勝機でもあった。
「じゅるっ、んむっ、ちゅうぅ……」
「ひ、ひあっ! そんな、吸っ、あ、んひっ!」
舌を更にクレアの尻の奥に差し込み、顔を弾力ある尻肉に密着させる。本来であればアナル関連のプレイは腸洗浄などの衛生面での入念な準備が必要となるが、その辺りを省略して快感だけを享受できるのはバーチャルセックスならではと言えるだろう。鼻腔にも臭気は感じず、クレアの瑞々しい香りだけが届く。
そして、クレアの身体は如実な反応を見せていた。不意打ちのアナル責めに加えて、そこから発生する快感が更に混乱を加速させているようだ。
「ま、待ってください、そこ、はっ……!」
「ぷはっ……ああ、分かってる。後で殴ってくれていいから、今は、許してくれ」
「そんっ、あ、ああっ!」
舌を抜き、腰を上げると今度は指でクレアの尻穴を弄る。二本の指を窄まりの奥にゆっくりと差し込んでゆくと、膣の締め付け以上の強い圧迫感が指から伝わってくる。俺は丁寧に指をくにくにと動かして彼女の尻を解しながら、より感じやすいポイントを探る。
本来は排泄器官である尻穴や直腸で得る快感は、膣への挿入で感じるそれとは大きく異なるものだ。誰でも「トイレで出すもの出してスッキリした」という爽快さや気持ち良さを感じたことはあると思うが、その快感がアナルセックスの基本となる。排泄時の快感を長時間、継続して味わえるのがアナルの醍醐味という訳だ。
故に激しいピストンなどでなくとも対象に十分な快感を与えることもできる。俺はあえて
「く、ひっ、んは、あぁっ!」
おそらくは未知の感覚にクレアはがくがくと脚を震わせるが、何とか身体を支えている。ここで力尽きては「負け」だと思っているのだろう。白く豊かな尻には汗がじっとりと浮かび、押し広げようとする指の動きに抵抗するようにひくつく窄まりが何とも淫猥だ。それは前方にも影響が出ており、溢れた愛液が陰毛で留めきれずに滴り落ちて床に小さな染みを作っている。大丈夫、クレアは感じている。
バーチャルセックスにおいて、アナルセックスは互いに「尻穴で行為をしている」という意識を共有するのが重要になる。かつて笹木が俺からのおしおきで痔になったが、アレは「強引にアナルを蹂躙されている」という意識がVRスーツにフィードバックされて肛門に過負荷がかかった結果だ。俺は指を抜くと肉棒に手を添え、指が抜かれてヒクヒクと広がりを戻そうとするクレアの孔に亀頭を押し当てた。
「挿れるぜ」
「………」
クレアが振り向いて背中越しに俺を見た。目には涙が浮かび、視線には
それは、どこまでも俺の行為を受け止めようとする気持ちからなのか、あるいは彼女の身体が快感を求めているからなのか──もしくは、その両方なのだろう。
淫らさと健気さ。本来は両立する筈のないそれを共に感じさせるクレアの姿に感銘すら覚えつつ、俺は汗ばむクレアの尻穴に亀頭をゆっくりと押し込んだ。
「あ、あぅ!? ん、あ、はぁっ……!」
「ぐっ、くぅっ……!」
膣とは比べ物にならない、異物を押し返そうとする強烈な締め付け。
過呼吸を起こしたように口をぱくぱくと動かすクレアに申し訳なさと、修道女姿の彼女のアナルを犯しているという背徳感、支配感が同時に湧き上がってくる。それは抗いがたい興奮となって肉棒に更なる固さと漲りを与え、クレアの肛門を更に広げさせる。
「かっ、は、あ……待っ、これ、あぁ……!」
「気持ちいいよ。クレアさんの、ケツ、穴……!」
「んっあぁっ!」
あえて下品な言い方でクレアに言うと、びくんと彼女の反応が返ってくる。きゅっと締まる肛門の抵抗を少しずつ和らげつつ、俺は更に肉棒をクレアの奥まで突き入れてゆく。ミチミチと痛々しい程に孔は広げられ、豊かな尻が痙攣するように震えている。俺は肉棒に添えていた手を離し、両手でクレアの尻を掴んだ。左右に尻たぶを押し広げて注送をよりやり易くした上で彼女の反応を伺う。やがて血管を浮かべていた竿を含めた肉棒の全てがクレアの中に呑み込まれた。堪らない熱さと根本の締め付けは、動きを止めている状態でも腰が震える程の気持ち良さだ。
「はあっ……堪ら、ないっ……動くから、息、吐いて……」
「ひ、は、はっ……ひゅ、ひ、いぃっ!」
俺の声に何とか返事をしようとしたクレアだったが、俺の腰の動きで肺の空気が一気に吐き出されたのか音に近い声を出し、悶える。俺はゆったりとしたストロークで腰を引き、カリの直前で止め、やはりゆっくりと埋め込むように腰を突き出す。意識が集中しているからかクレアの尻全体が熱と弾力を増しており、指の跡が残りそうな程に強く掴んでいる俺の手を押し返してくる。
