「むむ、貴殿は……」
「『メリッサ』さんですね。以前ここに勤められていた」
顎に指をあてて様子を伺う風真の横でこよりが説明する。どうやら彼女のことを把握していたようだ。ホロラバーズからの出向チーム「LoversX」の二人にメリッサは薄く微笑んで淀みない動きで礼をした。
「初めまして。今日は教育係さんのアシスタントとして絡ませて貰うけど、
「……ふふ、
コロコロと笑って答えるこよりだが、漂ってくる気配に緩みはない。既に水面下での戦いが始まっているように思える。
切り替えるように俺は言った。
「あー、それじゃ行こうか。詳しい話はルームでしよう」
「承知でござる」
「
俺の促しに風真は素直に、こよりはあくまで初対面のふりをして俺に従う。
覚悟はしていたが、やはり今日は一筋縄ではいかない研修になりそうだ。俺は脚元に大きめの光のサークルを出した。そこに風真、いろは、メリッサの順で入る。
「んっ……おお、前回とは異なる風情でござるな」
「わぁ! いいですね、この雰囲気。こよはこういうの好きです」
四人を包む光が消滅した時、俺達は高層ホテルのスイートルームを思わせるルームに居た。窓の外には煌びやかな夜景が広がり、広いフロントにはゆったりとしたソファに広いテーブル。壁には絵画。キングサイズのベッドは四人を受け止めて余りある大きさで存在感を放つ。
「さてと、まずは今日の内容の説明からだな」
俺はベッドに上がり、胡坐を組んだ。こより達もそれに続いてベッドに腰を落とす。
──この一戦はこよりとの「勝負」であると同時に「研修」でもある。
正直なところ、研修のスタイルを捨てて単なるセックス勝負なら二人相手でも勝機はあった。まだ彼女らには披露していない「究極のライン超え」、俺にもリスクはあるがアレを使えば篭絡させる事は可能だろう。
しかしこの場で俺はあくまで「教える側」としての姿勢を維持したまま二人の相手をして、研修的にもセックス的にも満足させねばならない。またその一方で勝負を仕掛けてきたこより側も先日の逆レイプのような一方的なプレイは出来ない。それは彼女も把握してるだろう。
俺は車座に座った三人を見回して言った。
「で、今日やるのは多人数プレイだ。風真さんは前回の研修でかなりスジが良かった。二度目の研修で一足飛びの応用的なプレイになるけど、付いてこれると思う」
「いやいや、そう言われると何だか照れますなぁ。何よりあれはこより殿の“秘薬”と教育係殿の手腕のお陰でござるよ」
俺の言葉に風真は恥ずかしがりつつ手を振る。続けてこよりに俺は言った。
「こより……さん、あんたについてはホロラバーズでそこそこ経験を積んでると聞いてる。基礎を今更教える必要はないかと思うんだが……大丈夫かい?」
「はいはい、こよは全然大丈夫ですよー。ただ……教育係さん、ちょっとこよの方からお願いがあるんだけど、いいかな?」
どうにも「さん」付けで呼ぶのに抵抗が拭えない。今更な俺の確認にこよりはにこやかに答え、続けて逆に問いかけてきた。
「お願い?」
「うん、こよの得意なのが『お薬』を使ってのプレイなの。それをここでも使わせて貰っていいかな?」
「……分かった。ただし、電子ドラッグ級に効きの強いやつは禁止な」
「はーい」
やはり電子ドラッグ──彼女が言うところの電子薬を使ってくるつもりか。
とはいえそれは俺としても望むところだ。相手の全力を受け切らなければ、勝利を認めさせる事も出来ないだろう。
軽く息を吸って下腹に力を籠め、俺は改めて説明を続けた。
