ロープに囲まれた四角いリング。白いマットの上に衝撃音が響く。
「フォォォ……ハアッ!」
「ぐおっ!」
足元がふらつく所にラリアットの一撃を受け、首を起点として俺の身体が回転しながらマットに叩きつけられる。
「どうした青年? もうダウンか!?」
「まっ……まだまだァ!」
これが現実であれば暫くは起き上がれない程の衝撃。しかしVR空間においての格闘技は心と精神を強い支えどころとする。俺は起き上がり、こちらの攻撃を待つように胸を張るマスクマン──この店の顧問を名乗る「マスク・ド・エニーカラー」という謎の男──の胸板に水平チョップを叩き込む。
「フンッ! その折れない闘争心よしっ!」
しかしエニーカラーは怯む様子もなくチョップを受け止め、今度は逆に俺にチョップを振りかざす。大振りの、来ると丸わかりの動作。
「くうっ!」
だが、俺はそれをあえて受け止める。太い腕から繰り出される衝撃を何とか堪え、両足に力を籠めて立つ。
「うむ! その、相手の全力を受け止めんとする姿勢よしっ! だが……」
「ぐ、おあっ!?」
寸分違わず同じ所にチョップが打ち込まれる、今度は思わず俺は片膝をついた。
「……
「兄ちゃん、何やっとんねん! 足を使うんや、足を!」
青コーナーのコーナーポストに立つ早瀬が俺に声援を送る。
「……出来れば別ルームでやって欲しいんじゃがのう」
その向こう、副支配人のデスクに座って酒を傾ける尊が呆れ混じりの声で言う。
拡張された事務所内に急造されたリング。その上で俺とエニーカラーは戦っていた。
何故こんな状態になったかと言えば、それはあのエニーカラーが突如出現したところまで遡る。
「えっと、その、顧問?」
「うむ。支配人たちがこの店の管理・統括を行う立場ならば俺は店についての相談・指導を行う立場! 無視できない、ジョーや尊様でも解決しきれぬ問題が発生した時に現れる正義の覆面が俺だ!」
半信半疑の俺の問いかけに、エニーカラーは堂々と答えた。反対側のソファに座る尊が小声で言う。
「いつも通りの姿で出てくれば良かろうに……」
「え? それって……」
「さて、青年よ! 話は徹頭徹尾聞かせてもらった! そして断言しよう、心折れた今の貴様では、どれだけ悩もうと解決はしないし『ノエル』嬢に勝てもしない!」
尊の言葉に問いかけようとした俺の言葉はエニーカラーの大声に遮られた。
自分でも痛感している事とはいえ、やはり他人に言われるのは刺さるものだ。俺はエニーカラーに向き直り言った。
「……分かってるさ、そんな事はとっくに」
「ハッハッハッ! 言い返せる程度には、心のちんちんは折れていないようだな!」
俺の言葉にエニーカラーは豪快に笑うと手を掲げ、指を鳴らした。同時に事務所の壁の一部が変形し、更にそこにプロレスのリングが出現する。
「リングに上がれ! 肉体言語で教えてやる!」
その叫びと共にエニーカラーは床を蹴った。巨体が軽々と宙を舞い、くるくるとリング上に降り立つ。
「……上等」
俺はワイシャツを脱ぎ、リングに足を踏み出した。
「『ノエル』嬢! 確かにアレは良い娘だ、キスNGなのは残念だがそれ以外のプレイは基本受け入れてくれる包容力は素晴らしいし、何よりあの胸は極上と言える!」
リング中央、がっぷり四つに組み合いながらエニーカラーは俺に言う。見た目通りに腕力は強い。ギリギリで拮抗を保てている状態だ。俺は懸命に押し返しつつ尋ねた。
「知ってるのか!?」
「当たり前だ! 当店顧問として有名店の人気嬢は全て一度は客として利用している。ちゃんと経費を使わず自腹でな! フンッ!」
「くうっ!?」
エニーカラーは答えと共に大きく頭を振りかぶり、頭突きを食らわせてきた。強い衝撃に思わず手を解き、数歩たたらを踏む。
「彼女の器は確かにデカい、おっぱいと同じくらいにな! だが、貴様はそれに勝たねばならん!」
「ああ、そうだ……よっ!」
こちらもやられっ放しではいられない。大きく腕を引き、ナックルアローを叩き込む。しかしエニーカラーは俺の拳を胸板で受け止める。
「ハアッ! 青年よ、そんな貴様に大ヒントだ!