「お、おぉっ……クレア、さんっ……!」
「はひっ、ひ、嘘、こんな、熱っ……ンッ、ンンッ!」
いやいやをするように首を振るクレアの声に、戸惑い混じりの嬌声が入り始める。一方的に異物を排除しようとしていた肛門や直腸の動きも、気持ち緩やかになってきている。ここが勝負時と感じた俺は身を伏せ、彼女の耳元に口を寄せた。
「悪いが時間がねえ。クレアさん、一気にいかせて貰う」
「えっ……ふぁ、あ、んっ、ああんっ!」
身を起こし、強く尻を掴むと俺は速く、小刻みに腰を使い始めた。叩きつけるような動きでなく、挿入されたままの肉棒を直腸内で細かく擦る動き。アナルセックスが初めてのクレアならば、これが一番感じる動きになるはずだ。
「あんっあんっああっ! こんな、わたっ、私っ、お尻、でっ……!」
「構わねえよ、感じて、くれっ! 遠慮、なく、ケツ、でっ!」
「くひぃっ! だ、ダメ、ですっ! お尻っ、ダメっ!」
そう言いながらもクレアは俺の腰の動きに合わせて腰をゆすり、より自分が感じるところに亀頭を押し付けてくる。彼女の身体は未だ貪欲に快感を求めているのだ。その飢えを満たせるよう、俺も理性を捨てて無心に肉棒を前後させ、クレアの孔が与えてくれる快感を余すところなく受け止める。抑えようとしても腰の動きが次第により速く、強いものへとなってゆく。クレアの尻と俺の腰がぶつかる度にパンパンと肉を打ち合う音が礼拝堂に響く。
「あ、あ、あひ、いっ、いいっ! んっ、ああぁぁっ!」
びくんと大きくクレアの身体が跳ねた。絶頂を迎えたのだろうが、アナルセックスと膣でのセックスはここから違ってくる。
「えっ!? こっこれ、な、何、これ、なんで、あぁっ!?」
絶頂の高揚と混乱を同時に訴えるクレア。
女性の絶頂は男性の射精のような具体的なゴールを持たない。つまり絶頂の状態を──快感が供給され続ければ──長時間維持できる。いわゆる「イキ続ける」状態に出来るのだ。
そしてクレアの膣内は射精を促すために収縮しているが、実際の肉棒は後ろに挿入されている。それが彼女の身体に混乱と快感を同時に生んでいる。それが俺にとっても隙になる。
「そんな、これっ! おしっ、お尻、いいっ! いいのが、止まらない、ですっ!」
「ああ、最高、だっ! クレアさん、の、ケツ、穴っ!」
「んひっ! そんな、言い方、しない、でっ……ああっ!」
言葉にこそ恥じらいを残しているが、その一方で肛門の締め付け具合を試しているのかクレアの尻穴が押し広げられながらも強弱をつけた抵抗を見せる。
クレアの身体の反応から、最初の絶頂から高いレベルで幾度もの絶頂を感じているのは十分に測られた。俺も我慢の限界が近い。腰の動きを速め、とどめとばかりにストロークを深くする。
「あっあっンッひっああんっ!」
「ぐ、お、おおぉっ!」
「ひっ……!」
腰の奥からこみ上げてきた射精感を抑えることなく解放し、そのままクレアの腸内に迸らせる。
「あ、あぁ……熱、こんな、たくさんっ……!」
「ふうっ……ヤベ、止まら、ねえっ……!」
逆流してきた精液が結合部から溢れ、ボタボタと床に落ちる。
どれだけクレアの尻に射精したろうか。肉棒が固さを弱め、自然と肛門から押し出されるまで俺は腰を押し付けていた。
「んっ、あ、ひ……ダメ、漏れ、ちゃ……」
「ブピッ」という汚い音と共にクレアの肛門から精液が吐き出される。それを隠す気力も残っていないのか、クレアはそのまま壇から手を放し、床に崩れ落ちた。彼女の「敗北宣言」だ。
一方の俺も、ちょっと気を緩めれば腰が抜けそうだった。荒い呼吸を整えつつ、床のクレアに言う。
「ハアッ、ハアッ……すまない、クレアさん。後でペナルティでも出禁でも、何でもつけてくれ」
「ンッ……あ、あぁ……」
クレアは答える事も出来ず、悶絶の喘ぎを漏らすばかり。しかしその手を弱々しく俺に向けると、そこに一本の鍵が出現した。
「……ありがとう」
頭を下げ、鍵を拾う。果たして礼拝堂の壁に大きな扉が出現した。今までの扉と違い、数字は描かれていない。
「………」
俺は自分の身体に触れ、体液を消すと共にスーツを現出させる。待っていてくれた「お姫様」に会うのに、下半身丸出しは流石に憚られた。
「……さて」
ネクタイを締めなおし、俺は扉に鍵を差しこむ。
その瞬間、頭上から声が聞こえた。
『お疲れ様、お兄さん』
俺は微笑み、扉を開けた。