「それでだな、『多人数プレイ』とひと口に言っても、そのプレイ内容は男女の組み合わせや人数によっても様々だ。男一人に女二人、あるいは男二人に女一人。こういう組み合わせの場合は人数の多い方が少ない方を責めるプレイになる場合が多い。それは男一人、女三人みたいな場合でも同じだ。それ以上の大人数なら乱交とかになるかな」
「ふむふむ……では教育係殿、今回の場合はどのようなケースになるのでござるか?」
律儀に正座したままの風真が手を挙げて質問する。俺は頷いて答えた。
「今回は
「『すわっぴんぐ』?」
「うーん、『夫婦交換』って言えば風真ちゃんにも分かるかなあ? 二組の夫婦や恋人が、お互いのパートナーを交換してセックスしたりするの」
「そっ、それは道義的に大丈夫なのでござるか!?」
きょとんとする風真にこよりが補足すると、彼女は顔を赤くして驚いた。やはりそっち方面の知識には疎いようだ。
「つ、つまりこうでござるな? 拙者とこより殿が奥方役で、教育係殿とメリッサ殿が……あれ?」
だがそこで風真はふと何かに気付き、横で静かに微笑んでいたメリッサを見た。
「メリッサ殿は……女性では?」
「ああ、そういえば風真さんは知らないんだったね。ちょっと待ってて……んっ」
彼女に聞かれたメリッサはスーツのジャケットを脱いでシャツのみになると、自身の胸に手をあてた。
「な……!?」
驚く風真の眼前でメリッサの胸の膨らみが無くなり、髪は短く、骨格は肩幅の広い男性のそれへとモーフィングのように変わってゆく。
「……とまあ、こういう訳さ」
風真の反応が面白いのか悪戯っぽく笑うメリッサは僅かな間に金髪の美青年へと姿を変えていた。バーチャル世界での彼女/彼は性別が不定で、こうやって男女を変化させられるのだ。
「驚き申した……見事な技でござるな」
「便利なだけじゃないんだけどね、勝手に性別が変わっちゃう事もあるし。ただまあ、こういう体質のお陰で今日は風真さん達の相手に選ばれたって訳さ。ちょっと触ってみる?」
「え!? あ、そ、それでは失礼ながら……」
メリッサは何気ない所作で風真の手をとり、それを自身の身体へと導いた。物珍しさが勝ったか風真はちょっと驚きながらも拒否は見せず、彼女の身体に触れる。
「おぉ……確かに、これは……」
「胸も触ってみていいよ。まあ、僕の場合は元々の胸もある訳じゃないからそんな変わってないかもだけど」
「そ、そんな事は!」
ぺたぺたとメリッサに触れる風真。その手を自身の胸に誘導しつつメリッサが冗談を言うと、真に受けたのか風真は本気で否定する。気付けば既に互いが密着している距離なのにも気付いていないようだ。メリッサは穏やかな表情のまま、風真を導いていた手を今度は彼女のサラシの巻かれた胸へ伸ばす。
「それにしても……話には聞いていたけど、本当に立派なものを持っているね、風真さんは」
「ふぇ!? メ、メリッサ殿、そこはっ……!」
「恥ずかしがることは無いよ。これから仕事をしてゆく上で、君の
「そ、それは……少し前まではそんな事は無かったのでござるが、ここ一,二年で急に……」
「体に無理をさせちゃダメだよ? ちょっと、解くね……風真さんも、僕の身体にもっと触ってみて。男性の身体と女性の身体、その違いをしっかり確かめるの」
「え? あ、あぅ……分かり、ましっ……んんっ!」
何とも手慣れたものだ。元々は女性という事もあるのだろうが、風真の警戒心を上手くすり抜けメリッサは愛撫の流れに彼女を乗せている。