「大きな器を……小さく?」
「ああ、そしてそれは今も同じ! 俺は貴様よりパワーもあり、重量もある! ではそんな俺にお前はどうやって勝つ!?」
「ぬおっ!?」
エニーカラーは再度のナックルを打ち込もうとした俺の腕を掴み、その勢いで俺をロープに振った。同時に自身も反対側に走り、リングを蹴って足を揃える。
「おぁぁっ!」
ドロップキックをまともに食らい吹き飛ばされる。リミッターが掛かっているとはいえ、無視できない衝撃だ。
衝撃の中で考える。今のエニーカラーの言葉、あれは決して適当な事を言った訳ではない筈だ。ではその意味は?
頭の中に水を湛えた器をイメージする。その器の中身を飲んだり捨てたりする事なく、どうすれば減らす事が出来るか──
「どうしたどうした!? 足が止まってるぞ!」
「ぐっ……!」
大振りのチョップを繰り出すエニーカラーの攻撃を何とかいなしつつ、反撃のタイミングを伺う。
「(……そういう事か!?)」
その中でひとつの考えが頭に浮かぶ。このままではジリ貧だ。試してみるしかない。
「おぉ……りゃあっ!」
「ほう!?」
俺は攻撃を足技に切り替え、左右のローをエニーカラーの太腿に向けて打ち込み始めた。威力重視でない、出来るだけ素早い連打。
「どうしたどうした、ヤケになったか!?」
「ほッ! ハッ! ハァッ!」
俺は答えず更に蹴りを放つ。腿を上げ、俺の蹴りをガードするエニーカラーだがその動きを繰り返す内に徐々に後退してゆく。
「ロープ際に追い込んでの大技狙いか!?」
「ホォォ……ハァッ!」
エニーカラーの背がロープに触れた。そのタイミングに合わせ、俺は今までよりも大振りの回し蹴りを打ち込む。
「だが……甘い!」
その瞬間、エニーカラーは一歩踏み込むと俺の脚を抱え──
「何っ!?」
──ようとした腕が空を切る。掴むつもりで前傾になっていたエニーカラーの体勢が大きく崩れる。
打ち込む寸前で脚を引いていた俺はその好機を見逃さず、素早くエニーカラーの背後に回り込むと腰に手を回して抱え込んだ。
「くうっ……おぉらぁっ!」
「ぬおぉっ!」
エニーカラーの脇に頭を入れてそのまま首と腰で巨体を持ち上げ、180度回転して背を反らしリングに投げるように叩きつける。バックドロップの衝撃にリングが揺れる。
「グハッ!」
「もう一丁ッ!」
間髪入れずロープに飛び、そこを足場にして跳躍する。回転を加えたムーンサルトプレス。そのまま俺はエニーカラーの身体を押さえ込んだ。
「このまま……うおっ!」
「ハアッ!」
ここで一気にフォールを決めたかったが、流石にそこまでは許さない。カウント1を待たずにエニーカラーは俺の身体を跳ね返した。再び立ち上がり、起き上がった俺と向き合う。
「チッ……やっぱタフだな、アンタ」
「……わっはっはっはっ! どうやら答えが掴めたようだな、青年!」
汗を拭う俺をエニーカラーは暫く眺め、やがて哄笑した。
その笑いに対し、俺は苦笑いを浮かべる。
「……ああ、ただ、
「それは当然。あらゆる代償を超えねばノエル嬢には勝てん、精進せいよ、青年!」
満足そうな笑みと共にエニーカラーは言う。
その言葉をゴングに、俺たちの試合は終わった。
──数日後。
「こんにちまっする~! お兄さん、今日は改めてよろしくお願い……あれ?」
甲冑姿のノエルが事務所に入った時、俺の姿はそこには無かった。きょろきょろと周囲を探す彼女に放送で声を送る。
『あー、すまない団長、ちょっと今日はルーム設定を色々と変える必要があって、先にルームに居る』
「設定を……ですか?」
『移動サークルを出すから、それを通ってくれ。あとはこっちに着いてから話す』
さほどの間を置かず、彼女の足元にサークルを出現させる。そこに足を踏み入れ光の粒に包まれるノエル。
そして彼女は、俺が設定したルームに姿を現した。
「えっ?」
降り注ぐ日差し、耳に響くはセミの声。遠くで子供が遊んでいるのが微かに聞こえてくる。
手入れされた芝生に四角く整えられた生垣。各所に植樹された木は大きく育っており、涼し気な木陰にベンチが置かれている。