となれば俺はまずはこよりの相手という事になるか。吐息に熱を帯び始めている二人を眺めつつ、俺はこよりに視線を向けた。
「あー……向こうもいい感じみたいだし、俺らも始めようか」
「あはっ、そうだね、
そう言うとこよりは白衣の裏地から二本の注射器を取り出した。やはりそこにはケミカルな色の液体が詰まっている。
一応の確認だろうか。注射器を手にしたこよりはちらりと俺を見た。不承不承ながら頷き、小声で言う。
「……構わねえよ。今は『勝負』の前だ」
「ふふっ……」
やはり風真には見えない角度で口元に笑みを浮かべ、こよりは自身の首筋に注射する。
「ンッ、あふっ……!」
ビクンとこよりの身体が震えた。白衣の内側の露出度の高い服装の彼女の肌に汗が浮かび、赤みが増してゆく。
そのままこよりは俺に密着すると自分から腰に手を伸ばしてきた。事が進みやすいようにスラックスを下着ごと消失させると、まだ半勃起の肉棒に指が絡みついてくる。その指は驚くほどに熱を帯びていた。
「くっ……こりゃ、前回と同じやつか?」
「正解。『感度強化』と『体温上昇』……こよの指、すっごく暖かいでしょ?」
「ああ、大したもんだ……だが今回は研修だからな、俺の方からもやらせてもらう」
緩やかに肉棒を扱き始めたこよりの指に早くも股間が反応を示す。彼女の手淫を味わいつつ、俺はお返しとばかりに脚の付け根まで切り込まれたスカートのスリットに手を差し込んだ。指先に感じるむわっとした湿気。
既に下着だけ消していたか、あるいは最初からか。こよりのスカートの奥の秘所に俺の指は遮蔽物を経ずに辿り着いた。
「んはっ……い、いいよ、こよのおまんこ、一杯いじってっ……!」
「言われなくても……ンッ、ちゅ、んんっ……」
艶やかな吐息と共にこよりが言う。俺は彼女の唇を塞ぎつつ指を動かし始めた。反応を伺いつつ、まずは丁寧に。
「んぱ、ちゅ、じゅるっ……」
俺のキスをこよりは素直に受け入れ、差し込まれてきた舌に自らの舌を絡ませてきた。彼女の熱い吐息が口腔内に流れ込み、くらくらする程だ。
「っぱ、ちゅ……うぅっ!」
その間も肉棒を扱く手は止まる事はない。最初は緩やかだった動きは次第に大胆さを増し、完全に勃起した俺の竿を大きなストロークで擦る。鈴口から先走りが滲み始めると彼女はそれを手に擦り付け、汗と共に潤滑剤としてより滑らかと気持ち良さを増そうとしてくる。俺は思わず呻きを漏らしつつも、こよりの秘所の奥に指を進めた。
「あぁんっ!」
こよりの孔は入り口こそ狭かったが、中は指を動かすに足りる余裕があった。侵入者を締め付けてくる襞を指の腹で柔らかく擦ると、こよりが嬌声をあげて反応を示す。その中は口腔内以上に暖かく、指先に愛液が絡みつく。しかし──
「(……ん?)」
俺は僅かな違和感を覚えた。これは、ひょっとすると──
「く、おおっ!?」
「あぁ……だ、ダメだよ助手くん? 油断しちゃっ……えい、えいっ!」
意識が逸れた瞬間を反撃のタイミングと捉えたか、ここでこよりが一気に肉棒を扱く速度を上げてきた。思わず腰が浮くほどの快感の強まりに慌てて腹に力を入れる。危うく一気に射精まで持っていかれそうになった肉棒は何とか堪え、彼女の手の中でビクビクと跳ねた。
「ぐ、お、おぉ……危ねえっ……!」
「ああん、残念。助手くんがこよの手に思いきり射精するトコ見たかったのに」
首筋に汗を浮かべつつもこよりは悪戯っぽく笑う。ここまでの展開はこよりの方がやや有利といった所か。俺はこの後の流れを組み立てつつ、名残惜しそうに蠢く襞から指を引き抜いた。指を濡らす愛液に僅かに視線を送る。
「あぅ……ど、どうしたの、助手くん? もうギブアップ?」
「いや、そろそろ選手交代だ。先に風真の相手を済ませてくるさ」
挑発的なこよりの言葉を軽く受け流し俺は彼女から離れた。すっかり汗を吸ったシャツも消し、全裸になってメリッサ達の方へ向かう。
「……やあ、丁度いい所に来てくれた。こっちも
ベッドのやや離れた所で絡み合っていた二人だったが、果たして交代が決まっていたように向こうから寄ってきていたメリッサと顔を合わせる。
「流石だな、メリッサ」
「素直に反応してくれる良い子だったよ。最後はお兄さんに任せるから、思いきりイカせてあげて」
そう言いつつメリッサは汗を散らすように軽く頭を振った。既に彼女も全裸になっており、濡れた白い肌と銀色の髪が何とも艶めかしい。
「風真さんの相手が済むまでは、僕がこよりさんの時間稼ぎをすればいいの?」
「それなんだが、頼みがある。
「……珍しいね、君がそんな事を言ってくるのは」
こより達に聞こえないような囁き声で言葉を交わす。
「確認したい事が出てきた……嫌なら何とかする」
「構わないよ。風真さんも使っていたのなら、危険性は無いだろうし」
「すまない、で、その時に──」
手短に俺はメリッサに内容を伝えた。小さく頷き、こちらの様子を伺うこよりの元へと彼女は向かう。
俺は俺で改めて風真の元へ向かい──思わず言葉を失った。
「あ、あ、あふっ……ふぇえぇ……」
全裸に法被だけを羽織った格好で、風真はまるで仰向けになったカエルのようになっていた。ぐったりと身体を横たえ、全身をビクビクと震わせている。
「……相当に頑張ってくれてたんだな、メリッサ」
「んあぁっ! かざっ、かざまっ、またイっ……!」
絶頂の余韻でまた小さな絶頂に達したのだろう。濡れた身体を急に硬直させたかと思えば風真の秘所から愛液の飛沫が飛んだ。潮を吹いたようだ。
「いい感じに仕上がった」とメリッサは言っていたが、これは既に「調理済み」と言うべきではなかろうか。そんな考えが頭をよぎったが、ぱっくりと開いたままの秘唇は金色の濡れた陰毛に彩られ、男性器を誘うようにぱくぱくと蠢いており、既にこよりに結構な所まで昂らされていた肉棒はそれを見ただけで臍に届きそうな勢いで跳ねた。我が愚息ながら素直なものだ。
ここまで準備してくれていたのなら、これ以上の前戯は要るまい。俺は風真の足元に回り込み、肉棒の角度を調節すると空いた手で脚を抱えた。
「ふぇ……きょ、きょーいくかかり、どの……?」
そこでようやく風真は意識を取り戻したようだった。まだ夢心地な瞳で俺に目を向け、呂律の回らない声を漏らす。
「お待たせだ、風真さん。お疲れだとは思うが……今度は俺の相手をして貰う」
「ま、待って、くだされ……かざま、まだ、メリッサ殿からされたのが、抜けて、なくっ……」
「それが『イク』って感覚だ。そっちの方も慣れていってくれ……で、悪いんだが今回みたいな多人数プレイじゃお客さんが待ってくれるとは限らない。ちょっと厳しめになるが、そこはまあイキ慣れて貰うための訓練って事で……よっ!」
「そんな、待っ……んあぁぁっ!」
風真の弱々しい懇願を俺はあえて無視し、亀頭を孔に宛がうと一気に奥まで腰を突き込む。グロッキー状態かと思われていた風真だったが挿入されてきた肉棒を彼女の膣内は喜々として受け止め、吸い付くような強烈な締め付けを俺に与えてきた。