夏の市民公園。そこに立つノエルの背後から俺は声をかけた。
「すまない、驚かせたと思う……あれから色々考えたんだけど、団長にも
「あ、どうも、お兄さ……」
ノエルは俺の方を振り向き──電に撃たれたようにその動きを止めた。固まった表情で俺を
「あ、あ、あぁ……!」
震えるノエルの声。
150㎝足らずの小柄な身体。Tシャツに短パンにスニーカー、膝には絆創膏──
「俺も……それに合わせて、ちょっと変えてみた」
──10歳前後の
大きな器を小さくする方法──それは相手のバランスを崩し、余裕を無くさせる事。エニーカラーが伝えたかった事がそれだと俺は受け止めた。
例え大量の水が入る器でも不安定な場所に置かれれば傾き、十分な量を湛える事は出来なくなる。ではこの場合、どうすればノエルの心のバランスを崩せるのか──
「
「ノエル」、彼女が内面まで白銀ノエルに酷似しているのであれば、少年趣味が通用するのではないかという仮説。そこに至った時、俺は「決意」を抱えてある嬢の元へ向かった。
「……これは夢?」
「そう言うと思ったよ。俺も夢であって欲しいが現実だ」
基本アバターを変えたのか、見慣れたエプロン姿でなく赤ベレーにアイドル風の服装の一見した限りでは黒髪清楚な女性──「詩子」は俺の突然の申し出に愕然としていた。喜びより驚きが勝ったらしい。
「詩子、あんたの持ってる少年化MOD、あれを使わせて欲しい」
「あっ……はあぁぁぁぁ! ついに、ついにこの日が来るとは!」
詩子は再度の俺の言葉に背を反らして悶絶した。既にイっているのではと不安になる程だ。
「つまりこういう事ですね! とうとう私専属の逆バニー射精人形になってくれるという決意が出来たと! いや待って、あるいはメイドスカートに二プレスで……!」
「そうじゃねえよ!」
「……そうではない?」
想像するのも恐ろしい妄想を始めた詩子を何とか食い止める。ノエルとのプレイでの完敗、そして再研修が近いこと。エニーカラーについては説明がややこしくなるので省略する。
「ふむ……それで、その『ノエル』嬢に対抗するためにショタで迎え撃ちたい、と」
冷静さを取り戻した詩子が顎に指をあてて言う。ショタが絡みさえしなければ態度も穏やかで頭も回る女性なのだが、故にその二面性が恐ろしい。
「ああ、一回分でいい。アレを分けてくれないか?」
「貴方自身が海外サイトで購入せず、私を頼ってきた理由は?」
「海外の購入サイトは電子ドラッグ規制の強化で購入時の身元確認が必要になってる。認証待ちに一週間、間に合わねえ」
「……なるほど、なるほど」
腕を組み、頷く詩子。彼女は口元に笑みを浮かべて俺を見た。
「当然……『無条件で寄越せ』など、言わないです、よね?」
「……分かってるさ。1プレイ、お前のどんな条件でも少年の姿で相手をしてやるよ」
「
詩子はゆらりと立ち上がり、ルームの壁を叩いた。
「うおっ!?」
壁がまるで忍者屋敷のどんでん返しのように回転し、そこに体操着、メイド服、バニー服にスーツ、野球帽に半ズボンにパジャマ──どれも男児向けサイズの──衣装が掛けられたクローゼットと、オナホール等の様々な器具が置かれた棚が出現する。
「お話は分かりました。ですがその貴方の提案には、ひとつ欠けているものがあります」
「欠けているもの?」
「はい……反抗的なショタというのも悪くありませんが、やはり多くの少年好きに最も刺さるのは『無垢な、それでいて性の目覚めが始まっていて
「それは……」
言われてみれば、確かに難しいだろう。俺は言葉に詰まった。
その反応は詩子の予想通りだったのか、彼女は無駄に頼もしい笑みを浮かべて言った。
「ご安心ください。私がこの数時間で貴方を完璧なショタに仕上げて差し上げます……さっ、さあ、始めましょうか! ふふっ、ふふふっ!」
内面の衝動をそろそろ抑えきれないのだろう。例のアンプルを取り出し、不気味な吹き笑いを始めた詩子に俺は言った。
「……お手柔らかに」
その後の事は──あまり話したくはない。