前座扱いするようで申し訳なかったが、風真にあまり時間をかける余裕はない。俺の推測が当たっているならば、交代したメリッサはこより相手に苦戦している筈だ。十分に潤っていた風真の膣内が伝えてくる快感を味わいつつ、俺は小さく速いストロークで腰を使い始めた。
「ぐ、うっ、くぅっ! やっぱり、風真さん、の、締め付けは、強いなっ!」
「あっああんっ! わかっ、わからないで、ござっ、るぅっ!」
鍛えられた身体が生み出す強烈な締め付けが肉棒を包む。瑞々しい肢体が俺の動きに合わせて汗が飛び散る程に跳ねる。
やはり気を緩めてイカせられる相手ではないか。俺は深く呼吸をしながら下腹に力を籠め、挿入の度に微妙に角度を変えて彼女の感じるポイントを探る。
「きょ、教育係、どのっ! 怖い、風真、んんっ! 怖いでござる、よぉっ!」
いやいやをするように首を振る風真。未知の感覚に怯えに似た感情が湧き上がってきているのだろう。俺は何かに縋るように宙を掴んでいた風真の手を取り、優しく握った。僅かに彼女の緊張が緩む。
「大丈夫だ、風真、さんっ! 俺がいる、俺が、ここに、居る、からっ!」
「はっ……はい、教育係殿っ! んあっ! おっ、お願い、風真、かざまの、手っ、握って、握った、ままっ! ああんっ! 奥、おくっ、までぇっ!」
腰の動きを止めないまま呼びかける俺に風真は安心の笑みを浮かべ、再び快楽の波に呑まれてゆく。
ここがスパートどころか。俺は風真の手を握ったまま腰の動きを更に速めた。ぱんぱんと肉の打ち付け合う音が響き、断続的に強まる膣内の締め付けが彼女が小さな絶頂を迎えている事を教えてくれる。
俺もそろそろ限界に近づいてきた。風真の締め付けがひと際強くなり、大きな絶頂に達したのを確認してから一気に射精感を開放する。
「んひっ! いっいいっ! かざま、かざまっ、もうっ! ああぁぁっ!」
「ぐうっ! 出す、出すぞ、風真さんっ! くううっ!」
「……ッ!」
もはや言葉にもならない音に似た声を漏らしつつ、風真は大きく背を反らして俺の射精を受け止める。心地よい脱力感と共に、熱い白濁液が彼女の膣内を満たしてゆくのが分かる。
そのまま完全に射精が終わるまで俺は風真の膣内の一番奥に亀頭を擦りつけ、最後の一滴が注がれる快感に腰を震わせた。
「あ、あ、あぁ……」
肉棒が引き抜かれた風真の身体が、まるで支えを失ったかのようにぺたりとベッドに崩れ落ちた。恍惚とした表情のまま、虚ろに天井を見上げている。
とりあえずこれで「満足していない」という判定にはなるまい。俺は小さく息をつき、射精の余韻に浸りたがる身体を叱咤する。これでまだ半分だ。
「んっ、う、ううっ!」
「あぁんっ! 出てる、こよの中、メリッサさんの、熱い、のっ!」
果たしてこより側に視線を向けると、全裸に白衣だけを纏った姿のこよりに騎乗位で跨られていたメリッサが射精をした直後だった。慌ててベッドのそちらの方へ向かう。
「んっ……流石は助手くんだね。風真ちゃん、攻略されちゃったか」
「ああ。そんでこっちはアンタの勝ちか……大丈夫か、メリッサ?」
「く、ふぅ……大丈夫とは、いかなかったかな。いやいや、この子の薬は大したものだよ」
まだ全身に力が入らないようだが、跨っていたこよりが退いたことでメリッサはゆっくり体を起こした。その口元に耳を近づけ、小声で尋ねる。
「(それで、どうだった?)」
「(僕が打たれたのは『感度上昇』。それで──)」
同じく小声でメリッサが答える。
「……やっぱりか」
推測が当たっていた事を確信し、俺はメリッサを背にこよりと向き直った。
「これで一対一、決着といこうじゃねえか」
「ふふっ、そんな気張らなくていいんじゃないかな。こよは何時でも臨戦態勢だよ?」
「そりゃどうも……そんじゃ、景気づけに俺にも一発打ってくれねえか?」
「え?」
俺の言葉にこよりが小さな驚きを浮かべる。
「……どういう事? 助手くんはお薬は嫌いなんじゃなかった?」
「後から『使ってれば勝てた』みたいな言い訳はさせたくないからな。それに……風真さんとの一戦で、俺も疲れてんだ。こう見えて」
「ふーん……それなら、遠慮なく」
こちらの予想外の要望にこよりは疑問を抱いたようだが、最終的には自分の損にはならないと計算したのだろう。汗を吸った白衣からケミカルカラーの注射器を取り出し、こちらに針を向ける。俺はその注射器の形状を、蛍光色の液体を、静かに観察する。
「ちょっとだけチクッとするからね……いくよ、助手くん」
言葉と共にこよりの手が動く。俺は──
「……え?」
こよりの戸惑いの声。
注射器の針が刺さる1㎜手前、そこで俺は彼女の腕を掴んでいた。
「これは……どういう意味かな、助手くん?」
「見ての通りさ」
「セックスで勝てないから力尽く? 流石にそれはルール違反だとこよは思うよ?」
眉を寄せて俺に言うこより。俺は口元に笑みを浮かべて答えた。
「ルール違反はあんたの方だろ?
「……!?」
僅かに、ほんの僅かにだがこよりの表情に焦りが浮かんだ。
「……ネ、ネタって?」
「せめて薬品の色設定は変えとくべきだったな。自分に打ってた『感度強化』……あれ、本当は『感度
「ふぇっ!?」
彼女の獣耳がピンと跳ねる。既に白状したも同然だが、それでもこよりは反論しようとする。
「ななな、何を言ってるのかな助手くん! なんの根拠があって……!」
「前の逆レイプの時と同じ薬を使ってたにしては前戯の時の愛液の滲み方が弱かった。それで念のためメリッサに感度強化の薬を使ってもらって、薬の色を確認したんだよ。こっちには『本当の感度強化薬』を使ってくるだろうからな」
メリッサに負担をかける格好になったが、彼女から得た情報で確信を得る事が出来た。もはや弁明も出来ずに絶句するこよりの手から注射器を奪い、逆に彼女に向ける。
「……!」
「まあ、そういう訳だから……ペナルティだ。こいつを打ってラウンド2と行こうじゃねえか」
「ちょ、ま、待った、助手くん! それはマズい、マズいよ!」
この後の展開を察したこよりが全力で訴えかけてきた。俺は小首を傾げて聞き返す。
「マズい?」
「白状する! 確かにこよが使ってたのは感度鈍化薬! それは悪かったよ。でもそれを使うのだけは待って! 鈍化状態から感度強化薬を打ったら一気に反動が来て、それこそ本物の電子ドラッグ並みの効きになっちゃうの! こよ、壊れちゃうよ!」
「……そうか、それは大変だな」
「でしょ! だから……ひうっ!」
必死の訴えに理解を見せたと思い近づいてきたこよりの首筋。そこに俺は注射器を打ち込んだ。
「……こっちも散々打たれたんだ。それこそ『いい薬』ってな」
「あ、あひ、いっ、いぃぃっ!」
瞬間、こよりはピンクの髪を振り乱して悶絶した。突然に押し寄せた反動に耐えられなかったのかビクンと大きく身体を跳ねさせると同時に股間から水流が漏れだす。一瞬で絶頂し、失禁してしまったようだ。
ようやく脱力感が抜けきったメリッサが俺に寄りつつ言う。
「これは……凄いね」
「あ、あは、あはっ……」
そのままパタリと仰向けになるこより。