「え? お兄さん……え? え?」
「今日はこのアバターで相手をしたいんだ。どうかな?」
「ふぇ!? あ、えーと……いいと、思います」
そんな色々と失った果てに譲ってもらったMODを使って少年の姿になった訳だが──どうやら正解だったようだ。俺を見下ろすノエルの顔には急速に朱が差し、前回は余裕を湛えていた瞳は潤み、震える唇が濡れているのが分かる。
「あ、あの!」
さてここからどう進めるか、俺が考える内に先にノエルが口を開いた。
「どうした、団長?」
「そ、それなら団長からもお願いがあるんじゃけど……今だけ団長のこと『お姉さん』って呼んでくれんかな?」
「……うん、えっと……『お姉さん』?」
「はうッ……!?」
詩子から教わった「あざとくもツボに入るショタの所作」を思い出しつつ、ノエルを見上げながら言う。改めて下から彼女の身体を見上げると、視界を妨げるレベルの胸の存在感が凄まじい。
果たしてその効果はあったようだ。俺の「お姉さん」呼びにノエルはびくんと反応を見せ、心臓が跳ねたのか胸に手をあてる。
「え、ええもんじゃね、なんか凄くドキドキしてきよったよ……それじゃあ、だんちょ、じゃなかった。『お姉さん』もお兄さんのこと『ボク』って呼ばせてな」
「うん、お姉さん。ええっと……何をすれば、いいかな?」
「そんならボク、そこのベンチですこっ、少し、お話しようか」
どうやらノエルも乗ってきたようだ。俺を少年呼びして、やや上ずった声で俺を木陰のベンチへ促す。
彼女に手を引かれつつ、俺は詩子のレクチャーを──あまり思い出したくない記憶は避けて──回想する。
『良いですか? 余りにリアル感を追求してはいけません。「性に目覚めたばかりの可愛いショタが存在して、その子の思い出に生涯残るような筆おろしをしてみたいなあ」と、少年好き女性の9割はそう考えています』
真面目な口調で、俺にメイド服を着させながら詩子は言葉を続ける。
『……とんでもねえな』
『穢れなき望みです。幸い、ビジュアル的には問題ありません。あとは内面……以前の大型コラボで貴方が片鱗を見せたショタらしさ。あれのクオリティを上げるんです』
立ち上がり、俺にカチューシャを装着させる詩子。まるで大事な人形に新品の衣装を着せるような丁寧さだ。
『そう言われても……どうすればいい?』
『思い出すんです。貴方が子供の頃、まだ未知の世界であった性に対して興味を抱きつつも罪悪感を覚えていた
『んっ……!』
俺のフリル付きスカートに手を差し込みつつ詩子は断言する。シチュエーションはともかくとして、その言葉を受けて俺は目を閉じ、過去の記憶に意識を飛ばした。結果──完璧とはいかないまでも、
「ふぅ、やっぱり木陰だと涼しいね~」
「う、うん……」
俺は今の自分が「公園で一人で遊んでいた、年上や女性には人見知りしがちの少年」であると強く認識する。目線を合わせつつも照れを残した返事。
一方のノエルは口調こそ努めて「年上の落ち着いたお姉さん」を維持していたが、それ以外は明らかに前回の研修とは異なっていた。
「ねえ、ボク……幾つ?」
「えと……次の誕生日で、10才」
「そっか、そしたらちょうど食べご……じゃなくって、もう高学年だね」
ノエルの視線が俺のスニーカーから膝小僧、半ズボンに包まれた細い腰、白Tシャツから覗く薄い胸板、うなじへとゆっくりと移動してゆく。
隠しようもない程の視姦だが、ここで露骨に反応してはいけない。ノエルの視線に気付かぬふりをしつつ、彼女の胸にチラチラと目線を送る。
「……ごめん、ちょっとこれ外すね」
そして、その視線はノエルにとって愉悦に足るものだったらしい。俺の視線に気付くと舌をちろりと出して唇を湿らせ、見せつけるように胸当ての留め具を外す。
「ん~~~……」
「うわ……!」
外した胸当てをベンチの横に置き、ノエルは大きく伸びをした。白い布とベルトだけで包まれた胸が動きに合わせて重そうに大きく揺れる。何度見てもそのボリュームと存在感は圧倒的で、少年へのなりきり抜きに思わず声が漏れた。