「どうする? これで勝ちでもいい気がするけど」
「これは『研修』だからな。
「……こういう時、君は本当に容赦ないよね」
苦笑を浮かべつつもメリッサはこよりの上半身側に回りこむと彼女を引き起こした。俺は仰向けに寝そべり、まだ夢心地のこよりの身体を上に乗せる。
「んぁ……?」
「まだ気絶にゃ早いぜ、こよりさん……ふっ、うおっ……!」
「じゃあ、僕も……くうっ!」
「え!? あ、ひっ、ンッ、ああぁっ!」
脱力したままのこよりの膣内を下から突き上げる。同時にメリッサは彼女のふくよかな尻を掴み、
「ふあぁっ! ダメ、これ、ダメっ! こよ、お尻、初めてっ、なのっ! ああんっ!」
「や、やっぱり、そう、だよね……凄い、締まるっ……千切れそうだよっ……!」
「ぐうっ……尻に合わせて、前もっ……!」
喘ぎつつもゆっくりと腰を前後させこよりの尻穴を責めるメリッサ。その動きに時に合わせ、時にあえてずらして膣内を責める俺。初めての二孔責めに悶えるこより。三者三様の嬌声が響く。
「ごっ! ごめん、なさいっ! 助手くんっ! こよ、もう、限界、だか、らぁっ!」
「そんな、事を、言わずに、さっ……あとちょっと、付き合ってよ、僕も、もう、出るからっ……!」
「ああ、どうせ、ならっ! 限界、まで、イって、くれっ!」
たぷたぷと揺れるこよりの胸を下から揉み上げつつ俺は更に突き上げる。獣のように舌を出し顔を涙と涎で汚しながら悶える彼女の姿は淫蕩で、同時に美しい。
「だめ、だっ、ら、めぇっ! こよ、おまんこも、お尻も、一杯、いっぱいぃっ!」
「い、いいよ、こよりさんの、お尻っ、く、ううぅっ!」
「うぉ、お、おおぉっ!」
「いっ、ひ、こよ、こよ、壊れ、ちゃっ! あ、あああぁっ!」
どくんとメリッサの腰が震え、こよりの尻穴に精液が注がれてゆく。同時に俺も達し、彼女の膣内に奔流を迸らせる。
二人の身体に挟まれたこよりは絶叫に近い嬌声をあげ、俺の身体の上に挿入されたまま倒れ込んだ。
──薄暗い部屋の中、二つの喘ぎ声が聞こえる。一人は穏やかに、一人は大きな声で。
「ンッ……あ、んふっ……」
「ああんっ! 『ルイ』姉っ! もっと、もっとぉっ!」
優劣つけ難い豊満な身体を重ねる二人の女性。互いの身体を余すところなく味わおうと絡み合う姿は蛇の交尾を思わせる。
「……ん?」
ふとその時、ベッドの枕元に置かれた携帯が鳴った。一方の女性が相手への責めを止め、そちらに手を伸ばす。
「あ、ん……ルイ姉、まだ、足りないのぉ……」
「ごめん、ちょっと待って……はい、こちら『ルイ』」
連絡する声。僅かに「ルイ」と名乗った女性の眉が動く。
「……そうですか。『こより』『風真』共に撃沈……流石といったところですね。それでは次は……やはり『沙花叉』を?」
「……!」
「ええ、横に居ます。それでは早急に……」
もう一方がぴくりと反応を示す。通話を終えた「ルイ」は彼女「沙花叉」に顔を向けた。
「聞こえていたろ? そういう訳だから……お願いできる、『沙花叉』?」
「ふ、ふふっ、いよいよ『沙花叉』の出番が来たねぇ。ねえルイ姉、これに成功したらお願いしてた……」
「……ああ、いいよ。『黒レザーのレオタードで顔面騎乗して欲しい』だっけ? それをしてあげる」
「フヒッ! や、やる気出てきたぁ!」
過呼吸気味に鼻息も荒く興奮を見せる「沙花叉」。
彼女の様子を静かに見つめつつ、「ルイ」は小さく呟いた。
「……さて優秀な教育係殿。どう、この子の相手をしてくれるかな?」