「……ふふっ。どこ見てるのかな?」
「えっ!? うっ、ううん、何も……!」
胸に注がれる俺の視線に流し目で応え、ノエルが言う。俺は慌てて視線を逸らしたが、それは返って彼女に「少年らしさ」を感じさせたようだ。少し前傾になって俺に顔を寄せると、耳元で囁く。
「ボク、おっぱいって……好き?」
熱い吐息が耳孔に吹きかけられ、ゾクゾクとした刺激が背筋を走る。
だがここで「うん、好き!」と即答してはいけない。詩子から教わったシミュレーションを思い返しつつ、少年特有のささやかな反骨心を込めて答える。
「そ、そんなの、別に……」
「興味ないの? そっかぁ……『好き』って言ってくれたらお姉さん、おっぱい見せてあげるんだけどなぁ……」
まるで言葉が直接形を持ったかのように股間を刺激する。ASMRめいた挑発的な囁きは、前回の研修で柔らかく男の欲望を抱きとめていた姿とはまるで逆だ。
少年を相手にするだけでここまで変貌するものか。俺は内心で驚きつつもあくまで少年として振舞う。
「えっ……!?」
「ウソだと思ってる? ホントだよ、ボクが素直に『好き』って言ってくれたらお姉さんのおっぱい、幾らでも見せてあげる……」
発情の吐息と共に耳をくすぐるノエルの声。これは実際効く。俺は迷った素振りを見せ──やがて頷く。
「……うん」
「『うん』じゃないよね? 『おっぱいが好き、お姉さんのおっぱいが見たい』って言ってみて」
「うぅ……おっ、おっぱいが好き……です。お姉さんのおっぱい、見たいっ……!」
「はい、よく出来ました。それじゃ、約束通りに……」
スッとノエルは耳元から口を離し、俺を焦らすようにゆっくりとベルトを解き、布を下にずらした。
「いいよ、ボクの好きなだけ見て……お姉さんの、おっぱい、どう?」
「……凄い、大きい」
「ゆさっ」と音がしそうな程の揺れ。白く巨大な乳房が露わになり、夏の日差しの下に晒される。木陰をそよぐ爽やかな風が酷く不釣り合いだ。
「ふふっ……君のおちんちん、もう固くなってる」
「え? あっ……」
半ズボンにテントを作る膨らみにノエルの視線が注がれる。慌てて隠そうとしたが、それは彼女の言葉で遮られた。
「ダメだよ? お姉さんがおっぱいを見せたんだから、ボクもおちんちんをお姉さんに見せないと不公平だよね?」
「ふこう、へい……?」
「ほら、お姉さんのおっぱいを見て固くなっちゃったおちんちん、見せて……」
最早ノエルには今の状況が作られたシチュエーションではなく、本当に夏の公園で少年を誘惑している事になっているのだろう。
彼女の嗜虐的な視線を受けつつ、俺はおずおずとズボンを脱いだ。下半身はスニーカーだけの姿だ。
「あぁ……ボクのおちんちん、可愛い……!」
感極まったノエルの声。
無毛で皮を被った「肉棒」というよりは「おちんちん」としか言いようのない肉茎がぷるんと露出し、俺の股間でびくびくと屹立している。まだノエルの乳房を眺めていただけと言うのに完全に勃起したそれは汗混じりの青臭い匂いと共に夏風に震えている。
いよいよ勝負どころか。俺は「勃起に戸惑う少年」を意識して、泣きそうな顔でノエルを見上げる。
「あふっ……お姉さん、おちんちん、変、だよぉ……」
「勃起って、初めて?」
「固くなったりは、あったけど、お姉さんのおっぱい、見てから、苦しくって……こんなに苦しいのは、初めてっ……!」
「……そっか」
ノエルの口元に優しくも淫蕩な微笑みが浮かぶ。
彼女は俺の小さな手を取り、それを自身の胸へと導いた。
「それじゃ……そのおちんちん、楽にしてあげる」
「らっ……楽に、なるの?」
「ええ。君のおちんちん、お姉さんが大人にしてあげる……」
愛おしそうな囁き。
俺の手がノエルの乳房に触れると同時に、彼女のもう片方の手が俺の幼い肉棒を包むように握った。
【「ノエル」(後編)につづく】
申し訳ありません。エニーカラーと詩子の下りで予想以上に尺を使ったため前中後編に変更となりました
その分、後編ではノエルとの本番をがっつり描きますのでお待ちください